JP2021143304A - 蓄熱材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】過冷却度が小さく、繰り返し特性安定性が高い蓄熱材組成物を提供する。【解決手段】蓄熱材組成物は、塩化カルシウム6水和物及び塩化アンモニウムからなる主剤と、水酸化ストロンチウム8水和物と、脂肪酸と、を含む。蓄熱材組成物は、過冷却度が1.5℃未満であることが好ましい。蓄熱材組成物は、前記主剤100質量部に対し、前記水酸化ストロンチウム8水和物0.1〜2.0質量部と、前記脂肪酸0.03〜1.5質量部と、をさらに含むことが好ましい。前記主剤100質量%は、前記塩化カルシウム6水和物90〜99.9質量%と、前記塩化アンモニウム0.01〜10質量%とを含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱材組成物に関する。
従来、液体から固体への相変化時や固体から液体への相変化時に発生又は吸収する潜熱を利用した潜熱蓄熱材組成物が知られている。潜熱蓄熱材組成物は、例えば、建造物の冷暖房の蓄熱システムに用いられる。以下、潜熱蓄熱材組成物を、単に「蓄熱材組成物」という。
蓄熱材組成物には、必要な温度域で安定して十分な蓄熱効果を有することが望まれる。このため、例えば蓄熱材組成物が建造物の冷暖房の蓄熱システムに用いられる場合、蓄熱材組成物には、蓄熱量が大きいこと、及び蓄熱材組成物の融点及び凝固点が建造物の冷暖房での使用条件に合致する又は近似することが望まれる。ここで、融点とは蓄熱材組成物を加熱する昇温過程において融解する温度、凝固点とは蓄熱材組成物を冷却する冷却過程において凝固する温度、を意味する。
また、蓄熱材組成物には、安定性の観点から、融解・凝固の繰り返しを行っても凝固点等の温度にばらつきが生じにくいことが望まれる。
しかし、蓄熱材組成物は、過冷却現象が生じることがある。過冷却現象は、凝固潜熱を放出しないままに温度が低下するため、蓄熱材組成物の蓄熱作用を十分に発揮できない。このため、従来、過冷却抑制剤を含む蓄熱材組成物が提案されている。
特許文献1には、塩化カルシウム6水和物にハロゲン化ストロンチウムを加えてなる蓄熱材組成物が開示されている。塩化カルシウム6水和物は、潜熱量が高いものの過冷却が生じる物質である。特許文献1において、ハロゲン化ストロンチウムは、塩化カルシウム6水和物の過冷却抑制剤として加えられている。ハロゲン化ストロンチウムは、塩化カルシウム6水和物の結晶化を促す核生成促進剤であるために塩化カルシウム6水和物の過冷却抑制作用を有するものと推測されている。
特公昭56−9959号公報
しかしながら、特許文献1の蓄熱材組成物は、冷却過程での過冷却による凝固点降下、すなわち過冷却度が3〜4℃であり過冷却抑制効果が十分でない。また、この蓄熱材組成物は、過冷却が解消される温度である過冷却解消温度が融解・凝固の繰り返しにより大きく変化するため、いわゆる繰り返し特性安定性が低い。このため、特許文献1の蓄熱材組成物には、建造物の冷暖房での使用に好適な温度領域、例えば20〜30℃での安定した放熱が困難であるという問題があった。なお、20〜30℃での安定した放熱は、凝固点が20〜30℃であることにより達成することができる。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、過冷却度が小さく、繰り返し特性安定性が高い蓄熱材組成物を提供することにある。
本発明の態様に係る蓄熱材組成物は、塩化カルシウム6水和物及び塩化アンモニウムからなる主剤と、水酸化ストロンチウム8水和物と、脂肪酸と、を含む。
上記蓄熱材組成物は、過冷却度が1.5℃未満であることが好ましい。
上記蓄熱材組成物は、前記主剤100質量部に対し、前記水酸化ストロンチウム8水和物0.1〜2.0質量部と、前記脂肪酸0.03〜1.5質量部と、をさらに含むことが好ましい。
上記蓄熱材組成物は、前記主剤100質量%は、前記塩化カルシウム6水和物90〜99.9質量%と、前記塩化アンモニウム0.01〜10質量%とを含むことが好ましい。
前記脂肪酸は、ノナン酸、デカン酸、及びウンデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸であることが好ましい。
上記蓄熱材組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤をさらに含むことが好ましい。
上記蓄熱材組成物は、ホウ砂Na(OH)・8HO、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム粉末、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤をさらに含むことが好ましい。
上記蓄熱材組成物は、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の相分離抑制剤をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、過冷却度が小さく、繰り返し特性安定性が高い蓄熱材組成物を提供することができる。
以下、本実施形態に係る蓄熱材組成物、及び蓄熱システムについて詳細に説明する。
[蓄熱材組成物]
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、塩化カルシウム6水和物及び塩化アンモニウムからなる主剤と、水酸化ストロンチウム8水和物と、脂肪酸と、を含む。
(主剤)
主剤は、塩化カルシウム6水和物(CaCl・6HO)及び塩化アンモニウムからなる。塩化カルシウム6水和物は、蓄熱物質である。塩化カルシウム6水和物は、一般的に、大きな過冷却現象を生じる。塩化アンモニウムは、凝固点降下剤である。
<主剤中の塩化カルシウム6水和物>
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%は、塩化カルシウム6水和物を、通常90〜99.9質量%、好ましくは93〜99.9質量%、より好ましくは95〜99.9質量%含む。塩化カルシウム6水和物の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の融解潜熱が大きくなるため好ましい。
<主剤中の塩化アンモニウム>
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%は、塩化アンモニウムを、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜7質量%、より好ましくは0.01〜5質量%含む。塩化アンモニウムの含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の凝固点が、建造物の冷暖房の蓄熱システムに好適な20〜30℃になりやすいため好ましい。
(水酸化ストロンチウム8水和物)
水酸化ストロンチウム8水和物(Sr(OH)・8HO)は、塩化カルシウム6水和物の過冷却抑制剤である。水酸化ストロンチウム8水和物の過冷却抑制作用は、水酸化ストロンチウム8水和物が塩化カルシウム6水和物の結晶化に好適な核を形成することにより発現すると推測される。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、主剤100質量部に対し、水酸化ストロンチウム8水和物を、通常0.1〜2.0質量部、好ましくは0.3〜1.5質量部、より好ましくは0.5〜1.0質量部さらに含む。水酸化ストロンチウム8水和物の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の過冷却度が1.5℃未満になりやすいため好ましい。
(脂肪酸)
脂肪酸は、蓄熱材組成物において過冷却抑制作用を有する。脂肪酸としては、例えば、炭素数1〜29の直鎖飽和脂肪酸が用いられる。また、このような直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ノナン酸、デカン酸、及びウンデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸が用いられる。これらの脂肪酸は、過冷却抑制作用が大きい。本実施形態において、脂肪酸は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、主剤100質量部に対し、脂肪酸を、通常0.03〜1.5質量部、好ましくは0.05〜1.0質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部さらに含む。脂肪酸の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の過冷却度が1.5℃未満になりやすいため好ましい。
(融点降下剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の融点降下剤をさらに含むと、融点が降下するため好ましい。融点降下剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤が用いられる。
(水酸化ストロンチウム8水和物以外の過冷却抑制剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、水酸化ストロンチウム8水和物以外の過冷却抑制剤をさらに含むと、過冷却がさらに抑制されるため好ましい。このような過冷却抑制剤としては、例えば、ホウ砂Na(OH)・8HO、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム粉末、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤が用いられる。
(相分離抑制剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、相分離抑制剤をさらに含むと、相分離が抑制されるため好ましい。相分離抑制剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の相分離抑制剤が用いられる。
(特性)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、過冷却温度Tが、通常20℃以上、好ましくは20〜29℃の範囲内にある。ここで、過冷却温度Tとは、50℃に加熱した蓄熱材組成物を放冷したときに過冷却状態が解除される温度である。過冷却温度Tは、恒温槽内に測温抵抗体を設置したサンプルの温度変化に基づき測定することができる。過冷却温度Tが上記範囲内にあるため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、凝固点Tが、通常30℃未満、好ましくは20〜29℃の範囲内にある。ここで、凝固点Tとは、過冷却温度Tより温度が上昇し、長時間の放冷が持続する温度である。凝固点Tは、恒温槽内に測温抵抗体を設置したサンプルの温度変化から測定することができる。凝固点Tが上記範囲内にあるため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、凝固点Tから過冷却温度Tを差し引いた値である過冷却度が1.5℃未満である、過冷却度が上記範囲内にある。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、 蓄熱作用を十分に発揮でき、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融点が、通常30℃未満、好ましくは20〜29℃の範囲内にある。融点は、固体の蓄熱材組成物を加熱する加熱工程において、蓄熱材組成物が融解する温度である。融点はDSCを用いて測定することができる。融点が上記範囲内にあるため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解潜熱が140J/g以上、好ましくは170〜190J/gである。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。なお、融解潜熱は、示差走査熱量計(DSC)にて測定されるヒートフローを時間で積分した場合のピーク面積から算出することができる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、過冷却度の繰り返し安定性が高い。ここで、過冷却度の繰り返し安定性とは、蓄熱材組成物を冷却する冷却工程と、蓄熱材組成物を加熱する加熱工程と、を1サイクルとする冷却・加熱サイクルを、複数サイクル行ったときの、サイクル間の過冷却度のばらつきを意味する。上記冷却工程は、50℃に加熱した蓄熱材組成物を−10℃まで冷却する工程であり、上記加熱工程は、−10℃の蓄熱材組成物を50℃まで加熱する工程である。
過冷却度の繰り返し安定性は、具体的には、10サイクル目の過冷却度から1サイクル目の過冷却度を差し引いた差分として表される。本実施形態に係る蓄熱材組成物において、過冷却度の繰り返し安定性は、1.5℃以下である。
(発明の効果)
本発明によれば、過冷却度が小さく、繰り返し特性安定性が高い蓄熱材組成物が得られる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(蓄熱材組成物の作製)
塩化カルシウム6水和物(CaCl・6HO、キシダ化学株式会社製)と、塩化アンモニウム(NHCl、キシダ化学株式会社製)と、水酸化ストロンチウム8水和物(Sr(OH)・8HO、キシダ化学株式会社製)とを用意した。また、デカン酸(C1020、キシダ化学株式会社製)を用意した。20mlのガラス製サンプル瓶に、塩化カルシウム6水和物と、塩化アンモニウムと、水酸化ストロンチウム8水和物と、デカン酸と、水(イオン交換水)とを、合計約5gになるように所定量混合した。
なお、塩化カルシウム6水和物、塩化アンモニウム、水酸化ストロンチウム8水和物、デカン酸及び水の量は、得られる蓄熱材組成物の組成が表1に示す組成になる量で配合した。
得られた混合物を50℃以上で湯煎したところ、蓄熱材組成物が得られた(試料No.A1)。
Figure 2021143304
(過冷却温度T及び凝固点Tの測定)
50℃に加熱した蓄熱材組成物を−10℃まで冷却する冷却工程と、−10℃の蓄熱材組成物を50℃まで加熱する加熱工程と、を1サイクルとする冷却・加熱サイクルを行い、過冷却温度T及び凝固点Tを測定した。
冷却工程の冷却速度は0.67℃/分とした。加熱工程の加熱速度は0.67℃/分とした。
ここで、過冷却温度Tとは、50℃に加熱した蓄熱材組成物を放冷したときに過冷却状態が解除される温度である。また、凝固点Tとは、過冷却温度Tより温度が上昇し、長時間の放冷が持続する温度である。過冷却温度T及び凝固点Tは、恒温槽内に測温抵抗体を設置したサンプルの温度変化に基づき測定した。
さらに、凝固点T(℃)−過冷却温度T(℃)を過冷却度(℃)として算出した。
また、上記冷却・加熱サイクルを10サイクル行い、10サイクル目の過冷却温度T及び凝固点Tを測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2021143304
(融解潜熱の測定)
DSC(示差走査熱量測定)により、蓄熱材組成物の融解潜熱を測定した。
結果を表2に示す。
[実施例2〜7、比較例1〜3及び7〜15]
得られる蓄熱材組成物が表1に示す組成になるように、各成分の配合量を変えた以外は、実施例1と同様にして、蓄熱材組成物を得た(試料No.A2〜A10及びA14〜A17)。
なお、試料No.A6、A15、A18及びA21では、デカン酸に代えてノナン酸(C18、キシダ化学株式会社製)を用いた。試料No.A7、A16、A19及びA22では、デカン酸に代えてウンデカン酸(C1122、キシダ化学株式会社製)を用いた。
(過冷却温度T及び凝固点Tの測定)
実施例1と同様にして、過冷却温度T及び凝固点Tを測定した。
結果を表2に示す。
(融解潜熱の測定)
実施例1と同様にして、融解潜熱を測定した。
結果を表2に示す。
[比較例4〜6]
得られる蓄熱材組成物が表1に示す組成になるように、各成分の配合量を変えた以外は、実施例1と同様にして、蓄熱材組成物を得た(試料No.A11〜A13)。
なお、試料No.A11では、塩化ストロンチウム6水和物(SrCl・6HO、キシダ化学株式会社製)を用いた。試料No.A12及びA13では、臭化ストロンチウム6水和物(SrBr・6HO、キシダ化学株式会社製)を用いた。試料No.A13では、さらにカルボキシメチルセルロース(キシダ化学株式会社製)を配合した。
(過冷却温度T及び凝固点Tの測定)
50℃に加熱した蓄熱材組成物を20℃まで冷却する冷却工程と、20℃の蓄熱材組成物を50℃まで加熱する加熱工程と、を1サイクルとする冷却・加熱サイクルを行い、過冷却温度T及び凝固点Tを測定した。
冷却工程の冷却速度は0.67℃/分とした。加熱工程の加熱速度は0.67℃/分とした。
ここで、過冷却温度Tとは、50℃に加熱した蓄熱材組成物を放冷したときに過冷却状態が解除される温度である。また、凝固点Tとは、過冷却温度Tより温度が上昇し、長時間の放冷が持続する温度である。過冷却温度T及び凝固点Tは、恒温槽内に測温抵抗体を設置したサンプルの温度変化に基づき測定した。
さらに、凝固点T(℃)−過冷却温度T(℃)を過冷却度(℃)として算出した。
また、上記冷却・加熱サイクルを10サイクル行い、10サイクル目の過冷却温度T及び凝固点Tを測定した。
結果を表3に示す。
(融解潜熱の測定)
実施例1と同様にして、融解潜熱を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 2021143304
表1〜表3より、試料No.A1〜A7及びA12は過冷却度が小さいことが分かった。試料No.A8〜A11及びA13は過冷却度が大きいことが分かった。
なお、試料No.A11〜13は凝固点が27.0℃以上と高く、建造物の冷暖房での使用に好適な温度領域である20〜30℃での放熱が困難であることが分かった。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

Claims (8)

  1. 塩化カルシウム6水和物及び塩化アンモニウムからなる主剤と、
    水酸化ストロンチウム8水和物と、
    脂肪酸と、
    を含む、蓄熱材組成物。
  2. 過冷却度が1.5℃未満である、請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記主剤100質量部に対し、
    前記水酸化ストロンチウム8水和物0.1〜2.0質量部と、
    前記脂肪酸0.03〜1.5質量部と、
    をさらに含む、請求項1又は2に記載の蓄熱材組成物。
  4. 前記主剤100質量%は、
    前記塩化カルシウム6水和物90〜99.9質量%と、
    前記塩化アンモニウム0.01〜10質量%とを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 前記脂肪酸は、ノナン酸、デカン酸、及びウンデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪酸である、請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
  6. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
  7. ホウ砂Na(OH)・8HO、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム粉末、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
  8. ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の相分離抑制剤をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
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