JP2021137379A - 椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】着座者が椅子全体を動かすことなく、座部を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接でき、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反できる椅子を提供する。【解決手段】脚部に対して座部が、前方終端位置と後方終端位置との間を、一平面内で前後移動できるとともに、座部が前方を向いた回転初期位置と所定角度位置との間の角度範囲を、前記平面内で回転できるように設けられた回転スライド機構と、脚部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた静止軸61と、座部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた移動軸62と、静止軸と移動軸とを繋ぐリンク63と、を主な構成要素とするリンク機構と、を備え、リンク機構により、座部の回転初期位置が座部の前方終端位置に一致し、かつ座部の所定角度位置が座部の後方終端位置に一致するように座部の前後移動と座部の回転とが連動する、ことを特徴とする椅子。【選択図】図6

Description

本発明は、脚を床などの上に載置して、テーブル又はデスク(以降テーブルという)と組み合わせて使用される椅子に関する。
テーブルと組み合わせて使用される椅子として食卓椅子、ワークチェア、学習椅子などがある。このような椅子として、座部の下部に床などの上に接地する脚を設けた普通の椅子や、水平面内で脚に対して回転可能な座部を設けた回転椅子、さらに回転椅子の脚の先端に自在キャスターを取り付けたキャスター付き椅子などが従来、一般的である。
これら従来の椅子に座り、着席位置を確定させるためには、椅子を後へ引いてテーブルから離した状態で座り、その後、座ったまま体重を若干前方へ移動させながら椅子全体を引いてテーブルに接近するように移動させる。場合によっては何度も椅子を前後に微妙に動かしてテーブルの縁と着座者との間の適切な間隔を実現させる必要がある。このような着席動作は煩わしい動作である。特に、椅子の脚の床との接地面の摩擦抵抗が大きい場合にはこの着席動作はより困難となり、途中で諦めざるを得ない場合もある(例えば床が絨毯やカーペットである場合など)。また、着席位置は着席するごとに微妙に変化し、適切な位置の再現性は保証されなかった。同様に、椅子に着席した状態から離席するためには、椅子がそのままの状態では体がテーブルの縁と干渉するため、まず座ったまま体重を若干後方へ移動させながら椅子全体を引いてテーブルから離反するように移動させ、その後、椅子から立ち上がるという煩わしい動作が必要となる。これらの動作は、高齢者や非健常者(病人、障害者)、妊婦では非常に困難な場合が多く、介護者が椅子の移動を補助する必要がある。回転椅子やキャスター付き椅子を利用する場合には、以下に述べる安全上の問題もあるため、介護者の存在は必須である。すなわち、回転椅子を利用する場合には、たとえば、不用意に回転動作のみで離席しようとした結果、着座者の腕がテーブル上に置かれた物体やテーブルの縁と干渉したり、更に立ち上がる際には着座者の体がテーブルの縁と干渉してしまうというような安全上の問題があるためである。キャスター付き椅子を利用する場合にも、着座者がいったん起立した際に、足の伸長に伴って椅子が後方に移動し、再度着座しようとした時に座部が離れてしまい、転倒することがある等の安全上の問題があるためである。
上記した従来の椅子に起因するこれらの問題点は、例えば、食事、事務作業や軽作業などのデスクワーク、読書、勉強など誰もが日常生活で頻繁に遭遇し、かつ避け得ざるものであり、作業効率の低下、ストレスの増加、姿勢悪化、健康障害、怪我などの悪影響を引き起こしていると予想される。これらの悪影響は、高齢者や非健常者(病人、障害者)、妊婦が椅子を使う場合にはより深刻なものであり、上記問題は解決すべき重要課題である。
上記問題の解消を目的として、下記の先行技術文献には、水平面内で脚に対して座部の回転と前後移動とを共に可能にする椅子が開示されている。
実公昭55−9225号公報 特開2001−8773号公報 実用新案登録第3139480号公報 実用新案登録第3127136号公報 特開2018−23569号公報
上記5件の先行文献で開示されたそれぞれの椅子は、座部の回転と前後移動がそれぞれ独立にできるように構成されているため、着席、離席の際に着座者が、座ったまま椅子全体を前後に動かす動作が不要となり、従来に比べれば楽に着席、離席することができるように一見思える。
しかしながら、着座者が座部を回転させる動作と着座者が座部を前後移動させる動作とは着座者の筋肉の使い方が全く異なる。前者の場合は床に着いた足裏を踏ん張りながら腰をひねるような動作であり、後者の場合は床に着いた足裏を踏ん張りながら体重を若干前方へ移動させるように腰を前に突き出す(または体重を若干後方へ移動させるように腰を後ろに引く)動作である。すなわち、着席または離席する際に、着座者は、座部を回転させる動作と座部を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという煩わしさがある。また、回転椅子と同様に、たとえば、不用意に回転動作のみで離席しようとした結果、腕や体がテーブル上の物体やテーブルの縁と干渉してしまうというような安全上の問題もある。介助者が居ることが前提となる介護専用椅子としては、介護者がより楽に操作できるという意味において有用であるが、高齢者や非健常者、妊婦が自立して使用する椅子としては好ましくない。
本発明は、以上の問題を解決するものである。
本発明の椅子は、少なくとも脚を有する脚部と、脚部の上方に設けられた座部と、脚部に対して座部が、前方終端位置と後方終端位置との間を、一平
面内で前後移動できるとともに、脚部に対して座部が、座部が前方を向いた回転初期位置と所定角度位置との間の角度範囲を、前記平面内で回転できるように設けられた回転スライド機構と、脚部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた静止軸と、座部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた移動軸と、静止軸と移動軸とを繋ぐリンクと、を主な構成要素とするリンク機構と、を備え、
リンク機構により、座部の回転初期位置が座部の前方終端位置に一致し、かつ座部の所定角度位置が座部の後方終端位置に一致するように座部の前後移動と座部の回転とが連動する、ことを特徴とする。
本発明によれば、着座者が椅子全体を動かすことなく、座部を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接し、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る椅子の斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子の正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(縦断面図)である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が右回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。 図6に示した、着座者が左回転動作を行った場合における座板の移動に伴う回転スライド機構の動きと、回転角度θとスライド距離Sの関係を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る椅子の正面図である。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る椅子の正面図である。 本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る椅子の縦断面図である。 本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る椅子の斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の正面図である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子の正面図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子の回転スライド機構の分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(縦断面図)である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る椅子について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の斜視図である。図2
は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の正面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の縦断面図(A―A’断面図)である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。
図1〜図4に示すように、椅子1は、脚部10と、座部20と、脚部10に対して座部20を回転および水平移動可能とするための回転スライド機構40とを備える。
脚部10は、四本の脚11と、四本の脚11を固定支持する脚支持部12とを備える。座部20は、座板22と、座板22の上面に設置される座クッション21と、座板22に固定される背部24とを備える。
回転スライド機構40は、水平に配置された底板46と、底板46の上面に載せられ、水平方向に突出した円筒部42を有する走行板41と、底板46に円筒部42を挟むように平行に取り付けられた2つのガイド部品45と、ガイド部品45に取り付けられた抜け防止カバー44を有している。抜け防止カバー44はL字アングル形状をしており、抜け防止カバー44の下面は、走行板41の円筒部42の上面に1mm前後の隙間をもって対向するように固定されている。そのため、抜け防止カバー44は使用中に走行板41がガタついたり、底板46から外れてしまうことを防止することができる。本実施形態においては、円筒部42の直径は250mmである。
本実施形態においては、底板46、走行板41、ガイド部品45を構成する材料は木材である。
底板46と走行板41との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素51として、底板46の上面および走行板41の下面にフッ素樹脂系の潤滑剤が塗布されている。フッ素樹脂系の潤滑剤として様々なスプレー剤が市販されている。潤滑剤として、フッ素樹脂系以外に、シリコーン樹脂系のスプレー剤またはワックスなど、その他の潤滑剤を使用することもできる。上記した潤滑剤を使用することにより、底板46と走行板41との間のすべり摩擦抵抗を低減させることができる。
回転スライド機構40は、さらに、走行板41の円筒部42の、底板46に対向する側と反対側の表面の周辺部に垂直に固定された移動軸62と、底板46に垂直に固定された静止軸61と、静止軸61と移動軸62とを繋ぐリンク63とを備える。移動軸62は円筒部42の中心線(言い換えると回転の中心線)Pを中心とする半径L2の円周300上に配置されている。本実施形態においては、半径L2は115mmである。また、静止軸61と移動軸62の距離L1は120mmである。リンク63の両端部に開けられた2つの貫通穴をそれぞれ静止軸61と移動軸62に嵌合させている。上記2つの貫通穴の中心間距離は120mmである。静止軸61と移動軸62の上端部には、円周溝が設けられ、リンク63の抜け防止のため、止め輪64が取り付けられている。静止軸61、移動軸62、リンク63、止め輪64によりリンク機構60が構成されている。
なお、底板46の走行板41が載せられた表面の、静止軸61に近接する所定位置には走行板41の移動を妨げる、ストッパー47が固定されている。
本実施形態においては、回転スライド機構40の底板46は脚支持部12の上面に取り付けられ、走行板41は座板22の下面に取り付けられている。
以下に組み立て手順を示す。まず完成した脚部10と座部20と回転スライド機構40とを用意する。次に、回転スライド機構40の抜け防止カバー44を固定しているネジを取り外し、抜け防止カバー44を取り除く。さらに、静止軸61の先端に取り付けられた止め輪64を取り外し、移動軸62とリンク63とが取り付けられたままの走行板41を取り除く。次に、残された回転/スライド機構40の底板46を 脚支持部12の上面にネジ止めしてアセンブリー1を完成させる。次に、移動軸62とリンク63とが取り付けられたままの走行板41を座板22の下面にネジ止めしてアセンブリー2を完成させる。次に、アセンブリー1とアセンブリー2とを、ちょうど円筒部42が2つのガイド部品45の間に挟まれるように組み合わせる。次に、静止軸61にリンク63の貫通穴を嵌め合わせ、静止軸61の上端部の円周溝に止め輪64を取り付ける。最後に、2つのガイド部品45にそれぞれ抜け防止カバー44を横からネジ止めすることにより組み立てが完了する。
脚部10、座部20、回転スライド機構40は3つのユニット部品として、それぞれ独立して完成させることができ、それぞれ別々に流通させることができる。この点をメリットとして利用することが可能である。例えば、最終製品を製造する製造者は、ユニット部品を異なる製造者に製造させることが可能であるため、競争効果によるコスト低減を実現しやすい。また、回転スライド機構を製造することができる製造者は、椅子を製造する複数の製造者に、本発明の椅子を提案して、回転スライド機構を供給するという新ビジネスを始めることができる。
図5の断面図および図6、7の平面図に示すように、着席位置において、前方から後方に向かって、円筒部42の中心線(言い換えると回転の中心線)Pと移動軸62の中心線Rと静止軸61の中心線Qは、中心線200上に順番に配置されている。図6の断面図において、中心線200に沿って、座部20からテーブル100に向かう方向が前方であり、テーブル100から座部20に向かう方向が後方である。脚支持部12と座部20とは、静止軸61、移動軸62、リンク63、および止め輪64で構成されるリンク機構60を介して水平面内で連結され、座部20の回転と座部20の水平移動の動きを連動させるようにしている。座部20は、前方を向いた回転初期位置から右まわり(時計まわり)および左まわり(反時計まわり)に、滑らかに回転/スライド移動させることができる。
図5は、テーブル100に向かって椅子1が着席位置に配置された状態を示している。テーブル100の縁と着座者との間の適切な間隔を実現して着席位置を確定させるためには、椅子の位置を少しづつ動かしてその毎に着席位置を確認することによって可能である。または、初回のみ、従来と同様、座ったまま椅子1全体を前に引いたり、場合によっては何度も前後に微妙に動かすことによっても可能である。この動きは介助者が実施することもできる。
座部20の回転と座部20の前後移動の動きがどのように連動するか、図6、7を参照しながら説明する。
図6は、図5の着席位置から離席位置への座部20の移動を説明するための平面図である。図面は分かり易さを考慮して、座板22、回転スライド機構40のみを記載している。着席位置にある座板22は実線で、着席位置にある回転スライド機構40は破線および実線で示し、離席位置にある座板22および離席位置にある円筒部42およびリンク機構60は二点鎖線で示している。着席位置に座っている着座者が、テーブル100から離席するときは、床に着いた足裏を固定して腰をひねる動作を行うことにより、離席位置へと移動することができる。図6では左回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。このひねり動作により、座板22は左回転しようとするが、移動軸62がリンク63を介して静止軸61から引っ張られるため、座板22が回転スライド機構40上でテーブル100から離れる方向に距離Sだけスライドする。
本実施形態においては、座板22が約57度回転するときのスライド距離Sは約100mmである。スライド距離Sが100mmとなった時に円筒部42はストッパー47にぶつかり、それ以上円筒部42およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。この座板22の動きは、着座者がほとんど意識しないまま、滑らかに実現されるため、着座者が煩わしさを感じることは皆無である。図6では、約57度の左回転動作により離席位置まで座板22を滑らかに移動させることが可能である。座板22の回転中は、座板22が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。離席位置では、座部20とテーブル100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。
図7は、図5の着席位置から離席位置への座板22の移動を説明するための平面図であるが、図6と異なり、右回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。図6と同様に、座板22が約57度回転するときのスライド距離Sは約100mmである。スライド距離Sが100mmとなった時に円筒部42はストッパー47にぶつかり、それ以上円筒部42およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。約57度の右回転動作により離席位置まで座板22を滑らかに移動させることが可能である。座板22の回転中は、座板22が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。離席位置では、座部20とテーブル100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。
図8は、図6に示した、着座者が左回転動作を行った場合における座板22の移動に伴う回転スライド機構40の動きに伴う、回転角度θとスライド距離Sの関係を説明するための図である。着座者が着席位置から左回転方向に腰をひねる動作を行って離席位置につく場合を示している。離席時の三角形P’QR’について、P’Q間距離P’Qは、θ、L1、L2、x、を使って下記のように表わされる。
P’Q=L2+x=L2・cosθ+(L1−(L2・sinθ)0.5
従って、x=L2・cosθ+(L1−(L2・sinθ)0.5−L2が成り立つ。
従って、スライド距離S=(L1+L2)−(L2+x)=L1−xは、
θ、L1、L2を使って下記のように表わされる。
S=L1+L2−L2・cosθ−(L1−(L2・sinθ)0.5
上記のθとSの関係は第1の実施形態に係る椅子のみならず、本発明の基本である。
図5の断面図および図6、7の平面図に示すように、着席位置では、リンク機構は中心線200上に配置されているため、座部20は、テーブル100に向かって前後方向に移動できないように拘束されている。このため、着席中に不用意に座部20が前後に移動する恐れはない。
また、離席、着席のための動作を何回も繰り返しても、元の着席位置がずれてしまうことは起こらない。すなわち、一度決めた着席位置を確実に、かつ楽に再現することが可能である。
上記のことから、着座者が座部20を回転させる動作のみによって座部20の回転と座部20の前後移動が連動して実現でき、座部20を回転させる動作と座部20を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという先行技術の煩わしさを解消した椅子を実現することができる。
着座者は椅子全体を動かすことなく、座部を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接することができ、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することができる。
なお、底板46と走行板41との間の摩擦抵抗を低減させるため、底板46の上面と走行板41の下面に潤滑剤を塗布させているが、使用中のメンテナンスの一環としても、潤滑剤の枯渇防止のために、定期的に潤滑剤を塗布させることが好ましい。
また、ガイド部品45と円筒部42との間にも摩擦抵抗があるため、それを低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面およびガイド部品45の円筒部42に接する表面にも、同様の潤滑剤を塗布しても良い。
ガイド部品45と円筒部42との間の摩擦抵抗を低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面またはガイド部品45の円筒部42に接する表面にゴムシートなどからなる、すべり摩擦増強部材を取り付けても良い。摩擦抵抗を低減させるためにすべり摩擦増強部材を使用するというのは一見、奇異であるが、図6を参照しながら説明する。図6で、着座者が両足を床につけて腰をひねり、座部20を左回転させる場合、着座者の臀部が座クッション21を右方向に押し出すため、座板22および座板22に取り付けられた走行板41、そして走行板41の円筒部42も右方向に押し出される。そのため、右側に位置するガイド部品45に円筒部42が押し付けられる。円筒部42は、右側のガイド部品45に押し付けられながら、左回転しながら後方にスライドして行く。左右の2つのガイド部品45は円筒部42を挟むように平行に配置されている。
2つのガイド部品45の左右隙間は円筒部42の直径に対して0.5mm乃至2mm程度大きく設定されているため、円筒部42が右側のガイド部品45に押し付けられた場合、円筒部42は左側のガイド部品45に接触することはない。すなわち、円筒部42は、車のタイヤが道路を転がるごとく、右側のガイド部品45に接触しつつ、左回転しながら後方にスライドして行くのである。その際、円筒部42とガイド部品45との摩擦係数がより高いほど、円筒部42は効率的に後方にスライドすることができる。例えば、ゴムシートをガイド部品45の円筒部42を挟む内面に貼り付けておき、0.5mm乃至2mm程度の隙間をもって円筒部42を挟むように平行に配置することにより、無駄な摩擦抵抗を低減することができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について、図9から図11を参照しながら説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る椅子の正面図である。図10は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る椅子の縦断面図(A―A’断面図)である。図11は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る椅子の分解斜視図である。
第1の実施形態と異なり、本実施形態においては、底板46と走行板41との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素51の一つとして、走行板41の底板46に対向する表面に、すべり摩擦低減部材(A)43が4個、取り付けられている。すべり摩擦低減部材(A)43はその表面がフッ素樹脂または高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂円板である。積層樹脂円板周辺のエッジはR形状をしている。もう一つの摩擦低減要素51として、底板46の走行板41に対向する表面には、すべり摩擦低減部材(B)48が取り付けられている。
すべり摩擦低減部材(B)48はその表面がフッ素樹脂または高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂シートである。
なお、底板46と走行板41との間の摩擦抵抗をさらに低減させるためには、すべり摩擦低減部材(A)43およびすべり摩擦低減部材(B)48の表面に、第1の実施形態で使用したものと同様の潤滑剤を塗布させることが有効である。
以上述べた第1の実施形態の第1の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、ガイド部品45と円筒部42との間にも摩擦抵抗があるため、それを低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面またはガイド部品45の円筒部42に接する表面にすべり摩擦低減部材(C)を取り付けても良い。すべり摩擦低減部材(C)はその表面がフッ素樹脂または高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂、またはエポキシ樹脂、PBT、PP、PEEK、ナイロン、硬質塩化ビニール樹脂などの他の樹脂を使用することができる。
ガイド部品45と円筒部42との間の摩擦抵抗を低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面またはガイド部品45の円筒部42に接する表面にゴムシートなどからなる、すべり摩擦増強部材を取り付けても良いことは、第1の実施形態の説明で述べた通りである。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43を4個使用しているが、3個または5個以上使用しても良い。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43が凸部を形成し、すべり摩擦低減部材(B)48が平面を形成しているが、逆に、すべり摩擦低減部材(A)43が平面を形成し、すべり摩擦低減部材(B)48が凸部を形成しても良いし、すべり摩擦低減部材(A)43、すべり摩擦低減部材(B)48がともに平面を形成しても良い。また、凸部の形状、寸法、個数は、本実施形態に限定されず、任意のデザインを使用することができる。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43およびすべり摩擦低減部材(B)48はその表面がフッ素樹脂または高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂材を使用したが、エポキシ樹脂、PBT、PP、PEEK、ナイロン、硬質塩化ビニール樹脂など他の樹脂を使用しても同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について、図12および図13を参照しながら説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る椅子の正面図である。
図13は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。
第1の実施形態の第1の変形例では、走行板41を構成する素材は木材であったが、本実施例ではPBTを主材料とする樹脂である。第1の実施形態の第1の変形例では、走行板41の下面にすべり摩擦低減部材である積層樹脂円板が4個、取り付けられていたが、本実施例では、走行板41の下面自身に4個所の凸部49を形成させている。走行板41はPBTを原料として射出成型により製造することができるため、4個所の凸部49を容易に形成させることができる。なお、底板46と走行板41との間の摩擦抵抗をさらに低減させるために、4個所の凸部およびすべり摩擦低減部材(B)48の表面に、第1の実施形態で使用したものと同様の潤滑剤を塗布させても良い。
以上述べた第1の実施形態の第2の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、射出成型法が利用できるため、第1の実施形態の第1の変形例に比較して、コストを低減することが可能である。
第1の実施形態の第2の変形例において、走行板41を構成する素材はPBTであるが、それに限定されず、エポキシ樹脂、PP、PEEK、ナイロン、硬質塩化ビニール樹脂など他の樹脂を使用することができる。また、より耐摩耗性を高めるためにガラス繊維などのフィラーを樹脂に含有させても良い。
(第1の実施形態の第3の変形例)
次に、第1の実施形態の第3の変形例について、図14および図15を参照しながら説明する。
図14は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る椅子の縦断面図である。図15は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る椅子の斜視図である。
第1の実施形態の第1の変形例との違いは、脚11が一つの円板状部品である点と、座面23の床面からの高さを変更できる調整機構を新たに設けた点と、床面からの高さが調整可能な足載せ台17を新たに設けた点にある。
脚部10は、下部に円板状の脚11が固定され、中心部に開けられた貫通穴を有する支柱14と、支柱14の貫通穴に内嵌されて、支柱14の上部に突出したシャフト15と、シャフトの上部に固定された台座13と、支柱14に取り付けられた足載せ台17とを有している。台座13は底板46の下面に固定されている。シャフト15の外周面の片側には、シャフト15の長手方向に沿って並ぶ4つの切り欠き部が形成されている。支柱外周面に形成されたネジ穴に手回し用の取手が付いたシャフト止めボルト16が通されている。シャフト止めボルト16の先端がシャフト15の切り欠き部に押し当てられることによりシャフト15を支柱14に固定している。4つの切り欠き部のどれかを選択することによりシャフト15が支柱14の上部に突出する長さを調整でき、その結果座面23の床面からの高さを調整することができる。
支柱14の外周面には支柱14の長手方向に沿って並ぶ5つのネジ穴が形成されている。足載せ台17は、手回し用の取手が付いた足載せ台止めボルト18を5つのネジ穴のどれかに通すことにより支柱14に固定される。5つのネジ穴のどれかを選択することにより、足載せ台17の床面からの高さを調整することができる。
ところで、通常、座面23の高さH2とテーブルの高さH1の差H1−H2の最適な値は、成人の標準体形に合わせて250mm前後に設定されている。また、同様に、座面の高さH2も、成人の標準体形に合わせて450mm前後に設定されている。これらの設定値に基づき、市販のテーブルの高さH1は700mm前後である。しかし、着座者が標準体形から外れている場合(子供や標準体形から外れた成人)や、組み合わされるテーブルの高さH1が700mmから大きくかけ離れている場合には、適正な着座姿勢は得られない。本実施形態においては、座面23の床面からの高さが調整可能であるとともに、床面からの高さが調整可能な足載せ台17を新たに設けているため、そのような場合でも適正な着座姿勢を実現することができる。例えば、子供や足が短めの成人が、足を床につける必要がなくなり、足載せ台17に足を載せたままで椅子への着席、椅子からの離席を行うことが可能となる。
本実施例では座面23の床面からの高さは4段階に調整可能であるが、無段階に高さを変更できる調整機構に変えても良い。また、本実施例では足載せ台17の床面からの高さは5段階に調整可能であるが、無段階に高さを変更できる調整機構に変えても良い。さらにまた、テーブルの高さH1がある程度決められている状況では、年齢差や体形差の影響を比較的受け難いH1−H2を250mmに固定し、言い換えると座面の高さH2は固定とし、足載せ台の高さのみ調整可能な構造とすることもできる。
以上述べた3つの変形例では、すべり摩擦低減部材(A)43(または凸部49)およびすべり摩擦低減部材(B)48を同時に使用したが、そのどちらか一方を使用しても、同様の効果を得ることができる。
走行板41、ガイド部品45、底板46、潤滑剤、すべり摩擦低減部材(A)、すべり摩擦低減部材(B)を構成するそれぞれの材料の組み合わせについては、以上述べた実施形態の材料の組み合わせに限定されず、座部20の滑らかな回転/スライド移動が実現され得る任意の組み合わせを採用することができる。
(第2の実施形態)
次に、以下、図面を参照しながら第2の実施形態に係る椅子について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る椅子の正面図である。図17は、本発明の第2の実施形態に係る椅子を示す縦断面図である。図18は、本発明の第2の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。
第1の実施形態および第1の実施形態の変形例の椅子と異なり、本実施形態においては、走行板41の下面に設けられ、底板46と走行板41との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素51として自在キャスター50を利用している。走行板41の下面に4個の自在キャスターがネジ止めされている。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、座部20を回転させる着座者の動作のみによって座部20の回転と座部20の前後移動が連動して実現でき、座部20を回転させる動作と座部20を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという先行技術の煩わしさを解消した椅子を実現することができる。着座者は椅子全体を動かすことなく、座部20を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接することができ、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することができる。
第2の実施形態では自在キャスター50を4個使用しているが、3個または5個以上使用しても良い。
第2の実施形態の摩擦低減要素は、自在キャスターを使用しているが、これに限らず、案内ガイドで囲まれたボールなど、任意のころがり機構を使用することができる。
(第3の実施形態)
次に、以下、図面を参照しながら第3の実施形態に係る椅子について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図19は、本発明の第3の実施形態に係る椅子の正面図である。図20は、本発明の第3の実施形態に係る椅子を示す縦断面図である。図21は、本発
明の第3の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。図22は、本発明の第3の実施形態に係る椅子の回転スライド機構の分解斜視図である。
図23は、本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(縦断面図)である。図24は、本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合に おける着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。
第1の実施形態および第2の実施形態の変形例の椅子と異なり、本実施形態においては、回転スライド機構40は、互いに独立の回転機構52とスラ イド機構30を組み合わせた構成としている。既存のデザインの回転機構や既存のデザインのスライド機構を利用することもできる。
図19〜図22に示すように、椅子1は、脚部10と、座部20と、脚部10に対して座部20を回転可能とするための回転機構52と、脚部10に対して座部20を水平移動可能とするためのスライド機構30とを備える。
回転機構52は、ベースプレート54と、ベースプレート54に対してその上に回転自在に連結設置されたトッププレート53とを備える。本実施形態では市販の回転板を利用している。スライド機構30は、一対のレール35と、この一対のレール35上を走行するように、両端に車輪33が設けられた車体32とを備える。底板46の上面に、車体32が走行する一対のレール35が固定されており、さらにレールを取り囲むように一対のレール側板36が取り付けられている。一対のレール側板36には、それぞれ抜け防止カバー44が取り付けられている。
抜け防止カバー44はL字アングル形状をしており、抜け防止カバー44は、車輪33の上面に1mm前後の隙間をもって対向するように固定されている。そのため、抜け防止カバー44は使用中に車体32がガタついたり、底板46から外れてしまうことを防止することができる。ベースプレート54は車体32の上面に取り付けられ、トッププレート53は座板22の下面に取り付けられている。底板46の下面は脚支持部12の上面に取り付けられている。
椅子1は、さらに、座板22の下面に垂直に固定された移動軸62と、底板46の上面に設けられた静止軸61と、静止軸61と移動軸62とを繋ぐリンク63とを備える。移動軸62は座部20の回転の中心線Pを中心とする半径L2の円周300上に配置されている。本実施形態においては、半径L2は115mmである。また、静止軸61と移動軸62の距離L1は120mmである。リンク63の両端部に開けられた2つの貫通穴をそれぞれ静止軸61と移動軸62に嵌合させている。上記2つの貫通穴の中心間距離は120mmである。静止軸61と移動軸62の上端部には、円周溝が設けられ、リンク63の抜け防止のため、止め輪64が取り付けられている。
図23の断面図および図24の平面図に示すように、静止軸61および移動軸62は中心線200上に配置されている。脚部10と座部20とは、静止軸61、移動軸62、リンク63、および止め輪64で構成されるリンク機構を介して水平面内で連結され、座部20の回転と座部20の前後移動との動きを連動させるようにしている。なお、底板46の上面の、静止軸61に近接する所定位置には車体32の移動を妨げる、ストッパー47が固定されている。
座部20の回転の動きと座部20の前後移動の動きとがどのように連動するか、図23および図24を参照しながら説明する。
図23は、デスク100に向かって椅子1が着席位置に配置された状態を示している。デスク100と人との間の、人が最適と感じる間隔を実現して着席位置を確定させるためには、椅子の位置を少しづつ動かしてその毎に着席位置を確認することによって可能である。または、初回のみ、従来と同様、座ったまま椅子1全体を前に引いたり、場合によっては何度も前後に微妙に動かすことが必要である。この動きは介助者が実施することもできる。
図24は、図23の着席位置から離席位置への座部20の移動を説明するための平面図である。着席位置にある座板22は実線で示し、着席位置にある回転スライド機構40、リンク機構60、および円周300は破線で示し、離席位置にある座板22、回転スライド機構40、リンク機構60、および円周300は二点鎖線で示している。着席位置に座っている人が、デスク100から離れて立ち上がるときは、床に着いた足裏を固定して腰をひねる動作を行うことにより、離席位置へと移動することができる。図24では左回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。このひねり動作により、座部20は左回転しようとするが、移動軸62がリンク63を介して静止軸61から引っ張られるため、座部20がスライド機構30上でデスク100から離れる方向(すなわち後方)に距離Sだけスライドする。この座部20の動きは、人がほとんど意識しないままに実現されるため、人が煩わしさを感じることは皆無である。本実施形態では、約57度の左回転動作により離席位置まで座部20を約100mm後方移動させることが可能である。スライド距離Sが100mmとなった時に車体32はストッパー47にぶつかり、それ以上車体32およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。座部20の回転中は、座部20が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。
離席位置では、座部20とデスク100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。
図23の断面図および図24の平面図に示すように、着席位置では、リンク機構は中心線200上に配置されているため、座部20は、デスク100に向かって前後方向に移動できないように拘束されている。このため、着席中に不用意に座部20が前後に移動する恐れはない。
上記したように、離席、着席のための動作を何回も繰り返しても、元の着席位置がずれてしまうことは起こらない。すなわち、一度決めた着席位置を確実に、かつ楽に再現することが可能である。
上記のことから、座部を回転させる着座者の動作のみによって座部の回転と座部の前後移動とが連動して実現でき、座部を回転させる動作と座部を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという先行技術の煩わしさを解消した椅子を実現することができる。着座者は椅子全体を動かすことなく、座部20を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接することができ、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することができる。
本発明の実施形態のスライド機構30は、車輪の付いた車体が一対のレール上を走行するものを使用しているが、これに限らず、リニアガイドとスライドレールを組み合わせたスライド機構など、静止部とスライド部から成る任意のスライド機構を使用することができる。
本発明の実施形態の回転機構は、市販の回転板を使用しているが、これに限らず、互いに相対的に回転可能なトッププレートとベースプレートとを有する任意の回転機構を使用することができる。
なお、発明の実施形態は、以上述べた実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、構成要素を省略、置き換え、変更するなどの変形を行って具体化可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。必要に応じて、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施形態では底板46の上面は水平に配置されているが、底板46の上面は必ずしも水平である必要はなく、座面の形状デザインの都合に合わせて、着座者の動作に悪影響のない範囲で、水平から前後に5度以内の角度で傾いた平面であっても良い。
本発明の実施形態では、底板46の下面が脚支持部12に取り付けられているが、脚支持部を設けず、底板46に直接脚11が取り付けられていても良い。
本発明の実施形態では、抜け防止カバー44を設けているが、ガイドプレート45の形状を抜け防止カバー44の機能を果たす形状とすることで、抜け防止カバー44をなくすことができる。
本発明の実施形態では、座部20が後方終端位置を越えて後方移動することを防止するストッパー47が回転スライド機構40に設けられているが、例えば、静止軸61がストッパー47の機能を兼ねるようにすることにより、ストッパー47をなくすことができる。
本発明の実施形態では省略したが、座部20が前方終端位置を越えて前方移動することを防止する前方ストッパーを回転スライド機構40に設けても良い。リンク63が静止軸61または移動軸62から外れる不具合が生じる危険がある場合、座部20が前方終端位置を越えて落下することを防止することができる。
本発明の実施形態の座部20は肘掛け部を備えていないが、肘掛け部を備えていてもよい。
本発明の実施形態の座部20は背部24を備えているが、背部24を備えていなくともよい。
本発明の第1および第2の実施形態では、リンク機構60の静止軸61は底板46に固定され、移動軸62は走行板41に固定されているが、それに限らず、静止軸61は脚部10に一体となるように固定され、移動軸62は座部20に一体となるように固定されていれば良い。本発明の第3の実施形態では、リンク機構60の静止軸61は底板46に固定され、移動軸62は座板22に固定されているが、それに限らず、静止軸61は脚部10に一体となるように固定され、移動軸62は座部20に一体となるように固定されていれば良い。
1 椅子
10 脚部
11 脚
12 脚支持部
13 台座
14 支柱
15 シャフト
16 シャフト止めボルト
17 足載せ台
18 足載せ台止めボルト
20 座部
21 座クッション
22 座板
23 座面
24 背部
30 スライド機構
31 スライド部
32 車体
33 車輪
34 静止部
35 レール
36 レール側板
40 回転スライド機構
41 走行板
42 円筒部
P、P’回転の中心(中心線)
43 すべり摩擦低減部材(A)
44 抜け防止カバー
45 ガイド部品
46 底板
47 ストッパー
48 すべり摩擦低減部材(B)
49 凸部
50 自在キャスター
51 摩擦低減要素
52 回転機構
53 トッププレート
54 ベースプレート
60 リンク機構
61 静止軸
Q 静止軸の中心(中心線)
62 移動軸
R、R’移動軸の中心(中心線)
63 リンク
64 止め輪
L1 QR間距離
L2 PR間距離
θ 回転角度
S スライド距離
100 テーブル
200 中心線
300 Pを中心とする半径L2の円周

Claims (3)

  1. 少なくとも脚を有する脚部と、
    脚部の上方に設けられた座部と、
    脚部に対して座部が、前方終端位置と後方終端位置との間を、一平面内で前後移動できるとともに、脚部に対して座部が、座部が前方を向いた回転初期位置と所定角度位置との間の角度範囲を、前記平面内で回転できるように設けられた回転スライド機構と、
    脚部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた静止軸と、座部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた移動軸と、静止軸と移動軸とを繋ぐリンクと、を主な構成要素とするリンク機構と、
    を備え、
    リンク機構により、座部の回転初期位置が座部の前方終端位置に一致し、かつ座部の所定角度位置が座部の後方終端位置に一致するように座部の前後移動と座部の回転とが連動する、ことを特徴とする椅子。
  2. 回転スライド機構は、
    前記平面に沿った上面を有する底板と、
    前記上面に載せられ、前記上面に中心線が垂直となるように形成された円筒部を有する走行板と、
    前記上面または(and/or)前記上面に対向する走行板の下面に設けられ、底板と走行板との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素と、
    底板に円筒部を挟むように前後方向に平行に取り付けられた2つの長尺状のガイド部品と、を主な構成要素とし、
    走行板は座部に、底板は脚部に、それぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
  3. 回転スライド機構は、
    静止部とスライド部から成るスライド機構と、互いに相対的に回転可能なトッププレートとベースプレートとを有する回転機構と、を主な構成要素とし、
    トッププレートは座部に、ベースプレートはスライド部に、静止部は脚部に、それぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
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