JP2021139079A - 不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】親水性の保持性が高い不織布を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を含有し、孔径が繊維径の50%以下である細孔1を繊維表面に備え、細孔1の内壁に界面活性剤が存在する多孔繊維10を有する不織布。【選択図】図1

Description

本発明は、不織布に関する。
疎水性の繊維を構成繊維とする不織布には、用途に応じた親水性を付与するため、界面活性剤を用いる技術がこれまで種々提案されてきた。
例えば、特許文献1には、優れた親水性を付与するために、ノニオン系アルキル界面活性剤が所定量含有されたポリプロピレン成型物が記載されている。
特開2009−144275号公報
不織布に親水性を付与する方法としては、不織布表面を界面活性剤で処理する方法や、繊維材に界面活性剤を含有させる方法等がある。しかし、不織布表面を界面活性剤で処理する方法では、初期の親水性は優れるものの、界面活性剤が流出しやすく、繰り返しの使用により親水性が低下しやすい。また、繊維材に界面活性剤を含有させる方法では、界面活性剤が繊維の内部から滲出するのに時間が掛かり、親水性の発現や回復に時間を要していた。
本発明は、上記の問題点に鑑み、親水性の保持性が高いものとすることができる不織布に関する。
本発明は、熱可塑性樹脂を含有し、孔径が繊維径の50%以下である細孔を繊維表面に備え、該細孔の内壁に界面活性剤が存在する多孔繊維を有する不織布を提供する。
本発明の不織布は、親水性の保持性が高いものとすることができる。
(A)は本発明の不織布を構成する多孔繊維の一部を模式的に示す部分拡大図であり、(B)は(A)の表面における細孔を模式的に示す部分拡大図である。 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて多孔繊維の表面を撮像した際に取得される画像の一例を示す図面代用写真である。 多孔繊維を製造する工程において、延伸工程における界面剥離を模式的に示す説明図である。
本明細書において、繊維軸方向とは、繊維の延出する方向を意味する。繊維が蛇行、屈曲、捲縮等している場合は、それに沿った方向である。繊維軸方向は、繊維の紡糸方向に一致する。また、繊維径方向とは、繊維軸方向とは垂直の方向であり、繊維の内部を通る太さ方向を意味する。周方向とは、繊維の外周面の方向を意味する。
以下、本発明の不織布及びこれを用いた吸収性物品について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
(多孔繊維)
本発明の不織布は、構成繊維として多孔繊維10を有する。多孔繊維10は、熱可塑性樹脂を含有している。多孔繊維は、孔径が繊維径の50%以下である細孔を繊維表面に備えた繊維であり、細孔の内壁には界面活性剤が存在する。一例として、図1(A)及び(B)に示すような、細孔1を繊維表面に複数備えた多孔繊維10が挙げられる。繊維表面に細孔1があり、細孔1の内壁に界面活性剤が存在することで、細孔1の内壁が親水化され、細孔1の内部に液を引き込むことができる。その結果、不織布の親水性が向上する。
本発明の不織布が一旦水と接触した後であっても、細孔1の内部では引き込まれた液及び界面活性剤が流出しにくく、保持されやすい。その結果、繊維表面の親水性が維持される。即ち、多孔繊維10を有する本発明の不織布は、繰り返し使用しても親水性を維持することができる。また、本発明の不織布は、細孔1の内壁に界面活性剤が存在することにより、界面活性剤の含有を適度に抑えて繊維強度及び不織布強度を保ちながら、十分な親水性を実現できる。
なお、本明細書における親水性とは、対象物と脱イオン水との接触角が90°未満であることをいう。
(細孔)
細孔1は、多孔繊維10の繊維成分(熱可塑性樹脂)が繊維表面において部分的に断絶された部分である。言い換えると、繊維表面にある繊維成分が裂けて形成された孔(開孔部)である。本発明の効果を奏する限り、多孔繊維の表面には細孔1以外の大きな孔があってもよい。
(繊維径)
多孔繊維10の繊維径は、通常の不織布に用いられる繊維と同様のものとすることができ、例えば、0.4μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、また、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましい。
(孔径)
細孔1の孔径は、細孔1の内部に液を引き込む観点から、繊維径の4%以上であることが好ましく、繊維径の5%以上であることがより好ましく、繊維径の6%以上であることが更に好ましい。また、細孔1の孔径は、細孔1の内部に引き込まれた液及び界面活性剤の流出を防ぐ観点から、繊維径の40%以下であることが好ましく、繊維径の20%以下であることがより好ましく、繊維径の10%以下であることが更に好ましい。
(繊維径及び孔径の測定方法)
測定対象の多孔繊維10が吸収性物品等の製品に用いられている不織布等を構成する繊維である場合、製品にコールドスプレーを吹きかけて接着剤を固化し、不織布等を製品から丁寧に剥がす。次いで、ピンセットを用いて多孔繊維10を3本取り出す。このとき繊維を抜き出す場所は任意だが、エンボス等で融着してフィルム化している領域は除く。また、測定対象の多孔繊維10が製品に複合化されていない繊維である場合も、任意に3本の多孔繊維10をピンセットで取り出す。
1本の多孔繊維10を観察しやすい長さに切り、試料台にカーボンテープ等を用いてセットする。多孔繊維10の表面を金で2分間蒸着する。
走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:JCM−5100、日本電子株式会社製)を用いて、加速電圧15kV、観察倍率300倍で繊維表面を観察する。観察結果を撮像し、図2に示すような、観察視野が縦3μm×横4μmの繊維表面の画像を取得する。取得した画像から、多孔繊維10の繊維径M、細孔1の繊維軸方向の長さm、及び細孔1の繊維径方向の長さnを測定する(図1(A)及び(B)参照)。細孔1の繊維軸方向の長さm及び細孔1の繊維径方向の長さnのうち、大きい方を孔径とする。
(多孔繊維の表面積に対して細孔が占める面積割合)
多孔繊維の表面積に対して細孔が占める面積割合は、不織布に十分な親水性を発現させ維持する観点から、0.5%以上が好ましく、0.8%以上がより好ましく、1%以上が更に好ましい。また、前記割合は、多孔繊維及び不織布の強度を維持する観点から、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、1.2%以下が更に好ましい。この範囲にあることにより、繊維強度及び不織布強度を維持しながら、内壁に界面活性剤を有する細孔の数を多孔繊維の表面に十分に備えることとなる。
(多孔繊維の表面積に対して細孔が占める面積割合の算出方法)
前述と同様に、SEMを用いて取得した画像から、多孔繊維10の繊維径M及び多孔繊維10の繊維軸方向の長さNを測定する(図1(A)参照)。多孔繊維10を円柱と見立て、下記式(1)により多孔繊維の表面積を算出する。

多孔繊維の表面積=円周率π×多孔繊維の繊維径M×多孔繊維の繊維軸方向の長さN
式(1)

また、上記のSEMを用いて取得した画像からは、細孔1の繊維軸方向の長さm及び細孔1の繊維径方向の長さnも併せて測定する(図1(B)参照)。細孔1を楕円形と見立て、下記式(2)により細孔部分の面積を算出する。画像に複数の細孔1が写っている場合は、それぞれの細孔1について細孔部分の面積を算出する。

細孔部分の面積=
円周率π×(細孔の繊維軸方向の長さm/2)×(細孔の繊維径方向の長さn/2)
式(2)

図2に示すように、多孔繊維10の周方向Xのうち、画像に写るのは周方向Xの半分の面である。そのため、式(1)及び(2)の算出結果を用い、下記式(3)により、多孔繊維の表面積に対して細孔が占める面積割合を算出する。

多孔繊維の表面積に対して細孔が占める面積割合[%]=
{細孔部分の面積の合計/(多孔繊維の表面積/2)}×100
式(3)
(界面活性剤)
本発明における界面活性剤は、疎水的な材料を親水化させるための剤である。多孔繊維が界面活性剤を含有することで、疎水的な熱可塑性樹脂を親水化させ、不織布に親水性を付与することができる。前述の通り、本発明においては細孔1の内壁に界面活性剤が存在する。これにより、本発明の不織布は、繰り返し使用しても親水性を維持することができる。
細孔の内壁に界面活性剤が存在するか否かは、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)により確認することができる。
具体的には、測定対象の多孔繊維10を観察しながら、多孔繊維10の細孔1に向けて、TOF−SIMS装置(商品名:TOF−SIMS IV、IONTOF社製)から一次イオン(イオンビーム)を照射し、細孔1から二次イオンを放出させる。二次イオンの飛行時間を分析し、細孔1の内壁に存在する物質を特定することができる。
不織布に十分な親水性を付与する観点から、多孔繊維10における界面活性剤の含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることが更に好ましい。また、多孔繊維10及び不織布の強度を保つ観点から、多孔繊維10における界面活性剤の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
界面活性剤の種類は、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されないが、非イオン系界面活性剤であることが好ましい。イオン系界面活性剤が一般的に固体の塩であるのに対し、非イオン系界面活性剤は一般的に液状である。液状である非イオン系界面活性剤は多孔繊維の繊維成分の内部で拡散しやすく、多孔繊維の表面に滲出(ブリードアウト)しやすい。結果として、界面活性剤が多孔繊維の表面だけでなく細孔の内壁にも存在しやすくなり、不織布の親水性が発現しやすく維持されやすい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂の種類は、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂を用いることで、通気性と、柔軟性と、軽量性とに優れた不織布となる。また、ポリオレフィン樹脂は一般的に極性基を有しない樹脂であり、界面活性剤が有する親水基との間で生じる相互作用(例えば、水素結合)を軽減することができる。その結果、界面活性剤が多孔繊維の表面に滲出しやすく、親水性が発現しやすくなる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
多孔繊維10の構成としては、1種類の樹脂からなるものであってもよく、複数種類の樹脂からなるものであってもよい。複数種類の樹脂からなるものとしては、芯鞘構造やサイド・バイ・サイド構造の複合繊維が挙げられる。
多孔繊維10及び不織布の強度を保つ観点から、多孔繊維10における熱可塑性樹脂の含有量は、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましい。また、首尾よく開孔を設ける観点から、多孔繊維10における熱可塑性樹脂の含有量は、95質量%以下であることが好ましく、92.5質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
(多孔繊維の製造方法)
次に、本発明に用いられる多孔繊維10の製造方法の一例について説明する。
多孔繊維10の原料である熱可塑性樹脂及び界面活性剤に加え、固形物3を混練し、樹脂塊を得る。得られた樹脂塊をペレット状に切り出し、押出成形装置を用いて繊維を作製(紡糸)する。
図3(A)に示すように、作製した繊維の表面には固形物3が点在する。この繊維を繊維軸方向に延伸すると、繊維成分と固形物3との間で界面剥離が生じ、図3(B)に示すように固形物3の周囲で細孔1が形成される。同時に、界面活性剤が繊維表面に滲出し、細孔1の内壁に存在する状態となる。このようにして、本発明に用いられる多孔繊維10を製造することができる。
繊維表面に細孔1を形成する方法としては、上記の界面剥離による方法の他に、繊維成分を部分的に溶解抽出する方法も挙げられる。但し、溶解抽出の際に界面活性剤が細孔の内壁から流出することを防止する観点から、界面剥離により細孔1を形成する方法が好ましい。また、熱可塑性樹脂と界面活性剤とを均質に混練することで、細孔1の内壁にて界面活性剤を保持させることができる。
界面剥離による方法で多孔繊維10を製造する観点から、本発明に用いられる多孔繊維10は、固形物3を含むことが好ましい。以下、固形物3について説明する。
(固形物)
本発明に用いられる固形物3は、熱可塑性樹脂と相溶しないことが好ましい。多孔繊維10の繊維成分と相溶しない固形物を用いることで、界面剥離を繊維成分と固形物3との間で効率的に生じさせることができる。
また、多孔繊維10の製造過程において固形物3の融解を防止する観点から、固形物3は無機物であることが好ましい。無機物としては、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ケイ素化合物、フッ化物等が挙げられる。
金属の酸化物の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、アルミナ、雲母チタン等が挙げられる。
金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化銅等が挙げられる。
金属の炭酸塩の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)等が挙げられる。
金属の硫酸塩の具体例としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛等が挙げられる。
金属のリン酸塩の具体例としては、リン酸カルシウム等が挙げられる。
金属のケイ酸塩の具体例としては、珪酸アルミ、マイカ、タルク、クレー、カオリン、雲母チタン等が挙げられる。
金属のケイ素化合物の具体例としては、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
金属のフッ化物の具体例としては、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。
中でも、ポリオレフィンとの界面剥離性が良好で、延伸により容易に多孔化することができる観点から、炭酸塩が好ましく、炭酸カルシウムがより好ましい。
細孔の孔径を一定以下にする観点から、固形物3の長さは、多孔繊維の繊維径の25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。また、繊維表面に細孔を形成できれば、固形物3の長さは小さければ小さいほど好ましいが、0.2μm以上が実際的である。
なお、固形物3の長さとは、固形物3の端から端までの最大の距離をいう。固形物3の長さは、前述のSEMを用いて取得した画像から、測定することができる。
多孔繊維10の表面に十分な細孔1を形成する観点から、多孔繊維10における固形物3の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、多孔繊維10及び不織布の強度を保つ観点から、多孔繊維10における固形物3の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
(他の成分)
次に、本発明に用いられる多孔繊維10は、界面活性剤、熱可塑性樹脂、及び固形物3以外に、他の成分を適宜含有していてもよい。例えば、細孔1を形成しやすくする観点で可塑剤を含有していてもよく、固形物3を多孔繊維10中に均一に分散させる観点で分散剤を含有していてもよい。
(不織布の製造方法)
多孔繊維10を用いて不織布を製造する方法は特に限定されず、通常用いられる種々の方法によって製造することができる。
(非多孔繊維)
本発明の不織布は、多孔繊維10のみで構成されていてもよく、多孔繊維10以外の繊維(以下、非多孔繊維という。)を構成繊維として有していてもよい。非多孔繊維を適度に有することで、不織布の親水性を適切に調整することができる。
非多孔繊維とは、細孔1を繊維表面に十分に備えていない繊維である。具体的には、前述のSEMを用いて取得した画像(観察視野は縦3μm×横4μm)の中に、細孔1が写っていない繊維である。繊維表面に孔を有していない繊維だけでなく、細孔1以外の孔のみを繊維表面に有する繊維も、非多孔繊維に含まれる。即ち、SEMを用いて取得した画像を用いて、対象の繊維が多孔繊維10か非多孔繊維かを区別することができる。
非多孔繊維が含有する成分は、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されない。例えば、多孔繊維10と同じ熱可塑性樹脂を用いることができる。
(不織布の質量に対する多孔繊維の質量の割合)
不織布に親水性を付与し十分な透液性を発現させる観点から、不織布の質量に対する多孔繊維10の質量の割合は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。また、液の保持性能(例えば、清掃シートでは液の徐放性を維持する性能、吸収性物品では肌の濡れを防止する性能)の観点から、前記割合は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
前記割合が100質量%未満の場合、不織布は多孔繊維10以外の繊維によっても構成されている。
本発明の不織布では、少なくとも一方の面が、非多孔繊維で覆われていることが好ましい。少なくとも一方の面において親水性の低い繊維のみを露出させることで、不織布を吸収性物品に用いた場合では、該面を肌に当接させたときの肌の濡れを軽減することができる。また、不織布を清掃シートやウェットシートに用いた場合では、親水性の低い繊維のみを露出した面を拭き取り面とすることで、シート中の洗浄液を徐放することができる。
少なくとも一方の面を非多孔繊維で覆った不織布を製造する方法としては、多孔繊維10からなる原料不織布と非多孔繊維からなる原料不織布とを、厚み方向に重ね合わせて融着する方法が挙げられる。
(不織布)
本発明の不織布の形態としては、通常用いられる種々のものを採用できる。例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ヒートロール不織布等が挙げられる。また、単層、複数層いずれの形態であってもよい。複数層とする場合、1種類の不織布からなる積層体、複数種の不織布からなる積層体、不織布と他の素材(例えばフィルム)との積層体等であってもよい。
本発明の不織布は、種々の物品に適用することができる。例えば、清掃シート、ウェットシート、吸収性物品等が挙げられる。吸収性物品としては、液を吸収保持するものであれば特に制限されない。例えば、大人用や子供用のおむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティーライナー、吸収性パッド等が挙げられる。
吸収性物品は一般に、肌面側の表面シートと、非肌面側の裏面シートと、該表面シート及び該裏面シートの間に配された吸収体を有する。表面シートは、排泄液を肌面側から非肌面側へと透過させる機能(透液性)を有する。裏面シートは、肌面側から非肌面側への排泄液の透過を防止する機能(液難透過性)を有する。吸収体は、排泄液を吸収し保持する機能を有する。
これらの構成部材のうち、本発明の不織布は、表面シートとして好適に用いることができる。また、繰り返しの排泄があっても、表面シートの親水性及び透液性が維持されやすくなる。
清掃シートやウェットシートには、高い液保持力や優れた液徐放性が求められるため、親水性を有する本発明の不織布を好適に使用できる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、下記表中における、「−」は、項目名に示される剤を用いないこと、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂88質量%、界面活性剤として非イオン系界面活性剤(商品名:エマルゲン106、花王株式会社製)5質量%、固形物として炭酸カルシウム(長さ:1.1μm)5質量%、可塑剤としてエキセパールTM−20AS(商品名、花王株式会社製)1質量%、及び分散剤としてステアリン酸(花王株式会社製)1質量%を、混練装置(商品名:ラボプラストミル、株式会社東洋精機製作所製)で混練し、樹脂塊を得た。混練の条件は180℃、30rpmで10分間とした。
得られた樹脂塊をペレット状に切り出し、押出成形装置(商品名:キャピログラフ、株式会社東洋精機製作所製)を用いて繊維を作製した。紡糸の条件は、温度180℃、押出速度10mm/min、引取速度20mm/minとした。
作製した繊維(非多孔繊維)を延伸倍率3倍となるように繊維軸方向に延伸し、固形物の周囲で界面剥離を生じさせた。このようにして作製した多孔繊維を計0.18g量りとり、3cm角に並べたのち、成形加工機(商品名:ラボプレス、株式会社東洋精機製作所製)でプレスし実施例1の不織布試料(不織布の質量に対する多孔繊維の質量の割合:100質量%)を作製した。プレス条件は80℃、50kg/cmで1秒間とした。
(実施例2)
非イオン系界面活性剤の代わりにアニオン系界面活性剤(商品名:エマール20C、花王株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の不織布試料を作製した。
(実施例3)
非イオン系界面活性剤の代わりにカチオン系界面活性剤(商品名:コータミン24P、花王株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の不織布試料を作製した。
(比較例1)
非イオン系界面活性剤を用いず、ポリエチレン樹脂の使用量を93質量%とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の不織布試料を作製した。
(比較例2)
延伸後、多孔繊維の表面に非イオン系界面活性剤を塗工した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の不織布試料を作製した。
(比較例3)
繊維の延伸を行わなかった(非多孔繊維のみを用いた)以外は、実施例1と同様にして、比較例3の不織布試料を作製した。
(比較例4)
非イオン系界面活性剤の代わりにアクリル酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の不織布試料を作製した。
アクリル酸は非界面活性であるため、繊維を親水化する界面活性剤に該当しない。
(細孔の内壁における界面活性剤の有無の確認)
前述の方法に従い、実施例1〜3並びに比較例1〜4の不織布試料から繊維を取り出した。取り出した繊維について、前述の方法に従い、細孔の内壁における界面活性剤の有無を確認した。
比較例1及び4では、界面活性剤を用いなかったため、細孔の内壁に界面活性剤は存在しなかった。
比較例2では、繊維の表面に塗工した界面活性剤が小さな細孔に入り込まなかったため、細孔の内壁に界面活性剤は存在しなかった。
比較例3では、繊維の延伸を行わなかったため、細孔が繊維の表面に存在しなかった。
(SEMによる解析)
前述の方法に従い、実施例1〜3並びに比較例1〜4の不織布試料から繊維を3本ずつ取り出した。取り出した繊維について、前述の方法に従いSEMを用いて画像を取得し、繊維径及び孔径を測定した。併せて、多孔繊維の表面積に対して細孔が占める面積割合、繊維径に対する孔径の割合、及び繊維径に対する固形物の長さの割合を算出した。
(親水性の評価)
前述の方法に従い、実施例1〜3並びに比較例1〜4の不織布試料から多孔繊維を5本ずつ取り出した。取り出した多孔繊維について、以下の通りに接触角を測定することで、親水性を評価した。
繊維試料をアクリル台の両端に渡し、両端をテープで固定した。自動微小接触角装置(商品名:MCA−J、協和界面科学株式会社製)を用い、繊維試料上の任意の5か所に脱イオン水を1滴ずつ滴下し、それぞれの接触角を測定した。接触角の測定を同様に5本行い、合計25か所の平均値を水洗前の接触角として採用した。
その後、繊維を100mLの脱イオン水とともにビーカーに入れ、40秒間撹拌して水洗した。脱イオン水の量は、繊維1本の水洗であっても不織布の水洗であっても、十分な洗浄性を担保できる量であった。水洗後においても水洗前と同様に、接触角を測定した。
5本の繊維について水洗前及び水洗後の接触角の測定をそれぞれ行い、水洗前の25個の測定値の平均値を水洗前の接触角とし、水洗後の25個の測定値の平均値を水洗後の接触角とした。
水洗前の接触角及び水洗後の接触角それぞれについて、90°未満であれば繊維が親水性を有していると評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2021139079
表1に示す通り、実施例1〜3の不織布試料は、水洗前だけでなく水洗後においても接触角が90°未満と、水洗しても親水性を維持できるものであり、細孔の内壁に界面活性剤を有していなかった比較例1〜4の不織布試料よりも優れていた。
特に、実施例1〜3の中でも、非イオン系界面活性剤を用いた実施例1では、水洗前においても水洗後においても接触角が最も小さく、親水性が最も優れていた。
このように、実施例1〜3の不織布試料は、繰り返し使用しても親水性を維持できるものであった。
(実施例4)
多孔繊維と非多孔繊維とを同量ずつ用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の不織布試料を作製した。
(実施例5〜7)
多孔繊維及び非多孔繊維の質量の割合を表2に示す通りとした以外は、実施例4と同様にして、実施例5〜7の不織布試料を作製した。
(液戻り量の測定)
直径7cmの円形ろ紙の上に実施例1及び4〜7並びに比較例3の不織布試料を乗せ、上から脱イオン水0.5gを注入した。30秒後、あらかじめ重量を測定して置いたろ紙を不織布試料の上に重ねて載置し、60gの錘をろ紙の上から乗せて10秒間加圧した。加圧後、不織布試料の上に載置したろ紙を回収し、吸水後のろ紙の重量を測定した。吸水前のろ紙の重量との差を、液戻り量とした。
液戻り量が少ないほど、不織布試料の、肌の濡れを軽減する性能や、液を徐放する性能が高いと評価した。
結果を表2に示す。
Figure 2021139079
表2に示す通り、実施例1及び4〜7の不織布試料では、液戻り量が14mg以下であり、多孔繊維を用いなかった比較例3の不織布試料よりも、肌の濡れを軽減する性能や、液を徐放する性能に優れていた。
特に、実施例1及び4〜7の中でも、多孔繊維の質量の割合を40質量%以上80質量%以下とした実施例4〜6では、液戻り量が2mg以下であり、肌の濡れを軽減する性能や、液を徐放する性能が極めて高いものであった。
1 細孔
3 固形物
10 多孔繊維
M 多孔繊維の繊維径
N 多孔繊維の繊維軸方向の長さ
m 細孔の繊維軸方向の長さ
n 細孔の繊維径方向の長さ
X 周方向

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を含有し、孔径が繊維径の50%以下である細孔を繊維表面に備え、該細孔の内壁に界面活性剤が存在する多孔繊維
    を有する不織布。
  2. 前記界面活性剤が非イオン系界面活性剤である、請求項1記載の不織布。
  3. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項1又は2記載の不織布。
  4. 前記多孔繊維が、前記熱可塑性樹脂と相溶しない固形物を含み、
    前記固形物の長さが前記繊維径の25%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記固形物が無機物である、請求項4記載の不織布。
  6. 前記多孔繊維の表面積に対して前記細孔が占める面積割合が3%以上10%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記不織布の質量に対する前記多孔繊維の質量の割合が40質量%以上80質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 少なくとも一方の面が、前記多孔繊維以外の繊維で覆われている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 肌面側の表面シートと、非肌面側の裏面シートと、該表面シート及び該裏面シートの間に配された吸収体とを有し、
    前記表面シートが請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布である、吸収性物品。
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