JP2021143729A - シール用弾性ブーツおよびこれを備えるシールアセンブリ - Google Patents

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武美 此本
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Abstract

【課題】ブーツバンドを容易にかつ精度良く締め付け可能とするシール用弾性ブーツを提供する。【解決手段】弾性材料で筒状に形成され、軸方向の端部に外側継手部材3に対する固定部としての大径筒部21が設けられたブーツ10であって、大径筒部21の外周面に、大径筒部21に縮径方向の締め付け力を付与するブーツバンド30が装着される環状溝24が設けられたものにおいて、環状溝24の画成面のうち、ブーツバンド30の装着予定面Bに開口し、内部に潤滑油Fを保持可能な窪み部26が、装着予定面Bの全周にわたって間欠的に複数個設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、樹脂やゴム等の弾性材料で筒状に形成され、取付対象に固定されることでシール機能を発揮するシール用弾性ブーツ、およびこれを備えるシールアセンブリに関する。
車台上に搭載したエンジンや電動モータなどを駆動源とした自動車には、駆動源の出力を車輪に伝達するためにドライブシャフトやプロペラシャフトなどの動力伝達装置が搭載される。このうち、ドライブシャフトは、車輪側に配置されて角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、駆動源側に配置されて角度変位および軸方向変位を許容する摺動式等速自在継手と、上記2つの等速自在継手の内側継手部材同士をトルク伝達可能に連結する軸部材(中間シャフト)とを備える。
ドライブシャフトにおいて、中間シャフトと固定式等速自在継手の外側継手部材との間、および中間シャフトと摺動式等速自在継手の外側継手部材との間には、ゴムや樹脂等の弾性材料で筒状に形成されたブーツ(シール用弾性ブーツ)がそれぞれ設けられる。このブーツは、その軸方向一方側および他方側の端部にそれぞれ設けられた円筒状の固定部(の内周面)が、取付対象に対して密着状態で固定される。これにより、継手内部に充填されたグリース等の潤滑剤の外部漏洩や継手内部への異物侵入が防止される。
例えば下記の特許文献1に記載されているように、ブーツの固定部は、ブーツバンドと称される金属製の締結部材を用いて取付対象に対して締め付け固定されるのが一般的である。ブーツバンドには、レバー(把手)および環状部を有し、レバーを折り返して環状部を縮径させることで締め付け力が発生するレバー式(特許文献1の図8)、帯板状をなし、長手方向の一端に設けられた係合爪を長手方向の他端に設けられた係合孔に係合することにより締め付け力が発生する係合式(特許文献1の図9)、環状部の周方向の一部に設けられた耳部を加締めて環状部を縮径させることにより締め付け力が発生する加締め式(特許文献1の図10)、などがある。
いかなるタイプのブーツバンドを使用するかは、ブーツの材質や締め付け力の大きさなどに応じて決定付けられるが、特許文献1のブーツにおいては、固定部の外周面に設けられた環状溝の溝底面(ブーツバンドの装着予定面)に環状凸部が設けられると共に、固定部の内周面のうち、上記環状凸部に対応した位置に環状リップが設けられる。このような構成によれば、バンドの締め付け力が環状凸部から環状リップに伝達され易くなるので、取付対象に対する環状リップの接触力、ひいてはブーツの固定部の密着性を高めることができる。そのため、使用するブーツバンドの選択自由度を高めることが可能になる、と考えられる。
特開2011−27212号公報
上記のように、ブーツバンドの装着予定面に環状凸部を設けておけば、ブーツとブーツバンドの間の抵抗を低減する効果がある、とされており(特許文献1の段落0017参照)、この場合には、ブーツバンドの締め付け作業を容易にかつ精度良く実行することが可能になると考えられる。しかしながら、本発明者が検証したところ、上記の技術手段を採用してもブーツとブーツバンドの間の抵抗(摩擦力)を十分に低減することができず、バンド締め付け作業の作業性を十分に向上できるとは言えなかった。
係る実情に鑑み、本発明の目的は、ブーツバンドの締め付け時にブーツバンドとの間で生じる摩擦力を効果的に低減可能なシール用弾性ブーツを提供し、もってブーツバンドの締め付け作業(取付対象に対するブーツの固定作業)を、容易にかつ精度良く実行可能とすることにある。
上記の目的を達成するため、本発明者は、まず、バンド装着用の環状溝とブーツバンドの対向二面間に潤滑油等の液状潤滑剤を介在させた状態でブーツバンドを締め付けることにより、バンド締め付け時にブーツとブーツバンドの間で生じる抵抗(摩擦力)を低減することを試みた。この場合、液状潤滑剤を介在させない場合と比べると上記摩擦力を低減することができるので、ブーツバンドを容易にかつ精度良く締め付けることが可能となる。但し、重力の影響等により、液状潤滑剤が環状溝の一部領域に偏在し易く、摩擦力の低減効果を十分に享受できていないと考えられた。そこで、液状潤滑剤を環状溝の周方向全域に介在させることを可能とするための技術手段を着想し、本発明を創案するに至った。
すなわち、上記の目的を達成するために創案された本発明は、弾性材料で筒状に形成され、軸方向の端部に、取付対象に固定される固定部が設けられたシール用弾性ブーツであって、固定部の外周面に、固定部に縮径方向の締め付け力を付与するブーツバンドが装着される環状溝が設けられたものにおいて、環状溝の画成面のうちブーツバンドの装着予定面に開口し、内部に液状潤滑剤を保持可能な窪み部が、上記装着予定面の全周にわたって間欠的に複数個設けられていることを特徴とする。なお、本発明でいう「取付対象」としては、例えば、等速自在継手の外側継手部材や、等速自在継手の内側継手部材と一体回転可能に設けられる軸(中間シャフト)を挙げることができる。また、「ブーツバンドの装着予定面」とは、環状溝に装着させたブーツバンドの内周面と対向する面であり、環状溝の溝底面に上記装着予定面が設けられる。
上記の構成を有するブーツによれば、ブーツバンドの装着予定面に開口した複数の窪み部のそれぞれに液状潤滑剤を保持させた状態でブーツバンドの締め付け作業を実行することができる。この場合、ブーツバンドの締め付けに伴ってブーツの固定部が縮径すると、窪み部の容積が縮小して窪み部に保持された液状潤滑剤が窪み部の外側に排出され、ブーツとブーツバンドの対向二面間(環状溝の溝底面とこれに対向するブーツバンドの内周面との間)に供給される。そのため、環状溝の溝底面(ブーツバンドの装着予定面)の面積等に応じて、窪み部の大きさ(容積)や配置態様を調整すれば、ブーツとブーツバンドの対向二面間の周方向全域に液状潤滑剤を介在させた状態でブーツバンドの締め付け作業を実施することが可能となる。これにより、ブーツバンドの締め付け時にブーツバンドとブーツの間で生じる摩擦力を大幅に低減することができるので、ブーツバンドの締め付け作業を容易にかつ精度良く実行することができる。
上記構成において、各窪み部は、その開口部全体がブーツバンドの装着予定面の軸方向幅の内側に位置するように設けることができる。このようにすれば、ブーツバンドの締め付けに伴って窪み部の外側に排出された液状潤滑剤(の全体)をブーツとブーツバンドの対向二面間に供給することができるので、ブーツバンドの締め付けに伴って生じる摩擦力を低減する上で有利となる。
上記のとおり、本発明に係るブーツは、ブーツバンドの締め付け作業を容易にかつ精度良く実行することを可能にするものであるから、取付対象に対する固定面となる固定部の内周面の形状を簡素化しても高いシール性を確保することができる。そのため、固定部の内周面のうち、上記窪み部に対応した位置には、特許文献1のような環状リップを設ける必要がなくなる。つまり、固定部の内周面には、軸方向一方側の端部が各窪み部の開口部の軸方向一方側の端部よりも軸方向外側に位置すると共に、軸方向他方側の端部が各窪み部の軸方向他方側の端部よりも軸方向外側に位置する径一定の円筒面(意図的に設けた凹凸がない平滑な円筒面)を設けることができる。
本発明に係るブーツを構成する弾性材料としては、ゴム材料、あるいは熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料を採用することができる。すなわち、本発明は、いわゆるゴムブーツ、あるいは樹脂ブーツの何れにも適用することができる。また、本発明は、例えば、等速自在継手用のブーツや、ボールねじを備えた電動アクチュエータ用のブーツなどに適用することができる。
本発明に係るブーツは、ブーツバンドの締め付け作業を容易にかつ精度良く実行することを可能にすることから、本発明に係るブーツと、このブーツの軸方向の端部に設けられた固定部に縮径方向の締め付け力を付与するブーツバンドと、ブーツとブーツバンドの対向二面間に介在する液状潤滑剤と、を備えるシールアセンブリは、高いシール性を安定的に発揮することを可能とする。
以上で説明したように、本発明に係るシール用弾性ブーツによれば、ブーツバンドの締め付け時にブーツとブーツバンドの間で生じる摩擦力を効果的に低減することが可能となる。これにより、ブーツバンドの締め付け作業を、容易にかつ精度良く実行することが可能となり、高いシール性が確保された信頼性に富むブーツ付製品を低コストに製造することが可能となる。
本発明の実施形態に係るシール用弾性ブーツを備えたドライブシャフトの全体構造を示す図である。 レバー式ブーツバンドの正面図(平面図)である。 図1のX−X線矢視拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係るシール用弾性ブーツの側面図であり、図1の紙面右側に配置されたブーツの側面図である。 (a)図は、図4のX1−X1線矢視断面図、(b)図は、図4のX2−X2線矢視断面図である。 本発明の他の実施形態に係るシール用弾性ブーツの側面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、自動車に組み込んで使用される動力伝達装置の一種であるドライブシャフト1の一例を示す。このドライブシャフト1は、車台上に搭載されたエンジンや電動モータ等の駆動源から出力される回転動力(トルク)を車輪に伝達するものであり、駆動源側(インボード側。図1においては紙面右側。)に配置される摺動式等速自在継手3と、車輪側(アウトボード側。図1においては紙面左側。)に配置される固定式等速自在継手11と、両等速自在継手3,11をトルク伝達可能に連結する中間シャフト2とを備える。
摺動式等速自在継手3はいわゆるトリポード型であり、カップ部5および軸部6を有する外側継手部材4と、カップ部5の内周に収容された内側継手部材としてのトリポード部材8と、トルク伝達部材としてのローラ7とを備える。トリポード部材8には径方向に延びる脚軸9が周方向等間隔で3本設けられており、各脚軸9の外周にローラ7が1個ずつ回転自在に嵌合されている。この摺動式等速自在継手3には、ダブルオフセット型等、公知のその他の摺動式等速自在継手が用いられる場合もある。
固定式等速自在継手11はいわゆるバーフィールド型であり、カップ部13および軸部14を有する外側継手部材12と、カップ部13の内周に収容された内側継手部材15と、カップ部13と内側継手部材15の間に複数個配置されたボール16と、カップ部13の内径面と内側継手部材15の外径面の間に配置され、ボール16を保持した保持器17とを備える。この固定式等速自在継手11には、アンダーカットフリー型等、公知のその他の形式の固定式等速自在継手が用いられる場合もある。
摺動式等速自在継手3において、外側継手部材4のカップ部5と中間シャフト2の間にはシールアセンブリA1が設けられている。シールアセンブリA1は、本発明の実施形態に係るシール用弾性ブーツとしてのブーツ10と、ブーツバンド30と、ブーツ10とブーツバンド30の対向二面間に介在する液状潤滑剤としての潤滑油F(図3参照)とを備える。
ブーツ10は、ニトリルゴム、クロロプレンゴムあるいはシリコーンゴム等を主成分とするゴム材料を用いて筒状に型成形(加硫成形)された、いわゆるゴムブーツであり、JIS K 6253に規定のスプリング式A型硬度計で測定した表面硬さがHs50〜Hs70の範囲内にあるものが好ましく使用される。このブーツ10は、軸方向一方側(インボード側)および他方側(アウトボード側)の端部にそれぞれ設けられ、取付対象に固定される固定部としての大径筒部21および小径筒部22と、両筒部21,22を接続した蛇腹部23とを一体に有する。蛇腹部23は、軸方向に交互に配置された山部と谷部を有し、外側継手部材4とトリポード部材8(に連結された中間シャフト2)が相対変位するのに伴って弾性的に伸縮および屈曲変形する。
ブーツ10の大径筒部21の外周面には環状溝24が形成されており、この環状溝24にブーツバンド30が装着されている。環状溝24に装着されたブーツバンド30は、大径筒部21に縮径方向の締め付け力を付与しており、この締め付け力によって大径筒部21(の内周面)が外側継手部材4のカップ部5に対して密着状態で固定されている。また、ブーツ10の小径筒部22の外周面にも環状溝24が形成されており、小径筒部22の内周面は、環状溝24に装着されたブーツバンド30から付与される縮径方向の締め付け力により中間シャフト2に対して密着状態で固定されている。これにより、外側継手部材4のカップ部5の内部空間に充填されたグリース等の潤滑剤(図示省略)の外部漏洩や、カップ部5の内部空間への異物侵入を防止することができる。
ブーツバンド30には、公知の各種のブーツバンドを使用することができるが、ここでは図2に示すような、レバー式バンドを使用している。図2に示すブーツバンド30は、金属帯板の長手方向の一端を長手方向の他端に固定することで形成された環状部31と、環状部31の周方向の一端部に固定されたレバー32と、環状部31に固定されたバックル33とを備える。係る構成を有するブーツバンド30を用いる場合、ブーツ10の大径筒部21は、以下のようにして外側継手部材4に対して固定される。
まず、環状部31の内周に固定すべき二部材(ブーツ10および外側継手部材4)を重ね合わせた状態で配置した後、レバー32をその基端32aを支点として環状部31が縮径変形する方向(図2中の白抜き矢印参照)に折り返す。これにより、環状部31の内周に配置されたブーツ10の大径筒部21に対し、大径筒部21が縮径変形する方向の締め付け力が付与される。そして、レバー32の折り返しが完了すると、ブーツ10の大径筒部21の内周面が外側継手部材4のカップ部5の外周面に対して密着状態で固定される。レバー32の折り返し後には、環状部31に固定されたバックル33でレバー32を拘束し、レバー32の戻り移動(環状部31の拡径変形)を規制する。
詳細な説明は省略するが、ブーツ10の小径筒部22は、大径筒部21と同様にして中間シャフト2に対して固定される。
固定式等速自在継手11において、外側継手部材12のカップ部13と中間シャフト2の間にはシールアセンブリA2が設けられている。シールアセンブリA2は、シール用弾性ブーツとしてのブーツ18と、ブーツバンド40と、ブーツ18とブーツバンド40の対向二面間に介在する液状潤滑剤(例えば、図3に示す潤滑油F)とを備える。
ブーツ18は、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料を用いて筒状に型成形された、いわゆる樹脂ブーツであり、JIS K 6253に規定のタイプDデュロメータで測定した表面硬さ(ショア硬さ)がHDD38〜HDD50の範囲内にあるものが好ましく使用される。このブーツ18は、上記のブーツ10と同様に、大径筒部21および小径筒部22と、両筒部21,22を接続し、外側継手部材12と内側継手部材15(中間シャフト2)が相対変位するのに伴って弾性的に伸縮および屈曲変形する蛇腹部23とを一体に有する。
ブーツ18の大径筒部21の外周面には環状溝24が形成されており、この環状溝24にブーツバンド40が装着されている。環状溝24に装着されたブーツバンド40は、大径筒部21に縮径方向の締め付け力を付与しており、この締め付け力によって大径筒部21(の内周面)が外側継手部材12のカップ部13に対して密着状態で固定されている。また、ブーツ18の小径筒部22の外周面にも環状溝24が形成されており、この小径筒部22(の内周面)は、環状溝24に装着されたブーツバンド40から付与される縮径方向の締め付け力により中間シャフト2に対して密着状態で固定されている。これにより、外側継手部材12のカップ部13の内部空間に充填されたグリース等の潤滑剤(図示省略)の外部漏洩や、カップ部13の内部空間への異物侵入を防止することができる。
ブーツバンド40としては、図2を参照して説明したレバー式バンドを使用することもできるが、ここでは、環状部の周方向の一部に設けられた耳部を加締めて環状部を縮径させることにより締め付け力が発生する、いわゆる加締め式バンドを使用している(図示省略)。
以下、本発明の実施形態に係るシール用弾性ブーツ(摺動式等速自在継手3に設けているブーツ10および固定式等速自在継手11に設けているブーツ18)で採用している特徴的構成を詳細に説明する。なお、ブーツ10で採用している特徴的構成と、ブーツ18で採用している特徴的構成とは実質的に同一であるので、説明の簡略化の観点から、以下では、ブーツ10を代表例にとって本発明の特徴的構成を詳細に説明する。
ブーツ10が比較的摩擦係数の大きいゴム材料で形成されたゴムブーツである関係上、ブーツ10の大径筒部21をブーツバンド30で締め付ける際には、ブーツバンド30の環状部31とブーツ10の大径筒部21との間で比較的大きな摩擦力が生じる。そのため、ブーツ10の大径筒部21を、その取付対象としての外側継手部材4に対して精度良く固定するのが難しい、という問題があった。そこで、図3に示すように、ブーツ10の大径筒部21の外周面に設けた環状溝24の溝底面25と、これに対向するブーツバンド30の環状部31の内周面31aとの間に流体潤滑剤としての潤滑油Fを介在させることにより、ブーツバンド30の締め付け時にブーツ10とブーツバンド30の間で生じる摩擦力の低減を図っている。
ここでは、図4および図5(a)に示すように、大径筒部21の外周面に形成した環状溝24を画成する面のうち、円筒面状をなしたブーツバンド30の装着予定面B(溝底面25)に開口した窪み部26を装着予定面Bの全周にわたって間欠的に複数個設け、環状溝24の溝底面25に潤滑油Fを塗布してから、上述のバンド締め付け作業を行っている。但し、溝底面25にあまりに多くの潤滑油Fを塗布すると、ブーツバンド30の締め付け作業性が却って低下する懸念がある。そのため、潤滑油Fは、各窪み部26の内部に潤滑油Fが充填される程度に環状溝24の溝底面25に塗布するのが好ましい。
そして、各窪み部26の内部に潤滑油Fが充填(保持)された状態でブーツバンド30を締め付け、この締め付けに伴ってブーツ10の大径筒部21が縮径すると、窪み部26の容積が縮小して窪み部26に保持された潤滑油Fが窪み部26の外側に排出され、互いに対向する大径筒部21の環状溝24の溝底面25とブーツバンド30の環状部31の内周面31aの間に供給される。そのため、環状溝24の溝底面25(ブーツバンド30の装着予定面B)の面積等に応じて、窪み部26の大きさ(容積)や配置態様を調整すれば、互いに対向する環状溝24の溝底面25とブーツバンド30と内周面31aの間の周方向全域に潤滑油Fを介在させた状態でブーツバンド30の締め付け作業を実施することができる。
また、本実施形態では、図4および図5(a)に示すように、各窪み部26を、その開口部全体がブーツバンド30の装着予定面Bの軸方向幅の内側に位置するように設けている。すなわち、各窪み部26は、開口部の軸方向一方側(インボード側)の端部26aが、装着予定面Bの軸方向一方側の端部Baよりも軸方向他方側(アウトボード側)に位置すると共に、開口部の軸方向他方側の端部26bが、装着予定面Bの軸方向他方側の端部Bbよりも軸方向一方側に位置するように設けている。このようにすれば、ブーツバンド30の締め付けに伴って窪み部26の外側に排出された潤滑油F(の全量)をブーツ10の大径筒部21とブーツバンド30の対向二面間に供給することができる。そのため、ブーツバンド30の締め付けに伴って生じる摩擦力を低減する上で有利となる。
以上のことから、本発明の実施形態に係るブーツ10を用いれば、ブーツバンド30の締め付け時にブーツバンド30とブーツ10の大径筒部21の間で生じる摩擦力を大幅に低減することができる。そのため、ブーツバンド30の締め付け作業、すなわち外側継手部材4に対するブーツ10の大径筒部21の固定作業を容易にかつ精度良く実行することができる。
また、図4および図5(b)に示すように、ブーツ10の小径筒部22の外周面に形成した環状溝24を画成する面のうち、ブーツバンド30の装着予定面B(溝底面25)にも装着予定面Bに開口した窪み部26が装着予定面Bの全周にわたって間欠的に複数個設けられている。そして、小径筒部22に対するブーツバンド30の締め付け作業は、上記同様に、環状溝24の溝底面25に潤滑油Fを塗布してから行っている。そのため、上記同様に、中間シャフト2に対するブーツ10の小径筒部22の固定作業を容易にかつ精度良く実行することができる。
上記のとおり、本発明の実施形態に係るブーツ10は、ブーツバンド30の締め付け作業を容易にかつ精度良く実行することを可能にすることから、取付対象に対する固定面となる大径筒部21(および小径筒部22)の内周面の形状を簡素化しても高いシール性を確保することができる。そのため、本実施形態では、図5(a)(b)に示すように、大径筒部21および小径筒部22の内周面に凹凸のない径一定の円筒面27を設け、この円筒面27の軸方向幅の内側に各窪み部26の開口部全体が位置するように窪み部26を形成している。つまり、大径筒部21および小径筒部22の内周面には、軸方向一方側(インボード側)の端部27aが各窪み部26の軸方向一方側の端部26aよりも軸方向外側(軸方向一方側)に位置すると共に、軸方向他方側(アウトボード側)の端部27bが各窪み部26の開口部の軸方向他方側の端部26bよりも軸方向外側(軸方向他方側)に位置する径一定の円筒面27を設けられている。
以上、本発明の実施形態に係るブーツ10(18)、およびこのブーツ10(18)を備えたシールアセンブリA1(A2)について説明したが、本発明の実施の形態はこれに限定されない。
例えば、窪み部26は、図6に示すように環状溝24の溝底面25(ブーツバンドの装着予定面B)の全周にわたって千鳥状に配置することもできる。このようにすれば、図4に示す態様で複数の窪み部26を配置する場合に比べ、ブーツバンドの締め付け時にブーツバンドとブーツの対向二面間に潤滑油Fを満遍なく行き渡らせ易くなる。
また、以上で説明した実施形態では、複数の窪み部26を規則的に配置(一定間隔で配置)しているが、ランダムに配置しても良い。また、各窪み部26の形状(輪郭形状)は、図4および図6に示したような円形(楕円形)に限られることなく、矩形状、多角形状、不規則形状等であっても良い。また、窪み部26は、ブーツ10(18)を成形するのと同時に型成形することができる他、例えばブーツ10(18)を成形した後、溝底面25にショットブラスト等の粗面化処理を施すことで形成することもできる。要するに、ブーツバンド30(40)の締め付け時に、ブーツバンド30(40)とブーツ10(18)の対向二面間の周方向全域にわたって潤滑油Fを行き渡らせることができれば、窪み部26の形状や配置態様は任意に設定することができる。
また、以上で説明した実施形態では、窪み部26で保持させる(ブーツとブーツバンドの対向二面間に介在させる)液状潤滑剤として潤滑油Fを採用したが、液状潤滑剤としては、潤滑機能を有するその他の液体、例えば、潤滑性を有する物質を適当な溶媒に分散・溶解させたもの、を採用しても構わない。
また、以上では、ドライブシャフト1を構成する等速自在継手用のブーツ10,18に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、プロペラシャフトを構成する等速自在継手用のブーツや、ボールねじを備えた電動アクチュエータ用のブーツに適用することも可能である。
本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 ドライブシャフト
2 中間シャフト
3 摺動式等速自在継手
4 外側継手部材
5 カップ部
10 ブーツ(ゴムブーツ)
11 固定式等速自在継手
12 外側継手部材
13 カップ部
18 ブーツ(樹脂ブーツ)
21 大径筒部
22 小径筒部
24 環状溝
25 溝底面
26 窪み部
26a (軸方向一方側の)端部
26b (軸方向他方側の)端部
27 円筒面
27a (軸方向一方側の)端部
27b (軸方向他方側の)端部
30 ブーツバンド
40 ブーツバンド
A1 シールアセンブリ
A2 シールアセンブリ
B 装着予定面

Claims (5)

  1. 弾性材料で筒状に形成され、軸方向の端部に設けられた固定部の内周面が取付対象に固定されるシール用弾性ブーツであって、前記固定部の外周面に、前記固定部に縮径方向の締め付け力を付与するブーツバンドが装着される環状溝が設けられたものにおいて、
    前記環状溝の画成面のうち前記ブーツバンドの装着予定面に開口し、内部に液状潤滑剤を保持可能な窪み部が、前記装着予定面の全周にわたって間欠的に複数個設けられていることを特徴とするシール用弾性ブーツ。
  2. 各窪み部は、その開口部全体が前記装着予定面の軸方向幅の内側に位置するように設けられている請求項1に記載のシール用弾性ブーツ。
  3. 前記固定部の内周面に、軸方向一方側の端部が各窪み部の開口部の軸方向一方側の端部よりも軸方向外側に位置すると共に、軸方向他方側の端部が各窪み部の開口部の軸方向他方側の端部よりも軸方向外側に位置する径一定の円筒面が設けられている請求項1又は2に記載のシール用弾性ブーツ。
  4. 前記弾性材料が、ゴム材料、又は熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料である請求項1〜3の何れか一項に記載のシール用弾性ブーツ。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のシール用弾性ブーツと、このブーツの軸方向の端部に設けられた固定部に縮径方向の締め付け力を付与するブーツバンドと、前記シール用弾性ブーツと前記ブーツバンドの対向二面間に介在する液状潤滑剤と、を備えるシールアセンブリ。
JP2020043124A 2020-03-12 2020-03-12 シール用弾性ブーツおよびこれを備えるシールアセンブリ Pending JP2021143729A (ja)

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