以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
まず、コイン処理装置について、図1を用いて説明する。図1は、コイン処理装置の斜視図である。一般に使用されているコインは、複数の金種によって構成される。コインは、サイズ、材質、デザインなどの要素が金種毎に異なっている。コイン処理装置は、コインを識別して金種毎に分けて収納することができる。また、収納されたコインを、払出すことができる。
コイン処理装置1は、投入口3からコインを入れ、内部で金種を識別し、金種毎に格納する。また、必要に応じて格納されているコインを、コイン処理装置1の下面側に設けられた排出口6から排出する。投入口3は、少なくともコイン2枚以上を厚み方向に重ねて同時に入れられる幅がある。すなわち、コイン投入口である投入口3は、2枚以上の複数枚のコインを厚み方向に重ねた状態で投入口3へ投入可能である。コインを2〜10枚程度重ねて入れられる開口部があることが好ましい。一度に多くのコインが入れば、利用者にとってコインの投入が一度で済むので、利便性が高いからである。その反面、異物が混入する可能性が高くなる。
コイン処理装置1は、外装2によって外側が覆われている。コイン処理装置1の一つの面に、コインを投入する投入口3が設けられている。また、コイン処理装置1の下面であって投入口3が設けられている面側に、排出口6が設けられている。また、コイン処理装置1は、第1メンテナンス扉4、第2メンテナンス扉5が設けられ、外装2を外さなくとも、内部の機構等をメンテナンスすることができる。各扉にはロック装置が設けられ、鍵を持つ者によりメンテナンスができる。
次にコイン処理装置1の内部構造について図2、図3を用いて説明する。図2は、コイン処理装置の外装を外した状態で第1の方向から見た場合の斜視図である。図3は、コイン処理装置の外装を外した状態で第2の方向から見た場合の斜視図である。
コイン処理装置1は、投入口3から投入されたコインを一時的に貯留する貯留容器13を備える。貯留容器13の下方は、分離部11のディスクに対応する部分が開口されている。ディスクによってコインが一枚ずつ分けられ、識別部12に送出される。識別部12では、ホイール14によってコインが一枚ずつ送られる。一枚ずつ送られるコインは識別センサ部20を通過するときに金種を識別する。識別センサ部20は、複数のセンサが配置され、コインの材質、サイズなどの特徴を検出する。検出された情報は不図示の制御手段により取得され、金種及び真贋を判別する。
受け渡し部15では、識別部12から次工程の振分け部へコインが受け渡される。振分け部では、振分ベルト21がレール23に沿って移動可能に配置されている。振分ベルト21には複数の搬送ピン22が設けられている。搬送ピン22は振分ベルト21の移動に伴い移動し、コイン10を一枚ずつ押してレール23に沿って移動させる。搬送ピン22の間に1枚のコイン10が入るように搬送される。
搬送ピン22間にコイン10が一枚だけ入るように、識別部12から繰り出される。識別部12のホイール14と振分ベルト21は、受け渡しのタイミングが合うように回転する。金種に対応して設けられたスライド25には、各々バー24が備わる。このバー24の状態によってコイン10をスライド25へ落とすか、レール23に沿って移動させるかを制御する。バー24の移動は不図示の制御手段によって制御される。
コイン10が、金種の一致するスライド25の位置に到達すると、バー24の状態を可変して、コイン10がスライド25へ落ちる。スライド25に落とされたコイン10は、通路26によって案内され、対応する金種のコインホッパ30へ格納される。本例では、コインホッパ30が4台並べられて配置されている。
コインホッパ30の上部に開口があり、通路26によって案内されるコイン10をコインホッパ30のコイン格納容器に格納する。コイン格納容器はコインを格納する格納手段とも言える。コインホッパ30は、このコイン格納容器に入っているコイン10を、払出部31から一枚ずつ払出ベルト28上に排出する。払出ベルト28は無担ベルトであり、回転させてコイン10を排出口6へ運ぶ。コインホッパ30は格納されているコイン10を一枚ずつ排出する排出手段とも言える。
図中の右端のスライド25は、リジェクト通路27に接続されている。スライド25に落とされたコイン10は、リジェクト通路27を通り排出口6へ排出される。この右端のスライド25は、識別部12の識別結果に基づき、入金可能なコインではないと判断されたものが落とされる。例えば、対応する金種のコインホッパ30が無いコイン、偽物、硬貨ではないメダルなどである。
切り欠き部19は、コイン処理装置1の投入口3の下方に設けられた切り欠きであり、外装2と共に排出口6を形成する。
投入口3と貯留容器13の間の通路には、磁石29が備えられている。この磁石により鉄等の強磁性体の成分を含むものを吸い付ける。これにより、ネジなど、鉄等を含む異物が貯留容器13に入ることを防止できる。
また、異物を排除する開閉部は、第1フラップ17、第2フラップ16を含む。第1フラップ17、第2フラップ16は、各々が離れる方向に移動して開き、内部の異物を異物案内部18に落とす。異物は、排出口6へ排出される。
払出ベルト28は、コインホッパ30から排出されたコイン10を載せ、排出口6の方向に回転する。そして、コイン10が払出ベルト28の端部から排出口6に落ちる。
不図示の制御手段によって、分離部11、識別部12、識別センサ部20のセンサ、振分け部、コインホッパ、払出ベルト、開閉部などの駆動部分が制御される。分離部11でコイン10を一枚ずつ分けて識別部12へ送る。識別部12では、一枚ずつコイン10の金種を判断し、振分け部へ送る。振分け部では、振分ベルト21によってコイン10が搬送される。コイン10は、搬送途中で対応する金種のスライド25に到達すると、バー24が駆動され、スライド25に落とされる。落とされたコイン10はコインホッパ30へ金種毎に格納される。コインホッパ30は、制御手段によって必要数のコイン10を払出ベルト28上に排出し、払出ベルト28を駆動して、排出口6から排出する。
異物がある場合は、第1フラップ17、第2フラップ16を駆動して、貯留容器13内から異物案内部18に異物を落とす。異物は、排出口6へ排出される。このとき、磁石29により吸い寄せられている異物は、第2フラップ16の移動によって異物と磁石29との距離が広がることで、異物案内部18に落下する。
次に、分離部11と識別部12でのコイン10の移動について説明する。図4は、コイン送出装置のコインの移動の概要を説明する図である。
フレーム41に分離部11、識別部12が配置されている。ディスク44はディスク回転軸45を中心に回転する。ホイール14はホイール回転軸48を中心に回転する。ホイール14には、4本のアームがあり、各アームによってコイン10を押しながら搬送する。ディスク44には、4カ所の開口部46があり、コイン10をその中に入れて搬送する。また、ディスク44、ホイール14の外側には、コイン10が外側に移動しないように壁部40が設けられている。
ディスク回転軸45とホイール回転軸48は、不図示のモータによって回転する。モータとディスク回転軸45の間は不図示の輪列によって接続されている。また、モータとホイール回転軸48の間は不図示の輪列によって接続されている。モータ及び輪列はディスク44、ホイール14を回転させる駆動部を構成している。
分離部11の保持ベース43は、コイン10を載置して保持する平坦な底面を形成する。識別部12の受取ベース47は、コイン10を保持する平坦な底面を形成する。受取ベース47に対向してホイール14が回動自在に配置されている。保持ベース43と受取ベース47は段差無く配置され、コイン10の表または裏面と接し、摺動させて移動することができる。
識別センサ部20は、コイン10を挟み込むように、受取ベース47の一部分とそれに対向する部分とに分かれている。
ディスク44には開口部46が等角に複数個、ここでは4個設けられている。開口部46によって保持されるコイン10が、対応するホイール14のアーム間に渡される。ここでは、ディスク44に開口部46が設けられた例を説明しているが、外周側に開口している凹部や、ディスクに突起を設けてコイン10を保持する機構であっても良い。
ディスク44からホイール14へコイン10を受け渡す部分には、ピンが設けられている。このピンによって、ディスク44の回転によって移動するコイン10を、ホイール14の方向に向きを変えることができる。また、ディスク44とホイール14の回転方向は逆方向であり、連動して回転する。
識別センサ部20には、ガイド部42が設けられ、このガイド部42に沿ってコイン10を直線移動させる。ガイド部42は、コイン10を識別センサ部20に案内する。コインのサイズ、形状は様々で有り、その特徴を検出し比較するため、コイン10の特徴の計測は一定条件であることが望ましい。一定条件でコイン10の特徴を検出するため、できるだけ等しい位置で検出することが望ましい。そこで、コイン10をガイド部42に沿って移動させる。ガイド部42にコイン10の側面を当てながら移動さる。識別センサ部20の領域を、コイン10がガイド部42に沿って移動しているときに各種検出を行い、金種の判断の基となる情報を不図示の制御手段が取得する。取得した情報に基づいて、制御手段によって金種が判断される。
受取ベース47は、鉛直方向に対して傾斜するように設けられている。例えば30〜60度、本例では45度の角度で傾斜している。また、図4において紙面右方向をX方向、上方向をY方向とした場合に、ガイド部42のコイン10を案内する面は、−X方向に向かうに従いY方向に向かいように傾斜している。紙面上では、ガイド部42によってコイン10は左斜上方向に直線状に案内される。コイン10は重力によって、紙面の奥行き方向及び下方向(−Y方向)に力が働き、コイン10は受取ベース47上を摺動する。
識別センサ部20による検出後に、コイン10はホイール14に押されて移動し、振分ベルト21の搬送ピン22間に渡される。その後、コイン10は、搬送ピン22に押されながらレール23に沿って移動する。
保持ベース43は、受取ベース47と同様に鉛直方向に対して傾斜するように配置されている。保持ベース43は、ホイール14側が高く、逆側が低くなっている。保持ベース43の低い方側の一部に第1フラップ17が設けられている。第1フラップ17は通常時はコイン10を保持ベース43と同様に摺動させる。また、第1フラップ17のディスク44の中心側の縁に沿って回動軸が配置されている。第1フラップ17を回動軸の回動方向に回動させることで、保持ベース43の開口部を開閉できる。異物を除去する場合は、第1フラップ17をディスク44から離れる方向に開ける。第1フラップを開くことで開口部46にある異物を異物案内部18に落とすことができる。
ディスク44及びホイール14の回転速度が遅い場合には、コイン10は、ホイール14によって押されながら、ガイド部42に沿って移動する。しかし、ディスク44及びホイール14の速度が増すに従い、ホイール14とコイン10が当接したときに、跳ね上がり制御不能となる。例えば点線で示したコイン49のように、ガイド部42に沿って移動せずに、跳ね回り、識別センサ部20での検出値が異常値を示してしまう。また、次工程にコイン10を受け渡す場合も、搬送ピン22の間に1枚ずつ受け渡せなくなる問題も生じる。また、コイン10の搬送時に、搬送ピン22によってコイン10を跳ね上げ、搬送ピン22間で激しく動いてしまい、スライド25に落とせない問題も生じる。高速に搬送した場合に、このような問題点を無くす必要がある。
次に、図5を用いてコイン送出装置について説明する。図5は、コイン送出装置の要部を説明する上方から見た場合の斜視図である。
分離部11は貯留容器13内のコインを一枚ずつ分離して、識別部12へ渡す。投入口3から入れられたコインは、貯留容器13へ落ちて貯留することができる。貯留容器13の一部に第2フラップ16が配置され、この部分が開閉する。仮に、異物が混入した場合には、第2フラップ16と第1フラップ17をお互いに離れる方向に開き、開口することで、ディスク44の上側及び下側から異物を除去できる。
カバー32は、ホイール14の上方を覆うカバーで有り、コインが飛び出さないようにすることができ、また、塵等の異物から駆動部分を守ることができる。
磁石29が、コインの投入口3からディスク44の間の貯留容器13に配置されている。磁石29が、鉄などの強磁性体の物質を含む異物を吸着する。貯留容器13の中に異物が入らないようにしている。
次に、分離部11及び識別部12でのコインの移動について説明する。図6は、コイン送出装置のコインの移動を説明する第1の図である。
コイン10が、受取ベース47上を移動するときに、ホイール14によって打たれて跳ね飛ばないように、薄板50が設けられている。薄板50は可撓性のある樹脂製のシートである。例えば、薄板50の一端を持ち、平坦な面に他端を押し当てると撓む。薄板50は、基台52に固定部51によって固定されている。薄板50は、受取ベース47に対して傾斜して設けられている。薄板50の受取ベース47までの距離は、場所によって異なる。薄板50の受取ベース47までの距離が、ガイド部42に近い側が遠い側に比べて短くなるように配置されている。すなわち、薄板50と受取ベース47によって作られる隙間は、ガイド部42側がホイール14の回転中心側より狭くなるように配置されている。薄板50のガイド部42側がホイール14のアーム間にあるとき、薄板50のガイド部42側が受取ベース47に接し、反対側はホイール14に乗り上げる。また、薄板50のホイール14の中心側の先端を含む縁は、常にホイール14の上に乗り上げている。例えば、メンテナンス作業などでホイール14を逆転させる場合に、薄板50の先端がホイール14の上側にあるので、ホイール14の下側に入ることを防げる。また薄板50と受取ベース47との間隔は、場所によって異なるように配置されている。この間隔を変えることでコイン10への押圧力を変えることができる。コイン10への押圧力を場所により変えることで、コイン10をガイド部42方向に移動しやすいようにすることができる。薄板50はコイン10を案内する案内部材とも言える。
また、コイン10が、搬送ピン22間に受け渡されるように、制御ピン53を設ける。制御ピン53によって、ホイール14に連れられてコイン10が搬送されることを防げる。すなわち、制御ピン53にコイン10が当接することで、コイン10は、進路を変えると共に、ホイール14によって移動することが解除され、次工程へ案内される。ホイール14には、制御ピン53に対応する部分に、受取ベース47側が開口している凹部が設けられている。回転するホイール14の凹部によって、ホイール14は、制御ピン53に当接せずに回転する。これは、受取ベース47のホイール14の移動範囲に制御ピン53が設けられていることに他ならない。コイン10は、制御ピン53によって、次工程である振分け部に案内される。制御ピン53は、回転するホイール14に対向する部分に配置されている。また、制御ピン53は、ホイール14との間で使用する最小のコインが挟まれないように、ホイール14の中心方向に寄せて配置されている。
基台52は受取ベース47に対向し、離間して設けられている。基台52と受取ベース47の間をホイール14が、当接せずに通ることができる。ホイール14がコイン10に当接した場合に、コイン10が飛び跳ねても、基台52によって厚み方向の移動が制限される。
薄板50は、コイン10及びホイール14に当接する。コイン10が薄板50と受取ベース47の間を通るときに、コイン10がガイド部42方向に移動する。また、コイン10が、ホイール14のアームによって押されて移動する。ガイド部42に沿って、ホイール14の回転速度で、すなわち一定の条件で移動する。これによって、識別センサ部20によって好適にコイン10の検出が可能となる。
図6では、ディスク44からホイール14へ、コイン10が受け渡されようとしている状態を示している。ホイール14がコイン10に当接する直前である。これに続く状態を、図7を用いて説明する。図7は、コイン送出装置のコインの移動を説明する第2の図である。
ホイール14がコイン10に当接した状態が破線で示したコイン54である。コイン54は、ホイール14に強く当接し、側壁や基台52に当たりながら、破線で示したコイン55のように、ガイド部42方向へ向かわずホイール14の中心方向に向かって移動した状態の例を示している。このような場合であっても、破線で示したコイン55は、薄板50の下に入り、移動が制限される。すなわち、薄板50によって、破線で示したコイン55の移動速度が減速される。場合によっては止まる。薄板50は、固定部51側の方がホイール14の回転方向側よりも受取ベース47までの間隔が広く配置されている。受取ベース47は鉛直方向に対して傾斜して配置されているので、コイン55には常に下方に力が加わり、コイン55が滑り落ちようとする。コイン10は、薄板50と受取ベース47の隙間に入り動きが抑えられ、重力およびホイール14の回転方向の力によってガイド部42方向へ移動する。
また、先に搬送されている破線で示されたコイン56は、ホイール14に押され、また制御ピン53と当接し、実線で示されたコイン57の方向、すなわち振分け部方向に案内され、搬送ピン22間に受け渡される。
図7で示された状態の続きを、図8を用いて説明する。図8は、コイン送出装置のコインの移動を説明する第3の図である。
破線で示されたコイン58は、薄板50によって移動方向、移動速度を抑制され、さらにホイール14によって押され、ガイド部42方向に案内される。そして、ガイド部42に接しながら識別センサ部20の領域を移動する。これにより、コイン58はガイド部42に沿って、ホイール14の角速度に対応する速度で移動することになる。すなわち所定の位置を所定の速度で移動しながら、個別に異なる特徴をセンサによって検出することができる。
図8で示された状態の続きを、図9を用いて説明する。図9は、コイン送出装置のコインの移動を説明する第4の図である。
薄板50およびホイール14によってガイド部42方向に案内されたコイン59は、ガイド部42に当接しながら移動する。薄板50は、識別センサ部20の領域上のコイン59の移動距離の大凡1/2程度の範囲を覆っている。ホイール14とコインの当接によって生じる跳ね飛びを、薄板50を用いて初期の段階で抑制することができる。少なくとも識別センサ部20の領域にコインが入る前に、薄板50によって移動の抑制が開始されることが好ましい。また、識別センサ部20の領域においても、薄板50によってコインの移動の抑制を行うことが好ましい。また、識別センサ部20の全ての領域でコインの移動の抑制をせずとも、初めの一部の領域でコインの移動が一度抑制されれば、コインをホイール14と共に移動させることが可能となる。
薄板50は、先端側の縁60の延長線が、ガイド部42に対して交差する方向に設けられている。薄板50の第1の角63は第2の角62よりもコインの進行方向において先方に配置されている。また、第1の角63はホイール14に当接する位置に配置される。第2の角62は、ガイド部42に対して離間して配置され、またホイール14の端部と略重なる位置に配置されている。コイン59が薄板50と接する場合に、コイン59のガイド部42に近い側よりも遠い側の方が長時間にわたり薄板50に当接することになる。また、薄板50の先端側の縁60が、ガイド部42に対して傾けられて配置されることで、メンテナンス時などでホイール14を逆回転させた場合に、先端側の縁60が、ホイール14の下側に入ることを防止できる。ホイール14を逆回転させると、ホイール14は、先端側の縁60との当接位置を変えながら移動する。このとき、当接位置は、先端側の縁60のホイール14の中心側からガイド部42側に向かって移動する。ホイール14には4本のアームが備わり、その間の側面は、大凡弧状に配置された曲面の組み合わせで形状が構成されている。配置する角度によっては、先端側の縁60の中央部に、ホイール14のアームの先端が先に当接する可能性がある。そうなった場合に、ホイール14の下側に薄板50が入り込む恐れがある。それを防止するため、ホイール14の形状に対応させて薄板50が配置されている。
薄板50の基端側61は先端側の縁60よりも受取ベース47から離れる方向に配置される。これによってコインが進行するに従い少しずつ押圧力を高め、移動方向を制御する。ホイール14のアーム間では、コイン10が無ければ、薄板50の先端側の一部が受取ベース47に接するように配置されている。
薄板50の第1の角63側よりも第2の角62側の方がコインに強くあたるように配置されている。また、薄板50は樹脂製のシートであり、可撓性がある。ホイール14やコインに当接して薄板50は撓む。また、薄板50の表面はコインが摺動しやすいように平坦である。
ホイール14の厚みは、コインの厚みより厚く形成されている。ホイール14の受取ベース47を裏側、その反対側を表側とすると、ホイール14のコインを押す部分の側面について、裏側より表側の方が進行方向に漸次突出した傾斜面となっている。これにより、ホイール14がコインを斜め上から受取ベース47の方向に押さえつけながら摺動させることができる。
コインは、薄板50の厚み方向から場所によって異なる押圧力を与えられながら、ホイール14によって搬送され、最後にはガイド部42に接しながら移動する。コインは、摺動あるいは転動することになる。直径の異なるコインが使われるが、どのような直径のコインでも薄板50によって移動を抑制され、好適に搬送することができる。
次に薄板50によるコインの移動方向の制御について説明する。図10は、薄板の動作とコイン動作を説明する概略図である。コインの移動を抑制する薄板は説明しやすいように矩形の形状で説明する。
ホイールとコインとの複数の当接位置における状態について説明する。第1の当接位置70、第2の当接位置71、第3の当接位置72、第4の当接位置73の各位置において、コインは各々第1のコイン位置75、第2のコイン位置76、第3のコイン位置77、第4のコイン位置78に位置する。コインは、薄板50によって移動が抑制され、ガイド部42方向に案内される。そして、区間74においては、コインはガイド部42に接しながら移動する。区間74は、コインの特徴をセンサによって検出する区間である。少なくとも区間74の一部に薄板50の一部がかかる構成となっている。コインは、ガイド部42に沿って一旦でも薄板50によって抑制された移動をすれば、重力にも影響を受け、そのままガイド部42に沿って移動する。
区間74は、ガイド部42の全長より短い区間である。すなわち、ガイド部42によって案内される一部の区間に識別センサ部20が配置されていることに他ならない。また、区間74の両端において、受取ベースに沿ってガイド部42に垂直な一点鎖線が示されている。この一点鎖線に挟まれる領域に、ホイールの回転中心が少なくとも含まれる。このように配置することで、区間74には、ホイールの先端の軌道の接線方向が、ガイド部42の縁に平行になる部分を含むことになる。これにより、コインをホイールの回転中心から最も離れた位置において、ホイールによってガイド部42に沿ってコインを移動させることができる。なるべく速度が一定となるようにできる。区間74において、ガイド部42の位置及びホイールの回転速度に基づいた速度でコインを移動させることができる。
第1のコイン位置75では、薄板50の基端側61にコインの先端が当接し、コイン10の動きを抑制する。その状態でホイール14に押されコインは移動する。第2のコイン位置76では、薄板50によって動きを抑制されながらホイール14によって押されて進む。このとき薄板50と受取ベース47の隙間は進むに従い狭くなり、コインの暴れが抑制される。ホイール14によるコインの制御が容易となり、コインが矢印79方向に移動しやすくなる。コインが薄板50の奥に押されれば押されるほど矢印79方向に向かう力が働く。薄板50の第1の角63側と第2の角62側、基端側61、先端側の縁60の受取ベース47に対する距離は、ホイール14に押されたコインがガイド部42方向に移動するように好適に設定されている。
さらに、ホイール14にコインが押されると、第3のコイン位置77の様に、ガイド部42に当接する。その後は、コインが薄板50から離れても、ガイド部42に接しながら第4のコイン位置78方向に移動する。
図11は、薄板の他の例を説明する概略図である。薄板81は受取ベース47側に凸部82が複数設けられている。凸部82は、ガイド部42の方向に漸次高くなる緩斜面と、低くなる急斜面とからなる。薄板81を受取ベース47側に押圧しながら、ホイール14によってコイン10を移動させる。ガイド部42から離れるに従いコイン10に対して強い押圧力とする。コイン10は、凸部82の段差により、ガイド部42方向、すなわち矢印83が示す方向に移動し易いが、逆方向には移動し難い。
さらに、矢印84で示しているようにガイド部42から遠い側を強く、矢印85で示しているようにガイド部42に近い側を弱くすることで、矢印83が示す方向に移動しやすくなる。これは、凸部が無い状態でも同様である。
受取ベース47に対して薄板81を傾斜するように配置することで、薄板81によるコイン10への押圧力を場所によって異なるようにし、コイン10の移動を制御する。また、凸部82、溝、鍵状物などの案内手段を表面に持たせることでコイン10の移動を制御しても良い。また、薄板81の厚みを、ガイド部42方向側に向かい漸次または段階的に変えることで押圧力を制御してもよい。これらを複合的に用いても、コインを、矢印83方向に向けて移動し易いが、逆方向には移動しづらいように制御することができる。