JP2021137345A - 消火用フィルム及びその製造方法、消火用組成物、消火用シート、並びに消火用成型物 - Google Patents

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淳也 田辺
Junya Tanabe
淳也 田辺
亮 正田
Akira Shoda
亮 正田
良平 戸出
Ryohei Tode
良平 戸出
真登 黒川
Masato Kurokawa
真登 黒川
昇吾 富山
Shogo Tomiyama
昇吾 富山
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Akimasa TSUTSUMI
明正 堤
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Abstract

【課題】本発明は、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用フィルムを効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】本発明に係る消火用フィルムの製造方法は、(A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤を含むスラリー又は粉体と、熱可塑性樹脂とを混練することによって消火用組成物の混練物を得る工程と、(B)上記混練物を成形する工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、消火用フィルム及びその製造方法、消火用組成物、消火用シート、並びに消火用成型物に関する。
近年、テクノロジーの進歩に伴い、我々の暮らしはますます快適になっている一方で、その快適性を生む為の大量のエネルギーが必要となっている。大量のエネルギーを高密度に充填し蓄える、移動させる、使用するといった各々のシーンで、エネルギーの取り扱いには高い安全性が求められる。
自動車を例にとると、化石燃料を採掘する際、化石燃料からガソリンを精製する際、ガソリンを運搬する際、ガソリンをエンジンで燃焼させる際等において、発火や火災の危険が潜んでいる。また、エレクトロニクスを例にとると、電線を通じて電気エネルギーを移動させる際、変電所や変圧器にて電気エネルギーの調整を行う際、電気エネルギーを家庭や工場の電気機器にて使用する際、又は一時的に蓄電池に蓄える際等において、同様に発火や火災の危険が潜んでいる。
発火や火災の問題に対し、特許文献1では、消火液及び消火器を用いることが提案されている。特許文献2では、ヘリコプターから投下する自動消火装置が提案されている。特許文献3では、エアロゾル消火装置が提案されている。
特開平9−276440号公報 特開2015−6302号公報 特開2017−080023号公報
先行技術はいずれも、ある程度の時間が経過した後の火災への対処方法を提案するものである。一方、火災による被害を最小限に抑えるという観点からは、発火から間もない段階で何らかの消火作業(初期消火)が行われることが望ましい。
そこで、例えば先行技術に開示される消火剤の成分自体を、発火する虞のある対象物付近に予め存在させておくという方法が考えられる。そうすることで、対象物から発火したことを人間が感知する以前に、当該消火剤の成分により消火が完了することが期待される。しかしながら、解放空間に置かれた消火剤が経時により劣化するという問題に対処する必要がある。加えて、当然ながら消火剤を対象物付近に散布しておけばよいということは現実的ではなく、適度に取り扱い性のある形状で対象物付近に設けておく必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用フィルム及びこれを効率的に製造する方法を提供する。また、本発明は、優れた消火性能を有する消火用組成物、消火用シート及び消火用成型物を提供する。
本発明の一側面に係る消火用フィルムの製造方法は、(A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分を含むスラリー又は粉体と、熱可塑性樹脂とを混練することによって消火用組成物の混練物を得る工程と、(B)上記混練物を成形する工程とを含む。
(B)工程における押出し成形によって混練物からなる層を形成することで、消火性能に優れる消火用フィルムを効率的に製造することができる。本発明者らの検討によると、(A)工程において各成分が十分均一に混ざり合っている混練物を調製することで、優れた消火性能を安定的に発揮する消火用フィルムを作製することができる。具体的には、消火用組成物からなる厚さ100μmの層を形成し、縦150mm×横150mmの範囲において15箇所のヘイズを測定して得られる15の測定値の標準偏差が2.0以下となるように、(A)工程において、スラリーと、熱可塑性樹脂とを混練することが好ましい。
本発明の一側面に係る消火用組成物は、燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、熱可塑性樹脂とを含み、当該消火用組成物からなる厚さ100μmの層を形成し、縦150mm×横150mmの範囲において、15箇所のヘイズを測定して得られる15の測定値の標準偏差が2.0以下である。15箇所のヘイズ測定値の標準偏差が2.0以下であるということは、消火用組成物に含まれる各成分が十分均一に混ざり合っていることを意味する。
上記消火用組成物における消火剤成分は、例えば、上記熱可塑性樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含み、ラジカル発生剤の分解開始温度が90℃〜260℃の範囲である。かかる消火剤成分は、優れた消火性能を有する。消火剤成分は、ラジカル発生剤として、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩の少なくとも一方を含む。
本発明の一側面は、上記消火用組成物からなる層を少なくとも一層備える種々の物品を提供する。かかる物品の例として、消火用フィルム及び消火用シートが挙げられる。消火用フィルムの更なる具体例として、シュリンクフィルム(消火用シート又は消火用フィルムを二軸又は一軸延伸して得られるフィルム)、並びに、ストレッチフィルム(消火用フィルムを薄膜に加工して得られるフィルム)が挙げられる。消火用フィルム及び消火用シートは、発火の懸念がある箇所への設置のしやすさの観点から、消火用組成物からなる層の少なくとも一方の表面上に、粘着剤層又は接着剤層を更に備えてもよい。本発明の一側面は、上記消火用組成物によって構成された消火用成型物を提供する。
本発明によれば、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用フィルム及びこれを効率的に製造する方法が提供される。また、本発明によれば、優れた消火性能を有する消火用組成物、消火用シート及び消火用成型物が提供される。
図1は、本発明に係る消火用フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す消火用フィルムの使用状態を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明に係る消火用フィルムの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図4は、図3に示す消火用フィルムの使用状態を模式的に示す断面図である。 図5(a)及び図5(b)は、本発明に係る消火用フィルムの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図6は、本発明に係る消火用フィルムの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明に係る消火用成型物の一実施形態を模式的に示す平面図である。 図8は、消火用フィルムの試料(縦150mm×横150mm)におけるヘイズの測定箇所の一例を模式的に示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態においては、消火剤含有層(消火用組成物からなる層)を少なくとも一層有する物品として、消火用フィルム(消火剤含有層の厚さが、例えば、1mm以下)を例示する。
<消火用フィルム>
図1は、本実施形態に係る消火用フィルムの模式断面図である。消火用フィルム10は、消火剤含有層1からなる単層フィルムである。消火用フィルム10は、キャスト成形、インフレーション成形、カレンダー成形などによって作製されるフィルムである。
図2は、消火用フィルム10の使用方法を示す模式断面図である。図2に示すとおり、消火用フィルム10は、発火する虞のある対象物Xに対して対面した状態で用いられる。対象物Xから発火した場合、予め設けられた消火用フィルム10により初期消火が行われることになる。対象物Xとしては、発火する虞のあるものであり且つ消火用フィルム10を載置できる面(平面又は曲面)を有するものであれば特に制限されない。例えば、対象物としては、電線、配電盤、分電盤、制御盤、蓄電池(リチウムイオン電池等)、リサイクルBOX、ごみ箱、自動車関連部材、コンセントなどが挙げられる。消火用フィルム10は、熱可塑性樹脂の選択及び処理(例えば、延伸又は薄膜化)によって、シュリンクフィルム又はストレッチフィルムとして利用することもできる。
消火剤含有層1は、消火剤成分と、熱可塑性樹脂とを含む層である。消火剤成分は、燃焼によってエアロゾルを発生するものである。消火剤成分は、例えば、無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含む。ラジカル発生剤は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
消火剤含有層1の厚さは、消火対象や設置場所、配合すべき消火剤成分の量に応じて適宜設定すればよい。消火剤含有層1の厚さは、例えば、1mm以下であればよく、20〜800μmとすることができ、50〜400μmであってよい。
消火剤含有層1の消火剤成分の含有率(消火剤含有層1の質量基準)は、例えば、30〜80質量%であり、好ましくは40〜75質量%であり、より好ましくは50〜70質量%である。消火剤成分の含有率が30質量%以上であることで、優れた消火性能を達成でき、他方、80質量%以下であることで、フィルム成形性を達成できる。消火剤成分の単位面積あたりの量は、消火すべき対象に応じて設定すればよい。例えば、ろくそく程度の小さい火力に対しては15g/m以上であればよい。固形燃料1gの火力に対しては30g/m以上であればよい。大規模火災やリチウムイオン電池からの発火などの大きな火力に対しては250g/m以上であることが好ましい。
[消火剤成分]
消火剤含有層1は、上述のとおり、消火剤成分として無機酸化剤とラジカル発生剤とを含む。以下、これらの成分について説明する。
無機酸化剤(以下、場合により、「(A)成分」という。)は、熱可塑性樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する成分である。無機酸化剤として、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸ストロンチウム、塩素酸アンモニウム及び塩素酸マグネシウムが挙げられる。これらのうち、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ラジカル発生剤(以下、場合により、「(B)成分」という。)は、熱可塑性樹脂及び無機酸化剤の燃焼により生じた熱エネルギーによりエアロゾル(ラジカル)を発生させるための成分である。ラジカル発生剤として、分解開始温度が90℃〜260℃の範囲のものを使用することが好ましい。ラジカル発生剤として、カリウム塩及びナトリウム塩が挙げられる。カリウム塩として、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸三水素一カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二カリウム、エチレンジアミン四酢酸一水素三カリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、フタル酸水素カリウム、フタル酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、シュウ酸二カリウム及び重炭酸カリウムが挙げられる。ナトリウム塩として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムが挙げられる。これらのうち、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、例えば、10〜60質量部であり、好ましくは25〜55質量部であり、より好ましくは30〜50質量部である。(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、例えば、40〜90質量部であり、好ましくは45〜75質量部であり、より好ましくは50〜70質量部である。
消火剤含有層1に配合する消火剤成分として、市販品を使用してもよい。市販の消火剤として、ヤマトプロテック株式会社製エアロゾル消火剤K-1が挙げられる。
[熱可塑性樹脂]
消火剤含有層1における熱可塑性樹脂は、無機酸化剤とともに燃焼する。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
消火剤含有層1の熱可塑性樹脂の含有率(消火剤含有層1の質量基準)は、例えば、20〜70質量%であり、好ましくは25〜60質量%であり、より好ましくは30〜50質量%である。熱可塑性樹脂の含有率が20質量%以上であることで、フィルム成形性を達成でき、他方、70質量%以下であることで、優れた消火性能を達成できる。
[その他の成分]
消火剤含有層1に配合するその他の成分として、分散剤、溶剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填材及び粘着剤が挙げられる。これらの成分は、消火剤含有層1の組成及び熱可塑性樹脂の種類によって適宜選択すればよい。消火剤含有層1におけるその他の成分の含有率(消火剤含有層1の質量基準)は、例えば、10質量%以下である。
<消火用フィルムの製造方法>
消火用フィルム10の製造方法は、以下の工程を含む。
(A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分を含むスラリー又は粉体と、熱可塑性樹脂とを混練することによって消火用組成物の混練物を得る工程
(B)上記混練物からなる層を成形する工程
(A)工程において消火剤成分に含まれる成分が十分均一に混ざり合っている混練物を調製することで、優れた消火性能を安定的に発揮する消火用フィルム10を作製することができる。消火剤成分に含まれる成分が十分均一に混ざり合っているか否かの評価は、消火用組成物からなる厚さ100μmの層を形成し、縦150mm×横150mmの範囲において15箇所のヘイズを測定して得られる15の測定値の標準偏差を求めることで評価することができる。本発明者らの検討によると、15のヘイズ測定値の標準偏差が2.0以下であることで、優れた消火性能が安定的に発現する消火剤含有層1を作製することができる。換言すると、15のヘイズ測定値の標準偏差が2.0以下となるように、(A)工程において、上記スラリーと、熱可塑性樹脂とを十分に混練することが好ましい。スラリーの調製に使用する分散媒として、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
(A)工程と(B)工程とを押出し機を使用して実施してもよい。すなわち、消火用組成物を混練するための混練部を有する押出し機(より好ましくは二軸押出し機)を使用して混練物を調製することが好ましい。本実施形態に係る消火用フィルム10は、消火剤含有層1からなる単層フィルムであり、例えば、Tダイ押出しによってキャスト成型することができる。
本実施形態に係る製造方法によれば、押出し成形によって消火用フィルム10を効率的に製造することができる。消火用フィルム10は、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する。このため、火災の拡大を抑制し得る点で有用である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、消火用フィルムとして、消火剤含有層1からなる単層フィルム(押出しフィルム)を例示したが、消火用フィルムは消火剤含有層1を含む多層フィルムであってもよい。図3に示す消火用フィルム20は、消火剤含有層1と、基材3とをこの順に備える。消火剤含有層1は基材3の一方の表面3aの少なくとも一部に設けられていればよいが、図3に示すように、表面3aの全面に設けられていてもよい。
基材3として、透明性を有する樹脂基材を選択することができる。例えば、樹脂基材の材質としては、ポリオレフィン(LLDPE、PP、COP、CPP等)、ポリエステル(PET等)、フッ素樹脂(PTFE、ETFE、EFEP、PFA、FEP、PCTFE等)、PVC、PVA、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。これらのうち、水蒸気透過度が低く消火剤成分の劣化を抑制し易い観点から、樹脂基材は、HDPE、LDPE、OPP、PVC、PVDC、PET、PBT、PAN、PCTFE及びCOPからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。また、透明性の高い材質を選択することで、消火用フィルム20の外観検査や、交換時期の確認がし易くなる。基材3の材質は、アルミニウム及びステンレスなどの金属であってもよいし、不燃紙やガラスクロスであってもよい。基材3に消火剤が含まれていてもよい。
基材3の厚さや破断強度等は出火時の熱量、衝撃、許容されるスペース等に応じて適宜選択することができる。例えば、厚い樹脂基材であれば、水蒸気透過を抑制し易く、強度や剛性が得られ、平面性の高い形態を得ることができ、ハンドリングが容易となる。また、薄い基材であれば、狭いスペースに消火用フィルムを設けることができる。基材3の厚さは、例えば10〜150μmとすることができ、20〜50μmであってよい。基材3は複数の樹脂フィルムの積層体であってもよい。
基材3は、耐熱性及び耐衝撃性を有する樹脂基材(高強度耐熱樹脂基材)であってよい。高強度耐熱基材としては、引張強度20N/cm以上及び融点500℃以上の少なくとも一方を満たすことが好ましい。樹脂基材は、補強材としてカーボン、ガラス、ステンレス、アルミニウム、セラミック等の材料、特にこれらの材料からなる繊維の織布(クロス)を含んでいてよい。樹脂基材が耐熱性及び耐衝撃性を有することで、発火時の熱や衝撃により樹脂基材側に穴が開くことを抑制することができる。これにより、対象物Xとは逆方向に消火剤が噴出することを抑制することができる(図4参照)。
基材3は、消火用フィルム20の設置場所や使用環境に依らず、消火剤含有層1に含まれる消火剤成分の性状が大きく変化しない程度の水蒸気バリア性を具備することが好ましい。基材3の水蒸気透過度(JIS K 7129準拠 40℃/90%RH条件下)は、消火剤成分の種類に応じ設計できるため特に制限されないが、2×10g/m/day以下とすることができ、1×10g/m/day以下であってよい。水蒸気透過度の調整の観点から、基材3には水蒸気バリア性を有する蒸着層(アルミナ蒸着層やシリカ蒸着層)が設けられていてもよい。
消火用フィルムは粘着剤層又は接着剤層を更に備えてもよい。図5(a)に示す消火用フィルム30Aは、消火剤含有層1と、消火剤含有層1の一方の面上に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆うように設けられた離型フィルム5とによって構成されている。図5(b)に示す消火用フィルム30Bは、基材3と、消火剤含有層1と、消火剤含有層1の一方の面上に設けられた粘着剤層4と、粘着剤層4を覆うように設けられた離型フィルム5とによって構成されている。離型フィルム5は、消火用フィルム30A,30Bの使用時には剥がされるものであり、樹脂製であっても紙製であってもよい。消火用フィルムが粘着剤層4又は接着剤層を有することで、発火の懸念がある箇所に消火用フィルムをより一層容易に設置することができる。
消火用フィルムは、消火剤含有層1が他の層で挟まれた態様であってもよい。図6に示す消火用フィルム40は、消火剤含有層1と、消火剤含有層1を挟むように配置された表層6a,6bとを備える。表層6a,6bとして、例えば、基材3と同様の樹脂基材を使用できる。表層6a,6bを設けることで、消火剤含有層1の耐久性又は意匠性を高めることができるとともに、高い強度を有する消火用フィルム40を得ることができる。
上記実施形態においては、厚さが1mm以下の消火剤含有層1を備える消火用フィルムを例示したが、厚さ1mmを超える消火剤含有層を備える消火用シート(不図示)を作製してもよい。消火剤含有層の厚さは、消火用シートの用途に応じて適宜設定すればよく、例えば、1〜5mmであってもよいし、1〜3mmであってもよい。
上記実施形態においては、各成分が十分均一に混ざり合っている消火用組成物からなる消火剤含有層1を例示したが、当該消火用組成物を種々の用途に用いてもよい。例えば、消火用組成物を使用して成型物を作製してもよい。図7は成型物の一例であって消火用組成物からなるコンセントカバーの模式平面図である。図7に示すコンセントカバー50は、平面視において略矩形の形状を有し、プラグの形状に応じた複数の開口50aが設けられている。コンセントカバー50を消火用組成物で構成することで、プラグから発火しても延焼を防止することができる。消火用組成物は、射出成型、ブロー成型、真空成型などで作製することができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1>
以下の材料を準備した。
・消火剤成分:塩素酸カリウム(無機酸化剤)及びクエン酸三カリウム(カリウム塩)の二成分を酢酸エチル溶媒で分散したスラリー(商品名:K−1、ヤマトプロテック株式会社製)
・熱可塑性樹脂:ポリエチレンペレット(商品名:LC600A、日本ポリエチレン株式会社製)
ポリエチレンペレットに対して上記スラリーを添加し、ドライブレンドを行った。スラリーの添加量は、ポリエチレンペレットを100質量部とすると、スラリーに含まれる消火剤成分の量が50質量部となるように調整した。スラリーがポリエチレンペレットに染み込んで、ペレットの状態がサラサラになった後、混練ゾーンを有する二軸スクリュー押し出し機を用いてTダイ押し出し成形によって、厚さ100μmの消火剤含有層を備える消火用フィルムを作製した。
<実施例2>
消火剤含有層の厚さを100μmとする代わりに、50μmとしたことの他は実施例1と同様にして消火用フィルムを作製した。
<実施例3>
ポリエチレンペレット100質量部に対する消火剤成分の量を50質量部に調整する代わりに、30質量部に調整したことの他は実施例1と同様にして消火用フィルムを作製した。
<実施例4>
ポリエチレンペレット100質量部に対する消火剤成分の量を50質量部に調整する代わりに、30質量部に調整したことの他は実施例2と同様にして消火用フィルムを作製した。
<比較例1>
混練ゾーンを有する二軸スクリュー押出し機の代わりに、混練ゾーンを有しない単軸スクリュー押出し機を使用したことの他は、実施例1と同様にして消火用フィルムを作製した。
<比較例2>
消火剤成分を含むスラリーを使用しなかったことの他は、実施例1と同様にして消火用フィルムを作製した。
<比較例3>
消火剤成分を含むスラリーを使用しなかったことの他は、実施例2と同様にして消火用フィルムを作製した。
<ヘイズの測定>
実施例1〜4及び比較例1に係る消火用フィルムのヘイズを以下のようにして測定した。すなわち、作製した消火用フィルムを縦150mm×横150mmにカットすることによって試料を得た。日本電色工業社製のヘイズメーター(NDH2000)を用いて、試料の面内15点(互いに略等間隔に離れた箇所、図8参照)のヘイズ(単位:%)を測定した。得られた15の測定値の標準偏差(単位:%)を算出した。表1に結果を示す。
<消火試験>
実施例及び比較例に係る消火用フィルムを縦20mm×横20mmにカットすることによって試料を得た。固形タイプの着火材(商品名:ハイチャッカーL CK−30、圧縮木材繊維を使用、尾上製作所社製)を1cmに測り取った。アルミニウム製容器の内部に設置したパンの中に着火材を置いた後、着火材に火をつけて火炎を生じさせた。火炎している着火材に対して試料をピンセットで掴んだまま高さ20mmの位置にまで近づけた。これにより、試料を燃焼させた後、5秒以内に火炎が消火できるかどうかを観察した。消火性能を以下の基準に基づいて評価した。表1に結果を示す。
A:5秒以内に消火できた。
B:5秒以内では消火できない箇所があった。
C:消火できず、激しく燃焼した。
Figure 2021137345
本発明によれば、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用フィルム及びこれを効率的に製造する方法が提供される。また、本発明によれば、優れた消火性能を有する消火用組成物、消火用シート及び消火用成型物が提供される。
1…消火剤含有層、3…基材、3a…表面、4…粘着剤層、5…離型フィルム、6a,6b…表層、10,20,30A,30B,40…消火用フィルム、50…コンセントカバー(消火用成型物)、50a…開口、X…対象物

Claims (13)

  1. (A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分を含むスラリー又は粉体と、熱可塑性樹脂とを混練することによって消火用組成物の混練物を得る工程と、
    (B)前記混練物を成形する工程と、
    を含む、消火用フィルムの製造方法。
  2. 前記消火用組成物からなる厚さ100μmの層を形成し、縦150mm×横150mmの範囲において15箇所のヘイズを測定して得られる15の測定値の標準偏差が2.0以下となるように、(A)工程において、前記スラリーまたは粉体と、前記熱可塑性樹脂とを混練する、請求項1に記載の消火用フィルムの製造方法。
  3. 燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、
    熱可塑性樹脂と、
    を含む消火用組成物であって、
    当該消火用組成物からなる厚さ100μmの層を形成し、縦150mm×横150mmの範囲において、15箇所のヘイズを測定して得られる15の測定値の標準偏差が2.0以下である、消火用組成物。
  4. 前記消火剤成分が、前記熱可塑性樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含み、
    前記ラジカル発生剤の分解開始温度が90℃〜260℃の範囲である、請求項3に記載の消火用組成物。
  5. 前記ラジカル発生剤が、カリウム塩及びナトリウム塩の少なくとも一方である、請求項4に記載の消火用組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の消火用組成物からなる層を備える、消火用フィルム。
  7. 押出しフィルムである、請求項6に記載の消火用フィルム。
  8. シュリンクフィルムである、請求項6に記載の消火用フィルム。
  9. ストレッチフィルムである、請求項6に記載の消火用フィルム。
  10. 前記消火用組成物からなる層の少なくとも一方の表面上に、粘着剤層又は接着剤層を更に備える、請求項6〜9のいずれか一項に記載の消火用フィルム。
  11. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の消火用組成物からなる層を備える、消火用シート。
  12. 前記消火用組成物からなる層の少なくとも一方の表面上に、粘着剤層又は接着剤層を更に備える、請求項11に記載の消火用シート。
  13. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の消火剤含有組成物によって構成された消火用成型物。
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