JP2021149004A - 光学シート母材 - Google Patents

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Abstract

【課題】打ち抜き方向を容易に特定することができる光学シート母材を提供すること。【解決手段】本発明の光学シート母材は、入射光を偏光する偏光層を備え、一方の面側から厚さ方向に打ち抜いて用いられる光学シート母材であって、前記偏光層の少なくとも一方の面側に設けられ、打ち抜く際の打ち抜き方向を示すマーカーを有することを特徴とする。また、マーカーは、着色部であり、D65光源10°での色相は、a*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、−10以下、または、10以上であるのが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、光学シート母材に関する。
例えば、視野のコントラストを高めたり、防眩等の目的で、偏光機能を有する光学シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。この光学シートは、眼鏡およびサングラスや、サンバイザー等に貼着して用いられる。
特許文献1に記載の光学シートは、例えば、樹脂材料と、樹脂材料中に分散された染料(光吸収剤)とを含む層を一方向に延伸して製造されたものである。また、このような光学シートは、複数個所、所定の方向から所定の形状に打ち抜かれ、打ち抜かれた部分が、眼鏡およびサングラスや、サンバイザー等に貼着して用いられる。
しかしながら、特許文献1に記載の光学シートは、どちらの面が表でどちらの面が裏かが目視では判別しにくい。表裏の判別がつかないと、光学シートの表裏を間違えた状態で眼鏡およびサングラスや、サンバイザー等に貼着してしまうおそれがある。この場合、光学シートの構成によっては、所望の光学特性が得られないという問題がある。
WO2014/115705
本発明の目的は、打ち抜き方向を容易に特定することができる光学シート母材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(7)に記載の本発明により達成される。
(1) 入射光を偏光する偏光層を備え、一方の面側から厚さ方向に打ち抜いて用いられる光学シート母材であって、
前記偏光層の少なくとも一方の面側に設けられ、打ち抜く際の打ち抜き方向を示すマーカーを有することを特徴とする光学シート母材。
(2) 前記マーカーは、前記偏光層の偏光軸に沿って形成された長尺状をなしている上記(1)に記載の光学シート母材。
(3) 前記マーカーは、前記偏光層の平面視において、複数の打ち抜き予定部位と重なっている上記(1)または(2)に記載の光学シート母材。
(4) 前記マーカーは、着色部である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光学シート母材。
(5) 前記着色部の、D65光源10°での色相は、a*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、−10以下、または、10以上である上記(4)に記載の光学シート母材。
(6) 前記着色部と、前記着色部の周囲の部分との、D65光源10°での色相差は、a*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、15以上である上記(4)または(5)に記載の光学シート母材。
(7) 当該光学シート母材の最表層に位置し、前記偏光層を保護するマスキング層を有し、
前記マーカーは、前記マスキング層に設けられている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光学シート母材。
本発明によれば、打ち抜き方向を容易に特定することができる光学シート母材を提供することができる。
図1は、本発明の光学シート母材から加工された光学シートを備える眼鏡の斜視図である。 図2は、本発明の光学シート母材の断面図である。 図3は、発明の光学シート母材から加工された光学シートがレンズに接合されている状態の断面図である。 図4は、図2に示す光学シート母材の平面図である。 図5は、図3に示す光学シートを製造する光学シート製造装置を模式的に示した側面図である。 図6は、図5に示す光学シート製造装置により製造された光学シート母材の所定部位(打ち抜き予定部位)を打ち抜ぬく刃部を示す断面図である。 図7は、光学シートが設けられた眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズ製造装置を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の光学シート母材を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
≪第1実施形態≫
以下では、まず、本発明の光学シート母材の第1実施形態について説明する。
図2に示す本発明の光学シート母材1は、例えば、光学部材としてのサングラス100Aが備える眼鏡レンズ30に貼着して使用される光学シート10を製造するための母材である。まず、光学シート10が貼着された状態を示す光学部品としてのサングラス100Aについて説明する。
<サングラス>
図1は、本発明の光学シート母材から加工された光学シートを備える眼鏡の斜視図である。なお、図1において、サングラスを使用者の頭部に装着した際に、レンズの使用者の目側の面を裏側の面と言い、その反対側の面を表側の面と言う。
サングラス100Aは、図1に示すように、フレーム20と、眼鏡レンズ30と、光学シート10とを備えている。
なお、本明細書中において、「眼鏡レンズ」とは、集光機能を有するものと、集光機能を有していないものとの双方を含むこととする。
フレーム20は、使用者の頭部に装着され、眼鏡レンズ30を使用者の目の前方近傍に配置させるためのものである。
このフレーム20は、リム部21と、ブリッジ部22と、テンプル部23と、ノーズパッド部24とを有している。
リム部21は、リング状をなし、右目および左目にそれぞれ対応して1つずつ設けられており、内側に眼鏡レンズ30が装着される。これにより、使用者は、眼鏡レンズ30を介して、外部の情報を視認することができる。
また、ブリッジ部22は、棒状をなし、使用者の頭部に装着された際に、使用者の鼻の上部の前方に位置して、一対のリム部21を連結する。
テンプル部23は、つる状をなし、各リム部21のブリッジ部22が連結されている位置の反対側における縁部に連結されている。このテンプル部23は、使用者の頭部に装着する際に、使用者の耳に掛けられる。
ノーズパッド部24は、サングラス100Aを使用者の頭部に装着する際に、各リム部21における使用者の鼻に対応する縁部に設けられ、使用者の鼻に当接し、このとき使用者の鼻の当接部に対応した形状をなしている。これにより、装着状態を安定的に維持することができる。
フレーム20を構成する各部の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や、各種樹脂材料等を用いることができる。なお、フレーム20の形状は、使用者の頭部に装着することができるものであれば、図示のものに限定されない。
眼鏡レンズ30は、各リム部21に、それぞれ装着されている。この眼鏡レンズ30は、光透過性を有し、外側に向って湾曲した板状をなす部材である。
眼鏡レンズ30の構成材料としては、光透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のような各種硬化性樹脂等の各種樹脂材料や、各種ガラス材料および各種結晶材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ガラス材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、結晶材料としては、例えば、サファイア、水晶等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
眼鏡レンズ30の厚さは、特に限定されず、例えば、0.5mm以上5.0mm以下であるのが好ましく、10mm以上3.0mm以下であるのがより好ましい。これにより、比較的高い強度と、軽量化との両立を図ることができる。
<光学シート母材>
図2は、本発明の光学シート母材の断面図である。図3は、発明の光学シート母材から加工された光学シートがレンズに接合されている状態の断面図である。図4は、図2に示す光学シート母材の平面図である。
なお、図2〜図3では、上側を「上方」または「上」と言い、下側を「下方」または「下」とも言う。また、本明細書で参照する図面では、厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは異なる。
光学シート母材1は、図2に示すように、特定波長吸収層11と、接着剤層12と、偏光層13と、接着剤層14と、保護層15と、一対のマスキング層16と、を有する。これらは、マスキング層16、特定波長吸収層11、接着剤層12、偏光層13、接着剤層14、保護層15およびマーカー17が付されたマスキング層16の順で下側から積層されている。また、光学シート母材1が打ち抜かれた光学シート10は、マスキング層16が保護層15から離脱した状態で、図3に示すように、特定波長吸収層11が眼鏡レンズ30の上面、すなわち、外側の面に接合されて用いられる。以下、各部について説明する。
<特定波長吸収層>
特定波長吸収層11は、主剤としてのポリカーボネートと、可視光を吸収する可視光吸収剤と、を含む。
ここで、本明細書において、「可視光」とは、波長380nm以上780nm以下の電磁波のことを言う。
特定波長吸収層11は、透光性を有する主剤(主材料)としてのポリカーボネートと、このポリカーボネート中に溶解・分散され、可視光を吸収する可視光吸収剤とを含む樹脂組成物を用いて層状に成形された成形体であり、樹脂組成物中に可視光吸収剤を含有することで、特定の波長領域における可視光の透過を的確に抑制または防止し、これにより、所望の波長領域を有する光の透過を許容する機能を有するものである。
かかる特定波長吸収層11を光学シート10が備えることにより、光学シート10は、特定の波長領域における光を遮断する光遮断性を発揮することで、所望の波長領域を有する光が透過する光透過性を発揮する。したがって、この光学シート10を、所望の色調を有する光の透過を許容するカバー部材として用いることができる。
(ポリカーボネート)
ポリカーボネート(ポリカーボネート系樹脂)は、特定波長吸収層11の主剤(ベース樹脂)として含まれ、特定波長吸収層11を基板状に成型するためのものである。
このポリカーボネートは、透明性(透光性)や剛性、耐衝撃性等の機械的強度に富むことから、特定波長吸収層11の主剤としてポリカーボネートを用いることで、光学シート10の透明性や機械的強度を優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、その比重が1.2程度であり、公知の樹脂材料のなかでも軽いものに分類されることから、光学シート10の軽量化を図ることができる。
このポリカーボネートとしては、各種のものを用いることができ、例えば、ビスフェノール型ポリカーボネートの他、植物由来のイソソルバイドを主剤として生成されたイソソルバイド由来ポリカーボネート等が挙げられるが、中でも、ビスフェノール型ポリカーボネートであることが好ましい。ビスフェノール型ポリカーボネートは、その主鎖にベンゼン環を備えており、これにより、光学シート10の強度をより優れたものとすることができる。
このビスフェノール型ポリカーボネートは、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
Figure 2021149004
(式(A)中、Xは、炭素数1〜18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0〜4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
なお、前記式(A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’−(ペンタン−2,2−ジイル)ジフェノール、4,4’−(ペンタン−3,3−ジイル)ジフェノール、4,4’−(ブタン−2,2−ジイル)ジフェノール、1,1’−(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2−シクロヘキシル−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3−ビスシクロヘキシル−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特定波長吸収層11中のポリカーボネートの含有量は、特に限定されないが、75wt%以上であるのが好ましく、85wt%以上であるのがより好ましい。ポリカーボネートの含有量を上記範囲内とすることにより、光学シート10を、優れた強度を発揮するものとすることができる。
(可視光吸収剤)
可視光吸収剤は、特定の波長領域における可視光の透過を抑制または防止するものであり、特定波長吸収層11に溶解・分散した状態でほぼ均一に含まれることで、特定波長吸収層11に、所望の波長領域を有する光の透過を許容する機能を付与するためのものである。
可視光吸収剤は、特定の波長領域における可視光の透過を抑制または防止するものであり、特定波長吸収層11に分散した状態でほぼ均一に含まれることで、特定波長吸収層11に、所望の波長領域を有する光の透過を許容する機能を付与するためのものである。
このような可視光吸収剤は、特に限定されないが、例えば、波長が300nm以上550nm以下の光を吸収する第1光吸収剤、波長が450nm以上800nm以下の光を吸収する第2光吸収剤、波長が400nm以上800nm以下の光を吸収する第3光吸収剤が挙げられ、これらの組み合わせ、さらにはその含有量を適宜設定することで、特定波長吸収層11に、所望の波長領域を有する光の透過を許容する機能を確実に付与することができる。したがって、光学シート10は、所望の波長領域を有する光を透過する光透過性を発揮する。
第1光吸収剤は、波長が300nm以上550nm以下の光を吸収する吸収波長特性を有するものである。この第1光吸収剤としては、例えば、キノリン系色素が挙げられる。
キノリン系色素としては、例えば、2−メチルキノリン、3−メチルキノリン、4−メチルキノリン、6−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、2,4−ジメチルキノリン、2,6−ジメチルキノリン、4,6,8−トリメチルキノリン等のアルキル置換キノリン化合物、2−アミノキノリン、3−アミノキノリン、5−アミノキノリン、6−アミノキノリン、8−アミノキノリン、6−アミノ−2−メチルキノリン等のアミノ基置換キノリン化合物、6−メトキシ−2−メチルキノリン、6,8−ジメトキシ−4−メチルキノリン等のアルコキシ基置換キノリン化合物、6−クロロキノリン、4,7−ジクロロキノリン、3−ブロモキノリン、7−クロロ−2−メチルキノリン等のハロゲン基置換キノリン化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような第1光吸収剤を可視光吸収剤として配合することにより、特定波長吸収層11に入射する光のうち、波長が300nm以上550nm以下の光を特定波長吸収層11において確実に吸収することができる。
また、特定波長吸収層11における第1光吸収剤の含有率は、特に限定されないが、0.001wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.002wt%以上1.0wt%以下であることがより好ましく、0.005wt%以上0.3wt%以下であるのがさらに好ましい。特定波長吸収層11中における第1光吸収剤の含有率が前記下限値未満であると、第1光吸収剤の種類によっては、特定波長吸収層11の可視光(波長が300nm以上550nm以下の光)の吸収性が低下するおそれがある。また、特定波長吸収層11における第1光吸収剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の可視光(波長が300nm以上550nm以下の光)の吸収性の向上は見られず、特定波長吸収層11のレンズに対する密着性を損ねるおそれがある。
第2光吸収剤は、波長が450nm以上800nm以下の光を吸収する吸収波長特性を有するものである。この第2光吸収剤としては、例えば、アントラキノン系色素が挙げられる。
アントラキノン系色素としては、例えば、(1)2−アニリノ−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(2)2−(o−エトキシカルボニルアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(3)2−(p−エトキシカルボニルアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(4)2−(m−エトキシカルボニルアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(5)2−(o−シアノアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(6)2−(p−シアノアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(7)2−(m−シアノアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(8)2−(o−ニトロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(9)2−(p−ニトロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(10)2−(m−ニトロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(11)2−(p−ターシャルブチルアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(12)2−(o−メトキシアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(13)2−(2,6−ジイソプロピルアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(14)2−(2,6−ジクロロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(15)2−(2,6−ジフルオロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(16)2−(3,4−ジシアノアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(17)2−(2,4,6−トリクロロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(18)2−(2,3,5,6−テトラクロロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(19)2−(2,3,5,6−テトラフルオロアニリノ)−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(20)3−(2,3,4,5−テトラフルオロアニリノ)−2−ブトキシ−1,4−ジフルオロアントラキノン、(21)3−(4−シアノ−3−クロロアニリノ)−2−オクチルオキシ−1,4−ジフルオロアントラキノン、(22)3−(3,4−ジシアノアニリノ)−2−ヘキシルオキシ−1,4−ジフルオロアントラキノン、(23)3−(4−シアノ−3−クロロアニリノ)−1,2−ジブトキシ−4−フルオロアントラキノン、(24)3−(p−シアノアニリノ)−2−フェノキシ−1,4−ジフルオロアントラキノン、(25)3−(p−シアノアニリノ)−2−(2,6−ジエチルフェノキシ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(26)3−(2,6−ジクロロアニリノ)−2−(2,6−ジクロロフェノキシ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(27)3−(2,3,5,6−テトラクロロアニリノ)−2−(2,6−ジメトキシフェノキシ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(28)2,3−ジアニリノ−1,4−ジフルオロアントラキノン、(29)2,3−ビス(p−ターシャルブチルアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(30)2,3−ビス(p−メトキシアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(31)2,3−ビス(2−メトキシ−6−メチルアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(32)2,3−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(33)2,3−ビス(2,4,6−トリクロロアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(34)2,3−ビス(2,3,5,6−テトラクロロアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(35)2,3−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロアニリノ)−1,4−ジフルオロアントラキノン、(36)2,3−ビス(p−シアノアニリノ)−1−メトキシエトキシ−4−フルオロアントラキノン、(37)2−(2,6−ジクロロアニリノ)−1,3,4−トリクロロアントラキノン、(38)2−(2,3,5,6−テトラフルオロアニリノ)−1,3,4−トリクロロアントラキノン、(39)3−(2,6−ジクロロアニリノ)−2−(2,6−ジクロロフェノキシ)−1,4−ジクロロアントラキノン、(40)2−(2,6−ジクロロアニリノ)アントラキノン、(41)2−(2,3,5,6−テトラフルオロアニリノ)アントラキノン、(42)3−(2,6−ジクロロアニリノ)−2−(2,6−ジクロロフェノキシ)アントラキノン、(43)2,3−ビス(2−メトキシ−6−メチルアニリノ)−1,4−ジクロロアントラキノン、(44)2,3−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリノ)アントラキノン、(45)2−ブチルアミノ−1,3,4−トリフルオロアントラキノン、(46)1,4−ビス(n−ブチルアミノ)−2,3−ジフルオロアントラキノン、(47)1,4−ビス(n−オクチルアミノ)−2,3−ジフルオロアントラキノン、(48)1,4−ビス(ヒドロキシエチルアミノ)−2,3−ジフルオロアントラキノン、(49)1,4−ビス(シクロヘキシルアミノ)−2,3−ジフルオロアントラキノン、(50)1,4−ビス(シクロヘキシルアミノ)−2−オクチルオキシ−3−フルオロアントラキノン、(51)1,2,4−トリス(2,4−ジメトキシフェノキシ−3−フルオロアントラキノン、(52)2,3−ビス(フェニルチオ)−1−フェノキシ−4−フルオロアントラキノン、(53)1,2,3,4−テトラ(p−メトキシフェノキシ)−アントラキノン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような第2光吸収剤を可視光吸収剤として配合することにより、特定波長吸収層11に入射する光のうち、波長が450nm以上800nm以下の光を特定波長吸収層11において確実に吸収することができる。
また、特定波長吸収層11における第2光吸収剤の含有率は、特に限定されないが、0.001wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.002wt%以上1.0wt%以下であることがより好ましく、0.005wt%以上0.6wt%以下であるのがさらに好ましい。特定波長吸収層11中における第2光吸収剤の含有率が前記下限値未満であると、第2光吸収剤の種類によっては、特定波長吸収層11の可視光(波長が450nm以上800nm以下の光)の吸収性が低下する場合がある。また、特定波長吸収層11における第2光吸収剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の可視光(波長が450nm以上800nm以下の光)の吸収性の向上は見られず、特定波長吸収層11のレンズに対する密着性を損ねる場合がある。
第3光吸収剤は、波長が400nm以上800nm以下の光を吸収する吸収波長特性を有するものである。この第3光吸収剤としては、例えば、ペリノン系色素が挙げられる。
ペリノン系色素としては、例えば、2,3−ナフタロペリノン、1,8−ナフタロペリノン、テトラブロモ−1,2−ナフタロペリノン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなペリノン系色素を配合することにより、特定波長吸収層11に入射する光のうち、波長が400nm以上800nm以下の光を特定波長吸収層11において確実に吸収することができる。
また、特定波長吸収層11における第3光吸収剤の含有率は、特に限定されないが、0.001wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.002wt%以上1.0wt%以下であることがより好ましく、0.005wt%以上0.6wt%以下であるのがさらに好ましい。特定波長吸収層11中における第3光吸収剤の含有率が前記下限値未満であると、第3光吸収剤の種類によっては、特定波長吸収層11の可視光(波長が400nm以上800nm以下の光)の吸収性が低下する場合がある。また、特定波長吸収層11における第3光吸収剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の可視光(波長が400nm以上800nm以下の光)の吸収性の向上は見られず、特定波長吸収層11のレンズに対する密着性を損ねる場合がある。
また、特定波長吸収層11は、可視光吸収剤の他に、さらに、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。これにより、特定波長吸収層11に含まれる樹脂材料や可視光吸収剤、ひいては光学シート10(カバー部材)でカバーすべき対象物が紫外線により劣化するのを的確に抑制または防止することができる。そのため、特定波長吸収層11を耐候性に優れたものとすることができる。
この紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、波長が100nm以上400nm以下の光を吸収する光吸収剤を含むことが好ましい。これにより、紫外線や、可視光のうち、比較的波長が短い光(波長が400nm以下の光)の透過を抑制することができる。そのため、紫外線吸収剤としての機能を確実に発揮させることができる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、トリアジン系化合物であることが好ましい。これにより、特定波長吸収層11の紫外線による劣化をより確実に防止または抑制することができ、光学シート10の耐候性をより高めることができる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−モノ(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物や2,4−ビス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物、2,4,6−トリス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物が挙げられ、具体的には、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。また、トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、「チヌビン1577」「チヌビン460」「チヌビン477」(BASFジャパン製)「アデカスタブLA−F70」(ADEKA製)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような紫外線吸収剤を配合することにより、特定波長吸収層11に入射する光のうち、波長が100nm以上400nm以下の光を特定波長吸収層11において確実に吸収することができる。
また、特定波長吸収層11が紫外線吸収剤を含有する場合、特定波長吸収層11における紫外線吸収剤の含有率は、0.005wt%以上0.200wt%以下であるのが好ましく、0.008wt%以上0.150wt%以下であることがより好ましい。特定波長吸収層11中における紫外線吸収剤の含有率が前記下限値未満であると、紫外線吸収剤の種類によっては、特定波長吸収層11の耐候性が低下するおそれがある。また、特定波長吸収層11中における紫外線吸収剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の耐候性の向上は見られず、特定波長吸収層11のレンズに対する密着性を損ねるおそれがある。
なお、特定波長吸収層11には、上記で挙げた可視光吸収剤とは異なる色素(例えば、赤外線光吸収剤等)が含まれていてもよい。この色素としては、特に限定されないが、例えば、顔料、染料等が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。
顔料としては、特に限定されないが、例えば、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、ジニトロアニリンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、パーマネントレッド、ナフトールレッド、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、ベンズイミダゾロンブラウン等のアゾ系顔料、アントラピリミジンイエロー、アントラキノニルレッド等のアントラキノン系顔料、銅アゾメチンイエロー等のアゾメチン系顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系顔料、イソインドリンイエロー等のイソインドリン系顔料、ニッケルジオキシムイエロー等のニトロソ系顔料、ペリノンオレンジ等のペリノン系顔料、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレット、キナクリドンレッド等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料、ジケトピロロピロールレッド等のピロロピロール系顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系顔料のような有機顔料、カーボンブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、アイボリーブラック、黒鉛、フラーレン等の炭素系顔料、黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸塩系顔料、カドミウムイエロー、カドミウムリトポンイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリトポンオレンジ、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリトポンレッド、硫化等の硫化物系顔料、オーカー、チタンイエロー、チタンバリウムニッケルイエロー、べんがら、鉛丹、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、酸化クロム、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラック等の酸化物系顔料、ビリジアン等の水酸化物系顔料、紺青等のフェロシアン化物系顔料、群青等のケイ酸塩系顔料、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等のリン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セレン化カドミウム等)のような無機顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料としては、特に限定されないが、例えば、金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した可視光吸収剤、紫外線吸収剤、および、これらとは異なる色素の種類の組み合わせ、さらにはその含有量を適宜設定することにより、特定波長吸収層11に、所望の波長領域を有する光の透過を選択的に許容する機能を発揮させることができる。
特定波長吸収層11は、850nm以上1100nm以下の波長域の光(赤外光)、ないしは1500nm以上1600nm以下の波長域の光の透過率が85%以上95%以下であることが好ましく、86%以上93%以下であることがより好ましい。
これにより、光学シート10を赤外線センサーや赤外線カメラの受発光部を覆うカバー部材としても用いることができる。
特定波長吸収層11の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2.5mm以下であるのがより好ましい。これにより、特定波長吸収層11は、十分な強度を確保することができる。
特定波長吸収層11の可視光の透過率は、40%以上90%以下であるのが好ましく、50%以上80%以下であるのがより好ましい。
(接着剤層)
接着剤層12は、特定波長吸収層11と偏光層13とを接合する機能を有する。接着剤層14は、偏光層13と保護層15とを接合する機能を有する。接着剤層12および接着剤層14は、同様の構成とすることができるため、以下、接着剤層12について代表的に説明する。
接着剤層12を構成する接着剤(または粘着剤)としては、特に限定されず、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。中でも、ウレタン系接着剤が好ましい。これにより、接着剤層12の透明性、接着強度、耐久性をより優れたものとしつつ、形状変化に対する追従性を特に優れたものとすることができる。
この接着剤層12の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。これにより、接着剤としての機能を、確実に付与することができる。
(偏光層)
偏光層13は、入射光(偏光していない自然光)から、所定の一方向に偏光面をもつ直線偏光を取出す機能を有している。これにより、光学シート10を介して目に入射する入射光は、乱光が除去され、偏光されたものとなる。
偏光層13の偏光度は、特に限定されないが、例えば、50%以上100%以下であるのが好ましく、80%以上100%以下であるのがより好ましい。
この偏光層13は、樹脂材料で構成された高分子フィルムを、一軸延伸したものであり、これにより、偏光層13としての前記機能が付与される。
また、偏光層13中に含まれる樹脂材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン価物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この樹脂材料のうち、特に、ポリビニルアルコール(PVA)は、透明性、耐熱性、延伸時の配向性のいずれもが優れた材料である。したがって、PVAを主材料とする偏光層13は、耐熱性に優れたものとなるとともに、偏光機能に優れたものとなる。
この偏光層13の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上60μm以下であるのが好ましく、10μm以上40μm以下であるのがより好ましい。これにより、偏光層13に、上述した偏光層13としての機能を確実に付与することができる。
(保護層)
保護層15は、光学シート10が眼鏡レンズ30に接合された状態において、最も外側に位置し、保護層15よりも内側の層、すなわち偏光層13を保護する機能を有する。
保護層15を形成するために用いられる樹脂組成物は、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂と、ウレタン(メタ)アクリレートとを含む。
前記樹脂組成物が、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂を含むことにより、保護層15の表面硬度が高くなり、優れた耐擦傷性を光学シート10に付与することができる。
また、前記樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含むことにより、保護層15の柔軟性を向上させることができ、光学シート10を熱曲げした際の、保護層15の表面のクラック発生を抑制し、光学シート10に優れた熱成形性を付与することができる。
そして、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂と、ウレタン(メタ)アクリレートとを組み合わせることにより、優れた耐擦傷性と熱成形性とを高度に両立した光学シート10を得ることができる。
(シリコン変性(メタ)アクリル樹脂)
前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位が繰り返された主鎖と、この主鎖に連結し、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体とを有するポリマー(プレポリマー)である。
前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂は、前記主鎖を有することにより、保護層15に透明性を付与し、また、前記シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体を有することにより、保護層15に耐擦傷性を付与する。
前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂の主鎖としては、具体的には、下記式(1)および式(2)の少なくとも一方の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する構成単位の繰り返しで構成されているものが挙げられる。
Figure 2021149004
(式(1)中、nは、1以上の整数を示し、R1は、独立して炭化水素基、有機基、または水素原子を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素原子を示す。)
Figure 2021149004
(式(2)中、mは、1以上の整数を示し、R2は、独立して炭化水素基、有機基、または水素原子を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素原子を示す。)
また、前記主鎖の末端または側鎖には、水酸基(−OH)を有することが好ましい。すなわち、前記式(1)または式(2)の場合には、R1またはR2が水素であることが好ましい。これにより、後述するイソシアネート基を有する硬化剤を用いる場合には、前記水酸基は硬化剤が有するイソシアネート基と反応してウレタン結合による架橋構造を形成する。
これより、前記樹脂組成物の硬化を促進させることができ、保護層15の形成に寄与することができる。
前記主鎖の少なくとも1つの末端または側鎖には、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体が結合している。
シロキサン結合は、結合力が高いため、前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂が、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体を有することにより、耐熱性、耐候性がより良好な保護層15を得ることができる。また、シロキサン結合の結合力が高いことで、硬質な保護層15を得ることができるため、光学シート10の砂ほこりや飛び石などの衝撃に対する耐擦傷性をさらに増大させることができる。
シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体としては、具体的には、下記式(3)および式(4)の少なくとも一方のシロキサン結合を有する構成単位の繰り返しで構成されているものが挙げられる。
Figure 2021149004
(式(3)中、Xは、炭化水素基または水酸基を示す。)
Figure 2021149004
(式(4)中、Xは、炭化水素基または水酸基を示し、Xは、炭化水素基または水酸基から水素が離脱した2価の基を示す。)
前記シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体としては、具体的には、ポリオルガノシロキサンを有するものや、シルセスキオキサンを有するものが挙げられる。なお、シルセスキオキサンの構造としては、ランダム構造、籠型構造、ラダー構造(はしご型構造)等、いかなる構造であってもよい。
前記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
また、シロキサン結合を有する構成単位が繰り返された繰り返し体の末端または側鎖には、不飽和二重結合が導入されていることが好ましい。これにより、ウレタン(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基と結合して、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とウレタン(メタ)アクリレートとのネットワークを形成することができる。そのため、保護層15において、シリコン変性(メタ)アクリル樹脂とウレタン(メタ)アクリレートとがより均一に分散し、その結果、保護層15は、前述した特性をその全体にわたってより均一に発現することができる。
前記樹脂組成物中における前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂の含有率は、特に限定されないが、5wt%以上、45wt%以下であることが好ましく、11wt%以上、28wt%以下であることがより好ましい。
前記樹脂組成物中における前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂の含有率が前記下限値未満であると、前記樹脂組成物により得られた保護層15の硬さが低下する場合がある。また、前記樹脂組成物中における前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂の含有率が前記上限値を超えると、前記樹脂組成物中におけるシリコン変性(メタ)アクリル樹脂以外の材料の含有量が相対的に減ってしまい、前記樹脂組成物を用いて形成された保護層15の撓み性が低下してしまう可能性がある。
(ウレタン(メタ)アクリレート)
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合(−OCONH−)を有する主鎖と、この主鎖に連結した(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、モノマーまたはオリゴマーである。
このウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有するため、柔軟性に優れた化合物である。このため、保護層15がウレタン(メタ)アクリレートを含むことで、保護層15にさらなる撓み性(柔軟さ)を付与することができる。
したがって、光学シート10を曲面形状に成形した際の、曲げ部におけるクラックの発生を抑制することができる。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上であることが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリロイル基の数が2個以上であると、ウレタン(メタ)アクリレートがシリコン変性(メタ)アクリル樹脂と結合してネットワークを形成することができるため、保護層15の硬化を促進することができる。これにより、保護層15の架橋密度があがり、保護層15の硬さをある程度高めることができる。このため、保護層15の耐擦傷性や耐溶剤性などの特性を向上させることができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物として得ることができる。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合で、数平均分子量が1300未満のものが望ましい。数平均分子量が1300以上のポリエーテルポリオールを用いた場合には、保護層15の柔軟さが高すぎて、砂ほこりや飛び石などの衝撃によって保護層15に擦り傷等が付きやすくなるおそれがある。
前記ポリエステルポリオールは、例えば、ジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化して、エステル交換反応させたりすることにより得ることができる。ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸
、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など、ジオールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールなどが用いられる。
前記ポリカーボネートジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコールなどが用いられ、1種でも2種以上を併用しても良い。
前記水酸基を有するアクリレートモノマーの例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、特に限定されないが、1.0×10以上、2.0×10以下であることが好ましく、1.1×10以上、1.5×10以下であることがより好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、前記範囲内であることにより、保護層15の撓み性と硬さとのバランスが良好なものとなり、光学シート10を曲面形状に成形した際の、曲げ部におけるクラックの発生を抑制することができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
前記樹脂組成物中における前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有率は、特に限定されないが、10%以上、75%以下であることが好ましく、17%以上、50%以下であることがより好ましい。
前記樹脂組成物中における前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有率が、前記下限値未満であると、保護層15の柔軟性が乏しくなる場合がある。また、前記樹脂組成物中における前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有率が前記上限値を超えると、前記樹脂組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレート以外の材料の含有量が相対的に減少し、光学シート10の耐擦傷性が低下するおそれがある。
前記樹脂組成物は、さらにアクリレートモノマーを含むものであることが好ましい。
前記樹脂組成物が、さらにアクリレートモノマーを含むことにより、接着剤層14と保護層15との密着性が向上し、熱曲げ時に保護層15の接着剤層14からの剥離が生じにくくなる。また、アクリレートモノマーは、反応性希釈剤としての機能も果たすため、前記樹脂組成物の粘度を低下させ、前記樹脂組成物をアクリレートモノマー中に均一に分散させる機能を有する。
前記アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキ
シ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、光学シート10の耐候性を向上させる観点から、芳香族を含まない樹脂であることが好ましい。
前記樹脂組成物中における前記アクリレートモノマーの含有率は、特に限定されないが、15%以上、55%以下であることが好ましく、27%以上、55%以下であることがより好ましい。
前記樹脂組成物中における前記アクリレートモノマーの含有率が前記下限値未満の場合、接着剤層14と保護層15の密着性が不足し、熱曲げ時に保護層15が接着剤層14から剥離しやすくなる。さらには、保護層15の架橋密度が低下する場合があり、光学シート10の耐擦傷性が低下する恐れがある。また、前記樹脂組成物中における前記アクリレートモノマーの含有率が前記上限値超える場合、熱曲げ時に保護層15が伸びずに割れてしまう可能性がある。
前記樹脂組成物は、さらにシリコン変性(メタ)アクリレートを分子間で結合(架橋)させる架橋剤として、イソシアネートを含むことが好ましい。イソシアネートを架橋剤として用いることにより、シリコン変性(メタ)アクリレートが有する水酸基とイソシアネートが有するイソシアネート基とが反応してウレタン結合で構成された架橋構造を形成する。これにより、前記樹脂組成物の耐擦傷性を向上させることができる。
前記イソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート等が挙げられ、特に、イソシアネート基が3個以上の多官能イソシアネートも含むことがより好ましく、さらに、耐擦傷性を向上させることができる。
前記樹脂組成物中における前記イソシアネートの含有率は、特に限定されないが、3%以上、40%以下であることが好ましく、10%以上、25%以下であることがより好ましい。
前記樹脂組成物中における前記イソシアネートの含有率が、前記下限値未満であると、保護層15の耐擦傷性が低下するおそれがある。また、前記樹脂組成物中における前記イソシアネートの含有率が前記上限値を超えると、イソシアネートの未反応物が不純物として塗膜に残るため、塗膜の耐擦傷性および耐久性(塗膜の密着性)が低下してしまう可能性がある。
また、前記樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含んでいても良い。前記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられ、これらのうち1種または2種を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、トリアジン系の紫外線吸収剤が好ましく用いられ、トリアジン系の紫外線吸収剤の中でも、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤がより好ましい。これにより、保護層15の紫外線による劣化をより確実に防止または抑制することができ、光学シート10の耐候性をより増大させることができる。
また、前記樹脂組成物中における前記紫外線吸収剤の含有率は、特に限定されないが、0.1wt%以上、20wt%以下であるのが好ましく、1wt%以上、10wt%以下であることがより好ましい。前記樹脂組成物中における前記紫外線吸収剤の含有率が前記下限値未満であると、保護層15の耐候性が低下する場合がある。また、前記樹脂組成物中における前記紫外線吸収剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の耐候性の向上は見られず、保護層15の透明性や、保護層15の接着剤層14に対する密着性を損ねる場合がある。
また、前記樹脂組成物は、光重合開始剤を含んでいても良い。前記光重合開始剤としては、特に限定されないが、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファ−ジカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1などのアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2、4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスヒンオキサイド類、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアルファ−アシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができ、これらの中でも特に、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1などのアセトフェノン類であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物中における前記光重合開始剤の含有率は、特に限定されないが、0.5wt%以上、15wt%以下であるのが好ましく、1wt%以上、10wt%以下であるのがより好ましい。前記樹脂組成物中における前記光重合開始剤の含有率が前記下限値未満であると、前記樹脂組成物を十分に硬化させることが難しい場合があり、また、前記樹脂組成物中における前記光重合開始剤の含有率が前記上限値を超えても、それ以上の向上は見られない。
前記樹脂組成物には、上述した材料以外のその他の材料を含まれていてもよい。
その他の材料としては、例えば、前記シリコン変性(メタ)アクリル樹脂以外の樹脂材料、着色剤、増感剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、還元防止剤、帯電防止剤、表面調整剤および溶剤等が挙げられる。
溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ぺンタノン、イソホロン、ジイソブ
チルケトンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤などが挙げられる。これらは単独または混合して使用することができる。これらの中でも、アルコール系、セロソルブ系、グリコール系は前記樹脂組成物中のイソシアネートと反応してしまう可能性があるため、単独で使用しないことが望ましい。溶剤の主成分として炭化水素系、ケトン系、エステル系を使用することがより好ましい。
保護層15の厚さは、特に限定されないが、1μm以上40μm以下であることが好ましく、2μm以上30μm以下であることがより好ましく、3μm以上20μm以下であるがさらに好ましい。保護層15の厚さが前記下限値未満であると、光学シート10の耐候性が低下する場合がある。一方、保護層15の厚さが前記上限値を超えると、光学シート10を曲面形状に成形した際、曲げ部においてクラックが発生する場合がある。
(マスキング層16)
マスキング層16は、光学シート10の両面側にそれぞれ接合、具体的には、貼着され、光学シート10を保護する機能を有する。すなわち、図1に示すように、マスキング層16は、特定波長吸収層11の外面および保護層15の外面にそれぞれ設けられている。マスキング層16は、基材と、基材の一方の面側に設けられた粘着剤層と、基材と粘着剤層との間に設けられた中間層と、を有する三層構造をなしている。マスキング層16は、光学シート母材1において、基材が最外層に位置しいている。具体的には、一方のマスキング層16は、粘着剤層が保護層15に接触した状態で保護層15に貼着され、他方のマスキング層16は、粘着剤層が特定波長吸収層11に接触した状態で特定波長吸収層11に貼着されている。
基材としては、光透過性を有していれば、特に限定されないが、保護層15の構成材料として列挙した材料を用いることができる。
中間層としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、EMMA等が挙げられる。
また、この粘着剤層に含まれる粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものでもよいが、そのなかでも特に、アクリル系粘着剤を主とするのが好ましく、さらには、被着体材料に対しより高い粘着力を発揮し得るものが好ましい。
アクリル系粘着剤としては、粘着性を与える低Tgの主モノマー成分、接着性や凝集力を与える高Tgのコモノマー成分、架橋や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体よりなる。
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
コモノマー成分としてはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
このような材料が好ましい理由は、粘着力、凝集力に優れるとともに、ポリマー中に不飽和結合がないため光や酸素に対する安定性が高く、また、モノマーの種類や分子量の選択により用途に応じた任意の品質、特性を得ることができるからである。
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−ブタジエン系、再生ゴム系、ポリイソブチレン系のものや、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン等のゴムを含むブロック共重合体を主とするものが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、ジメチルシロキサン系、ジフェニルシロキサン系のものが挙げられる。
以上のような粘着剤は、非架橋型、架橋型のいずれのものも使用可能である。後者の場合、必要に応じ、架橋剤を添加することができる。架橋剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物等が挙げられる。
このような粘着剤は、有機溶剤系、エマルション系のいずれでもよい。
このような粘着剤層には、例えば、可塑剤、粘着付与剤、増粘剤、充填剤、老化防止剤、防腐剤、防カビ剤、染料、顔料等の各種添加剤が必要に応じ添加されていてもよい。
このような2層のマスキング層16のうち、特定波長吸収層11に貼着された側のマスキング層16の外側には、マーカー17が付されている。マーカー17は、図6に示す打ち抜き工程を行う際の正しい打ち抜き方向(所望の打ち抜き方向)を示すものである。具体的には、マーカー17は、図4に示す円形の打ち抜き予定部位100を、図6に示すリング状の刃部700により打ち抜く際、どちらの面側から光学シート母材1を打ち抜くかを示す。光学シート母材1を打ち抜いた際に、どちらの面側から打ち抜いたかを把握しておくことにより、特定波長吸収層11がどちらに位置しているかを把握することができ、その後の工程、すなわち、接合工程を円滑に行うことができる。
マーカー17は、偏光層13の偏光軸に沿って、すなわち、延伸方向に沿って形成された長尺状をなしている。これにより、マーカー17によって打ち抜く方向を知るのみならず、偏光層13の偏光軸の延在方向も知ることができる。また、偏光軸の延在方向を知っておくことにより、眼鏡レンズ30に特定波長吸収層11を接合する際、正しい向き(所望の向き)で光学シート10を眼鏡レンズ30に接合することができる。
マーカー17は、本実施形態では、1本の直線状をなしている。ただし、これに限定されず、マーカー17は、途中で湾曲または屈曲した部分を有していてもよく、全体が湾曲した形状であってもよい。また、マーカー17は、円形、星形、矩形の記号であってもよく、例えば、「表」、「裏」のような文字であってもよい。
また、マーカー17は、本実施形態では、特定波長吸収層11側のマスキング層16に設けられているが、本発明ではこれに限定されず、保護層15側のマスキング層16に設けられていてもよい。
マーカー17は、マスキング層16の基材に練りこまれた色材であってもよく、マスキング層16の粘着剤層に練りこまれた色材であってもよい。いずれの場合であっても偏光層13の一方の面側に位置することとなる。
また、本実施形態では、マーカー17は、着色部である。これにより、打ち抜き方向を一目で認識することができる。マーカー17の色は、如何なる色であってもよいが、マーカー17のD65光源10°での色相は、a*値が−4以上4以下であるのが好ましく、−7以上7以下であるのがより好ましい。マーカー17のD65光源10°での色相は、b*値が−4以上4以下であるのが好ましく、−7以上7以下であるのがより好ましい。マーカー17の色相を上記のような色相にすることにより、マーカー17を視認しやすくすることができる。
また、D65光源10°での色相がa*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、−10以下、または、10以上であるのが好ましく、−12以下、または、12以上であるのがより好ましい。これにより、マーカー17を視認しやすくすることができる。特に、光学シート母材1を、マスキング層16側から見た際、偏光層13を有しているため、光学シート母材1は、マーカー17以外の部分が比較的暗い色に見える。したがって、色相がa*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、−10以下、または、10以上であることにより、マーカー17の色が際立って見えるため、マーカー17を特に視認しやすくすることができる。
マーカー17の周辺の部分のD65光源10°での色相は、a*値が−15以上5以下であり、b*値が−5以上30以下である。したがって、マーカー17と、マーカー17の周囲の部分との、D65光源10°での色相差は、Δa*値が−10以上10以下であるのが好ましく、−15以上15以下であるのがより好ましい。また、色相差は、Δb*値が−10以上10以下であるのが好ましく、−15以上15以下であるのがより好ましい。
特に、マーカー17と、マーカー17の周囲の部分との、D65光源10°での色相差は、a*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、15以上であるのが好ましく、18以上であるのがより好ましい。これにより、マーカー17の色がより際立って見えるため、マーカー17をより確実に視認することができる。
このように、光学シート母材1は、その最表層に位置し、偏光層13を保護するマスキング層16を有し、マーカー17は、マスキング層16に設けられている。これにより、マスキング層16を保護層15から離脱させた際、マーカー17ごと離脱させることができる。すなわち、マスキング層16を離脱させる工程と、マーカー17を除去する工程とを一括して行うことができる。
また、マーカー17は、偏光層13の平面視において、複数の打ち抜き予定部位100と重なっている。これにより、打ち抜き予定部位100を打ち抜いた後、打ち抜かれた円形の光学シート母材1にマーカー17が残る。これにより、打ち抜き後も、打ち抜いた方向をより確実に把握することができる。
なお、図4では、マーカー17は、1本であるが、本発明ではこれに限定されず、複数本であってもよい。この場合、偏光層13の平面視において、各打ち抜き予定部位100がマーカー17と重なっているのが好ましい。
<光学シートの製造方法>
図5は、図3に示す光学シートを製造する光学シート製造装置を模式的に示した側面図である。図6は、図5に示す光学シート製造装置により製造された光学シート母材の所定部位(打ち抜き予定部位)を打ち抜ぬく刃部を示す断面図である。
図5に示す光学シート製造装置1000は、シート供給部200と、シート成形部300とを有している。
シート供給部200は、本実施形態では、押出機210と、押出機210の溶融樹脂吐出部に配管を介して接続されたTダイ220とで構成されている。このTダイ220により、溶融状態または軟化状態の帯状のシート1’がシート成形部300に供給される。
Tダイ220は、押出法で溶融状態または軟化状態のシート1’を帯状のシートとした状態で押し出す押出成形部である。Tダイ220には、前述した光学シート10を構成する各層の構成材料が溶融状態で、順次装填されることなり、この溶融状態の材料をTダイ220から押し出すことで、帯状をなすシート1’が連続的に送り出される。
シート成形部300は、タッチロール310と、冷却ロール320と、後段冷却ロール330とを有している。これらのロールは、それぞれ図示しないモータ(駆動手段)により、それぞれ単独回転するように構成されており、これらのロールの回転により、冷却され、連続的に送り出されるようになっている。このシート成形部300に、シート1’を連続的に送り込むことにより、シート1’の表面が平坦化されるとともに、シート1’が所望の厚さに設定されて冷却される。そして、押出機210(Tダイ220)に装填する、光学シート10を構成する各層の構成材料を適宜選択することにより、冷却されたシート1’として、特定波長吸収層11、偏光層13、保護層15およびマスキング層16の基材が得られ、その後、これらを、接着剤層12、14を介して接合し光学シート母材1を得ることができる。
以上のような光学シート製造装置1000を用いて、光学シート母材1が製造される。
光学シート製造装置1000を用いた光学シート母材1の製造方法は、押出工程と、成形工程と、冷却工程と、接合工程と、マーカー形成工程と、打ち抜き工程とを有している。
<1A>まず、帯状をなす溶融状態または軟化状態のシート1’を押し出す(押出工程)。
この押出工程では、押出機210に、光学シート10を構成する各層の構成材料が順次装填される。また、光学シート10を構成する各層の構成材料は、押出機210内において、溶融または軟化した状態となっている。
<2A>次に、シート1’の表面を平坦化するとともに、シート1’を所定の厚さに設定する(成形工程)。本工程は、タッチロール310と、冷却ロール320との間で行われる。
<3A>次に、シート1’の表面を冷却する(冷却工程)。本工程は、冷却ロール320と、後段冷却ロール330との間で行われる。
以上のような工程<1A>〜工程<3A>について、押出機210に装填する、光学シート10を構成する各層の構成材料を適宜選択して、繰り返して実施することで、特定波長吸収層11、偏光層13、保護層15およびマスキング層16の基材を、それぞれ得ることができる。
<4A>次に、接着剤層12を形成するための接着剤を特定波長吸収層11上に塗布し、この接着剤上に偏光層13を貼り合わせた状態で、接着剤を固化させて接着剤層12を形成する(接合工程)。
これにより、接着剤層12を介して特定波長吸収層11と偏光層13とが接合され、特定波長吸収層11と偏光層13とがこの順で積層された積層体を得ることができる。
<5A>次に、偏光層13の、接着剤層12と反対側の面上に接着剤層12を形成するための接着剤を塗布し、この接着剤上に保護層15を貼り合わせた状態で、接着剤を固化させて接着剤層14を形成する(接合工程)。
<6A>次に、マスキング層16の基材の一方の面上に粘着剤層を形成し、粘着剤層が保護層15に接触するように、マスキング層16を保護層15に貼り合わせる(接合工程)。
<7A>次に、マスキング層16の表面、すなわち、保護層15と反対側の面にマーカー17を形成する(図4参照)(マーカー形成工程)。マーカー17の形成方法としては、例えば、マジック、ペン等を用いて着色部を形成する方法、印刷により着色部を形成する方法が挙げられる。
<8A>次に、図6に示すように、リング状の刃部700を用いて、打ち抜き予定部位100を打ち抜く(打ち抜き工程)。具体的には、刃部700を、光学シート母材1の上面側、すなわち、マーカー17が設けられたマスキング層16側から、光学シート母材1の厚さ方向に貫通するように移動させる。これにより、円形の光学シート母材1が得られる。
この際、マーカー17が形成されていることにより、正しい、すなわち、所望の打ち抜き方向を特定することができる。そして、打ち抜き方向を正確に特定した状態で打ち抜くことにより、打ち抜いた後、複数の円形の光学シート母材1を同じ向きで重ねて保管したり、同じ向きで並べておくことができる。よって、後述する眼鏡レンズの製造方法において、正確な接合を実現することができる。
なお、打ち抜く際、接着剤層12、14が、クッション材となり、すなわち、刃部700が特定波長吸収層11、偏光層13および保護層15を切断する際、接着剤層12、14がその衝撃を緩和する。これにより、特定波長吸収層11、偏光層13および保護層15に切断時にクラック等が発生すうのを防止または抑制することができる。
以上の工程を経ることで、光学シート10が得られる。次いで、この光学シート10が設けられた眼鏡レンズ30を製造する眼鏡レンズの製造方法について説明する。
<光学シートが設けられた眼鏡レンズの製造方法>
まず、光学シートが設けられた眼鏡レンズの製造方法の説明に先立って、眼鏡レンズ製造装置について説明する。
図7は、光学シートが設けられた眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズ製造装置を模式的に示した断面図である。
図7に示す眼鏡レンズ製造装置400は、樹脂供給部500と、金型600とを有している。樹脂供給部500には、前述した眼鏡レンズ30の構成材料(レンズ材料)が充填されている。金型600は、キャビティー610と、キャビティー610の内外を連通する供給口620と、を有する。また、金型600は、上部材630と下部材640とで構成され、これらを組立てた組立状態において、眼鏡レンズ製造装置400を画成する金型600が構成される。
以上のような眼鏡レンズ製造装置400を用いた、光学シートが設けられた眼鏡レンズの製造方法により、光学シート10が設けられた眼鏡レンズ30が製造される。
光学シート10が設けられた眼鏡レンズの製造方法は、光学シート配置工程と、レンズ材料供給工程とを有している。
まず、円形の光学シート母材1において、マスキング層16を剥がす、すなわち、離脱させて、円形の光学シート10を得る。この際、前述したように、打ち抜き方向を正確に特定した状態で打ち抜き、その後、複数の円形の光学シート母材1を同じ向きで重ねて保管したり、同じ向きで並べておくことにより、マスキング層16がどちら側の面に配置されているかを容易に特定することができる。また、マスキング層16にマーカー17が付されていた場合、マスキング層16がどちら側の面に配置されているかをさらに容易かつ確実に特定することができる。
<1B>次に、上部材630と下部材640とを分解した状態において、下部材640の底面641に、前記光学シートの製造方法で製造した円形の光学シート10を、保護層15が底面641側となるように配置する(光学シート配置工程)。なお、底面641は、湾曲凹面となっており、これにより、眼鏡レンズ30に湾曲面を形成することができる。また、光学シート10は、可撓性を有しているため、底面641の形状に倣って配置される。この工程においても、マスキング層16がどちら側の面に配置されていたかを把握しておくことにより、正確な向きで光学シート10を配置することができる。
<2B>次に、上部材630と下部材640とを組立状態とし、供給口620を介して、溶融または軟化した状態のレンズ材料を流し込む(レンズ材料供給工程)。そして、溶融または軟化した状態のレンズ材料を冷却することにより、光学シート10と眼鏡レンズ30とが積層された積層体、すなわち、光学シート10が貼着された眼鏡レンズ30を得ることができる。
なお、前記では、いわゆるシートインサート法を一例に挙げて説明したが、光学シート10が設けられた眼鏡レンズ30は、これに限定されず、例えば、成形された眼鏡レンズ30に接着剤層を介して光学シート10が積層された構成であってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述したものに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の光学シート母材を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、本発明の光学シート母材は、前述した構成に加え、任意の構成物が付加されていてもよい。
より具体的には、例えば、本発明の光学シート母材は、中間層や、レンズとしての度数を調整する度数調整層等を備えていてもよい。
また、本発明の光学シート母材は、前記実施形態で説明した眼鏡レンズに貼着する場合に限らず、例えば、サンバイザーが備えるつば部や、自動車、オートバイ、鉄道等のような車両、航空機、船舶および住宅等が有する湾曲形状をなす窓部材に貼着して設けられている光学部品に用いることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
1.光学シート母材の検討
1−1.光学シート母材の作成
[実施例1]
[1]まず、100質量部のビスフェノールA型ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、「ユーピロン E2000FN」)と、0.003質量部の光吸収剤(山田化学工業社製、「FDB-007」)と、0.005質量部の光吸収剤(山田化学工業社製、「FDR−002」)と、0.002質量部の光吸収剤(山田化学工業社製「FDG−006」)と、0.350質量部の紫外線吸収剤(アデカ社製、「アデカスタブLA−31G」)を撹拌・混合することにより、特定波長吸収層形成材料を用意し、特定波長吸収層形成材料を図5に示す光学シート製造装置1000の押出機210に収納、溶融し、Tダイ220より押出し成形を行い、特定波長吸収層を得た。得られた特定波長吸収層の厚さは、0.25mmであった。
[2]また、保護層形成材料として、100質量部のビスフェノールA型ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、「ユーピロン E2000FN」)を用意し、保護層形成材料を図5に示す光学シート製造装置1000の押出機210に収納、溶融し、Tダイ220より押出し成形を行い、保護層を得た。得られた保護層の厚さは、0.325mmであった。
[3]また、ポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製「クラレビニロン#7500」)を水槽中で延伸しながら、染料を溶解した水溶液にて染色した後にホウ酸溶液中に浸漬処理し、さらに水洗、乾燥処理を行うことで偏光層を得た。なお、染料を溶解する際、乾燥後に表1に示すような配合量となるように、表1に示す種類の染料を溶解した。また、得られた偏光層の厚さは、0.02mmであった。
[4]次いで、得られた特定波長吸収層、保護層および偏光層を、接着剤(三井化学社製「タケライト LA−2355」)を介して図2に示す順番で接合した。
[5]次いで、マスキング層の粘着剤層を形成するにあたり、α−オレフィン/ポリエチレン共重合体エラストマーと融点が158℃のホモポリプロピレン(ノーブレンFS2011DG2)とを、α−オレフィン/ポリエチレン共重合体エラストマーの含有量が50wt%となるように混練することで粘着層形成材料を調製した。
次に、調製した粘着層形成材料と、中間層形成材料として融点が119℃の直鎖状低密度ポリエチレンと、最外層形成材料として融点が158℃のホモポリプロピレン(ノバッテックEA9)とを、それぞれ、図示しない3つの押し出し機に収納した。
次に、3つの押し出し機から、これらの形成材料を溶融状態として、押し出した。これにより、共押し出しTダイから、これらの形成材料が層状に積層された溶融状態の積層体が得られた。その後、この積層体を冷却することで、マスキング層を得た。なお、上記と同様にして、もう1つのマスキング層を形成し、合計で2つのマスキング層を得た。
そして、各マスキング層を、保護層の外側の面、および、特定波長吸収層の外側の面に、荷重0.5kg/cmの条件でロールを用いて圧着した。なお、マスキング層の厚さは、それぞれ、0.325mmであった。
[5]次いで、マスキング層の保護層と反対側の面上に、マジックペン(寺西化学社製「マジックインキ 赤色」)を用いて、図4に示すようなマーカーを形成した。
なお、日本分光社製分光光度計V−660を用いて、マスキング層側からマーカーの、JIS Z 8781−4で規定されるL*a*b*表色系を測定した。その結果、L*の値が34.8であり、a*の値が27.1であり、b*の値が15.7であった。また、同様にして、マーカーの周辺部分のL*a*b*表色系を測定した。その結果、L*の値が51.8であり、a*の値が−9であり、b*の値が22.6であった。
[実施例2〜4]
光学シート母材の構成を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして実施例3の光学性積層体を得た。
[比較例1、2]
光学シート母材の構成を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして比較例1の光学性積層体を得た。
なお、表1中、a1が、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、「ユーピロン E2000FN」)を示し、a2が、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、「H3000」)を示し、a3が、ポリカーボネート(住化ポリカーボネート株式会社製「200−3NAT」)を示している。
また、表1中、b1が、光吸収剤(山田化学工業株式会社製、「FDB−007」)を示し、b2が、光吸収剤(山田化学工業株式会社製、「FDG−006」)を示し、b3が、光吸収剤(山田化学工業株式会社製、「FDR−002」)を示している。
また、表1中、cが、紫外線吸収剤(株式会社アデカ製、「アデカスタブLA−31G」)を示している。
1−2.評価
各実施例および各比較例の光学シートを母材、以下の方法で評価した。
(光学特性測定試験 マーカー部・非マーカー部色相差試験)
サンプルのマーカー部と非マーカー部の色調を測定して、以下のようにして評価を行った。
A:マーカー部と非マーカー部の色相差Δa*またはΔb*が−15以下または15以上。
B:マーカー部と非マーカー部の色相差Δa*またはΔb*が−10以下または10以上。
C:マーカー部と非マーカー部の色相差Δa*またはΔb*が−5以下または5以上。
D:マーカー部と非マーカー部の色相差Δa*とΔb*とが共に−5超5未満である。
(表裏判別目視試験)
表裏の判別のしやすさを人間の目視で評価するために、以下のようにして評価を行った。
A:10人中9人以上が、表裏を識別しやすいと評価した。
B:10人中6人〜8人が、表裏を識別しやすいと評価した。
C:10人中3人〜5人が、表裏を識別しやすいと評価した。
D:10人中2人以下が、表裏を識別しやすいと評価した。
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の光学シート母材における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2021149004
表1に示したように、各実施例における光学シート母材では、比較例以上に意匠性に優れ、比較例に対して満足のいく結果となった。
1 光学シート母材
1’ シート
10 光学シート
11 特定波長吸収層
12 接着剤層
13 偏光層
14 接着剤層
15 保護層
16 マスキング層
17 マーカー
20 フレーム
21 リム部
22 ブリッジ部
23 テンプル部
24 ノーズパッド部
30 眼鏡レンズ
100 打ち抜き予定部位
100A サングラス
200 シート供給部
210 押出機
220 Tダイ
300 シート成形部
310 タッチロール
320 冷却ロール
330 後段冷却ロール
400 眼鏡レンズ製造装置
500 樹脂供給部
600 金型
610 キャビティー
620 供給口
630 上部材
640 下部材
641 底面
700 刃部
1000 光学シート製造装置

Claims (7)

  1. 入射光を偏光する偏光層を備え、一方の面側から厚さ方向に打ち抜いて用いられる光学シート母材であって、
    前記偏光層の少なくとも一方の面側に設けられ、打ち抜く際の打ち抜き方向を示すマーカーを有することを特徴とする光学シート母材。
  2. 前記マーカーは、前記偏光層の偏光軸に沿って形成された長尺状をなしている請求項1に記載の光学シート母材。
  3. 前記マーカーは、前記偏光層の平面視において、複数の打ち抜き予定部位と重なっている請求項1または2に記載の光学シート母材。
  4. 前記マーカーは、着色部である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学シート母材。
  5. 前記着色部の、D65光源10°での色相は、a*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、−10以下、または、10以上である請求項4に記載の光学シート母材。
  6. 前記着色部と、前記着色部の周囲の部分との、D65光源10°での色相差は、a*値およびb*値のうちの少なくとも一方が、15以上である請求項4または5に記載の光学シート母材。
  7. 当該光学シート母材の最表層に位置し、前記偏光層を保護するマスキング層を有し、
    前記マーカーは、前記マスキング層に設けられている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学シート母材。
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