JP2021134275A - 有機溶剤、混合溶液及びポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

有機溶剤、混合溶液及びポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性の高いポリアミド酸の溶液を調製でき、しかも、そのポリアミド酸の溶液を用いてポリイミドフィルムを得たときに、そのフィルムの視認性を向上させることができる有機溶剤を提供する。また、この有機溶剤を用いることで、ヘイズの上昇を抑えて視認性に優れたポリイミドフィルムを得ることができるポリイミドフィルムの製造方法を提供する。【解決手段】1気圧下での沸点が200℃以下である非プロトン性極性溶剤と水とを含有し、ガスクロマトグラフィーにより測定される非プロトン性極性溶剤の含有量が50%以上であり、カールフィッシャー法により測定される水の含有量が40〜500ppmである有機溶剤であり、また、この有機溶剤とテトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分とを含有した混合溶液を用いてポリイミドフィルムを得るポリイミドフィルムの製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、回路基板などの材料として利用可能なポリイミド又はその前駆体を製造するために有用な有機溶剤、この有機溶剤とテトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分とを含んだ混合溶液、及び、この混合溶液を用いたポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
ポリイミドは、優れた耐熱性、機械特性、電気特性を備えている。このポリイミドを使用したポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)に代表される回路配線基板(単に回路基板ともいう)の基材のほか、種々の用途で幅広く利用されている。
ポリイミドフィルムを製造する方法として、代表的には、テンター法とキャスト法が知られている。このうち、テンター法は、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の溶液を回転ドラムに流延し、ゲルフィルムの状態で回転ドラムから剥離して、テンター炉で加熱して硬化させてポリイミドフィルムとする方法である(例えば特許文献1参照)。また、キャスト法は、銅箔等の任意の支持基材にポリイミド前駆体の溶液を塗布し、熱処理により乾燥及び硬化してポリイミドフィルムを得る方法である(例えば特許文献2参照)。
ポリイミドの調製にあたっては、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて前駆体であるポリアミド酸とする。この状態では有機溶剤に可溶であるが、これを200℃以上の高温で熱処理すると、分子内で脱水閉環が起こり、有機溶剤に不溶のポリイミドとなる。そのため、テンター法やキャスト法のいずれの場合にも有機溶剤を含んだポリイミド前駆体を用いて、これを熱処理してイミド化させる(硬化させる)ことで、ポリイミドを調製する。
ポリイミド前駆体は熱や水に対し不安定な場合が多いが、保存安定性を向上させる観点から、水分含有量を1重量%以下とすることが提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開2000−191806号公報 特開2004−322441号公報 特開2009−263646号公報
本発明は、最終的に得られるポリイミドの化学構造を問わず、保存安定性が高いポリアミド酸の溶液を調製でき、また、そのポリアミド酸の溶液を用いてポリイミドフィルム(又はポリイミド層)を得た場合に、得られるポリイミドフィルム(又はポリイミド層)の視認性を向上させることができる有機溶剤を提供することを目的とする。更には、上記の有機溶剤を用いることで、ヘイズの上昇を抑えて視認性に優れたポリイミドフィルム(又はポリイミド層)を得ることができるポリイミドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、テトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分とを含む混合溶液を形成する有機溶剤に関して、その沸点が、得られるポリイミドフィルムやポリイミド層のヘイズ(Haze)に影響を及ぼすことに着目し、有機溶剤の水分量を適度に制御することによって、ポリイミド前駆体のイミド化温度を高温化することによりイミド化後の溶剤の残存を低減させることができることを見出し、ひいてはヘイズの上昇を抑制し得ることから、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)下記の成分A及びB;
A)1気圧下での沸点が200℃以下である非プロトン性極性溶剤;
B)水;
を含有し、ガスクロマトグラフィーにより測定される前記成分Aの含有量が50%以上であり、カールフィッシャー法により測定される前記成分Bの含有量が40〜500ppmの範囲内であることを特徴とする有機溶剤。
(2)前記成分Aが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載の有機溶剤。
(3)テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を混合し、重合させてポリアミド酸を得るために用いられる溶剤であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機溶剤。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機溶剤と、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を含有する混合溶液。
(5)前記テトラカルボン酸無水物成分及び前記ジアミン成分に由来する全モノマー成分のうち、ビフェニル骨格を有するモノマーを50モル%以上含有することを特徴とする(4)に記載の混合溶液。
(6)前記ジアミン成分が、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を20モル%以上含有することを特徴とする(4)又は(5)に記載の混合溶液。
Figure 2021134275
[一般式(1)において、連結基Zは単結合若しくは−COO−を示し、Yは独立にハロゲン若しくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基若しくはアルケニル基を示し、nは1〜2の整数を示し、p及びqは独立に0〜4の整数を示す。]
(7)下記の工程a〜d;
a)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機溶剤と、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を含有する混合溶液を準備する工程;
b)前記混合溶液中で、前記テトラカルボン酸無水物成分と前記ジアミン成分とを反応させて、ポリアミド酸の溶液を得る工程;
c)基材上に前記ポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥することによって、前記ポリアミド酸の樹脂膜を形成する工程;
d)前記樹脂膜を熱処理し、前記ポリアミド酸をイミド化することによって、ポリイミドフィルムを得る工程;
を備えることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
(8)前記工程cで発生した溶剤蒸気から有機溶剤を回収して、前記混合溶液の有機溶剤として再利用することを特徴とする請求項7に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(9)前記工程aの有機溶剤が、前記工程cで発生した溶剤蒸気を回収する工程を経由して得られたものであることを特徴とする(7)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
本発明の有機溶剤は、例えばポリアミド酸の溶液として適用したときの保存安定性を担保するとともに、ポリアミド酸の低温でのイミド化を抑制し、イミド化後の残存溶剤量を低減することができる。また、本発明の有機溶剤は特定範囲の沸点を有するとともに水分量が制御されているので、ポリイミドフィルムの物性を低下させずにポリイミドフィルムを製造することができる。更に、使用済みの有機溶剤を繰り返し再利用することが可能であるので、製造コストを大幅に削減でき、環境面でも優れており、例えばロール・トウ・ロール方式などの連続生産において高い歩留まりでの製造が可能であり、工業的に利用価値が高い。金属張積層板を製造するにあたってポリイミド層のヘイズの上昇を抑制することができるので、例えばFPCの実装工程等でポリイミド層に光を透過させた際の拡散を抑制し、カメラで認識できるポリイミド層とすることができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
[有機溶剤]
本実施の形態の有機溶剤は、下記の成分A及びB;
A)1気圧下での沸点が200℃以下である非プロトン性極性溶剤;
B)水;
を含有する。
<成分A>
成分Aは、1気圧下での沸点が200℃以下の非プロトン性極性溶剤であるが、水との相溶性と含水量の制御のしやすさから、沸点の下限値が120℃以上であるものが好ましい。沸点が200℃以下であれば、例えばポリアミド酸をイミド化する過程で系外へ放出されやすく、イミド化後のポリイミドフィルムに含まれる非プロトン性極性溶剤の含有量を低減することができる。非プロトン性極性溶剤の残存量は、ポリアミド酸のイミド化の割合と密接な関係があり、非プロトン性極性溶剤の割合がイミド化の割合に対して多いと、非プロトン性極性溶剤が可塑剤として機能し、分子鎖の再コンフォメーション化が起こることで、フィルム化したときのヘイズが上昇すると考えられる。従って、沸点が200℃を超える非プロトン性極性溶剤はイミド化の際に残存しやすく、ヘイズが高くなるので、非プロトン性極性溶剤の沸点を200℃以下とし、ヘイズの上昇を抑制する。
成分Aである非プロトン性極性溶剤の具体例としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(沸点;153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点;166℃)、ジメチルスルホキシド(沸点;189℃)、N,N−ジエチルアセトアミド(沸点;168℃)、2−ブタノン(沸点;79℃)、N−メチルカプロラクタム(沸点;106℃)、シクロヘキサノン(沸点;155℃)、ジオキサン(沸点;101℃)、テトラヒドロフラン(沸点;66℃)、ジグライム(沸点;162℃)等が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド酸の樹脂膜の物性制御のしやすさの観点から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、N,N−ジメチルアセトアミドがより好ましい。
非プロトン性極性溶剤は本発明に係る有機溶剤の主成分として含有し、ガスクロマトグラフィーにより測定される濃度が50%以上である。水分量の制御のしやすさの観点から、好ましくは99%以上、より好ましくは99.5%以上、更に好ましくは99.99%以上であるのがよい。なお、ここでの濃度を示す%は、特に断りのない限り重量%を表す。
本発明の有機溶剤では、成分A以外の溶剤を含むようにしてもよい。このような成分A以外の溶剤として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、硫酸ジメチル、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶剤が2種以上混合していてもよく、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素が混合していてもよい。
<成分B>
本発明の有機溶剤において、成分Bの水は、カールフィッシャー法により測定される含有量が40〜500ppmの範囲内であり、好ましくは40〜450ppmの範囲内、より好ましくは40〜400ppmの範囲内がよい。このような範囲内に制御することで、例えばポリアミド酸をイミド化する過程で、ポリアミド酸の加水分解が生じにくくなり、またポリアミド酸のアミド基に配位可能な水分子が存在することで、ポリアミド酸の低温での閉環反応が阻害されやすくなるので、結果としてイミド化温度を高くすることができると考えられる。このため、ポリアミド酸のイミド化の進行に伴って非プロトン性極性溶剤の残存量を低減でき、フィルム化したときのヘイズの上昇を抑制できると考えられる。
本実施の形態の有機溶剤は、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を混合し、重合させてポリアミド酸を得るために用いられる溶剤として好適に使用され、ポリアミド酸をイミド化してポリイミドとなす。すなわち、本発明に係る有機溶剤と、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分とを含有して、混合溶液を形成し、このような実施の形態の有機溶剤は、テトラカルボン酸無水物成分から誘導されるテトラカルボン酸無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基なる全モノマー残基に対し、ビフェニル骨格を有するモノマー残基(以下、「ビフェニル骨格含有残基」と記すことがある)の割合が高いポリイミドからなるポリイミド層を有するポリイミドフィルムの製造に好適に使用できる。
なかでも、テトラカルボン酸無水物成分及びジアミン成分に由来する全モノマー成分のうち、ビフェニル骨格を有するモノマーを40モル%以上含有するのが好ましく、50モル%以上含有するのがより好ましい。すなわち、ポリイミドを構成する全モノマー成分から誘導される全モノマー残基に対し、ビフェニル骨格含有残基の割合が好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上がよい。ここで、「酸無水物残基」とは、テトラカルボン酸無水物から誘導された4価の基を意味し、「ジアミン残基」とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基を意味する。
ビフェニル骨格含有残基の割合が高いポリイミドは秩序構造を形成しやすく、このようなポリイミドからなるポリイミド層を有するポリイミドフィルムはヘイズが上昇しやすく、視認性が低下しやすい。また、ポリアミド酸をイミド化する工程における非プロトン性極性溶剤の残存量が多いほど秩序構造が形成されやすいと考えられる。この理由として、非プロトン性極性溶剤が可塑剤として機能し、ビフェニル骨格部分の再コンフォメーション化が起こることが影響しているものと推察する。このため、イミド化後の非プロトン性極性溶剤の残存量を制御することは、ポリイミドフィルムのヘイズを制御するうえで重要である。
ビフェニル骨格含有残基の割合が高いポリイミドからなるポリイミド層は、例えば金属張積層板を製造するにあたってのポリイミド層において、主たる層としてポリイミドフィルムを構成することが好ましい。ここで、「主たる」とは、ポリイミドフィルムを構成する複数のポリイミド層において最も大きな厚みを有することを意味し、好ましくは、ポリイミドフィルムの全厚みに対して50%以上、より好ましくは60%以上の厚みを有することをいう。
また、ビフェニル骨格とは、下記の式(a)に示すように、2つのフェニル基が単結合した骨格である。従って、ビフェニル骨格含有残基とは、例えば、ビフェニルジイル基、ビフェニルテトライル基などを挙げることができる。これらの残基に含まれる芳香環は、任意の置換基を有していてもよい。
ビフェニルジイル基の代表例としては、下記の式(b)で表されるものを挙げることができる。ビフェニルテトライル基の代表例としては、下記の式(c)で表されるものを挙げることができる。なお、ビフェニルジイル基及びビフェニルテトライル基において、芳香環における結合手は、式(b)及び式(c)に示す位置に限定されるものではなく、また、上記のとおり、これらの残基に含まれる芳香環は、任意の置換基を有していてもよい。
Figure 2021134275
ビフェニル骨格含有残基は、原料モノマーに由来する構造であり、テトラカルボン酸無水物から誘導されるものでもよいし、ジアミン化合物から誘導されるものでもよく、両者からビフェニル骨格含有残基が誘導されてもよい。
ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が好ましく挙げられる。
Figure 2021134275
一般式(1)において、連結基Zは単結合若しくは−COO−を示し、Yは独立にハロゲン若しくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基若しくはアルケニル基を示し、nは1〜2の整数を示し、p及びqは独立に0〜4の整数を示す。ここで、「独立に」とは、上記式(1)において、複数の置換基Y、整数p、qが同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基(以下、「ジアミン残基(1)」と記すことがある)は、秩序構造を形成しやすく、寸法安定性を高めるができる。このような観点から、ジアミン残基(1)は、ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、20モル部以上、好ましくは70〜99モル部の範囲内、より好ましくは80〜99モル部の範囲内で含有することがよい。
ジアミン残基(1)の好ましい具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EOB)、2,2’−ジプロポキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−POB)、2,2’−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。これらの中でも特に、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)は、秩序構造を形成しやすいので特に好ましい。
また、ポリイミドフィルムの弾性率を下げ、伸度及び折り曲げ耐性等を向上させるため、ポリイミドが、下記の一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミン残基を含むことが好ましい。
Figure 2021134275
上記式(2)及び式(3)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立にハロゲン原子あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基若しくはアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルケニル基を示し、Xは独立に−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、X及びXはそれぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH)−、−CO−、−COO−、−SO−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びXの両方が単結合である場合を除くものとし、j、k、l及びmは独立に0〜4の整数を示す。
なお、「独立に」とは、上記式(2)、(3)の内の一つにおいて、または両方において、複数の連結基X、連結基XとX、複数の置換基R、R、R、R、さらに、整数j、k、l、mが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基は、屈曲性の部位を有するので、ポリイミドに柔軟性を付与することができる。ここで、一般式(3)で表されるジアミン残基は、ベンゼン環が4個であるので、熱膨張係数(CTE)の増加を抑制するために、ベンゼン環に結合する末端基はパラ位とすることが好ましい。また、ポリイミドに柔軟性を付与しながら熱膨張係数(CTE)の増加を抑制する観点から、一般式(2)及び(3)で表されるジアミン残基は、ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは2〜30モル部の範囲内で含有することがよい。
一般式(2)で表されるジアミン残基は、m、n及びoの一つ以上が0であるものが好ましく、また、基R、R及びRの好ましい例としては、炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数2〜3のアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(2)において、連結基Xの好ましい例としては、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−SO−又は−CO−を挙げることができる。一般式(2)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(DTBAB)、4,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BAPK)、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
一般式(3)で表されるジアミン残基は、m、n、o及びの一つ以上が0であるものが好ましく、また、基R、R、R及びRの好ましい例としては、炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基、又は炭素数2〜3のアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(3)において、連結基X及びXの好ましい例としては、単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−SO−又は−CO−を挙げることができる。但し、屈曲部位を付与する観点から、連結基X及びXの両方が単結合である場合を除くものとする。一般式(3)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアミン残基の中でも、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)から誘導されるジアミン残基(「TPE−R残基」と記すことがある)が特に好ましく、一般式(3)で表されるジアミン残基の中でも、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)から誘導されるジアミン残基(「BAPP残基」と記すことがある)が特に好ましい。TPE−R残基及びBAPP残基は、屈曲性の部位を有するので、ポリイミドフィルムの弾性率を低下させ、柔軟性を付与することができる。また、BAPP残基は分子量が大きいため、ポリイミドのイミド基濃度を下げ、ポリイミドフィルムの吸湿を抑制する効果も期待できる。
ポリイミドに含まれる他のジアミン残基としては、例えば、m‐フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(4,4'-DAPE)、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等の芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、特に制限はないが、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、PMDA残基ともいう。)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、BPDA残基ともいう。)が好ましく挙げられる。これらのテトラカルボン酸残基は、秩序構造を形成しやすい。また、PMDA残基は、熱膨張係数の制御とガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。更に、BPDA残基は、テトラカルボン酸残基の中でも極性基がなく比較的分子量が大きいため、ポリイミドのイミド基濃度を下げ、ポリイミドフィルムの吸湿を抑制する効果も期待できる。このような観点から、PMDA残基及び/又はBPDA残基の合計量が、ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは50モル部以上、より好ましくは50〜100モル部の範囲内、最も好ましくは70〜100モル部の範囲内であることがよい。
ポリイミドに含まれる他のテトラカルボン酸残基としては、例えば、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、貯蔵弾性率、引張弾性率等を制御することができる。また、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、面内のばらつきを抑制する観点から、ランダムに存在することが好ましい。
[ポリイミドフィルムの製造方法]
本実施の形態のポリイミドフィルムの製造方法は、下記の工程a〜d;
a)本発明に係る有機溶剤と、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を含有する混合溶液を準備する工程と、
b)前記混合溶液中で、前記テトラカルボン酸無水物成分と前記ジアミン成分とを反応させて、ポリアミド酸の溶液を得る工程と、
c)基材上に前記ポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥することによって、前記ポリアミド酸の樹脂膜を形成する工程と、
d)前記樹脂膜を熱処理し、前記ポリアミド酸をイミド化することによって、ポリイミドフィルムを得る工程と、
を備えることができる。
<工程a>
工程aで使用する有機溶剤は、前記成分A及びBを含有するものである。
<工程b>
工程bでは、例えばテトラカルボン酸無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶剤に溶解して、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させて、ポリアミド酸の溶液を得る。反応にあたっては、生成するポリアミド酸が溶媒中に5〜30質量%の範囲内、好ましくは10〜20質量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。
ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps〜100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。
<工程c及び工程d>
工程bで得られたポリアミド酸の溶液を基材上に塗布し、その後の熱処理で乾燥及びイミド化(又は硬化)される。熱処理の方法は、一般的には、例えば80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。その際、ポリアミド酸のイミド化を進行させるためには、溶解又は混和する有機溶剤を蒸発させる熱処理と、ポリアミド酸に配位した有機溶剤を系外へ放出させる熱処理とが必要となる。
工程cでポリアミド酸の樹脂膜を形成した後、基材上でイミド化してもよいし、基材から樹脂膜を剥がし、イミド化してもよい。また、ポリイミドフィルムが、複数層のポリイミド層からなるポリイミドフィルムである場合、その製造方法の態様としては、例えば基材上に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法(以下、キャスト法)、多層押出により、同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などが挙げられる。
ポリイミドフィルムが単層又は複数層のいずれの場合であっても、基材上でポリアミド酸のイミド化を完結させることが好ましい。ポリアミド酸の樹脂膜が基材に固定された状態でイミド化されるので、イミド化過程におけるポリイミド層の伸縮変化を抑制して、ポリイミドフィルムの厚みや寸法精度を維持することができる。
<基材>
工程cで使用される基材については、ポリイミドフィルム(又はポリイミド層)を補強する目的と、ポリイミドフィルムの伸縮変化を抑制して、寸法精度を維持する目的で使用されるものである。また、基材は、ポリアミド酸の溶液が塗布される対象となり、カットシート状、ロール状又はエンドレスベルト状などの形状を使用できる。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、ポリイミドフィルムの寸法精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、支持基材は長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
基材の材質としては、金属、セラミックス、樹脂、炭素など耐熱性があるものが挙げられるが、熱伝導性や柔軟性の観点から、金属が好ましい。従って、基材としては、金属のフィルム、例えば銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔、鉄箔、銀箔、金箔、亜鉛箔、インジウム箔、スズ箔、ジルコニウム箔、タンタル箔、チタン箔、コバルト箔及びこれら合金箔が挙げられる。ポリイミドフィルムを回路配線基板の絶縁層として適用し、また基材を回路配線基板の配線層として適用する場合には、基材は、銅箔又は銅合金箔が好ましい。また、ポリイミドフィルムを基材から剥離して使用する場合には、基材としては、平滑なステンレスベルトやステンレスドラムなどが好適に使用可能である。
基材としての金属箔の厚みは、例えば5〜35μmの範囲内が好ましく、9〜18μmの範囲内がより好ましい。金属箔が35μmより厚いと、ポリイミド層及び金属箔層からなる積層体としての屈曲性や折り曲げ性が悪くなる。一方、金属箔が5μmより薄いと、積層体としての製造工程において、張力等の調整が困難となり、皺等の不良が発生し易くなる。また、これらの金属箔は、接着力等の向上を目的として、その表面に化学的あるいは機械的な表面処理を施してもよく、防錆を目的とする化学的な表面処理を施してもよい。
<有機溶剤の回収・再利用>
工程cで発生した溶剤蒸気から有機溶剤を回収する工程を有することが好ましい。有機溶剤の回収は、ポリアミド酸の溶液を塗布した後の乾燥によって発生した溶剤蒸気から有機溶剤を回収することによって行うが、工程dの熱処理工程で発生した溶剤蒸気からも有機溶剤を回収してもよい。このように回収した溶剤は、工程aの有機溶剤として再利用する。
溶剤蒸気を回収・再利用する方法としては、特に制限されることはないが、例えば冷却法、活性炭・ゼオライト等の固体吸着剤を使用する吸着法、液体状難揮発性溶剤を使用する吸着法、水を使用する吸収法などが挙げられる。また、一般的な溶剤回収装置を使用することができ、例えば多重効用蒸気式溶剤回収装置、ヒートポンプ式溶剤回収装置、ヒートポンプ式多重効用型濃縮装置、蒸発濃縮装置などが挙げられる。
溶剤蒸気は、親水性であり水に溶解しやすく、水よりも高沸点であり水の蒸気圧より小さいので水より蒸発しやすく、水と共沸点を有しないという観点から、溶剤蒸気から溶剤を回収する工程は溶剤蒸気に含まれる水溶性物質を水に溶解させる工程を含むことが好ましい。回収液は、外部から供給される熱エネルギーによって、蒸気圧が高い水を蒸発させ、回収液を濃縮することができる。熱エネルギーは、溶剤蒸気の熱を利用することが好ましいが、溶剤蒸気が低温の場合は、加熱器等による熱を利用してもよい。濃縮した回収液は、必要に応じ、酸処理やアルカリ処理、活性炭処理などを行ってもよい。
また、濃縮した回収液は、例えば蒸留等の精製によって、工程aでの原料の有機溶剤として再生し、再利用することができる。
再利用した溶剤を含む有機溶剤を使用する場合、原料となる有機溶剤の50体積%以上が再利用の溶剤であることが好ましい。原料となる有機溶剤に占める再利用の溶剤の割合は50体積%以上とすることで、コストメリットが増大する。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[水分量の評価]
再生溶剤の水分量は、カールフィッシャー水分測定装置(微量水分測定装置AQ−300、平沼産業社製)を用いて測定を行った。
[溶剤純度の測定]
ガスクロマトグラフ(カラム:G−100)を用い、溶剤純度を測定した。得られた全ピーク面積における溶剤の主ピーク面積の割合を百分率で表した値である。
[粘度の測定]
E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[銅箔の表面粗度の測定]
銅箔の表面粗度は、AFM(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名;Dimension Icon型SPM)、プローブ(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名;TESPA(NCHV)、先端曲率半径10nm、ばね定数42N/m)を用いて、タッピングモードで、銅箔表面の80μm×80μmの範囲で測定し、十点平均粗さ(Rzjis)を求めた。
[ヘイズ(HAZE)の評価]
ヘイズ測定装置(濁度計:日本電色工業社製、商品名;NDH5000)を用い、5cm×5cmのサイズのポリイミドフィルムについて、ASTM D 1003に記載の測定方法により行った。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm(塗工幅方向)×20mm(塗工長さ方向)のサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から260℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
実施例及び参考例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE−Q:1,4-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
ビスアニリン-P:1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(三井化学ファイン社製、商品名;ビスアニリン-P)
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
[合成例1]
反応槽に14.20質量部のm−TB(0.067モル部)及び3.45質量部のTPE−Q(0.012モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量の新規品のDMAc(含水率10 wt ppm、純度99.9%以上)を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、12.66質量部のPMDA(0.058モル部)及び5.69質量部のBPDA(0.019モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液a-1を得た。ポリアミド酸溶液a-1の粘度は34,900cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は30,100cpsであった。
[合成例2]
反応槽に14.49質量部のm−TB(0.068モル部)、1.11質量部のTPE−Q(0.004モル部)及び1.31質量部のビスアニリン-P(0.004モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量の新規品のDMAc(含水率10 wt ppm、純度99.9%以上)を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、8.13質量部のPMDA(0.037モル部)及び10.97質量部のBPDA(0.037モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液b-1を得た。ポリアミド酸溶液b-1の粘度は35,500cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は32,800cpsであった。
[合成例3]
反応槽に14.20質量部のm−TB(0.067モル部)及び3.45質量部のTPE−Q(0.012モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量の新規品のDMF(含水率15 wt ppm、純度99.9%以上)を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、12.66質量部のPMDA(0.058モル部)及び5.69質量部のBPDA(0.019モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液a-2を得た。ポリアミド酸溶液a-2の粘度は32,700cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は28,900cpsであった。
[合成例4]
反応槽に18.71質量部のBAPP(0.046モル部)並びに重合後の固形分濃度が12重量%となる量の新規品のDMAc(含水率10 wt ppm、純度99.9%以上)を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、10.09質量部のPMDA(0.046モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液c-1を得た。ポリアミド酸溶液c-1の粘度は2,100cpsであった。
[合成例5]
反応槽に18.71質量部のBAPP(0.046モル部)並びに重合後の固形分濃度が12重量%となる量の新規品のDMF(含水率15 wt ppm、純度99.9%以上)を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、10.09質量部のPMDA(0.046モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液c-2を得た。ポリアミド酸溶液c-2の粘度は1,600cpsであった。
[製造例1]
厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例4で調製したポリアミド酸溶液cを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液cの上に合成例1で調整したポリアミド酸溶液a-1を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液a-1の上に合成例4で調整したポリアミド酸溶液cを硬化後厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。この際、ポリアミド酸溶液c-1、ポリアミド酸溶液a-1及びポリアミド酸溶液c-1の塗布、加熱処理に用いた上記工程を第1の熱処理工程とした。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体1得た。得られた銅張積層板A-1について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムA-1を調製した。この多層ポリイミドフィルムA-1のヘイズは75.30%、CTEは21ppm/Kであった。
(溶剤を回収し再生する工程)
このとき第1の熱処理工程で発生した溶剤蒸気は、水と気液接触させて溶解させ溶剤回収液とした後、蒸留により溶剤と水に分離して再生DMAc1を得た。
この際、再生DMAc1の純度は99.99(%)、含水率は41(wt ppm)であった。
[製造例2]
厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例4で調製したポリアミド酸溶液c-1を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液cの上に合成例2で調整したポリアミド酸溶液b-1を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液b-1の上に合成例4で調整したポリアミド酸溶液c-1を硬化後厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。この際、ポリアミド酸溶液c-1、ポリアミド酸溶液b-1及びポリアミド酸溶液c-1の塗布、加熱処理に用いた上記工程を第1の熱処理工程とした。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体B-1得た。得られた銅張積層板B-1について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムB-1を調製した。この多層ポリイミドフィルムB-1のヘイズは81.83%、CTEは23ppm/Kであった。
第1の熱処理工程で発生した溶剤蒸気について、製造例1と同様に水と気液接触させて溶解させ溶剤回収液とした後、蒸留により溶剤と水に分離して再生DMAc2を得た。また製造例2と同様の製造を2回行い、その際に第1の熱処理工程で発生した溶剤蒸気について、回収及び水との分離を実施し再生DMAc3、再生DMAc4を得た。
このとき得られた再生DMAcの純度の測定および含水率を実施した結果を表1に示す。
Figure 2021134275
[製造例3]
厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例5で調製したポリアミド酸溶液c-2を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液c-2の上に合成例3で調整したポリアミド酸溶液a-2を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液a-2の上に合成例5で調整したポリアミド酸溶液c-2を硬化後厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。この際、ポリアミド酸溶液c-2、ポリアミド酸溶液a-2及びポリアミド酸溶液c-2の塗布、加熱処理に用いた上記工程を第1の熱処理工程とした。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体A-2得た。得られた銅張積層板A-2について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムA-2を調製した。この多層ポリイミドフィルムA-2のヘイズは72.16%、CTEは20ppm/Kであった。
第1の熱処理工程で発生した溶剤蒸気について、製造例1と同様に水と気液接触させて溶解させ溶剤回収液とした後、蒸留により溶剤と水に分離して再生DMF1を得た。
この際、再生DMF1の純度は99.98(%)、含水率は246(wt ppm)であった。
[製造例4]
厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例4で調製したポリアミド酸溶液c-1を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液c-1の上に合成例3で調整したポリアミド酸溶液a-2を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液a-2の上に合成例4で調整したポリアミド酸溶液c-1を硬化後厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。この際、ポリアミド酸溶液c-1、ポリアミド酸溶液a-2及びポリアミド酸溶液c-1の塗布、加熱処理に用いた上記工程を第1の熱処理工程とした。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体A-3得た。得られた銅張積層板A-3について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムA-3を調製した。この多層ポリイミドフィルムA-3のヘイズは72.52%、CTEは20ppm/Kであった。
第1の熱処理工程で発生した溶剤蒸気について、製造例1と同様に水と気液接触させて溶解させ溶剤回収液とした後、蒸留により溶剤と水に分離して再生DMF/DMAc混合溶液1を得た。
この際、再生DMF/DMAc混合溶液1の純度は99.98(%)、含水率は121(wt ppm)であった。
[実施例1]
反応槽に14.20質量部のm−TB(0.067モル部)及び3.45質量部のTPE−Q(0.012モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量の再生DMAc1を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、12.66質量部のPMDA(0.058モル部)及び5.69質量部のBPDA(0.019モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液a-3を得た。ポリアミド酸溶液a-3の粘度は31,200cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は26,500cpsであった。
次に、厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例4で調製したポリアミド酸溶液c-1を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液c-1の上にポリアミド酸溶液a-3を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液a-3の上に合成例4で調整したポリアミド酸溶液c-1を硬化後厚みが2.5にμmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体A-3得た。得られた銅張積層板A-3について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムA-3を調製した。この多層ポリイミドフィルムA-3のヘイズは71.78%、CTEは21ppm/Kであった。
[実施例2]
使用したDMAcを再生DMAc2に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸溶液a-4、銅張積層板A-4、多層ポリイミドフィルムA-4を得た。
得られたポリアミド酸溶液a-4の粘度は28,700cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は19,100cpsであった。また多層ポリイミドフィルムA-4のヘイズは65.20%、CTEは22ppm/Kであった。
[実施例3]
使用したDMAcを再生DMAc3に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸溶液a-5、銅張積層板A-5、多層ポリイミドフィルムA-5を得た。
得られたポリアミド酸溶液a-5の粘度は26,500cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は15,500cpsであった。また多層ポリイミドフィルムA-5のヘイズは61.71%、CTEは22ppm/Kであった。
[実施例4]
使用したDMAcを再生DMF1に変更したこと、及びポリアミド酸溶液c-1をポリアミド酸溶液c-2に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸溶液a-6、銅張積層板A-6、多層ポリイミドフィルムA-6を得た。
得られたポリアミド酸溶液a-6の粘度は26,100cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は13,700cpsであった。また多層ポリイミドフィルムA-6のヘイズは60.08%、CTEは21ppm/Kであった。
[実施例5]
反応槽に14.49質量部のm−TB(0.068モル部)、1.11質量部のTPE−Q(0.004モル部)及び1.31質量部のビスアニリン-P(0.004モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量の再生DMAc2を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、8.13質量部のPMDA(0.037モル部)及び10.97質量部のBPDA(0.037モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液b-2を得た。ポリアミド酸溶液b-2の粘度は29,900cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は22,500cpsであった。
次に、厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例4で調製したポリアミド酸溶液cを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液cの上にポリアミド酸溶液b-2を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液b-2の上に合成例4で調整したポリアミド酸溶液cを硬化後厚みが2.5にμmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体B-2得た。得られた銅張積層板B-2について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムB-2を調製した。この多層ポリイミドフィルムB-2のヘイズは78.67%、CTEは23ppm/Kであった。
[実施例6]
反応槽に14.49質量部のm−TB(0.068モル部)、1.11質量部のTPE−Q(0.004モル部)及び1.31質量部のビスアニリン-P(0.004モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量の再生DMF/DMAc混合溶液1を投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、8.13質量部のPMDA(0.037モル部)及び10.97質量部のBPDA(0.037モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液a-7を得た。ポリアミド酸溶液a-7の粘度は25,900cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は17,700cpsであった。
次に、厚さ18μmで幅1,080mmの長尺状の圧延銅箔(Rzjis=0.88μm)の片面に合成例4で調製したポリアミド酸溶液c-1を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。次に、乾燥したポリアミド酸溶液c-1の上にポリアミド酸溶液a-7を硬化後厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。更に、乾燥したポリアミド酸溶液a-7の上に合成例4で調整したポリアミド酸溶液c-1を硬化後厚みが2.5にμmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し、溶剤を除去した。その後、160℃から360℃まで昇温してイミド化させる第2の熱処理工程を得て、厚み25μmの多層のポリイミド樹脂層からなる銅張積層体A-7得た。得られた銅張積層板A-7について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、多層ポリイミドフィルムA-7を調製した。この多層ポリイミドフィルムA-7のヘイズは63.87%、CTEは21ppm/Kであった。
[参考例1]
使用したDMAcを再生DMAc4に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド酸溶液a-8、銅張積層板A-7、多層ポリイミドフィルムA-8を得た。
得られたポリアミド酸溶液a-7の粘度は21,900cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は9,100cpsであった。また多層ポリイミドフィルムA-8のヘイズは59.55%、CTEは23ppm/Kであった。
[参考例2]
使用したDMAcを再生DMAc4に変更した以外は、実施例5と同様にしてポリアミド酸溶液b-3、銅張積層板B-3、多層ポリイミドフィルムB-3を得た。
得られたポリアミド酸溶液b-3の粘度は22,100cpsであった。また23℃,50%RHで20日間保存した際の粘度は9,800cpsであった。また多層ポリイミドフィルムB-3のヘイズは72.22%、CTEは24ppm/Kであった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (9)

  1. 下記の成分A及びB;
    A)1気圧下での沸点が200℃以下である非プロトン性極性溶剤;
    B)水;
    を含有し、ガスクロマトグラフィーにより測定される前記成分Aの含有量が50%以上であり、カールフィッシャー法により測定される前記成分Bの含有量が40〜500ppmの範囲内であることを特徴とする有機溶剤。
  2. 前記成分Aが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の有機溶剤。
  3. テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を混合し、重合させてポリアミド酸を得るために用いられる溶剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機溶剤と、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を含有する混合溶液。
  5. 前記テトラカルボン酸無水物成分及び前記ジアミン成分に由来する全モノマー成分のうち、ビフェニル骨格を有するモノマーを50モル%以上含有することを特徴とする請求項4に記載の混合溶液。
  6. 前記ジアミン成分が、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を20モル%以上含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の混合溶液。
    Figure 2021134275
    [一般式(1)において、連結基Zは単結合若しくは−COO−を示し、Yは独立にハロゲン若しくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基若しくはアルケニル基を示し、nは1〜2の整数を示し、p及びqは独立に0〜4の整数を示す。]
  7. 下記の工程a〜d;
    a)請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機溶剤と、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分と、を含有する混合溶液を準備する工程;
    b)前記混合溶液中で、前記テトラカルボン酸無水物成分と前記ジアミン成分とを反応させて、ポリアミド酸の溶液を得る工程;
    c)基材上に前記ポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥することによって、前記ポリアミド酸の樹脂膜を形成する工程;
    d)前記樹脂膜を熱処理し、前記ポリアミド酸をイミド化することによって、ポリイミドフィルムを得る工程;
    を備えることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 前記工程cで発生した溶剤蒸気から有機溶剤を回収して、前記混合溶液の有機溶剤として再利用することを特徴とする請求項7に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  9. 前記工程aの有機溶剤が、前記工程cで発生した溶剤蒸気を回収する工程を経由して得られたものであることを特徴とする請求項7に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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