JP2021139447A - 防振構造 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、固有振動数が1Hzの一般的な浮き床では、タテノリ加振振動数が2Hzであると加振力の1/3以上が浮き床を支持する構造躯体に伝達され、大幅な防振効果は期待できない。
浮き床の固有振動数f0は、以下のように設定する。
また、特許文献2に開示された防振構造では、特定の振動数では反力倍率を大きく低下させることができるが、この振動数と異なる振動数で加振された場合には、反力倍率を大きく低下させることができないという問題がある。
本発明では、反力倍率が極小となる遮断振動数は、慣性質量装置の慣性質量ψ1と第1ばね要素のばね剛性k1とで決定される。変位振幅が極小となる係留振動数は、第1振動体の質量M1、慣性質量装置の慣性質量ψ1、第1ばね要素のばね剛性k1および第2ばね要素のばね剛性k2で決定される。遮断振動数および係留振動数は、いずれも第2振動体の質量M2により変化しない。このため、例えば、第2振動体となる上部床(上側の第2浮き床)の重量や観客数が増減して第2振動体の質量が変化しても防振特性(特に効果的となる振動数)は、維持される。また、第1振動体の質量を第2振動体の質量以上として第1ばね要素のばね剛性を第2ばね要素のばね剛性より小さくし、遮断振動数および係留振動数を個別に定義することにより、応答低減効果を発揮する振動数範囲を広くすることができる。
第2ばね要素は、第2振動体の質量を支持するだけであるため、第1振動体の質量および第2振動体の質量の両方を支持する第1ばね要素より支持荷重が小さい。また、第2ばね要素のばね剛性k2は、第1ばね要素のばね剛性k1よりも大きく設定されるため、第2ばね要素の撓みは第1ばね要素の撓みよりも小さくなり、第1ばね要素よりも軽微で安価なばねを用いることができる。
このような構成とすることにより、共振時の応答を低減させることができる。
このような構成とすることにより、装置の摩擦抵抗を評価するとともに高振動数時の応答を低減させることができる。
このような構成とすることにより、慣性質量装置の小型化を図ることができる。
図1に示すように、本実施形態による防振構造1は、構造体2と、構造体2の上方に設置された第1浮き床3(第1振動体)と、第1浮き床3の上方に設置された第2浮き床4(第2振動体)と、構造体2と第1浮き床3との間に介在する第1支持ばね5(第1ばね要素)と、第1浮き床3と第2浮き床4との間に介在する第2支持ばね6(第2ばね要素)と、構造体2と第1浮き床3との間に介在する第1減衰要素7と、構造体2と第1浮き床3との間に介在する慣性質量装置8と、第1浮き床3と第2浮き床4との間に介在する第2減衰要素9と、を有している。
本実施形態による防振構造1は、例えば、大規模な音楽ホールなどの建物に採用され、第2浮き床4の上部に人や物が載るようになっている。防振構造1では、第2浮き床4の上部で多人数客が曲に合わせて屈伸運動するなどして第2浮き床4が加振された際に、第2浮き床4に鉛直振動(いわゆるタテノリ振動)が生じることを想定している。
基礎部22の上面は水平面に形成されている。
第1浮き床3および第2浮き床4は、それぞれ平板状に形成され、板面が水平面となる向きで構造体2の凹部21に配置されている。第1浮き床3は基礎部22の上方に重なって配置され、第2浮き床4は、第1浮き床3の上方に重なって配置されている。
第1浮き床3は、構造体2に対して第1支持ばね5、慣性質量装置8および第1減衰要素7の変形可能範囲において上下方向に変位可能に構成されている。
第2浮き床4は、構造体2に対して上下方向に変位可能に構成されているとともに、第1浮き床3に対して第2支持ばね6および第2減衰要素9の変形可能範囲において上下方向に変位可能に構成されている。
第1支持ばね5のばね剛性k1は、第2支持ばね6のばね剛性k2よりも小さく設定されている(k1<k2)。
第2支持ばね6は、第1支持ばね5よりも変位が小さく、更に第1支持ばね5よりも支持荷重が小さいため、本実施形態では、第1支持ばね5よりも軽微なばねが用いられている。
慣性質量装置8の負担力は、回転錘82の直径D、回転慣性モーメントIθ、質量ms、リードLd、装置負担力P、変位x、錘回転角θ、慣性質量ψとすると、下式で表される。
慣性質量装置8が設けられていない(慣性質量ψ1が無い)場合の防振構造の固有振動数をf1とする。「反力倍率を大きく低下させたい特定の振動数領域」の下限振動数をfminとし、上限振動数をfmaxとする。上述しているように、k1は、第1支持ばね54のばね剛性である。反力倍率とは、第2浮き床4上からの加振力Fに対する基礎反力Rの比率R/Fを示している。
慣性質量ψ1は、下限振動数をfminおよび上限振動数をfmaxに対して下式を満足するように設定される。
第1浮き床3の質量M1=0.9M
第2浮き床4の質量M2=0.1M
第1支持ばね5の剛性k1=1.07k
第2支持ばね6の剛性k2=6k
慣性質量ψ1を除いた防振構造1の固有振動数f1=1.03Hz
基礎部22と第1浮き床3との間の第1減衰要素7の減衰c1=1.0c
第1浮き床3と第2浮き床4との間の第2減衰要素9の減衰c2=1.5c
慣性質量ψ1=0.188M
減衰を無視した際に反力倍率が極小となる遮断振動数fSは2.39Hzとなる。
減衰を無視した際に第2浮き床4の変位倍率が極小となる係留振動数fkは2.55Hzとなる。
なお、減衰c1=0での遮断振動数は、以下となる。
一方、第2浮き床4の揺れ(上下振幅)も同じ振動数領域で低下させたいため、第2浮き床4の変位倍率(応答変位)が極小となる係留振動数をfminとfmaxの間に設定する。
減衰c2=0での係留振動数は、以下となる。
図3より、反力倍率R/Fは、加振振動数2Hzにおいて、従来の1段構造で慣性質量装置8の無い浮き床では0.334であるが、これに慣性質量装置8を付加することで0.100となる。そして、本実施形態による防振構造1では、反力倍率R/Fは、加振振動数2Hzにおいて、0.108となることから、1段構造で慣性質量装置8のある浮き床とほぼ同等の反力低減効果を発揮することがわかる。
図4より、変位倍率v/v0は、加振振動数2Hzにおいて、従来の1段構造で慣性質量装置8の無い浮き床では0.34であるが、これに慣性質量装置8を付加することで0.271とわずかに減少する。そして、本実施形態による防振構造1では、変位倍率v/v0は、加振振動数2Hzにおいて、0.120となることから、大幅な変位低減効果を発揮することがわかる。
上記の本実施形態による防振構造では、特定の振動数領域で反力倍率を大きく低下させつつ、加振される床の変位振幅(上下の揺れ)も大幅に低減できる。これにより、共振振動数(1.0Hz)の2〜3.5倍の加振振動数(2〜3.5Hz)に対し、反力倍率を1/10以下にするととも第2浮き床4の変位振幅も加振力のよる静的たわみ(変位)の概ね1/10以下にするという従来にない優れた防振特性を実現できる。なお、慣性質量装置8を用いない従来の一般的な防振機構では、共振振動数の2倍の加振振動数での反力倍率を1/3以下にすることはできなかった。
図5に第2浮き床4の質量(M2)を上記の2倍(M2=0.2M)とした場合の加振振動数fと反力倍率R/Fとの関係を示し、図6に第2浮き床4の質量(M2)を上記の2倍(M2=0.2M)とした場合の加振振動数fと変位倍率v/v0との関係を示す。
図5を図3と比較し、図6を図4と比較すると、反力倍率R/F・変位倍率v/v0が極小となる遮断振動数・係留振動数とも変わらず、本実施形態による防振構造の防振特性も大差ないことがわかる。
第2支持ばね5に並列する第2減衰要素7の減衰c2が小さいほど変位について係留振動数での防振効果が高くなるが、高振動数時(検討例では2.5Hz以上)での変位応答倍率が大きくなる傾向がある。そのため、本実施形態では、現状の装置で実現されている諸元を設定したが、防振特性だけに注目するのであれば、もっと減衰を小さくした方が高性能となる。
例えば、上記の実施形態では、ライブホール等に本提案の防振機構を適用した例について説明したが、特定の振動数で上下振動する機器の下部支持台に本提案を適用することもできる。本提案での遮断振動数と係留振動数を特定の振動数と一致させれば、機械振動により周辺が揺れる振動障害をなくせるとともに、機器自体の上下振動も生じないので機器外部との接続に問題も生じにくくなる特徴がある。
また、上記の実施形態では、第1浮き床3と第2浮き床4との間に、第2減衰要素9が第2支持ばね6と並列に設けられいるが、第1浮き床3と第2浮き床4との間に、第2減衰要素9が設けられていなくてもよい。
2 構造体
3 第1浮き床(第1振動体)
4 第2浮き床(第2振動体)
5 第1支持ばね(第1ばね要素)
6 第2支持ばね(第2ばね要素)
7 第1減衰要素
8 慣性質量装置
9 第2減衰要素
Claims (4)
- 前記構造体と前記第1振動体との間に前記第1ばね要素と並列に設けられた第1減衰要素を有することを特徴とする請求項1に記載の防振構造。
- 前記第1振動体と前記第2振動体との間に前記第2ばね要素と並列に設けられた第2減衰要素を有することを特徴とする請求項1または2に記載の防振構造。
- 前記慣性質量装置は、回転慣性質量ダンパであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防振構造。
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