JP2021142113A - 竹製食器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄プラスチック問題の一助として天然素材の竹を利用でき、保存剤等を使用せずに極めて安全に使用することが可能な竹製食器の製造方法を提供する。【解決手段】竹Pを10〜25cmに裁断して竹筒状態に加工する裁断工程を有する。竹Pの胴部に切り刃Rを当てて1〜1.5mm厚のプレート素材P1を切り出す切り出し工程を有する。該プレート素材P1を熱窯Sで加熱殺菌する熱殺菌工程を有する。熱殺菌したプレート素材P1をプレス機Qで型押しして食器10を象る型押し工程を有する。該食器10に超音波と紫外線とを照射して含水率6〜7%程度に乾燥させる乾燥工程を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、防腐剤などの薬品を一切使用しない天然素材の竹製食器に係り、カビの発生を抑えることができる竹製食器及びその製造方法に関する。
天然素材の竹製品の製造方法は、カビの発生防止や竹に産み付けられた卵を殺虫するために、薬品や殺虫剤を使用する処理などが行われているが、安全性の観点から、このような薬品を使用しない製造方法が特許文献1に記載されている。この製造方法によると、竹を水中に浸漬し、糖質や灰汁を抽出すると共に、竹に産み付けられた昆虫の卵等を不活性化する方法が記載されている。すなわち、薬品を使用する代わりに、100℃以上300℃以下の加圧水蒸気で熱処理を施し、水分含有率10%以上30%以下になるように乾燥させると、防黴効果が得られるというものである。
ところが、特許文献1の製造方法では、天然素材の竹材をそのまま食器に加工したものに比べて防黴性を有するとしても、竹材の深部まで殺菌することは困難であり、カビの発生を完全に防止するには、24時間以上140時間以下の浸漬時間を要するものであった。
そこで当発明者は、先に、特許文献2に記載の竹箸の製造方法を発明している。この製造方法は、薬品や殺虫剤を使用せずに竹箸を深部まで殺菌することができ、カビの発生を確実に防止することができる製造方法である。すなわち、超音波及び紫外線を照射して何段階も乾燥させ、最終的に竹箸の含水率を7%まで乾燥させることで、竹箸を深部まで殺菌することができ、カビの発生を確実に防止する製造方法である。
一方、平板状に加工された複数枚の平板を使用して形成した食器が特許文献3に記載されている。この食器は、竹製の平板が複数枚積層するように接着した構成を成している。特に、食器の底面角の半径を略5〜15mm程度の曲面に形成することで、底面の角に食物が停留せず、子供でも残さずにかき取れるというものである。
特許文献2に記載の製造方法により、竹箸の殺菌に薬品を使用せず深部まで殺菌することができ、カビの発生を確実に防止することに成功した。そこで、この製造方法を更に改良することで、天然素材の竹材を皿などの食器に利用することが望まれている。
現在では、海洋に流出した廃プラスチックの弊害が深刻になっている。すなわち、廃プラスチック自体の環境汚染に加えて、廃プラスチックから細分化・拡散したマイクロプラスチックは、食物連鎖に取り込まれて、生態系に悪影響を及ぼすおそれがあるなど、所謂、廃棄プラスチック問題が懸念されている。そのため、プラスチックに代わる天然素材の使用が注目されており、天然の竹はプラスチックの代替素材として極めて注目されている。
一方、特許文献3に記載の食器では、素材として竹の使用が好適であると示されているが、竹を使用する際の安全性には全く触れられていない。前述のごとく、竹を使用する場合は、防カビ剤や防腐剤などの薬品が使用されることが多く、これらの薬品が溶け出して人体へ与える影響は決して無視できない。
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく案出されたもので、廃棄プラスチック問題を解決する代替素材として天然素材の竹を利用し、しかも、天然の竹を極めて安全に使用することが可能な竹製食器の提供を目的とするものである。
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、天然素材の竹Pにより形成される竹製食器において、竹Pの胴表面を厚さ1〜1.5mmの薄板状に切り出して形成したプレート素材P1が食器形状に型押しされ、超音波と紫外線との照射で含水率6〜7%程度に乾燥されたものである。
第2の手段は、前記竹製食器の製造方法において、竹Pを長さ10〜25cmに裁断する裁断工程100と、この竹Pの胴部に刃渡り10〜25cmの切り刃を当てて幅10〜25cm、厚さ1〜1.5mmのプレート素材P1を切り出す切り出し工程200と、該プレート素材P1を熱窯Sで加熱殺菌する熱殺菌工程300と、熱殺菌したプレート素材P1をプレス機Qで型押しして食器10を象る型押し工程400と、該食器10に超音波と紫外線とを照射して含水率6〜7%程度に乾燥させる乾燥工程500とを備えた製造方法にある。
第3の手段の前記熱殺菌工程300は、前記切り出し工程200で残った端材及び竹粉を前記熱窯Sで燃焼させる工程を有するものである。
第4の手段の前記型押し工程400は、130℃に加熱した前記竹プレートP1を1tの圧力で30秒加圧する工程とする。
第5の手段の前記乾燥工程500は、前記プレート素材P1をコンベアベルト1で搬送しながら超音波と紫外線とを60秒間照射する殺菌乾燥装置Tにて前記プレート素材P1の含水率を6〜7%程度に乾燥させる工程とするものである。
本発明の請求項1に記載のごとく、竹Pの胴表面を厚さ1〜1.5mmの薄板状に切り出して形成したプレート素材P1が食器形状に型押しされ、超音波と紫外線との照射で含水率6〜7%程度に乾燥されたことで、防カビ剤や防腐剤などの薬品が使用せずに十分な防カビ効果及び殺菌効果が得られ、極めて安全な使用が可能になる。
しかも、プラスチックを一切使用しないので、廃棄プラスチック問題を解消する代替製品として有効である。さらに、薄板状に切り出したプレート素材P1を型押しして形成した食器は、超音波と紫外線との照射により、短時間で含水率6〜7%程度に乾燥できるので、効率の良い提供が可能になる。
請求項2乃至請求項5の製造方法により、薄く切り出された竹プレートP1にて形成された食器を短時間で確実に乾燥させることが可能になる。この結果、天然素材の竹を有効利用して安全な食器を短時間で提供することが可能になるものである。
本発明は、天然素材の竹にて形成される食器10である。すなわち、竹Pの胴表面を厚さ1〜1.5mmの薄板状に切り出して形成したプレート素材P1が食器形状に型押しされたもので、特に、超音波と紫外線との照射で含水率6〜7%程度に乾燥された食器10である。
図1に示す食器10は、角皿11(同図(a)、(c)参照)と円形皿12(図1(b)、(d)参照)と、の大小2タイプのサイズを示している。図示の食器10はいずれも平皿を示しているが(図2参照)、この他、コースター、椀など、各種の食器として形成されるものである。
次に、この食器10の製造工程を説明する。この製造工程は、裁断工程100、切り出し工程200、熱殺菌工程300、型押し工程400、乾燥工程500が順に行われる(図5参照)。
裁断工程100は、10〜25cmに切断した竹Pの節を抜いての筒状態に加工する工程である(図3(イ)参照)。この竹Pは、日本のタケ類の中で最大の孟宗竹の中から、齢3〜4年のものを使用する。
切り出し工程200は、筒状態に加工した竹Pの内部を固定して横向きに回転させ、幅10〜25cmの切り刃Rで竹Pの胴部を、厚さ1〜1.5mm、幅10〜25cmに薄削りしてプレート素材P1を形成する工程である(図3(ロ)参照)。この工程は、たとえば大根のかつら剥きのように竹Pの胴部を薄切りする工程である。
熱殺菌工程300は、プレート素材P1を熱窯Sで加熱して熱殺菌する工程になる(図3(ハ)参照)。このとき、前記切り出し工程200で残った端材や竹粉を熱窯Sで燃焼させることで、伐採した竹Pの残りを有効利用することができるので、より環境にやさしい食器10を提供することができる。また、熱窯Sは、この他、ガス窯など任意の熱窯Sを使用することが可能である。
型押し工程400は、熱殺菌したプレート素材P1をプレス機Qで型押しして食器10を成型する工程である(図3(二)参照)。この際、130℃に加熱した竹プレートP1を、プレス機Qで1tの圧力で30秒間加圧することで、任意の形状の食器10を形成することが可能になる。
また、食器10の形状やサイズにより、プレート素材P1の枚数は1枚から適数枚に変更することが可能である。プレート素材P1を重ねて使用する場合は接着剤を使用する。図2に示す食器10は、2枚重ねて接着したプレート素材P1を型押ししたものである。
乾燥工程500は、成型された食器10の含水率を6〜7%程度に乾燥させる工程である。このとき、殺菌乾燥装置Tを使用する(図4参照)。この殺菌乾燥装置Tは、食器10を搬送するコンベアベルト1を備え、このコンベアベルト1に沿って、超音波照射室2と、紫外線照射室3とを配置している。そして、食器10をコンベアベルト1で搬送しながら超音波と紫外線とを60秒間照射して乾燥させるものである。
そして、薄板状のプレート素材P1にて形成された食器10は、制御部4で制御される超音波照射室2と紫外線照射室3とで超音波照射と紫外線照射とを1回ずつ行うことで、含水率を6〜7%程度に乾燥殺菌することができる。
尚、本発明の構成は図示の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に設計変更が行える。また、本発明の使用例も限定されるものではない。
P 竹
P1 プレート素材
Q プレス機
R 切り刃
S 熱窯
T 殺菌乾燥装置
1 コンベアベルト
2 超音波照射室
3 紫外線照射室
4 制御部
5 照射装置
6 排気口
7 冷却室
8 制御盤
10 食器
11 角皿
12 円形皿
100 裁断工程
200 切り出し工程
300 熱殺菌工程
400 型押し工程
500 乾燥工程
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10 食器
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12 円形皿
100 裁断工程
200 切り出し工程
300 熱殺菌工程
400 型押し工程
500 乾燥工程
Claims (5)
- 天然素材の竹により形成される竹製食器において、竹の胴表面を厚さ1〜1.5mmの薄板状に切り出して形成したプレート素材が食器形状に型押しされ、超音波と紫外線との照射で含水率6〜7%程度に乾燥されたことを特徴とする竹製食器。
- 前記竹製食器の製造方法において、前記竹を長さ10〜25cmに裁断する裁断工程と、
前記竹の胴部に刃渡り10〜25cmの切り刃を当てて幅10〜25cm、厚さ1〜1.5mmのプレート素材を切り出す切り出し工程と、
該プレート素材を熱窯で加熱殺菌する熱殺菌工程と、
熱殺菌したプレート素材をプレス機で型押しして食器を象る型押し工程と、
該食器に超音波と紫外線とを照射して含水率6〜7%程度に乾燥させる乾燥工程とを備えた竹製食器の製造方法。 - 前記熱殺菌工程は、前記切り出し工程で残った端材及び竹粉を前記熱窯で燃焼させる工程を有する請求項2記載の竹製食器の製造方法。
- 前記型押し工程は、130℃に加熱した前記竹プレートを1tの圧力で30秒加圧する工程とする請求項2記載の竹製食器の製造方法。
- 前記乾燥工程は、前記プレート素材をコンベアベルトで搬送しながら超音波と紫外線とを60秒間照射する殺菌乾燥装置にて前記プレート素材の含水率を6〜7%に乾燥させる工程とする請求項2記載の竹製食器の製造方法。
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JP2020042759A JP2021142113A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 竹製食器及びその製造方法 |
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2020
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