JP2021136990A - 苦味が強化された緑茶飲料 - Google Patents

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麻里 武藤
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Abstract

【課題】本発明は、良質な苦味が増強された緑茶飲料を提供することを目的とする。【解決手段】本発明によって、0.02〜2.1mg/100mLの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有する緑茶飲料が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、苦味が強化された緑茶飲料およびその製造方法に関する。特に本発明は、良質な苦味が付与された容器詰緑茶飲料に関する。
カフェインは苦味物質、タンニン酸は渋味物質として知られており(非特許文献1)、緑茶飲料においても、その苦味はカフェインもしくはタンニン(カテキン)、渋味はタンニンによるものと言われている(非特許文献2)。緑茶飲料100gあたりのカフェイン量は、玉露160mg、煎茶20mg、釜炒り茶10mg、ほうじ茶20mgであり、緑茶飲料100gあたりのタンニン量は、玉露230mg、煎茶70mg、釜炒り茶50mg、ほうじ茶40mgであることが報告されている(非特許文献3)。カフェインのカテキン類に対する比率が高い場合、快い軽い苦味を演出するという説もある(非特許文献4)。
一般に、飲食品においては、「苦味」は好ましくない味質としてとらえられており、飲食品の製造に際しては、「苦味」を有する飲食品成分の除去や軽減を図るための多くの技術が開示されている。
しかし、ある飲食品においては、適度な「苦味」が重要視されており、苦味の質を制御して嗜好性を高めることが提案されている。例えば、果汁飲料において、柑橘類の果皮粉砕物を用いて後苦味を安定的に付与することにより、ほのかな「苦味」を生かした香味豊かな果汁飲料を製造することが提案されている(特許文献1)。また、ビールテイスト飲料において、イソα酸の総量に対するコイソフムロンの割合を調整することにより、飲んだ瞬間に感じられる苦味は維持しつつ後味に残る苦味のみを低減することが提案されている(特許文献2)。さらに、緑茶飲料において、カテキン類が苦味の最初の立ち上がりをもたらし、サポニン類がカテキン類の後に持続して感じられる苦味の成分であることも報告されている(特許文献3)。
特開2008−212105号公報 特開2015−107073号公報 特開2013−116052号公報
月刊フードケミカル、第1巻、6号、pp40−47、1985年 日本食品工業学会誌、第2巻、22号、pp59−64、1975年 日本食品標準成分表2015年版(七訂) 日本茶インストラクター講座、第1巻、pp13−16、2016年
緑茶飲料は、口に含んだ際に鼻に抜ける香りを楽しみ、最後に喉の入り口辺りにある味蕾で旨味と苦味を楽しむ飲料である。良質な苦味を有する緑茶飲料を得ようと思った場合、玉露に多く含まれる苦味物質であるカフェインを適宜添加することで、苦味を調節でき
る。
しかし、室温以下の温度で長期保存される容器詰緑茶飲料においては、カフェインを増量するとクリームダウンとも呼ばれる飲料中のオリや沈殿が発生しやすくなり、品質低下を招くので、容器詰緑茶飲料に苦味物質であるカフェインを高濃度に配合することは困難である。
このような状況に鑑み、本発明は、良質な苦味を有する緑茶飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、緑茶飲料に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加すると、カフェインを添加することなく良質な苦味が付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
(1) 0.02〜2.1mg/100mLの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有する、緑茶飲料。
(2) カフェインの含有量が30mg/100mL以下である、(1)に記載の緑茶飲料。
(3) 緑茶飲料100mLあたり0.02〜2.1mgの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することによる、緑茶飲料の苦味付与方法。
(4) 緑茶飲料100mLあたり0.02〜2.1mgの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することを含む、緑茶飲料の製造方法。
本発明により、良質な苦味、より好ましくは玉露様の苦みを有する、緑茶飲料を提供することが可能となる。
(緑茶飲料)
本発明の一態様は、0.02〜2.1mg/100mLの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有する緑茶飲料である。ここで本発明でいう緑茶飲料とは、緑茶葉の抽出物を配合して調製した飲料を意味し、具体的には、Camellia
sinensisなどのCamellia属及びそれらの雑種から選択される茶葉で、不発酵茶に分類さ
れる茶葉(例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等)から水や熱水、抽出助剤を添加した水溶液で抽出した緑茶抽出物を配合した飲料の総称をいう。Camellia
sinensisとしては、例えば、C. sinensis var. sinensis(やぶきた種を含む)、C. sinensis var. assamicaなどが挙げられる。なお、抽出方法としては、例えば、ニーダー抽
出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の公知の方法を採用することができる。また、抽出条件は特に限定されず、抽出方法により適宜選択することができる。
本発明の緑茶飲料の好適な一つの態様として、緑茶抽出物を主成分とする飲料が挙げられる。ここで、緑茶抽出物を主成分とする飲料とは、食品表示法(平成27年4月施行)で表記される原材料表示において、「緑茶」「緑茶抽出物」などの緑茶に関する表記が上位に記載される飲料をいう。好ましくは、原材料表示で緑茶に関する表記が1番目又は2番目に表記される飲料であり、より好ましくは1番目に表記される飲料である。
上述の不醗酵茶に分類される茶葉を、強い火で焙じた焙じ茶葉で調製される焙じ茶飲料は、焙じることで独特の香ばしさを有しており、カテキン類も少ないことから苦味が弱い味わいである。本発明に係る緑茶飲料は、良質な苦味を付与した緑茶飲料であるが、焙じ茶飲料は、苦味が弱い味わいを特徴するものであるため、苦味を付与する必要性が低い。好ましい態様において、本発明に係る茶飲料は焙じ茶飲料ではない。焙じ茶飲料としては、例えば、焙じ茶葉の抽出物のみからなる液体、焙じ茶葉の抽出物を主体として焙煎していない緑茶葉の抽出物を混合した液体、又はこれらの液体に添加物を加えた液体などを挙げることができる。なお、「焙じ茶葉の抽出物を主体」とは、抽出物全体の固形分濃度に対して、焙じ茶抽出物由来の固形分濃度が80質量%以上、好ましくは90質量%以上であることをいう。
(2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン)
本発明は、苦味付与剤として2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することにより、緑茶飲料に良質な苦味を付与するものである。ここで、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン(GAL-DNJ)とは
、桑の葉などから単離されるアルカロイドであって、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1,5−ジデオキシ−1,5−イミノ−D−マンニトール(2-O-α-D-Galactopyranosyl-1,5-dideoxy-1,5-imino-D-mannitol)とも称される(CAS登録番号:155168−05−1)。
本発明の緑茶飲料は、0.02〜2.1mg/100mLの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有する。緑茶飲料中の2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン含有量が0.02mg/100mL以上であると、良質な苦味を効果的に付与することができる。ここで、本明細書でいう「良質な苦味」とは、飲用後に後味として感じるまろやかな苦味のことであり、口に入れた瞬間に感じるシャープな苦味とは異なるものである。さらに詳述すると、「後味」とは、JIS Z 8144:2004に記載の「食品を摂取した後,口内が空になったときにもなお口内に残る感覚」をいい、まろやかな苦味とは、シャープな苦味とは対称的な心地よい余韻として知覚される柔らかでマイルドな苦味をいう。このような良質な苦味には、好適には玉露様の苦みが含まれる。本発明の緑茶飲料は、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有することで、好ましくは玉露様の苦みを有することを特徴とする。
本発明の効果をより顕著に享受する観点から、茶飲料中の2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの含有量は0.05mg/100mL以上が好ましく、0.07mg/100mL以上がより好ましい。また、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン自体の香味が緑茶飲料の香味に影響を及ぼすことがあるため、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの含有量の上限は1.8mg/100mLが好ましく、1.5mg/100mLがより好ましい。飲料中の2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの含有量は、液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法(LC−MS/MS)を用いて測定することができる。
本発明で用いられる2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンは、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有する植物から抽出したものを用いてもよい。植物抽出物を用いる場合、緑茶飲料の香味への影響を最小化するために、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの精製品(粗精製品を含む)を用いることが好ましい。
(カフェイン)
本発明に係る緑茶飲料は、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することにより、玉露のようなカフェインを高濃度に含む緑茶飲料に類似した苦味を付与することができる。本発明の緑茶飲料では、カフェインを含有しなくてもよいが、カフェインが含まれる緑茶飲料では、カフェインの苦味を2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンが高めることから、より玉露の苦味に近い苦味となる。本発明の作用効果が顕著に発揮される観点から、カフェイン含有量は0.1mg/100mL以上が好ましく、1mg/100mL以上がより好ましく、3mg/100mL以上がさらに好ましい。カフェインは、通常、緑茶抽出物に含まれている。したがって、本発明で用いられる緑茶抽出物のカフェインを低減処理する必要はない。カフェインの低減処理とは、緑茶抽出物に活性白土や酸性白土を接触させることによる処理などを例示できる。ただし、カフェイン含有量が高すぎると2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの苦味と相俟って、良質な苦味の付与効果が損なわれることがある。また、容器詰緑茶飲料のように長期保存する場合には、カフェイン含有量が高すぎるとクリームダウンの発生原因ともなり得る。これより、本発明の緑茶飲料中のカフェイン含有量は、30mg/100mL以下であることが好ましく、25mg/100mL以下であることがより好ましく、20mg/100mL以下であることがさらに好ましい。飲料中のカフェイン含有量は、高速液体クロマトグラム法(HPLC法)を用いて測定することが出来る。
(その他の成分)
本発明の緑茶飲料には、上記成分に加え、酸化防止剤、pH調整剤等の各種添加剤を配合することができる。緑茶抽出液、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン、酸化防止剤及びpH調整剤を含む容器詰緑茶飲料は、玉露のような香味を有する容器詰緑茶飲料であり、本発明の好適な態様の一つである。容器詰緑茶飲料のpHは、pHが5.5〜7.0であることが好ましく、pHが5.8〜6.5であることがより好ましい。ここで、本明細書におけるpHとは、液状飲料100mLを300mLのビーカーに量り取り、20℃に温度調整をしてpHメータにより測定する値をいう。
一方、本発明の緑茶飲料には、本発明の効果を損なう可能性のある成分は、配合しないことが好ましい。本発明の効果を損なう成分としては、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンにより付与された苦味を低減する成分や、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンによるまろやかな苦味に影響を及ぼす可能性のある後に引く強い苦味を有する苦味剤等を例示できる。具体的には、苦味を低減する成分としてサイクロデキストリン(環状オリゴ糖ともいう)や、後に引く強い苦味を有する苦味剤としてサポニン(茶葉から精製される茶葉サポニンを含む)が挙げられる。また、本発明の効果を損なう可能性のある成分として甘味料が挙げられる。甘味料としては、例えば、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料が挙げられる。
甘味料を添加して甘味を付与すると、ファゴミンによる良質な苦味増強の効果が感じられにくくなるため、本発明の作用効果を顕著に発揮できるという観点から、低甘味度の飲料は本発明の緑茶飲料の好適な一態様である。ここで「低甘味度」の飲料とは、具体的には甘味度が2以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下の緑茶飲料をいう。ここで、甘味度とは、甘味の強さを示す尺度であり、ショ糖1重量%(20℃)の甘味を1とした場合の相対比である。飲料の甘味度は、当該飲料に
含まれる各甘味成分の量(重量濃度)を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量を総計することによって求めることができる。なお、ショ糖の甘味1に対する各種甘味成分の甘味の相対比は、公知の砂糖甘味換算表(マクマリー有機化学(第7版)988頁)から求めることができる。低甘味度の緑茶飲料として、好ましくは、甘味成分を配合しない緑茶飲料が挙げられる。
緑茶飲料の苦味成分として、カフェインの他にカテキン類が知られている。カテキン類は、口に入れた瞬間に感じるシャープな苦味や渋味として知覚される成分である。カテキン類を高濃度に含有する緑茶飲料は、口に入れた瞬間のシャープな苦味を増強させずに後味の良質な苦味のみを増強するという本発明の効果を享受されにくい。したがって、本発明の緑茶飲料におけるカテキン類の含有量は、100mg/100mL以下であることが好ましく、80mg/100mL以下であることがより好ましく、70/100mL以下であることがさらに好ましく、60/100mL以下であることが特に好ましく、50/100mL以下であることがことさらに好ましい。本発明においてカテキン類とは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートを合わせての総称であり、カテキン類含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義される。飲料中のカテキン類の含有量は、高速液体クロマトグラム法(HPLC法)により測定することができる。
(容器詰緑茶飲料)
本発明によると、クリームダウンの発生を抑制しながら、緑茶飲料に良質な苦味を付与することができるので、室温以下で長期保存される容器詰緑茶飲料は、本発明の緑茶飲料の好適な態様の一つである。容器詰緑茶飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様に公知の容器を使用することができ、例えば、樹脂製容器、金属製容器、紙製容器、ガラス製容器などを好適に使用できる。一つの態様において、容器詰緑茶飲料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などに充填して密閉した形態で提供することができる。本発明の緑茶飲料の容量は、特に限定されないが、例えば100mL〜3000mLであり、好ましくは350mL〜2000mLであり、500〜1000mLとしてもよい。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
各成分の定量
各サンプルにおける2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン、カフェイン、カテキン類は、以下の方法にて定量した。
(1)2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン
緑茶飲料中の2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの分析は、液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法(LC−MS/MS)を用いて行った。必要に応じて、緑茶飲料を減圧濃縮し、分析に供した。
LC−MS/MS測定条件
・カラム:TSKgel Amide-80, φ4.6mm×250mm, 粒径5μm
・移動相:水、アセトニトリル及び酢酸の混液
・流量:1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・イオン化法:エレクトロスプレー(正イオン検出モード)
・設定質量数(m/z):326.0→163.8
(2)カフェインおよびカテキン類
緑茶飲料をフィルター(0.45μm)でろ過してから、HPLC(高速液体クロマトグラフ)により標準物質(標品)を用いて定量した。カフェインの定量には標準物質として、カフェイン(富士フイルム和光純薬)、カテキン類の定量には標準物質として、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(クリタ高純度試薬)を使用した。
HPLC測定条件
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 model II
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
実験1:緑茶飲料の製造と評価
玉露茶葉10gを60℃の湯60mLを用いて2.5分間抽出を行い、茶葉を分離して緑茶(玉露)飲料を得た(サンプル1−1)。
同様に、火入れ浅めの煎茶を原料として、ベースとなる緑茶飲料を調製した(サンプル1−2)。次いで、ベースとなる緑茶飲料(サンプル1−2)に、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン(GAL-DNJ、機能性植物研究所製、純度9
8%)を添加し、表1に示す量でカフェイン、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン、カテキン類を含有する容器詰緑茶飲料を得た(pH:約6.0)。
また、サンプル1−2に各種カテキン類(フナコシ社製、純度98%)を添加し、カテキン類を高濃度で含む緑茶飲料を製造した(サンプル1−17、1−18)。なお、サンプル1−17、1−18に係る緑茶飲料に添加したカテキン類は、エピカテキンが約20%、エピガロカテキンガレートが約40%、エピカテキンが約10%、カテキンが約20%、エピカテキンガレートが約10%であった。
得られた緑茶飲料の苦味について、専門パネル5名にて官能評価をした。飲用後に感じられる後味の苦味について、サンプル1−1を5点、サンプル1−2を1点として、下記の基準に基づいて各専門パネルが評価した結果を再度全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で評価した。
・5点:良質な苦味を非常に感じる(サンプル1−1と同等)
・4点:良質な苦味をとても感じる
・3点:良質な苦味を感じる
・2点:良質な苦味を僅かに感じる
・1点:良質な苦味を感じない(サンプル1−2と同等)
官能評価結果を表1に示す。緑茶飲料に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することにより、飲料を口に入れた瞬間に感じられる苦味には変化はないものの、飲用後に感じられる後味に良質な苦味が付与された。なお、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン含有量が2.2mg/100mlであるサンプル1−16は、苦味付与の効果はあるが、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの雑味が感じられ、緑茶飲料としての嗜好性が損なわれた。また、サンプル1−14、1−15は後味の評価は同じ5点ではあるが、1−15の方に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの雑味がわずかに感じたパネルもいた。
なお、カテキン類含有量を50mg/100mL、200mg/100mLに調整した緑茶飲料(サンプル1−17、サンプル1−18)については、飲用直後のシャープな渋味が強くはなるが、飲用後に感じられる後味(良質な苦味)については変化が見られなかった。すなわち、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加せずに、単にカテキン類を高濃度にしただけでは、玉露のような良質な苦味を緑茶飲料に付与することはできなかった。
Figure 2021136990
実験2:緑茶飲料の製造と評価
火入れ強めの煎茶を主体としたベースとなる緑茶飲料(サンプル2−1)に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン(機能性植物研究所製、純度98%)を添加し、下表に示す量でカフェイン、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン、カテキンを含有する容器詰緑茶飲料を得た(pH:約6.0)。
得られた緑茶飲料の苦味について実験1と同様にして官能評価を行ったが、実験1で使用したサンプル1−1を5点とし、サンプル2−1を1点とした。
官能評価結果を表2に示す。実験1と同様に、緑茶飲料に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することにより、飲料を口に入れた瞬間に感じられる苦味には変化はないものの、飲用後に感じられる後味に良質な苦味が付与された。また、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン含有量が2.2mg/100mlであるサンプル2−9は、苦味付与の効果はあるが、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの雑味が感じられ、緑茶飲料としての嗜好性が損なわれた。
Figure 2021136990
実験3:緑茶飲料の製造と評価
ベースとなる緑茶飲料(原料茶葉:煎茶)として、カフェインを除去した市販の緑茶飲料を使用した(サンプル3−1)。本実験では、ベースとなる緑茶飲料に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン(機能性植物研究所製、純度98%)を添加し、下表に示す量でカフェイン、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシン、カテキンを含有する容器詰緑茶飲料を得た(pH:約6.0)。
得られた緑茶飲料の苦味について実験1と同様にして官能評価を行ったが、実験1で使用したサンプル1−1を5点とし、サンプル3−1を1点とした。
官能評価結果を表3に示す。緑茶飲料に2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することにより、飲料を口に入れた瞬間に感じられる苦味には変化はないものの、飲用後に感じられる後味に良質な苦味が付与された。しかし、同量の2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加した、実験1のサンプル1−11、実験2のサンプル2−6と比較すると、カフェインが含まれていない為、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンによる後味の苦味付与効果が弱いことが分かった。このことから、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンの添加によれば、緑茶飲料に含まれるカフェインの苦味と相俟って、緑茶飲料により一層良好な苦味を付与することができると考えられる。
Figure 2021136990

Claims (4)

  1. 0.02〜2.1mg/100mLの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを含有する緑茶飲料。
  2. カフェインの含有量が30mg/100mL以下である、請求項1に記載の緑茶飲料。
  3. 緑茶飲料100mLあたり0.02〜2.1mgの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することによる、緑茶飲料の苦味付与方法。
  4. 緑茶飲料100mLあたり0.02〜2.1mgの2−O−α−D−ガラクトピラノシル−1−デオキシノジリマイシンを添加することを含む、緑茶飲料の製造方法。
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