JP2021134345A - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 剛性が高く、低温衝撃性、耐屈曲疲労性に優れる熱可塑性エラストマー樹脂組成物を提供する。【解決手段】 主として結晶性芳香族ポリエステルからなる高融点結晶性重合体セグメント(a1)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)50〜95重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)5〜50重量%を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。
ポリブチレンテレフタレート単位のような結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール単位及び/又はポリラクトン単位のような脂肪族ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体(熱可塑性ポリエステルエラストマー)は、強度、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などの機械的性質や、低温、高温特性や、耐油性、耐薬品性などの多くの特性に優れる材料であることから、自動車、電気・電子部品、消費材などの分野に広く使用されており、具体的な例では、等速ジョイント駆動装置のカバーブーツ、エアーダクト、フューエルチューブなどに使用されている。
このようなポリエステルブロック共重合体の特性改善等を目的として、ポリエステルエラストマーを含む樹脂組成物も開発されている。例えば、傷つき防止性を改善したポリエステルエラストマー、芳香族ポリカーボネート樹脂、摺動性付与剤からなる熱可塑性樹脂組成物(特許文献1参照)、柔軟性、耐衝撃性、流動性を改善したポリエステルエラストマー、ポリブチレンテレフタレート樹脂、エポキシ化変性ブロック共重合体からなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(特許文献2参照)、成形性、流動性、透明性、耐衝撃性を改善したポリカーボネート樹脂、ポリエステルエラストマーからなるポリカーボネート樹脂組成物(特許文献3参照)、柔軟性、成形性、耐汚れ付着性が改善したポリブチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリエステルエラストマー、シリコーン化合物、カルボジイミド化合物からなるポリエステル樹脂組成物(特許文献4参照)、耐薬品性を改善したスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステルエラストマーからなる熱可塑性樹脂組成物(特許文献5参照)、機械特性、流動性、成形性を改善したポリエステルポリエステルエラストマー、芳香族ポリカーボネート樹脂、赤燐からなる難燃性ポリエステル系樹脂組成物(特許文献6参照)が提案されている。
特開平10−204277号公報 特開平11−140289号公報 特開2006−299164号公報 特開2016−108378号公報 特開2000−302929号公報 特開2000−319492号公報
しかし、これらの従来技術では、それぞれ個々の特性は優れるものの、高い剛性で、かつ高い低温衝撃性と耐屈曲疲労性の全てを兼ね備えていないことから実用に耐えないという問題があった。
本発明は上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
従って、本発明の目的は、高い剛性で、かつ低温衝撃性、耐屈曲疲労性に優れた熱可塑性エラストマーを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、ポリエーテルエステルブロック共重合体にポリブチレンテレフタレート樹脂および非結晶性樹脂を配合することにより、上記の目的が効果的に達成されることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、主として結晶性芳香族ポリエステルからなる高融点結晶性重合体セグメント(a1)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)50〜95重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)5〜50重量%を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物が提供される。
本発明は、高い剛性で、かつ低温衝撃性、耐屈曲疲労性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a1)は、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。
主として芳香族ジカルボン酸を用いるが、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4'−ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物などももちろん同等に用い得る。
ジオールとしては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールもエステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩等の形でも用い得る。
これらのジカルボン酸およびその誘導体またはジオール成分を2種以上併用してもよい。
ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a1)は、より好ましくは、ポリブチレンテレフタレート単位、またはポリブチレンテレフタレート単位とポリブチレンイソフタレート単位とからなる。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(a2)は、脂肪族ポリエーテルであり、脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。異なる組成のポリエーテルエステルブロック共重合体を二種類以上併用してもよい。
ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(a2)は、好ましくは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールであり、単独で用いても、複数混合して使用してもよい。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(a2)の共重合量は、好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは25〜65重量%である。特に20重量%以下では低温の衝撃性が不足し、70重量%以上では剛性が不足して好ましくない。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)は、公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、あるいはジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、またはあらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法、高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントを鎖連結剤でつなぐ方法など、いずれの方法をとってもよい。
本発明に用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂(B)は、テレフタル酸あるいはそのエステル形成誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成誘導体とを主成分とし、重縮合反応させる等の通常の重合方法により得られる重合体であって、特性を損なわない範囲、例えば20重量部程度以下、他の共重合成分を含んでもよい。
これら重合体および共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチル(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレートセバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられ、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂(B)は、溶融混錬が可能であれば特に限定されない。
本発明で用いられる非結晶性樹脂(C)は、一般にガラス様の性質をもち、加熱した際に明確な融点を示さず、ガラス転移温度を示すだけである。
非結晶性樹脂の例として、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート、ポリサルフホン、ポリエーテルサルホン、スチレン系樹脂、非結晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)が挙げられる。この中で、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、非結晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)がポリエーテルエステルブロック共重合体との相溶性の観点から好ましい。
本発明で用いる好ましい非結晶性樹脂(C)としては、ポリカーボネート系樹脂が挙げられ、特に限定されないが、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの反応により得られる。ジヒドロキシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好ましくは芳香族化合物(特にビスフェノール化合物)である。
例えばビスフェノール化合物としては、ビスフェノール類[例えば、ビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン;ビス(ヒドロキシアリール)C4−10シクロアルカン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトンなど]が挙げられる。好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。
本発明で用いる好ましい非結晶性樹脂(C)としては、スチレン系樹脂が挙げられ、特に限定されないが、スチレン構造単位、すなわち芳香族ビニル単位を含有する重合体であれば任意である。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルおよびアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル、必要に応じてメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートなどの他の重合性単量体をグラフト重合して得られるABS樹脂、上記に例示した芳香族ビニルとシアン化ビニルの共重合によるAS樹脂、上記に例示した共役ジエン系ゴムと芳香族ビニルの共重合によるHI(ハイインパクト)−ポリスチレン樹脂、芳香族ビニルからなるポリスチレン樹脂である。
また、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と上記スチレン系樹脂との相溶性を向上させる観点からエポキシ基含有ビニル系共重合体を用いることが望ましい。
上記エポキシ含有スチレン系樹脂のエポキシ基としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルエタクリレートなどが挙げられ、なかでもグリシジルメタクリレートが好ましい。
本発明で用いる好ましい非結晶性樹脂(C)としては、非結晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート(PET)を構成するグリコール成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールに置き換えたコポリエステルである。グリコール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合は、好ましくは25〜35モル%程度である。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)の配合量は5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)と非結晶性樹脂(C)のそれぞれの配合比率は、特に限定されない。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)の配合量が10重量%未満の場合は、剛性が不十分であり、50重量%を超える場合は、低温衝撃性、屈曲疲労性が不十分となる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、ASTM D790に記載された方法に従って温度23℃の条件で測定した曲げ弾性率が400MPa以上であることが好ましく、より好ましくは450MPa以上である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)の配合量が少ないと、ASTM D790に記載された方法に従って温度23℃で測定した曲げ弾性率が400MPa以下となり、剛性が不足するため好ましくない場合がある。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、ASTM D256に記載された方法に従って温度−20℃の条件で測定したノッチ付きアイゾット衝撃強さが150J/mノッチ以上が好ましく、より好ましくは200J/mノッチ以上である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)の配合量が多いと、
ASTM D256に記載された方法に従って温度−20℃で測定したノッチ付きアイゾット衝撃強さが150J/mノッチ以下となり、衝撃性が不足して好ましくない場合がある。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、耐屈曲疲労性が20万回以上であることが好ましく、より好ましくは30万回である。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、ASTM D1238に記載された方法に従って温度250℃で5分加熱後、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR)が15g/10分以下であり、より好ましくは13g/10分以下である。ASTM D1238に記載された方法に従って温度250℃で5分加熱後、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR)が15g/10分以上では、耐屈曲疲労性が劣り好ましくない場合がある。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などを添加することができる。
特に、安定剤(D)としては、ポリカーボネート系樹脂を配合する場合は、ポリエステルエーテルブロック共重合体(A)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)とポリカーボネート系樹脂の溶融混合時のエステル交換反応を抑制する目的で酸性リン酸エステル等を添加するのが好ましい場合がある。
好適な酸性リン酸エステルの具体例としては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルであればよく、例えばモノ/ジメチルホスフェート、モノ/ジエチルホスヘート、モノ/ジn−ブチルホスフェート、モノ/ジオクチルホスフェート、モノ/ジオクタデシルホスフェート、モノ/ジフェニルホスフェート、モノ/ジオクチルホスフェート、などが挙げられる。また、他の安定剤としては、ポリエステルエーテルブロック共重合体(A)、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂を溶融混合した時の溶融粘度の低下を抑制する目的でカルボジイミド化合物等を添加するのが好ましい場合がある。
好適なカルボジイミド化合物の具体例としては、カルボジイミド基に脂肪族基が結合した脂肪族カルボジイミド化合物、カルボジイミド基に脂環族基が結合した脂環族カルボジイミド化合物およびカルボジイミド基に芳香族基が結合した芳香族カルボジイミド化合物等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、好ましくは、押出成形、射出成形で成形体とすることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法については、例えば、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)を一緒に配合した原料をスクリュー式押出機に供給し溶融混練する方法、またスクリュー押出機に、まずポリエーテルエステルブロック共重合体(A)を供給し、さらに他の供給口よりポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)を供給混錬する方法など適宜採用することができる。
なお、特に溶融混練する際に、押出機シリンダー部のベント口から真空脱気処理を行うこと、および樹脂組成物を80℃〜140℃の実質的に固相重合が起こらない温度で脱気処理を行うことが好ましい。
[用途及び成形体]
本発明には、前期熱可塑性エラストマー樹脂組成物を含む成形体も含有する。
成形体は、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物を成形することにより得ることができ、特に限定されないが、押出成形、射出成形いずれでも好ましい。
成形体の形状は、特に限定されず、成形方法などに応じて選択でき、例えば、一次元的形態(例えば、線状、棒状等)、二次元的形態(例えば、シート状、フィルム状等)、三次元的形態(例えば、凹部、凸部、凹凸部を有する形態等)等いずれであってもより。
成形体は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物のみの成形体であってもよいし、熱可塑性エラストマー樹脂組成物で形成された部材(以下、単に「部材1」ということがある)と、他樹脂(G)で形成された部材(以下、単に「部材2」ということがある)とが接着(又は接合)した複合成形体であってもよい。複合成形体において、部材1と部材2は、接着剤層を介することなく直接接着されていてもよい。
成形体としては、特に限定されないが、例えば、自動車、電子機器、電気機器、精密機器、一般消費材(又はこれら部品)が挙げられる。
特に、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物によれば、複雑な形状や流動長の長い形状の成形品であっても、効率良く製造しうる。
このような観点から、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物はカバーブーツ(例えば、自動車の等速ジョイント駆動装置のカバーブーツ)、エアーダクト、フューエルチューブ、ヒンジ(ヒンジ部品)などを製造するための樹脂組成物などとして好適に使用してもよい。
以下に、実施例によって本発明の効果を説明する。また例中に示される物性は次のように測定した。
[表面硬さ(デュロメーターD)]
JIS K7215に記載された方法に従って、23℃で測定した。
[溶融粘度指数(MFR)]
ASTM D1238に記載された方法に従って、温度250℃で滞留時間5分後、荷重2160gの条件で測定した。
[機械的特性(引張破断強度、引張破断伸び,曲げ強さ、曲げ弾性率)]
射出成形で得られたダンベル試験片を用い、JIS K7113に記載された方法に従って、23℃における引張破断強度、引張破断伸びを測定した。射出成形で得られた曲げ試験片を用い、ASTM D790に記載された方法に従って、23℃における曲げ強さ、曲げ弾性率を測定した。
[アイゾット衝撃強さ]
射出成形で得られたアイゾット衝撃試験片を用い、ASTM D256に記載された方法に従って、−20℃におけるアイゾット衝撃強さを測定した。
[耐屈曲疲労性]
射出成形で得られた縦75mm×横125mm×厚み2mmの角板から、縦75mm×横20mm×厚み2mmの短冊を切り出し、東洋精機製作所製ディマッチャ屈曲疲労試験機を用いて80℃の雰囲気下にて、チャック間距離25mmから5mmの間を300回/分のサイクルでストロークさせて、亀裂が発生するまでの屈曲回数を測定した。
[参考例]
[ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)]
[ポリエステルエラストマー(A1)]
テレフタル酸42部、1,4−ブタンジオール41部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール52部を、チタンテトラブトキシド0.03部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.01部と共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、200〜235℃で3時間加熱し、反応水を系外に流出させながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.15部を追添加し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギー社製、「イルガノックス1098」)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで、50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行った。
得られたポリマーを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。得られたペレットを、回転可能な反応容器に仕込み、系内の圧力を27Paの減圧とし、170〜180℃で約50時間回転させながら加熱して固相重合を行い、ポリエステルエラストマー(A1)(ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)=48/52)を得た。得られたポリエステルエラストマー(A1)のMFRは4.4g/10分であった。
[ポリエステルエラストマー(A2)]
テレフタル酸51部、1,4−ブタンジオール39部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール48部を、チタンテトラブトキシド0.04部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.02部と共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱し、反応水を系外に流出させながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.2部を追添加し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギー社製「イルガノックス1098」)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで、50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行った。
得られたポリマーを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。
得られたペレットを、回転可能な反応容器に仕込み、系内の圧力を27Paの減圧とし、170〜180℃で約25時間回転させながら加熱して固相重合を行い、ポリエステルエラストマー(A2)(ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)=50/40)を得た。得られたポリエステルエラストマー(A2)のMFRは3.0g/10分であった。
[ポリエステルエラストマー(A3)]
テレフタル酸51部、1,4−ブタンジオール44部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール39部を、チタンテトラブトキシド0.04部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキサイド0.02部と共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱し、反応水を系外に流出させながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.2部を追添加し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギー社製「イルガノックス1098」)0.05部を添加した後、245℃に昇温し、次いで、50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行った。
得られたポリマーを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。
得られたペレットを、回転可能な反応容器に仕込み、系内の圧力を27Paの減圧とし、170〜180℃で約25時間回転させながら加熱して固相重合を行い、ポリエステルエラストマー(A3)(ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)=60/40)を得た。得られたポリエステルエラストマー(A3)のMFRは3.9g/10分であった。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)]
東レ(株)製“トレコン”1401X06。
[非結晶性樹脂(C)]
(C1)ポリカーボネート系樹脂
三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“IUPILON”H−3000。
(C2)スチレン系樹脂
AS樹脂。アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体。スチレンとアクリロニトリル、グリシジルメタクリレートを懸濁重合してビーズ状の変性ビニル系共重合体を調製した。アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体各成分の重量比は23.9/75.8/0.3重量%であり、還元粘度が0.49である。
(C3)非結晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体
イーストマンケミカルケミカル社製“Eastar”CopolyesterGN071
[安定剤(D)]
(D1)エステル交換防止剤
(株)ADEKA製“アデカスタブ”AX−71。
(D2)溶融粘度安定剤
日清紡ケミカル(株)製“カルボジライト”HMV−15CA。
[実施例1]
参考例で得られたポリエーテルエステルブロック共重合体(A1)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)、非結晶性樹脂としてポリカーボネート樹脂(C1)、安定剤として(株)ADEKA製“アデカスタブ”AX−71(D1)を、表1に示す配合比率(重量比率)でドライブレンドした。ドライブレンドした配合物を、26mmφのシリンダー径を有する二軸押出機を用い、シリンダー吐出口に近い部分の一箇所のベント口から真空脱気処理をしながら、250℃で溶融混練した後、ペレット化した。
得られたペレットを棚段式熱風乾燥機に仕込み、80℃で3時間の乾燥を施して、熱可塑性エラストマー組成物を得、各種特性を評価した。
得られた熱可塑性エラストマー樹脂組成物を、260℃に設定したインラインスクリュー型射出成型機を用いて、50℃の金型温度(金型キャビティー表面)において、JIS2号ダンベル試験片、曲げ試験片、アイゾット試験片と、縦75mm×横125mm×厚み2mmの角板成形品を射出成形した。得られた射出成形品を用いて各種特性を評価した結果を表1に示す。
[実施例2〜10]
表1に示す配合比率で、ポリエステルエーテルブロック共重合体(A)として(A1)、(A2)、(A3)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)、非結晶性樹脂(C)として(C1)、(C2)、(C3)、安定剤(D)として(D1)、(D2)を使用して、実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー樹脂組成物、射出成形品を得て、各種特性を評価した。組成および特性をまとめて表1に示す。
[比較例1〜7]
各成分を表2に示す配合比率でドライブレンドし、実施例1〜10と同様にペレット化、射出成形し、得られた射出成形品を用いて、実施例1〜10と同様に各種特性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2021134345
Figure 2021134345
以上の結果から、本発明熱可塑性エラストマー樹脂組成物である実施例1〜10は、剛性が高く、かつ低温衝撃性、耐屈曲疲労性に優れた材料である。
それに対して、比較例1、比較例2、比較例3、比較例5は、低温の衝撃性は良好であるが、剛性が低く好ましくない。比較例4、比較例6は剛性が高いものの、低温衝撃性が低く好ましくない。比較例6は耐久曲疲労性も低い。比較例7は剛性が高く、低温の衝撃性はやや良好であるが、耐久曲疲労性が低い。

Claims (6)

  1. 主として結晶性芳香族ポリエステルからなる高融点結晶性重合体セグメント(a1)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)50〜95重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂(B)および非結晶性樹脂(C)5〜50重量%を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  2. 前記ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a1)が、ポリブチレンテレフタレート単位、またはポリブチレンテレフタレート単位とポリブチレンイソフタレート単位とからなる請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  3. 前記ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(a2)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールから選ばれた少なくとも一種である請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  4. 前記ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の主として結晶性芳香族ポリエステルからなる高融点結晶性重合体セグメントと、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメントのハードセグメントとソフトセグメントとの割合が、ハードセグメント/ソフトセグメント(質量比)=80/20〜40/60である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  5. ASMT D790に従って、温度23℃の条件で測定した曲げ弾性率が400MPa以上、かつASTM D256に従って、−20℃の条件で測定したノッチ付きアイゾット衝撃強さが200J/mノッチ以上である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  6. ASTM D1238に従って、温度250℃、荷重2160g、滞留時間5分の条件で測定したMFRが15g/10分以下である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
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