JP2021137346A - 消火用積層体及びその製造方法、並びに消火用積層体の巻重体 - Google Patents

消火用積層体及びその製造方法、並びに消火用積層体の巻重体 Download PDF

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亮 正田
Akira Shoda
亮 正田
淳也 田辺
Junya Tanabe
淳也 田辺
良平 戸出
Ryohei Tode
良平 戸出
真登 黒川
Masato Kurokawa
真登 黒川
昇吾 富山
Shogo Tomiyama
昇吾 富山
明正 堤
Akimasa TSUTSUMI
明正 堤
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Abstract

【課題】本発明は、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用フィルムを効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】本発明に係る消火用フィルムの製造方法は、(A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、(B)基材の表面上に上記塗液を用いて塗膜を形成する工程と、(C)塗膜を乾燥処理することによって基材の表面上に、消火剤成分とバインダー樹脂とを含む消火剤含有層を形成する工程とを含み、(B)工程及び(C)工程がロールtoロールによって実施される。【選択図】図1

Description

本発明は、消火用積層体及びその製造方法、並びに消火用積層体の巻重体に関する。
近年、テクノロジーの進歩に伴い、我々の暮らしはますます快適になっている一方で、その快適性を生む為の大量のエネルギーが必要となっている。大量のエネルギーを高密度に充填し蓄える、移動させる、使用するといった各々のシーンで、エネルギーの取り扱いには高い安全性が求められる。
自動車を例にとると、化石燃料を採掘する際、化石燃料からガソリンを精製する際、ガソリンを運搬する際、ガソリンをエンジンで燃焼させる際等において、発火や火災の危険が潜んでいる。また、エレクトロニクスを例にとると、電線を通じて電気エネルギーを移動させる際、変電所や変圧器にて電気エネルギーの調整を行う際、電気エネルギーを家庭や工場の電気機器にて使用する際、又は一時的に蓄電池に蓄える際等において、同様に発火や火災の危険が潜んでいる。
発火や火災の問題に対し、特許文献1では、消火液及び消火器を用いることが提案されている。特許文献2では、ヘリコプターから投下する自動消火装置が提案されている。特許文献3では、エアロゾル消火装置が提案されている。
特開平9−276440号公報 特開2015−6302号公報 特開2017−080023号公報
先行技術はいずれも、ある程度の時間が経過した後の火災への対処方法を提案するものである。一方、火災による被害を最小限に抑えるという観点からは、発火から間もない段階で何らかの消火作業(初期消火)が行われることが望ましい。
そこで、例えば先行技術に開示される消火剤の成分自体を、発火する虞のある対象物付近に予め存在させておくという方法が考えられる。そうすることで、対象物から発火したことを人間が感知する以前に、当該消火剤の成分により消火が完了することが期待される。しかしながら、解放空間に置かれた消火剤が経時により劣化するという問題に対処する必要がある。加えて、当然ながら消火剤を対象物付近に散布しておけばよいということは現実的ではなく、適度に取り扱い性のある形状で対象物付近に設けておく必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用積層体及びこれを効率的に製造する方法を提供する。また、本発明は、優れた消火性能を有する消火用組成物、消火用シート及び消火用成型物を提供する。
本発明の一側面に係る消火用積層体の製造方法は、(A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、(B)基材の表面上に上記塗液を用いて塗膜を形成する工程と、(C)塗膜を乾燥処理することによって基材の表面上に、消火剤成分とバインダー樹脂とを含む消火剤含有層を形成する工程とを含み、(B)工程及び(C)工程がロールtoロールによって実施される。ロールtoロールによって(B)工程及び(C)工程を実施することで、消火性能に優れる消火用積層体を大量に且つ効率的に製造することができる。本発明の一側面は、消火用積層体の巻重体(例えば、長さ100〜12000m)に関する。
本発明の一側面に係る消火用積層体は、基材層と、この基材層の表面上に設けられており、燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む消火剤含有層とを含む。この消火用積層体は、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する。
上記消火剤成分は、例えば、上記バインダー樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含み、ラジカル発生剤の分解開始温度が90℃〜260℃の範囲である。かかる消火剤成分は、優れた消火性能を有する。消火剤成分は、ラジカル発生剤として、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩の少なくとも一方を含む。カリウム塩及びナトリウム塩は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
バインダー樹脂はエポキシ樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂は、カリウム塩及びナトリウム塩(ラジカル発生剤)と相溶性に優れるため、厚さが均一の消火剤含有層が得られやすい。これに加え、エポキシ樹脂は湿熱による加水分解及び脆化が生じないため、エポキシ樹脂をバインダー樹脂として含む消火剤含有層は優れた安定性を有する。また、消火剤含有層の燃焼時には約260〜350℃で熱分解が始まり、消火性能を損なうことなく、エアロゾルを発生することができる。バインダー樹脂は、水蒸気バリア性を有するものであることが好ましい。
消火剤含有層におけるバインダー樹脂の含有率は3〜30質量%であることが好ましい。消火剤含有層における消火剤成分の含有率は70〜97質量%であることが好ましい。消火剤含有層におけるバインダー樹脂の含有率が3質量%以上であることで、優れた塗工性を実現できる。消火剤含有層における消火剤成分の含有率が70質量%以上であることで、優れた消火性能を実現できる。
本発明によれば、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用積層体及びこれを効率的に製造する方法が提供される。また、本発明によれば、優れた消火性能を有する消火用組成物、消火用シート及び消火用成型物が提供される。
図1は、本発明に係る消火用積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す消火用積層体の使用状態を模式的に示す断面図である。 図3(a)及び図3(b)は、本発明に係る消火用積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明に係る消火用積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態においては、消火剤含有層を少なくとも一層有する積層体として、消火用フィルム(消火剤含有層の厚さが、例えば、1mm以下)を例示する。
<消火用フィルム>
図1は、本実施形態に係る消火用フィルムの模式断面図である。消火用フィルム10(消火用積層体)は、基材1(基材層)と、消火剤含有層3とをこの順に備える。消火剤含有層3は基材1の一方の表面1aの少なくとも一部に設けられていればよいが、図1に示すように、表面1aの全面に設けられていてもよい。
図2は、消火用フィルム10の使用方法を示す模式断面図である。図2に示すとおり、消火用フィルム10は、消火剤含有層3側が発火する虞のある対象物Xが対面するようにして用いられる。対象物Xから発火した場合、予め設けられた消火用フィルム10により初期消火が行われることになる。対象物Xとしては、発火する虞のあるものであり且つ消火用フィルム10を載置できる面(平面又は曲面)を有するものであれば特に制限されない。例えば、対象物としては、電線、配電盤、分電盤、制御盤、蓄電池(リチウムイオン電池等)、建材用壁紙、天井材等の建材、リチウムイオン電池用の回収Boxの各部材などが挙げられる。
(基材)
基材1として、樹脂基材を選択することができる。例えば、樹脂基材の材質としては、ポリオレフィン(LLDPE、PP、COP、CPP等)、ポリエステル(PET等)、フッ素樹脂(PTFE、ETFE、EFEP、PFA、FEP、PCTFE等)、PVC、PVA、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。これらのうち、水蒸気透過度が低く消火剤成分の劣化を抑制し易い観点から、樹脂基材は、LLDPE、PP、COP、CPP、PET、PTFE、ETFE、EFEP、PFA、FEP、PCTFE及びPVCからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。また、透明性の高い材質を選択することで、消火用フィルム10の外観検査や、交換時期の確認がし易くなる。樹脂基材には、消火剤が含まれていてもよい。基材1の材質は、アルミニウム及びステンレスなどの金属であってもよいし、不燃紙やガラスクロスであってもよい。
樹脂基材の厚さや破断強度等は出火時の熱量、衝撃、許容されるスペース等に応じて適宜選択することができる。例えば、厚い樹脂基材であれば、水蒸気透過を抑制し易く、強度や剛性が得られ、平面性の高い形態を得ることができ、ハンドリングが容易となる。また、薄い樹脂基材であれば、狭いスペースに消火体を設けることができる。樹脂基材の厚さは、例えば4.5〜100μmとすることができ、12〜50μmであってよい。樹脂基材は複数の樹脂基材の積層体であってもよい。
樹脂基材は、耐熱性及び耐衝撃性を有する樹脂基材(高強度耐熱樹脂基材)であってよい。高強度耐熱基材としては、引張強度20N/cm以上及び融点500℃以上の少なくとも一方を満たすことが好ましい。樹脂基材は、補強材としてカーボン、ガラス、ステンレス、アルミニウム、セラミック等の材料、特にこれらの材料からなる繊維の織布(クロス)を含んでいてよい。樹脂基材が耐熱性及び耐衝撃性を有することで、発火時の熱や衝撃により樹脂基材側に穴が開くことを抑制することができる。これにより、対象物とは逆方向に消火剤が噴出することを抑制することができる。
樹脂基材は、消火用フィルム10の設置場所や使用環境に依らず、消火剤含有層3に含まれる消火剤成分の性状が大きく変化しない程度の水蒸気バリア性を具備することが好ましい。樹脂基材の水蒸気透過度(JIS K 7129準拠 40℃/90%RH条件下)は、消火剤成分の種類に応じ設計できるため特に制限されないが、2×10g/m/day以下とすることができ、1×10g/m/day以下であってよい。水蒸気透過度の調整の観点から、樹脂基材には水蒸気バリア性を有する蒸着層(アルミナ蒸着層やシリカ蒸着層)が設けられていてもよい。
(消火剤含有層)
消火剤含有層3は、消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む層である。消火剤成分は、燃焼によってエアロゾルを発生するものである。消火剤成分は、例えば、無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含む。ラジカル発生剤は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
消火剤含有層3の厚さは、消火用フィルム10の消火対象や設置場所、配合すべき消火剤成分の量に応じて適宜設定すればよい。消火剤含有層3の厚さは、例えば、1mm以下であればよく、30〜1000μmとすることができ、120〜500μmであってよい。
消火剤含有層3の消火剤成分の含有率(消火剤含有層3の質量基準)は、例えば、70〜97質量%であり、好ましくは80〜95質量%であり、より好ましくは85〜92質量%である。消火剤成分の含有率が70質量%以上であることで、優れた消火性能を達成でき、他方、97質量%以下であることで、優れたフィルム成形性を達成できる。消火剤成分の単位面積あたりの量は、消火すべき対象に応じて設定すればよい。例えば、消火剤成分の含有率95質量%を厚み15μmのPET基材に形成した消火フィルムによって、ろくそく程度の小さい火力を消火するのに必要な単位面積あたりの重量は25g/m以上であればよい。固形燃料1gの火力に対しては90g/m以上であればよい。大規模火災やリチウムイオン電池からの発火などの大きな火力に対しては100g/m以上であることが好ましい。
[消火剤成分]
消火剤含有層3は、上述のとおり、消火剤成分として無機酸化剤とラジカル発生剤とを含む。以下、これらの成分について説明する。
無機酸化剤(以下、場合により、「(A)成分」という。)は、バインダー樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する成分である。無機酸化剤として、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸ストロンチウム、塩素酸アンモニウム及び塩素酸マグネシウムが挙げられる。これらのうち、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ラジカル発生剤(以下、場合により、「(B)成分」という。)は、バインダー樹脂及び無機酸化剤の燃焼により生じた熱エネルギーによりエアロゾル(ラジカル)を発生させるための成分である。ラジカル発生剤として、分解開始温度が90℃〜260℃の範囲のものを使用することが好ましい。ラジカル発生剤として、カリウム塩及びナトリウム塩が挙げられる。カリウム塩として、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸三水素一カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二カリウム、エチレンジアミン四酢酸一水素三カリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、フタル酸水素カリウム、フタル酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、シュウ酸二カリウム及び重炭酸カリウムが挙げられる。ナトリウム塩として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムが挙げられる。これらのうち、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、例えば、10〜60質量部であり、好ましくは20〜50質量部であり、より好ましくは35〜45質量部である。(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、例えば、40〜90質量部であり、好ましくは50〜80質量部であり、より好ましくは55〜65質量部である。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂として、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等のゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂は、消火剤成分との相溶性に優れるとともに、後述のアルコール溶媒に可溶であり且つ安定性が高い点で、バインダー樹脂に適している。
バインダー樹脂として、水蒸気バリア性を有するものを使用することが好ましい。バインダー樹脂は、バインダー樹脂からなる単層フィルムを作製したとき、好ましくは5g・mm/m/day以下、より好ましくは1g・mm/m/day以下の水蒸気透過度(JIS K 7129準拠 40℃/90%RH条件下)を達成できるものが好ましい。かかるバインダー樹脂の市販品として、マクシーブ(商品名、三菱ガス化学製)が挙げられる。
消火剤含有層3のバインダー樹脂の含有率(消火剤含有層3の質量基準)は、例えば、3〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。バインダー樹脂の含有率が3質量%以上であることで、優れたフィルム成形性を達成でき、他方、30質量%以下であることで、優れた消火性能を達成できる。
[その他の成分]
消火剤含有層3に配合するその他の成分として、水等の分散剤、溶剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤、無機充填材及び粘着剤が挙げられる。これらの成分は、消火剤含有層3の組成及びバインダー樹脂の種類によって適宜選択すればよい。消火剤含有層3におけるその他の成分の含有率(消火剤含有層3の質量基準)は、例えば、10質量%以下である。
<消火用フィルムの製造方法>
消火用フィルム10の製造方法は、(A)上記消火剤成分と、上記バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、(B)基材1の表面1a上に塗液を用いて塗膜を形成する工程と、(C)塗膜を乾燥処理することによって表面1a上に消火剤含有層3を形成する工程とを含み、(B)工程及び(C)工程がロールtoロールによって実施される。
(A)工程において、塗液の調製に使用する溶媒として、アルコール溶媒(例えば、エタノール、IPA)を使用することが好ましい。アルコール溶媒は消火剤成分の分散性に優れるとともに低揮発性であるため、塗液を調製するための溶媒として適している。溶媒として、酢酸エチルを使用してもよい。
(B)工程は、ウェットコーティングによって実施してもよいし、基材1を塗液に含浸させることによって実施してもよい。ロールtoロールによって(B)工程及び(C)工程を実施することで、消火性能に優れる消火用フィルム10を大量に且つ効率的に製造することができる。すなわち、消火用フィルム10の巻重体(ロール)を効率的に且つ安価で製造することができる。巻重体の長さは、例えば、100〜1000mであり、1000〜12000mであってもよい。巻重体の幅は、例えば、0.01〜0.3mであり、0.3〜1.5mであってもよい。消火用フィルム10を使用する際には、用途や設置場所に応じてサイズに切断すればよい。
本実施形態に係る製造方法によれば、押出し成形によって消火用フィルム10を効率的に製造することができる。消火用フィルム10は、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する。このため、火災の拡大を抑制し得る点で有用である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、基材1と消火剤含有層3の二層構成の消火用フィルムを例示したが、消火用フィルムは粘着剤層又は接着剤層を更に備えてもよい。図3(a)に示す消火用フィルム20Aは、基材1と、消火剤含有層3と、粘着剤層4と、離型フィルム5とをこの順序で備える。図3(b)に示す消火用フィルム20Bは、離型フィルム5と、粘着剤層4と、基材1と、消火剤含有層3とをこの順序で備える。離型フィルム5は、消火用フィルム20A、20Bの使用時には剥がされるものであり、樹脂製であっても紙製であってもよい。消火用フィルムが粘着剤層4又は接着剤層を有することで、発火の懸念がある箇所に消火用フィルムをより一層容易に設置することができる。
消火用フィルムは、図4に示すように消火剤含有層3が他の層で挟まれた態様であってもよい。図4に示す消火用フィルム30は、消火剤含有層3と、消火剤含有層3を挟むように配置された表層6a,6bとを備える。表層6a,6bとして、例えば、基材1と同様の樹脂基材を使用できる。表層6a,6bを設けることで、消火剤含有層3の耐久性又は意匠性を高めることができるとともに、高い強度を有する消火用フィルム30を得ることができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1〜12及び比較例1,2>
以下の材料を準備した。
[基材]
・基材1:PETフィルム(厚さ:4.5μm)
・基材2:PETフィルム(厚さ:15μm)
・基材3:PETフィルム(厚さ:50μm)
・基材4:アルミニウム箔(厚さ:150μm)
[消火剤成分]
・エアロゾル消化剤(ヤマトプロテック株式会社製)
[溶媒]
・溶媒1:酢酸エチル
・溶媒2:エタノール
[バインダー樹脂]
・樹脂1:エポキシ樹脂(商品名:K468、東洋インキ社製)
・樹脂2:エポキシ樹脂(商品名:マクシーブ、三菱ガス化学株式会社製)
表1に示す成分を使用して塗液をそれぞれ調製した。基材の表面に塗膜を形成した後、90℃で2分にわたって乾燥させることによって基材上に消火剤含有層(未硬化)を形成した。その後、50℃で48時間にわって硬化処理をすることによって、消火剤含有層を硬化させた。これにより、基材と消火剤含有層との消火用積層体を得た。なお、表1における「バインダー含有率」は、乾燥後の塗膜に含まれるバインダー樹脂の含有率を意味する。表1における「塗布量」は、乾燥後の塗膜の単位面積あたりの質量を意味する。
<塗工外観の評価>
塗膜にカスレがあるか否かを目視で確認した。表1に評価結果を示す。
<消火性能の評価>
(ろうそく)
実施例及び比較例の消火用積層体を縦20mm×横20mmのサイズにそれぞれ切断して試料を得た。ろうそくの炎に対して試料をピンセットで掴んだまま高さ20mmの位置にまで近づけた。これにより、試料を燃焼させた後、消火できるか否かを確認した。表1に評価結果を示す。
(固形燃料)
実施例及び比較例の消火用積層体を縦20mm×横20mmのサイズにそれぞれ切断して試料を得た。アルミニウム製容器の内部に設置したパンの中に固形燃料1gを置いた後、固形燃料に火をつけて火炎を生じさせた。火炎している固形燃料に対して試料をピンセットで掴んだまま高さ20mmの位置にまで近づけた。これにより、試料を燃焼させた後、消火できるかどうかを観察した。表1に評価結果を示す。
Figure 2021137346
本発明によれば、発火の懸念がある部位に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する消火用フィルム及びこれを効率的に製造する方法が提供される。また、本発明によれば、優れた消火性能を有する消火用組成物、消火用シート及び消火用成型物が提供される。
1…基材(基材層)、1a…表面、3…消火剤含有層、4…粘着剤層、5…離型フィルム、6a,6b…表層、10,20A,20B,30…消火用フィルム(消火用積層体)、X…対象物

Claims (9)

  1. (A)燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、
    (B)基材の表面上に前記塗液を用いて塗膜を形成する工程と、
    (C)前記塗膜を乾燥処理することによって前記基材の表面上に、前記消火剤成分と前記バインダー樹脂とを含む消火剤含有層を形成する工程と、
    を含み、
    (B)工程及び(C)工程がロールtoロールによって実施される、消火用積層体の製造方法。
  2. 基材層と、
    前記基材層の表面上に設けられており、燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む消火剤含有層と、
    を含む消火用積層体。
  3. 前記消火剤成分が、前記バインダー樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含み、
    前記ラジカル発生剤の分解開始温度が90℃〜260℃の範囲である、請求項2に記載の消火用積層体。
  4. 前記ラジカル発生剤がカリウム塩及びナトリウム塩の少なくとも一方である、請求項3に記載の消火用積層体。
  5. 前記バインダー樹脂がエポキシ樹脂である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の消火用積層体。
  6. 前記バインダー樹脂が水蒸気バリア性を有する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の消火用積層体。
  7. 前記消火剤含有層における前記バインダー樹脂の含有率が8〜15質量%である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の消火用積層体。
  8. 前記消火剤含有層の厚さが1000μm以下である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の消火用積層体。
  9. 請求項2〜8のいずれか一項に記載の消火用積層体の巻重体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023224061A1 (ja) * 2022-05-20 2023-11-23 凸版印刷株式会社 消火体
WO2023234299A1 (ja) * 2022-06-01 2023-12-07 Toppanホールディングス株式会社 消火材用組成物及びその製造方法、バインダ樹脂の選定方法、消火材、消火材シート、並びに、自動消火機能を有する装置
JP7426529B1 (ja) 2023-07-25 2024-02-01 Toppanホールディングス株式会社 消火材用組成物、消火材、及び自動消火機能を有する装置

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