JP2021140104A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナーが転写されたシートに定着液を均一に噴霧させることができる画像形成装置を提供する。【解決手段】プリンタ1は、ノズル電極80と、対向電極81とを有する噴霧ユニット60と、ノズル電極80及び対向電極81に接続される高電圧生成回路13と、制御部10と、を備えている。制御部10は、電圧印加指令を受けた場合に、対向電極81に印加する電圧を高電圧生成回路13に生成させ、その後に、ノズル電極80に印加する電圧を高電圧生成回路13に生成させる。【選択図】図3
Description
本発明は、シートに定着液を噴霧して、トナーをシートに定着させる技術に関する。
特許文献1には、ノズルを有する噴霧ヘッドにより定着液をシートに噴霧し、このシートに形成されたトナー像を定着させる画像形成装置が記載されている。具体的には、画像形成装置は、第1電極と第2電極との間に電位差を生じさせる。これにより、定着液がシートに向けて噴霧される。
定着液が均一に噴霧されない場合がある。本発明者は、定着液を均一に噴霧するための新たな制御を着想した。
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、定着液を均一に噴霧させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置では、感光ドラムと、感光ドラム上のトナーをシートに転写する転写部材と、シートに転写されたトナーをシートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、定着液を収容可能な筐体と、筐体内の定着液をトナーが転写されたシートに噴霧するノズルと、筐体内の定着液を帯電させるノズル電極と、ノズル電極と間隔を隔てて位置する対向電極と、を有する噴霧ユニットと、ノズル電極及び前記対向電極に接続される電圧生成回路と、制御部と、を備える。制御部は、電圧印加指令を受けた場合に、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させ、その後に、ノズル電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させる。
定着液を均一に噴霧するためには、定着液の噴霧形状が安定的に形成されていることが重要である。本発明者は、ノズルの噴口付近での定着液の噴霧形状が、定着液を均一に噴霧ための要因となることに着目した。具体的には、本発明者は、ノズルの噴口付近での定着液の噴霧形状がテーラーコーン形状に近づくほど、噴霧状態を安定化させ、定着液を均一に噴霧できる着目した。上記構成では、対向電極に印加される電圧が生成された後に、ノズル電極に印加される電圧が生成される。そして、ノズル電極と対向電極との間の電位差によって生じた電界により、ノズルの噴口付近まで出た定着液が噴霧される。このとき、ノズル電極より先に対向電極に電圧が印加されることにより、ノズル電極に電圧が印加され始めてから定着液と対向電極との間に形成される電界が安定しやすくなる。すなわち、ノズルの噴口付近における定着液のテーラーコーン形状が生じ易くなる。その結果、定着液の噴霧状態が安定化し、定着液を均一に噴霧することができる。
好ましくは、電圧印加指令は、画像形成部にシートへのトナー像の形成を開始させる印刷指令であってもよい。
好ましくは、シートトレイと、シートトレイ上のシートを給紙する給紙ローラと、を備え、制御部は、印刷指令を受けた場合に、給紙ローラを駆動させてシートの給紙を開始させ、給紙ローラによるシートの給紙を開始したタイミングで、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させ、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させてから所定時間の経過後に、ノズル電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させてもよい。上記構成では、給紙ローラによるシートの給紙が開始されたタイミングで、対向電極に電圧が印加されるため、シートが定着液を噴霧される位置に到達するまでの期間において、対向電極に電圧が印加されてからノズル電極に電圧が印加されるまでの時間を確保することができる。これにより、噴霧ユニットによる定着液の噴霧が開始される前に、電界を安定的に形成するための時間を確保することができるため、定着液のテーラーコーン形状をいっそう安定的に形成することができる。
好ましくは、シートトレイと、シートトレイ上のシートを給紙する給紙ローラと、を備え、制御部は、印刷指令を受けた場合に、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させ、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させた後に、給紙ローラを駆動させてシートの給紙を開始させ、給紙ローラを駆動させた後に、ノズル電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させてもよい。上記構成では、シートを給紙する給紙ローラの駆動の前に対向電極に電圧が印加された後、給紙ローラの駆動後に、ノズル電極に電圧が印加される。このため、印刷指令を受けてから給紙ローラを駆動させるための時間に関わらず、対向電極に電圧が印加されてからノズル電極に電圧が印加されるまでの時間を確保することができる。これにより、電界を安定的に形成するための時間を確保することができるため、定着液のテーラーコーン形状をいっそう安定的に形成することができる。
好ましくは、制御部は、印刷指令を受けたタイミングで、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させてもよい。上記構成では、印刷指令を受けたタイミングで、直ちに対向電極に電圧が印加されるため、対向電極に電圧が印加されてから、ノズル電極に電圧が印加されるまでの時間を確保することができる。これにより、定着液のテーラーコーン形状をいっそう安定的に形成することができる。
好ましくは、筐体に収容された定着液に圧力を加える加圧部を備え、制御部は、電圧印加指令を受けた場合に、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させ、対向電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させた後に、加圧部に筐体に収容された定着液を加圧させてもよい。上記構成では、加圧部により定着液に圧力が加えられる前に、対向電極に電圧が印加される。これにより、前回の定着液の噴霧終了後に定着液がノズル内に残って液溜まりが生じていたとしても、液溜まりを形成している定着液が対向電極に引き寄せられ、液溜まりを解消させることができる。そして、加圧部により定着液に圧力が加えられる前に対向電極に電圧が印加されるので、筐体内の定着液をノズルに送り出す際の液溜まりの影響を抑えることができる。
好ましくは、制御部は、ノズル電極に印加する電圧を電圧生成回路に生成させた後に、加圧部に筐体に収容された定着液を加圧させてもよい。上記構成では、加圧部による定着液の加圧よりも先に電界が形成されるため、帯電状態でノズル内に残った液溜まりの排出効果を高めることができる。
好ましくは、制御部は、噴霧ユニットからの定着液の噴霧を停止する場合に、電圧生成回路によるノズル電極に印加する電圧の生成を停止させ、その後、電圧生成回路による対向電極に印加する電圧の生成を停止させてもよい。上記構成では、ノズル電極への電圧の印加が停止された後、対向電極への電圧の印加が停止される。これにより、ノズルから定着液が噴霧された後に噴口付近に定着液が残っている場合でも、対向電極に電圧が印加されている期間では、定着液は対向電極に引き寄せられることにより、ノズルに液溜まりを生じにくくすることができる。
好ましくは、筐体に収容された定着液に圧力を加える加圧部を備え、制御部は、電圧印加指令を受けた場合に、加圧部に定着液を加圧させ、噴霧ユニットによる定着液の噴霧を停止する場合に、加圧部に対して定着液へ加える圧力を低下させた後に、電圧生成回路による対向電極に印加する電圧の生成を停止させる。上記構成では、噴霧ユニットによる定着液の噴霧を停止する場合に、先に筐体内の定着液に加えられる圧力が低下されるため、筐体からノズル内に定着液が供給されにくくなる。この状態で、対向電極にノズル内の液溜まりが引き寄せられるため、液溜まりを生じにくくすることができる。
好ましくは、制御部は、噴霧ユニットによる定着液の噴霧を停止する場合に、加圧部に筐体に収容された定着液へ加える圧力を低下させた後に、電圧生成回路によるノズル電極に印加する電圧の生成を停止させてもよい。
好ましくは、電圧印加指令は、電源の投入、又は定着液が収容されているカートリッジが交換された場合に噴霧ユニットに定着液を噴霧させる準備指令であってもよい。
本発明によれば、噴霧ユニットから噴霧される定着液の噴霧状態が安定化し、定着液を均一に噴霧することができる。
(第1実施形態)
本実施形態に係る画像形成装置を、プリンタを例に説明する。プリンタは、記録用紙やOHPシート等のシートにトナー像を形成するレーザプリンタである。なお、本実施形態では、プリンタは、単色のトナー像をシートに形成するレーザプリンタである。以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の左側を「前」とし、右側を「後」とし、上側を「上」とし、下側を「下」とする。
本実施形態に係る画像形成装置を、プリンタを例に説明する。プリンタは、記録用紙やOHPシート等のシートにトナー像を形成するレーザプリンタである。なお、本実施形態では、プリンタは、単色のトナー像をシートに形成するレーザプリンタである。以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の左側を「前」とし、右側を「後」とし、上側を「上」とし、下側を「下」とする。
図1〜図3に示すように、プリンタ1は、本体筐体2と、シート供給部3と、プロセス部4と、定着部5と、排出ローラ7と、排出トレイ8と、制御部10と、高電圧生成回路13と、低電圧生成回路14とを備えている。本体筐体2は、上記各部3,4,5,7,10,13,14を収容する。本体筐体2は、後述する定着液カートリッジ51が着脱される際に開閉される図示しない筐体カバーを有している。本体筐体2の上面には、画像が形成されたシートSを支持する排出トレイ8が設けられている。
シート供給部3は、シートSを収容するシートトレイ30と、シートトレイ30上のシートを給紙する給紙ローラ31と、分離ローラ32と、搬送ローラ33と、レジストレーションローラ34と、シート押圧板35とを備えている。シート供給部3では、シートトレイ30内のシートSが、シート押圧板35によって給紙ローラ31に寄せられ、給紙ローラ31によって分離ローラ32に送られる。シートSは、分離ローラ32によって1枚に分離された後、搬送ローラ33によって搬送される。レジストレーションローラ34は、シートSの先端の位置を揃えた後、プロセス部4に向けてシートSを搬送する。
プロセス部4は、シートSにトナー像を形成する。プロセス部4は、感光ドラム41と、帯電器42と、転写ローラ43と、現像ローラ44と、供給ローラ45と、トナーを収容するトナー収容部46と、露光部47と、を備えている。
帯電器42は、感光ドラム41の表面を帯電させる。帯電器42には、高電圧生成回路13により正極の電圧が印加される(図3参照)。露光部47は、レーザ光源48、ポリゴンミラー49、及び符号を省略する反射鏡、及びレンズを備えている。
露光部47は、画像データに基づくレーザ光Lをレーザ光源48から出射し、帯電した感光ドラム41の表面を露光する。露光部47は、ポリゴンミラー49の回転に応じて感光ドラム41の表面をレーザ光Lで走査することにより、感光ドラム41に静電潜像を形成する。
供給ローラ45は、回転可能であり、トナー収容部46内のトナーを現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、回転可能であり、高電圧生成回路13により正極の電圧を印加される(図3参照)。現像ローラ44は、供給ローラ45から供給されたトナーを静電潜像が形成された感光ドラム41に供給する。これにより、静電潜像が可視像化され、感光ドラム41上に正極のトナー像が形成される。
転写ローラ43は、回転可能であり、高電圧生成回路13により負極の電圧を印加される(図3参照)。正極のトナー像が形成された感光ドラム41と、負極の電圧が印加された転写ローラ43は、シート供給部3から供給されたシートSを挟持しながら回転する。これにより、転写ローラ43は、感光ドラム41上に形成された正極のトナー像をシートS上に転写する。すなわち、転写ローラ43は、感光ドラム41上のトナーをシートS上に転写する。
トナー像が転写されたシートSは、感光ドラム41及び転写ローラ43によって、定着部5に搬送される。定着部5は、シートSに転写されたトナーをシートSに定着させるための定着液を噴霧して、シートSに形成されたトナー像を定着させる。図2に示すように、定着部5は、供給ユニット50と、噴霧ユニット60とを備えている。
供給ユニット50は、定着液を噴霧ユニット60の後述する筐体62に向けて供給する。供給ユニット50は、定着液カートリッジ51と、供給管52とを備えている。定着液カートリッジ51は、内部に定着液を収容している。定着液カートリッジ51は、本体筐体2に対して着脱可能に設けられている。供給管52は、定着液カートリッジ51が本体筐体2に装着された状態において、定着液カートリッジ51と接続され、定着液カートリッジ51に収容された定着液の通過を許容する。供給管52は、噴霧ユニット60の筐体62と接続されている。これにより、定着液カートリッジ51内の定着液は、供給管52を介して筐体62に供給される。
噴霧ユニット60は、シートに転写されたトナーをシートSに定着させるための定着液を噴霧する。噴霧ユニット60は、噴霧ヘッド61と、加圧部71と、ノズル電極80と、対向電極81とを備えている。噴霧ヘッド61は、シートSの搬送方向において、感光ドラム41よりも下流側に配置されている。なお、以下において、感光ドラム41から定着部5に至るシートSの経路を、単に搬送経路と称す。
噴霧ヘッド61は、シートSの搬送経路上方に配置され、トナーが転写されたシートSに向けて定着液を噴霧する。噴霧ヘッド61は、定着液を収容可能な筐体62と、ノズル63とを有している。筐体62は、下壁65と、前壁66と、後壁67とを有している。各壁65,66,67は、定着液が収容される収容空間64を形成している。筐体62は、供給管52を介して定着液カートリッジ51から供給される定着液を収容する。ノズル63は、筐体62内の定着液をトナーが転写されたシートSに噴霧する。ノズル63は、筐体62の下側に複数設けられている。具体的には、各ノズル63は、噴口を下に向けた状態で、下壁65に設けられている。下壁65には、複数の開口が形成されている。下壁65の各開口は、ノズル63内において定着液が流れるノズル流路と連通している。これにより、噴霧ヘッド61内には、収容空間64から下壁65の開口を介して各ノズル63のノズル流路に至る、定着液の流路が形成されている。
定着液として、噴霧ユニット60によって良好に噴霧され、かつ良好にトナーをシートSに定着できるように、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたものを使用することが出来る。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。溶質としては、脂肪族モノカルボン酸エステル系、脂肪族ジカルボン酸エステル系、脂肪族トリカルボン酸エステル系、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル系、炭酸エステル系の各溶質を使用することができる。これらの溶質はトナーを軟化させる機能を有する。また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えてもよく、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を使用することができる。
加圧部71は、噴霧ヘッド61に接続されている。加圧部71は、筐体62に収容された定着液に圧力を加える装置である。具体的には、加圧部71は、筐体62内の空気を加圧する加圧ポンプ73と、筐体62内の圧力を減圧する減圧弁74とを有している。
ノズル電極80は、筐体62の収容空間64内に配置されている。本実施形態では、ノズル電極80には、高電圧生成回路13によりシートSに転写されたトナーと同極性となる電圧V1が印加される。本実施形態では、ノズル電極80には正極の電圧V1が印加される。これにより、ノズル電極80は、筐体62の収容空間64内の定着液を正極に帯電させることができる。
対向電極81は、噴霧ヘッド61よりも下側に、ノズル63の噴口に対して所定距離だけ離間した位置に配置されている。言い換えると、対向電極81は、ノズル電極80と間隔を隔てて位置する。本実施形態では、対向電極81は、シートSの搬送経路を挟んでノズル電極80の直下に配置されている。対向電極81には、ノズル電極80と対向電極81との間に電位差が形成されるように、高電圧生成回路13により電圧V2が印加される。本実施形態では、対向電極81には、高電圧生成回路13により電圧V1と異極性となる負極の電圧V2が印加される。
本実施形態では、搬送経路のうち、シートSに対して噴霧ユニット60により定着液が噴霧される領域を噴霧領域Aと称す。噴霧領域Aは、シートSに対して定着液が噴霧される領域であり、本実施形態では、噴霧ヘッド61の筐体62の前壁66の直下から後壁67の直下までの領域である。
上記構成の噴霧ユニット60では、ノズル電極80と対向電極81との間に電位差に伴う電界が形成される。また、加圧部71により加えられた圧力Pfによりノズル63の噴口から定着液が押し出される。ノズル63の噴口から押し出された定着液は、電界によりノズル63の噴口から対向電極81の向きに噴霧される。そのため、シートSが噴霧領域Aを通過することにより、シートSのトナー像が形成された面に定着液が噴霧される。
排出ローラ7は、シートSを排出トレイ8に排出するローラであり、シートSの搬送経路において定着部5よりも下流側に配置されている。定着部5の噴霧領域Aを通過し、噴霧ユニット60から噴霧された定着液によってトナー像が定着されたシートSは、排出ローラ7によって排出トレイ8に排出される。
次に、プリンタ1の電気的構成を、図3を用いて説明する。
プリンタ1は、制御部10と、高電圧生成回路13と、低電圧生成回路14と、を備えている。制御部10と、高電圧生成回路13と、低電圧生成回路14とは不図示の基板上に実装されている。
プリンタ1は、制御部10と、高電圧生成回路13と、低電圧生成回路14と、を備えている。制御部10と、高電圧生成回路13と、低電圧生成回路14とは不図示の基板上に実装されている。
低電圧生成回路14は、交流電源200から供給される交流電圧を、直流電圧に変換する。交流電源200は、例えば商用電源である。低電圧生成回路14は、図示しないが、スイッチング素子やトランスなどを備えている。低電圧生成回路14は、交流電源200と高電圧生成回路13に接続されている。低電圧生成回路14は、交流電圧を整流して平滑する。交流電圧を整流して平滑された電圧はトランスに印加される。低電圧生成回路14は、制御部10から出力される指令信号により定められるデューティ比に応じて、スイッチング素子をオンオフ制御され、トランスに誘起電圧を発生させる。低電圧生成回路14は、トランスに発生した誘起電圧を整流して平滑する。これにより、低電圧生成回路14は、交流電圧から直流電圧を生成する。低電圧生成回路14は、例えば24Vの直流電圧を生成し、生成した直流電圧を高電圧生成回路13等に供給するとともに、生成した直流電圧を降圧し、高圧した直流電圧を制御部10等に供給する。
高電圧生成回路13は、低電圧生成回路14から供給された直流電圧を昇圧して、プリンタ1の各部に供給するための電圧を生成する。図3では、一例として、高電圧生成回路13は、帯電器42と、転写ローラ43と、現像ローラ44と、ノズル電極80と、対向電極81に接続されている。
高電圧生成回路13は、電圧V1を生成する第1変換回路131、及び電圧V2を生成する第2変換回路132を備えている。第1変換回路131及び第2変換回路132は、昇圧型の変換回路である。第1変換回路131及び第2変換回路132はそれぞれ、図示しないが、スイッチング素子、トランス、及び出力端子などを備えている。第1変換回路131は、低電圧生成回路14に接続されており、第1変換回路131の出力端子は、ノズル電極80に接続されている。第1変換回路131は、制御部10から出力される第1指令信号により定められるデューティ比に応じて、スイッチング素子をオンオフ制御されることにより、低電圧生成回路14から供給された直流電圧をトランスで昇圧して電圧V1を生成する。第1変換回路131により生成された電圧V1は、ノズル電極80に印加される。第2変換回路132は、低電圧生成回路14に接続されており、第2変換回路132の出力端子は、対向電極81に接続されている。第2変換回路132は、制御部10から出力される第2指令信号により定められるデューティ比に応じて、スイッチング素子をオンオフ制御されることにより、低電圧生成回路14から供給された直流電圧をトランスで昇圧して電圧V2を生成する。第2変換回路132により生成された電圧V2は対向電極81に印加される。
制御部10は、CPU11や、メモリ12を有している。CPU11は、メモリ12に記憶されたプログラムに従って、プリンタ1を構成する各部を制御する。メモリ12は、前述のプログラムの他、電圧や時間に関する各種の設定値などを記憶している。
制御部10は、低電圧生成回路14、加圧部71、及びモータ90を制御する。制御部10は、高電圧生成回路13からプロセス部4の各部42,43,44に出力される電圧を制御することにより、シートSにトナー像を形成させる。また、制御部10は、シートSに定着液を噴霧させる際に、高電圧生成回路13により生成された電圧V1,V2を各電極80,81に印加させる。
制御部10は、第1変換回路131に対して、第1指令信号を出力することにより、ノズル電極80に流れる電流I1を定電流制御する。制御部10は、定電流制御において、電流I1の検出値が目標電流に近づくように、第1指令信号で定めるデューティ比を変更する。このとき、電圧V1は、+1kV〜+9kVであることが好ましい。制御部10は、第2変換回路132に対して、第2指令信号を出力することにより、対向電極81の電圧V2を定電圧制御する。制御部10は、定電圧制御において、電圧V2の検出値が目標電圧に近づくように、第2指令信号で定めるデューティ比を変更する。このとき、電圧V2は、−4kV〜−1kVであることが好ましい。また、電圧V1と電圧V2との電位差V1−V2は、5kV〜10kVであることが好ましい。
モータ90は、プロセス部4の感光ドラム41や各種ローラを回転させたり、ポリゴンミラー49を回転させたりするための駆動源となる。なお、プリンタ1は、モータ90以外にも、感光ドラム41や各種ローラを回転させる複数のモータを備えていてもよい。
上記構成のプリンタ1において、本発明者は、ノズル63から噴霧される定着液の噴口付近での噴霧形状が、シートSに定着液を均一に噴霧するための要因となることに着目した。具体的には、本発明者は、ノズル63の噴口付近での定着液の噴霧形状がテーラーコーン形状に近づくほど、シートSに対する噴霧を安定化させることに着目した。そこで、本実施形態では、噴霧ヘッド61から定着液を噴霧する際に、ノズル電極80より先に対向電極81に電圧を印加させることにより、ノズル電極80に電圧V1が印加され始めてから定着液と対向電極81との間に形成される電界を安定させ、ノズル63の噴口付近における定着液のテーラーコーン形状を生じ易くしている。
次に、プリンタ1による印刷処理の手順を、図4を用いて説明する。図4に示す処理は、制御部10が、シートSへのトナーの転写を開始させる印刷指令を受けたことを契機に実行される処理であり、主体の制御部10の記載を省略する。印刷指令は、「電圧印加指令」の一例である。また、図4を用いた印刷処理の説明では、プロセス部4における感光ドラム41上のトナーをシートSに転写するための動作に関わる処理は省略し、主に定着部5における定着液を噴霧する動作に関わる処理について説明する。
ステップS11では、モータ90を回転させる。ステップS12では、給紙ローラ31によりシートSを給紙させる。
ステップS13では、ノズル電極80に印加する電圧V1を設定する。制御部10は、前回の印刷処理において帯電状態でノズル63内に残った液溜まりを排出するため、電圧V1の初期値を設定する。また、対向電極81に印加する電圧V2を設定する。上述のように、制御部10は、電圧V2を定電圧制御するため、電圧V2の初期値を設定する。例えば、プリンタ1の周囲の温度等の環境条件に応じて、電圧V1および電圧V2の初期値を設定する。
ステップS14では、ステップS13で設定した電圧V2を、第2変換回路132に生成させる。具体的には、ステップS13で設定した電圧V2に応じたデューティ比を定める第2指令信号を生成し、生成した第2指令信号を第2変換回路132に出力する。これにより、第2変換回路132は、電圧V2を生成し、生成した電圧V2を対向電極81に印加する。
ステップS15では、電圧V2の生成を開始してから所定の待機時間Taが経過したか否かを判断する。本実施形態では、待機時間Taは、電圧V2が対向電極81に印加されてから、その電圧値が目標電圧付近に安定するまでの時間として実験的に定められた時間である。ステップS15を否定判定する場合、待機時間Taが経過するまで待機する。一方、ステップS15を肯定判定する場合、ステップS16に進む。
ステップS16では、ステップS13で設定した電圧V1を、第1変換回路131に生成させる。具体的には、ステップS13で設定した電圧V1に応じたデューティ比を定める第1指令信号を生成し、生成した第1指令信号を第1変換回路131に出力する。これにより、第1変換回路131は、電圧V1を生成し、生成した電圧V1をノズル電極80に印加する。
ステップS17では、所定期間だけ待機する。本実施形態では、所定期間は、前回の印刷処理において帯電状態でノズル63内に残った液溜まりを排出するまでの時間として実験的に定められた時間である。なお、ステップS16、S17では、前回の印刷処理において帯電状態でノズル63内に残った液溜まりを良好に排出することができればよく、電流I1を定電流制御しなくてもよい。本実施形態においては、制御部10は、ステップS13で設定した電圧V1に応じたデューティ比を定める第1指令信号を、所定時間生成する。言い換えると、制御部10は、所定時間、ステップS13で設定した電圧V1に応じたデューティ比と異なるデューティ比を定める第1指令信号は、生成しない。
ステップS18では、加圧部71により筐体62に収容された定着液に加えられる圧力Pfを制御する。加圧部71により筐体62に加えられる圧力Pfにより、筐体62内の定着液がノズル63の噴口から押し出される。
ステップS19では、電流I1を定電流制御する。具体的には、ノズル電極80に流れる電流I1が目標電流に近づくように、第1指令信号により定めるデューティ比を変更する。ノズル電極80と対向電極81との間の電位差に伴い生じる電界により、ノズル63の噴口から押し出された定着液は、シートSに転写されたトナーが噴霧領域Aに到達する前にノズル63から噴霧され始める。
ステップS20では、印刷終了条件が成立したか否かを判断する。印刷終了条件は、1ジョブにおいて、トナー像が形成される最後のシートSに対して、定着液の噴霧が終了したことを示す条件である。例えば、1ジョブにおいて最初のシートSが給紙ローラ31により給紙されてから、最後のシートSの後端が噴霧領域Aを通過するまでに要する印刷所要時間から判断すればよい。この場合、シートSのサイズと、1ジョブにおける印刷枚数との組み合わせに応じた、印刷所要時間を定めるテーブルをメモリ12に記憶しておき、制御部10はテーブルを参照することにより、印刷所要時間を判断すればよい。
これ以外にも、搬送経路上において、噴霧領域AよりもシートSの搬送方向における下流側に、シートSの後端を検出するセンサが配置されている場合、このセンサにより、1ジョブにおいて最後のシートSの後端が検出されたことを印刷終了条件としてもよい。
ステップS20において、印刷終了条件が成立していないと判断すると、待機する。一方、ステップS20において、印刷終了条件が成立したと判断すると、ステップS21に進む。
ステップS21〜S25の処理では、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する。まず、ステップS21では、加圧部71による筐体62に収容された定着液へ加える圧力を停止させる。具体的には、加圧部71の減圧弁74を直ちに閉じさせる。これにより、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、先に筐体62内の定着液に加えられる圧力Pfが低下するため、筐体62からノズル63内に定着液が供給されにくくなる。この状態で、対向電極81にノズル63内の液溜まりが引き寄せられるため、液溜まりを生じにくくすることができる。
ステップS22では、所定時間だけ待機する。例えば、ステップS22での待機時間は、筐体62に収容された定着液への加圧が停止された後に、ノズル63内の液溜まり量が所定量以下になる時間として実験により定められた時間である。
ステップS23では、第1変換回路131による電圧V1の生成を停止させる。具体的には、デューティ比を所定デューティ比以下にする第1指令信号を第1変換回路131に出力することにより、第1変換回路131による電圧V1の生成を停止させる。例えば、デューティ比を0にする第1指令信号を第1変換回路131に出力する、すなわち、第1指令信号の第1変換回路131への出力を停止する。これにより、電圧V1のノズル電極80への印加が停止される。
ステップS24では、所定時間だけ待機する。例えば、ステップS24での待機時間は、電圧V1のノズル電極80への印加が停止されてから、ノズル電極80の電圧が所定電圧まで下がる時間として実験により定められた時間である。
ステップS25では、第2変換回路132による電圧V2の生成を停止させる。具体的には、デューティ比を所定デューティ比以下にする第2指令信号を第2変換回路132に出力することにより、第2変換回路132による電圧V2の生成を停止させる。例えば、デューティ比を0にする第2指令信号を第2変換回路132に出力、すなわち、第2指令信号の第2変換回路132への出力を停止する。これにより、電圧V2の対向電極81への印加が停止される。ノズル電極80への電圧の印加を停止した後に、対向電極81への電圧の印加を停止することにより、噴口付近に定着液が残っている場合でも、対向電極81に電圧V2が印加されている期間では、定着液を対向電極に引き寄せ、ノズル63内に液溜まりを生じにくくすることができる。
ステップS25の処理を終了すると、図4の印刷処理を一旦終了する。
次に、電圧V1及び電圧V2の印加タイミング及び印加の停止タイミングを、図5を用いて説明する。図5(a)は、給紙ローラ31の駆動(ON)及び停止(OFF)を示すタイミングチャートである。具体的には、図5(a)は、1ジョブでの最初のシートSを給紙するときの給紙ローラ31の駆動を示しており、シートSの先端が搬送ローラ33を通過した後に、給紙ローラ31の駆動が停止される。図5(b)は、電圧V2の印加タイミング(ON)及び停止タイミング(OFF)を示すタイミングチャートである。図5(c)は、電圧V1の印加タイミング(ON)及び停止タイミング(OFF)を示すタイミングチャートである。図5(d)は、加圧部71による筐体62に収容された定着液への加圧タイミング(ON)及び減圧タイミング(OFF)を示すタイミングチャートである。
制御部10が印刷指令を受けることにより、時刻t1で、給紙ローラ31の駆動が開始されている(図5(a))。時刻t2で、第2変換回路132による電圧V2の生成が開始され、対向電極81に電圧V2が印加されている(図5(b))。その後の時刻t3で、第1変換回路131による電圧V1の生成が開始され、ノズル電極80に電圧V1が印加されている(図5(c))。時刻t4では、加圧部71による筐体62に収容された定着液への加圧が開始されている(図5(d))。これにより、ノズル電極80と対向電極81との間に生じる電界により、ノズル63の噴口付近に定着液のテーラーコーン形状が形成され、定着液が噴霧される。
本実施形態では、対向電極81が電圧V2に印加されてから(t2)、電圧V1がノズル電極80に印加されるまで(t3)の間に待機時間Taが経過している。そのため、電圧V1がノズル電極80に印加されるまでの間に、対向電極81に印加された電圧V2が安定し、定着液を噴霧させる電界を安定的に形成することができる。
その後、印刷終了条件が成立することにより、時刻t5で、加圧部71による筐体62に収容された定着液への加圧が停止されている(図5(d))。時刻t6で、第2変換回路132による電圧V2の生成が停止され、電圧V2の対向電極81への印加が停止されている(図5(c))。時刻t7で、第1変換回路131による電圧V1の生成が停止され、電圧V1のノズル電極80への印加が停止されている(図5(b))。
本実施形態では、転写ローラ43が転写部材の一例であり、高電圧生成回路13が電圧生成回路の一例である。
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
制御部10は、印刷指令を受けた場合に、電圧V2を高電圧生成回路13の第2変換回路132に生成させ、その後に、電圧V1を高電圧生成回路13の第1変換回路131に生成させる。これにより、ノズル電極80より先に対向電極81に電圧V2が印加されることにより、ノズル電極80に電圧V1が印加され始めてからノズル電極80と対向電極81との間に形成される電界が安定しやすくなる。すなわち、ノズル63の噴口付近における定着液のテーラーコーン形状が生じ易くなる。その結果、定着液の噴霧状態を安定化し、定着液をシートSに均一に噴霧することができる。
制御部10は、印刷指令を受けた場合に、電圧V2を高電圧生成回路13の第2変換回路132に生成させ、その後に、電圧V1を高電圧生成回路13の第1変換回路131に生成させる。これにより、ノズル電極80より先に対向電極81に電圧V2が印加されることにより、ノズル電極80に電圧V1が印加され始めてからノズル電極80と対向電極81との間に形成される電界が安定しやすくなる。すなわち、ノズル63の噴口付近における定着液のテーラーコーン形状が生じ易くなる。その結果、定着液の噴霧状態を安定化し、定着液をシートSに均一に噴霧することができる。
・制御部10は、印刷指令を受けた場合に、給紙ローラ31を駆動させてシートSの給紙を開始させ、給紙ローラ31によるシートSの給紙を開始したタイミングで、電圧V2を高電圧生成回路13に生成させ、電圧V2を高電圧生成回路13に生成させてから所定時間の経過後に、電圧V1を高電圧生成回路13に生成させる。これにより、シートSが噴霧領域Aに到達するまでの期間において、対向電極81に電圧V2が印加されてからノズル電極80に電圧V1が印加されるまでの時間を確保することができる。この結果、シートSに転写されたトナーが噴霧領域Aに到達する前に、電界を安定的に形成するための時間を確保することができる。
・制御部10は、印刷指令を受けた場合に、電圧V2を高電圧生成回路13に生成させ、電圧V2を高電圧生成回路13に生成させた後に、加圧部71に定着液を加圧させる。これにより、前回の定着液の噴霧終了後に定着液がノズル63内に残って液溜まりが生じていたとしても、液溜まりを形成している定着液が対向電極81に引き寄せられ、液溜まりを解消させることができる。そして、加圧部71により筐体62に収容された定着液に圧力Pfが加えられる前に対向電極81に電圧V2が印加されるので、筐体62内の定着液をノズル63に送り出す際の液溜まりの影響を抑えることができる。
・制御部10は、電圧V1を高電圧生成回路13に生成させた後に、加圧部71による定着液の加圧を開始させる。これにより、定着液が加圧されるよりも前に電界が形成されるため、帯電状態でノズル内に残った液溜まりの排出効果を高めることができる。
・制御部10は、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、第1変換回路131による電圧V1の生成を停止させ、その後、第2変換回路132による電圧V2の生成を停止させる。これにより、ノズル63から定着液が噴霧された後に噴口付近に定着液が残っている場合でも、対向電極81に電圧V2が印加されている期間では、定着液は対向電極81に引き寄せられることにより、ノズル63に液溜まりを生じにくくすることができる。
・制御部10は、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、加圧部71に定着液へ加える圧力Pfを低下させた後に、第2変換回路132による電圧V2の生成を停止させる。これにより、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、先に筐体62内の定着液に加えられる圧力が低下されるため、筐体62からノズル63内に定着液が供給されにくくなる。この状態で、対向電極81にノズル63内の液溜まりが引き寄せられるため、液溜まりを生じにくくすることができる。
・制御部10は、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、加圧部71に定着液へ加える圧力Pfを低下させた後に、第1変換回路131によるノズル電極80に印加する電圧の生成を停止させる。これにより、ノズル63に液溜まりを生じにくくした状態で、定着液の噴霧を停止させることができる。
(第1実施形態の変形例)
・制御部10は、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、加圧部71の減圧弁74を直ちに閉じさせるのではなく、減圧弁74を徐々に閉じさせて圧力Pfを徐々に低下させた後に、高電圧生成回路13による電圧V1の生成を停止させてもよい。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
・制御部10は、噴霧ユニット60による定着液の噴霧を停止する場合に、加圧部71の減圧弁74を直ちに閉じさせるのではなく、減圧弁74を徐々に閉じさせて圧力Pfを徐々に低下させた後に、高電圧生成回路13による電圧V1の生成を停止させてもよい。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の符号を付した箇所は、同一の箇所を示し、その説明は繰り返さない。
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の符号を付した箇所は、同一の箇所を示し、その説明は繰り返さない。
本実施形態では、制御部10は、高電圧生成回路13による電圧V2の生成を、給紙ローラ31の駆動よりも先に行わせる。
図6は、本実施形態に係る、印刷処理の手順を説明するフローチャートである。本実施形態においても、図6に示す処理は、制御部10が、シートSへのトナーの転写を開始させる印刷指令を受けたことを契機に実行される処理であり、主体の制御部10の記載を省略する。
ステップS11では、モータ90を回転させる。ステップS30では、電圧V2を設定する。ステップS31では、ステップS30で設定した電圧V2を第2変換回路132に生成させる。これにより、給紙ローラ31の駆動に先立って、電圧V2が対向電極81に印加される。
ステップS12では、給紙ローラ31によりシートSを給紙させる。ステップS13では、電圧V1を設定する。
ステップS32では、所定の待機時間Tbまで待機する。本実施形態では、待機時間Tbは、ステップS31で電圧V2の生成が開始されてからの経過時間であり、図4のステップS15での待機時間Taよりも長い時間である。ステップS31を否定判定する場合、待機時間Tbが経過するまで待機する。一方、ステップS31を肯定判定する場合、ステップS16に進む。
ステップS16では、第1変換回路131に電圧V1を生成させる。即ち、本実施形態においても、電圧V2が対向電極81に印加された後、電圧V1がノズル電極80に印加される。以下、第1実施形態と同様、ステップS17〜S25の処理を実行する。
次に、本実施形態に係る電圧V1及び電圧V2の印加タイミング及び印加の停止タイミングを、図7を用いて説明する。図7(a)〜図7(d)は、図5(a)〜図5(d)に対応している。
制御部10が印刷指令を受けることにより、時刻t12で、第2変換回路132による電圧V2の生成が開始され、対向電極81に電圧V2が印加されている。その後の時刻t1で、給紙ローラ31の駆動が開始されている。そして、時刻t3で、第1変換回路131による電圧V1の生成が開始され、ノズル電極80に電圧V1が印加されている。
時刻t4では、加圧部71による筐体62の加圧が開始される。これにより、ノズル63から押し出された定着液とシートSとの間に生じる電界により、ノズル63の噴口付近にテーラーコーン形状が形成され、定着液がシートSに向けて噴霧される。
本実施形態では、電圧V2が対向電極81に印加されてから(t12)、電圧V1がノズル電極80に印加されるまで(t3)に待機時間Tb(>Ta)が経過している。言い換えると、印刷開始後に、電圧V2の対向電極81への印加が、第1実施形態と比べて早く行われているため、電圧V1がノズル電極80に印加されるまでの間に、対向電極81に印加された電圧V2を安定化させる時間を長く確保することができる。
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。制御部10は、印刷指令を受けてから給紙ローラ31が駆動される前に対向電極81に電圧V2が印加されるため、印刷指令を受けてから給紙ローラ31を駆動させるための時間に関わらず、対向電極81に電圧V2が印加されてからノズル電極80に電圧V1が印加されるまでの時間(待機時間Tb)をいっそう確保することができる。これにより、シートSに転写されたトナーが噴霧領域Aに到達する前に、電界を安定的に形成するための時間をいっそう確保することができる。
(第2実施形態の変形例)
制御部10は、印刷指令を受けたタイミングで、電圧V2を高電圧生成回路13に生成させてもよい。この場合、図6のステップS11よりも先に、第2変換回路132に電圧V2を生成させる。上記構成では、対向電極81に電圧V2が印加されてから、ノズル電極80に電圧V1が印加されるまでの待機時間をいっそう長く確保することができる。
制御部10は、印刷指令を受けたタイミングで、電圧V2を高電圧生成回路13に生成させてもよい。この場合、図6のステップS11よりも先に、第2変換回路132に電圧V2を生成させる。上記構成では、対向電極81に電圧V2が印加されてから、ノズル電極80に電圧V1が印加されるまでの待機時間をいっそう長く確保することができる。
(その他の実施形態)
・本実施形態は、その要旨を変更しない範囲において、様々な変形例が存在する。
制御部10は、プリンタ1における準備動作を実行するための準備指令を受信した場合に、本実施形態に係る定着液の噴霧を行ってもよい。ここで、準備動作は、プリンタ1の電源の投入、又は定着液が収容されている定着液カートリッジ51の交換後において、制御部10が、噴霧ユニット60に定着液を噴霧させる動作である。準備指令は、「電圧印加指令」の一例である。
・本実施形態は、その要旨を変更しない範囲において、様々な変形例が存在する。
制御部10は、プリンタ1における準備動作を実行するための準備指令を受信した場合に、本実施形態に係る定着液の噴霧を行ってもよい。ここで、準備動作は、プリンタ1の電源の投入、又は定着液が収容されている定着液カートリッジ51の交換後において、制御部10が、噴霧ユニット60に定着液を噴霧させる動作である。準備指令は、「電圧印加指令」の一例である。
・電圧生成回路は、ノズル電極80及び対向電極81に印加する電圧を生成する回路であればよく、低電圧生成回路14と、ノズル電極80と、対向電極81とに接続され、低電圧生成回路14が生成する電圧を昇圧し、ノズル電極80に印加する電圧V1及び対向電極81に印加する電圧V2を生成する高電圧生成回路13に限定されない。例えば、電圧生成回路は、交流電源200と、ノズル電極80と、対向電極81とに接続され、交流電源200からの交流電圧を直流電圧に変換し、電圧V1及び電圧V2を生成する回路であってもよい。
・ノズル電極80は、筐体62内の定着液を帯電させることができるものであればよく、収容空間64内に設けられていなくともよい。
・画像形成装置は、プリンタに限らず、プリンタとしての機能と、スキャナ又はファクシミリの機能とを備える複合機であってもよい。プリンタは、複数の色のトナー像をシートに形成するプリンタであってもよい。
・転写部材として転写ローラ43を例示したが、これに限定されず、例えば、転写部材は、帯電器42と同様の構成を有する転写チャージャなどであってもよい。
・転写部材として転写ローラ43を例示したが、これに限定されず、例えば、転写部材は、帯電器42と同様の構成を有する転写チャージャなどであってもよい。
・制御部は、1つのCPUを有する単一のハードにより構成される以外にも、複数のCPUや、ASICといった複数のハードが組み合わさることにより、制御部としての機能を実現するものであってもよい。
1…プリンタ、4…プロセス部、5…定着部、10…制御部、13…高電圧生成回路、30…シートトレイ、31…給紙ローラ、41…感光ドラム、43…転写ローラ、60…噴霧ユニット、62…筐体、63…ノズル、71…加圧部、80…ノズル電極、81…対向電極
Claims (11)
- 感光ドラムと、
前記感光ドラム上のトナーをシートに転写する転写部材と、
シートに転写されたトナーをシートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、
前記定着液を収容可能な筐体と、
前記筐体内の前記定着液をトナーが転写されたシートに噴霧するノズルと、
前記筐体内の前記定着液を帯電させるノズル電極と、
前記ノズル電極と間隔を隔てて位置する対向電極と、を有する噴霧ユニットと、
前記ノズル電極及び前記対向電極に接続される電圧生成回路と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、電圧印加指令を受けた場合に、前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させ、その後に、前記ノズル電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させる画像形成装置。 - 前記電圧印加指令は、シートへのトナーの転写を開始させる印刷指令である請求項1に記載の画像形成装置。
- シートトレイと、
前記シートトレイ上のシートを給紙する給紙ローラと、を備え、
前記制御部は、
前記印刷指令を受けた場合に、前記給紙ローラを駆動させてシートの給紙を開始させ、
前記給紙ローラによるシートの給紙を開始したタイミングで、前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させ、
前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させてから所定時間の経過後に、前記ノズル電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させる請求項2に記載の画像形成装置。 - シートトレイと、
前記シートトレイ上のシートを給紙する給紙ローラと、を備え、
前記制御部は、
前記印刷指令を受けた場合に、前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させ、
前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させた後に、前記給紙ローラを駆動させてシートの給紙を開始させ、
前記給紙ローラを駆動させた後に、前記ノズル電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させる請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記印刷指令を受けたタイミングで、前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させる請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記筐体に収容された前記定着液に圧力を加える加圧部を備え、
前記制御部は、
前記電圧印加指令を受けた場合に、前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させ、
前記対向電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させた後に、前記加圧部に前記定着液を加圧させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記ノズル電極に印加する電圧を前記電圧生成回路に生成させた後に、前記加圧部に前記定着液を加圧させる請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記噴霧ユニットによる前記定着液の噴霧を停止する場合に、前記電圧生成回路による前記ノズル電極に印加する電圧の生成を停止させ、その後、前記電圧生成回路による前記対向電極に印加する電圧の生成を停止させる請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記筐体に収容された前記定着液に圧力を加える加圧部を備え、
前記制御部は、
前記電圧印加指令を受けた場合に、前記加圧部に前記筐体に収容された前記定着液を加圧させ、
前記噴霧ユニットによる前記定着液の噴霧を停止する場合に、前記加圧部に前記筐体に収容された前記定着液へ加える圧力を停止させた後に、前記電圧生成回路による前記対向電極に印加する電圧の生成を停止させる請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記噴霧ユニットによる前記定着液の噴霧を停止する場合に、前記加圧部に前記筐体に収容された前記定着液へ加える圧力を停止させた後に、前記電圧生成回路による前記ノズル電極に印加する電圧の生成を停止させる請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記電圧印加指令は、電源の投入、又は前記定着液が収容されている定着液カートリッジが交換された場合に前記噴霧ユニットに前記定着液を噴霧させる準備指令である請求項1に記載の画像形成装置。
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