JP2021140090A - 音声再生方法、音声再生システム、およびプログラム - Google Patents
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Description
<用語の定義>
本発明の実施形態の説明に入る前に、以下の説明に登場する幾つかの用語について、その定義を説明する。
キーとは、主音および音階の組み合わせのことを指し、調とも呼ばれる。主音は、そのキーにおいて中心となる音である。また、音階とは、ある音からそのオクターブ上の音までの間を特定の秩序によって並べた音列であり、一例として、長調、短調等がある。キーは、例えば、伝統的な西洋音楽の用語を用いれば、ハ長調、ハ短調等のように表現される。また、キーは、ジャズ、ポピュラーミュージック等の用語を用いれば、C(シー)、Cm(シーマイナー)等といったコードネームで表現される。本明細書においては、後者の用語を用いる。
音声データとは、音声を表すデータのことを指す。音声は、楽曲を構成するものであってもよいし、楽曲を構成しないものであってもよい。楽曲を構成しない音声の例としては、例えば、ステムと呼ばれる音素材が挙げられる。音声データは、特定のキーに属する音声を表すものと、特定のキーに属さない音声を表すものとに分類できる。また、音声データは、有テンポ音声を表すものと、無テンポ音声を表すものとに分類できる。本実施形態においては、特定のキーに属する無テンポ音声を表す音声データと、特定のキーに属さない有テンポ音声を表す音声データとを、主たる再生対象として想定する。なお、有テンポ音声および無テンポ音声の定義については、後述する。
音声が属するキーは、その音声に含まれる音の組み合わせに基づいて特定可能である。ここで、音の組み合わせとは、同時再生される音の組み合わせ(例えば、和音を構成する音の組み合わせ)であってもよいし、順次再生される音の組み合わせ(例えば、旋律を構成する音の組み合わせ)であってもよい。なお、音声が属するキーは、一意に特定できない場合がある。例えば、C音とその倍音により構成される音声は、Cキーに属する音声と見做すこともできるし、Cmキーに属する音声と見做すこともできる。
有テンポ音声とは、テンポを司る一連の音の進行を含む音声のことを指す。有テンポ音声は、聴者がテンポまたはリズムの存在を感じる音声と言い換えることもできる。有テンポ音声は、特定のキーに属する音声であってもよいし、特定のキーに属さない音声であってもよい。特定のキーに属する有テンポ音声の例としては、例えば、カッティングギター音が挙げられる。また、特定のキーに属さない有テンポ音声の例としては、例えば、ドラム音が挙げられる。一方、無テンポ音声とは、テンポを司る一連の音の進行を含まない音声のことを指す。無テンポ音声は、聴者がテンポまたはリズムの存在を感じない音声と言い換えることもできる。
複数の音声の非同期再生とは、これら複数の音声を、再生開始タイミングを一致させずに再生期間を重複させて再生することをいう。なお、これら複数の音声の一部について再生開始タイミングを一致させる態様は、非同期再生に含まれるが、これら複数の全部について再生タイミングを一致させる態様は、非同期再生に含まれない。例えば、右チャンネル用の音声と左チャンネル用の音声とについて、これら音声を左右のスピーカから再生タイミングを一致させて出力するステレオ再生は、非同期再生に含まれない。なお、複数の音声の非同期再生は、例えば、これら複数の音声の各々の再生を、音声毎にランダムに決定したタイミングで開始することにより実現される。
本発明の一実施形態に係る音声再生システム1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、音声再生システム1の構成を示すブロック図である。
コンピュータ10は、プロセッサ101と、主メモリ102と、補助メモリ103と、通信インタフェース(IF:interface)104と、複数のDAC(digital to analog converter)105_1,105_2,…,105_nと、を含む。プロセッサ101、主メモリ102、補助メモリ103、通信IF104、および各DAC105_iは、不図示のバスを介して互いに接続されている。なお、コンピュータ10の一例として、メインフレームコンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等が挙げられるが、これらに限られない。
ストレージ20は、音声データ群を格納する装置である。ストレージ20は、コンピュータ10からの要求により、音声データ群に含まれる音声データをコンピュータ10に提供する機能を有する。ストレージ20は、例えば、ネットワークストレージによって構成されてもよいし、サーバコンピュータによって構成されてもよい。
ストレージ20は、各音声データを、その音声データの表す音声が属するキー、および、その音声データの表す音声が有テンポ音声であるか無テンポ音声であるかを特定可能に格納している。
スピーカ30_iは、コンピュータ10から出力される音声を出力する装置である。複数のスピーカ30_1〜30_nは、各種施設に分散して設置される。想定される施設としては、商業空間、ホテル、飲食店、オフィス、展示会場などが挙げられる。なお、複数のスピーカ30_1〜30_nは、単一の施設の異なるフロアに分散して設置されてもよいし、複数の施設に分散して設置されてもよい。
本発明の一実施形態に係る音声再生方法S1について、図2を参照して説明する。図2は、音声再生方法S1の流れを示すフローチャートである。
キー選択ステップS101は、プロセッサ101が特定のキーを選択するステップである。キー選択ステップS101において、プロセッサ101は、例えば、予め定められた複数のキーの中から、特定のキーを選択する。図2においては、プロセッサ101が、Cキー、Amキー、…、Dmキーの中から、Gキーを選択する様子を例示している。
データ選択ステップS102は、プロセッサ101が、ストレージ20に格納された音声データ群から、キー選択ステップS101にて選択された特定のキーに属する音声を表す音声データを選択するステップである。図2においては、プロセッサ101が、Gキーに属する音声を表す音声データG−1,G−2,…の中から、音声データG−1,G−3,G5を選択する様子を例示している。
再生ステップS103は、プロセッサ101が、データ選択ステップS102において選択された各音声データの表す音声を、異なるスピーカ30_1〜30_nを用いて非同期再生するステップである。図2においては、プロセッサ101が、(1)音声データG−1の表す音声をスピーカ30_1を用いて再生し、(2)音声データG−3の表す音声をスピーカ30_3を用いて再生し、(3)音声データG−5の表す音声をスピーカ30−3を用いて再生し、(4)音声データT−4の表す音声をスピーカ30−4を用いて再生する様子を例示している。
本実施形態に係る音声再生システム1によれば、複数の音声が異なるスピーカ30_1,30_2,…,30_nを用いて再生される。このため、音声再生システム1が導入された施設を移動する利用者は、あたかも移りゆく景色を眺めるように、各所に配置されたスピーカ30_1,30_2,…,30_nから流れる音声を感じることができる。
上述した実施形態に係る音声再生システム1は、再生日時、再生環境、又はユーザバイタルに応じた音声を再生するよう変形することができる。以下、このような変形例について説明する。
本変形例に係る音声再生システム1Aの構成について、図3を参照して説明する。図3は、本変形例に係る音声再生システム1Aの構成を示すブロック図である。
センサ40_iは、再生環境又はユーザバイタルを検出する装置である。
本変形例において、コンピュータ10に含まれるプロセッサ101は、音声再生方法S1に代えて、音声再生方法S2を実行する。音声再生方法S2については後述する。
補助メモリ103は、再生日時の範囲(例えば、午前中、午後、夜間等)、再生環境を示す数値の範囲(例えば、照度の範囲)、および、ユーザバイタルを示す数値の範囲(例えば、血圧の範囲)と、選択すべきキー、および、選択すべき音声データの属性とを関連付けるテーブルを記憶する。
ストレージ20に記憶される音声データのそれぞれには、その音声データの属性が関連付けられている。ここで、音声データの属性としては、例えば、その音声データの表す音声のジャンル、ムード、作成者等が挙げられる。
本変形例に係る音声再生方法S2の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、本変形例に係る音声再生方法S2の流れを示すフローチャートである。
特定ステップS201は、プロセッサ101が、再生日時、再生環境、およびユーザバイタルの少なくとも何れかを特定するステップである。
キー選択ステップS202は、プロセッサ101が、特定ステップS201の結果に応じて、特定のキーを選択するステップである。
具体的には、プロセッサ101は、再生日時に応じてキーを選択する。例えば、プロセッサ101は、上述したテーブルにおいて再生日時を含む範囲に関連付けられたキーを選択する。
また、プロセッサ101は、再生環境を示す数値に応じてキーを選択する。例えば、プロセッサ101は、上述したテーブルにおいて再生環境を示す数値を含む範囲に関連付けられたキーを選択する。
また、プロセッサ101は、ユーザバイタルを示す数値に応じてキーを選択する。例えば、プロセッサ101は、上述したテーブルにおいてユーザバイタルを示す数値を含む範囲に関連付けられたキーを選択する。
データ選択ステップS203は、プロセッサ101が、特定ステップS201の結果に応じて、特定のキーに属する音声を表す音声データを選択するステップである。
具体的には、プロセッサ101は、再生日時に応じて、特定のキーに属する音声を表す音声データを選択する。例えば、プロセッサ101は、特定のキーに属する音声を表す音声データのうち、上述したテーブルにおいて再生日時に関連付けられた属性を有する音声データを選択する。
また、プロセッサ101は、再生環境を示す数値に応じて、特定のキーに属する音声を表す音声データを選択する。例えば、プロセッサ101は、特定のキーに属する音声を表す音声データのうち、上述したテーブルにおいて再生環境を示す数値の範囲に関連付けられた音声データを選択する。
また、プロセッサ101は、ユーザバイタルを示す数値に応じて、特定のキーに属する音声を表す音声データを選択する。例えば、プロセッサ101は、上述したテーブルにおいてユーザバイタルを示す数値に関連付けられた属性を有する音声データを選択する。
再生ステップS204の詳細は、音声再生方法S1における再生ステップS103と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
本変形例は、音声再生システム1Aにおいて選択されるキーおよび音声データを、再生日時、再生環境、およびユーザバイタルの少なくとも何れかに応じて変化させることができる。その結果、本変形例では、再生時の状況に適合した複数の音声データが再生される。これにより、利用者に対してより快適な環境を提供することが可能になる。
なお、本実施形態においては、音声データとして、(1)特定のキーに属する無テンポ音声を表すもの、および(2)特定のキーに属さない有テンポ音声を表すものを用いる例について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、特定のキーに属さない有テンポ音声を用いる代わりに、特定のキーに属する有テンポ音声を用いてもよい。この場合、ストレージ20は、有テンポ音声を表す音声データTに代えて、特定のキーに属する有テンポ音声を表す音声データを格納する。この場合、プロセッサ101は、図2のステップS102、または、図4のステップS203において、特定のキーに属する1または複数の無テンポ音声を表す音声データと、特定のキーに属する唯一の有テンポ音声を表す音声データとを選択する。
上述した実施形態および各変形例では、プロセッサ101が、補助メモリ103に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、音声再生方法S1、S2を実行する例、すなわち、音声再生方法S1、S2を実行するコンピュータ10をソフトウェアにより実現する例について説明した。ただし、音声再生方法S1、S2を実行するコンピュータ10は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよい。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る音声再生方法は、一又は複数のプロセッサが、一又は複数のストレージに格納された音声データ群から、特定のキーに属する音声を表す複数の音声データを選択するデータ選択ステップと、前記データ選択ステップにて選択された各音声データの表す音声を異なるスピーカを用いて再生する再生ステップと、を実行する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10、50_i コンピュータ
20 ストレージ
30_i スピーカ
40_i センサ
101 プロセッサ
102 主メモリ
103 補助メモリ
104 通信インタフェース
Claims (9)
- 一又は複数のプロセッサが、一又は複数のストレージに格納された音声データ群から、特定のキーに属する音声を表す複数の音声データを選択するデータ選択ステップと、
前記データ選択ステップにて選択された各音声データの表す音声を異なるスピーカを用いて再生する再生ステップと、を実行する、
ことを特徴とする音声再生方法。 - 前記プロセッサは、前記データ選択ステップに先行して、前記特定のキーを選択するキー選択ステップを更に実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の音声再生方法。 - 前記プロセッサは、前記再生ステップにおいて、前記データ選択ステップにて選択された各音声データの表す音声を、異なるスピーカを用いて非同期再生する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の音声再生方法。 - 前記プロセッサは、前記データ選択ステップにおいて、テンポを司る音の進行を含む有テンポ音声を表す唯一つの音声データと、テンポを司る音の進行を含まない無テンポ音声を表す一つ以上の音声データとを、前記複数の音声データとして選択する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の音声再生方法。 - 前記プロセッサは、前記データ選択ステップにおいて、テンポを司る音の進行を含まない無テンポ音声を表す複数の音声データを、前記複数の音声データとして選択すると共に、テンポを司る音の進行を含む有テンポ音声を表す唯一つの音声データを、前記複数の音声データに加えて選択する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の音声再生方法。 - 前記プロセッサは、再生日時、再生環境、又はユーザバイタルを特定する特定ステップを更に実行し、
前記プロセッサは、前記特定ステップの結果に応じて、前記データ選択ステップにて選択する音声データを決定する、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の音声再生方法。 - 前記プロセッサは、再生日時、再生環境、又はユーザバイタルを特定する特定ステップを更に実行し、
前記プロセッサは、前記特定ステップの結果に応じて、前記キー選択ステップにて選択するキーを決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の音声再生方法。 - 一又は複数のストレージと、一又は複数のプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記ストレージに格納された音声データ群から、特定のキーに属する音声を表す複数の音声データを選択するデータ選択ステップと、
前記データ選択ステップにて選択された各音声データの表す音声を異なるスピーカを用いて再生する再生ステップと、を実行する、
ことを特徴とする音声再生システム。 - 請求項1から7の何れか1項に記載の音声再生方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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