以下、印刷装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示す印刷装置10は、例えば、大判サイズの長尺の媒体Mに印刷するラージフォーマットプリンターである。また、印刷装置10は、シリアル印刷方式のインクジェットプリンターでもある。印刷装置10は、媒体Mを支持する媒体支持部11と、媒体Mを図1に矢印で示す方向に搬送する搬送装置12と、媒体Mに印刷を行う印刷部13と、媒体支持部11の一部、搬送装置12の一部、及び印刷部13を収容する筐体14とを備える。
以下の説明では、媒体Mの短手方向を幅方向Xとし、印刷部13が印刷を行う位置において媒体Mが搬送される方向を搬送方向Yとする。搬送方向Yは、媒体Mの長手方向でもある。本実施形態において、幅方向X及び搬送方向Yは互いに交差(例えば、直交)する方向であって、何れも鉛直方向Zと交差(例えば、直交)する方向である。また、媒体Mの短手方向の端部について、幅方向Xの第1方向側X1に位置する端部を第1端部M1とし、幅方向Xの第2方向側X2に位置する端部を第2端部M2とする。
図1に示すように、媒体支持部11は、媒体Mの搬送経路を形成する第1支持部11a、第2支持部11b、及び第3支持部11cを有する。第1支持部11aは、印刷部13による印刷が行われる前の媒体Mを支持する。第2支持部11bは、印刷部13によって印刷が行われる媒体Mを支持する。後述するが、第2支持部11bは、媒体Mを支持する支持部材70と、支持部材70に取り付けられる第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79とを有する。第3支持部11cは、印刷部13によって印刷が行われた後の媒体Mを支持する。なお、第1〜第3支持部11a〜11cは、印刷前及び印刷中の媒体Mの予熱加熱、及び印刷後の媒体M上のインクの乾燥を促進させるために不図示のヒーターにより加熱される。
搬送装置12は、媒体Mを給送する給送部21と、給送された媒体Mを搬送方向Yに搬送する搬送部22と、印刷後に第3支持部11cの上面を搬送された媒体Mをロール状に巻き取る巻取部23とを備える。
給送部21は、媒体Mがロール状に巻回されたロール体24rを回転可能に支持する支持軸24aを含む第1保持部24と、給送部21の動力源となる給送モーターM21とを有する。給送モーターM21が駆動されて支持軸24aが回転することで、ロール体24rから長尺状の媒体Mが繰り出される。
搬送部22は、給送部21から給送された媒体Mを挟持(ニップ)して搬送方向Yに搬送するローラー対25と、搬送部22の動力源となる搬送モーターM22とを有する。ローラー対25は、搬送方向Yにおいて後述する液体吐出ヘッド37よりも上流側Y1に配置されている。ローラー対25は、フレーム27に支持された駆動ローラー25aと、駆動ローラー25aの回転に連れ回りして回転する従動ローラー25bとを有する。搬送モーターM22が駆動されて駆動ローラー25aが回転することで、ローラー対25は媒体Mを挟んで搬送する。
また、巻取部23は、巻取軸26aを含む第2保持部26と、巻取部23の動力源となる巻取モーターM23とを有する。印刷後の媒体Mにおける第3支持部11cと巻取部23との間の部分が張力付与部28により押圧されることで、媒体Mに張力が付与される。巻取モーターM23が駆動されて巻取軸26aが回転することで、巻取軸26aには、張力付与部28により張力が付与された媒体Mが巻き取られる。
図2に示すように、印刷部13は、ガイド軸31と、ガイド軸31に支持されたキャリッジ32と、キャリッジ32をガイド軸31の軸線方向に沿って走査する走査機構33とを有する。ガイド軸31は、軸線方向が幅方向Xに沿うように設けられている。よって、キャリッジ32は、幅方向Xに沿って走査される。
走査機構33は、筐体14の内面に回転自在な状態で支持された駆動プーリー34及び従動プーリー35を有する。駆動プーリー34には、キャリッジ32を走査する際の動力源となるキャリッジモーターM32の出力軸が連結されている。また、これら一対のプーリー34,35の間には、一部がキャリッジ32に連結された無端状のタイミングベルト36が掛装されている。そして、キャリッジ32は、キャリッジモーターM32の駆動力によりタイミングベルト36が一方向とその逆方向とに交互に周回移動することで、ガイド軸31にガイドされながら幅方向Xに沿って往復移動する。
図3に示すように、キャリッジ32は、第2支持部11bに支持された媒体Mに向けて液体を吐出する液体吐出ヘッド37を支持する。液体吐出ヘッド37は、液体が吐出されるノズル38を有する。本実施形態の液体吐出ヘッド37は、幅方向Xに並ぶ4つのノズル38を有する。各ノズル38は、鉛直方向Zの下方Z2に向けて開口している。液体吐出ヘッド37においてノズル38が開口する面をノズル開口面37aとする。本実施形態では、ノズル開口面37aは、キャリッジ32の下面32aよりも窪んだ位置に設けられる。言い換えると、キャリッジ32の下面32aは、ノズル開口面37aよりも下方Z2に突出している。
図2に示すように、キャリッジ32には、液体吐出ヘッド37に供給する液体の一例であるインクを収容した複数の液体収容体Cが着脱可能に装着される。本実施形態の液体収容体Cには、シアン、マゼンタ、イエロー、及び黒のインクがそれぞれ収容されている。
各液体収容体Cから液体吐出ヘッド37に供給された液体がノズル38から媒体Mに向けて吐出されることにより、媒体Mに印刷が行われる。なお、ノズル38から媒体Mに向かって液体を吐出する際、媒体Mに向かって吐出された液体の一部は霧状化し、ミストとなって、液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aと媒体Mとの間で浮遊することがある。こうしたミストは、キャリッジ32の往復移動や液体の吐出などによって生じる気流に流され、ノズル開口面37aに付着することがある。
印刷装置10は、搬送モーターM22を所定時間駆動させて媒体Mを搬送させる搬送動作と、キャリッジモーターM32を駆動させてキャリッジ32を往復移動させながら、第2支持部11bに支持された媒体Mに対して液体吐出ヘッド37に液体を噴射させる印刷動作とが可能である。印刷装置10は、搬送動作と印刷動作とを交互に行うことによって、媒体M全体に対して印刷を行う。
なお、印刷装置10が印刷動作を行うときの幅方向Xにおけるキャリッジ32の走査範囲は、例えば、媒体Mの短手方向の寸法、及びユーザーが設定した媒体Mに対する印刷範囲等によって決定される。ユーザーが媒体Mの短手方向の印刷範囲PAを設定したとする。幅方向Xにおける印刷範囲PAの両端のうち、第1方向側X1に位置する端を第1端PA1とし、第2方向側X2に位置する端を第2端PA2とする。
この場合、キャリッジ32は、4つのノズル38のうち、幅方向Xの最も第2方向側X2に位置するノズル38が少なくとも第1端PA1まで移動可能であり、かつ幅方向Xの最も第1方向側X1に位置するノズル38が少なくとも第2端PA2まで移動可能であるように走査される。幅方向Xの最も第2方向側X2に位置するノズル38が媒体Mの第1端PA1まで移動したときには、キャリッジ32の一部が、後述する支持部材70よりも第1方向側X1にはみ出すことがある。また、幅方向Xの最も第1方向側X1に位置するノズル38が媒体Mの第2端PA2まで移動したときには、キャリッジ32の一部が、支持部材70よりも第2方向側X2にはみ出すことがある。
図4に示すように、筐体14は、本体部40と、第1〜第3カバー47〜49とを有する。本体部40は、第1〜第6壁部41〜46からなる箱状である。第1壁部41及び第2壁部42は、幅方向Xに対向する壁部である。上述のガイド軸31は、第1壁部41と第2壁部42との間で架設されている。第3壁部43及び第4壁部44は、搬送方向Yに対向する壁部である。第4壁部44は、搬送方向Yにおいて第3壁部43よりも下流側Y2に位置している。上述の駆動プーリー34及び従動プーリー35は、第3壁部43の内面に支持されている。第5壁部45及び第6壁部46は、鉛直方向Zに対向する壁部である。図1及び図2に示すように、本体部40は、第2支持部11b、搬送部22、及び印刷部13を収容する。
図2に示すように、第2支持部11bは、筐体14内において幅方向Xの中央付近に配置されている。筐体14内の幅方向Xに沿う領域について、第2支持部11bが配置された領域を第1領域A1とし、第2支持部11bよりも幅方向Xの第1方向側X1に位置する領域を第2領域A2とし、第2支持部11bよりも幅方向Xの第2方向側X2に位置する領域を第3領域A3とする。第1領域A1は、幅方向Xにおいて第2領域A2と第3領域A3との間に位置している。
第4壁部44は、第1〜第3開口部44a〜44cを有する。第1開口部44aは、幅方向Xにおいて第1領域A1に対応する位置に設けられている。第2開口部44bは、幅方向Xにおいて第2領域A2に対応する位置に設けられている。第3開口部44cは、幅方向Xにおいて第3領域A3に対応する位置に設けられている。
第1カバー47は、本体部40に対し、第1開口部44aを開閉可能に取り付けられている。第1カバー47が第1開口部44aを閉じた状態では、第1カバー47は、本体部40の外側から第1開口部44aを覆う。第1カバー47が第1開口部44aを開放した状態では、ユーザーは、第1開口部44aから第1領域A1にアクセスできる。
第2カバー48は、本体部40に対し、第2開口部44bを開閉可能に取り付けられている。第2カバー48が第2開口部44bを閉じた状態では、第2カバー48は、本体部40の外側から第2開口部44bを覆う。第2カバー48が第2開口部44bを開放した状態では、ユーザーは、第2開口部44bから第2領域A2にアクセスできる。
第3カバー49は、本体部40に対し、第3開口部44cを開閉可能に取り付けられている。第3カバー49が第3開口部44cを閉じた状態では、第3カバー49は、本体部40の外側から第3開口部44cを覆う。第3カバー49が第3開口部44cを開放した状態では、ユーザーは、第3開口部44cから第3領域A3にアクセスできる。
次に、第2支持部について詳述する。
図3及び図5に示すように、第2支持部11bは、板状の支持部材70を有する。支持部材70は、平板状のプラテンである。支持部材70は、長方形状のプラテン本体71と、プラテン本体71から突出する複数のリブ72と、支持部材70を板厚方向に貫通する複数の吸引孔70hとを有する。なお、図2では、リブ72及び吸引孔70hの図示を省略している。
プラテン本体71の長手方向は幅方向Xであり、プラテン本体71の短手方向は搬送方向Yである。プラテン本体71の上面は、複数のリブ72が突出するベース面71aとなっている。プラテン本体71において幅方向Xの第1方向側X1に位置する端面を、支持部材70の第1側面70aとし、プラテン本体71において幅方向Xの第2方向側X2に位置する端面を、支持部材70の第2側面70bとする。
複数のリブ72は、プラテン本体71の長手方向に並んでいる。支持部材70を板厚方向から見たとき、各リブ72はトラック形状である。各リブ72の長手方向は、プラテン本体71の短手方向であり、各リブ72の短手方向は、プラテン本体71の長手方向である。ベース面71aからのリブ72の突出方向の先端に位置する各リブ72の先端面は、媒体Mを支持する面である。言い換えると、支持部材70は、各リブ72の先端面に、媒体Mを支持可能な支持面70cを有する。
複数の吸引孔70hは、プラテン本体71の長手方向及び短手方向のそれぞれにおいて複数列配置されている。本実施形態では、複数の吸引孔70hのうちの一部は、支持面70cにおいて開口している。
支持部材70は、プラテン本体71の長手方向に沿って延在する第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74を有する。すなわち、支持部材70は、幅方向Xに沿って延在する第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74を有する。第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74は、幅方向Xの第1方向側X1に位置する端部として第1端部73x,74xを有し、幅方向Xの第2方向側X2に位置する端部として第2端部73y,74yを有する。
本実施形態の第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74はそれぞれ、幅方向Xにおいて支持部材70全体に亘って設けられている。つまり、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74はそれぞれ、支持部材70の第1側面70aまで連続するとともに、支持部材70の第2側面70bまで連続している。よって、各ガイドレール73,74の第1端部73x,74xは、支持部材70の第1側面70aにおいて開口し、各ガイドレール73,74の第2端部73y,74yは、支持部材70の第2側面70bにおいて開口している。
第2ガイドレール74は、搬送方向Yにおいて第1ガイドレール73と異なる位置に設けられている。具体的には、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74は、搬送方向Yにおいてリブ72を挟むように設けられている。第1ガイドレール73は、搬送方向Yにおいてリブ72よりも上流側Y1に位置し、第2ガイドレール74は、搬送方向Yにおいてリブ72よりも下流側Y2に位置している。
図7に示すように、本実施形態の第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74はそれぞれ、プラテン本体71のベース面71aから凹む凹状である。第1ガイドレール73は、第1底面73aと、第1底面73aとベース面71aとを繋ぐ第1内側面73bと、第1底面73aとベース面71aとを繋ぐとともに搬送方向Yにおいて第1内側面73bと対向する第2内側面73cとを有する。第1内側面73bは、搬送方向Yにおいて第2ガイドレール74に近い方の面であり、第2内側面73cは、搬送方向Yにおいて第2ガイドレール74から遠い方の面である。言い換えると、第1内側面73bは、搬送方向Yの下流側Y2に位置する面であり、第2内側面73cは、搬送方向Yの上流側Y1に位置する面である。また、第1ガイドレール73は、第1内側面73bから搬送方向Yの下流側Y2に凹む第1凹部73dと、第2内側面73cから搬送方向Yの上流側Y1に凹む第2凹部73eとを有する。第1ガイドレール73は、幅方向Xから見た側面視にて、逆T字状をなしている。第2凹部73eは、搬送方向Yの上流側Y1に向かうにつれて鉛直方向Zの上方Z1に位置するように傾斜するガイド側テーパ面T73を有する。
第2ガイドレール74は、第2底面74aと、第2底面74aとベース面71aとを繋ぐ第3内側面74bと、第2底面74aとベース面71aとを繋ぐとともに搬送方向Yにおいて第3内側面74bと対向する第4内側面74cとを有する。第3内側面74bは、搬送方向Yにおいて第1ガイドレール73に近い方の面であり、第4内側面74cは、搬送方向Yにおいて第1ガイドレール73から遠い方の面である。言い換えると、第3内側面74bは、搬送方向Yの上流側Y1に位置する面であり、第4内側面74cは、搬送方向Yの下流側Y2に位置する面である。また、第2ガイドレール74は、第3内側面74bから搬送方向Yの上流側Y1に凹む第3凹部74dを有する。
図3に示すように、第2支持部11bは、鉛直方向Zにおいて支持部材70の下方に設けられた吸引室形成部材75と、吸引室形成部材75に設けられた排気ファン76とを有する。吸引室形成部材75は、鉛直方向Zの上方Z1に開口する箱状であり、プラテン本体71の下面に接続されている。プラテン本体71の下面と、吸引室形成部材75の内面とによって、吸引室77が形成されている。吸引室77は、支持部材70の吸引孔70hを通じて吸引室77外と連通している。排気ファン76が駆動して、吸引室77内の空気を排出すると、吸引室77内は負圧になる。これにより、媒体Mは、吸引孔70hを介して支持面70cに吸着により支持される。
図2及び図5に示すように、支持部材70には、第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79が着脱可能に取り付けられている。第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79は、幅方向Xに並んでいる。第2エッジホルダー79は、幅方向Xにおいて第1エッジホルダー78よりも第2方向側X2に位置している。
第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79はそれぞれ、長方形状の板状部材80を有する。第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79はそれぞれ、板状部材80の長手方向がプラテン本体71の短手方向となり、板状部材80の短手方向がプラテン本体71の長手方向となるように、支持部材70上に配置される。よって、板状部材80の長手方向は搬送方向Yであり、板状部材80の短手方向は幅方向Xである。
図2に示すように、幅方向Xにおけるエッジホルダー78,79の位置は、媒体Mの短手方向の寸法に応じて設定される。幅方向Xにおける第1エッジホルダー78の位置は、板状部材80の短手方向の一部が媒体Mの第1端部M1を覆うように調整される。幅方向Xにおける第2エッジホルダー79の位置は、板状部材80の短手方向の一部が媒体Mの第2端部M2を覆うように調整される。媒体Mの第1端部M1は第1エッジホルダー78により押圧され、媒体Mの第2端部M2は第2エッジホルダー79により押圧されるため、媒体Mが支持部材70から浮き上がることが抑制される。
図6及び図7に示すように、板状部材80は、支持部材70と対向する面である第1面80aと、第1面80aとは反対側の面である第2面80bとを有する。第1面80aは、板状部材80の下面であり、第2面80bは、板状部材80の上面である。板状部材80の第2面80bからは、円柱状の一対の回動軸80cが突出している。一対の回動軸80cは、搬送方向Yの下流側Y2に位置する板状部材80の端部において、板状部材80の短手方向、すなわち幅方向Xに並んでいる。また、搬送方向Yの下流側Y2に位置する板状部材80の端部には、板状部材80を板厚方向に貫通する矩形状の一対の挿通孔80hが形成されている。一対の挿通孔80hも、板状部材80の短手方向、すなわち幅方向Xに並んでいる。一対の挿通孔80hは、幅方向Xにおいて一対の回動軸80cを挟むように配置されている。
図7に示すように、第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79はそれぞれ、板状部材80の第1面80aから突出する一対の第1係合部81を有する。図6に示すように、一対の第1係合部81は、搬送方向Yの上流側Y1に位置する板状部材80の端部において、板状部材80の短手方向、すなわち幅方向Xに並んでいる。各第1係合部81は、第1基部81aと、第1基部81aから搬送方向Yの下流側Y2に突出した第1突出片81bと、第1基部81aから搬送方向Yの上流側Y1に突出した第2突出片81cとを有する。第1係合部81は、幅方向Xから見た側面視にて、逆T字状をなしている。第2突出片81cは、搬送方向Yの上流側Y1に向かうにつれて板状部材80に近付くように傾斜する突起側テーパ面T81を有する。
図6及び図7に示すように、第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79はそれぞれ、操作部82を有する。操作部82は、一対の回動部83と、付勢部材84(図6参照)と、カバー部85(図5参照)とを有する。なお、回動部83の構造を詳述するため、図6及び図7では、カバー部85の図示を省略している。
図6に示すように、一対の回動部83は、幅方向Xに並んでいる。各回動部83は、アーム部86と、把持部87と、第2係合部88とを有する。アーム部86は、板状部材80の第2面80b側に配置されている。アーム部86の一端部は、板状部材80の回動軸80cに対して回動可能に取り付けられている。把持部87は、アーム部86において回動軸80cに取り付けられた端部とは反対側の端部に設けられている。把持部87は、搬送方向Yにおいて回動軸80cよりも下流側Y2に設けられている。
図7に示すように、第2係合部88は、アーム部86の下面から突出している。第2係合部88は、板状部材80の挿通孔80hに挿通されることにより、板状部材80の第1面80a側に突出する第2基部88aと、第2基部88aから突出した第3突出片88bとを有する。第2係合部88は、幅方向Xから見た側面視にて、L字状をなしている。第2基部88aの外周面と挿通孔80hを区画する内周面との間には、隙間が設けられている。このため、第2基部88aは、回動軸80cを軸としたアーム部86の回動に伴って、挿通孔80h内を移動可能である。
図6に示すように、本実施形態の付勢部材84は、コイルばねである。付勢部材84は、一方の回動部83の把持部87と他方の回動部83の把持部87との間において、アーム部86同士を幅方向Xに接続している。カバー部85は、板状部材80の第2面80b側から、回動軸80c、一対のアーム部86、及び付勢部材84を覆っている。なお、一対の把持部87は、カバー部85により覆われていない。
図7に示すように、エッジホルダー78,79は、第1係合部81が第1ガイドレール73に係合され、第2係合部88が第2ガイドレール74に係合されることにより、支持部材70に取り付けられている。第1係合部81及び第2係合部88は、板状部材80から支持部材70に向けて突出する凸状である。第1係合部81が第1ガイドレール73に係合された状態において、第1突出片81bは、第1凹部73dと対向し、第2突出片81cは、第2凹部73eと対向する。また、第2係合部88が第2ガイドレール74に係合された状態において、第3突出片88bは、第3凹部74d内に位置する。このため、第2係合部88が第2ガイドレール74から脱落することが規制される。
図6に示すように、搬送方向Yにおける第1係合部81の寸法L81は、搬送方向Yにおける第1ガイドレール73の寸法L73よりも小さい寸法に設定されている。ここで、第1係合部81の寸法L81とは、搬送方向Yにおける第1基部81aの寸法を指す。また、第1ガイドレール73の寸法L73とは、搬送方向Yにおける第1内側面73bから第2内側面73cまでの距離を指す。
搬送方向Yにおける第2係合部88の寸法L88は、搬送方向Yにおける第2ガイドレール74の寸法L74よりも僅かに小さい寸法に設定されている。ここで、第2係合部88の寸法L88とは、搬送方向Yの上流側Y1に位置する第3突出片88bの端面から搬送方向Yの下流側Y2に位置する第2基部88aまでの距離を指す。また、第2ガイドレール74の寸法L74とは、搬送方向Yにおける第4内側面74cから第3凹部74dの凹部底面までの距離を指す。
第1係合部81の寸法L81と第1ガイドレール73の寸法L73との差の絶対値をΔL1とし、第2係合部88の寸法L88と第2ガイドレール74の寸法L74との差の絶対値をΔL2としたとき、ΔL1はΔL2よりも大きい。このため、第1係合部81が第1ガイドレール73に係合された状態において、第1ガイドレール73内における第1係合部81の搬送方向Yへの移動は許容される。その一方で、第2係合部88が第2ガイドレール74に係合された状態において、第2ガイドレール74内における第2係合部88の搬送方向Yへの移動はほぼ許容されない。
なお、第2係合部88の寸法L88を第2ガイドレール74の寸法L74と同じ寸法にし、ΔL2をゼロにすると、第2ガイドレール74に対する第2係合部88の幅方向Xへの移動も許容されなくなる。第2ガイドレール74に対する第2係合部88の幅方向Xへの移動を許容するため、第2係合部88の寸法L88を第2ガイドレール74の寸法L74よりも僅かに小さくし、ΔL2をゼロより大きくする必要がある。
第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79はそれぞれ、支持部材70に対する幅方向Xへのスライドが規制されたスライド規制状態、又は、支持部材70に対する幅方向Xへのスライドが許容されたスライド可能状態を取り得る。エッジホルダー78,79の状態は、ユーザーが操作部82を操作することにより変更される。ユーザーが、付勢部材84の付勢力よりも大きい力で一対の把持部87を近付けるように摘んでいるとき、エッジホルダー78,79はスライド可能状態となり、ユーザーが一対の把持部87を摘んでいないとき、エッジホルダー78,79はスライド規制状態となる。
図6及び図7では、スライド規制状態のエッジホルダー78,79を図示している。このとき、ユーザーは一対の把持部87を摘んでいないため、付勢部材84は、一対のアーム部86が幅方向Xにおいて互いに遠ざかるように、一対の回動部83を付勢している。第2係合部88の第2基部88aは、挿通孔80h内において搬送方向Yの上流側Y1に位置している。このときの搬送方向Yにおける第1係合部81の第1基部81aと第2係合部88の第3突出片88bとの最短距離を第1距離P1とする。また、搬送方向Yにおける第1ガイドレール73の第1内側面73bと第2ガイドレール74の第3凹部74dの凹部底面との最短距離をレール間距離Qとする。第1距離P1は、レール間距離Q以下である。
第2係合部88の第3突出片88bは、第3凹部74dの凹部底面を搬送方向Yの上流側Y1に付勢している。第1係合部81の第1基部81aは、第1内側面73bを搬送方向Yの下流側Y2に付勢している。また、第1突出片81bは、第1凹部73d内に位置し、第2突出片81cは、第2凹部73e外に位置している。つまり、第1係合部81は、第2ガイドレール74内において搬送方向Yの下流側Y2に位置している。第1突出片81bが第1凹部73d内に位置することにより、第1係合部81が第1ガイドレール73から脱落することが規制される。
エッジホルダー78,79がスライド規制状態にあるとき、第1係合部81と第2係合部88とは、支持部材70における第1ガイドレール73と第2ガイドレール74との間に位置する部分を搬送方向Yに挟持する。よって、支持部材70に対するエッジホルダー78,79の幅方向Xへのスライドが規制される。また、エッジホルダー78,79には、媒体Mの浮き上がろうとする端部を板状部材80で規制し、支持部材70に向けて押圧する押圧力が生じる。
図8及び図9では、スライド可能状態のエッジホルダー78,79を図示している。ユーザーが一対の把持部87を近付けるように摘むことにより、一対の回動部83は、一対のアーム部86が互いに近付くように、回動軸80cを軸として回動する。このとき、上述した通り、第2ガイドレール74内における第2係合部88の搬送方向Yへの移動はほぼ許容されていないため、第2係合部88は、支持部材70に対して搬送方向Yにほとんど変位しない。
その一方で、板状部材80の挿通孔80h内における第2係合部88の移動は許容されている。このため、第2係合部88の第2基部88aは、回動部83が回動するのに伴って、挿通孔80h内で搬送方向Yの下流側Y2に移動する。言い換えると、板状部材80は、第2係合部88に対して、搬送方向Yの上流側Y1に相対移動する。板状部材80は、支持部材70に対して、搬送方向Yの上流側Y1に相対移動したともいえる。
また、第1ガイドレール73内における第1係合部81の移動も許容されている。このため、第1係合部81は、板状部材80が支持部材70に対して上流側Y1に相対移動するのに伴って、第1ガイドレール73内で搬送方向Yの上流側Y1に移動する。第1突出片81bは、第1凹部73d外に位置し、第2突出片81cは、第2凹部73e内に位置する。第2突出片81cが第2凹部73e内に位置することにより、第1係合部81が第1ガイドレール73から脱落することが規制される。
また、エッジホルダー78,79がスライド可能状態にあるときの搬送方向Yにおける第1係合部81の第1基部81aと第2係合部88の第3突出片88bとの最短距離を第2距離P2とする。第2距離P2は、レール間距離Qよりも長い。このため、支持部材70における第1ガイドレール73と第2ガイドレール74との間に位置する部分は、第1係合部81と第2係合部88とによって搬送方向Yに挟持されない。よって、エッジホルダー78,79は、支持部材70に対し、幅方向Xにスライド可能になる。
さらに、本実施形態では、第1係合部81の第2突出片81cが第2凹部73e内に位置する状態において、突起側テーパ面T81は、ガイド側テーパ面T73から離間している。よって、第1ガイドレール73に対する第1係合部81の幅方向Xへのスライド容易性がより良好になる。
幅方向Xにおけるエッジホルダー78,79の位置を調整する場合には、ユーザーは、一対の把持部87を摘みながら、ユーザーがエッジホルダー78,79を幅方向Xにスライドさせる。
図2及び図3に示すように、印刷装置10は、メンテナンスユニット15を備える。メンテナンスユニット15は、筐体14内に収容されている。本実施形態のメンテナンスユニット15は、キャップユニット51と、フラッシングボックス52と、吸引ユニット53と、ワイパーユニット54とを含む。キャップユニット51、フラッシングボックス52、吸引ユニット53、及びワイパーユニット54は何れも、液体吐出ヘッド37のメンテナンスに用いられるメンテナンス装置である。
キャップユニット51は、幅方向Xにおいて第2支持部11bよりも第1方向側X1に設けられている。つまり、キャップユニット51は、第2領域A2に位置している。幅方向Xにおいて、キャップユニット51と第2支持部11bとの間には、第1の隙間S1が設けられている。幅方向Xにおける第1の隙間S1の寸法LS1は、幅方向Xにおける第1エッジホルダー78の寸法L78よりも大きい。また、鉛直方向Zにおける第1の隙間S1の深さも、幅方向Xにおける第1エッジホルダー78の寸法L78よりも大きい。
フラッシングボックス52、吸引ユニット53、及びワイパーユニット54は、幅方向Xにおいて第2支持部11bよりも第2方向側X2に設けられている。つまり、フラッシングボックス52、吸引ユニット53、及びワイパーユニット54は、第3領域A3に位置している。フラッシングボックス52、吸引ユニット53、及びワイパーユニット54は、幅方向Xの第2方向側X2に向けてこの順に並んでいる。すなわち、フラッシングボックス52は、幅方向Xにおいて第2支持部11bと隣り合うように配置されている。
幅方向Xにおいて、フラッシングボックス52と吸引ユニット53との間には、第2の隙間S2が設けられている。幅方向Xにおける第2の隙間S2の寸法LS2は、幅方向Xにおける第2エッジホルダー79の寸法L79よりも小さく、第2エッジホルダー79の厚さ方向の寸法H79よりも大きい。また、鉛直方向Zにおける第2の隙間S2の深さは、幅方向Xにおける第2エッジホルダー79の寸法L79よりも大きい。
印刷装置10は、キャリッジモーターM32を駆動させてキャリッジ32を所望のメンテナンス装置に対応する位置まで移動させた後、所望のメンテナンス装置を駆動させるメンテナンス動作が可能である。各メンテナンス装置が駆動時に行う動作については、次の通りである。
キャップユニット51は、液体吐出ヘッド37をキャッピングする。キャッピングとは、ノズル38の開口が連通する空間を閉塞することにより、ノズル38の内部を含む閉空間を形成することをいう。キャッピングは、例えば印刷休止時、不使用時、電源オフ時などにおいて行われる。キャッピングは、ノズル38内の液体が蒸発して増粘することによって生じ得る、ノズル38の目詰まりを抑制するために行われる。
キャップユニット51は、待機キャップ55aを有する板状の待機キャップホルダー55と、待機キャップホルダー55を鉛直方向Zに往復移動させるキャップユニットモーターM51(図3参照)とを有する。本実施形態の待機キャップホルダー55は、4つの待機キャップ55aを有する。4つの待機キャップ55aは、幅方向Xに並んでいる。待機キャップ55aの上面は、キャップユニット51の上面でもある。
図3に示すように、待機キャップホルダー55は、キャップユニットモーターM51の駆動により、待機キャップ55aが液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aに接触するキャッピング位置と、待機キャップ55aが液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aに接触しない待機位置とで移動可能である。図3では、待機位置にあるときの待機キャップホルダー55を図示している。このとき、待機キャップ55aの上面は、第1ガイドレール73に第1係合部81が係合し、第2ガイドレール74に第2係合部88が係合した状態の第1エッジホルダー78の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置している。
印刷装置10は、キャッピングを行う際には、幅方向Xにおいて待機キャップホルダー55と対応する位置までキャリッジ32を走査し、各待機キャップ55aと液体吐出ヘッド37の各ノズル38とを対向させる。その後、キャップユニットモーターM51の駆動により、待機位置にあった待機キャップホルダー55が上昇してキャッピング位置に移動することで、各待機キャップ55aは、各ノズル38の開口に連通する空間を閉塞する。これにより、ノズル38の内部と待機キャップ55aとによって閉空間が形成され、液体吐出ヘッド37がキャッピングされる。印刷再開時など、キャッピングを終了するときには、キャップユニットモーターM51の駆動により、キャッピング位置にあった待機キャップホルダー55は下降して待機位置に移動する。
フラッシングボックス52は、フラッシングにより液体吐出ヘッド37から吐出された液体を受容する。フラッシングとは、液体吐出ヘッド37のノズル38から液体を吐き捨てることによって、吐出不良の原因となる異物、気泡、又は変質した液体、例えば増粘したインクを排出する動作である。フラッシングは、軽度の吐出不良を解消するために行われる。
フラッシングボックス52は、矩形状の底壁52aと、底壁52aの周縁部から立設された周壁52bとを有する。幅方向Xにおけるフラッシングボックス52の寸法L52は、第2エッジホルダー79の寸法L79よりも大きい。底壁52aからの周壁52bの突出方向の先端に位置する周壁52bの先端面52cは、フラッシングボックス52の上面でもある。フラッシングボックス52は、周壁52bの先端面52cが、第1ガイドレール73に第1係合部81が係合し、第2ガイドレール74に第2係合部88が係合した状態の第2エッジホルダー79の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置するように配置されている。
フラッシングボックス52は、鉛直方向Zの上方Z1に向かって開口する受容口52dを有する。本実施形態では、搬送方向Yにおける受容口52dの寸法W52dは、搬送方向Yにおける第2エッジホルダー79の寸法W79よりも短い。
フラッシングボックス52の底壁52aには、フラッシングチューブ56が接続されている。フラッシングボックス52内は、フラッシングチューブ56を介して廃液収容部57と接続されている。底壁52aの内面は、フラッシングチューブ56に向かうにつれて下方Z2に位置する傾斜面になっている。
印刷装置10は、フラッシングを行う際には、幅方向Xにおいてフラッシングボックス52と対応する位置までキャリッジ32を走査し、液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aとフラッシングボックス52の底壁52aと対向させる。その後、液体吐出ヘッド37がフラッシングすることでノズル38から排出された液体は、フラッシングボックス52によって受容される。フラッシングボックス52が受容した液体は、フラッシングチューブ56を通って、廃液収容部57に送られる。
吸引ユニット53は、液体吐出ヘッド37のノズル38を吸引クリーニングする。吸引クリーニングとは、ノズル38内の気泡や異物などを液体と共にノズル38から吸引する動作である。
吸引ユニット53は、リング状の吸引キャップ58aを有する吸引キャップホルダー58と、吸引キャップホルダー58を鉛直方向Zに往復移動させる吸引ユニットモーターM53(図3参照)と、吸引キャップホルダー58に設けられた吸引ポンプ59(図3参照)とを有する。本実施形態の吸引キャップホルダー58は、1つの吸引キャップ58aを有する。吸引キャップ58aの上面は、吸引ユニット53の上面でもある。吸引ポンプ59は、廃液収容部57に接続されている。
吸引キャップホルダー58は、吸引ユニットモーターM53の駆動により、吸引キャップ58aが液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aに接触するクリーニング位置と、吸引キャップ58aが液体吐出ヘッド37に接触しない待機位置とで移動可能である。図3では、待機位置にあるときの吸引キャップホルダー58を図示している。このとき、吸引キャップ58aの上面は、第1ガイドレール73に第1係合部81が係合し、第2ガイドレール74に第2係合部88が係合した状態の第2エッジホルダー79の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置する。
印刷装置10は、吸引クリーニングを行う際には、幅方向Xにおいて吸引キャップホルダー58と対応する位置までキャリッジ32を走査し、吸引キャップ58aと、液体吐出ヘッド37が有する4つのノズル38のうちの1つのノズル38とを対向させる。その後、吸引ユニットモーターM53の駆動により、待機位置にあった吸引キャップホルダー58が上昇してクリーニング位置に移動することで、吸引キャップ58aは、液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aに接触してノズル38を取り囲む。この状態で吸引ポンプ59が吸引キャップホルダー58内の空気を吸引することにより、ノズル38には吸引キャップ58aを介して負圧が作用する。これにより、ノズル38から液体が強制的に排出され、液体吐出ヘッド37の吸引クリーニングが行われる。吸引ポンプ59が吸引した液体は、廃液収容部57に送られる。吸引クリーニングが終了すると、吸引ユニットモーターM53の駆動により、クリーニング位置にあった吸引キャップホルダー58は下降して待機位置に移動する。
本実施形態の吸引ユニット53では、1回の吸引クリーニング動作で1つのノズル38が吸引クリーニングされる。このため、複数のノズル38について吸引クリーニングを行う際には、印刷装置10は、キャリッジ32の移動動作と、吸引ユニット53の吸引クリーニング動作とを繰り返し行う必要がある。その一方で、後述するように大径の吸引キャップ58aを採用する場合や、吸引キャップホルダー58が複数の吸引キャップ58aを有する場合と比較して、幅方向Xにおいて吸引ユニット53を小型化できるため、印刷装置10の幅方向Xへの大型化を抑制できる。
なお、吸引キャップ58aのサイズや数は、適宜変更してよい。例えば、吸引キャップ58aは、2つのノズル38を取り囲むような大径の吸引キャップであってもよい。この場合、1回の吸引クリーニング動作により、2つのノズル38が吸引クリーニングされる。よって、4つのノズル38全てについて吸引クリーニングを行う際には、本実施形態では4回の吸引クリーニング動作が必要であるのに対し、上記の例では吸引クリーニング動作を2回に省略できる。また、吸引キャップホルダー58は、液体吐出ヘッド37が有するノズル38の数に対応するように、4つの吸引キャップ58aを有していてもよい。この場合、各吸引キャップ58aと各ノズル38とを対向させることができるため、1回の吸引クリーニング動作により、4つのノズル38全てが吸引クリーニングされる。つまり、吸引クリーニング動作を1回に省略できる。
ワイパーユニット54は、液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aをワイピングする。ワイピングとは、ノズル開口面37aに付着した液体や塵埃などを払拭する動作である。ワイピングは、例えば印刷動作後などにおいて行われる。なお、吸引クリーニング後にも、ノズル開口面37aに液体が付着している場合があるため、吸引クリーニング後にも、ワイピングによってノズル開口面37aを払拭することが好ましい。なお、ワイピングを行うと、ノズル38内に形成されたメニスカス(凹状に湾曲した液面)が乱れることがあるので、ワイピングの実行後にはフラッシングを行ってノズル38内のメニスカスを整えることが好ましい。
ワイパーユニット54は、ノズル開口面37aを払拭可能な払拭部材61と、払拭部材61を保持する保持部62と、搬送方向Yに沿って延びるレール部63とを備える。
払拭部材61は、例えば、合成樹脂などの不織布によって構成されている。液体が付着したノズル開口面37aに払拭部材61が接触すると、ノズル開口面37aに付着した液体は、払拭部材61を構成する繊維と繊維の隙間(空隙)に吸収される。なお、払拭部材61は、液体を吸収可能であれば、合成繊維の織布であってもよいし、天然繊維の織布又は不織布であってもよい。
保持部62は、箱状のワイパーホルダー64と、ワイパーホルダー64内に着脱可能に装着されたワイパーカセット65とを有する。ワイパーホルダー64は、不図示の取付部材を介してレール部63に取り付けられている。ワイパーホルダー64の上面64aには、幅方向Xに沿って延びるスリット64bが形成されている。保持部62は、第1ワイパーモーターM64の駆動により、レール部63に沿って移動する。言い換えると、保持部62は、第1ワイパーモーターM64の駆動により、搬送方向Yに沿って移動する。
ワイパーカセット65は、巻取ローラー65aと、押圧ローラー65bと、繰出ローラー65cとを回転可能に保持する。巻取ローラー65a、押圧ローラー65b、及び繰出ローラー65cは、搬送方向Yにおいてこの順に並んでいる。巻取ローラー65a、押圧ローラー65b、及び繰出ローラー65cの軸線方向は、幅方向Xである。巻取ローラー65aは、第2ワイパーモーターM65の駆動により回転する。押圧ローラー65bは、搬送方向Yにおいてスリット64bに沿うように設けられている。また、押圧ローラー65bを軸支する不図示の支軸は、不図示の付勢部材によって、鉛直方向Zの上方Z1に向けて付勢されている。
払拭部材61は、長手方向の始端が巻取ローラー65aに巻き掛けられる一方で長手方向の終端が繰出ローラー65cに巻き掛けられている。払拭部材61において繰出ローラー65cと巻取ローラー65aとの間に設定される部分である払拭部61aは、不図示の付勢部材によって上方Z1に付勢された押圧ローラー65bによって、上方Z1に向けて押圧されている。これにより、払拭部材61の払拭部61aは、スリット64bを通じて、ワイパーホルダー64の上面64aから突出する。
印刷装置10は、ワイピングを行う際には、幅方向Xにおいて保持部62と対応する位置までキャリッジ32を走査する。そして、保持部62が搬送方向Yに移動することにより、払拭部61aは、ノズル開口面37aに付着した液体を吸収しつつノズル開口面37aを払拭する。これにより、液体吐出ヘッド37のワイピングが行われる。また、巻取ローラー65aが回転することにより、払拭部61aが巻取ローラー65aに巻き取られるとともに、巻き取られた長さ分の払拭部材61が繰出ローラー65cから巻き出される。つまり、払拭部材61において、液体を吸収した使用済みの部分が巻取ローラー65aに巻き取られ、未使用の部分が新たな払拭部61aとなる。
ここで、本実施形態では、印刷動作中において、第2退避領域B2内の上面を構成する複数の主なユニット部品の上面が、フラッシングボックス52の上面、吸引ユニット53の上面、及びワイパーホルダー64の上面64aである。印刷動作中において、フラッシングボックス52の上面、吸引ユニット53の上面、及びワイパーホルダー64の上面64aは、支持部材70の第2側面70bから第2方向側X2に離れるこの順番で段階的に高さが低く設定されている。この高さの順番が逆である構成に比べ、第2退避領域B2内の上面は、第2退避領域B2に退避したときの第2エッジホルダー79が、第2退避領域B2内の上面に引っ掛かりにくい面構造になっている。
ところで、図11に示すように、印刷装置10では、媒体ジャム(紙ジャム)が発生することがある。媒体ジャムは、例えば、媒体Mの長手方向の始端部や終端部が支持部材70の支持面70cから浮き上がっている状態でキャリッジ32が幅方向Xに走査されることで、媒体Mの浮き上がった部分にキャリッジ32が干渉し、キャリッジ32と共に媒体Mが幅方向Xに引き連れられることで発生する。媒体Mにおいて媒体ジャムにより皺が寄った部分をジャム部分Mjという。例えば、キャリッジ32が媒体Mの第1端部M1よりも幅方向Xの第1方向側X1に位置している状態から第2方向側X2に走査されるときに、キャリッジ32が支持部材70の支持面70cから浮き上がった媒体Mと接触すると、図11に実線で示すように、媒体Mの第1端部M1がジャム部分Mjとなる。このジャム部分Mjは、第2方向側X2へ走査されるキャリッジ32に押されてキャリッジ32と共に第2方向側X2へ移動する。また、キャリッジ32が媒体Mの第2端部M2よりも幅方向Xの第2方向側X2に位置している状態から第1方向側X1に走査されるときに、キャリッジ32が支持部材70の支持面70cから浮き上がった媒体Mと接触すると、図11に二点鎖線で示すように、媒体Mの第2端部M2がジャム部分Mjとなる。このジャム部分Mjは、第1方向側X1へ走査されるキャリッジ32に押されてキャリッジ32と共に第1方向側X1へ移動する。なお、媒体Mの幅方向Xの中央部分が浮き上がっている場合、その媒体Mの浮き上がった部分が走査中のキャリッジ32と接触してジャム部分Mjとなる場合もある。
媒体ジャムが発生した状態でキャリッジ32が幅方向Xの第1方向側X1に走査されると、キャリッジ32は、媒体Mのジャム部分Mjを介して第1エッジホルダー78を幅方向Xの第1方向側X1に押圧する。つまり、キャリッジ32は、第1エッジホルダー78を間接的に第1方向側X1に押圧する。また、媒体ジャムが発生した状態でキャリッジ32が幅方向Xの第2方向側X2に走査されると、キャリッジ32は、媒体Mのジャム部分Mjを介して第2エッジホルダー79を幅方向Xの第2方向側X2に押圧する。つまり、キャリッジ32は、第2エッジホルダー79を間接的に第2方向側X2に押圧する。
このとき、キャリッジ32がエッジホルダー78,79を押圧する力の大きさは、スライド規制状態にあるエッジホルダー78,79を幅方向Xにスライドさせる程度の大きさである。このため、第1エッジホルダー78は、キャリッジ32によって押圧されることにより、第1係合部81が第1ガイドレール73に沿い、かつ第2係合部88が第2ガイドレール74に沿う状態で、幅方向Xの第1方向側X1にスライドされる。また、第2エッジホルダー79は、キャリッジ32によって押圧されることにより、第1係合部81が第1ガイドレール73に沿い、かつ第2係合部88が第2ガイドレール74に沿う状態で、幅方向Xの第2方向側X2にスライドされる。
上述したように、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74の第1端部73x,74xは、支持部材70の第1側面70aに開口している。このため、第1エッジホルダー78が第1方向側X1にスライドされると、第1係合部81と第1ガイドレール73との係合状態が解除されるとともに、第2係合部88と第2ガイドレール74との係合状態が解除される。また、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74の第2端部73y,74yは、支持部材70の第1側面70aに開口している。このため、第2エッジホルダー79が第2方向側X2にスライドされると、第1係合部81と第1ガイドレール73との係合状態が解除されるとともに、第2係合部88と第2ガイドレール74との係合状態が解除される。
筐体14内には、第1係合部81と第1ガイドレール73との係合状態が解除されるとともに、第2係合部88と第2ガイドレール74との係合状態が解除された状態の第1エッジホルダー78を配置可能な第1退避領域B1が設けられている。第1退避領域B1は、幅方向Xにおいて、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74の第1端部73x,74xよりも第1方向側X1に設けられている。言い換えると、第1退避領域B1は、幅方向Xにおいて支持部材70の第1側面70aよりも第1方向側X1に位置している。図10及び図11では、第1エッジホルダー78が第1退避領域B1に退避した状態を図示している。
第1退避領域B1には、第1エッジホルダー78の第1方向側X1への移動を妨げるような部材が配置されていない。ここで、「第1エッジホルダー78の第1方向側X1への移動を妨げるような部材」とは、第1エッジホルダー78が第1方向側X1に移動したときに、幅方向Xの第1方向側X1に位置する板状部材80の端部が接触する部分を有する部材のことを指す。また、幅方向Xにおける第1退避領域B1の寸法は、幅方向Xにおける第1エッジホルダー78の寸法L78よりも大きく設定されるのが好ましい。
本実施形態では、第2領域A2の一部が第1退避領域B1であり、より具体的には、第1の隙間S1が第1退避領域B1である。このため、第1退避領域B1には、第1エッジホルダー78の第1方向側X1への移動を妨げるような部材は配置されていない。また、幅方向Xにおける第1退避領域B1の寸法は、幅方向Xにおける第1の隙間S1の寸法LS1に相当し、第1の隙間S1の寸法LS1は、第1エッジホルダー78の寸法L78よりも大きく設定されている。
上述したように、筐体14の本体部40は、第2領域A2に対応する位置に第2開口部44bを有する。すなわち、筐体14の本体部40は、第1退避領域B1に対応する位置に第2開口部44bを有する。よって、ユーザーは、第2カバー48を開けることにより、第1退避領域B1に退避した第1エッジホルダー78を回収できる。
筐体14内には、第1係合部81と第1ガイドレール73との係合状態が解除されるとともに、第2係合部88と第2ガイドレール74との係合状態が解除された状態の第2エッジホルダー79を配置可能な第2退避領域B2が設けられている。第2退避領域B2は、幅方向Xにおいて、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74の第2端部73y,74yよりも第2方向側X2に設けられている。言い換えると、第2退避領域B2は、幅方向Xにおいて支持部材70の第2側面70bよりも第2方向側X2に位置している。図10及び図11では、第2エッジホルダー79が第2退避領域B2に退避した状態を図示している。
第2退避領域B2には、第2エッジホルダー79の第2方向側X2への移動を妨げるような部材が配置されていない。ここで、「第2エッジホルダー79の第2方向側X2への移動を妨げるような部材」とは、第2エッジホルダー79が第2方向側X2に移動したときに、幅方向Xの第2方向側X2に位置する板状部材80の端部が接触する部分を有する部材のことを指す。また、幅方向Xにおける第2退避領域B2の寸法は、幅方向Xにおける第2エッジホルダー79の寸法L79よりも大きく設定されるのが好ましい。
本実施形態では、第3領域A3の一部が第2退避領域B2であり、より具体的には、フラッシングボックス52の上方Z1の空間が第2退避領域B2である。上述したように、フラッシングボックス52は、周壁52bの先端面52cが、第1ガイドレール73に第1係合部81が係合し、第2ガイドレール74に第2係合部88が係合した状態の第2エッジホルダー79の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置するように配置されている。このため、フラッシングボックス52は、第2エッジホルダー79の移動を妨げるような部材とならない。また、幅方向Xにおける第2退避領域B2の寸法は、幅方向Xにおけるフラッシングボックス52の寸法L52に相当し、フラッシングボックス52の寸法L52は、第2エッジホルダー79の寸法L79よりも大きく設定されている。
上述したように、筐体14の本体部40は、第3領域A3に対応する位置に第3開口部44cを有する。すなわち、筐体14の本体部40は、第2退避領域B2に対応する位置に第3開口部44cを有する。よって、ユーザーは、第3カバー49を開けることにより、第2退避領域B2に退避した第2エッジホルダー79を回収できる。
本実施形態の作用について説明する。
幅方向Xにおいて第1及び第2ガイドレール73,74の第1端部73x,74xよりも第1方向側X1には、第1ガイドレール73と第1係合部81との係合状態、及び第2ガイドレール74と第2係合部88との係合状態が解除された状態の第1エッジホルダー78を配置可能な第1退避領域B1が設けられている。このため、媒体Mのジャム発生時において、キャリッジ32が媒体Mのジャム部分Mjを介して第1エッジホルダー78を第1方向側X1に押圧すると、図10及び図11に示すように、第1エッジホルダー78は第1退避領域B1に移動する。具体的には、第1エッジホルダー78全体が第1の隙間S1に落下する。よって、第1エッジホルダー78が支持部材70に固定されており、幅方向Xに移動不能な場合と比較して、第1エッジホルダー78にかかる負荷が低減される。
また、第1の隙間S1の深さは、第1エッジホルダー78の寸法L78よりも大きいので、仮に第1の隙間S1に落下した第1エッジホルダー78の向きがその厚さ方向が幅方向Xとなる向きであっても、第1の隙間S1に落下した第1エッジホルダー78の一部が、鉛直方向Zにおいて支持部材70の支持面70cよりも高い位置に突出することがない。このため、第1の隙間S1に落下した第1エッジホルダー78の一部とキャリッジ32との衝突が回避される。
また、幅方向Xにおいて第1及び第2ガイドレール73,74の第2端部73y,74yよりも第2方向側X2には、第1ガイドレール73と第1係合部81との係合状態、及び第2ガイドレール74と第2係合部88との係合状態が解除された状態の第2エッジホルダー79を配置可能な第2退避領域B2が設けられている。このため、媒体Mのジャム発生時において、キャリッジ32が媒体Mのジャム部分Mjを介して第2エッジホルダー79を第2方向側X2に押圧すると、図10及び図11に示すように、第2エッジホルダー79は第2退避領域B2に移動する。具体的には、第2エッジホルダー79は、フラッシングボックス52に対し、搬送方向Yに架け渡されるように配置される。よって、第2エッジホルダー79が支持部材70に固定されており、幅方向Xに移動不能な場合と比較して、第2エッジホルダー79にかかる負荷が低減される。
本実施形態の効果について説明する。
(1)媒体Mのジャム発生時において、キャリッジ32が媒体Mのジャム部分Mjを介して第1エッジホルダー78を第1方向側X1に押圧すると、第1エッジホルダー78は第1退避領域B1に移動する。このため、第1エッジホルダー78が支持部材70に固定されており、幅方向Xに移動不能な場合、及びガイドレール73,74に沿って幅方向Xの第1方向側X1に移動できても第1端部73x,74xでそれ以上の移動が規制される構成である場合と比較して、第1エッジホルダー78にかかる負荷が低減される。よって、第1エッジホルダー78の破損を抑制できる。
また、媒体Mのジャム発生時において、キャリッジ32が媒体Mのジャム部分Mjを介して第2エッジホルダー79を第2方向側X2に押圧すると、第2エッジホルダー79は第2退避領域B2に移動する。このため、第2エッジホルダー79が支持部材70に固定されており、幅方向Xに移動不能な場合、及びガイドレール73,74に沿って幅方向Xの第2方向側X2に移動できても第2端部73y,74yでそれ以上の移動が規制される構成である場合と比較して、第2エッジホルダー79にかかる負荷が低減される。よって、第2エッジホルダー79の破損を抑制できる。
(2)各ガイドレール73,74は、支持部材70の第1側面70aまで連続している。すなわち、第1退避領域B1は、支持部材70の第1側面70aよりも第1方向側X1に位置している。このため、第1エッジホルダー78を支持部材70上から退避させることができる。
また、各ガイドレール73,74は、支持部材70の第2側面70bまで連続している。すなわち、第2退避領域B2は、支持部材70の第2側面70bよりも第2方向側X2に位置している。このため、第2エッジホルダー79を支持部材70上から退避させることができる。
(3)支持部材70は、搬送方向Yにおいて第1ガイドレール73と異なる位置に、幅方向Xに沿って延在する第2ガイドレール74を有する。エッジホルダー78,79は、第2ガイドレール74に係合する第2係合部88を有する。このため、エッジホルダー78,79が第1ガイドレール73と第1係合部81との係合のみによって、支持部材70に取り付けられている場合と比較して、エッジホルダー78,79が退避領域B1,B2に移動する際に搬送方向Yに対して傾くことを抑制できる。
(4)支持部材70における第1ガイドレール73と第2ガイドレール74との間に位置する部分が、第1係合部81及び第2係合部88によって搬送方向Yに挟持されていない場合、エッジホルダー78,79が退避領域B1,B2に移動する際の第1ガイドレール73に対する第1係合部81の移動量と第2ガイドレール74に対する第2係合部88の移動量との差が大きくなり易い。このため、エッジホルダー78,79が搬送方向Yに対して傾くことがある。
これに対し、本実施形態では、支持部材70における第1ガイドレール73と第2ガイドレール74との間に位置する部分は、第1係合部81及び第2係合部88によって搬送方向Yに挟持されている。このため、エッジホルダー78,79が退避領域B1,B2に移動する際の、第1ガイドレール73に対する第1係合部81の移動量と第2ガイドレール74に対する第2係合部88の移動量との差が小さくなる。よって、エッジホルダー78,79が搬送方向Yに対して傾くことをより抑制できる。
(5)幅方向Xにおいて支持部材70よりも第2方向側X2には、液体吐出ヘッド37のメンテナンスに用いられるメンテナンス装置としてのフラッシングボックス52が配置されている。フラッシングボックス52の上面は、ガイドレール73,74に第1係合部81及び第2係合部88が係合した状態の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置する。このため、フラッシングボックス52の上方Z1の空間が第2退避領域B2となる。この構成では、例えば、幅方向Xにおいて支持部材70とメンテナンス装置との間に隙間を設け、その隙間を退避領域とする場合と比較して、印刷装置10の幅方向Xへの大型化を抑制できる。
(6)フラッシングボックス52は、鉛直方向Zの上方Z1に開口する受容口52dを有する。搬送方向Yにおける受容口52dの寸法W52dは、搬送方向Yにおける第2エッジホルダー79の寸法W79よりも短い。このため、第2退避領域B2に移動した第2エッジホルダー79は、フラッシングボックス52に対し、搬送方向Yに架け渡されるように配置される。よって、第2エッジホルダー79がフラッシングボックス52の受容口52d内に落ちることを回避できる。
(7)筐体14は、幅方向Xにおける第1退避領域B1に対応する位置に第2開口部44bを有する。このため、ユーザーは、第1退避領域B1に移動した第1エッジホルダー78を第2開口部44bから回収できる。また、筐体14は、幅方向Xにおける第2退避領域B2に対応する位置に第3開口部44cを有する。このため、ユーザーは、第2退避領域B2に移動した第2エッジホルダー79を第3開口部44cから回収できる。
(8)筐体14は、幅方向Xにおける第1領域A1に対応する位置に第1開口部44aを有する。このため、ユーザーは、第1退避領域B1から回収した第1エッジホルダー78及び第2退避領域B2から回収した第2エッジホルダー79を、第1開口部44aから支持部材70上に戻すことができる。詳しくは、ユーザーは、回収したエッジホルダー78,79の第1係合部81を第1ガイドレール73に係合させるとともに、第2係合部88を第2ガイドレール74に係合させることで、支持部材70にエッジホルダー78,79を取り付けることができる。
(9)上記実施形態では、第1の隙間S1を第1退避領域B1として説明したが、例えば、キャリッジ32の運動エネルギーが大きい場合や、ジャム部分Mjの形状が衝撃を吸収し難い形状である場合には、第1エッジホルダー78は、第1の隙間S1を超えて第1方向側X1に移動することも考えられる。
本実施形態では、待機位置にあるときの待機キャップホルダー55の上面は、第1ガイドレール73に第1係合部81が係合し、第2ガイドレール74に第2係合部88が係合した状態の第1エッジホルダー78の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置している。これにより、第1方向側X1に押圧された第1エッジホルダー78が、第1の隙間S1を超えてキャップユニット51まで到達したとしても、待機キャップ55aは、第1エッジホルダー78の移動を妨げるような部材とならない。つまり、キャップユニット51の上方Z1の空間も第1退避領域B1となることができる。
(10)上記実施形態では、フラッシングボックス52の上方Z1の空間を第2退避領域B2として説明したが、例えば、キャリッジ32の運動エネルギーが大きい場合や、ジャム部分Mjの形状が衝撃を吸収し難い形状である場合には、第2エッジホルダー79は、フラッシングボックス52を超えて第2方向側X2に移動することも考えられる。
本実施形態では、フラッシングボックス52と吸引ユニット53との間には、第2の隙間S2が設けられている。これにより、第2方向側X2に押圧された第2エッジホルダー79全体が第2の隙間S2に落下することもある。つまり、第2の隙間S2も、第2退避領域B2となることができる。また、第2の隙間S2の深さは、第2エッジホルダー79の寸法L79よりも大きいので、第2の隙間S2に落下した第2エッジホルダー79の一部が鉛直方向Zに支持部材70の支持面70cよりも高い位置に突出することがない。このため、第2の隙間S2に落下した第2エッジホルダー79の一部とキャリッジ32との衝突を回避できる。
さらに、待機位置にあるときの吸引ユニット53の上面は、第1ガイドレール73に第1係合部81が係合し、第2ガイドレール74に第2係合部88が係合した状態の第2エッジホルダー79の板状部材80の第1面80aよりも下方Z2に位置する。これにより、第2方向側X2に押圧された第2エッジホルダー79が、フラッシングボックス52を超えて吸引ユニット53まで到達したとしても、吸引キャップ58aは、第2エッジホルダー79の移動を妨げるような部材とならない。つまり、吸引ユニット53の上方Z1の空間も第2退避領域B2となることができる。
(11)エッジホルダー78,79は、媒体Mの端部を押圧するための部材であるため、板状部材80の短手方向の寸法は、数cm程度あればよい。このとき、図12及び図14に示すように、一対の回動軸80cが、幅方向Xにおいて一対の挿通孔80hを挟むように配置されている場合、幅方向Xにおける一対の把持部87の間隔が狭くなることで、ユーザーが一対の把持部87を摘む際の操作性が低下する虞がある。これに対し、本実施形態では、一対の挿通孔80hは、幅方向Xにおいて一対の回動軸80cを挟むように配置されているため、幅方向Xにおける一対の把持部87の間隔を広く取ることができる。よって、ユーザーが一対の把持部87を摘む際の操作性が向上する。
(12)操作部82が後述するシザーズ構造である場合と比較して、搬送方向Yにおける一対の回動部83の長さを短くできるため、搬送方向Yにおいてエッジホルダー78,79が小型化される。よって、印刷装置10の搬送方向Yの大型化を抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・支持部材70には、第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79の何れか一方のみが設けられていてもよい。なお、第2支持部11bに第2エッジホルダー79のみが設けられる場合、実施形態の「第2方向側X2」が、請求項の「第1方向側」となり、実施形態の「第1方向側X1」が、請求項の「第2方向側」となる。
・支持部材70のリブ72は無くてもよい。この場合、支持部材70において媒体Mを支持する支持面70cは、プラテン本体71のベース面71aとなる。
・支持部材70は、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74の何れか一方のみを有していてもよい。この場合、第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79も、第1ガイドレール73に係合される第1係合部81、及び第2ガイドレール74に係合される第2係合部88の何れか一方のみを有する。
・支持部材70は、第1ガイドレール73及び第ガイドレール74の他にもガイドレールを有していてもよい。つまり、支持部材70は、3本以上のガイドレールを有していてもよい。例えば、支持部材70が第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74に加えて第3ガイドレールを有する場合、第1エッジホルダー78及び第2エッジホルダー79は、第1係合部81及び第2係合部88に加えて、第3ガイドレールに係合される第3係合部を有する。
・第1ガイドレール73は、プラテン本体71のベース面71aから突出する凸状であり、第1係合部81は、板状部材80の第1面80aから凹む凹状であってもよい。なお、第1ガイドレール73を凸状とする場合、第1ガイドレール73の上面は、リブ72の先端面と同じ高さ、もしくはリブ72の先端面よりも下方Z2に位置するものとする。
また、第2ガイドレール74は、プラテン本体71のベース面71aから突出する凸状であり、第2係合部88は、板状部材80の第1面80aから凹む凹状であってもよい。なお、第2ガイドレール74を凸状とする場合、第2ガイドレール74の上面は、リブ72の先端面と同じ高さ、もしくはリブ72の先端面よりも下方Z2に位置するものとする。
第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74を凸状とする場合、ガイドレール73,74は、幅方向Xにおいて支持部材70全体に設けられていなくてもよい。例えば、第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74は、支持部材70の幅方向Xの両端部には形成されていなくてもよい。この場合、支持部材70の幅方向Xにおいて第1ガイドレール73及び第2ガイドレール74が形成されていない部分の上方Z1が退避領域となる。
・エッジホルダー78,79の構成は、次のように変更してもよい。なお、操作部82の構成については、上記実施形態とほぼ同じ構成であるため、説明を省略する。
図12及び図14に示すように、一対の回動軸80cは、幅方向Xにおいて一対の挿通孔80hを挟むように配置されている。
図12及び図13では、スライド規制状態のエッジホルダー78,79を図示している。このとき、ユーザーは一対の把持部87を摘んでいないため、付勢部材84は、一対のアーム部86が幅方向Xにおいて互いに遠ざかるように、一対の回動部83を付勢している。第2係合部88の第2基部88aは、挿通孔80h内において搬送方向Yの下流側Y2に位置している。このときの搬送方向Yにおける第1係合部81の第1基部81aと第2係合部88の第2基部88aとの最長距離を第1距離P10とする。また、搬送方向Yにおける第1ガイドレール73の第2内側面73cと第2ガイドレール74の第4内側面74cとの最短距離をレール間距離Rとする。第1距離P10は、レール間距離R以下である。
第2係合部88の第2基部88aは、第4内側面74cを搬送方向Yの下流側Y2に付勢している。第1係合部81の第1基部81aは、第2内側面73cを搬送方向Yの上流側Y1に付勢している。また、第1突出片81bは、第1凹部73d外に位置し、第2突出片81cは、第2凹部73e内に位置している。つまり、第1係合部81は、第2ガイドレール74内において搬送方向Yの上流側Y1に位置している。第2突出片81cが第2凹部73e内に位置することにより、第1係合部81が第1ガイドレール73から脱落することが規制される。
エッジホルダー78,79がスライド規制状態にあるとき、第1係合部81は、支持部材70における第1ガイドレール73よりも上流側Y1に位置する部分を押圧し、第2係合部88は、支持部材70における第2ガイドレール74よりも下流側Y2に位置する部分を押圧する。よって、支持部材70に対するエッジホルダー78,79の幅方向Xへのスライドが規制される。また、エッジホルダー78,79には、媒体Mの浮き上がろうとする端部を板状部材80で規制し、支持部材70に向けて押圧する押圧力が生じる。
図14及び図15では、スライド可能状態のエッジホルダー78,79を図示している。ユーザーが一対の把持部87を近付けるように摘むことにより、一対の回動部83は、一対のアーム部86が互いに近付くように、回動軸80cを軸として回動する。このとき、第2ガイドレール74内における第2係合部88の搬送方向Yへの移動はほぼ許容されていないため、第2係合部88は、支持部材70に対して搬送方向Yにほとんど変位しない。
その一方で、板状部材80の挿通孔80h内における第2係合部88の移動は許容されている。このため、第2係合部88の第2基部88aは、回動部83が回動するのに伴って、挿通孔80h内で搬送方向Yの上流側Y1に移動する。言い換えると、板状部材80は、第2係合部88に対して、搬送方向Yの下流側Y2に相対移動する。板状部材80は、支持部材70に対して、搬送方向Yの下流側Y2に相対移動したともいえる。
また、第1ガイドレール73内における第1係合部81の移動も許容されている。このため、第1係合部81は、板状部材80が支持部材70に対して下流側Y2に相対移動するのに伴って、第1ガイドレール73内で搬送方向Yの下流側Y2に移動する。第1突出片81bは、第1凹部73d内に位置し、第2突出片81cは、第2凹部73e外に位置する。第1突出片81bが第1凹部73d内に位置することにより、第1係合部81が第1ガイドレール73から脱落することが規制される。
また、エッジホルダー78,79がスライド可能状態にあるときの搬送方向Yにおける第1係合部81の第1基部81aと第2係合部88の第2基部88aとの最長距離を第2距離P20とする。第2距離P20は、レール間距離Rよりも短い。このため、第1係合部81は、支持部材70における第1ガイドレール73よりも上流側Y1に位置する部分を押圧せず、第2係合部88も、支持部材70における第2ガイドレール74よりも下流側Y2に位置する部分を押圧しない。よって、エッジホルダー78,79は、支持部材70に対し、幅方向Xにスライド可能になる。
・操作部82の構成は、次のように変更してもよい。
図16及び図17に示すように、操作部82は、一対のアーム部91と、付勢部材92とを有する。アーム部91の長手方向の中央部同士は、一対のアーム部91がクロスするように接続部材93によって互いに接続されている。各アーム部91の長手方向の一端部には、環状の指掛部94が設けられ、各アーム部91の長手方向の他端部には、一対の第2係合部88が設けられている。第2係合部88は、上記実施形態と同様、板状部材80の挿通孔80hに挿通されるとともに、第2ガイドレール74に係合される。操作部82は、第2係合部88が作用点、接続部材93が支点、指掛部94が力点となるシザーズ構造である。
付勢部材92は、コイルばねである。付勢部材92は、一方のアーム部91の長手方向における接続部材93と指掛部94との間に位置する部分と、他方のアーム部91の長手方向における接続部材93と指掛部94との間に位置する部分とを幅方向Xに接続する。
図16では、スライド規制状態のエッジホルダー78,79を図示している。付勢部材92は、一対のアーム部91の長手方向における接続部材93と指掛部94との間に位置する部分が幅方向Xにおいて互いに遠ざかるように、一対のアーム部91を付勢している。このとき、一対のアーム部91の長手方向における接続部材93と第2係合部88との間に位置する部分も、互いに遠ざかるように付勢されている。
第2係合部88の第2基部88aは、挿通孔80h内において搬送方向Yの上流側Y1に位置している。このときの搬送方向Yにおける第1係合部81の第1基部81aと第2係合部88の第3突出片88bとの最短距離を第1距離P1とする。また、搬送方向Yにおける第1ガイドレール73の第1内側面73bと第2ガイドレール74の第3凹部74dの凹部底面との最短距離をレール間距離Qとする。第1距離P1は、レール間距離Q以下である。
第2係合部88の第3突出片88bは、第3凹部74dの凹部底面を搬送方向Yの上流側Y1に付勢している。第1係合部81の第1基部81aは、第1内側面73bを搬送方向Yの下流側Y2に付勢している。また、第1突出片81bは、第1凹部73d内に位置し、第2突出片81cは、第2凹部73e外に位置している。つまり、第1係合部81は、第2ガイドレール74内において搬送方向Yの下流側Y2に位置している。第1突出片81bが第1凹部73d内に位置することにより、第1係合部81が第1ガイドレール73から脱落することが規制される。
エッジホルダー78,79がスライド規制状態にあるとき、第1係合部81と第2係合部88とは、支持部材70における第1ガイドレール73と第2ガイドレール74との間に位置する部分を搬送方向Yに挟持する。よって、支持部材70に対するエッジホルダー78,79の幅方向Xへのスライドが規制される。また、エッジホルダー78,79には、媒体Mの浮き上がろうとする端部を板状部材80で規制し、支持部材70に向けて押圧する押圧力が生じる。
図17では、スライド可能状態のエッジホルダー78,79を図示している。ユーザーが一対の指掛部94に指を掛けて、一対の指掛部94同士を近付ける。すると、一対のアーム部91の長手方向における指掛部94と接続部材93との間に位置する部分が互いに近付くとともに、一対のアーム部91の長手方向における接続部材93と第2係合部88との間に位置する部分も互いに近付く。
このとき、第2ガイドレール74内における第2係合部88の搬送方向Yへの移動はほぼ許容されていないため、第2係合部88は、支持部材70に対して搬送方向Yにほとんど変位しない。
その一方で、板状部材80の挿通孔80h内における第2係合部88の移動は許容されている。このため、第2係合部88は、一対のアーム部91の長手方向における接続部材93と第2係合部88との間に位置する部分が互いに近付くのに伴って、挿通孔80h内で搬送方向Yの下流側Y2に移動する。言い換えると、板状部材80は、第2係合部88に対して、搬送方向Yの上流側Y1に相対移動する。板状部材80は、支持部材70に対して、搬送方向Yの上流側Y1に相対移動したともいえる。
また、第1ガイドレール73内における第1係合部81の移動も許容されている。このため、第1係合部81は、板状部材80が支持部材70に対して上流側Y1に相対移動するのに伴って、第1ガイドレール73内で搬送方向Yの上流側Y1に移動する。第1突出片81bは、第1凹部73d外に位置し、第2突出片81cは、第2凹部73e内に位置する。第2突出片81cが第2凹部73e内に位置することにより、第1係合部81が第1ガイドレール73から脱落することが規制される。
また、エッジホルダー78,79がスライド可能状態にあるときの搬送方向Yにおける第1係合部81の第1基部81aと第2係合部88の第3突出片88bとの最短距離を第2距離P2とする。第2距離P2は、レール間距離Qよりも長い。このため、支持部材70における第1ガイドレール73と第2ガイドレール74との間に位置する部分は、第1係合部81と第2係合部88とによって搬送方向Yに挟持されない。よって、エッジホルダー78,79は、支持部材70に対し、幅方向Xにスライド可能になる。
・エッジホルダー78,79は、操作部82の代わりに、板状部材80の第1面80aから突出するとともに、第2ガイドレール74に係合される第2係合部88を有していてもよい。
・エッジホルダー78,79の状態は、スライド規制状態とスライド可能状態とで変更可能でなくてもよい。つまり、エッジホルダー78,79の状態は、スライド規制状態、及びスライド可能状態の何れか一方であってもよい。
・エッジホルダー78,79をスライド規制状態とするための構成は適宜変更してもよい。例えば、第1係合部81及び第2係合部88を弾性部材によって形成してもよい。この場合、圧縮された状態の第1係合部81及び第2係合部88の復元力により、第1係合部81及び第2係合部88によって支持部材70を挟持する。
・キャップユニット51の上方Z1の空間を第1退避領域B1とする場合、第1の隙間S1は無くてもよい。
・第1エッジホルダー78が第1の隙間S1に脱落可能であれば、幅方向Xにおける第1の隙間S1の寸法LS1は、第1エッジホルダー78の厚さ方向の寸法H78より大きく、かつ幅方向Xにおける第1エッジホルダー78の寸法L78よりも小さくてもよい。
・第2の隙間S2は無くてもよい。
・第1退避領域B1内の上面は、平坦面、もしくは、支持部材70の第1側面70aから第1方向側X1に離れるほど段階的に低くなる階段状の面であってもよい。この場合、ガイドレール73,74との係合が解除された第1エッジホルダー78が第1退避領域B1内の上面に引っ掛かることを回避できる。
例えば、第1退避領域B1内の上面に上方へ突出する壁面がある構成では、ガイドレール73,74との係合が解除された第1エッジホルダー78が、第1退避領域B1内の突出する壁面に引っ掛かりそれ以上の移動が規制されたり、その引っ掛かった箇所を起点に回転し傾いたりする可能性がある。この場合、その移動が規制された第1エッジホルダー78に負荷がかかったり、傾いた第1エッジホルダー78の一部にキャリッジ32が衝突したりする可能性がある。これに対して、ガイドレール73,74との係合が解除された第1エッジホルダー78が第1退避領域B1内の上面に引っ掛かりの原因になる壁面が存在しない構成では、第2エッジホルダー79が第1退避領域B1内で引っ掛かることなく適切に退避できる。
同様に、第2退避領域B2内の上面は、平坦面、もしくは、支持部材70の第2側面70bから第2方向側X2に離れるほど段階的に低くなる階段状の面であってもよい。この場合、ガイドレール73,74との係合が解除された第2エッジホルダー79が第2退避領域B2内の上面に引っ掛かることを回避できる。
例えば、第2退避領域B2内の上面に上方へ突出する壁面がある構成では、ガイドレール73,74との係合が解除された第2エッジホルダー79が、第2退避領域B2内の突出する壁面に引っ掛かりそれ以上の移動が規制されたり、その引っ掛かった箇所を起点に回転し傾いたりする可能性がある。この場合、その移動が規制された第2エッジホルダー79に負荷がかかったり、傾いた第2エッジホルダー79の一部にキャリッジ32が衝突したりする可能性がある。これに対して、ガイドレール73,74との係合が解除された第2エッジホルダー79が第2退避領域B2内の上面に引っ掛かりの原因になる壁面が存在しない構成では、第2エッジホルダー79が第2退避領域B2内で引っ掛かることなく適切に退避できる。
・幅方向Xにおける第2の隙間S2の寸法LS2は、幅方向Xにおける第2エッジホルダー79の寸法L79よりも大きくてもよい。
・メンテナンスユニット15を構成するメンテナンス装置の数及び種類は適宜変更してよい。
・液体吐出ヘッド37のノズル開口面37aは、キャリッジ32の下面32aよりも鉛直方向Zの下方Z2に突出していてもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を、その作用効果とともに以下に記載する。
(A)印刷装置は、搬送される媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドを支持し、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に沿って走査されるキャリッジと、前記幅方向に沿って延在する第1ガイドレール、及び前記媒体を支持可能な支持面を有する支持部材と、前記第1ガイドレールに係合する第1係合部、及び前記幅方向における第1方向側の前記媒体の第1端部を覆う板状部材を有するエッジホルダーと、を備え、前記第1ガイドレールの前記幅方向における前記第1方向側の端部よりも前記第1方向側には、前記第1ガイドレールと前記第1係合部との係合状態が解除された状態の前記エッジホルダーを配置可能な退避領域が設けられている。
この構成によれば、媒体のジャム発生時において、キャリッジが媒体のジャム部分を介してエッジホルダーを第1方向側に押圧すると、第1ガイドレールと第1係合部との係合状態が解除され、エッジホルダーは退避領域に移動する。このため、エッジホルダーが支持部材に固定されており、幅方向に移動不能な場合、及び幅方向にガイドレールに沿って移動できてもレール端でそれ以上の移動が規制される構成である場合と比較して、エッジホルダーにかかる負荷が低減される。よって、エッジホルダーの破損を抑制できる。
(B)上記印刷装置において、前記第1ガイドレールは、前記支持部材の前記第1方向側の側面まで連続し、前記退避領域は、前記側面よりも前記第1方向側に位置していてもよい。
この構成によれば、支持部材上からエッジホルダーを退避させることができる。
(C)上記印刷装置において、前記支持部材は、前記搬送方向において前記第1ガイドレールと異なる位置に、前記幅方向に沿って延在する第2ガイドレールを有し、前記エッジホルダーは、前記第2ガイドレールに係合する第2係合部を有していてもよい。
この構成によれば、エッジホルダーが第1ガイドレールと第1係合部との係合のみによって、支持部材に取り付けられている場合と比較して、エッジホルダーが退避領域に移動する際に搬送方向に対して傾くことを抑制できる。
(D)上記印刷装置において、前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールはそれぞれ、前記支持面から凹む凹状であり、前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記板状部材から前記支持部材に向けて突出する凸状であり、前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記支持部材における前記第1ガイドレールと前記第2ガイドレールとの間に位置する部分を挟持可能であってもよい。
支持部材における第1ガイドレールと第2ガイドレールとの間に位置する部分が、第1係合部及び第2係合部によって搬送方向に挟持されていない場合、エッジホルダーが退避領域に移動する際の、第1ガイドレールに対する第1係合部の移動量と第2ガイドレールに対する第2係合部の移動量との差が大きくなり易い。このため、エッジホルダーが搬送方向に対して傾くことがある。
これに対し、支持部材における第1ガイドレールと第2ガイドレールとの間に位置する部分が、第1係合部及び第2係合部によって搬送方向に挟持されることにより、エッジホルダーが退避領域に移動する際の、第1ガイドレールに対する第1係合部の移動量と第2ガイドレールに対する第2係合部の移動量との差が小さくなる。よって、エッジホルダーが搬送方向に対して傾くことをより抑制できる。
(E)上記印刷装置において、前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールはそれぞれ、前記支持面から凹む凹状であり、前記第1ガイドレールの前記搬送方向に対向する一対の内側面のうち、前記第2ガイドレールに近い方の内側面を第1内側面とし、前記第2ガイドレールから遠い方の内側面を第2内側面とし、前記第2ガイドレールの前記搬送方向に対向する一対の内側面のうち、前記第1ガイドレールに近い方の内側面を第3内側面とし、前記第1ガイドレールから遠い方の内側面を第4内側面としたとき、前記第1係合部は、前記板状部材から前記支持部材に向けて突出する凸状であるとともに、前記第2内側面を押圧可能であり、前記第2係合部は、前記板状部材から前記支持部材に向けて突出する凸状であるとともに、前記第4内側面を押圧可能であってもよい。
第1係合部が第1内側面及び第2内側面から離間し、第2係合部が第3内側面及び第4内側面から離間している場合、エッジホルダーが退避領域に移動する際の第1ガイドレールに対する第1係合部の移動量と第2ガイドレールに対する第2係合部の移動量との差が大きくなり易い。このため、エッジホルダーが搬送方向に対して傾くことがある。
これに対し、第1係合部が第2内側面を押圧し、第2係合部が第4内側面を押圧することにより、エッジホルダーが退避領域に移動する際の第1ガイドレールに対する第1係合部の移動量と第2ガイドレールに対する第2係合部の移動量との差が小さくなる。よって、エッジホルダーが搬送方向に対して傾くことをより抑制できる。
(F)上記印刷装置において、前記幅方向において前記支持部材よりも前記第1方向側に配置され、前記液体吐出ヘッドのメンテナンスに用いられるメンテナンス装置を備え、前記メンテナンス装置の上面は、前記第1ガイドレールに前記第1係合部が係合した状態の前記板状部材の下面より下方に位置していてもよい。
この構成によれば、メンテナンス装置の上方の空間が退避領域となる。このため、例えば、幅方向において支持部材とメンテナンス装置との間に隙間を設け、その隙間を退避領域とする場合と比較して、印刷装置の幅方向への大型化を抑制できる。
(G)上記印刷装置において、前記メンテナンス装置は、前記幅方向及び前記搬送方向と交差する鉛直方向の上方に向かって開口する受容口を有するフラッシングボックスを含み、前記受容口の前記搬送方向の寸法は、前記搬送方向における前記エッジホルダーの寸法よりも短くてもよい。
この構成によれば、退避領域に移動したエッジホルダーは、フラッシングボックスに対し、搬送方向に架け渡されるように配置される。よって、エッジホルダーがフラッシングボックスの受容口内に落ちることを回避できる。
(H)上記印刷装置において、前記キャリッジ、前記支持部材、及び前記エッジホルダーを収容する筐体を備え、前記筐体は、前記幅方向における前記退避領域に対応する位置に開口部を有していてもよい。
この構成によれば、退避領域に移動したエッジホルダーを開口部から回収できる。