JP2021140858A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極板が伸びても正極板と負極ストラップとの短絡を抑制する。【解決手段】正極活物質22が充填された正極格子部23と正極格子部23の上端面23dから突出した正極耳部24とを含む正極格子体21をそれぞれ有する複数の正極板20と、負極活物質32が充填された負極格子部33と負極格子部33の上端面33dから突出した負極耳部34とを含む負極格子体31をそれぞれ有する複数の負極板30と、複数の正極板20のそれぞれの正極耳部24に集合溶接された正極ストラップ15と、複数の負極板30のそれぞれの負極耳部34に集合溶接された負極ストラップ16と、を備え、正極格子部23の上端面23dは、負極ストラップ16と対向する対向領域αを有し、対向領域αの少なくとも一部が絶縁被覆されている。【選択図】図5

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
一般に、鉛蓄電池では、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層され、正極板及び負極板の集電部が極性毎にストラップに集合溶接され、ストラップにセル間接続部又は極柱が接続されて、電極群が構成されている。
特開平8−130030号公報
しかしながら、鉛蓄電池は、使用期間が長くなると、正極板が伸びて負極のストラップと短絡することがある。
ところで、特許文献1には、ストラップ部と耳部との接触部周囲の腐食を防止するために、ストラップ部の全体及び耳部の一部を樹脂モールドする技術が記載されている。特許文献1に記載された技術では、ストラップ部の全体が樹脂モールドされるため、長期間の使用により正極板が伸びても、正極板が負極のストラップと接触することにより生じる短絡を防止することができる。しかしながら、鉛蓄電池を製造する際に、隣り合うセルに挿入された正極側の極板群と負極側の極板群とを貫通溶接するが、ストラップ部の全体が樹脂モールドされていると、このような貫通溶接を行うことが難しくなる。また、鉛蓄電池を製造する際に、極板群の短絡検査を行うが、ストラップ部の全体が樹脂モールドされていると、このような短絡検査を行うことが難しくなる。このため、特許文献1に記載された技術は、正極板の短絡を抑制するという観点からは、必ずしも実用的であるとはいえない。
そこで、本発明は、正極板が伸びても正極板と負極ストラップとの短絡を抑制することができる鉛蓄電池を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、正極活物質が充填された正極格子部と正極格子部の上端面から突出した正極耳部とを含む正極格子体をそれぞれ有する複数の正極板と、負極活物質が充填された負極格子部と負極格子部の上端面から突出した負極耳部とを含む負極格子体をそれぞれ有する複数の負極板と、複数の正極板のそれぞれの正極耳部に集合溶接された正極ストラップと、複数の負極板のそれぞれの負極耳部に集合溶接された負極ストラップと、を備え、正極格子部の上端面は、負極ストラップと対向する対向領域を有し、対向領域の少なくとも一部が絶縁被覆されている。
この鉛蓄電池では、長期間の使用により正極板が伸びていくと、正極格子部が負極ストラップに近づいていく。しかしながら、正極格子部の上端面において、負極ストラップと対向する対向領域の少なくとも一部が絶縁被覆されているため、正極板が伸びても、正極板と負極ストラップとの間の短絡を抑制することができる。これにより、鉛蓄電池の長寿命化を図ることができる。
対向領域の全てが絶縁被覆されていてもよい。この鉛蓄電池では、対向領域の全てが絶縁被覆されているため、正極板が伸びても、正極板と負極ストラップとの間の短絡を更に抑制することができる。
正極格子部の上端面において、対向領域から正極耳部とは反対側の先端までの領域が絶縁被覆されていてもよい。この鉛蓄電池では、正極格子部の上端面において、対向領域から正極耳部とは反対側の先端までの領域が絶縁被覆されているため、正極板が伸びても、正極板と負極ストラップとの間の短絡を更に抑制することができる。
正極格子部は、上端面に隣接する一対の対向する側面を有し、上端面から一対の側面にわたる領域が絶縁被覆されていてもよい。この鉛蓄電池では、上端面から一対の側面にわたる領域が絶縁被覆されているため、正極板が不規則に伸びても、正極板と負極ストラップとの間の短絡を抑制することができる。
対向領域の少なくとも一部は、複数の正極板のそれぞれに設けられた絶縁体により絶縁被覆されていてもよい。この鉛蓄電池では、対向領域の少なくとも一部が複数の正極板のそれぞれに設けられた絶縁体により絶縁被覆されているため、鉛蓄電池を容易に組み立てることができる。
対向領域の少なくとも一部は、複数の正極板及び複数の負極板に固定された絶縁体により絶縁被覆されていてもよい。この鉛蓄電池では、対向領域の少なくとも一部が複数の正極板及び複数の負極板に固定された絶縁体により絶縁被覆されているため、複数の正極板20及び複数の負極板30が互いに固定された状態となる。これにより、各正極板の伸びを抑制することができる。
絶縁体は、正極ストラップを絶縁被覆していなくてもよい。この鉛蓄電池では、絶縁体が正極ストラップを絶縁被覆していないため、鉛蓄電池を製造する際に、貫通溶接、短絡検査等を容易に行うことができる。これにより、鉛蓄電池の製造容易性を確保することができる。
絶縁体は、正極耳部を絶縁被覆していなくてもよい。この鉛蓄電池では、絶縁体が正極耳部を絶縁被覆していないため、絶縁体を容易に設けることができる。
正極格子体は、エキスパンド格子体であってもよい。この鉛蓄電池では、正極格子体がエキスパンド格子体であるため、正極板を容易に製造することができる。なお、エキスパンド格子体は、長期間の使用により伸びやすい性質を有するが、上述したように対向領域の少なくとも一部が絶縁被覆されているため、正極板と負極ストラップとの間の短絡を抑制することができる。
ところで、正極耳部は、正極ストラップを介して鉛蓄電池の電槽に固定されているため、長期間の使用に伴う正極板の伸びは、正極耳部に近づくほど小さくなるとともに、正極耳部から離れるほど大きくなる。そこで、正極板の幅方向において、正極耳部の幅方向中心は、正極板を幅方向に4等分した際の中央側の2つの領域に位置してもよい。この鉛蓄電池では、正極耳部の幅方向中心が正極板を幅方向に4等分した際の中央側の2つの領域に位置するため、正極格子部の上端面における正極耳部から先端までの距離を、正極耳部の幅方向中心が残りの2つの領域に位置する場合に比べて短くすることができる。これにより、長期間の使用に伴う正極板の伸びを全体的に小さくすることができる。
本発明によれば、正極板が伸びても正極板と負極ストラップとの短絡を抑制することができる。
一実施形態に係る鉛蓄電池の全体構造及び内部構造を示す斜視図である。 図1に示した鉛蓄電池の電極群を示す斜視図である。 正極板(負極板)を示す正面図である。 一実施形態に係る正極格子体を示す正面図である。 正極板を示す正面図である。 正極板を示す平面図である。 変形例の正極板を示す平面図である。 変形例の正極板を示す平面図である。 変形例の正極板を示す平面図である。 変形例の正極板を示す平面図である。 実施例1及び比較例1の試験結果を示す表である。
以下、図面を参照して、本発明の一側面に係る鉛蓄電池の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
<鉛蓄電池>
図1は、一実施形態に係る鉛蓄電池1の全体構成及び内部構造を示す斜視図である。図1に示すように、鉛蓄電池1は、上面が開口している電槽2と、電槽2の開口を閉じる蓋3とを備えている。電槽2及び蓋3は、例えばポリプロピレンで形成されている。蓋3には、負極端子4と、正極端子5と、蓋3に設けられた注液口を閉塞する液口栓6と、が設けられている。
電槽2の内部には、電極群7と、電極群7を負極端子4に接続する負極柱8と、電極群7を正極端子5に接続する正極柱(図示せず)と、希硫酸等の電解液とが収容されている。
図2は、電極群7を示す斜視図である。図2に示すように、電極群7は、複数の正極板20と、複数の負極板30と、正極ストラップ15と、負極ストラップ16と、正極板20と負極板30との間に配置されたセパレータ11と、を備える。
図3は、正極板20(負極板30)を示す正面図である。図3に示すように、複数の正極板20のそれぞれは、正極格子体(正極集電体)21と、正極活物質(正極材)22と、を有している。正極格子体21は、正極板20の格子体であり、正極格子部23と、正極格子部23と一体で構成され、正極格子部23の上端面23dから突出した正極耳部24と、を有している。正極活物質22は、正極板20の活物質であり、正極格子体21に保持されている。複数の負極板30のそれぞれは、負極格子体(負極集電体)31と、負極活物質(負極材)32と、を有している。負極格子体31は、負極板30の格子体であり、負極格子部33と、負極格子部33と一体で構成され、負極格子部33の上端面33dから突出した負極耳部34と、を有している。負極活物質32は、負極板30の活物質であり、負極格子体31に保持されている。正極格子体21及び負極格子体31は、鉛合金で形成されている。鉛合金は、鉛に加えて、スズ、カルシウム、アンチモン、セレン、銀、ビスマス等を含有する合金であってよく、具体的には、例えば、鉛、スズ及びカルシウムを含有する合金(Pb−Sn−Ca系合金)である。
正極板20の幅方向Wにおける正極耳部24の位置は、特に限定されるものではないが、正極板20の幅方向Wにおいて、正極耳部24の幅方向中心24aは、正極板20を幅方向Wに4等分した際の中央側の2つの領域に位置することが好ましく、正極板20を幅方向Wに3等分した際の中央の領域に位置することが更に好ましい。また、負極板30の幅方向Wにおける負極耳部34の位置は、特に限定されるものではないが、負極板30の幅方向Wにおいて、負極耳部34の幅方向中心34aは、負極板30を幅方向Wに4等分した際の中央側の2つの領域に位置することが好ましく、負極板30を幅方向Wに3等分した際の中央の領域に位置することが更に好ましい。
電極群7は、複数の正極板20と負極板30とが、セパレータ11を介して、電槽2の開口面と略平行方向に交互に積層された構造を有している。すなわち、正極板20及び負極板30は、それらの主面が電槽2の開口面と垂直方向に広がるように配置されている。セパレータ11は、正極板20が挿入される袋状のものであってよく、正極板20と負極板30との間に配置されるシート状のものであってもよい。
正極ストラップ15は、複数の正極板20のそれぞれの正極耳部24に集合溶接されている。負極ストラップ16は、複数の負極板30のそれぞれの負極耳部34に集合溶接されている。このため、電極群7において、複数の正極板20は、正極ストラップ15に集合溶接されることで、正極の極板群を構成している。また、電極群7において、複数の負極板30は、負極ストラップ16に集合溶接されることで、負極の極板群を構成している。
続いて、鉛蓄電池1の製造方法について説明する。鉛蓄電池1の製造方法は、電極板(正極板20及び負極板30)を得る電極板製造工程と、電極板を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池1を得る組立工程とを備えている。
電極板製造工程では、例えば、正極板20及び負極板30のそれぞれについて、電極材ペースト(負極材ペースト及び正極材ペースト)を格子体(正極格子体21及び負極格子体31)に保持させた(充填した)後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極板を得る。
正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料(鉛粉、鉛丹(Pb3O4)等)に添加剤(補強用短繊維等)及び水を加え、次いで、希硫酸を加えて混練することにより得られる。この正極材ペーストを正極格子体21に保持させた(充填した)後に、例えば、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間熟成し、温度45〜80℃で15〜30時間乾燥することにより、未化成の正極板が得られる。
負極材ペーストは、例えば、負極活物質の原料(鉛粉等)に添加剤(炭素材料、硫酸バリウム、補強用短繊維、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂等)を添加して乾式混合することにより混合物を得た後、希硫酸及び水を加えて混練することにより得られる。この負極材ペーストを集電体に保持させた(充填した)後に、例えば、温度45〜65℃、湿度70〜98RH%の雰囲気で15〜30時間熟成し、温度45〜60℃で15〜30時間乾燥することにより、未化成の負極板が得られる。
組立工程では、例えば、未化成の負極板及び未化成の正極板を、セパレータ11を介して交互に積層し、正極格子体21の正極耳部24同士を正極ストラップ15で連結(溶接等)させるとともに、負極格子体31の負極耳部34同士を負極ストラップ16で連結(溶接等)させて、電極群7を得る。この電極群7を電槽2内に配置して未化成の電池を作製する。次に、未化成の電池に電解液(希硫酸等)を注入した後、直流電流を通電して電槽化成する。化成後の電解液の比重を適切な比重に調整して鉛蓄電池1が得られる。
化成条件及び硫酸の比重は、電極活物質の性状に応じて調整することができる。化成処理は、組立工程後に実施される代わりに、電極板製造工程における熟成及び乾燥後の多数の電極板をまとめて化成槽に浸漬して実施されてもよい(タンク化成)。
<正極格子体>
続いて、上述した鉛蓄電池1の正極板20に用いられる正極格子体21について、より詳細に説明する。なお、本実施形態において、負極格子体31は、正極格子体21と基本的に同じ形状であるため、その詳細な説明を省略する。但し、負極格子体31は、正極格子体21と同じ形状である必要はない。
図4は、一実施形態に係る正極格子体を示す正面図である。図4に示すように、正極格子体21は、エキスパンド方式で得られるエキスパンド格子体である。
正極格子体21の正極格子部23は、正極格子部23の上部に位置する細長状の上枠骨23aと、正極格子部23の下部に位置し、上枠骨23aの長手方向に延びる細長状の下枠骨23bと、上枠骨23a及び下枠骨23bの間に格子状に配置された格子骨23cと、から構成されて、略矩形の外形を有している。上枠骨23aの細長状の上面は、正極格子部23の上端面23dを形成している。上枠骨23aの細長状の一対の対向する側面は、正極格子部23の上端面23dに隣接する一対の対向する側面23e,23eを形成している。格子骨23cは、金属薄板に千鳥状の切れ目を入れて広げることにより、菱形等の網目状に形成されている。
正極格子体21の正極耳部24は、細長い略矩形状に形成されており、正極格子体21の上端面23dの一部から上方(上枠骨23aに対する下枠骨23b及び格子骨23cとは反対側)に、上枠骨23aの長手方向と略垂直に突出している。
ここで、鉛蓄電池1の長期間の使用による正極板20の伸びについて説明する。図5は、正極板を示す正面図である。図6は、正極板を示す平面図である。図2、図5及び図6に示すように、各正極板20の正極格子部23の上方には、負極ストラップ16が配置されている。各正極格子部23の上端面23dは、負極ストラップ16側に面しており、それぞれ負極ストラップ16と対向する対向領域αを有する。図5に示すように、鉛蓄電池1を長期間使用していると、各正極格子部23の上端面23dが負極ストラップ16に近づくように、各正極板20が伸びていく。そして、最終的には、各正極格子部23の上端面23dが負極ストラップ16に当接する。なお、各正極板20の正極耳部24は、正極ストラップ15に集合溶接されて電槽2(図1参照)に固定されているため、各正極板20の伸びは、正極耳部24に近いほど小さく、正極耳部24から離れるほど大きくなる。
そこで、本実施形態では、鉛蓄電池1の長期間の使用により各正極板20が伸びても、各正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を抑制することができるように、対向領域αの少なくとも一部が絶縁被覆されている。この絶縁被覆の方法は、特に限定されないが、本実施形態では、絶縁体25により絶縁被覆するものとして説明する。絶縁体25としては、例えば、正極格子部23に固定(固着)された樹脂硬化物、正極格子部23にラミネートされた樹脂フィルム、正極格子部23に固定された樹脂成型品を用いることができる。絶縁体25に用いる樹脂としては、例えば、ポリα−オレフィン、ポリプロピレンが挙げられる。図6では、対向領域αを斜め格子のハッチングで示し、絶縁体25により絶縁被覆されている領域をグレーのハッチングで示す。
絶縁体25は、複数の正極板20のそれぞれに設けられていてもよく、複数の正極板20に一つのみ設けられていてもよい。絶縁体25が複数の正極板20のそれぞれに設けられる場合、対向領域αの少なくとも一部は、複数の正極板20のそれぞれに設けられた絶縁体25により絶縁被覆される。絶縁体25が複数の正極板20に一つのみ設けられている場合、絶縁体25は、複数の正極板20(正極の極板群)に固定(固着)されているものとすることができ、更には、複数の負極板30(負極の極板群)にも固定(固着)されているものとすることができる。
絶縁被覆する領域は、鉛蓄電池1の長期間の使用により各正極板20が伸びた際に、負極ストラップ16に当接する領域であることが好ましい。一般に、各正極板20は、鉛蓄電池1の長期間の使用により不規則に伸びていく。このため、事前に、負極ストラップ16に当接する位置を正確に把握することは難しい。しかしながら、正極格子部23の上端面23dは上方に向けて延びる傾向にあるため、対向領域αの何れかの部分が負極ストラップ16に当接する可能性が高いと考えられる。このため、対向領域αの少なくとも一部を絶縁被覆しておけば、長期間の使用により各正極板20が伸びた際に、各正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を防止できる可能性が高いと考えられる。
絶縁体25は、図6に示すように、対向領域αの全てを絶縁被覆していてもよく、図7に示すように、対向領域αを超えて正極耳部24とは反対側に延びる領域を絶縁被覆していてもよく、図8に示すように、対向領域αから正極耳部24とは反対側の先端までの領域を絶縁被覆していてもよく、図9に示すように、正極耳部24側の先端から正極耳部24とは反対側の先端までの領域を絶縁被覆していてもよい。なお、上端面23dにおける、正極耳部24の対向領域αとは反対側の領域は、負極ストラップ16との短絡に関係がないため、絶縁被覆してもよく、絶縁被覆しなくてもよい。
また、絶縁部26は、図10に示すように、絶縁体25は、上端面23dから一対の側面23e,23eにわたる領域を被覆していてもよい。この場合、一対の側面23e,23eにおいては、少なくとも上端面23d側の上端領域が絶縁被覆されていればよい。
なお、絶縁部26は、正極格子部23のみを被覆し、正極ストラップ15を絶縁被覆していないことが好ましい。絶縁部26は、正極耳部24を絶縁被覆していないことが好ましいが、正極耳部24の一部を絶縁被覆していてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る鉛蓄電池1では、長期間の使用により正極板20が伸びていくと、正極格子部23が負極ストラップ16に近づいていく。しかしながら、正極格子部23の上端面23dにおいて、負極ストラップ16と対向する対向領域αの少なくとも一部が絶縁被覆されているため、各正極板20が伸びても、正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を抑制することができる。これにより、鉛蓄電池1の長寿命化を図ることができる。
また、対向領域αの全てが絶縁被覆されているものとすることで、正極板20が伸びても、正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を更に抑制することができる。
また、正極格子部23の上端面23dにおいて、対向領域αから正極耳部24とは反対側の先端までの領域が絶縁被覆されているものとすることで、正極板20が伸びても、正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を更に抑制することができる。
また、上端面23dから一対の側面23e,23eにわたる領域が絶縁被覆されているものとすることで、正極板20が不規則に伸びても、正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を抑制することができる。
また、対向領域αの少なくとも一部が複数の正極板20のそれぞれに設けられた絶縁体25により絶縁被覆されているものとすることで、鉛蓄電池1を容易に組み立てることができる。
一方、対向領域αの少なくとも一部が複数の正極板20及び複数の負極板30に固定された絶縁体25により絶縁被覆されているものとすることで、複数の正極板20及び複数の負極板30が互いに固定された状態となる。これにより、各正極板20の伸びを抑制することができる。
また、絶縁体25が正極ストラップ15を絶縁被覆していないものとすることで、鉛蓄電池1を製造する際に、貫通溶接、短絡検査等を容易に行うことができる。これにより、鉛蓄電池1の製造容易性を確保することができる。
また、絶縁体25が正極耳部24を絶縁被覆していないものとすることで、絶縁体25を容易に設けることができる。
また、正極格子体21がエキスパンド格子体であるものとすることで、正極板20を容易に製造することができる。なお、エキスパンド格子体は、長期間の使用により伸びやすい性質を有するが、上述したように対向領域αの少なくとも一部が絶縁被覆されているため、正極板20と負極ストラップ16との間の短絡を抑制することができる。
また、正極耳部24の幅方向中心24aが正極板20を幅方向Wに4等分した際の中央側の2つの領域に位置するものとすることで、正極格子部23の上端面23dにおける正極耳部24から先端までの距離を、正極耳部24の幅方向中心24aが残りの2つの領域に位置する場合に比べて短くすることができる。これにより、長期間の使用に伴う正極板20の伸びを全体的に小さくすることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
正極板格子体及び負極板格子体としてエキスパンド格子体を用いた。正極板と負極板とをセパレータを介して交互に積層し、複数の正極板の正極耳部を正極ストラップで集合溶接して正極の極板群を作製し、複数の負極板の負極耳部を負極ストラップで集合溶接して負極の極板群を作製した。複数の正極板及び複数の負極板が互いに固着されるように正極及び負極の極板群に樹脂を塗布し、この樹脂により正極格子部の上端面を絶縁被覆した。この樹脂は、図7に示すように、対向領域を超えて正極耳部とは反対側に延びる領域に塗布した。その後、従来の方法で、鉛蓄電池を作製した。
(比較例1)
正極及び負極の極板群に樹脂を塗布しない点を除き、実施例1と同じ条件で鉛蓄電池を作製した。
(評価)
実施例1及び比較例1の鉛蓄電池に対して、JIS D 5301に基づいた重負荷寿命試験を行い、正極板の伸びによる短絡の有無を確認した。図11に、試験結果を示す。図11に示すように、正極格子部の上端面を絶縁被覆することで、正極板の伸びによる短絡を防止することができた。
1…鉛蓄電池、2…電槽、3…蓋、4…負極端子、5…正極端子、6…液口栓、7…電極群、8…負極柱、11…セパレータ、15…正極ストラップ、16…負極ストラップ、20…正極板、21…正極格子体、22…正極活物質、23…正極格子部、23a…上枠骨、23b…下枠骨、23c…格子骨、23d…上端面、23e…側面、24…正極耳部、24a…正極耳部の幅方向中心、25…絶縁体、26…絶縁部、30…負極板、31…負極格子体、32…負極活物質、33…負極格子部、33d…上端面、34…負極耳部、34a…負極耳部の幅方向中心、α…対向領域。

Claims (10)

  1. 正極活物質が充填された正極格子部と前記正極格子部の上端面から突出した正極耳部とを含む正極格子体をそれぞれ有する複数の正極板と、
    負極活物質が充填された負極格子部と前記負極格子部の上端面から突出した負極耳部とを含む負極格子体をそれぞれ有する複数の負極板と、
    前記複数の正極板のそれぞれの前記正極耳部に集合溶接された正極ストラップと、
    前記複数の負極板のそれぞれの前記負極耳部に集合溶接された負極ストラップと、を備え、
    前記正極格子部の前記上端面は、前記負極ストラップと対向する対向領域を有し、
    前記対向領域の少なくとも一部が絶縁被覆されている、
    鉛蓄電池。
  2. 前記対向領域の全てが絶縁被覆されている、
    請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記正極格子部の前記上端面において、前記対向領域から前記正極耳部とは反対側の先端までの領域が絶縁被覆されている、
    請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記正極格子部は、前記上端面に隣接する一対の対向する側面を有し、
    前記上端面から前記一対の側面にわたる領域が絶縁被覆されている、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の鉛蓄電池。
  5. 前記対向領域の少なくとも一部は、前記複数の正極板のそれぞれに設けられた絶縁体により絶縁被覆されている、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の鉛蓄電池。
  6. 前記対向領域の少なくとも一部は、前記複数の正極板及び前記複数の負極板に固定された絶縁体により絶縁被覆されている、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の鉛蓄電池。
  7. 前記絶縁体は、前記正極ストラップを絶縁被覆していない、
    請求項5又は6に記載の鉛蓄電池。
  8. 前記絶縁体は、前記正極耳部を絶縁被覆していない、
    請求項5又は6に記載の鉛蓄電池。
  9. 前記正極格子体は、エキスパンド格子体である、
    請求項1〜7の何れか一項に記載の鉛蓄電池。
  10. 前記正極板の幅方向において、前記正極耳部の幅方向中心は、前記正極板を幅方向に4等分した際の中央側の2つの領域に位置する、
    請求項1〜9の何れか一項に記載の鉛蓄電池。
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