JP2021164590A - 椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】着座者が椅子全体を動かすことなく、座部を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接でき、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反できる椅子を提供する。【解決手段】脚部10に対して座部20が、前方終端位置と後方終端位置との間を、一平面内で前後移動できるとともに、回転初期位置と所定角度位置との間の角度範囲を、平面内で回転できるように設けられた回転スライド機構40と、脚部10に設けられた静止軸61と、座部20に設けられた移動軸62とを繋ぐリンク63により、座部20の回転初期位置が前方終端位置に一致し、かつ座部の所定角度位置が後方終端位置に一致するように座部20の前後移動と座部20の回転とが連動するとともに、回転初期位置において、前方から後方に向かって、移動軸62の中心線Rと、静止軸61の中心線Qと、中心線Pは、一直線上に順番に配置されていることを特徴とする椅子。【選択図】図3

Description

本発明は、脚を床などの上に載置して、テーブル又はデスク(以降テーブルという)と組み合わせて使用される椅子に関する。
テーブルと組み合わせて使用される椅子として食卓椅子、ワークチェア、学習椅子などがある。このような椅子として、座部の下部に床などの上に接地する脚を設けた普通の椅子や、水平面内で脚に対して回転可能な座部を設けた回転椅子、さらに回転椅子の脚の先端に自在キャスターを取り付けたキャスター付き椅子などが従来、一般的である。
これら従来の椅子に座り、着席位置を確定させるためには、椅子を後へ引いてテーブルから離した状態で座り、その後、座ったまま体重を若干前方へ移動させながら椅子全体を引いてテーブルに接近するように移動させる。場合によっては何度も椅子を前後に微妙に動かしてテーブルの縁と着座者との間の適切な間隔を実現させる必要がある。このような着席動作は煩わしい動作である。特に、椅子の脚の床との接地面の摩擦抵抗が大きい場合にはこの着席動作はより困難となり、途中で諦めざるを得ない場合もある(例えば床が絨毯やカーペットである場合など)。また、着席位置は着席するごとに微妙に変化し、適切な位置の再現性は保証されなかった。同様に、椅子に着席した状態から離席するためには、椅子がそのままの状態では体がテーブルの縁と干渉するため、まず座ったまま体重を若干後方へ移動させながら椅子全体を引いてテーブルから離反するように移動させ、その後、椅子から立ち上がるという煩わしい動作が必要となる。これらの動作は、高齢者や非健常者(病人、障害者)、妊婦では非常に困難な場合が多く、介護者が椅子の移動を補助する必要がある。回転椅子やキャスター付き椅子を利用する場合には、以下に述べる安全上の問題もあるため、介護者の存在は必須である。すなわち、回転椅子を利用する場合には、たとえば、不用意に回転動作のみで離席しようとした結果、着座者の腕がテーブル上に置かれた物体やテーブルの縁と干渉したり、更に立ち上がる際には着座者の体がテーブルの縁と干渉してしまうというような安全上の問題があるためである。キャスター付き椅子を利用する場合にも、着座者がいったん起立した際に、足の伸長に伴って椅子が後方に移動し、再度着座しようとした時に座部が離れてしまい、転倒することがある等の安全上の問題があるためである。
上記した従来の椅子に起因するこれらの問題点は、例えば、食事、事務作業や軽作業などのデスクワーク、読書、勉強など誰もが日常生活で頻繁に遭遇し、かつ避け得ざるものであり、作業効率の低下、ストレスの増加、姿勢悪化、健康障害、怪我などの悪影響を引き起こしていると予想される。これらの悪影響は、高齢者や非健常者(病人、障害者)、妊婦が椅子を使う場合にはより深刻なものであり、上記問題は解決すべき重要課題である。
上記問題の解消を目的として、下記の先行技術文献には、水平面内で脚に対して座部の回転と前後移動とを共に可能にする椅子が開示されている。
実公昭55−9225号公報 特開2001−8773号公報 実用新案登録第3139480号公報 実用新案登録第3127136号公報 特開2018−23569号公報
上記5件の先行文献で開示されたそれぞれの椅子は、座部の回転と前後移動がそれぞれ独立にできるように構成されているため、着席、離席の際に着座者が、座ったまま椅子全体を前後に動かす動作が不要となり、従来に比べれば楽に着席、離席することができるように一見思える。
しかしながら、着座者が座部を回転させる動作と着座者が座部を前後移動させる動作とは着座者の筋肉の使い方が全く異なる。前者の場合は床に着いた足裏を踏ん張りながら腰をひねるような動作であり、後者の場合は床に着いた足裏を踏ん張りながら体重を若干前方へ移動させるように腰を前に突き出す(または体重を若干後方へ移動させるように腰を後ろに引く)動作である。すなわち、着席または離席する際に、着座者は、座部を回転させる動作と座部を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという煩わしさがある。また、回転椅子と同様に、たとえば、不用意に回転動作のみで離席しようとした結果、腕や体がテーブル上の物体やテーブルの縁と干渉してしまうというような安全上の問題もある。介助者が居ることが前提となる介護専用椅子としては、介護者がより楽に操作できるという意味において有用であるが、高齢者や非健常者、妊婦が自立して使用する椅子としては好ましくない。
本発明は、以上の問題を解決するものである。
本発明の椅子は、少なくとも脚を有する脚部と、脚部の上方に設けられた座部と、脚部に対して座部が、前方終端位置と後方終端位置との間を、一平
面内で前後移動できるとともに、脚部に対して座部が、座部が前方を向いた回転初期位置と所定角度位置との間の角度範囲を、前記平面内で中心線Pのまわりに回転できるように設けられた回転スライド機構と、脚部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた静止軸と、座部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた移動軸と、静止軸と移動軸とを繋ぐリンクと、を主な構成要素とするリンク機構と、を備え、
リンク機構により、座部の回転初期位置が座部の前方終端位置に一致し、かつ座部の所定角度位置が座部の後方終端位置に一致するように座部の前後移動と座部の回転とが連動するとともに、回転初期位置において、前方から後方に向かって、移動軸の中心線Rと、静止軸の中心線Qと、中心線Pは、一直線上に順番に配置され、中心線Pと脚部の相対位置は不変である、ことを特徴とする。
本発明によれば、着座者が椅子全体を動かすことなく、座部を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接し、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る椅子の斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子の正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(縦断面図)である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が右回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。 図6に示した、着座者が左回転動作を行った場合における座板の移動に伴う回転スライド機構の動きと、回転角度θとスライド距離Sの関係を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る椅子の正面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の正面図である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の縦断面図(A−A’断面図)である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子の回転スライド機構の分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(縦断面図)である。 本発明の第2の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子の縦断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る椅子について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の斜視図である。図2
は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の正面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の縦断面図(A―A’断面図)である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。
図1乃至図4に示すように、椅子1は、脚部10と、座部20と、脚部10に対して座部20を回転および水平移動可能とするための回転スライド機構40とを備える。
脚部10は、四本の脚11と、四本の脚11を固定支持する脚支持部12とを備える。座部20は、座板22と、座板22の上面に設置される座クッション21と、座板22に固定される背部24とを備える。
回転スライド機構40は、水平に配置された底板46と、底板46の下面に接するように対向配置された上面と、水平方向に突出した円筒部42とを有する支え板41と、底板46に円筒部42を挟むように平行に取り付けられた2つのガイド部品45と、ガイド部品45に取り付けられた抜け防止カバー44を有している。抜け防止カバー44はL字アングル形状をしており、抜け防止カバー44の上面は、支え板41の円筒部42の下面に1mm前後の隙間をもって対向するように固定されている。そのため、抜け防止カバー44は使用中に底板46がガタついたり、底板46が支え板41から外れてしまうことを防止することができる。本実施形態においては、円筒部42の直径は250mmである。
本実施形態においては、底板46、支え板41、ガイド部品45を構成する材料は木材である。
底板46と支え板41との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素51として、底板46の下面および支え板41の上面にフッ素樹脂系の潤滑剤が塗布されている。フッ素樹脂系の潤滑剤として様々なスプレー剤が市販されている。潤滑剤として、フッ素樹脂系以外に、シリコーン樹脂系のスプレー剤またはワックスなど、その他の潤滑剤を使用することもできる。これらの潤滑剤を使用することにより、底板46と支え板41との間のすべり摩擦抵抗を低減させることができる。
回転スライド機構40は、さらに、支え板41の円筒部42の、底板46に対向する側と反対側の表面の周辺部に垂直に固定された静止軸61と、底板46に垂直に固定された移動軸62と、静止軸61と移動軸62とを繋ぐリンク63とを備える。移動軸62は円筒部42の中心線(言い換えると回転の中心線)Pを中心とする半径L2の円周300上に配置されている。本実施形態においては、半径L2は230mmである。また、静止軸61と移動軸62の距離L1は115mmである。リンク63の両端部に開けられた2つの貫通穴をそれぞれ静止軸61と移動軸62に嵌合させている。上記2つの貫通穴の中心間距離は115mmである。静止軸61と移動軸62の上端部には、円周溝が設けられ、リンク63の抜け防止のため、止め輪64が取り付けられている。静止軸61、移動軸62、リンク63、止め輪64によりリンク機構60が構成されている。
なお、底板46の下面の、移動軸62に近接する所定位置にはストッパー47が固定されている。
本実施形態においては、回転スライド機構40の底板46は座板22の下面に取り付けられ、支え板41は脚支持部12の上面に取り付けられている。
以下に組み立て手順を示す。まず完成した脚部10と座部20と回転スライド機構40とを用意する。次に、回転スライド機構40の抜け防止カバー44を固定しているネジを取り外し、抜け防止カバー44を取り除く。さらに、移動軸62の先端に取り付けられた止め輪64を取り外し、静止軸61とリンク63とが取り付けられたままの支え板41を取り除く。次に、残された回転/スライド機構40の底板46を座板22の下面にネジ止めしてアセンブリー1を完成させる。次に、静止軸61とリンク63とが取り付けられたままの支え板41を脚支持部12の上面にネジ止めしてアセンブリー2を完成させる。次に、アセンブリー1とアセンブリー2とを、ちょうど円筒部42が2つのガイド部品45の間に挟まれるように組み合わせる。次に、移動軸62にリンク63の貫通穴を嵌め合わせ、移動軸62の上端部の円周溝に止め輪64を取り付ける。最後に、2つのガイド部品45にそれぞれ抜け防止カバー44を横からネジ止めすることにより組み立てが完了する。
脚部10、座部20、回転スライド機構40は3つのユニット部品として、それぞれ独立して完成させることができ、それぞれ別々に流通させることができる。この点をメリットとして利用することが可能である。例えば、最終製品を製造する製造者は、ユニット部品を異なる製造者に製造させることが可能であるため、競争効果によるコスト低減を実現しやすい。また、回転スライド機構を製造することができる製造者は、椅子を製造する複数の製造者に、本発明の椅子を提案して、回転スライド機構を供給するという新ビジネスを始めることができる。
図6、7の平面図に示すように、着席位置において、前方から後方に向かって、移動軸62の中心線Rと静止軸61の中心線Qと円筒部42の中心線(言い換えると回転の中心線)Pは、一直線上(椅子の中心線200上)に順番に配置されている。図6の平面図において、椅子の中心線200に沿って、座部20からテーブル100に向かう方向が前方であり、テーブル100から座部20に向かう方向が後方である。脚支持部12と座部20とは、静止軸61、移動軸62、リンク63、および止め輪64で構成されるリンク機構60を介して水平面内で連結され、座部20の回転と座部20の水平移動の動きを連動させるようにしている。座部20は、前方を向いた回転初期位置から右まわり(時計まわり)および左まわり(反時計まわり)に、滑らかに回転/スライド移動させることができる。
図5は、テーブル100に向かって椅子1が着席位置に配置された状態を示している。テーブル100の縁と着座者との間の適切な間隔を実現して着席位置を確定させるためには、椅子の位置を少しづつ動かしてその毎に着席位置を確認することによって可能である。または、初回のみ、従来と同様、座ったまま椅子1全体を前に引いたり、場合によっては何度も前後に微妙に動かすことによっても可能である。この動きは介助者が実施することもできる。
座部20の回転と座部20の前後移動の動きがどのように連動するか、図6、7を参照しながら説明する。
図6は、図5の着席位置から離席位置への座部20の移動を説明するための平面図である。図面は分かり易さを考慮して、座板22、回転スライド機構40のみを記載している。着席位置にある座板22は実線で、着席位置にある回転スライド機構40は破線で示し、離席位置にある座板22および離席位置にある回転スライド機構40は二点鎖線で示している。円筒部42は着席位置と離席位置で不変であるため破線のままで示している。着席位置に座っている着座者が、テーブル100から離席するときは、床に着いた足裏を固定して腰をひねる動作を行うことにより、離席位置へと移動することができる。図6では左回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。このひねり動作により、座板22は左回転しようとするが、移動軸62がリンク63を介して静止軸61から引っ張られるため、座板22が回転スライド機構40上で回転中心Pに近づく方向に距離Sだけスライドする。
本実施形態においては、座板22が約60度回転するときのスライド距離Sは約115mmである。スライド距離Sが115mmとなった時に円筒部42がストッパー47にぶつかり、それ以上底板46およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。この座板22の動きは、着座者がほとんど意識しないまま、滑らかに実現されるため、着座者が煩わしさを感じることは皆無である。図6では、約60度の左回転動作により離席位置まで座板22を滑らかに移動させることが可能である。座板22の回転中は、座板22が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。離席位置では、座部20とテーブル100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。
図7は、図5の着席位置から離席位置への座板22の移動を説明するための平面図であるが、図6と異なり、右回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。図6と同様に、座板22が約60度回転するときのスライド距離Sは約115mmである。スライド距離Sが115mmとなった時に円筒部42がストッパー47にぶつかり、それ以上底板46およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。約60度の右回転動作により離席位置まで座板22を滑らかに移動させることが可能である。座板22の回転中は、座板22が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。離席位置では、座部20とテーブル100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。
図8は、図6に示した、着座者が左回転動作を行った場合における座板22の移動に伴う回転スライド機構40の動きと、回転角度θとスライド距離Sの関係を説明するための図である。着座者が着席位置から左回転方向に腰をひねる動作を行って離席位置につく場合を示している。離席時の三角形PQR’について、PR’間距離xは、θ、L1、L2を使って下記のように表わされる。
x=(L2−L1)・cosθ+(L1−((L2−L1)・sinθ)0.5 が成り立つ。
従って、スライド距離S=L2−xは、
θ、L1、L2を使って下記のように表わされる。
S=L2−(L2−L1)・cosθ−(L1−((L2−L1)・sinθ)0.5
上記のθとSの関係は第1の実施形態に係る椅子のみならず、本発明の基本である。
図6、7の平面図に示すように、着席位置では、リンク機構は前後方向の一直線上(椅子の中心線200上)に配置されているため、座部20は、テーブル100に向かって前後方向に移動できないように拘束されている。このため、着席中に不用意に座部20が前後に移動する恐れはない。
また、離席、着席のための動作を何回も繰り返しても、元の着席位置がずれてしまうことは起こらない。すなわち、一度決めた着席位置を確実に、かつ楽に再現することが可能である。
上記のことから、着座者が座部20を回転させる動作のみによって座部20の回転と座部20の前後移動が連動して実現でき、座部20を回転させる動作と座部20を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという先行技術の煩わしさを解消した椅子を実現することができる。
着座者は椅子全体を動かすことなく、座部を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接することができ、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することができる。
なお、底板46と支え板41との間の摩擦抵抗を低減させるため、底板46の下面と支え板41の上面に摩擦低減要素51として潤滑剤を塗布させているが、使用中のメンテナンスの一環としても、潤滑剤の枯渇防止のために、定期的に潤滑剤を塗布させることが好ましい。
また、ガイド部品45と円筒部42との間にも摩擦抵抗があるため、それを低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面およびガイド部品45の円筒部42に接する表面にも、同様の潤滑剤を塗布しても良い。同様に、抜け防止カバー44と円筒部42との間にも摩擦抵抗があるため、それを低減させるため、円筒部42の抜け防止カバー44に接する上面および抜け防止カバー44の円筒部42に接する表面にも、同様の潤滑剤を塗布しても良い。
ガイド部品45と円筒部42との間の摩擦抵抗を低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面またはガイド部品45の円筒部42に接する表面にゴムシートなどからなる、すべり摩擦増強部材を取り付けても良い。摩擦抵抗を低減させるためにすべり摩擦増強部材を使用するというのは一見、奇異であるが、図6を参照しながら説明する。図6で、着座者が両足を床につけて腰をひねり、座部20を左回転させる場合、着座者の臀部が座クッション21を右方向に押し出すため、座板22および座板22と一体に取り付けられた底板46も右方向に押し出される。そのため、底板46に取り付けられた左側に位置するガイド部品45に支え板41の円筒部42が押し付けられる。左回転する座部20に視点を置いた場合、相対的に円筒部42は、左側のガイド部品45に押し付けられながら、左回転して前方にスライドして行く(実際には底板46が左回転しながら後方にスライドして行く)。左右の2つのガイド部品45は円筒部42を挟むように平行に配置されている。
2つのガイド部品45の左右隙間は円筒部42の直径に対して0.5mm乃至2mm程度大きく設定されているため、円筒部42が左側のガイド部品45に押し付けられた場合、円筒部42は右側のガイド部品45に接触することはない。すなわち、相対的に円筒部42は、車のタイヤが道路を転がるごとく、左側のガイド部品45に接触しつつ、左回転しながら前方にスライドして行くのである。その際、円筒部42とガイド部品45との摩擦係数がより高いほど、円筒部42は効率的に前方にスライドすることができる。例えば、ゴムシートをガイド部品45の円筒部42を挟む内面に貼り付けておき、0.5mm乃至2mm程度の隙間をもって円筒部42を挟むように平行に配置することにより、無駄な摩擦抵抗を低減することができる。
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について、図9から図11を参照しながら説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る椅子の正面図である。図10は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る椅子の縦断面図(A―A’断面図)である。図11は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る椅子の分解斜視図である。
第1の実施形態と異なり、本実施形態においては、底板46と支え板41との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素51の一つとして、支え板41の底板46に対向する表面に、すべり摩擦低減部材(A)43が4個、取り付けられている。すべり摩擦低減部材(A)43はその表面がフッ素樹脂または超高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂円板である。積層樹脂円板周辺のエッジはR形状をしている。もう一つの摩擦低減要素51として、底板46の支え板41に対向する表面には、すべり摩擦低減部材(B)48が取り付けられている。
すべり摩擦低減部材(B)48はその表面がフッ素樹脂または超高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂シートである。
なお、底板46と支え板41との間の摩擦抵抗をさらに低減させるためには、すべり摩擦低減部材(A)43およびすべり摩擦低減部材(B)48の表面に、第1の実施形態で使用したものと同様の潤滑剤を塗布させることが有効である。
以上述べた第1の実施形態の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、ガイド部品45と円筒部42との間にも摩擦抵抗があるため、それを低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面またはガイド部品45の円筒部42に接する表面にすべり摩擦低減部材(C)を取り付けても良い。同様に、抜け防止カバー44と円筒部42との間にも摩擦抵抗があるため、それを低減させるため、円筒部42の抜け防止カバー44に接する上面および抜け防止カバー44の円筒部42に接する表面にも、すべり摩擦低減部材(C)を取り付けても良い。すべり摩擦低減部材(C)はその表面がフッ素樹脂または超高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂、またはエポキシ樹脂、PBT、PP、PC、PEEK、ナイロン、硬質塩化ビニール樹脂などの他の樹脂を使用することができる。
ガイド部品45と円筒部42との間の摩擦抵抗を低減させるため、円筒部42のガイド部品45に接する表面またはガイド部品45の円筒部42に接する表面にゴムシートなどからなる、すべり摩擦増強部材を取り付けても良いことは、第1の実施形態の説明で述べた通りである。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43を4個使用しているが、3個または5個以上使用しても良い。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43が凸部を形成し、すべり摩擦低減部材(B)48が平面を形成しているが、逆に、すべり摩擦低減部材(A)43が平面を形成し、すべり摩擦低減部材(B)48が凸部を形成しても良いし、すべり摩擦低減部材(A)43、すべり摩擦低減部材(B)48がともに平面を形成しても良い。また、凸部の形状、寸法、個数は、本実施形態に限定されず、任意のデザインを使用することができる。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43およびすべり摩擦低減部材(B)48はその表面がフッ素樹脂または超高密度ポリエチレン樹脂からなる積層樹脂材を使用したが、エポキシ樹脂、PBT、PP、PC、PEEK、ナイロン、硬質塩化ビニール樹脂など他の樹脂を使用しても同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、すべり摩擦低減部材(A)43およびすべり摩擦低減部材(B)48を同時に使用したが、そのどちらか一方を使用しても、同様の効果を得ることができる。
支え板41、ガイド部品45、底板46、潤滑剤、すべり摩擦低減部材(A)、すべり摩擦低減部材(B)を構成するそれぞれの材料の組み合わせについては、以上述べた実施形態の材料の組み合わせに限定されず、座部20の滑らかな回転/スライド移動が実現され得る任意の組み合わせを採用することができる。
なお、底板46と支え板41との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素51としては、上記したすべり摩擦低減部材の他、自在キャスターや案内ガイドで囲まれたボールなど、任意のころがり機構を採用することもできる。
(第2の実施形態)
次に、以下、図面を参照しながら第2の実施形態に係る椅子について説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る椅子の正面図である。図13は、本発明の第2の実施形態に係る椅子を示す縦断面図である。図14は、本発明の第2の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。図15は、本発明の第2の実施形態に係る椅子の回転スライド機構の分解斜視図である。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(縦断面図)である。図17は、本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。
第1の実施形態の椅子と異なり、本実施形態においては、回転スライド機構40は、互いに独立の回転機構52とスライド機構30を組み合わせた構成としている。
図12〜図15に示すように、椅子1は、脚部10と、座部20と、脚部10に対して座部20を水平移動可能とするためのスライド機構30と、脚部10に対して座部20を回転可能とするための回転機構52とを備える。
スライド機構30は、一対のレール35と、この一対のレール35上を走行するように、両端に車輪33が設けられた車体32とを備える。底板46の上面に、車体32が走行する一対のレール35が固定されており、さらにレールを取り囲むように一対のレール側板36が取り付けられている。一対のレール側板36には、それぞれ抜け防止カバー44が取り付けられている。車体32はスライド機構30の静止部Aであり、底板46、レール35、レール側板36、抜け防止カバー44はスライド機構30のスライド部である。回転機構52は、ベースプレート54と、ベースプレート54に対してその上に回転自在に連結設置されたトッププレート53とを備える。本実施形態では市販の回転板を利用している。ベースプレート54は回転機構52の静止部Bであり、トッププレート53は回転機構52の回転部である。
抜け防止カバー44はL字アングル形状をしており、抜け防止カバー44は、車輪33の下面に1mm前後の隙間をもって対向するように固定されている。そのため、抜け防止カバー44は使用中に車体32がガタついたり、底板46から外れてしまうことを防止することができる。ベースプレート54は脚支持部12の上面に取り付けられ、トッププレート53は車体32の下面に取り付けられている。底板46の上面は座板22の下面に取り付けられている。
椅子1は、さらに、座板22の下面に垂直に固定された移動軸62と、脚支持部12の上面に設けられた静止軸61と、静止軸61と移動軸62とを繋ぐリンク63とを備える。移動軸62は座部20の回転の中心線Pを中心とする半径L2の円周300上に配置されている。本実施形態においては、半径L2は230mmである。また、静止軸61と移動軸62の距離L1は115mmである。リンク63の両端部に開けられた2つの貫通穴をそれぞれ静止軸61と移動軸62に嵌合させている。上記2つの貫通穴の中心間距離は115mmである。静止軸61と移動軸62の先端部には、円周溝が設けられ、リンク63の抜け防止のため、止め輪64が取り付けられている。
図17の平面図に示すように、着席位置において、前方から後方に向かって、移動軸62の中心線Rと静止軸61の中心線Qと回転の中心線Pは、一直線上(椅子の中心線200上)に順番に配置されている。脚部10と座部20とは、静止軸61、移動軸62、リンク63、および止め輪64で構成されるリンク機構を介して水平面内で連結され、座部20の回転と座部20の前後移動との動きを連動させるようにしている。なお、底板46の上面下面の、移動軸62に近接する所定位置には車体32の移動を妨げる、ストッパー47が固定されている。
座部20の回転の動きと座部20の前後移動の動きとがどのように連動するか、図16および図17を参照しながら説明する。
図16は、デスク100に向かって椅子1が着席位置に配置された状態を示している。デスク100と人との間の、人が最適と感じる間隔を実現して着席位置を確定させるためには、椅子の位置を少しづつ動かしてその毎に着席位置を確認することによって可能である。または、初回のみ、従来と同様、座ったまま椅子1全体を前に引いたり、場合によっては何度も前後に微妙に動かすことが必要である。この動きは介助者が実施することもできる。
図17は、図16の着席位置から離席位置への座部20の移動を説明するための平面図である。着席位置にある座板22は実線で示し、着席位置にある回転スライド機構40は破線で示し、離席位置にある座板22、回転スライド機構40は二点鎖線で示している。着席位置に座っている人が、デスク100から離れて立ち上がるときは、床に着いた足裏を固定して腰をひねる動作を行うことにより、離席位置へと移動することができる。図17では左回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。このひねり動作により、座部20は左回転しようとするが、移動軸62がリンク63を介して静止軸61から引っ張られるため、座部20がスライド機構30上で中心線Pに近づく方向に距離Sだけスライドする。この座部20の動きは、人がほとんど意識しないままに実現されるため、人が煩わしさを感じることは皆無である。本実施形態では、約60度の左回転動作により離席位置まで座部20を約100mm後方移動させることが可能である。スライド距離Sが115mmとなった時に車体32はストッパー47にぶつかり、それ以上底板46およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。座部20の回転中は、座部20が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。
離席位置では、座部20とデスク100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。着席位置から座部20を右回転させて離席位置へ移動する場合にも同様である。
図24の平面図に示すように、着席位置では、リンク機構は前後方向の一直線上(椅子の中心線200上)に配置されているため、座部20は、デスク100に向かって前後方向に移動できないように拘束されている。このため、着席中に不用意に座部20が前後に移動する恐れはない。
上記したように、離席、着席のための動作を何回も繰り返しても、元の着席位置がずれてしまうことは起こらない。すなわち、一度決めた着席位置を確実に、かつ楽に再現することが可能である。
上記のことから、座部を回転させる着座者の動作のみによって座部の回転と座部の前後移動とが連動して実現でき、座部を回転させる動作と座部を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという先行技術の煩わしさを解消した椅子を実現することができる。着座者は椅子全体を動かすことなく、座部20を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接することができ、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することができる。
本実施形態のスライド機構30は、車輪の付いた車体の上を一対のレールが走行するものを使用しているが、これに限らず、リニアガイドとスライドレールを組み合わせたスライド機構など、静止部Aとスライド部から成る任意の既存のデザインのスライド機構を使用することができる。
本実施形態の回転機構は、市販の回転板を使用しているが、これに限らず、静止部Bと回転部から成る任意の既存のデザインの回転機構を使用することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る椅子について、図18乃至図20を参照しながら説明する。
図18は、本発明の第3の実施形態に係る椅子の縦断面図である。図19は、本発明の第3の実施形態に係る椅子の分解斜視図である。図20は、本発明の第3の実施形態に係る椅子とテーブルの組み合わせ配置図(平面図)であり、着座者が左回転動作を行った場合における着席位置から離席位置への座板の移動に伴う回転スライド機構の動きを説明するための図である。
第2の実施形態の椅子と同様に、本実施形態においても、回転スライド機構40は、互いに独立の回転機構52とスライド機構30を組み合わせた構
成としている。
脚部10は、下部に円板状の脚11が固定され、中心部に開けられた貫通穴を有する支柱14と、支柱14の貫通穴に内嵌されて、支柱14の上部に突出したシャフト15と、シャフトの上部に固定された台座13と、支柱14に取り付けられた足載せ台17とを有している。台座13は底板46の下面に固定されている。シャフト15の外周面の片側には、シャフト15の長手方向に沿って並ぶ4つの切り欠き部が形成されている。支柱外周面に形成されたネジ穴に手回し用の取手が付いたシャフト止めボルト16が通されている。シャフト止めボルト16の先端がシャフト15の切り欠き部に押し当てられることによりシャフト15を支柱14に固定している。4つの切り欠き部のどれかを選択することによりシャフト15が支柱14の上部に突出する長さを調整でき、その結果座面23の床面からの高さを調整することができる。
図18および図19に示すように、椅子1は、脚部10と、座部20と、脚部10に対して座部20を水平移動可能とするためのスライド機構30と、脚部10に対して座部20を回転可能とするための回転機構52とを備える。
スライド機構30は、一対のレール35と、この一対のレール35上を走行するように、両端に車輪33が設けられた車体32とを備える。底板46の上面に、車体32が走行する一対のレール35が固定されており、さらにレールを取り囲むように一対のレール側板36が取り付けられている。一対のレール側板36には、それぞれ抜け防止カバー44が取り付けられている。車体32はスライド機構30の静止部Aであり、底板46、レール35、レール側板36、抜け防止カバー44はスライド機構30のスライド部である。回転機構52は、シャフト15の先端部に軸受部材56を介在して嵌められた回転円筒55を備えている。本実施形態では軸受部材56として樹脂からなる固体すべり軸受け部材を使用している。また、回転円筒56がシャフト15から抜けてしまわないように抜け防止部材(図示せず)が取り付けられている。シャフト15は回転機構52の静止部Bであり、回転円筒55は回転機構52の回転部である。
抜け防止カバー44はL字アングル形状をしており、抜け防止カバー44は、車輪33の上面に1mm前後の隙間をもって対向するように固定されている。そのため、抜け防止カバー44は使用中に車体32がガタついたり、底板46から外れてしまうことを防止することができる。回転円筒55は底板46の下面に取り付けられ、車体32の上面は座板22の下面に取り付けられている。
椅子1は、さらに、座板22の下面に垂直に取り付けられた移動軸62と、シャフト15に固定されたステー17の先端部に取り付けられた静止軸61と、静止軸61と移動軸62とを繋ぐリンク63とを備える。移動軸62は座部20の回転の中心線Pを中心とする半径L2の円周300上に配置されている。本実施形態においては、半径L2は230mmである。また、静止軸61と移動軸62の距離L1は115mmである。リンク63の両端部に開けられた2つの貫通穴をそれぞれ静止軸61と移動軸62に嵌合させている。上記2つの貫通穴の中心間距離は115mmである。静止軸61と移動軸62の先端部には、円周溝が設けられ、リンク63の抜け防止のため、止め輪64が取り付けられている。
図20の平面図に示すように、着席位置において、前方から後方に向かって、移動軸62の中心線Rと静止軸61の中心線Qと回転の中心線Pは、一直線上(椅子の中心線200上)に順番に配置されている。脚部10と座部20とは、静止軸61、移動軸62、リンク63、および止め輪64で構成されるリンク機構を介して水平面内で連結され、座部20の回転と座部20の前後移動との動きを連動させるようにしている。なお、底板46の上面の、後方の所定位置には車体32の移動を妨げる、ストッパー47が固定されている。
座部20の回転の動きと座部20の前後移動の動きとがどのように連動するか、図20を参照しながら説明する。
デスク100と人との間の、人が最適と感じる間隔を実現して着席位置を確定させるためには、椅子の位置を少しづつ動かしてその毎に着席位置を確認することによって可能である。または、初回のみ、従来と同様、座ったまま椅子1全体を前に引いたり、場合によっては何度も前後に微妙に動かすことが必要である。この動きは介助者が実施することもできる。
着席位置にある座板22は実線で示し、着席位置にある回転スライド機構40は破線で示し、離席位置にある座板22、回転スライド機構40は二点鎖線で示している。着席位置に座っている人が、デスク100から離れて立ち上がるときは、床に着いた足裏を固定して腰をひねる動作を行うことにより、離席位置へと移動することができる。図20では左回転方向に腰をひねる動作を行った場合を表している。このひねり動作により、座部20は左回転しようとするが、移動軸62がリンク63を介して静止軸61から引っ張られるため、座部20がスライド機構30上で中心線Pに近づく方向に距離Sだけスライドする。この座部20の動きは、人がほとんど意識しないままに実現されるため、人が煩わしさを感じることは皆無である。本実施形態では、約60度の左回転動作により離席位置まで座部20を約100mm後方移動させることが可能である。スライド距離Sが115mmとなった時に車体32はストッパー47にぶつかり、それ以上車体32およびそれに固定された座板22がスライドすることが防止される。座部20の回転中は、座部20が次第にテーブル100から離反して行くため、従来の回転椅子のように着座者の腕がテーブル100の縁やテーブル100の上に置かれた物体と干渉することがなくなる。
離席位置では、座部20とデスク100の間には十分なスペースが確保されるため、着座者は立ち上がって席を離れることが楽にできる。着席位置から座部20を右回転させて離席位置へ移動する場合にも同様である。
図20の平面図に示すように、着席位置では、リンク機構は前後方向の一直線上(椅子の中心線200上)に配置されているため、座部20は、デスク100に向かって前後方向に移動できないように拘束されている。このため、着席中に不用意に座部20が前後に移動する恐れはない。
上記したように、離席、着席のための動作を何回も繰り返しても、元の着席位置がずれてしまうことは起こらない。すなわち、一度決めた着席位置を確実に、かつ楽に再現することが可能である。
上記のことから、座部を回転させる着座者の動作のみによって座部の回転と座部の前後移動とが連動して実現でき、座部を回転させる動作と座部を前後に移動させる動作を2段階的に実施しなければならないという先行技術の煩わしさを解消した椅子を実現することができる。着座者は椅子全体を動かすことなく、座部20を回転させるだけで、着席の際には自動的にテーブルに安全に近接することができ、離席の際には自動的にテーブルから安全に離反することができる。
本実施形態のスライド機構30は、一対のレールの上を車輪の付いた車体が走行するものを使用しているが、これに限らず、リニアガイドとスライドレールを組み合わせたスライド機構など、静止部Aとスライド部から成る任意の既存のデザインのスライド機構を使用することができる。
本実施形態の回転機構は、固体すべり軸受け部材を使用したが、それに限定することなく任意のすべり軸受け部材、またはころがり軸受部材を採用することができる。また、その他の既存のデザインの回転機構を利用することもできる。
本実施形態では座面23の床面からの高さは4段階に調整可能であるが、無段階に高さを変更できる調整機構に変えても良い。
以上で第3の実施形態に係る椅子についての説明を終了する。
なお、発明の実施形態は、以上述べた実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、構成要素を省略、置き換え、変更するなどの変形を行って具体化可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。必要に応じて、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施形態では底板46の上面または下面は水平に配置されているが、底板46の上面または下面は必ずしも水平である必要はなく、座面の形状デザインの都合に合わせて、着座者の動作に悪影響のない範囲で、水平から前後に5度以内の角度で傾いた平面であっても良い。
本発明の実施形態では、抜け防止カバー44を設けているが、ガイドプレート45やレール側板36の形状を抜け防止カバー44の機能を兼ねる形状とすることなどで、抜け防止カバー44をなくすことができる。
本発明の実施形態では、座部20が後方終端位置を越えて後方移動することを防止するストッパー47が回転スライド機構40に設けられているが、例えば、ガイドプレート45やレール側板36の形状をストッパー47の機能を兼ねるようにすることなどにより、ストッパー47をなくすことができる。
本発明の実施形態では省略したが、座部20が前方終端位置を越えて前方移動することを防止する他のストッパーを回転スライド機構40に設けても良い。リンク63が静止軸61または移動軸62から外れる不具合が生じる危険がある場合、座部20が前方終端位置を越えて落下することを防止することができる。
本発明の実施形態の座部20は肘掛け部を備えていないが、肘掛け部を備えていてもよい。
本発明の実施形態の座部20は背部24を備えているが、背部24を備えていなくともよい。
本発明の第1の実施形態では、リンク機構60の静止軸61は支え板41に固定され、移動軸62は底板46に固定されているが、それに限らず、静止軸61は脚部10に一体となるように固定され、移動軸62は座部20に一体となるように固定されていれば良い。本発明の第2の実施形態では、リンク機構60の静止軸61は脚支持部12に固定され、移動軸62は底板46に固定されているが、それに限らず、静止軸61は脚部10に一体となるように固定され、移動軸62は座部20に一体となるように固定されていれば良い。本発明の第3の実施形態では、リンク機構60の静止軸61はシャフト15に固定され、移動軸62は座板22に固定されているが、それに限らず、静止軸61は脚部10に一体となるように固定され、移動軸62は座部20に一体となるように固定されていれば良い。
本発明の実施形態のリンク63は長尺状の平板を使用しているが、平板に限らず任意の形状の部材を使用することができる。例えば、リンク63を長手方向に階段状に曲った形状とすることで、静止軸61の垂直位置と移動軸62の垂直位置とが異なる場合にも対応することができる。
本発明の実施形態のリンク63と静止軸61との結合部、およびリンク63と移動軸62との結合部は単なるゆるい嵌合であるが、すべり軸受け機構やころがり軸受機構を採用することもできる。
1 椅子
10 脚部
11 脚
12 脚支持部
14 支柱
15 シャフト
16 シャフト止めボルト
17 ステー
20 座部
21 座クッション
22 座板
23 座面
24 背部
30 スライド機構
32 車体
33 車輪
35 レール
36 レール側板
40 回転スライド機構
41 支え板
42 円筒部
P 回転の中心(中心線)
43 すべり摩擦低減部材(A)
44 抜け防止カバー
45 ガイド部品
46 底板
47 ストッパー
48 すべり摩擦低減部材(B)
51 摩擦低減要素
52 回転機構
53 トッププレート
54 ベースプレート
55 回転円筒
56 軸受部材
60 リンク機構
61 静止軸
Q 静止軸の中心(中心線)
62 移動軸
R、R’移動軸の中心(中心線)
63 リンク
64 止め輪
L1 QR間距離
L2 PR間距離
θ 回転角度
S スライド距離
100 テーブル
200 椅子の中心線
300 Pを中心とする半径L2の円周

Claims (3)

  1. 少なくとも脚を有する脚部と、
    脚部の上方に設けられた座部と、
    脚部に対して座部が、前方終端位置と後方終端位置との間を、一平面内で前後移動できるとともに、脚部に対して座部が、座部が前方を向いた回転初期位置と所定角度位置との間の角度範囲を、前記平面内で中心線Pのまわりに回転できるように設けられた回転スライド機構と、
    脚部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた静止軸と、座部に一体となるように前記平面に垂直に設けられた移動軸と、静止軸と移動軸とを繋ぐリンクと、を主な構成要素とするリンク機構と、
    を備え、
    リンク機構により、座部の回転初期位置が座部の前方終端位置に一致し、かつ座部の所定角度位置が座部の後方終端位置に一致するように座部の前後移動と座部の回転とが連動するとともに、
    回転初期位置において、前方から後方に向かって、移動軸の中心線Rと、静止軸の中心線Qと、中心線Pは、一直線上に順番に配置され、
    中心線Pと脚部の相対位置は不変である、ことを特徴とする椅子。
  2. 回転スライド機構は、
    前記平面に沿った下面を有する底板と、
    前記下面に接するように対向配置された上面と、前記下面に中心線が垂直となるように形成された円筒部とを有する支え板と、
    前記下面または(and/or)前記上面に設けられ、底板と支え板との間の摩擦抵抗を低減させる摩擦低減要素と、
    底板に円筒部を挟むように前後方向に平行に取り付けられた2つの長尺状のガイド部品と、を主な構成要素とし、
    支え板の下面は脚部に、底板の上面は座部に、それぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
  3. 回転スライド機構は、
    静止部Aとスライド部とを有するスライド機構と、静止部Bと回転部とを有する回転機構と、を主な構成要素とし、
    静止部Bは脚部に、回転部は止部Aに、スライド部は座部に、それぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
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