JP2021136795A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御対象に応じた非干渉項を求めることができる。【解決手段】電流振幅指令値及び電流位相指令値からd軸鎖交磁束を求め、前記d軸鎖交磁束から前記d軸に含まれる前記q軸の干渉成分を相殺するための第1非干渉項を求め、前記第1非干渉項に基づいてd軸電流追従指令値を補正することで前記d軸電圧指令値を演算する第1非干渉制御部と、前記電流振幅指令値及び前記電流位相指令値からq軸鎖交磁束を求め、前記q軸鎖交磁束から前記q軸に含まれる前記d軸の干渉成分を相殺するための第2非干渉項を求め、前記第2非干渉項に基づいてq軸電流追従指令値を補正することで前記q軸電圧指令値を演算する第2非干渉制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
交流モータをd軸及びq軸にてベクトル制御するモータ制御装置が知られている。このモータ制御装置は、PI制御を用いてd軸電流及がd軸指令電流Id*に追従し、q軸検出電流がq軸指令電流Iq*に追従するようにフィードバック制御によりd軸指令電圧Vd*及びq軸指令電圧Vq*を制御し、このd軸指令電圧Vd*及びq軸指令電圧Vq*に基づいて交流モータの駆動を制御している。
ここで、d軸電流にはq軸電流に依存する干渉成分が含まれており、同様にq軸電流にはd軸電流に依存する干渉成分が含まれている。したがって、d軸電流とq軸電流を独立に制御できない。そこで、d軸電流とq軸電流を独立に制御可能とするために、その干渉成分を相殺する非干渉項を求め、その非干渉項をフィードフォワード制御する非干渉制御が行われている(特許文献1)。
d軸に対する非干渉項(以下、「第1非干渉項」という。)は、−ω・Lq・iqで表され、q軸に対する非干渉項(以下、「第2非干渉項」という。)は、ω(Ld・id+φa)で表される。なお、ω:交流モータの角速度、Lq:q軸の自己インダクタンス(固定値)、Ld:d軸の自己インダクタンス(固定値)、φa:交流モータの鎖交磁束、である。よって、モータ制御装置は、上記数式にパラメータを入力することで第1非干渉項及び第2非干渉項を求める。
特開2004−40861号公報
ところで、第1非干渉項及び第2非干渉項を求めるにあたって、自己インダクタンスLq,Lqは固定値として設定されている。ただし、モータ制御装置の対象である交流モータによって自己インダクタンスLq,Lqが異なるため、制御対象に応じた非干渉項を求めることができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、制御対象に応じた非干渉項を求めることができるモータ制御装置を提供することである。
(1)本発明の一態様は、モータのd軸及びq軸電流指令値に基づいて前記モータのd軸及びq軸電圧指令値を演算し、前記d軸及び前記q軸電圧指令値に基づいて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置であって、PI制御により前記d軸電流指令値とd軸電流値との偏差をゼロに近づけるためのd軸電流追従指令値を演算するd軸PI制御部と、PI制御を適用することにより、前記q軸電流指令値とq軸電流値との偏差をゼロに近づけるためのq軸電流追従指令値を演算するq軸PI制御部と、前記d軸電流指令値のベクトルと前記q軸電流値のベクトルとの合成ベクトルである電流ベクトルの振幅の指令値である電流振幅指令値と、前記電流ベクトルの位相の指令値である電流位相指令値を演算する演算部と、前記電流振幅指令値及び前記電流位相指令値からd軸鎖交磁束を求め、前記d軸鎖交磁束から前記d軸に含まれる前記q軸の干渉成分を相殺するための第1非干渉項を求め、前記第1非干渉項に基づいてd軸電流追従指令値を補正することで前記d軸電圧指令値を演算する第1非干渉制御部と、前記電流振幅指令値及び前記電流位相指令値からq軸鎖交磁束を求め、前記q軸鎖交磁束から前記q軸に含まれる前記d軸の干渉成分を相殺するための第2非干渉項を求め、前記第2非干渉項に基づいてq軸電流追従指令値を補正することで前記q軸電圧指令値を演算する第2非干渉制御部と、を備えることを特徴とするモータ制御装置。
(2)上記(1)のモータ制御装置であって、前記第1非干渉制御部は、前記電流ベクトルの振幅及び前記位相と、前記d軸鎖交磁束と、の対応関係を示すd軸鎖交磁束マップを有し、前記電流振幅指令値に相当する振幅と前記電流位相指令値に相当する位相に対応する前記d軸鎖交磁束を前記d軸鎖交磁束マップから取得し、前記第2非干渉制御部は、前記電流ベクトルの振幅及び前記位相と、前記q軸鎖交磁束と、の対応関係を示すq軸鎖交磁束マップを有し、前記電流振幅指令値に相当する振幅と前記電流位相指令値に相当する位相に対応する前記q軸鎖交磁束を前記q軸鎖交磁束マップから取得してもよい。
(3)上記(2)のモータ制御装置であって、前記電流ベクトルの振幅及び前記位相に基づいて前記モータのq軸インダクタンスを演算するq軸インダクタンス演算部と、前記電流ベクトルの振幅及び前記位相に基づいて前記モータのd軸インダクタンスを演算するd軸インダクタンス演算部と、を有し、前記d軸PI制御部は、前記d軸インダクタンスを用いて、前記d軸電流追従指令値を求めるためのPI制御における比例ゲインを演算し、前記q軸PI制御部は、前記q軸インダクタンスを用いて、前記q軸電流追従指令値を求めるためのPI制御における比例ゲインを演算してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、制御対象に応じた非干渉項を求めることができる。
本実施形態に係るモータ制御装置4を備える車両1の概略構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る制御装置11の概略構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る電流制御部16のブロック図である。 本実施形態に係る電流制御部16の動作のフロー図である。
以下、本実施形態に係るモータ制御装置を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るモータ制御装置4を備える車両1の概略構成の一例を示す図である。車両1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車等の走行用のモータを備える車両である。
図1に示すように、車両1は、直流電源2、交流モータ3及びモータ制御装置4を備える。
直流電源2は、車両1に搭載されている。直流電源2は、例えば、バッテリであり、ニッケル水素電池やリチウムイオン池といった二次電池である。ただし、これに限定されず、直流電源2は、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)であってもよい。
交流モータ3は、モータ制御装置4によって駆動が制御される電動モータである。例えば、交流モータ3は、同期式多相交流モータであって、いわゆるIPM(Interior Permanent Magnet)モータである。本実施形態の交流モータ3は、三相のIPMモータである。例えば、本実施形態の交流モータ3は、車両1の車輪を駆動する駆動用のモータとして機能する。
モータ制御装置4は、直流電源2からの直流電力を交流電力に変換して交流モータ3に供給する。また、モータ制御装置4は、交流モータ3で発生した回生電力を直流電力に変換して直流電源2に供給してもよい。
以下において、本実施形態に係るモータ制御装置4の構成について、図1を用いて説明する。モータ制御装置4は、コンデンサ5、昇圧コンバータ6、コンデンサ7、インバータ8、電流センサ9、回転角センサ10及び制御装置11を備える。
コンデンサ5は、昇圧コンバータ6の一次側(直流電源2側)に設けられた平滑用のコンデンサである。具体的には、コンデンサ5は、一端が直流電源2のプラス端子に接続され、他端が直流電源2のマイナス端子に接続される。この直流電源2のマイナス端子は接地される。
昇圧コンバータ6は、直流電源2から出力される直流電圧Vbを所定の昇圧比で昇圧する。昇圧コンバータ6で昇圧された電圧は、インバータ8に入力する電圧(以下、「入力電圧」という。)Vsである。このように、昇圧コンバータ6は、直流電源2から出力される直流電圧Vbを所定の昇圧比で昇圧することで入力電圧Vsを生成し、その入力電圧Vsをインバータ8に出力する。なお、昇圧コンバータ6は、インバータ8から入力される回生電圧を所定の降圧比で降圧して直流電源2に出力する機能をさらに備えてもよい。なお、昇圧コンバータ6は、本発明の「コンバータ」の一例である。以下に、昇圧コンバータ6の概略構成の一例について説明する。
昇圧コンバータ6は、リアクトル6a及び互いに直列に接続された上側スイッチング素子Q21と下側スイッチング素子6cとを備える。
リアクトル6aは一端がコンデンサ5の一端に接続されており、他端が上側スイッチング素子Q21と下側スイッチング素子6cとの接続点に接続されている。
上側スイッチング素子6b及び下側スイッチング素子6cは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ベースバイポーラトランジスタ)である場合について説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば、FET(Field Effective Transistor;電界効果トランジスタ)等であってもよい。
上側スイッチング素子6bのコレクタ端子は、コンデンサ7の一方の端子に接続されている。上側スイッチング素子6bのエミッタ端子は、リアクトル6aの他端に接続されている。上側スイッチング素子6bのベース端子は、制御装置11に接続されている。
下側スイッチング素子6cのコレクタ端子は、リアクトル6aの他端に接続されている。下側スイッチング素子6cのエミッタ端子は、直流電源2のマイナス端子に接続される。下側スイッチング素子6cのベース端子は、制御装置11に接続されている。
なお、昇圧コンバータ6は、上側スイッチング素子6b及び下側スイッチング素子6cのそれぞれに逆方向に並列接続されたダイオードD(ダイオードD1及びダイオードD2)を備える。
コンデンサ7は、昇圧コンバータ6の二次側(インバータ8側)に接続されている。コンデンサ7は、一端が上側スイッチング素子6bのコレクタ端子に接続され、他端が直流電源2のマイナス端子に接続された平滑コンデンサである。
インバータ8は、制御装置11からのPWM(Pulse Width Modulation)信号Dに基づいて、直流電源2から出力される直流電力を交流電力に変換して交流モータ3に供給する。具体的には、インバータ8には、昇圧コンバータ6から入力電圧Vsが供給される。インバータ8は、制御装置11からのPWM信号Dに基づいて、入力電圧Vsを交流電圧(Vu,Vv,Vw)に変換して交流モータ3に供給する。交流電圧Vuは、交流モータ3のU相の端子間に印加される電圧である。交流電圧Vvは、交流モータ3のV相の端子間に印加される電圧である。交流電圧Vwは、交流モータ3のW相の端子間に印加される電圧である。なお、本実施形態のインバータ8は、三相インバータであり、各相に対応した3つのスイッチングレグを備えている。
複数の電流センサ9は、三相(U、V、W)の各相電流を検出し、その検出結果を制御装置11に出力する。例えば、複数の電流センサ9は、インバータ8と交流モータ3との間に設けられてもよいし、インバータ8の内部に設けられてもよい。電流センサ9は、各相の相電流を検出する構成であれば特に限定されないが、例えば、トランスを備えたカレントトランス(CT)やホール素子を備えた電流センサである。また、電流センサ9は、シャント抵抗であってもよい。
回転角センサ10は、交流モータ3の回転角を検出する。交流モータ3の回転角は、所定の基準回転位置からの上記ロータの電気角である。回転角センサ10は、検出した回転角を示す検出信号を制御装置11に出力する。例えば、回転角センサ10は、レゾルバを備えてもよい。
制御装置11は、トルク指令値T*に基づいてインバータ8のスイッチング素子をPWM制御することで交流モータ3の駆動を制御する。ここで、トルク指令値T*は、交流モータ3で発生させるトルク(モータトルク)の目標値であって、外部装置から制御装置11に送信される。
制御装置11は、交流モータ3をd軸及びq軸にてベクトル制御する。ベクトル制御とは、交流モータ3に流れる電流値をトルク成分(q軸)と磁界成分(d軸)に分解して、電気角に応じて各電流値を独立に制御する方式である。
制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサ及び不揮発性又は揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory))を備えてもよい。例えば、制御装置11は、MCUなどのマイクロコントローラを有してもよい。また、制御装置11は、インバータ8のドライバ回路を有してもよい。
以下において、本実施形態に係る制御装置11におけるインバータ制御を行うための概略構成を、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る制御装置11の概略構成の一例を示す図である。
制御装置11は、トルク制御部12、電流検出部13、三相/dq変換部14、角速度演算部15、電流制御部16、dq/三相変換部17及びPWM制御部18を備える。
トルク制御部12は、外部からトルク指令値T*を取得する。トルク制御部12は、トルク指令値T*に基づいて、交流モータ3のd軸電流の目標値であるd軸電流指令値Id*と、交流モータ3のq軸電流の目標値であるq軸電流指令値Iq*と、を生成する。そして、トルク制御部12は、生成したd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を電流制御部16に出力する。
電流検出部13は、各電流センサ9の検出結果から、交流モータ3におけるU相のコイルに流れる電流値(以下、「U相電流値」という。)Iu、交流モータ3におけるV相のコイルに流れる電流値(以下、「V相電流値」という。)Iv、交流モータ3におけるW相のコイルに流れる電流値(以下、「W相電流値」という。)Iwを検出する。そして、電流検出部13は、検出したU相電流値Iu、V相電流値Iv及びW相電流値Iwを三相/dq変換部14に出力する。
三相/dq変換部14は、電流検出部13から取得したU相電流値Iu、V相電流値Iv及びW相電流値Iwを、回転角センサ10から取得した電気角θを用いて、dq座標系のd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに変換する。三相/dq変換部14は、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqを電流制御部16に出力する。
角速度演算部15は、回転角センサ10から出力される交流モータ3の電気角θに基づいて、角速度ωを演算する。角速度演算部15は、演算した角速度ωを電流制御部16に出力する。
電流制御部16は、d軸電流指令値Id*にd軸電流値Idを追従させるためのd軸電流追従指令値Vdcur*を求める。電流制御部16は、q軸電流指令値Iq*にq軸電流値Iqを追従させるためのq軸電流追従指令値Vqcur*を求める。
ここで、d軸電流にはq軸電流に依存する干渉成分が含まれており、q軸電流にはd軸電流に依存する干渉成分が含まれている。したがって、このままでは、d軸電流とq軸電流を独立に制御することはできない。そこで、電流制御部16は、d軸電流追従指令値Vdcur*に対して第1非干渉項Vddcp*をフィードフォワードし、q軸電流追従指令値Vqcur*に対して第2非干渉項Vqdcp*をフィードフォワードすることで上記干渉成分を打ち消す非干渉制御を実行する。第1非干渉項Vddcp*は、d軸電流に含まれるq軸電流に依存する干渉成分を相殺するため非干渉項である。第2非干渉項Vqdcp*は、q軸電流に含まれるd軸電流に依存する干渉成分を相殺するため非干渉項である。
電流制御部16は、d軸電流追従指令値Vdcur*に対して非干渉制御を実行することでd軸電圧指令値Vd*を算出する。電流制御部16は、q軸電流追従指令値Vqcur*に対して非干渉制御を実行することでq軸電圧指令値Vq*を算出する。電流制御部16は、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*をdq/三相変換部17に出力する。
dq/三相変換部17は、回転角センサ10から電気角θを取得する。dq/三相変換部17は、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を電流制御部16から取得する。dq/三相変換部17は、電気角θを用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、交流モータ3におけるUVW相の各相の電圧指令値であるU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*及びW相電圧指令値Vw*に変換する。そして、dq/三相変換部17は、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*及びW相電圧指令値Vw*をPWM制御部18に出力する。U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*及びW相電圧指令値Vw*は、変調波であって、それぞれを区別しない場合には「電圧指令信号」と称する場合がある。
PWM制御部18は、所定のキャリア周波数fcのキャリア波Cと電圧指令信号とを比較する。そして、PWM制御部18は、比較の結果、キャリア波Cより電圧指令信号の振幅が大きい期間にHiレベルの信号を出力し、キャリア波Cより電圧指令信号Mの振幅が小さい期間にLoレベルの信号を出力することでPWM信号Dをインバータ8のスイッチング素子に出力する。よって、PWM制御部18は、キャリア波CとU相電圧指令値Vu*とを比較することによりPWM信号Duを生成してインバータ8に出力する。PWM制御部18は、キャリア波CとV相電圧指令値Vv*とを比較することによりPWM信号Dvを生成してインバータ8に出力する。PWM制御部18は、キャリア波CとW相電圧指令値Vw*とを比較することによりPWM信号Dwを生成してインバータ8に出力する。
次に、本実施形態に係る電流制御部16について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る電流制御部16のブロック図である。
電流制御部16は、第1減算器20、第2減算器21、演算部22、d軸インダクタンス演算部23、q軸インダクタンス演算部24、d軸PI制御部25、q軸PI制御部26及び非干渉制御部27を備える。
第1減算器20は、トルク制御部12からd軸電流指令値Id*を取得する。第1減算器20は、三相/dq変換部14からd軸電流値Idを取得する。そして、第1減算器20は、d軸電流指令値Id*からd軸電流値Idを差し引くことで第1偏差ΔIdを求める。そして、第1減算器20は、求めた第1偏差ΔIdをd軸PI制御部25に出力する。
第2減算器21は、トルク制御部12からq軸電流指令値Iq*を取得する。第2減算器21は、三相/dq変換部14からq軸電流値Iqを取得する。そして、第2減算器21は、q軸電流指令値Iq*からq軸電流値Iqを差し引くことで第2偏差ΔIqを求める。そして、第2減算器21は、求めた第2偏差ΔIqをq軸PI制御部26に出力する。
演算部22は、トルク制御部12からd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を取得する。そして、演算部22は、d軸電流指令値及びq軸電流値に基づいて、交流モータ3に流す電流であるモータ電流imの振幅iaの指令値である電流振幅指令値ia*と、モータ電流imの位相である電流位相βの指令値である電流位相指令値β*を演算する。ここで、モータ電流imは、d軸電流指令値Id*のベクトルとq軸電流指令値Iq*のベクトルとの合成ベクトルであり、モータ電流ベクトルともいう。したがって、振幅iaは、モータ電流ベクトルの絶対値である。電流位相βは、q軸又はd軸に対するモータ電流im(モータ電流ベクトル)の位相である。
d軸インダクタンス演算部23は、演算部22が求めた電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じたd軸インダクタンスLdを求める。d軸インダクタンスLdは、交流モータ3におけるd軸側のインダクタンスである。
具体的には、d軸インダクタンス演算部23には、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、d軸インダクタンスLdと、の対応関係を示す情報であるd軸インダクタンスマップLdmapを予め格納されている。d軸インダクタンスマップLdmapは、振幅iaと電流位相βとに基づいて、d軸インダクタンスLdが決定できるように、実験的又は理論的に定めればよい。例えば、d軸インダクタンスマップLdmapは、各振幅iaと、各電流位相βと、その振幅iaと電流位相βとの組み合わせ毎に関連付けられたd軸インダクタンスLdとを有するテーブルであってもよい。ただし、これに限定されず、d軸インダクタンスマップLdmapは、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、d軸インダクタンスLdと、の対応関係を示す情報あればよく、上記テーブルに限らず数式であってもよい。
d軸インダクタンス演算部23は、演算部22から電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得する。そして、d軸インダクタンス演算部23は、d軸インダクタンスマップLdmapを参照し、その電流振幅指令値ia*に相当する振幅iaと電流位相指令値β*に相当する電流位相βに対応するd軸インダクタンスLdをd軸インダクタンスマップLdmapから取得する。そして、d軸インダクタンス演算部23は、d軸インダクタンスマップLdmapから取得したd軸インダクタンスLdをd軸PI制御部25に出力する。
q軸インダクタンス演算部24は、演算部22が求めた電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じたq軸インダクタンスLqを求める。q軸インダクタンスLqは、交流モータ3におけるq軸側のインダクタンスである。
具体的には、q軸インダクタンス演算部24には、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、q軸インダクタンスLqと、の対応関係を示す情報であるq軸インダクタンスマップLqmapを予め格納されている。q軸インダクタンスマップLqmapは、振幅iaと電流位相βとに基づいて、q軸インダクタンスLqが決定できるように、実験的又は理論的に定めればよい。例えば、q軸インダクタンスマップLqmapは、各振幅iaと、各電流位相βと、その振幅iaと電流位相βとの組み合わせ毎に関連付けられたq軸インダクタンスLqとを有するテーブルであってもよい。ただし、これに限定されず、q軸インダクタンスマップLqmapは、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、q軸インダクタンスLqと、の対応関係を示す情報あればよく、上記テーブルに限らず数式であってもよい。
q軸インダクタンス演算部24は、演算部22から電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得する。そして、q軸インダクタンス演算部24は、q軸インダクタンスマップLqmapを参照し、その電流振幅指令値ia*に相当する振幅iaと電流位相指令値β*に相当する電流位相βに対応するq軸インダクタンスLqをq軸インダクタンスマップLqmapから取得する。そして、q軸インダクタンス演算部24は、q軸インダクタンスマップLqmapから取得したq軸インダクタンスLqをq軸PI制御部26に出力する。
d軸PI制御部25は、第1偏差ΔIdに対してPI制御を行うことにより、その第1偏差ΔIdをゼロに近づけるための電圧指令であるd軸電流追従指令値Vdcur*を生成する。
d軸PI制御部25は、比例ゲイン乗算部251、積分ゲイン乗算部252、積分器253及び加算器254を備える。
比例ゲイン乗算部251は、第1偏差ΔIdに対して比例ゲインKidを乗算して加算器254に出力する。ここで、比例ゲイン乗算部251は、d軸インダクタンス演算部23からd軸インダクタンスLdを取得し、d軸インダクタンスLdに応じた比例ゲインKpdを求める。例えば、比例ゲイン乗算部251は、d軸インダクタンスLdに対して所定の係数Kdを乗算することで比例ゲインKpdを求める。そして、比例ゲイン乗算部251は、第1偏差ΔIdに対して、d軸インダクタンスLdに応じた比例ゲインKpdを乗算して加算器254に出力する。
積分ゲイン乗算部252は、第1偏差ΔIdに対して積分ゲインKpdを乗算して積分器253に出力する。
積分器253は、積分ゲイン乗算部252からの出力を積分することで積分値を求め、その積分値を加算器254に出力する。なお、図3に示すsはラプラス変換の演算子であり、sは微分、1/sは積分の意味を表す。
加算器254は、比例ゲイン乗算部251からの出力と、積分器253からの積分値と、を足し合わせることでd軸電流追従指令値Vdcur*を求める。
q軸PI制御部26は、第1偏差ΔIqに対してPI制御を行うことにより、その第1偏差ΔIqをゼロに近づけるための電圧指令であるq軸電流追従指令値Vqcur*を生成する。
q軸PI制御部26は、比例ゲイン乗算部261、積分ゲイン乗算部262、積分器263及び加算器264を備える。
比例ゲイン乗算部261は、第1偏差ΔIqに対して比例ゲインKiqを乗算して加算器264に出力する。ここで、比例ゲイン乗算部261は、q軸インダクタンス演算部24からq軸インダクタンスLqを取得し、q軸インダクタンスLqに応じた比例ゲインKpqを求める。例えば、比例ゲイン乗算部261は、q軸インダクタンスLqに対して所定の係数Kqを乗算することで比例ゲインKpqを求める。そして、比例ゲイン乗算部261は、第1偏差ΔIqに対して、q軸インダクタンスLqに応じた比例ゲインKpqを乗算して加算器254に出力する。
積分ゲイン乗算部262は、第1偏差ΔIqに対して積分ゲインKpqを乗算して積分器263に出力する。
積分器263は、積分ゲイン乗算部262からの出力を積分することで積分値を求め、その積分値を加算器264に出力する。
加算器264は、比例ゲイン乗算部261からの出力と、積分器263からの積分値と、を足し合わせることでq軸電流追従指令値Vqcur*を求める。
非干渉制御部27は、第1非干渉制御部28及び第2非干渉制御部29を備える。
第1非干渉制御部28は、演算部22から電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得する。そして、第1非干渉制御部28は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じた第1非干渉項Vddcp*を求める。そして、第1非干渉制御部28は、第1非干渉項Vddcp*をd軸電流追従指令値Vdcur*にフィードフォワードすることでd軸電圧指令値Vd*を演算する。
第2非干渉制御部29は、演算部22から電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得する。そして、第2非干渉制御部29は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じた第2非干渉項Vqdcp*を求める。そして、第2非干渉制御部29は、第2非干渉項Vqdcp*をq軸電流追従指令値Vqcur*にフィードフォワードすることでq軸電圧指令値Vq*を演算する。
次に、本実施形態に係る第1非干渉制御部28の概略構成について説明する。
第1非干渉制御部28は、d軸鎖交磁束演算部30、ローパスフィルタ31、乗算器32及び補正部33を備える。
d軸鎖交磁束演算部30は、演算部22が求めた電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じたd軸鎖交磁束Φdを求める。d軸鎖交磁束Φdは、交流モータ3におけるd軸側の鎖交磁束である。
具体的には、d軸鎖交磁束演算部30には、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、d軸鎖交磁束Φdと、の対応関係を示す情報であるd軸鎖交磁束マップΦdmapを予め格納されている。d軸鎖交磁束マップΦdmapは、振幅iaと操舵ト電流位相βとに基づいて、d軸鎖交磁束Φdが決定できるように、実験的又は理論的に定めればよい。例えば、d軸鎖交磁束マップΦdmapは、各振幅iaと、各電流位相βと、その振幅iaと電流位相βとの組み合わせ毎に関連付けられたd軸鎖交磁束Φdとを有するテーブルであってもよい。ただし、これに限定されず、d軸鎖交磁束マップΦdmapは、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、d軸鎖交磁束Φdと、の対応関係を示す情報あればよく、上記テーブルに限らず数式であってもよい。
d軸鎖交磁束演算部30は、演算部22から電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得する。そして、d軸鎖交磁束演算部30は、d軸鎖交磁束マップΦdmapを参照し、その電流振幅指令値ia*に相当する振幅iaと電流位相指令値β*に相当する電流位相βに対応するd軸鎖交磁束Φdをd軸鎖交磁束マップΦdmapから取得する。そして、d軸鎖交磁束演算部30は、d軸鎖交磁束マップΦdmapから取得したd軸鎖交磁束Φdをローパスフィルタ31に出力する。
ローパスフィルタ31は、d軸鎖交磁束演算部30で算出されたd軸鎖交磁束Φdの高周波成分を減衰させて乗算器32に出力する。なお、図3に示すωlqcは、ローパスフィルタ31における中心周波数を示す。
乗算器32は、ローパスフィルタ31を通過したd軸鎖交磁束Φdに対して、角速度演算部15で演算された角速度ωを乗算することで第1非干渉項Vddcp*を求める。そして、乗算器32は、第1非干渉項Vddcp*を補正部33に出力する。
補正部33は、d軸PI制御部25からd軸電流追従指令値Vdcur*を取得する。また、補正部33は、乗算器32から第1非干渉項Vddcp*を取得する。そして、補正部33は、d軸電流追従指令値Vdcur*に対して第1非干渉項Vddcp*をフィードフォワード制御することで、d軸電流追従指令値Vdcur*に含まれるq軸の干渉成分が相殺されたq軸電圧指令値Vq*を求める。すなわち、補正部33は、d軸電流追従指令値Vdcur*に対して第1非干渉項Vddcp*を差し引くことでq軸電圧指令値Vq*を求める。なお、補正部33がd軸電流追従指令値Vdcur*に対して第1非干渉項Vddcp*を加算することでq軸電圧指令値Vq*を求める場合には、第1非干渉項Vddcp*は、−Φd×ωとなる。
次に、本実施形態に係る第2非干渉制御部29の概略構成について説明する。
第2非干渉制御部29は、q軸鎖交磁束演算部40、ローパスフィルタ41、鎖交磁束演算部42、加算器43、乗算器44及び補正部45を備える。
q軸鎖交磁束演算部40は、演算部22が求めた電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じたq軸鎖交磁束Φqを求める。q軸鎖交磁束Φqは、交流モータ3におけるq軸側の鎖交磁束である。
具体的には、q軸鎖交磁束演算部40には、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、q軸鎖交磁束Φqと、の対応関係を示す情報であるq軸鎖交磁束マップΦqmapを予め格納されている。q軸鎖交磁束マップΦqmapは、振幅iaと電流位相βとに基づいて、q軸鎖交磁束Φqが決定できるように、実験的又は理論的に定めればよい。例えば、q軸鎖交磁束マップΦqmapは、各振幅iaと、各電流位相βと、その振幅iaと電流位相βとの組み合わせ毎に関連付けられたq軸鎖交磁束Φqとを有するテーブルであってもよい。ただし、これに限定されず、q軸鎖交磁束マップΦqmapは、モータ電流imの振幅ia及び電流位相βと、q軸鎖交磁束Φqと、の対応関係を示す情報あればよく、上記テーブルに限らず数式であってもよい。
q軸鎖交磁束演算部40は、演算部22から電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得する。そして、q軸鎖交磁束演算部40は、q軸鎖交磁束マップΦqmapを参照し、その電流振幅指令値ia*に相当する振幅iaと電流位相指令値β*に相当する電流位相βに対応するq軸鎖交磁束Φqをq軸鎖交磁束マップΦqmapから取得する。そして、q軸鎖交磁束演算部40は、q軸鎖交磁束マップΦqmapから取得したq軸鎖交磁束Φqをローパスフィルタ41に出力する。
ローパスフィルタ41は、q軸鎖交磁束演算部40で算出されたq軸鎖交磁束Φqの高周波成分を減衰させる。なお、図3に示すωlqcは、ローパスフィルタ41における中心周波数を示す。
鎖交磁束演算部42は、交流モータ3の鎖交磁束Φaを求める。具体的には、鎖交磁束演算部42は、d軸鎖交磁束演算部30で求められたq軸鎖交磁束Φqの二乗と、q軸鎖交磁束演算部40で求められたd軸鎖交磁束Φdの二乗と、を加算した値の平方根を求めることで鎖交磁束Φaを求める。鎖交磁束演算部42は、鎖交磁束Φaを加算器43に出力する。
加算器43は、ローパスフィルタ41を通過したq軸鎖交磁束Φqに対して鎖交磁束Φaを加算し、その加算した値である加算値を乗算器44に出力する。
乗算器44は、乗算器44からの加算値に対して、角速度演算部15で演算された角速度ωを乗算することで第2非干渉項Vqdcp*を求める。そして、乗算器44は、第2非干渉項Vqdcp*を補正部45に出力する。
補正部45は、q軸PI制御部26からq軸電流追従指令値Vqcur*を取得する。また、補正部45は、乗算器44から第2非干渉項Vqdcp*を取得する。そして、補正部45は、q軸電流追従指令値Vqcur*に対して第2非干渉項Vqdcp*をフィードフォワード制御することで、q軸電流追従指令値Vqcur*に含まれるd軸の干渉成分が相殺されたq軸電圧指令値Vq*を求める。すなわち、補正部45は、q軸電流追従指令値Vqcur*に対して第2非干渉項Vqdcp*を加算することでq軸電圧指令値Vq*を求める。なお、補正部45がq軸電流追従指令値Vqcur*に対して第2非干渉項Vqdcp*を差し引くことでq軸電圧指令値Vq*を求める場合には、第2非干渉項Vqdcp*は、−ω(Φq+Φa)となる。
次に、本実施形態に係る電流制御部16の動作の流れを、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る電流制御部16の動作のフロー図である。
電流制御部16は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*を取得し(ステップS101)、その電流振幅指令値ia*に相当する振幅iaと電流位相指令値β*に相当する電流位相βに対応するd軸インダクタンスLdをd軸インダクタンスマップLdmapから取得する(ステップS102)。また、電流制御部16は、電流振幅指令値ia*に相当する振幅iaと電流位相指令値β*に相当する電流位相βに対応するq軸インダクタンスLqをq軸インダクタンスマップLqmapから取得する(ステップS103)。
電流制御部16は、d軸電流指令値Id*からd軸電流値Idを差し引いて第1偏差ΔIdを求める。また、電流制御部16は、d軸インダクタンスLdに応じた制御ゲイン(例えば、積分ゲイン)を求め、この制御ゲインを用いて第1偏差ΔIdに対してPI制御を行うことによりd軸電流追従指令値Vdcur*を生成する(ステップS104)。
同様に、電流制御部16は、q軸電流指令値Iq*からq軸電流値Iqを差し引いて第2偏差ΔIqを求める。また、電流制御部16は、q軸インダクタンスLqに応じた制御ゲイン(例えば、積分ゲイン)を求め、この制御ゲインを用いて第2偏差ΔIqに対してPI制御を行うことによりq軸電流追従指令値Vqcur*を生成する(ステップS105)。
非干渉制御部27は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じたd軸鎖交磁束Φdを求め(ステップS106)、そのd軸鎖交磁束Φdに対して角速度ωを乗算することで第1非干渉項Vddcp*を求める(ステップS107)。非干渉制御部27は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*に応じたq軸鎖交磁束Φqを求め(ステップS108)、そのq軸鎖交磁束Φqに対して鎖交磁束Φaを加算した値に角速度ωを乗算することで第2非干渉項Vqdcp*を求める(ステップS109)。
非干渉制御部27は、第1非干渉項Vddcp*をd軸電流追従指令値Vdcur*にフィードフォワードすることでd軸電流追従指令値Vdを求める(ステップS110)。また、非干渉制御部27は、第2非干渉項Vqdcp*をq軸電流追従指令値Vqcur*にフィードフォワードすることで、q軸電流追従指令値Vqを求める(ステップS111)。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
以上、説明したように、本実施形態に係るモータ制御装置4は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*からd軸鎖交磁束Φdを直接求め、d軸鎖交磁束Φdから第1非干渉項Vddcp*を求める第1非干渉制御部28を備える。また、モータ制御装置4は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値β*からq軸鎖交磁束Φqを直接求め、q軸鎖交磁束Φqから第2非干渉項Vqdcp*を求める第2非干渉制御部29を備える。そして、第1非干渉制御部28は、第1非干渉項Vddcp*に基づいてd軸電流追従指令値Vdcur*を補正することでd軸電圧指令値Vd*を演算する。第2非干渉制御部29は、第2非干渉項Vqdcp*に基づいてq軸電流追従指令値Vqcur*を補正することでq軸電圧指令値Vq*を演算する。
このような構成によれば、本実施形態に係る電流制御部16は、第1非干渉項Vddcp*及び第2非干渉項Vqdcp*を算出するにあたって、d軸インダクタンスLdやq軸インダクタンスLqの算出を必要としない。さらに、本実施形態に係る電流制御部16は、電流振幅指令値ia*及び電流位相指令値βに応じたd軸鎖交磁束Φd及びq軸鎖交磁束Φqを直接求め、そのd軸鎖交磁束Φd及びq軸鎖交磁束Φqにより第1非干渉項Vddcp*及び第2非干渉項Vqdcp*を算出する。これにより、制御対象に応じた第1非干渉項Vddcp*及び第2非干渉項Vqdcp*を求めることができる。すなわち、本実施形態に係る電流制御部16は、非干渉制御を行うにあたり、従来よりもロバスト性を向上させることができる。
なお、上述した制御装置の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、上記制御装置の全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
1 車両
3 交流モータ
23 d軸インダクタンス演算部
24 q軸インダクタンス演算部
25 d軸PI制御部
26 q軸PI制御部
28 第1非干渉制御部
29 第2非干渉制御部

Claims (3)

  1. モータのd軸及びq軸電流指令値に基づいて前記モータのd軸及びq軸電圧指令値を演算し、前記d軸及び前記q軸電圧指令値に基づいて前記モータの駆動を制御するモータ制御装置であって、
    PI制御により前記d軸電流指令値とd軸電流値との偏差をゼロに近づけるためのd軸電流追従指令値を演算するd軸PI制御部と、
    PI制御を適用することにより、前記q軸電流指令値とq軸電流値との偏差をゼロに近づけるためのq軸電流追従指令値を演算するq軸PI制御部と、
    前記d軸電流指令値のベクトルと前記q軸電流値のベクトルとの合成ベクトルである電流ベクトルの振幅の指令値である電流振幅指令値と、前記電流ベクトルの位相の指令値である電流位相指令値を演算する演算部と、
    前記電流振幅指令値及び前記電流位相指令値からd軸鎖交磁束を求め、前記d軸鎖交磁束から前記d軸に含まれる前記q軸の干渉成分を相殺するための第1非干渉項を求め、前記第1非干渉項に基づいてd軸電流追従指令値を補正することで前記d軸電圧指令値を演算する第1非干渉制御部と、
    前記電流振幅指令値及び前記電流位相指令値からq軸鎖交磁束を求め、前記q軸鎖交磁束から前記q軸に含まれる前記d軸の干渉成分を相殺するための第2非干渉項を求め、前記第2非干渉項に基づいてq軸電流追従指令値を補正することで前記q軸電圧指令値を演算する第2非干渉制御部と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記第1非干渉制御部は、前記電流ベクトルの振幅及び前記位相と、前記d軸鎖交磁束と、の対応関係を示すd軸鎖交磁束マップを有し、前記電流振幅指令値に相当する振幅と前記電流位相指令値に相当する位相に対応する前記d軸鎖交磁束を前記d軸鎖交磁束マップから取得し、
    前記第2非干渉制御部は、前記電流ベクトルの振幅及び前記位相と、前記q軸鎖交磁束と、の対応関係を示すq軸鎖交磁束マップを有し、前記電流振幅指令値に相当する振幅と前記電流位相指令値に相当する位相に対応する前記q軸鎖交磁束を前記q軸鎖交磁束マップから取得する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記電流ベクトルの振幅及び前記位相に基づいて前記モータのq軸インダクタンスを演算するq軸インダクタンス演算部と、
    前記電流ベクトルの振幅及び前記位相に基づいて前記モータのd軸インダクタンスを演算するd軸インダクタンス演算部と、
    を有し、
    前記d軸PI制御部は、前記d軸インダクタンスを用いて、前記d軸電流追従指令値を求めるためのPI制御における比例ゲインを演算し、
    前記q軸PI制御部は、前記q軸インダクタンスを用いて、前記q軸電流追従指令値を求めるためのPI制御における比例ゲインを演算する、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
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