JP2021141133A - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化とを両立できるプリント配線板の製造方法を提供する。【解決手段】支持体、離型層、及び、樹脂組成物層をこの順で備える樹脂シートを用意する第一工程と;樹脂組成物層と基板とをラミネートする第二工程と;樹脂組成物層を硬化する第三工程と;支持体を剥離して、基板、樹脂組成物層及び離型層の少なくとも一部をこの順に備える中間複層体を得る第四工程と;中間複層体の離型層側の面に酸化剤を接触させる第五工程と;をこの順に含む、プリント配線板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板の製造方法として、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法においては、一般に、樹脂組成物を含む樹脂組成物層が硬化されて、絶縁層が形成される。このような絶縁層の形成は、特許文献1に記載されているように、支持体及び樹脂組成物層を備える樹脂シートを用いて実施されることがありうる。
特開2017−183411号公報
プリント配線板の製造方法においては、絶縁層に穴あけ加工を施すことがある。例えば、絶縁層によって絶縁された導体層間の接続等の目的のため、絶縁層にビアホール等のホールが形成されることがある。このような穴あけ加工を行うと、当該ホール内には、「スミア」と呼ばれる樹脂残渣が形成されることがある。よって、多くの場合、穴あけ加工後には、酸化剤によってスミアを除去するためのデスミア処理を施される。デスミア処理では、通常、絶縁層のホールが形成された部分に酸化剤を接触させて、スミアを除去する。
デスミア処理においては、絶縁層のホール以外の部分にも、酸化剤が接触しうる。酸化剤が接触した絶縁層の面は、一般に、酸化剤による粗化が進行して、その面形状が粗くなる。特に、スミアを効率的に除去するために酸化が進行しやすい条件を採用すると、粗化が大きく進行するので、絶縁層の面の粗度が大きくなる傾向がある。
近年、プリント配線板の配線の微細化の要求が高まっている。しかし、粗度が大きい絶縁層の面には、導体層として微細な配線を形成することが困難である。他方、絶縁層の面の粗度を小さくするために、酸化剤による粗化の進行を小さくすると、スミアを充分に除去できないことがありうる。このように、従来は、スミアの効果的な除去と配線の微細化との両方を達成することは、困難であった。そのため、スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化とを両立できる技術の開発が望まれている。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化とを両立できるプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、支持体、離型層、及び、樹脂組成物層をこの順で備える樹脂シートを用意すること;樹脂組成物層と基板とをラミネートすること;樹脂組成物層を硬化すること;支持体を剥離して、基板、樹脂組成物層及び離型層の少なくとも一部をこの順に備える中間複層体を得ること;及び、中間複層体の離型層側の面に酸化剤を接触させること;をこの順に含む製造方法によれば、前記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 支持体、離型層、及び、樹脂組成物層をこの順で備える樹脂シートを用意する第一工程と、
前記樹脂組成物層と基板とをラミネートする第二工程と、
前記樹脂組成物層を硬化する第三工程と、
前記支持体を剥離して、前記基板、前記樹脂組成物層、及び、前記離型層の少なくとも一部、をこの順に備える中間複層体を得る第四工程と、
前記中間複層体の前記離型層側の面に、酸化剤を接触させる第五工程と、をこの順に含む、プリント配線板の製造方法。
〔2〕 前記第三工程より後、前記第五工程よりも前に、前記樹脂組成物層にホールを形成する第六工程を含む、〔1〕に記載のプリント配線板の製造方法。
〔3〕 前記第四工程において剥離された前記支持体に、前記離型層の一部が付着している、〔1〕又は〔2〕に記載のプリント配線板の製造方法。
〔4〕 前記第四工程において、前記離型層が、当該離型層の内部で破壊されることを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
〔5〕 前記中間複層体の前記離型層側の面の水接触角が、75°以上110°以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
〔6〕 前記中間複層体の前記離型層側の面の水接触角と、前記第四工程において剥離された前記支持体を含む剥離体の前記離型層側の面の水接触角と、の差の絶対値が、17°以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
〔7〕 第五工程の後で導体層を形成する第七工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化とを両立できるプリント配線板の製造方法を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第一工程で用意される樹脂シートを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第二工程における樹脂シート及び基板を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第三工程における樹脂シート及び基板を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第六工程において、ホールを形成された樹脂シート及び基板を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第四工程において得られる中間複層体及び剥離体を模式的に示す断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第五工程において、中間複層体に酸化処理を行って得られるプリント配線板を模式的に表す断面図である。 図7は、本発明の第一実施形態にプリント配線板の製造方法の第七工程において、導体層を形成されたプリント配線板を模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[1.プリント配線板の製造方法の概要]
本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、
支持体、離型層、及び、樹脂組成物層をこの順で備える樹脂シートを用意する第一工程と、
樹脂組成物層と基板とをラミネートする第二工程と、
樹脂組成物層を硬化する第三工程と、
支持体を剥離して、基板、樹脂組成物層、及び、離型層の少なくとも一部、をこの順に備える中間複層体を得る第四工程と、
中間複層体の離型層側の面に、酸化剤を接触させる第五工程と、
をこの順に含む。
以下の説明では、第三工程において硬化した後の樹脂組成物層を、適宜「絶縁層」と呼ぶことがある。また、中間複層体の離型層側の面を、適宜、中間複層体の「離型面」と呼ぶことがある。中間複層体の離型面は、第四工程よりも前の時点では支持体が設けられていた側の面に相当する。よって、中間複層体は、厚さ方向において、基板、樹脂組成物層及び離型面をこの順に備える。
本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、前記の第一工程から第五工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。プリント配線板の製造方法は、例えば、第三工程より後、第五工程より前に、絶縁層にホールを形成する第六工程を含んでいてもよい。また、プリント配線板の製造方法は、例えば、第五工程の後で、導体層を形成する第七工程を含んでいてもよい。
前記のプリント配線板の製造方法によれば、第五工程において、酸化剤によってスミアを効果的に除去でき、且つ、当該酸化剤との接触による中間複層体の離型面の過剰な粗化の進行を抑制することができる。よって、前記のプリント配線板の製造方法によれば、スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化とを両方を達成することができる。
[2.第一工程:樹脂シートの用意]
第一工程では、樹脂シートを用意する。図1は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第一工程で用意される樹脂シート100を模式的に示す断面図である。図1に示すように、樹脂シート100は、支持体110、離型層120及び樹脂組成物層130を、厚さ方向においてこの順で備える。通常、支持体110と離型層120とは直接に接しており、また、離型層120と樹脂組成物層130とは直接に接している。2つの部材が接する態様が「直接」とは、それらの部材の間に他の層が無いことを言う。
[2.1.支持体]
支持体としては、板状又はフィルム状の部材を用いうる。このような支持体としては、例えば、プラスチック材料で形成されたフィルム、金属箔、離型紙が挙げられる。プラスチック材料で形成されたフィルムを、以下、適宜「プラスチックフィルム」ということがある。前記の中でも、プラスチックフィルム及び金属箔が好ましい。
プラスチックフィルムを構成するプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル;ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。);ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略称することがある。)等のアクリルポリマー;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(以下「TAC」と略称することがある。);ポリエーテルサルファイド(以下「PES」と略称することがある。);ポリエーテルケトン;ポリイミド;等が挙げられる。これらの材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
プラスチックフィルムには、フィルム表面の平滑性に影響を与えない範囲で、易滑性を付与できる程度の微細な突起を形成させられる粒子が含まれていてもよい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、その表面に、マット処理、コロナ処理、帯電防止処理等の処理が施されていてもよい。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。
[2.2.離型層]
離型層は、離型剤で形成されている。離型剤の作用により、支持体の剥離を円滑に行うことができる。具体的には、樹脂組成物層に直接に設けられた支持体に比べ、樹脂組成物層上に離型層を介して設けられた支持体は、小さい力で剥離されることができる。ここで、樹脂組成物層に支持体を設ける態様が「直接」とは、樹脂組成物層と支持体との間に他の層が無いことを表す。
離型層に含まれる離型剤としては、第四工程において支持体が剥離された後に、離型層の少なくとも一部が樹脂組成物層に残ることができるものを用いうる。通常、離型剤としては、適切な樹脂を含むものを用いる。離型剤の例としては、ポリオレフィン樹脂系離型剤、ウレタン樹脂系離型剤、アルキド樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤が挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリオレフィン樹脂系離型剤が好ましい。
ポリオレフィン樹脂系離型剤としては、酸変性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤と、特定のケン化率を有するポリビニルアルコールとを組み合わせて含むものが好ましい。このポリオレフィン樹脂系離型剤を用いた場合、離型層が凝集破壊を生じて分離できるので、後述する残留離型層を円滑に得ることができる。よって、スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化との効果を顕著に得ることができる。
好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤が含みうる酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、エチレン、プロピレン及びブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、離型性の観点から、プロピレンが好ましい。離型性をさらに向上させる観点で、オレフィン成分100質量%におけるプロピレンの量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分は、不飽和カルボン酸成分が好ましい。不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;並びに、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル及びハーフアミド;などが挙げられる。中でも、離型層の形成用の液状組成物の調製の際に樹脂を安定的に分散する観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量%に対して、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜9質量%がより好ましい。酸変性成分の量が前記範囲の下限値上である場合、支持体と離型層との密着性を高くできる。また、離型層の形成用の液状組成物の調製の際に樹脂を安定的に分散させることが容易になる。他方、酸変性成分の量が前記範囲の上限値以下である場合、離型層の離型性を高くできる。
支持体と離型層との密着性を向上させる観点から、酸変性ポリオレフィン樹脂は、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分を含有してもよい。側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられる。中でも、入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。その具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、支持体との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。用語「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、メタクリル酸及びその組み合わせを包含する。
酸変性ポリオレフィン樹脂中における、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分の量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量%に対して、1質量%〜40質量%が好ましく、2質量%〜35質量%がより好ましく、3質量%〜30質量%がさらに好ましく、6質量%〜18質量%が特に好ましい。側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分の量が前記範囲の下限値上である場合、支持体と離型層との密着性を高くできる。他方、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分の量が前記範囲の上限値以下である場合、離型層の離型性を高くできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、通常、酸変性ポリオレフィン樹脂中で共重合されている。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は、80℃〜200℃が好ましく、90℃〜150℃がより好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の融点が、前記範囲の下限値以上である場合、離型層の離型性を高くできる。他方、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点が、前記範囲の上限値以下である場合、離型層の形成を容易に行うことができる。
好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤が含みうる架橋剤としては、カルボキシル基と反応できる官能基を分子内に複数個含む化合物が好ましい。好ましい架橋剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物;多官能イソシアネート化合物;多官能アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;フェノール樹脂;および尿素化合物、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂;等が挙げられる。中でも、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、多官能エポキシ化合物、カルボジイミド基含有化合物、及び、オキサゾリン基含有化合物が好ましく、カルボジイミド基含有化合物及びオキサゾリン基含有化合物がより好ましく、オキサゾリン基含有化合物が特に好ましい。オキサゾリン基含有化合物を用いることにより、支持体と離型層との密着性を効果的に高めたり、離型層の離型性を効果的に高めたりできる。
多官能エポキシ化合物としては、例えば、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物等が挙げられる。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが挙げられる。ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基を適切な化合物でブロックしたブロックイソシアネート化合物を架橋剤として用いてもよい。イソシアネート基のブロックに用いうる化合物としては、例えば、重亜硫酸塩化合物、スルホン酸基を含有したフェノール化合物、アルコール化合物、ラクタム化合物、オキシム化合物および活性メチレン化合物などが挙げられる。多官能イソシアネート化合物の市販品としては、例えば、BASF社製「バソナートHW−100」などが挙げられる。
多官能アジリジン化合物としては、例えば、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス−(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等が挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有する化合物が挙げられる。カルボジイミド化合物は、1つのカルボジイミド部分において、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における2つのカルボキシル基とエステルを形成し、架橋を達成できる。カルボジイミド基含有化合物の具体例としては、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等の、カルボジイミド基を有する化合物;カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミド;等が挙げられる。中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。
オキサゾリン基含有化合物としては、例えば、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有している化合物が挙げられる。オキサゾリン化合物は、2つのオキサゾリン部分のそれぞれにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における1つのカルボキシル基とアミドエステルを形成し、架橋を達成できる。このようなオキサゾリン基含有化合物は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーの単独重合;付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと、それ以外の任意のモノマーとの共重合;により製造できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業的にも入手しやすく好適である。任意のモノマーとしては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和脂肪族モノマー化合物;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等が挙げられる。中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、例えば、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール;ビスフェノールA、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール;p−フェニルフェノール;クレゾール;などの原料から合成できるレゾール型フェノール樹脂および/またはノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
尿素化合物としては、例えば、ジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、テトラメチロールアセチレン尿素、4−メトキシ5−ジメチルプロピレン尿素ジメチロールが挙げられる。
メラミン樹脂としては、例えば、イミノ基、メチロール基、及びアルコキシメチル基からなる群より選ばれる1以上の官能基を1分子中に有する化合物が挙げられる。前記のアルコキシメチル基としては、例えば、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等が挙げられる。メラミン樹脂の具体例としては、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂が挙げられる。中でも、メチロール化メラミン樹脂が特に好ましい。さらに、メラミン系樹脂の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂としては、例えば、トリメチロールベンゾグアナミン、ヘキサメチロールベンゾグアナミン、トリスメトキシメチルベンゾグアナミン、ヘキサキスメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。
架橋剤を用いることにより、離型層に含まれる成分が架橋して離型性が向上する。また、架橋によれば、離型層の凝集力を向上させて、凝集破壊を生じ易くできる。さらに、離型層の耐水性を向上させることができる。
架橋剤の量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、好ましくは2質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。架橋剤の量が、前記範囲の下限値以上である場合、離型層の凝集力を高くできるので、支持体と離型層との密着性を高めたり、離型層の離型性を高めたりできる。他方、架橋剤の量が、前記範囲の上限値以下である場合、離型層の離型性を高めたり、離型層の製造に用いる液状組成物の増粘を抑制して、安定性を高めることができる。
好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤が含みうるポリビニルアルコールは、特定の範囲のケン化率を有する。具体的には、ポリビニルアルコールのケン化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上であり、好ましくは99%以下、より好ましくは98%未満、更に好ましくは96%未満、特に好ましくは95%未満である。ポリビニルアルコールのケン化率が前記範囲の下限値以上である場合、離型層の製造に用いる液状組成物を安定させて、離型層の生産性を高めることができる。また、ポリビニルアルコールのケン化率が前記範囲の上限値以下である場合、離型層の表面に高さ数十nm〜数百nm程度の微小な非平面形状が発生することを抑制できる。よって、樹脂組成物層の面形状を平滑にできる。さらに、高湿度環境下での離型層の反りを抑制したり、低湿度環境下での剥離帯電を抑制したりできる。
好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤を用いる場合、離型層は、通常、水性溶剤を用いて製造する。よって、水性溶剤との混合の容易さの観点から、ポリビニルアルコールは、水溶性であることが好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、市販のものを使用することができる。ポリビニルアルコールとしては、例えば、日本酢ビ・ポバール社製の「J−ポバール」の「JP−15」や「JT−05」、「JL−05E」、「JM−33」、「JM−17」、「JF−05」、「JF−10」クラレ社製の「クラレポバール」の「PVA−CST」、「PVA−624」、「PVA−203」、「PVA−220」「PVA−405」などが挙げられる。
ポリビニルアルコールの量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは210質量部以上、特に好ましくは300質量部以上であり、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは800質量部以下、特に好ましくは600質量部以下である。ポリビニルアルコールの量が前記範囲の下限値以上である場合、離型層の離型性を効果的に向上させることができる。他方、ポリビニルアルコールの量が前記範囲の上限値以下である場合、離型層を形成するための液状組成物の粘度を小さくして、離型層の表面に前記の非平面形状が発生することを抑制できる。
好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤は、滑剤を含んでいてもよい。滑剤として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機粒子;アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有機粒子;界面活性剤;等が挙げられる。
好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤を用いて離型層を形成する場合、通常は、前記の離型剤と溶剤とを含む液状組成物の層を支持体上に形成し、必要に応じて乾燥、延伸及び熱処理を行う。この際、溶剤としては、水性溶剤を用いることが好ましい。このような好ましいポリオレフィン樹脂系離型剤を用いた離型層については、国際公開第2018/056276号を参照しうる。
離型層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.50μm以下である。離型層の厚さが、前記範囲の下限値以上である場合、第四工程における支持体の剥離によって、離型層がその内部で円滑に分かれることができる。また、離型層の厚さが、前記範囲の上限値以下である場合、第四工程で得られる中間複層体がその離型面に有する離型層の厚さを薄くできるので、第五工程の後に離型層が残留することを抑制できる。
離型層の厚さは、浜松ホトニクス製「Optical Nano Gauge C12562」を用いたカーブフィティング法によって測定しうる。
[2.3.樹脂組成物層]
樹脂組成物層は、硬化性の樹脂組成物で形成されている。樹脂組成物層が含む樹脂組成物としては、通常、熱硬化性の樹脂組成物を用いる。よって、樹脂組成物は、通常、熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性樹脂の種類は、プリント配線板の絶縁層に求められる特性に応じて、適切に選択しうる。特に、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂と、当該エポキシ樹脂と反応しうる硬化剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いることで、樹脂組成物の可撓性を向上させたり、樹脂組成物の硬化物の破断強度を向上させたりできる。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族系の液状エポキシ樹脂がより好ましい。ここで、「芳香族系」のエポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂を意味する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。液状エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びシクロヘキサン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましい。固形状エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、及び、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−7200」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA−7311」、「EXA−7311−G3」、「EXA−7311−G4」、「EXA−7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」及び「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:1〜1:20、より好ましくは1:1.5〜1:15、特に好ましくは1:2〜1:13である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にある場合、樹脂組成物層が適度な粘着性及び十分な可撓性を有しうるので、取り扱い性を向上させることができる。さらに、通常は、十分な破断強度を有する絶縁層を得ることができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.〜5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.〜3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.〜2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.〜1000g/eq.である。エポキシ当量がこの範囲にある場合、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層を得ることができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。具体的には、重量平均分子量は、測定装置として島津製作所社製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の量は、良好な機械強度及び絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
硬化剤としては、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いることができる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000」、「HPC−8000H」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L」、「EXB−8000L−65TM」、「EXB−8150−65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤として「EXB9416−70BK」、「EXB−8150−65T」、「EXB−8100L−65T」、「EXB−8150L−65T」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層と絶縁層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN−495V」「SN375」、「SN−395」;DIC社製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」;等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ−OP100D」、「ODA−BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL−950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BADCy」(ビスフェノールAジシアネート)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。中でも、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C−200S」、「KAYABOND C−100」、「カヤハードA−A」、「カヤハードA−B」、「カヤハードA−S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA−100」、「MH−700」等が挙げられる。
硬化剤は、活性エステル系硬化剤を含むことが好ましい。活性エステル系硬化剤を用いる場合、硬化剤100質量%に対する活性エステル系硬化剤の含有率は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、通常100質量%以下、好ましくは98質量%以下、より好ましくは96質量%以下、さらに好ましくは94質量%以下である。表面粗さをより低下させ、かつ誘電正接を低下させることができるという観点から、活性エステル型硬化剤を用いることが好ましい。
樹脂組成物における硬化剤の量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.6以下である。「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を、全て合計した値である。「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を、全て合計した値である。エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合の硬化剤の活性基数が前記範囲にある場合、通常は、樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させることができる。
樹脂組成物層が含む樹脂組成物は、必要に応じて、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、表面粗さが小さく導体層との密着性に特に優れる絶縁層を得る観点から、フェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」;等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000−2」、「電化ブチラール5000−A」、「電化ブチラール6000−C」、「電化ブチラール6000−EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX−5Z)、KSシリーズ(例えばKS−1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE−2St 1200」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは70,000以下、より好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が前記範囲にある場合、通常は、樹脂組成物の硬化物の誘電率及び線熱膨張係数を小さくしたり、硬化物の機械強度を高めたりできる。
熱可塑性樹脂を使用する場合、樹脂組成物における熱可塑性樹脂の量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。熱可塑性樹脂の量が前記範囲にある場合、通常は、樹脂組成物の硬化物の誘電率及び線熱膨張係数を小さくしたり、硬化物の機械強度を高めたりできる。
樹脂組成物層が含む樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、リン系硬化促進剤及びアミン系硬化促進剤が好ましい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合、樹脂組成物における硬化促進剤の量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下である。硬化促進剤の量が前記範囲にある場合、通常は、樹脂組成物の硬化物の誘電率及び線熱膨張係数を小さくしたり、硬化物の機械強度を高めたりできる。
樹脂組成物層が含む樹脂組成物は、必要に応じて、無機充填材を含んでいてもよい。無機充填材は、通常、粒子の状態で樹脂組成物に含まれうる。
無機充填材の材料としては、通常、無機化合物を用いる。無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。無機充填材の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。
無機充填材の市販品としては、例えば、新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60−05」、「SP507−05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」;デンカ社製の「UFP−30」、「DAW−03」、「FB−105FD」などが挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。
無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA−960」等が挙げられる。
無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、特に好ましくは1.0m/g以上であり、好ましくは50m/g以下、より好ましくは30m/g以下、特に好ましくは15m/g以下である。
無機充填材の比表面積は、BET全自動比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM−1210)を使用して、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
無機充填材は、適切な表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理されることにより、無機充填材の耐湿性及び分散性を高めることができる。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM−7103」(3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%〜5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%〜3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%〜2質量%で表面処理されていることが特に好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材を使用する場合、樹脂組成物中の無機充填材の含有率は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、中でも好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
樹脂組成物層が含む樹脂組成物は、必要に応じて、上述したもの以外の任意の成分を含んでいてもよい。そのような任意の成分としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;難燃剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤、界面活性剤等の樹脂添加剤;などが挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物層の厚さは、特段の制限は無い。高い絶縁能力を有する絶縁層を得る観点では、樹脂組成物層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、プリント配線板の薄型化の観点では、樹脂組成物層の厚さは、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[2.4.樹脂シートの製造方法]
樹脂シートの製造方法に制限は無い。樹脂シートは、例えば、支持体上に離型層を形成する工程と、離型層上に樹脂組成物層を形成する工程と、を含む製造方法によって製造できる。
支持体上に離型層を形成する方法に制限は無い。例えば、離型層は、離型剤及び溶剤を含む離型層形成用の液状組成物を支持体上に塗布することと、塗布された液状組成物を乾燥することとを含む方法により、形成できる。
液状組成物に含まれる溶剤としては、水を用いてもよく、有機溶剤を用いてもよく、両者を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤としては、両親媒性有機溶剤が好ましい。両親媒性有機溶剤とは、20℃において有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう。両親媒性有機溶剤の具体例としては、アルコール溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、エチレングリコール誘導体溶剤、アミン溶剤、ラクタム溶剤等が挙げられる。液状組成物の不揮発成分濃度は、特に制限は無いが、2質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。また、液状組成物は、離型剤及び溶剤に組み合わせて、更に酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤等の任意の成分を含んでいてもよい。
支持体上に液状組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーティング法、リバースロールコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、はけ塗り法が挙げられる。中でも、グラビアロールコーティング法が好ましい。
支持体上に液状組成物を塗布した後で、塗布された液状組成物を乾燥することにより、支持体上に離型層が得られる。乾燥方法に特に制限は無く、例えば、加熱乾燥、減圧乾燥などを用いうる。
乾燥の後で、必要に応じて、支持体及び離型層を備えるフィルムを延伸してもよい。延伸により、支持体の表面の配向結晶化の程度を小さくできるので、支持体と離型層との密着力を向上させることができる。さらに、乾燥の後で、支持体及び離型層を備えるフィルムに熱処理を施してもよい。熱処理により、離型層の離型性を高めることができる。特に、乾燥、延伸及び熱処理をインライン方式で行う場合、支持体が緊張した状態で、離型層に高温の熱処理を施せるので、離型層の品位の低下を抑制しながら離型性を向上させることができる。例えば、逐次二軸延伸法を採用して、一軸方向に延伸された支持体に液状組成物を塗布し、塗布された液状組成物を乾燥し、前記方向と垂直な方向にさらに延伸し、熱処理してもよい。
離型層上に樹脂組成物層を形成する方法に制限は無い。例えば、樹脂組成物層は、樹脂組成物及び溶剤を含む樹脂ワニスを離型層上に塗布することと、塗布された樹脂ワニスを乾燥することとを含む方法により、製造できる。
溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等を挙げることができる。溶剤は、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
離型層上に樹脂ワニスを塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、キスリバースコート法、ダイコート法、スロットダイ法、リップコート法、コンマコート法、ブレードコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、チャンバーグラビアコート法、スロットオリフィス法、スプレーコート法、ディップコート法等が挙げられる。
離型層上に樹脂ワニスを塗布した後で、塗布された樹脂ワニスを乾燥することにより、離型層上に樹脂組成物層が得られる。乾燥方法に特に制限は無く、例えば、加熱乾燥、熱風吹きつけ乾燥等の乾燥方法を用いうる。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
前記の樹脂シートの製造方法は、支持体上に離型層を形成する工程、及び、離型層上に樹脂組成物層を形成する工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、前記の製造方法は、得られた樹脂シートをロール状に巻き取る工程を含んでいてもよい。また、前記の製造方法は、樹脂組成物層上に保護フィルムを設ける工程を含んでいてもよい。保護フィルムにより、樹脂組成物層へのゴミ付着及びキズを抑制することができる。保護フィルムを備える樹脂シートは、通常、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[3.第二工程:樹脂組成物層と基板とのラミネート]
図2は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第二工程における樹脂シート100及び基板200を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、第一工程の後で、樹脂シート100の樹脂組成物層130と基板200とをラミネートする第二工程を行う。
基板200としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、基板200は、当該基板200の一部として、その片面又は両面に、導体層(図示せず。)を有していてもよい。この導体層は、例えば回路として機能させるために、パターン加工されていてもよい。前記の基板200としては、プリント配線板用の内層基板を用いてもよい。また、前記の基板200としては、片面または両面に回路としての導体層を有する内層基板としての内層回路基板を用いてもよい。さらに、プリント配線板を製造する際に更に絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物を、前記の基板200として用いてもよい。さらに、前記の基板200は、部品を内蔵していてもよい。
樹脂組成物層130と基板200とのラミネートは、通常、樹脂組成物層130と基板200とを加熱圧着することによって行われる。ラミネート方法の具体例としては、支持体110側から樹脂シート100を基板200に加熱圧着することにより、樹脂組成物層130と基板200とを貼り合わせる方法が挙げられる。樹脂シート100を基板200に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ということがある。図示せず。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。加熱圧着部材を樹脂シート100に直接プレスするのではなく、基板200の表面凹凸に樹脂組成物層130が十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
樹脂組成物層130と基板200とのラミネートは、例えば、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。ラミネートは、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
ラミネートの後に、常圧下(大気圧下)で、例えば、加熱圧着部材を支持体110側からプレスすることにより、積層された樹脂シート100の平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記ラミネートの加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。ラミネートと平滑化処理は、真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
[4.第三工程:樹脂組成物層の硬化]
図3は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第三工程における樹脂シート100及び基板200を模式的に示す断面図である。図3においては、樹脂組成物層130の中でも、特に硬化後の樹脂組成物層としての絶縁層を、符号「230」で示す。図3に示すように、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、第二工程の後で、樹脂組成物層130(図1及び図2参照)を硬化させて絶縁層230を得る第三工程を行う。
樹脂組成物層130の硬化は、樹脂組成物層130に含まれる樹脂組成物の硬化性に応じた方法によって行いうる。例えば、熱硬化性の樹脂組成物を用いる場合、適切な熱を樹脂組成物層130に加えることにより、樹脂組成物層130を硬化させうる。
樹脂組成物層130の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によって異なりうる。硬化温度は、好ましくは120℃〜240℃、より好ましくは150℃〜220℃、さらに好ましくは170℃〜200℃である。硬化時間は、好ましくは5分間〜120分間、より好ましくは10分間〜100分間、さらに好ましくは15分間〜90分間である。
樹脂組成物層130を前記のように熱硬化させる前に、樹脂組成物層130を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層130を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層130を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間、さらに好ましくは15分間〜100分間)予備加熱してもよい。
[5.第六工程:ホールの形成]
図4は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第六工程において、ホール140を形成された樹脂シート100及び基板200を模式的に示す断面図である。図4に示すように、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、第三工程より後、第五工程よりも前に、硬化後の樹脂組成物層としての絶縁層230にホール140を形成する第六工程を行ってもよい。
ホール140は、通常、絶縁層230を厚み方向に貫通するように形成される。また、通常、ホール140が形成された部分では離型層120が除去されるので、ホール140は、絶縁層230だけでなく離型層120にも形成される。図4では、第四工程の前にホール140の形成を行った例を示すので、支持体110にもホール140が形成されている。第四工程の前にホール140を形成した場合、抉れ部(図示せず。)の発生を抑制して、良好な形状のホール140を形成し易い。ただし、ホール140の形成は、第四工程よりも後に行ってもよい。第四工程よりも後にホール140が形成された場合、通常は、絶縁層230と当該絶縁層230上にある離型層120(後述する残留離型層121)にホール140が形成される。
ホール140の形成方法は、絶縁層230の形成に使用した樹脂組成物の組成に応じて適切な方法を採用しうる。ホール140の形成方法としては、例えば、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられる。こうして形成されたホール140は、プリント配線板のビアホール又はスルーホールとして使用できる。ホール140の寸法及び形状は、プリント配線板のデザインに応じて適切に決定しうる。
前記のように絶縁層230に穴あけしてホール140を形成した場合、図4に示すように、スミア240が形成されることがありうる。通常、スミア240は、絶縁層230に開口したホール140の内壁から突出するように形成される。このスミア240が、後述する第五工程において除去される。
[6.第四工程:支持体の剥離]
図5は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の第四工程において得られる中間複層体300及び剥離体400を模式的に示す断面図である。図5に示すように、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、第三工程の後で、支持体110を剥離する第四工程を行う。
支持体110の剥離は、離型層120の少なくとも一部121が、絶縁層(硬化後の樹脂組成物層)230上に残るように行う。よって、支持体110の剥離によれば、基板200、絶縁層230、及び、離型層120の少なくとも一部121、を厚み方向においてこの順に備える中間複層体300が得られる。以下の説明では、中間複層体300が備える離型層120の少なくとも一部121を、適宜「残留離型層」121をいうことがある。残留離型層121は、絶縁層230に付着した離型剤を含む層であり、樹脂シート100が備えていた離型層120の全体であってもよいが、離型層120の一部であることが好ましい。離型層120の「少なくとも一部」、「一部」及び「全体」とは、それぞれ、別に断らない限り、厚み方向の「少なくとも一部」、「一部」及び「全体」を表す。図5では、樹脂シート100が備えていた離型層120の一部が絶縁層230上に残って残留離型層121が形成された例を示す。
第四工程では、支持体110が剥離されるので、その剥離された支持体110を含む剥離体400が得られる。支持体110の剥離が、離型層120の一部が残留離型層121として絶縁層230上に残るように行われた場合には、剥離された支持体110に、離型層120の一部122が付着しうる。以下の説明では、支持体110に付着した離型層120の一部122を、適宜「剥離離型層」122をいうことがある。よって、この場合、支持体110及び剥離離型層122を含む剥離体400が得られうる。また、支持体110の剥離が、離型層120の全体が残留離型層121として絶縁層230上に残るように行われた場合には、剥離体400は、支持体110に付着した剥離離型層122を含まない。図5では、剥離体400が、支持体110及び剥離離型層122を含む例を示す。
支持体110を剥離する方法に制限は無い。例えば、支持体110を引っ張ってもよく、基板200を引っ張ってもよく、支持体110及び基板200の両方を引っ張ってもよい。
支持体110の剥離によって前記の中間複層体300を得る方法は、様々にある。例えば、支持体110の剥離時に凝集破壊を生じることができる離型剤を離型層120の材料として用いる方法が挙げられる。離型剤の凝集破壊とは、離型剤の内部での破壊を表す。凝集破壊を生じることが可能な離型剤を用いた場合、支持体110の剥離時に与えられる応力の作用により、離型層120は、支持体110の剥離と同時に、当該離型層120の内部で破壊されることができる。よって、離型層120は、絶縁層230上に残る残留離型層121と、支持体110と一緒に剥がれる剥離離型層122とに分かれることができる。そのため、残留離型層121を含む中間複層体300を得ることができる。このように支持体110の剥離時に凝集破壊を生じることが可能な離型剤は、当該離型剤の組成を適切に調整することにより、得ることができる。
支持体110の剥離によって前記の中間複層体300を得る別の方法としては、例えば、支持体110の材料と離型層120の材料(即ち、離型剤)との組み合わせを、互いに親和性の低い組み合わせに調整する方法が挙げられる。親和性の低い材料で支持体110及び離型層120が形成されている場合、支持体110の剥離時に与えられる応力の作用により、支持体110と離型層120とは、当該支持体110と離型層120との界面において分離できる。よって、離型層120は、その全体が絶縁層230上に残って残留離型層121を形成できる。そのため、残留離型層121を含む中間複層体300を得ることができる。このように親和性の低い支持体110の材料と離型剤との組み合わせは、支持体110の材料及び離型剤の一方又は両方の組成を調整することにより、得ることができる。
ただし、支持体110の剥離によって前記の中間複層体300を得る方法は、前記の例に限定されない。
第五工程における酸化処理を受ける前の時点において、中間複層体300は、厚さ方向において、基板200、硬化した樹脂組成物層としての絶縁層230、残留離型層121、及び、離型面300Uを、この順に備える。この中間複層体300の離型面(即ち、残留離型層121側の面)300Uは、特定の水接触角θを有することが好ましい。具体的には、第五工程よりも前の離型面300Uの水接触角θは、好ましくは75°以上、より好ましくは80°以上、特に好ましくは85°以上であり、好ましくは110°以下、より好ましくは100°以下、特に好ましくは95°以下である。このように大きい水接触角θは、例えば、極性が小さい離型剤を用いた場合に得られうる。中間複層体300の離型面300Uが前記範囲の水接触角θを有する場合、残留離型層121は、酸化剤に対する高い耐性を有することができる。したがって、残留離型層121が絶縁層230を酸化剤から効果的に保護できるので、第五工程後の絶縁層230の面の粗度を効果的に小さくできる。
面の水接触角は、水接触角測定器(協和界面科学社製、Drop Master 「DMs−401」)を用いた真円法により、25℃において測定しうる。
第五工程よりも前の離型面300Uの水接触角θと、硬化前の樹脂組成物層130の離型層120側の面130U(図2参照)の水接触角θとの差の絶対値|θ−θ|は、特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、前記の絶対値|θ−θ|は、好ましくは8°以上、より好ましくは10°以上、特に好ましくは13°以上である。上限に制限は無いが、例えば、35°以下でありうる。
多くの場合、硬化前の樹脂組成物と離型剤とは、水に対する親和性が異なる。このような水に対する親和性の差は、残留離型層の表面としての離型面300Uの水接触角θと、硬化前の樹脂組成物層130の面130Uの水接触角θとの差に反映されうる。また、硬化前の樹脂組成物層130の水に対する親和性は、硬化後の絶縁層の水に対する親和性に相関しうる。よって、前記のように水接触角θと水接触角θとの間に差があることは、残留離型層121と絶縁層230との間に性状の差があることを表しうる。
硬化前の樹脂組成物層130の面130Uの水接触角は、例えば、下記の方法で測定できる。即ち、第二工程の後で、樹脂組成物層130を硬化させる前に、支持体110及び離型層120を剥離する。剥離により樹脂組成物層130の面130Uが露出しうるので、面130Uの水接触角を測定できる。
離型面300Uの水接触角θによれば、絶縁層230上に残留離型層121があることを確認しうる。一般に、離型剤が付着した面と付着していない面との間には、水接触角の差が生じうる。よって、離型剤が付着していない樹脂組成物層130の面130Uの水接触角θとの間に差がある水接触角θを離型面300Uが有している場合、その離型面300Uには離型剤が付着していることが分かるので、絶縁層230上に残留離型層121があることが分かる。具体的には、前記の絶対値|θ−θ|が、通常8°以上、より好ましくは10°以上、特に好ましくは13°以上である場合に、絶縁層230上に残留離型層121があると判定しうる。
また、水接触角を用いれば、剥離体400が剥離離型層122を含むことを確認しうる。第四工程で得られる剥離体400の離型層側の面400Dの水接触角θは、剥離離型層122の有無によって異なりうる。ここで、剥離体400の離型層側の面400Dとは、支持体110の剥離によって露出した面を表し、よって、支持体110の剥離前には残留離型層121と接していた面を表す。剥離体400の前記の面400Dを、適宜、剥離体400の「剥離面」400Dと呼ぶことがある。
剥離体400が剥離離型層122を含む場合、当該剥離体400は、厚さ方向において、支持体110、剥離離型層122及び剥離面400Dをこの順に備える。よって、この場合、剥離面400Dは、剥離離型層122の表面に相当しうる。そうすると、剥離面400Dは、同じく離型剤を含む層の表面に相当する中間複層体300の離型面300Uの水接触角θと同じ程度の水接触角θを有しうる。したがって、中間複層体300の離型面300Uの水接触角θと剥離体400の剥離面400Dの水接触角θとの差の絶対値|θ−θ|が小さい場合、剥離体400が剥離離型層122を含むことが分かる。具体的には、前記の絶対値|θ−θ|が、通常17°以下、好ましくは15°以下、更に好ましくは10°以下、特に好ましくは6°以下の場合に、剥離体400が剥離離型層122を含むと判定しうる。
他方、剥離体400が剥離離型層122を含まない場合、当該剥離体400は、厚さ方向において、支持体110及び剥離面400Dをこの順に備える。よって、この場合、剥離面400Dは、剥離離型層122の表面に相当しない。よって、剥離面400Dは、中間複層体300の離型面300Uの水接触角θと大きく異なる水接触角θを有しうる。したがって、中間複層体300の離型面300Uの水接触角θと剥離体400の剥離面400Dの水接触角θとの差の絶対値|θ−θ|が大きい場合、剥離体400が剥離離型層122を含まないことが分かる。具体的には、前記の絶対値|θ−θ|が、前記範囲外にある場合に、剥離体400が剥離離型層122を含まないと判定しうる。
第二工程の後で、樹脂組成物層130を硬化させる前に、支持体110及び離型層120を剥離して、支持体110及び離型層120を備える離型フィルム(図示せず。)を得る。この離型フィルムの離型層120側の面の水接触角θを用いても、剥離体400が剥離離型層122を含むことを確認しうる。
上述したように、剥離体400が剥離離型層122を含む場合、剥離離型層122の表面に相当する剥離面400Dは、同じく離型剤を含む離型層120の表面に相当する離型フィルムの離型層120側の面の水接触角θと同じ程度の水接触角θを有しうる。したがって、剥離体400の剥離面400Dの水接触角θと離型フィルムの離型層120側の面の水接触角θとの差の絶対値|θ−θ|が小さい場合、剥離体400が剥離離型層122を含むことが分かる。具体的には、前記の絶対値|θ−θ|が、通常13°以下、好ましくは10°以下、特に好ましくは8°以下の場合に、剥離体400が剥離離型層122を含むと判定しうる。
他方、剥離体400が剥離離型層122を含まない場合、上述したように、剥離離型層122の表面に相当しない剥離面400Dは、離型フィルムの離型層120側の面の水接触角θと大きく異なる水接触角θを有しうる。したがって、剥離体400の剥離面400Dの水接触角θと離型フィルムの離型層120側の面の水接触角θとの差の絶対値|θ−θ|が大きい場合、剥離体400が剥離離型層122を含まないことが分かる。具体的には、前記の絶対値|θ−θ|が、前記範囲外にある場合に、剥離体400が剥離離型層122を含まないと判定しうる。
ある面に離型層、残留離型層及び剥離離型層があることは、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によっても確認しうる。離型層、残留離型層又は剥離離型層がある面と無い面とでは、その表面形状が相違する。よって、SEMによる表面形状の観察によって、離型層、残留離型層及び剥離離型層があることを確認しうる。
[7.第五工程:酸化処理]
図6は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板500の製造方法の第五工程において、中間複層体300に酸化処理を行って得られるプリント配線板500を模式的に表す断面図である。本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、第四工程の後で、中間複層体300の離型面300Uに酸化剤を接触させる酸化処理を行って、図6に示すプリント配線板500を得る第五工程を行う。この酸化処理では、絶縁層230にホール140が形成されている場合には、通常、ホール140が形成されている部分を含む離型面300Uの全体に酸化剤を接触させる。
本実施形態に係る製造方法の第五工程においては、スミア除去性の改善と絶縁層の面の低粗度化との両方を達成することができる。このような効果が得られる仕組みを、本発明者は、下記の通りであると推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記の仕組みにより制限されない。
第五工程において、中間複層体300の離型面300Uに酸化剤が接触すると、ホール140が形成された位置では、酸化剤が、ホール140に進入する。ホール140に進入した酸化剤は、スミア240を酸化して除去する。中間複層体300の離型面300Uにおいて、ホール140が形成された位置には、残留離型層121は設けられていない。よって、酸化剤は、ホール140に円滑に浸入して、スミア240を効果的に除去できる。
他方、中間複層体300の離型面300Uにおいて、ホール140が形成されていない位置では、絶縁層230上に残留離型層121が設けられている。よって、絶縁層230が残留離型層121によって保護されているので、酸化剤は、絶縁層230にまで円滑に進入できない。詳細には、酸化剤は、通常、残留離型層121を酸化によって除去した後に、絶縁層230にまで進入する。絶縁層230にまで酸化剤が進入すると、絶縁層230の面230Uの粗化が進行するが、残留離型層121によって絶縁層230の酸化の進行が遅れさせられるので、絶縁層230の面230Uの粗化の進行は抑制される。したがって、酸化処理の後で得られる絶縁層230の面230Uの低粗度化を達成できる。酸化処理後の絶縁層230の面230Uを、適宜「粗化面」230Uということがある。また、通常、酸化剤による酸化によって残留離型層121が除去されるので、得られるプリント配線板500は残留離型層121を含まない。
酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトP」、「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。酸化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化剤を離型面300Uに接触させる方法は、特に限定されない。例えば、中間複層体300を、酸化剤に浸漬して、離型面300Uに酸化剤を接触させてもよい。また、酸化剤を離型面300Uに接触させる際の処理条件は、スミア240を除去できるように適切に設定することが好ましい。例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による酸化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤を、離型面300Uに10分間〜30分間接触させて行うことが好ましい。
第五工程は、前記の酸化処理の前に、中間複層体300の離型面300Uに膨潤液を接触させる膨潤処理を含むことが好ましい。膨潤液としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられる。膨潤液の中でも、アルカリ溶液が好ましく、水酸化ナトリウム溶液及び水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガントP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガントSBU」等が挙げられる。膨潤液は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、中間複層体300を、膨潤液に浸漬して、離型面300Uに膨潤液を接触させてもよい。膨潤液の温度は、絶縁層230の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、好ましくは30℃〜90℃であり、より好ましくは40℃〜80℃である。また、膨潤液を離型面300Uに接触させる時間は、絶縁層230の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、好ましくは1分間〜20分間であり、より好ましくは5分間〜15分間である。
第五工程は、前記の酸化処理の後に、得られたプリント配線板500の絶縁層230の粗化面230Uに中和液を接触させる中和処理を含むことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましい。市販されている中和液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中和液による中和処理は、特に限定されないが、例えば、プリント配線板500を、中和液に浸漬して、粗化面230Uに中和液を接触させてもよい。中和液の温度は、作業性の観点から、好ましくは30℃〜80℃であり、より好ましくは40℃〜70℃である。また、中和液を粗化面230Uに接触させる時間は、作業性の観点から、好ましくは5分間〜30分間であり、より好ましくは5分間〜20分間である。
第五工程によれば、基板200、絶縁層230及び粗化面230Uを厚さ方向でこの順に備えるプリント配線板500が得られる。そして、本実施形態では、粗化面230Uの低粗度化が達成できる。粗化面230Uの算術平均粗さRaは、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下、特に好ましくは150nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上でありうる。
プリント配線板500の粗化面230Uの算術平均粗さRaは、ホール140が形成されていない位置において、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより、測定範囲を121μm×92μmとして測定しうる。
絶縁層230にホール140が形成されている場合、第五工程によれば、当該ホール140内のスミア240を除去できる。よって、例えば、ホール140の底部の壁面からの最大スミア長を5μm未満と小さくできる。前記の最大スミア長は、ホール140の底部の周囲を、走査電子顕微鏡(SEM)にて観察して測定できる。また、ホール140の底部の壁面とは、ホール140における基板200に近い部分の壁面を表す。
[8.第七工程:導体層の形成]
図7は、本発明の第一実施形態に係るプリント配線板500の製造方法の第七工程において、導体層250を形成されたプリント配線板500を模式的に示す断面図である。図7に示すように、本発明の一実施形態に係るプリント配線板500の製造方法は、第五工程の後で導体層250を形成する第七工程を行ってもよい。第七工程では、通常、絶縁層230の粗化面230Uに導体層250を形成して、基板200、絶縁層230及び導体層250を厚み方向においてこの順に備えるプリント配線板500を得る。
導体層250に使用する導体材料は、特に限定されない。好適な実施形態では、導体層250は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種類以上の金属を含む。導体層250は、単金属層であってもよく、合金層であってもよい。合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種類以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層250の形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層;又は、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層;が好ましい。さらには、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層;又はニッケル・クロム合金の合金層;がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層250は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層を2層以上含む複層構造であってもよい。導体層250が複層構造である場合、絶縁層230と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層250の厚さは、所望のプリント配線板500のデザインによるが、一般に3μm〜35μm、好ましくは5μm〜30μmである。
導体層250は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の技術により絶縁層230の粗化面230Uにメッキして、所望の配線パターンを有する導体層250を形成することができる。中でも、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。
以下、導体層250をセミアディティブ法により形成する例を示す。まず、絶縁層230の面230Uに、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層250を形成することができる。
本実施形態に係る製造方法では、絶縁層230の粗化面230Uの低粗度化が達成されている。よって、導体層230が配線パターンを有する場合、当該配線パターンの微細化が可能である。
また、絶縁層230にホール140が形成されている場合、通常は、ホール140内にも導体層250が形成される。スミア240が効果的に除去されているので、ホール250内に形成される導体層250には、欠陥の形成が抑制される。
[9.変形例]
上述した実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、更に変更して実施してもよい。例えば、必要に応じて、上述した工程による絶縁層と導体層の形成を繰り返し行って、多層プリント配線板を製造してもよい。また、例えば、上述した第一工程〜第七工程以外の工程を行ってもよい。
[10.製造されるプリント配線板の用途]
上述した製造方法で製造されるプリント配線板は、広範な範囲の半導体装置に適用しうる。プリント配線板を備える半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
半導体装置は、例えば、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは、半導体を材料とする電気回路素子を任意に用いることができる。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されない。実装方法の例としては、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
[評価方法]
層の厚さは、浜松ホトニクス製「Optical Nano Gauge C12562」を用いた、カーブフィティング法により、25℃において測定した。測定を10カ所の測定点で行い、10点の平均値を求めることにより測定値とした。
(水接触角の測定方法)
面の水接触角は、水接触角測定器(協和界面科学社製、Drop Master 「DMs−401」)を用いた真円法により、25℃において測定した。測定を5か所の測定点で行い、5点の平均値を求めることにより測定値とした。
(絶縁層の面の算術平均粗さ(Ra値)の測定)
絶縁層の面の算術平均粗さ(Ra値)は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより、測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により求めた。測定を10か所の測定点で行い、10点の平均値を求めることにより測定値とした。
[製造例1.離型フィルム1の製造]
<酸変性ポリプロピレン樹脂(A−1)の製造>
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=99/1(質量比))280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gと、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gとを、それぞれ1時間かけて加えた。その後、1時間反応させた。反応終了後、得られた反応生成物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂を、さらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した。その後、樹脂を減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)を得た。
<酸変性ポリプロピレン樹脂(A−1)の水分散体の製造>
ヒーター付きの、密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用意した。この攪拌機のガラス容器に、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)と、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル(沸点171℃)と、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン(沸点134℃、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを仕込み、撹拌翼の回転速度300rpmとして撹拌した。撹拌時、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、樹脂が浮遊状態となっていることが確認された。そこで、この状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして、系内温度を140℃に保って、さらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。ガラス容器の内容物を、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)の水性分散体(不揮発成分濃度25質量%)を得た。濾過後のフィルター上には、残存樹脂はほとんどなかった。
<離型層形成用の液状組成物1の製造>
酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)の水性分散体を不揮発成分換算で100質量部と、ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製「JT−05」、ケン化率94.5%、重合度500、不揮発成分濃度8質量%)を不揮発成分換算で300質量部と、架橋剤としてのオキサゾリン基含有化合物の水性溶液(日本触媒社製エポクロス「WS−700」、不揮発成分濃度25質量%)を不揮発成分換算で7質量部とを混合し、さらに水を加えて最終不揮発成分濃度を6.0質量%に調整して、離型層形成用の液状組成物1を得た。
<離型フィルム1の製造>
平均粒径2.3μmの無定形シリカ粒子とポリエチレンテレフタレート(PET、重合触媒:三酸化アンチモン、固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:55℃)とを含む樹脂組成物を用意した。この樹脂組成物における無定形シリカ粒子の量は、0.08質量%であった。この樹脂組成物を280℃で溶融押し出しし、Tダイ法−静電ピニング方式でキャスティングドラムに密着させて急冷し、厚さ600μmの未延伸フィルムを得た。続いて、この未延伸フィルムを、90℃に加熱した縦延伸ロールで3.5倍に延伸して、縦延伸フィルムを得た。
縦延伸フィルムの片面に、リバースグラビアコーターを用いて、離型層形成用の液状組成物1を、5g/m(WET換算)の塗布量になるように塗布した。その後、横延伸テンターを用いて、縦延伸フィルムを120℃で4.5倍に延伸し、230℃で10秒間熱処理し、冷却し、巻き取って、支持体フィルム及び離型層を備える離型フィルム1を得た。得られた離型フィルム1の厚さは38μm、離型層の厚さはおよそ0.08μmであった。
[製造例2.離型フィルム2の製造]
<離型層形成用の液状組成物2の製造>
不揮発成分換算で300質量部のポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製「JT−05」)の代わりに、不揮発成分換算で500質量部のポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製「JL−05E」、ケン化率82.0%、重合度500、不揮発成分濃度8質量%)を用いた以外は、製造例1の工程「離型層形成用の液状組成物1の製造」と同じ方法により、離型層形成用の液状組成物2を製造した。
<離型フィルム2の製造>
離型層形成用の液状組成物1の代わりに、離形層形成用の液状組成物2を用いたこと以外は、製造例1の工程「離型フィルム1の製造」と同じ方法により、支持体フィルム及び離型層を備える離型フィルム2を得た。
[実施例1]
(1−1.樹脂シートの製造)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)6部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)9部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量288)21部、及び、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、不揮発成分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン5部の混合溶剤に、撹拌しながら加熱溶解させて、混合物を得た。室温にまで冷却した後、この混合物へ、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤(水酸基当量151、DIC社製「LA−3018−50P」、不揮発成分50%の2−メトキシプロパノール溶液)6部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発成分65質量%のトルエン溶液)20部、アミン系硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、不揮発成分5質量%のMEK溶液)2部、難燃剤(三光社製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、及び、無機充填材を170部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した。その後、この混合物を、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニスAを調製した。無機充填材としては、アミノシラン系カップリング剤(信越化学社製「KBM573」)で表面処理した球状シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)を用いた。
前記の樹脂ワニスAを、製造例1で得た離型フィルム1の離型層側の面に、ダイコーターを用いて均一に塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥させて、支持体フィルム、離型層及び樹脂組成物層をこの順に備える樹脂シート1を得た。樹脂シート1の樹脂組成物層の厚さは40μmであった。
(1−2.樹脂組成物層と内層回路基板とのラミネート)
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック電工社製「R1515A」)の両面を、メック社製「CZ8100」に浸漬して、銅表面の粗化処理を行った。これにより、内層回路基板を得た。
内層回路基板の両面に、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニチゴー・モートン社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂シート1をラミネートした。このラミネートは、樹脂シート1の樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように行った。また、このラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPa、30秒間のプレス条件で圧着することにより行った。
(1−3.樹脂組成物層の硬化)
樹脂組成物層と内層回路基板とのラミネートの後で、支持体フィルムを付けたまま、130℃で30分、さらに170℃で30分の硬化条件で樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層を形成した。これにより、支持フィルム、離型層、絶縁層及び内層回路基板をこの順で備える評価サンプルを得た。絶縁層の内層回路上の厚さは、40μmであった。
(1−4.支持体フィルムの剥離)
評価サンプルを室温(約25℃)まで冷却し、支持体フィルムを剥離して、中間複層体及び剥離体を得た。
(1−5.絶縁層の酸化処理)
中間複層体を、膨潤液(アトテックジャパン社のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガントP)に60℃で10分間浸漬し、次に、酸化剤としての粗化液(アトテックジャパン社のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液))に80℃で20分間浸漬し、その後に、中和液(アトテックジャパン社のリダクションショリューシン・セキュリガントP)に40℃で5分間浸漬して、プリント配線板を得た。プリント配線板を、80℃で30分乾燥した。
(1−6.評価)
前記の工程(1−2)の後、工程(1−3)の前に、離型フィルムを部分的に剥がした。離型フィルムの樹脂組成物層に接していた側の面(即ち、離型フィルムの離型層側の面)をSEMで観察し、当該面に離型層があることを確認した。また、この面の水接触角θ1を、上述した方法で測定した。
さらに、離型フィルムが剥がされて露出した樹脂組成物層の面(即ち、硬化前の樹脂組成物層の離型層側の面)をSEMで観察し、当該面に離型層がないことを確認した。また、この面の水接触角θ2を、上述した方法で測定した。
前記の工程(1−4)の後、工程(1−5)の前に、支持フィルムが剥がされて露出した絶縁層の面(即ち、中間複層体の離型面)をSEMで観察し、当該面に離型層があることを確認した。また、この面の水接触角θ3を、上述した方法で測定した。
さらに、剥離体の絶縁層に接していた側の面(即ち、剥離体の剥離面)をSEMで観察し、当該面に離型層があることを確認した。また、この面の水接触角θ4を、上述した方法で測定した。
前記の工程(1−5)の後で、プリント配線板の絶縁層の粗化面(酸化処理を施された面)の算術平均粗さ(Ra値)を、上述した方法で測定した。
(1−7.ビアホールの形成及び評価)
前記の工程(1−3)で得た評価サンプルの支持フィルム側の面にレーザー光を照射した。レーザー光の照射は、ビアメカニクス社製CO2レーザー加工機(LK−2K212/2C)を使用し、周波数2000Hzでパルス幅3μ秒、出力0.95W、ショット数3の条件で行った。これにより、支持フィルム、離型層及び絶縁層を貫通するビアホールが形成された。絶縁層表面におけるビアホールのトップ径(直径)は50μm、絶縁層底面におけるビアホールの直径は40μmであった。トップ径とは、ビアホールの開口部の径を表す。さらにその後、支持フィルムを剥離して、内層回路基板、絶縁層及び残留離型層を備える中間複層体を得た。得られた中間複層体を前記の工程(1−5)と同じ条件で膨潤液、粗化液及び中和液に浸漬し、ビアホールの底のスミアの除去を行った。スミア除去性を、下記要領にて評価した。
<スミア除去性の評価>
ビアホールの底部の周囲を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察した。得られた画像から、ビアホール底部の壁面からの最大スミア長を測定した。この最大スミア長に基づき、スミア除去性を以下の基準で評価した。
「良」:最大スミア長が5μm未満。
「不良」:最大スミア長が5μm以上。
[実施例2]
製造例1で得た離型フィルム1の代わりに、製造例2で得た離型フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1、θ3及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2を測定された面には離型層がないことを確認した。
[実施例3]
樹脂組成物層を熱硬化する工程での硬化条件を、100℃で30分、さらに170℃で30分の条件に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1、θ3及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2を測定された面には離型層がないことを確認した。
[実施例4]
樹脂組成物層を熱硬化する工程での硬化条件を、170℃で30分の条件に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1、θ3及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2を測定された面には離型層がないことを確認した。
[実施例5]
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬社製「NC000H」)30部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC社製「HP−700」)5部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱ケミカル社製「jER828EL」)15部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱ケミカル社製「YL7553BH30」、不揮発成分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)2部を、MEK8部及びシクロヘキサノン8部の混合溶剤に、撹拌しながら加熱溶解させて、混合物を得た。この混合物へ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(フェノール性水酸基当量約124、DIC社製「LA−7054」、不揮発成分60質量%のMEK溶液)32部、リン系硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP−DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩)0.2部、無機充填材160部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(重量平均分子量27000、ガラス転移温度105℃、積水化学工業社製「KS−1」、不揮発成分15質量%のエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶液)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスBを調製した。無機充填材としては、アミノシラン系カップリング剤(信越化学社製「KBM573」)で表面処理した球状シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)を用いた。樹脂ワニスB中の不揮発成分の合計質量を100質量%としたとき、無機充填材(球状シリカ)の含有量は、69.5質量%であった。
実施例1で調製した樹脂ワニスAの代わりに、前記の樹脂ワニスBを用いた。また、製造例1で得た離型フィルム1の代わりに、製造例2で得た離型フィルム2を用いた。さらに、樹脂組成物層を熱硬化する工程での硬化条件を、100℃で30分、さらに170℃で30分の硬化条件に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1、θ3及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2を測定された面には離型層がないことを確認した。
[実施例6]
内層回路基板の両面に樹脂シート1をラミネートする工程でのプレス条件を、100℃、圧力1kgf/cm(0.098MPa)、30秒間に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1、θ3及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2を測定された面には離型層がないことを確認した。
[実施例7]
内層回路基板の両面に樹脂シート1をラミネートする工程でのプレス条件を、80℃、圧力1kgf/cm(0.098MPa)、30秒間に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1、θ3及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2を測定された面には離型層がないことを確認した。
[比較例1]
樹脂組成物層を熱硬化する工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。比較例1では、樹脂組成物層の熱硬化を行わなかったので、水接触角θ3は、支持体フィルムが剥がされて露出した未硬化の樹脂組成物層の面(離型面に相当する)の水接触角を表す。また、水接触角θ4は、樹脂組成物層を硬化させない状態で支持フィルムを剥離して得られた剥離体の、樹脂組成物層に接していた側の面(剥離面に相当する面)の水接触角を表す。また、SEMでの観察により、水接触角θ1及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2及びθ3を測定された面には離型層がないことを確認した。さらに、比較例1では、酸化処理によって樹脂組成物層がダメージを受け、算術平均粗さ(Ra値)を測定できなかった。
[比較例2]
製造例1で得た離型フィルム1の代わりに、離型フィルム3(リンテック社製「AL−5」;支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムと、アルキッド系離型層とを備える複層フィルム)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、プリント配線板の製造、水接触角θ1〜θ4の測定、及び、算術平均粗さ(Ra値)の測定を行った。また、SEMでの観察により、水接触角θ1及びθ4を測定された面には離型層があり、水接触角θ2及びθ3を測定された面には離型層がないことを確認した。
[結果]
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
θ1:樹脂組成物層の硬化前に剥がされた離型フィルムの、離型層側の面の水接触角。このθ1は、水接触角θに相当する。
θ2:樹脂組成物層の硬化前に離型フィルムが剥がされて現れた、樹脂組成物層の面の水接触角。このθ2は、水接触角θに相当する。
θ3:樹脂組成物層の硬化後に支持フィルムが剥がされて現れた、絶縁層の面の水接触角。このθ3は、水接触角θに相当する。
θ4:樹脂組成物層の硬化後に剥がされた支持体を含む剥離体の、絶縁層に接していた側の面の水接触角。このθ4は、水接触角θに相当する。
Ra:酸化処理後の絶縁層の粗化面の算術平均粗さ。
Figure 2021141133
100 樹脂シート
110 支持体
120 離型層
121 残留離型層
122 剥離離型層
130 樹脂組成物層
130U 硬化前の樹脂組成物層の離型層側の面
140 ホール
200 基板
230 絶縁層(硬化した樹脂組成物層)
230U 絶縁層の粗化面
240 スミア
250 導体層
300 中間複層体
300U 中間複層体の離型面
400 剥離体
400D 剥離体の剥離面
500 プリント配線板

Claims (7)

  1. 支持体、離型層、及び、樹脂組成物層をこの順で備える樹脂シートを用意する第一工程と、
    前記樹脂組成物層と基板とをラミネートする第二工程と、
    前記樹脂組成物層を硬化する第三工程と、
    前記支持体を剥離して、前記基板、前記樹脂組成物層、及び、前記離型層の少なくとも一部、をこの順に備える中間複層体を得る第四工程と、
    前記中間複層体の前記離型層側の面に、酸化剤を接触させる第五工程と、をこの順に含む、プリント配線板の製造方法。
  2. 前記第三工程より後、前記第五工程よりも前に、前記樹脂組成物層にホールを形成する第六工程を含む、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 前記第四工程において剥離された前記支持体に、前記離型層の一部が付着している、請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 前記第四工程において、前記離型層が、当該離型層の内部で破壊されることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 前記中間複層体の前記離型層側の面の水接触角が、75°以上110°以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 前記中間複層体の前記離型層側の面の水接触角と、前記第四工程において剥離された前記支持体を含む剥離体の前記離型層側の面の水接触角と、の差の絶対値が、17°以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 第五工程の後で導体層を形成する第七工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
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