JP2021133342A - 中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法 - Google Patents

中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凝縮水を効果的に除去できる、中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法の提供。【解決手段】廃水処理中に、廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される、廃水処理用の中空糸膜11と、中空糸膜11の第1端11xが挿入され、及び固定される、中空状の部材である第1ハウジング12Aと、中空糸膜11の第2端11yが挿入され、及び固定される、中空状の部材である第2ハウジング12Bとを備え、中空糸膜11の第1端11xは、第1ハウジング12Aの内部空間12xに開口し、中空糸膜11の第2端11yは、第2ハウジング12Bの内部空間12yに開口する中空糸膜モジュールであって、第2ハウジング12Bが、第2ハウジング12Bの内部空間12yの最下部12zに開口し、第2ハウジング12Bの内部空間12yを画成する隔壁12qを貫通するガス排出孔12hを有する、中空糸膜エレメント10。【選択図】図1

Description

本発明は、中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法に関する。
近年、工業廃水及び生活廃水の処理方法として、メンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクター(MABR)を用いる生物学的水処理方法が注目されている。MABRは、中空糸膜の外表面に、廃水中の微生物等に由来する微生物層(バイオフィルム)を形成し、中空糸膜の内面側から酸素を供給するバイオリアクターである。MABRでは、微生物層の膜厚方向で酸素濃度勾配が形成される。これにより、微生物層の内層側において好気処理(硝化)が進行するとともに、微生物層の外層側において硝酸の嫌気処理(脱窒)が進行するので、ワンプロセスで各種の汚染物質を除去することが可能になる。従って、従来の膜分離活性汚泥法のような、好気処理と嫌気処理とを別々の処理槽で行う方法に比べて省スペースの設備が実現できる。
また、MABRは、微生物層を備えることで従来に比べて酸素溶解効率を高められることから、酸素を供給するブロワの稼働負荷を抑制できるとともに、スラッジの発生も低減できるので、設備全体のランニングコストを低減することが可能になる。さらに、微生物層の形成により、中空糸膜の膜表面積を大きく確保できるので、廃水の流入負荷変動に対して安定的に処理を行うことが可能になる。よって、MABRは、各種の廃水処理装置等において広く導入検討が進められている。
特許文献1には、反応槽内で好気性生物処理を行う好気性生物処理装置において、前記反応槽はプラグフロー反応槽であり、前記反応槽内の被処理水流入側は、酸素溶解膜によって酸素を前記反応槽内の被処理水に溶解させるMABR方式となっており、前記反応槽の処理水出口側は、MABR以外の処理方式となっていることを特徴とする好気性生物処理装置が記載されている。
特開2018−153731号公報
MABRでは、中空糸膜モジュールを被処理水である廃水中に浸漬する。中空糸膜モジュールに供給するガスを充分に除湿した場合であっても、廃水からの水蒸気が膜を透過して中空糸膜の内部に侵入した水蒸気や、中空糸膜モジュールに供給する気体(酸素、空気等)に含まれる水蒸気が、凝縮して水(凝縮水)となって、中空糸膜の内部に存在する場合がある。中空糸膜の内部に水が存在すると、ガス透過膜の酸素透過係数の低下及び有効膜面積の低下が生じ、運転効率の低下につながる。
そのため、通常、MABRでは、中空糸膜の内部の水を排出するための排出ラインが設けられている。
しかし、凝縮水を完全に排出することは困難であり、中空糸膜モジュールのハウジングの内部空間に凝縮水が溜まってしまうことがある。そうすると、複数の中空糸膜に酸素を含むガスが均等に供給されなくなり、運転効率が低下してしまう。
本発明は、凝縮水を効果的に除去できる、中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 廃水処理中に、廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される、廃水処理用の中空糸膜と、
前記中空糸膜の第1端が挿入された状態で固定される、中空状の部材である第1ハウジングと、
前記中空糸膜の第2端が挿入された状態で固定される、中空状の部材である第2ハウジングと、
を備え、
前記中空糸膜の第1端は、前記第1ハウジングに挿入された状態で固定されるとともに、前記第1ハウジングの内部空間に開口し、
前記中空糸膜の第2端は、前記第2ハウジングに挿入された状態で固定されるとともに、前記第2ハウジングの内部空間に開口する、中空糸膜モジュールであって、
前記第2ハウジングは、前記第2ハウジングの内部空間の最下部に開口し、前記第2ハウジングの内部空間を画成する隔壁を貫通するガス排出孔を有する、
中空糸膜エレメント。
[2] 前記中空糸膜が中空糸膜シート状物である、[1]に記載の中空糸膜エレメント。
[3] 前記中空糸膜は、多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、最外層に前記多孔質層が配置されている、[2]に記載の中空糸膜エレメント。
[4] 前記多孔質層が複数設けられ、前記非多孔質層が複数の前記多孔質層の間に配置されている、[3]に記載の中空糸膜エレメント。
[5] 前記多孔質層がポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなる、[3]又は[4]に記載の中空糸膜エレメント。
[6] 前記第1ハウジング、前記中空糸膜及び前記第2ハウジングが、鉛直方向上方からこの順で配置されている、[1]〜[5]ののいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[7] 前記第1ハウジング、前記中空糸膜及び前記第2ハウジングが、水平方向にこの順で配置されている、[1]〜[5]ののいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[8] 前記ガス排出孔に液密かつ気密に接続されるガス排出ラインをさらに備える、[1]〜[7]ののいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[9] [8]に記載の中空糸膜エレメントの複数を含む中空糸膜モジュールであって、
前記ガス排出ラインが接続される、中空状の集気部材をさらに備え、
前記集気部材は、前記集気部材の内部空間の最下部に開口し、前記集気部材の内部空間を画成する隔壁を貫通するガス総排出孔を有する、
中空糸膜モジュール。
[10] 前記ガス総排出孔に液密かつ気密に接続されるガス総排出ラインをさらに備える、[9]に記載の中空糸膜モジュール。
[11] [1]〜[8]ののいずれかに記載の中空糸膜エレメント、又は[9]若しくは[10]に記載の中空糸膜モジュールを備える、廃水処理装置。
[12] [11]に記載の廃水処理装置を用いて廃水を処理する廃水処理方法であって、
前記中空糸膜の表面に、前記廃水中の微生物に由来する微生物層を形成させた後、前記中空糸膜の中空部に酸素を含む気体を供給する、廃水処理方法。
本発明によれば、凝縮水を効果的に除去できる、中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法を提供できる。
図1は、本発明の中空糸膜エレメントの第1の実施形態を説明する模式図である。 図2は、本発明の中空糸膜エレメントの第1の実施形態の変形例を説明する模式図である。 図3は、本発明の中空糸膜モジュールの第1の実施形態を説明する模式図である。 図4は、本発明の中空糸膜エレメントの第2の実施形態を説明する模式図である。 図5は、本発明の中空糸膜エレメントの第2の実施形態の変形例を説明する模式図である。 図6は、本発明の中空糸膜モジュールの第2の実施形態を説明する模式図である。 図7は、本発明に係る中空糸膜の一例を説明するための、中空糸膜の複層構造を示す部分斜視図である。 図8は、本発明に係る中空糸膜の一例を説明するための、中空糸膜に備えられる多孔質層の表面に微生物層が形成された状態を示す部分斜視図である。 図9は、本発明に係る中空糸膜の一例を説明するための、微生物層における好気処理領域及び嫌気処理領域を示す概略図である。 図10は、本発明の生物処理装置の一例を説明する模式図である。
「〜」を用いて表される数値範囲は、両端の数値を含む。
以下、本発明に係る廃水処理装置及び廃水処理方法の一実施形態を挙げ、図1〜7を適宜参照しながら詳述する。
[中空糸膜エレメント]
〈第1の実施形態〉
《基本例》
図1は、本発明の中空糸膜エレメントの第1の実施形態を説明する模式図である。
図1に示す中空糸膜エレメント10は、中空糸膜11と、第1ハウジング12Aと、第2ハウジング12Bと、を備える。
なお、図1に示すように、第1ハウジング12Aと、中空糸膜11と、第2ハウジング12Bとが、鉛直方向上方からこの順に配置されている中空糸膜エレメントを、後述する変形例と区別する意味で、基本例という場合がある。
中空糸膜11は、廃水処理用の中空糸膜であり、廃水処理中に、廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される。
第1ハウジング12Aは、中空状の部材であり、中空糸膜11の第1端11xが、第1ハウジング12A内に挿入され、及び固定されるとともに、第1ハウジング12Aの内部空間12xに開口する。
第1ハウジング12Aでは、隔壁12pにより、内部空間12xと外部空間とが隔てられる。
第2ハウジング12Bは、中空状の部材であり、中空糸膜11の第2端11yが、第2ハウジング12B内に挿入され、及び固定されるとともに、第2ハウジング12Bの内部空間12yに開口する。
第2ハウジング12Bでは、隔壁12qにより、内部空間12yと外部空間とが隔てられる。
中空糸膜11は、第1ハウジング12Aと第2ハウジング12Bとの間で保持される。
図示例では、第1ハウジング12Aにガス供給ライン120が接続され、酸素含有ガスが第1ハウジング12Aの内部空間12xに供給されるように構成されている。酸素含有ガスとしては、例えば、空気及び酸素ガスが挙げられる。
図示例では、第2ハウジング12Bは、第2ハウジング12Bの内部空間12yの最下部12zに開口し、第2ハウジング12Bの内部空間12yを画成する隔壁12qを貫通するガス排出孔12hを有する。
ガス排出孔12hには、ガス排出孔12hに液密かつ気密に接続されるガス排出ライン121が接続されることが好ましい。図1に示す例では、ガス排出ライン121のガス排出孔12h側と反対側の端は、廃水の水面よりも上に出ていることが好ましい。
中空糸膜11の内部に生じた凝縮水は、ガス供給ライン120を通じて供給される酸素含有ガスによって、第2ハウジング12Bの内部空間12yに押し出される。
図1に示す中空糸膜エレメント10では、第2ハウジング12Bの内部空間12yの底部は、最下部12zに向かって傾斜している。そのため、内部空間12yに押し出された凝縮水は、重力により最下部12zに移動する。最下部12zに移動した凝縮水は、ガス供給ライン120を通じて供給される酸素含有ガスによって、ガス排出孔12hからガス排出ライン121を通じて、排出される。このようにして、中空糸膜エレメントから凝縮水が排出されるので、中空糸膜11の内表面積が減少したり、酸素含有気体の流路が閉塞したりすることが抑制される。
《変形例》
図1に示す中空糸膜エレメント10では、第2ハウジング12Bの内部空間12yの底部が一方向に向かって傾斜しているが、傾斜の方向はこれのみに限定されるものではない。例えば、図2に示す本実施形態の変形例である中空糸膜エレメント10では、第2ハウジング12Bの内部空間12yの底部が中央付近に向かって傾斜している。
なお、図1、図2では図示を省略しているが、例えば、第1ハウジング12Aと第2ハウジング12Bとの間に、第1ハウジング12A及び第2ハウジング12Bの両端部同士を接続するように、棒状部材等からなる一対の支柱を設けることがより好ましい。このような一対の支柱を設け、第1ハウジング12Aと第2ハウジング12Bとが一定の間隔を保持することで、中空糸膜エレメント10の形態を維持できる。
〈第2の実施形態〉
本発明の中空糸膜エレメントの第1の実施形態では、図1、図2に示すように、第1ハウジング、中空糸膜及び第2ハウジングが、鉛直方向上方からこの順で配置されている状態を示した。しかし、本発明は、これに限定されず、例えば、図4、図5に示すように、第1ハウジング、中空糸膜及び第2ハウジングが、水平方向にこの順で配置されてもよい(第2の実施形態)。
図4、図5に示す中空糸膜エレメント10’は、それぞれ、図1、図2に示す中空糸膜エレメント10の第1ハウジング12A、中空糸膜11、第2ハウジング12Bを、水平方向にこの順に配置するように変更したものである。
〈中空糸膜〉
中空糸膜11は、中空糸膜シート状物が好ましい。中空糸膜シート状物は、複数の中空糸膜1をシート状としたものである。以下では、中空糸膜1の一実施形態について説明する。
図7、図8に示す中空糸膜1は、廃水処理中において、廃水中の微生物に由来する微生物層6が表面に形成されるものである。
図示例の中空糸膜1は、2層の多孔質層(第1多孔質層2、第2多孔質層4)と1層の非多孔質層3とを含む複層構造とされているとともに、最外層に第2多孔質層4が配置されている。図示例においては、2層の多孔質層(第1多孔質層2、第2多孔質層4)の間に非多孔質層3が配置された3層構造とされている。以下では、最内層に配置された多孔質層を第1多孔質層2といい、最外層に配置された多孔質層を第2多孔質層4という。図示例において、微生物層6は、中空糸膜1の表面、すなわち、第2多孔質層4の表面(非多孔質層3と接する側とは反対側の面)4aに形成される。
また、図示例の中空糸膜1は、最内層である第1多孔質層2の内面(非多孔質層3と接する側とは反対側の面)2b側が中空部5とされている。この中空部5に酸素を供給することで、内面2b側から外層側の第2多孔質層4の表面4aに向けて酸素を透過させることが可能に構成されている。
(多孔質層)
本実施形態の中空糸膜1において、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の2層の多孔質層は、非多孔質層3を介して同心状に配置されている。また、図示を省略するが、第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、それぞれ、複数の細孔を有する膜から構成されており、これら第1多孔質層2及び第2多孔質層4の全周にわたって細孔が形成されている。
本実施形態において、第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される細孔とは、少なくとも内表面側から外表面までの連通孔を意味する。例えば、図7に示すように、第1多孔質層2においては、内面2b側から外面(非多孔質層3と接する側の面)2a側までの連通孔を意味し、第2多孔質層4においては、内面(非多孔質層3と接する側の面)4b側から表面4a側までの連通孔を意味する。
また、本実施形態で説明する「細孔」とは、三次元的な構造を形成している膜基材の隙間の空間を表し、内面側から表面(外面)側に向けて酸素が透過する際の、酸素の通り道となる部分を意味する。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、例えば、溶融延伸法により形成される。溶融延伸法とは、まず、多孔質層の材料となる樹脂を融点以上の流動状態に加熱し、これを筒状に吐出する。次いで、吐出された流動状態にある樹脂を冷却することで非流動状態にし、形状を固定する。その後、形状が固定された樹脂に対して最適条件で延伸加工を施すことで、多孔質構造が形成される。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなることが、酸素透過性をより高める観点から好ましい。多孔質層が上記の樹脂の1つ以上を含む材料からなることで、上記のような多孔質構造に制御しながら形成することが可能になり、酸素透過性がより高められるとともに、耐酸化劣化性、耐薬品性、耐熱性及び機械的耐久性を付与できる。また、製膜原液を調整する際の溶剤への溶解性も良好となる。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、同じ材料からなるものでもよいし、異なる材料からなるものでもよい。特に、第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、それぞれポリオレフィン系樹脂を含む材料からなることが好ましい。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4の各膜厚は、多孔質層全体の合計膜厚、すなわち、図示例における第1多孔質層2と第2多孔質層4との合計の平均膜厚Dpが10〜100μmとなるような膜厚が好ましい。各多孔質層の合計の平均膜厚Dpが10μm以上であれば、中空糸膜1全体における十分な機械的強度の確保に寄与できる。一方、各多孔質層の合計の平均膜厚Dpが100μm以下であれば、必要以上に膜の外径が大きくなることがないので、中空糸膜1をモジュール化する際の膜の充填量が小さくなることを防止できる。
また、上記の観点からは、各多孔質層の合計の平均膜厚Dpは、15〜90μmがより好ましく、20〜80μmがさらに好ましい。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4の平均膜厚は、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、この画像を解析して第1多孔質層2及び第2多孔質層4の膜厚を複数箇所(5箇所)で測定し、その平均値を求めたものである。
本実施形態の中空糸膜1においては、後述の微生物層6を除いた最外層に多孔質層が配置されている。このように、微生物層6を除いた最外層に多孔質層が配置されることで、十分な酸素透過性を確保することができるとともに、表面に微生物が付着しやすくなる効果が得られる。図示例においては、第2多孔質層4が最外層とされ、その表面4aに後述の微生物層6が形成される。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される複数の細孔の平均細孔径は、それぞれ0.01〜5μmが好ましい。第1多孔質層2及び第2多孔質層4における細孔の平均細孔径が0.01μm以上であれば、酸素透過に対して影響のある抵抗とはなりにくい。また、第1多孔質層2及び第2多孔質層4における細孔の平均細孔径が5μm以下であれば、十分な膜強度が得られる。
また、上記の観点からは、第1多孔質層2及び第2多孔質層4における細孔の平均細孔径は、それぞれ0.03〜4μmがより好ましく、0.05〜3μmがさらに好ましい。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される複数の細孔の平均細孔径は、SEMを用いて多孔質層の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定して、これら30個の細孔の最長径を平均して求めた値である。
(非多孔質層)
本実施形態の中空糸膜1において、非多孔質層3は、第1多孔質層2と第2多孔質層4との間に単層で設けられている。
非多孔質層3は、例えばスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂及びシリコーン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなることが好ましい。非多孔質層3が上記の樹脂の1つ以上を含む材料からなることで、十分な酸素透過性を確保しながら、中空糸膜1全体の機械的強度をより高めることが可能になる。
非多孔質層3の平均膜厚は、0.3〜10μmが好ましい。非多孔質層3の平均膜厚が0.3μm以上であれば、製造時に欠陥が発生することなく、安定的に生産することが可能になる。また、非多孔質層3の平均膜厚が10μm以下であれば、実使用において影響があるような酸素透過性の低下を抑制できる。
また、上記の観点から、非多孔質層3の平均膜厚は、0.5〜8μmがより好ましく、1〜6μmがさらに好ましい。
非多孔質層3の平均膜厚は、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、この画像を解析して非多孔質層3の膜厚を複数箇所(5箇所以上)で測定し、その平均値を求めたものである。
図9に示すように、非多孔質層3の合計の平均膜厚Dn、すなわち、単層とされた非多孔質層3の平均膜厚Dnと、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の合計の平均膜厚Dp、すなわち、第1多孔質層2と第2多孔質層4との合計の平均膜厚Dpとは、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たすことが好ましい。
非多孔質層3の平均膜厚Dnと第1多孔質層2及び第2多孔質層4の平均膜厚Dpとの関係が上記式で表される関係を満たすことで、第1多孔質層2及び第2多孔質層4及び非多孔質層3の全体膜厚に対する非多孔質層3の膜厚の割合が小さくなる。したがって、実使用に適した十分な機械的強度を確保しながら非多孔質層を薄膜化できるので、酸素透過性をより高められる。
また、上記の観点からは、非多孔質層3の合計の平均膜厚Dnと第1多孔質層2及び第2多孔質層4の合計の平均膜厚Dpとの関係は、次式{0.007≦Dn/Dp≦0.9}で表される関係がより好ましく、次式{0.01≦Dn/Dp≦0.8}で表される関係がさらに好ましい。
(微生物層)
微生物層6は、例えば、中空糸膜1をモジュール又はモジュールユニットとして廃水処理に使用する際に、別の廃水処理場等で既に使用している活性汚泥を種として微生物を増殖処理し、所定濃度としたものに中空糸膜を浸漬させることで、微生物に由来して、中空糸膜1の表面(第2多孔質層4の表面4a)に形成されるものである。
上記の活性汚泥は、廃水の種類によって様々な成分構成・割合が存在するが、廃水中に含まれるBOD(有機物)成分や栄養分(窒素、りん等)を食物とし、増殖を行ったものを用いることができる。そして、これに含まれる微生物や菌に由来する層として、第2多孔質層4の表面4aに微生物層6が形成される。
図8は、微生物層6における好気処理領域及び嫌気処理領域を模式的に示す概略図である(図9も参照)。図8に示すように、本実施形態の中空糸膜1は、微生物層6が形成されることで、中空糸膜1の中空部5から第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4を順に透過した酸素が微生物層6内で溶解拡散し、微生物層6の膜厚方向において酸素勾配(濃度)が形成され、内層側においては酸素に富んだ好気状態となる一方、外層側は酸素が減少した嫌気状態となる。これにより、微生物層6は、内層側に好気処理領域6Aが形成され、外層側に嫌気処理領域6Bが形成された状態となる(図9を参照)。
そして、好気処理領域6Aにおいては、好気処理(BOD酸化)によって廃水中に含まれるアンモニアの酸化が進行し、硝酸化される。さらに、嫌気処理領域6Bにおいては、嫌気処理(BOD酸化)によって、好気処理領域6Aで生じた硝酸が、嫌気バクテリアによって窒素として処理され、脱窒される。これにより、好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで行うことができるので、従来、好気処理と嫌気処理とを別々の処理槽で行っていた場合に比べ、省スペースの設備が実現できるとともに、処理効率も向上する。
なお、微生物層6の膜厚としては特に限定されず、所定以上の厚み、又は所定の処理時間に達したところで空気によるバブリング洗浄等の操作を行い、最適な好気処理及び嫌気処理を行うことが可能な膜厚に調整すればよい。
(中空糸膜の外形状及び平均外径D)
中空糸膜1の外形状としては特に限定されず、例えば略円筒状に構成し、上記のように、細孔を有する第2多孔質層4が最外層に配置され、この第2多孔質層4を覆うように微生物層6が形成されるように構成することができる。ここで、本実施形態で説明する中空糸膜1の外形状とは、微生物層6を除いた状態での外形状、及び、第2多孔質層4の表面に微生物層6が形成された状態での外形状の両方を含む。
なお、本実施形態で説明する「略円筒状」とは、長手方向に垂直な任意の断面の形状が、例えば、真円形、卵形、長円形、楕円形等のオーバル形である立体形状を意味する。
なお、図7、図8に示すように、第1多孔質層2と第2多孔質層4との間に非多孔質層3が配置されている場合、これらの界面においては、第1多孔質層2及び第2多孔質層4からなる領域と、非多孔質層3からなる領域とが、互いに若干入り込んでいても構わない。
中空糸膜1の外径は特に限定されないが、微生物層6を除く平均外径Dで0.01〜3.0mmが好ましい。中空糸膜1の平均外径Dが3.0mm以下であることで、膜モジュール化する際に膜の充填量が小さくなることを防止できる。また、中空糸膜1の平均外径Dが0.01mm以上であることで、中空部5の内径を十分に確保できるので、中空部5を流れる酸素の流量が圧力損失等によって低下する影響を軽減できる。
また、中空糸膜1の平均外径Dは、第2多孔質層4の表面4aに形成される微生物層6が剥がれ落ちない程度の表面積を確保できる寸法がより好ましい。
なお、本実施形態で説明する「中空糸膜の平均外径D」とは、微生物層6が形成される前の中空糸膜1を長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁を内接する最少の円の直径を意味する。また、この中空糸膜1の平均外径Dは、上記の切断面における任意の3箇所以上、10箇所以下測定し、その平均値として求めることができる。
(中空糸膜の製造方法)
中空糸膜1は、例えば、紡糸工程と延伸工程とにより製造できる。紡糸工程と延伸工程との間に、アニール工程を行うことが好ましい。
・紡糸工程
図示例のように、1層の非多孔質層3を2層の第1多孔質層2及び第2多孔質層4で挟みこんだ3層構造である中空糸膜1を製造する場合、最内層ノズル部、中間層ノズル部、最外層ノズル部が同心円状に配された複合ノズル口金を用い、紡糸工程を行う。具体的には、最内層ノズル部には、第1多孔質層2を形成する材料を溶融状態で供給する。中間層ノズル部には、非多孔質層3を形成する材料を溶融状態で供給する。最外層ノズル部には、第2多孔質層4を形成する材料を溶融状態で供給する。ついで、各材料を各ノズル部から押し出し、巻き取る。
各材料押し出す際の吐出温度は、各材料がそれぞれ十分に溶融し、紡糸可能な温度であればよい。
押出速度と巻取速度を適宜調節しつつ、未延伸状態で冷却固化することにより、中空糸膜前駆体が得られる。中空糸膜前駆体は、1層の未延伸の非多孔質層前駆体が、非多孔質状態である2層の多孔質層前駆体で挟まれた3層構造を有する。
・アニール工程
紡糸工程で得られた中空糸膜前駆体は、延伸工程の前に各材料の融点以下で、定長熱処理(アニール処理)することが好ましい。定長熱処理は、第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料としてポリエチレンを用いた場合には、105℃以上130℃以下で、8〜16時間行うことが好ましい。定長熱処理の温度が105℃以上であれば、品質の良好な中空糸膜1が得られやすい。定長熱処理の温度が130℃以下であれば、十分な伸度が得られやすく、延伸時の安定性が向上し、高倍率での延伸が容易になる。また、処理時聞が8時間以上であれば、品質の良好な中空糸膜1が得られやすい。
・延伸工程
延伸工程では、紡糸工程で得られた中空糸膜前駆体又はアニール処理された中空糸膜前駆体を、第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料のビカット軟化点以下の延伸温度Tで延伸することが好ましい。延伸温度Tが第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料のビカット軟化点以下であれば、中空糸膜1の孔径を拡大できる。延伸温度Tがビカット軟化点を超えると、結晶ラメラ構造が崩れやすくなり、逆に一旦開孔された多孔質部が閉塞する場合がある。
延伸工程では、必要に応じて上述のアニール工程を行った後、延伸温度Tで行う延伸(熱延伸)の前に、冷延伸を行うことが好ましい。具体的には、冷延伸に引き続いて熱延伸を行う2段延伸、又は、冷延伸に引き続いて熱延伸を2段以上の多段に分割して行う多段延伸が好ましい。
冷延伸は、比較的低い温度下で膜の構造破壊を起きせ、ミクロなクラッキングを発生させる延伸である。冷延伸の温度は、0℃から、ビカット軟化点−20(℃)よりも低い温度までの範囲内が好ましい。
延伸倍率は、非多孔質層3を形成する材料や、第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料に応じて適宜設定できるが、未延伸の中空糸膜前駆体に対する最終的な倍率(総延伸倍率)を2〜5倍とすることが好ましい。総延伸倍率が2倍以上であれば、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の空孔率が高くなりやすく、優れた酸素透過性が得られやすい。総延伸倍率が5倍以下であれば、中空糸膜1の破断伸度が高くなりやすい。
延伸後の中空糸膜1に対しては、中空糸膜の寸法安定性を向上させるため、中空糸膜1を定長の状態、又は、定長に対して70%以下の範囲内で少し弛緩させた状態で、緩和熱セットを行うことが好ましい。緩和熱セットを効果的に行うためには、緩和熱セット温度は、延伸温度T以上が好ましい。また、緩和熱セット温度は、非多孔質層3を形成する材料及び第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料のいずれか低い方の融点以下が好ましい。
(中空糸膜の有利な点)
本実施形態の中空糸膜1は第1多孔質層2及び第2多孔質層4及び非多孔質層3を含む複層構造を採用しているので、第1多孔質層2及び第2多孔質層4による高い酸素透過性、並びに非多孔質層3による高い膜強度を両立でき、優れた水処理効率及び機械的特性が得られる。また、廃水処理中に中空糸膜1の表面に微生物層6が形成され、この微生物層6の膜厚方向で酸素が効果的に拡散溶解し、さらに、酸素が豊富な好気処理領域6Aと、酸素が少ない嫌気処理領域6Bとが形成されるので、好気処理と嫌気処理とをワンプロセスで行うことが可能になる。
(中空糸膜の他の実施形態)
中空糸膜は上述した実施形態に限定されない。
例えば、中空糸膜は1層の多孔質層を含むものでもよいし、3層以上の多孔質層を含むものでもよい。ただし、いずれの場合も最外層に多孔質層が配置される。
また、中空糸膜は2層以上の非多孔質層を含むものでもよい。
さらに、中空糸膜は、多孔質層、非多孔質層及び微生物層に加えて、これら以外の層(他の層)を含んでいてもよい。他の層を備える構成を採用する場合には、他の層を高い酸素透過性を有する層とすることが、中空糸膜全体の酸素透過性をより高める観点から好ましい。
[中空糸膜モジュール]
本発明の中空糸膜モジュールは、上述した中空糸膜エレメントを複数含む。
〈第1の実施形態〉
図3に示す中空糸膜モジュール10Aは、複数の中空糸膜エレメント10を含み、各中空糸膜エレメントの第1ハウジング12Aに接続されるガス供給ライン120、各中空糸膜エレメントの第2ハウジング12Bに接続されるガス排出ライン121、ガス排出ライン121が接続される集気部材31、集気部材31に接続されるガス総排出ライン122を備える。
集気部材31は中空状の部材であり、内部空間の最下部に開口し、集気部材31の内部空間を画成する隔壁を貫通するガス総排出孔を有する。
ガス総排出ライン122は、前記ガス総排出孔に液密かつ気密に接続されている。
ガス供給ライン120を通じて供給される酸素含有ガスによって、第2ハウジング12Bの内部空間12yからガス排出ライン121に移動した凝縮水は、さらに、集気部材31の内部空間に移動する。集気部材31の内部空間では、凝縮水は前記内部空間の最下部に移動し、ガス総排出孔からガス総排出ライン122を通じて、排出される。このようにして、中空糸膜モジュールから凝縮水が排出されるので、中空糸膜11の内表面積が減少したり、酸素含有気体の流路が閉塞したりすることが抑制される。
〈第2の実施形態〉
図6に示す中空糸膜モジュール10’Aは、複数の中空糸膜エレメント10’を含み、各中空糸膜エレメントの第1ハウジング12Aに接続されるガス供給ライン120、各中空糸膜エレメントの第2ハウジング12Bに接続されるガス排出ライン121、ガス排出ライン121が接続される集気部材31、集気部材31に接続されるガス総排出ライン122を備える。
その他は、第1の実施形態の中空糸膜モジュール10Aと概略同じである。
[廃水処理装置]
本実施形態の廃水処理装置100は、本実施形態の中空糸膜エレメント10(10’)又は中空糸膜モジュール10A(10’A)を備える。
中空糸膜モジュール10A(10’A)は、単体又は複数のユニットの状態で含んで概略構成される。図示例の廃水処理装置100は、処理槽110の内部に中空糸膜エレメント10が収容された状態を示すが、中空糸膜エレメント10’、中空糸膜モジュール10A又は中空糸膜モジュール10’Aが収容された場合も同様である。
なお、複数の中空糸膜モジュールの集合体を「中空糸膜モジュールユニット」ともいう。
処理槽110は、被処理水である廃水Wを収容するものである。処理槽110としては、例えば、金属製の大型容器状とされた処理槽等、従来から当該分野で用いられているものを何ら制限無く採用できる。また、図10においては詳細な図示を省略しているが、処理槽110には、被処理水である廃水を内部に収容するための廃水導入管と、処理が完了した処理水を槽外に排出するための排出管が接続される。
図10に示す実施形態では、処理槽110内には中空糸膜エレメント10が収容され、この中空糸膜エレメント10が廃水Wに浸漬するように配置されている。また、上述したように、中空糸膜エレメント10の第1ハウジング12Aにはガス供給ライン120が接続され、酸素含有ガス供給装置41から、酸素含有ガスAが供給される。
ガス供給ライン120上には、エアフィルター43及び圧力計44が設置されている。エアフィルター43は、酸素含有ガス供給装置41から供給される酸素含有ガスAから固形成分を除去して、中空糸膜の閉塞を予防する。圧力計44は、酸素含有ガス供給装置41から供給される酸素含有ガスAの圧力を計測するものである。凝縮水の排出の際には、通常の廃水処理時よりも圧力を高めて、中空糸膜内表面に付着している凝縮水を吹き飛ばす。
また、中空糸膜エレメント10の下方には、散気装置20を設置しておき、適時、バブリング処理により、中空糸膜1から微生物層6を剥離させてもよい。散気装置20には、酸素含有ガス供給装置42が、散気用ガス供給ライン123を介して接続されており、酸素含有ガスA’が供給される。
上記構成により、本実施形態の廃水処理装置100は、処理槽110内の廃水Wに対し、中空糸膜エレメント10を構成する中空糸膜11による好気処理及び嫌気処理を同時に進行させ、ワンプロセスで廃水処理を行うことができる。これにより、従来のような好気処理と嫌気処理を別々の処理槽で行っていた場合に比べ、装置が小型化され、省スペース性に優れたものとなる。
なお、処理槽110内において、中空糸膜エレメント10は、例えば、廃水Wの流れを邪魔しないように配置される図示略のフレーム部材等により、処理槽110の開口部側から収容されていればよい。この場合、処理槽110の開口部111近傍にフレーム部材の一端側を固定し、このフレーム部材の他端側に、中空糸膜エレメント10に備えられる第1ハウジング12Aを固定すればよい。
[廃水処理方法]
本実施形態の廃水処理方法は、図10に示すような、本実施形態の廃水処理装置100を用いて廃水を処理する方法である。
なお、以下では、中空糸膜エレメントが中空糸膜エレメントである場合について、説明する。
具体的には、本実施形態の廃水処理方法は、まず、処理槽110内に被処理水となる廃水Wを導入する。この際、処理槽110内に配置された中空糸膜エレメント10が廃水W中に浸漬されるように、処理槽110内を廃水Wで満たす。
次いで、酸素含有ガス供給装置41からガス供給ライン120を介して中空糸膜エレメント10に酸素含有ガスを供給することにより、例えば、図8、図9に示すように、中空糸膜1の中空部5から、第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4に向けて酸素又は空気を透過させる。本実施形態では、このような廃水処理の初期段階において、第2多孔質層4の表面4aに、廃水W中に存在する微生物や菌等を付着させ、これに由来する微生物層6を形成させる。
その後、中空糸膜エレメント10への酸素又は空気の供給を継続することにより、上述したように、微生物層6の膜厚方向における酸素の溶解拡散が進行し、図9に示すような、好気処理領域6A及び嫌気処理領域6Bが形成される。
そして、好気処理領域6Aにおいて、好気処理により、廃水中に含まれるアンモニアが硝酸化される。また、嫌気処理領域6Bにおいて、嫌気処理により、好気処理領域6Aで生じた硝酸が窒素として処理され、脱窒される。このように、好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで行うことで、これらを別々の処理槽で行っていた場合に比べ、処理効率が向上する。
次いで、所定の時間で上記の生物処理を行った後、例えば、散気装置20を用いたバブリング処理により、中空糸膜1から微生物層6を剥離させる。
その後、図示略の分離膜等による固液分離法を用いることで、微生物層の剥離分を含むスラッジを回収し、廃水処理が完了する。
なお、散気装置としては、公知のサイフォン式散気装置や単管式散気装置等を使うことができる。
廃水処理中、中空糸膜1の内表面には凝縮水が付着する。凝縮水の一部は重力により第2ハウジング12Bの内部空間12yに落ちるが、残部は中空糸膜1の内表面に付着したままとなる。そのため、廃水処理中の処理効率の低下を抑制するため、又は市廃水処理後、次の廃水処理に備えて、中空糸膜エレメント10内の凝縮水を外部に排出する。凝縮水の排出は、例えば、ガス供給ライン120を介して供給する酸素含有ガスAの供給圧力を高めることにより行う。その際の圧力は、通常の廃水処理時の圧力の2〜5倍とすることが好ましい。
なお、第1多孔質層2の内面2b側、すなわち中空部5から供給する気体(酸素又は空気)の圧力は特に限定されないが、200kPa以下の圧力であることが好ましい。気体の圧力が200kPa以下であれば、廃水処理効果に与しない気体の過供給を防止できるとともに、この過供給によって部材が損傷するのを防止できる。なお、上記の気体の圧力下限は、実使用に十分な廃水処理効果が得られる観点から、例えば、5kPa以上とすればよい。
また、中空糸膜エレメント10に向けて供給する、酸素含有ガスは、例えば、空気及び純酸素が挙げられる。
廃水処理に純度の高い酸素を用いることで、微生物層6に溶解拡散する酸素濃度が十分なものとなり、上述した好気処理及び嫌気処理を効率的に進行させ、より効果的な廃水処理が可能になる。
また、廃水処理に大気中の空気を用いる場合には、酸素を用いる場合に比べ、ランニングコストが低減されるメリットがある。
さらに、中空糸膜エレメント10に向けて供給する、酸素含有ガスとしては、例えば、大気中の空気を分離又は濃縮する処理により、成分構成比を変更したものであってもよい。このように、廃水処理に、大気中の空気の成分構成比を変更したものを用いた場合には、上記同様、酸素を用いる場合に比べてランニングコストが低減されるとともに、処理する廃水の特性に合わせた処理を行うことが可能になる。
[作用効果]
本実施形態の廃水処理方法によれば、上述した廃水処理装置100を用い、中空糸膜1の表面4aに微生物層6を形成させた後、中空糸膜1の内面2b側の中空部5から酸素を含む気体を供給することによって廃水Wを処理する方法を採用している。これにより、上記同様、従来は別のプロセスで行っていた好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで実施できるので、処理効率に優れるとともに、装置を小型化することも可能になる。しかも、従来のMABRよりもさらに小型化及び省エネルギー化が可能である。
特に、中空糸膜エレメントの内部の凝縮水を効果的に除去できるので、中空糸膜のガス透過効率を下げることや、気体流路の閉塞が抑制され、高効率な廃水処理を継続できる。
本発明の中空糸膜エレメント、中空糸膜モジュール、廃水処理装置及び廃水処理方法は、水処理効率に優れるとともに、小型化及び省エネルギー化が可能であるため、例えば、生活廃水や工業廃水の処理に好適である。
1,11 中空糸膜
10,10’ 中空糸膜エレメント
10A,10’A 中空糸膜モジュール
11x 第1端
11y 第2端
12 ハウジング
12A 第1ハウジング
12B 第2ハウジング
12h ガス排出孔
12p,12q 隔壁
12x,12y 内部空間
12z 最下部
20 散気装置
31 集気部材
41,42 酸素含有ガス供給装置
43 エアフィルター
44 圧力計
100 廃水処理装置
110 処理槽
120 ガス供給ライン
121 ガス排出ライン
122 ガス総排出ライン
123 散気用ガス供給ライン
A,A’ 酸素含有ガス
B 排気ガス及び凝縮水
W 廃水

Claims (12)

  1. 廃水処理中に、廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される、廃水処理用の中空糸膜と、
    前記中空糸膜の第1端が挿入された状態で固定される、中空状の部材である第1ハウジングと、
    前記中空糸膜の第2端が挿入された状態で固定される、中空状の部材である第2ハウジングと、
    を備え、
    前記中空糸膜の第1端は、前記第1ハウジングに挿入された状態で固定されるとともに、前記第1ハウジングの内部空間に開口し、
    前記中空糸膜の第2端は、前記第2ハウジングに挿入された状態で固定されるとともに、前記第2ハウジングの内部空間に開口する、中空糸膜モジュールであって、
    前記第2ハウジングは、前記第2ハウジングの内部空間の最下部に開口し、前記第2ハウジングの内部空間を画成する隔壁を貫通するガス排出孔を有する、
    中空糸膜エレメント。
  2. 前記中空糸膜が中空糸膜シート状物である、請求項1に記載の中空糸膜エレメント。
  3. 前記中空糸膜は、多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、最外層に前記多孔質層が配置されている、請求項2に記載の中空糸膜エレメント。
  4. 前記多孔質層が複数設けられ、前記非多孔質層が複数の前記多孔質層の間に配置されている、請求項3に記載の中空糸膜エレメント。
  5. 前記多孔質層がポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなる、請求項3又は4に記載の中空糸膜エレメント。
  6. 前記第1ハウジング、前記中空糸膜及び前記第2ハウジングが、鉛直方向上方からこの順で配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空糸膜エレメント。
  7. 前記第1ハウジング、前記中空糸膜及び前記第2ハウジングが、水平方向にこの順で配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空糸膜エレメント。
  8. 前記ガス排出孔に液密かつ気密に接続されるガス排出ラインをさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の中空糸膜エレメント。
  9. 請求項8に記載の中空糸膜エレメントの複数を含む中空糸膜モジュールであって、
    前記ガス排出ラインが接続される、中空状の集気部材をさらに備え、
    前記集気部材は、前記集気部材の内部空間の最下部に開口し、前記集気部材の内部空間を画成する隔壁を貫通するガス総排出孔を有する、
    中空糸膜モジュール。
  10. 前記ガス総排出孔に液密かつ気密に接続されるガス総排出ラインをさらに備える、請求項9に記載の中空糸膜モジュール。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の中空糸膜エレメント、又は請求項9若しくは10に記載の中空糸膜モジュールを備える、廃水処理装置。
  12. 請求項11に記載の廃水処理装置を用いて廃水を処理する廃水処理方法であって、
    前記中空糸膜の表面に、前記廃水中の微生物に由来する微生物層を形成させた後、前記中空糸膜の中空部に酸素を含む気体を供給する、廃水処理方法。
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