JP2019076893A - 中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法 - Google Patents

中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い酸素透過性と膜強度を有し、水処理効率及び機械的特性に優れるとともに、省スペース性や省エネ性にも優れた中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法を提供する。【解決手段】廃水処理中に、廃水中の微生物又は菌に由来する微生物層6が表面に形成される、廃水処理用の中空糸膜1であり、少なくとも1層以上の多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、微生物層6を除く最外層に多孔質層4が配置されており、非多孔質層の合計の平均膜厚Dnと、前記多孔質層の合計の平均膜厚Dpとが、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たし、最外層に配置される多孔質層4の表面が凹凸構造とされているとともに、該凹凸構造は、多孔質層4の表面からの最大高さDHと最大深さDLとの関係が、次式{0.1μm<DH+DL<10μm}で表される関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法に関する。
工業廃水や生活廃水は、廃水中に含まれる有機物等を取り除く処理が施されてから、工業用水として再利用されるか、もしくは河川等に放流される。工業廃水等の処理方法としては、一般的に、被処理水を曝気して好気的な微生物に有機物等を分解させる活性汚泥処理法等が挙げられる。このような、活性汚泥処理法等に代表される生物学的水処理方法では、好気性微生物や、硝酸性窒素を除去するための脱窒細菌等が利用されている。また、近年では、活性汚泥処理法による処理と、分離膜モジュールによる膜ろ過とを組み合わせた膜分離活性汚泥(MBR)法による処理が行われるようになっている。
好気性微生物を利用して廃水を処理する場合、微生物の活性維持と処理能力向上のため、被処理水を空気もしくは酸素で曝気する必要がある。このように、被処理水を効率よく曝気する方法として、中空糸膜を用いた方法が採用されている。この中空糸膜は、廃水処理等の他、例えば、飲料水製造又は浄水処理等の様々な分野で利用されている。
さらに、最近では、中空糸膜を用いて廃水処理を行うにあたり、中空糸膜の外表面に、廃水中の微生物等に由来する微生物層(バイオフィルム)を形成させ、この状態で廃水処理を行う方法も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このように、中空糸膜の外表面に微生物層を形成させることで、中空糸膜の内面側から供給される酸素により、微生物層の膜厚方向で酸素勾配が形成される。これにより、微生物層の内層側において好気処理(BOD酸化、アンモニアの硝酸化)が進行するとともに、微生物層の外層側において硝酸の嫌気処理(BOD酸化、脱窒処理)が進行するので、ワンプロセスで各種の汚染物質を除去することが可能になる。従って、従来の膜分離活性汚泥法のような、好気処理と嫌気処理とを別々の処理槽で行う方法に比べて省スペースの設備が実現できる。
また、特許文献1に記載の構成によれば、上記の微生物層を備えることで、従来に比べて酸素溶解効率を高められることから、酸素を供給するブロワの稼働負荷を抑制できるとともに、スラッジの発生も低減できるので、設備全体のランニングコストを低減することが可能になる。さらに、微生物層の形成により、中空糸膜の膜表面積を大きく確保できるので、廃水の流入負荷変動に対して安定的に処理を行うことが可能になることから、上記のような、中空糸膜の外表面に微生物層を形成させて廃水を処理する方法は、各種の廃水処理装置等において広く導入検討が進められている。
国際公開第2016/209234号
ここで、上記のような中空糸膜に対しては、高い酸素透過性のような膜本来の性能に加え、例えば、大量の被処理水を処理する際の水圧や揺動等にも耐えられる機械的強度も求められる。このため、上記のような中空糸膜においては、一般に、非多孔質層に十分な膜厚を持たせることで機械的強度を確保する工夫も行われている。
ここで、中空糸膜に非多孔質層が設けられている場合、その酸素透過性は溶解拡散モデル(フィックの法則)に従い、非多孔質層の厚みが酸素透過抵抗に直結する。このため、中空糸膜に用いられる非多孔質層は、より薄い層である方が酸素透過性の面では有利になる。一方、非多孔質層が薄すぎると、中空糸膜全体としての強度が十分に得られず、廃水処理を行った際に水圧や揺動等による破断が生じるおそれがある等の問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、高い酸素透過性と膜強度を有し、水処理効率及び機械的特性に優れるとともに、省スペース性や省エネ性にも優れた中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 廃水処理中に、廃水中の微生物又は菌に由来する微生物層が表面に形成される、廃水処理用の中空糸膜であって、少なくとも1層以上の多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、最外層に前記多孔質層が配置されており、前記非多孔質層の合計の平均膜厚Dnと、前記多孔質層の合計の平均膜厚Dpとが、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たし、前記最外層に配置される多孔質層の表面が凹凸構造とされているとともに、該凹凸構造は、前記多孔質層の表面からの最大高さDと最大深さDとの関係が、次式{0.1μm<D+D<10μm}で表される関係を満たす、中空糸膜。
[2] 前記多孔質層が複数設けられ、前記非多孔質層が、前記複数の多孔質層の間に配置されている、上記[1]に記載の中空糸膜。
[3] 前記非多孔質層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、フッ素系樹脂、又はシリコン系樹脂の少なくとも何れかを含む材料からなる、上記[1]又は[2]の何れか一項に記載の中空糸膜。
[4] 前記多孔質層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、又はフッ素系樹脂の少なくとも何れかを含む材料からなる、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の中空糸膜。
[5] 前記非多孔質層の合計の平均膜厚Dnが0.3μm以上10μm以下である、上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の中空糸膜。
[6] 前記微生物層を除く平均外径Dが0.01mm以上3.0mm以下である、上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の中空糸膜。
[7] 前記多孔質層は、平均細孔径が0.01μm以上5μm以下である、上記[1]〜[6]の何れか一項に記載の中空糸膜。
[8]上記[1]〜[7]の何れか一項に記載の中空糸膜を含む中空糸膜モジュール。
[9] 上記[8]に記載の中空糸膜モジュールが複数備えられた中空糸膜モジュールユニットを含む廃水処理装置。
[10] 上記[8]に記載の中空糸膜モジュール、又は、上記[9]に記載の廃水処理装置を用いて廃水を処理する廃水処理方法であって、前記中空糸膜の表面に、廃水中の微生物又は菌に由来する前記微生物層を形成させた後、前記中空糸膜の中空部に酸素を含む気体を供給する、廃水処理方法。
[11] 前記酸素を含む気体が純酸素である、上記[10]に記載の廃水処理方法。
[12] 前記酸素を含む気体が大気中の空気である、上記[10]に記載の廃水処理方法。
[13] 前記酸素を含む気体が、大気中の空気を分離又は濃縮する処理により、成分構成比を変更したものである、上記[10]に記載の廃水処理方法。
[14] 前記中空糸膜の中空部に供給する前記気体の圧力が200kPa以下である、上記[10]〜[13]の何れか一項に記載の廃水処理方法。
本発明に係る中空糸膜によれば、上記のように、多孔質層及び非多孔質層を含み、且つ、各層の形状並びに寸法関係が最適化された複層構造を採用することで、多孔質層による高い酸素透過性、及び、非多孔質層による高い膜強度を両立でき、優れた水処理効率及び機械的特性が得られる。
また、本発明に係る中空糸膜モジュールによれば、本発明に係る中空糸膜が備えられたものなので、上記同様、多孔質層による高い酸素透過性、及び、非多孔質層による高い膜強度を両立でき、優れた水処理効率及び機械的特性が得られる。
また、本発明に係る廃水処理装置によれば、本発明に係る中空糸膜モジュールが備えられたものなので、上記同様、優れた水処理効率及び機械的特性が得られるとともに、従来は個別の装置で行っていた好気処理及び嫌気処理の両方を微生物層のみで実施でき、省スペース性を備えたものとなる。
また、本発明に係る廃水処理方法によれば、本発明に係る中空糸膜モジュール、又は、本発明に係る廃水処理装置を用い、中空糸膜の表面に微生物層を形成させた後、中空糸膜の中空部に酸素を含む気体を供給することによって廃水処理を行う方法を採用している。これにより、従来は別のプロセスで行っていた好気処理及び嫌気処理の両方を、微生物層におけるワンプロセスで実施できるので、処理効率に優れるとともに、装置の省スペース化も可能となる。
本発明に係る中空糸膜の一実施形態を模式的に説明する図であり、中空糸膜の複層構造を示す部分斜視図である。 本発明に係る中空糸膜の一実施形態を模式的に説明する図であり、中空糸膜に備えられる多孔質層の表面に微生物層が形成された状態を示す部分斜視図である。 本発明に係る中空糸膜の一実施形態を模式的に説明する図であり、微生物層における好気処理領域及び嫌気処理領域を示す概略図である。 本発明に係る中空糸膜の一実施形態を模式的に説明する図であり、多孔質層の表面に形成された凹凸構造を拡大して示す概略図である。 本発明に係る中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、廃水の処理槽を含む装置全体の構成を示す概略図である。 本発明に係る中空糸膜の他の実施形態を模式的に説明する図であり、中空糸膜に備えられる多孔質層の表面に突状部が設けられた例を示す斜視図である。
以下、本発明に係る中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法の一実施形態を挙げ、図1〜図6を適宜参照しながら詳述する。なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1〜図6に示すような、本実施形態の中空糸膜1、この中空糸膜1を備えた中空糸膜モジュール10、この中空糸膜モジュール10を複数備えた廃水処理装置100、及び、中空糸膜モジュール10又は廃水処理装置100を用いた廃水処理方法は、例えば、工業廃水や生活廃水等に含まれる有機物等を取り除く処理に用いられるものである。
<中空糸膜>
以下、本実施形態の中空糸膜1について詳述する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の中空糸膜1は、廃水処理中において、第2多孔質層(多孔質層)4の表面4aに、廃水中の微生物や菌に由来する微生物層6が形成されるものである。そして、本実施形態の中空糸膜1は、少なくとも1層以上の多孔質層2,4及び非多孔質層3を含む複層構造とされているとともに、最外層に多孔質層4が配置されており、図示例においては、2層の多孔質層(第1多孔質層2、第2多孔質層4)の間に非多孔質層3が配置された3層構造とされている。また、中空糸膜1は、非多孔質層の合計の平均膜厚Dn、図示例では単層とされた非多孔質層3の平均膜厚Dnと、多孔質層の合計の平均膜厚Dp、図示例では第1多孔質層2と第2多孔質層4との合計の平均膜厚Dpとが、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たす。そして、中空糸膜1は、最外層に配置される第2多孔質層(多孔質層)4の表面が凹凸構造とされているとともに、この凹凸構造が、第2多孔質層4の表面からの最大高さDと最大深さDとの関係が次式{0.1μm<D+D<10μm}で表される関係を満たすものである。
また、図示例の中空糸膜1は、最内層である多孔質層2の内面2b側が中空部5とされ、この中空部5に酸素を供給することで、内面2b側から外層側の第2多孔質層4の表面4aに向けて酸素を透過させることが可能に構成されている。
[多孔質層]
本実施形態の中空糸膜1において、多孔質層は、少なくとも1層以上で設けられ、図1及び図2に示す例においては、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の2層の多孔質層が、非多孔質層3を介して同心状に配置されている。また、図示を省略するが、第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、それぞれ、複数の細孔を有する膜から構成されており、これら多孔質層2,4の全周にわたって細孔が形成されている。
本実施形態において、第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される細孔とは、少なくとも内表面側から外表面までの連通孔を意味する。即ち、第1多孔質層2においては、内面2b側から外面2a側までの連通孔を意味し、第2多孔質層4においては、内面4b側から表面4a側までの連通孔を意味する。
また、本実施形態で説明する「細孔」とは、三次元的な構造を形成している膜基材の隙間の空間を表し、内面側から表面(外面)側に向けて酸素が透過する際の、酸素の通り道となる部分を意味する。
多孔質層は、例えば、溶融延伸法により形成される。溶融延伸法とは、まず、多孔質層の材料となる樹脂を融点以上の流動状態に加熱し、これを筒状に吐出する。次いで、吐出された流動状態にある樹脂を冷却することで非流動状態にし、形状を固定する。その後、形状が固定された樹脂に対して最適条件で延伸加工を施すことで、多孔質構造が形成される。
多孔質層の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、又はフッ素系樹脂の少なくとも何れかを含む材料からなることが、十分な酸素透過性を確保する観点から好ましい。多孔質層が上記の何れかを含む材料からなることで、上記のような多孔質構造に制御しながら形成することが可能になり、酸素透過性が高められるとともに、耐酸化劣化性、耐薬品性、耐熱性及び機械的耐久性を付与できる。また、製膜原液を調整する際の溶剤への溶解性も良好となる。
なお、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の各膜厚は、特に限定されないが、多孔質層全体の合計膜厚、即ち、図示例における第1多孔質層2と第2多孔質層4との合計の平均膜厚Dpが10μm以上100μm以下となるような膜厚であることが好ましい。各多孔質層の合計の平均膜厚Dpが10μm以上であれば、中空糸膜1全体における十分な機械的強度の確保に寄与できる。一方、各多孔質層の合計の平均膜厚Dpが100μm以下であれば、必要以上に膜の外径が大きくなることがないので、中空糸膜をモジュール化する際の膜の充填量が小さくなるのを防止できる。
また、上記の観点からは、各多孔質層の合計の平均膜厚Dpは、15μm以上90μm以下がより好ましく、20μm以上80μm以下が最も好ましい。
なお、本実施形態で説明する「平均膜厚」とは、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、この画像を解析して当該層(膜)の膜厚を複数箇所(5箇所以上)で測定し、その平均値を求めたものである。
本実施形態の中空糸膜1においては、少なくとも、後述の微生物層6を除いた最外層に多孔質層が配置されていることが好ましい。このように、微生物層6を除いた最外層に多孔質層が配置されることで、十分な酸素透過性を確保することができるとともに、表面に微生物が付着しやすくなる効果が得られる。図示例においては、第2多孔質層4が最外層とされ、その表面4aに後述の微生物層6が形成される。
また、微生物層6を除いた最外層に配置される多孔質層、即ち、図示例における第2多孔質層4は、表面4aが凹凸構造とされていることが好ましい。このような凹凸構造としては、例えば、第2多孔質層4の表面4aが粗面化されたものが挙げられる。
第2多孔質層4の表面4aが凹凸構造であることで、廃水中に存在する微生物又は菌等が付着しやすくなる効果が得られる。また、凹凸構造のアンカー効果により、第2多孔質層4の表面4aから微生物層6が剥がれにくくなり、廃水処理中に微生物層6が脱落するのを抑制できる。
上記の凹凸構造の凹凸寸法は、特に限定されないが、図5に示すように、第2多孔質層(多孔質層)4の表面4aからの最大高さDと最大深さDとの関係が、次式{0.1μm<D+D<10μm}で表される関係を満たすことが好ましい。このように、最大高さDから最大深さDを引いた値が上記範囲とされ、サブミクロンオーダー〜ミクロンオーダーで正の値であることで、廃水中に存在する微生物又は菌がより付着しやすくなり、微生物層6をより均一に形成することが可能になる。
なお、上記の凹凸構造は、第2多孔質層4の表面4aが粗面化された構造の他、例えば、第2多孔質層4に備えられる図示略の複数の細孔に由来した凹凸構造であってもよい。
また、図6に示す例の中空糸膜1Aのように、上記の凹凸構造は、表面4aにおいて、中空糸膜1Aの長手方向に沿って延在する突状部7からなる構成であってもよい。また、このような突状部7は、表面4aにおいて、少なくとも1箇所以上に設けられていればよい。図示例においては、突状部7が、表面4aの12箇所に外周方向で等間隔に配置されている。なお、図6においては、中空糸膜1Aを構成する各層の図示を省略しているが、上記の中空糸膜1と同様の層構造を有している。
上記のように、中空糸膜1Aにおける最外層(多孔質層)の表面4aに、中空糸膜1Aの長手方向に沿って延在する突条部7を有する構成を採用することで、中空糸膜1Aを複数で用いて、図5中に示すような中空糸膜シート状物11を構成した場合に、複数の中空糸膜1A同士を十分に離間できる。これにより、複数の各中空糸膜1の有効表面積も十分に確保され、また、酸素透過抵抗も均一となり、効率よく廃水処理を行うことが可能になる。 加えて、微生物層6(図1を参照)と、中空糸膜1Aにおける表面4aとの接触面積を拡大することで、より強固に微生物層6を保持でき、特に、中空糸膜1A(中空糸膜シート状物11、中空糸膜モジュール10)の使用開始初期における微生物層6の形成が早期化される効果が得られる。
各多孔質層に形成される複数の細孔の平均細孔径は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。各多孔質層における平均細孔径が0.01μm以上であれば、酸素透過に対して影響のある抵抗とはならない。また、各多孔質層における平均細孔径が5μm以下であれば、十分な膜強度が得られる。
また、上記の観点からは、各多孔質層における平均細孔径は、0.03μm以上4μm以下がより好ましく、0.05μm以上3μm以下が最も好ましい。
なお、本実施形態において説明する、各多孔質層に形成される複数の細孔の平均細孔径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて多孔質層の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定して、これら30個の細孔の最長径を平均して求めた値である。
[非多孔質層]
本実施形態の中空糸膜1においては、非多孔質層3が少なくとも1層以上で設けられ、図示例においては、第1多孔質層2と第1多孔質4との間に単層で設けられている。
非多孔質層3の材質としても、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、又はシリコン系樹脂の少なくとも何れかを含む材料からなることが好ましい。非多孔質層3が上記の何れかを含む材料からなることで、十分な酸素透過性を確保しながら、中空糸膜1全体の機械的強度をより高めることが可能になる。
なお、非多孔質層3の膜厚は、特に限定されないが、0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。非多孔質層3の平均膜厚が0.3μm以上であれば、製造時に欠陥が発生することなく、安定的に生産することが可能になる。また、非多孔質層3の平均膜厚が10μm以下であれば、実使用において影響があるような酸素透過性の低下を招くことはない。
また、上記の観点から、非多孔質層3の平均膜厚は、0.5μm以上8μm以下がより好ましく、1μm以上6μm以下が最も好ましい。
なお、非多孔質層を複数で設けた場合の合計の平均膜厚Dn(単層の場合は当該層のみの膜厚)も特に限定されないが、非多孔質層の膜厚が大きくなることは酸素透過抵抗が大きくなることを意味するため、可能な限り薄膜に形成されることが、十分な酸素透過率を確保する観点から好ましい。
[非多孔質層の合計の平均膜厚Dnと多孔質層の合計の平均膜厚Dpとの関係]
本実施形態の中空糸膜1は、上述したように、非多孔質層の合計の平均膜厚Dn、即ち、図示例における単層とされた非多孔質層3の平均膜厚Dnと、多孔質層の合計の平均膜厚Dp、即ち、図示例における第1多孔質層2と第2多孔質層4との合計の平均膜厚Dpとが、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たすものである。
非多孔質層の平均膜厚Dnと多孔質層の平均膜厚Dpとの関係が上記式で表される関係を満たすことで、多孔質層及び非多孔質層の全体膜厚に対する非多孔質層の膜厚の割合が小さくなる。従って、実使用に適した十分な機械的強度を確保しながら非多孔質層を薄膜化できるので、酸素透過性も十分に高められる。
また、上記の観点からは、非多孔質層の合計の平均膜厚Dnと多孔質層の合計の平均膜厚Dpとの関係は、次式{0.007≦Dn/Dp≦0.9}で表される関係がより好ましく、次式{0.01≦Dn/Dp≦0.8}で表される関係が最も好ましい。
[中空糸膜の外形状及び平均外径D]
本実施形態の中空糸膜1の外形状としては、特に限定されず、例えば、略円筒状に構成し、上記のように、細孔を有する第2多孔質層4が外表面に配置され、この第2多孔質層4を覆うように微生物層6が形成されるように構成することができる。ここで、本実施形態で説明する中空糸膜1の外形状とは、微生物層6を除いた状態での外形状、及び、第2多孔質層4の表面に微生物層6が形成された状態での外形状の両方を含む。
なお、本実施形態で説明する「略円筒状」とは、長手方向に垂直な任意の断面の形状が、例えば、真円形、卵形、長円形、楕円形等のオーバル形である立体形状を意味する。
また、本実施形態で説明するように、第1多孔質層2と第2多孔質層4との間に非多孔質層3が配置されている場合、これらの界面においては、各多孔質層2,4からなる領域と、非多孔質層3からなる領域とが、互いに若干入り込んでいても構わない。
本実施形態においては、中空糸膜1の外径としても、特に限定されないが、微生物層6を除く平均外径Dで0.01mm以上3.0mm以下であることが好ましい。中空糸膜1の平均外径Dが3.0mm以下であることで、膜モジュール化する際に膜の充填量が小さくなるのを防止できる。また、中空糸膜1の平均外径Dが0.01mm以上であることで、中空部5の内径を十分に確保できるので、中空部5を流れる酸素の流量が圧力損失等によって低下する影響を軽減できる。
また、中空糸膜1の平均外径Dは、第2多孔質層4の表面4aに形成される微生物層6が剥がれ落ちない程度の表面積を確保できる寸法であることがより好ましい。
なお、本実施形態で説明する「中空糸膜の平均外径D」とは、微生物層6が形成される前の中空糸膜1を長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁を内接する最少の円の直径を意味する。また、この中空糸膜1の平均外径Dは、上記の切断面における任意の3箇所以上、10箇所以下測定し、その平均値として求めることができる。
[微生物層]
本実施形態における微生物層6は、中空糸膜1を、例えば、中空糸膜モジュール10(図5中の符号10を参照)として廃水処理に使用する際に、別の廃水処理場等で既に使用している活性汚泥を種として微生物や菌を増殖処理し、所定濃度としたものに中空糸膜モジュール10を浸漬させることで、微生物や菌に由来して形成されるものである。
上記の活性汚泥は、廃水の種類によって様々な成分構成・割合が存在するが、廃水中に含まれるBOD(有機物)成分や栄養分(窒素、りん等)を食物とし、増殖を行ったものを用いることができる。そして、これに含まれる微生物や菌に由来する層として、第2多孔質層4の表面4aに微生物層6が形成される。
図3は、微生物層6における好気処理領域及び嫌気処理領域を模式的に示す概略図である(図2も参照)。図3中に示すように、本実施形態の中空糸膜1は、上記の微生物層6が形成されることで、中空糸膜1の中空部5から第1多孔質層2、非多孔質増3及び第2多孔質層4を透過した酸素が微生物層6内で溶解拡散し、微生物層6の膜厚方向において酸素勾配(濃度)が形成され、内層側においては酸素に富んだ好気状態となる一方、外層側は酸素が減少した嫌気状態となる。これにより、微生物層6は、内層側に好気処理領域6Aが形成され、外層側に嫌気処理領域6Bが形成された状態となる。
そして、好気処理領域6Aにおいては、好気処理(BOD酸化)によって廃水中に含まれるアンモニアの酸化が進行し、硝酸化される。さらに、嫌気処理領域6Bにおいては、嫌気処理(BOD酸化)によって、好気処理領域6Aで生じた硝酸が、嫌気バクテリアによって窒素として処理され、脱窒される。これにより、好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで行うことができるので、従来、好気処理と嫌気処理とを別々の処理槽で行っていた場合に比べ、省スペースの設備が実現できるとともに、処理効率も向上する。
なお、微生物層6の膜厚としては、特に限定されず、所定以上の厚み、又は所定の処理時間に達したところで空気によるバブリング洗浄等の操作を行い、最適な好気処理及び嫌気処理を行うことが可能な膜厚に調整すればよい。
[酸素透過性]
本実施形態において説明する、中空糸膜1の酸素透過性とは、中空糸膜全体における、酸素を透過させる性能を示す指標であり、例えば、単位膜面積あたりで1日(24hr)に透過する酸素の量(単位:g−O/m/day)で表すことができる。
[その他の層]
さらに、本発明に係る中空糸膜1においては、上記の各多孔質層2,4、非多孔質層3(及び微生物層6)以外に、他の機能層が設けられていてもよい。このように、他の層を備える構成を採用する場合には、他の層を、高い酸素透過性を有する層とすることが、中空糸膜1全体の酸素透過性を確保する観点から好ましい。
<中空糸膜モジュール及び廃水処理装置>
図5中に示す本実施形態の中空糸膜モジュール10は、上述したような、本実施形態の中空糸膜1が含まれてなるものである。
また、本実施形態の廃水処理装置100は、中空糸膜モジュール10を含んで構成されるものである。
以下、本実施形態の中空糸膜モジュール10及び廃水処理装置100について詳述する。
[中空糸膜モジュール]
図5中に示すように、本実施形態の中空糸膜モジュール10は、ハウジング12(上部ハウジング12A及び下部ハウジング12B)、複数の中空糸膜1(又は中空糸膜1A)をシート状とした中空糸膜シート状物11から概略構成されている。
中空糸膜シート状物11は、上述したような本実施形態の中空糸膜1が複数束ねられてなるものであり、その両端部が、詳細を後述するハウジング12内に挿入されて開口したものであり、全体として平型のシート状に構成される。
ハウジング12は、中空糸膜シート状物11の各端部が挿入、固定される略中空状の部材であり、図示例では、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bから構成される。即ち、上記の中空糸膜シート状物11は、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間でシート状に保持される。
また、図示例では上部ハウジング12Aに気体供給ライン120が接続され、酸素又は空気が上部ハウジング12Aの内部に供給されるように構成されている。
そして、中空糸膜モジュール10は、図示略のブロワから供給される酸素又は空気が、ハウジング12を介して複数の中空糸膜1の中空部5(図1を参照)内に送り込まれ、上記のように、第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4を透過し、さらに微生物層6内を膜厚方向で溶解拡散するように構成される。
なお、図5中では図示を省略しているが、例えば、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間に、該上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bの両端部同士を接続するように、棒状部材等からなる一対の支柱を設けることがより好ましい。このような一対の支柱を設け、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとが一定の間隔を保持することで、中空糸膜シート状物11の面形態を維持して平型中空糸膜モジュール10を構成できる。
また、図示例においては、平型シート状とされた中空糸膜モジュール10を示しているが、これには限定されず、例えば、中空糸膜モジュールを円筒形や角筒形等に構成することも可能である。
[廃水処理装置]
図5に示すように、本実施形態の廃水処理装置100は、本実施形態の中空糸膜モジュール10を単体もしくは複数のユニットで含んで概略構成される。図示例の廃水処理装置100は、処理槽110の内部に中空糸膜モジュール10が収容されてなる。
処理槽110は、被処理水である廃水Wを収容するものであり、例えば、金属製の大型容器状とされた処理槽等、従来から当該分野で用いられているものを何ら制限無く採用できる。また、図5においては詳細な図示を省略しているが、処理槽110には、被処理水である廃水を内部に収容するための廃水導入管と、処理が完了した処理水を槽外に排出するための排出管が接続される。
そして、処理槽110内には中空糸膜モジュール10が収容され、この中空糸膜モジュール10が廃水Wに浸漬するように配置されている。また、上述したように、中空糸膜モジュール10の上部ハウジング12Aには気体供給ライン120が接続され、酸素、空気、又は、空気を分離又は濃縮する処理によって成分構成比を変更した気体が供給される。
上記構成により、本実施形態の廃水処理装置100は、処理槽110内の廃水Wに対し、中空糸膜モジュール10(中空糸膜1(1A))による好気処理及び嫌気処理を同時に進行させ、ワンプロセスで廃水処理を行うことができる。これにより、従来のような好気処理と嫌気処理を別々の処理槽で行っていた場合に比べ、装置が小型化され、省スペース性に優れたものとなる。
なお、処理槽110内において、中空糸膜モジュール10は、例えば、廃水Wの流れを邪魔しないように配置される図示略のフレーム部材等により、処理槽110の開口111側から収容されていればよい。この場合、処理槽111の開口部111近傍にフレーム部材の一端側を固定し、このフレーム部材の他端側に、中空糸膜モジュール10に備えられる上部ハウジング12Aを固定すればよい。
<廃水処理方法>
本実施形態の廃水処理方法は、図5に示すような、本実施形態の中空糸膜モジュール10、又は、廃水処理装置100を用いて廃水を処理する方法である。
具体的には、本実施形態の廃水処理方法は、まず、処理槽110内に被処理水となる廃水Wを導入する。この際、処理槽110内に配置された中空糸膜モジュール10が廃水W中に浸漬されるように、処理槽110内を廃水Wで満たす。
次いで、図示略のブロワから気体供給ライン120を介して中空糸膜モジュール10に酸素又は空気を供給することにより、図1に示す中空糸膜1の中空部5から、第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4に向けて酸素又は空気を透過させる。本実施形態では、このような廃水処理の初期段階において、第2多孔質層4の表面4aに、廃水W中に存在する微生物や菌等を付着させ、これに由来する微生物層6を形成させる。
その後、中空糸膜モジュール10への酸素又は空気の供給を継続することにより、上述したように、微生物層6の膜厚方向における酸素の溶解拡散が進行し、図3に示すような、好気処理領域6A及び嫌気処理領域6Bが形成される。
そして、好気処理領域6Aにおいて、好気処理により、廃水中に含まれるアンモニアが硝酸化される。また、嫌気処理領域6Bにおいて、嫌気処理により、好気処理領域6Aで生じた硝酸が窒素として処理され、脱窒される。このように、好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで行うことで、これらを別々の処理槽で行っていた場合に比べ、処理効率が向上する。
次いで、所定の時間で上記の生物処理を行った後、例えば、図示略の散気装置等を用いたバブリング処理により、中空糸膜1から微生物層6を剥離させる。
その後、図示略の分離膜等による固液分離法を用いることで、微生物層の剥離分を含むスラッジを回収し、廃水処理が完了する。
なお、中空糸膜1の内面2b側、即ち中空部5から供給する気体(酸素又は空気)の圧力は、特に限定されないが、200kPa以下の圧力であることが好ましい。気体の圧力が200kPa以下であれば、廃水処理効果に与しない気体の過供給を防止できるとともに、この過供給によって部材が損傷するのを防止できる。なお、上記の気体の圧力下限は、実使用に十分な廃水処理効果が得られる観点から、例えば、5kPa以上とすればよい。
また、中空糸膜モジュール10に向けて供給する、酸素を含む気体としては、例えば、純酸素であることが好ましい。このように、純度の高い酸素を中空糸膜モジュール10に供給することで、微生物層6に溶解拡散する酸素濃度が十分なものとなり、上述した好気処理及び嫌気処理を効率的に進行させ、より効果的な廃水処理が可能になる。
また、中空糸膜モジュール10に向けて酸素を含む空気を供給する場合、この空気は大気中の空気であればよい。このように、廃水処理に大気中の空気を用いる場合には、酸素を用いる場合に比べ、ランニングコストが低減されるメリットがある。
さらに、中空糸膜モジュール10に向けて供給する、酸素を含む気体としては、例えば、大気中の空気を分離又は濃縮する処理により、成分構成比を変更したものであってもよい。このように、廃水処理に、大気中の空気の成分構成比を変更したものを用いた場合には、上記同様、酸素を用いる場合に比べてランニングコストが低減されるとともに、処理する廃水の特性に合わせた処理を行うことが可能になる。
<作用効果>
以上説明したように、本発明に係る中空糸膜1(及び中空糸膜1A)によれば、少なくとも1層以上の多孔質層2,4及び非多孔質層3を含み、且つ、各層の形状並びに寸法関係が最適化された複層構造を採用している。これにより、多孔質層2,4による高い酸素透過性、及び、非多孔質層3による高い膜強度を両立でき、優れた水処理効率及び機械的特性が得られる。また、廃水処理において表面に微生物層6が形成され、この微生物層6の膜厚方向で酸素が効果的に拡散溶解し、さらに、酸素が豊富な好気処理領域6Aと、酸素が少ない嫌気処理領域6Bとが形成されるので、好気処理と嫌気処理とをワンプロセスで行うことが可能になる。
また、本発明に係る中空糸膜モジュール10によれば、上記の中空糸膜1(又は中空糸膜1A)が備えられたものなので、上記同様、多孔質層による高い酸素透過性、及び、非多孔質層による高い膜強度を両立でき、優れた水処理効率及び機械的特性が得られるとともに、好気処理と嫌気処理とをワンプロセスで行うことが可能になる。
また、本発明に係る廃水処理装置100によれば、上記の中空糸膜モジュール1が備えられたものなので、上記同様、優れた水処理効率及び機械的特性が得られるとともに、従来は個別の装置で行っていた好気処理及び嫌気処理の両方を微生物層6のみで実施でき、省スペース性を備えたものとなる。また、装置全体を小型化できるので、例えば、廃水の簡易処理が必要な用途や、狭いスペースでの廃水処理が必要な用途においても非常に好適な廃水処理装置100を提供できる。
また、本発明に係る廃水処理方法によれば、上記の中空糸膜モジュール10、又は、廃水処理装置100を用い、中空糸膜1(又は中空糸膜1A)の表面4aに微生物層6を形成させた後、中空糸膜1の内面2b側の中空部5から酸素を含む気体を供給することによって廃水Wを処理する方法を採用している。これにより、上記同様、従来は別のプロセスで行っていた好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで実施できるので、処理効率に優れるとともに、装置を小型化することも可能になる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例>
実施例においては、まず、図1に示すような、最内層に第1多孔質膜、最外層に第2多孔質膜が配置され、これら第1多孔質膜と第2多孔質膜との間に非多孔質膜が配置された3層構造を有するとともに、第1多孔質膜の内面側が中空状とされた中空糸膜を作製した。また、本実施例においては、第1多孔質膜及び第2多孔質膜に高密度ポリエチレン樹脂を用いるとともに、非多孔質膜に低密度ポリエチレン樹脂を用い、溶融延伸法によって中空糸膜を作製した。
本実施例で作製した中空糸膜の非多孔質層の平均膜厚Dnと、第1多孔質層と第2多孔質膜との合計の平均膜厚Dpとの比{Dn/Dp}は、0.029であった。上記の平均膜厚Dn及び平均膜厚Dpは、それぞれ、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、この画像を解析して各層の膜厚を5箇所で測定し、その平均値を求めて算出した。
さらに、本実施例においては、溶融延伸法によって中空糸膜を作製する際、最外層である第2多孔質膜の表面に、図6中に示す中空糸膜1Aと同様、長手方向に沿って延在する突状部を形成した。本実施例で作製した中空糸膜における突状部は、外周方向で12箇所に等間隔で配置するように形成され、また、突状部の最大高さDは5μm(D=0)であった。
次に、本実施例においては、以下に説明するような方法により、中空糸膜を評価した。
まず、中空糸膜の最外層の表面に対し、MLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:活性汚泥浮遊物)が2500mg/Lである活性汚泥を、中空糸膜の長手方向に対して平行に、流速2cm/sで8時間循環させながら接触させることにより、中空糸膜の表面に微生物層(図1中の符号6を参照)を形成した。
そして、微生物層を形成した中空糸膜を200mmで切り出すことにより、1本の中空糸膜サンプルを得た。
次いで、上記で得られた1本の中空糸膜サンプルを、クリスタルバイオレット(CV)水溶液(0.1体積%)に2時間浸漬することで、微生物層を染色した。
次いで、中空糸膜サンプルを、メタノール溶液1mLに2時間浸漬することで、微生物層からクリスタルバイオレットを抽出した。
そして、市販の吸光度測定器を用いて、上記の抽出液(クリスタルバイオレットを抽出したメタノール溶液)の吸光度を、波長:590nmにて、1cmセルで測定したところ、吸光度は0.72であった。
上記の結果より、中空糸膜を、少なくとも1層以上の多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とし、非多孔質層の合計の平均膜厚Dnと、多孔質層の合計の平均膜厚Dpとが、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たし、さらに、最外層に配置される多孔質膜の表面に、多孔質層の表面からの最大高さDと最大深さDとの関係が、次式{0.1μm<D+D<10μm}で表される関係を満たす凹凸構造を有する構成とすることで、微生物層と中空糸膜の表面との接触面積が拡大し、強固に微生物層を保持できることが確認できた。従って、特に、中空糸膜の使用開始初期において、微生物層の形成を早期化できる効果が得られることが明らかとなった。
<比較例>
比較例においては、最外層の表面に突状部を形成しなかった点を除き、実施例と同様の方法で中空糸膜を作製した。
即ち、比較例で作製した中空糸膜は、非多孔質層の平均膜厚Dnと、第1多孔質層と第2多孔質膜との合計の平均膜厚Dpとの比{Dn/Dp}が0.029であり、また、最大高さD及び最大深さDが何れも0μm(D+D=0)であった。
次いで、実施例と同じ方法で200mmの中空糸膜サンプルを1本切り出した。
そして、実施例と同様の方法及び条件で、中空糸膜サンプルにおける最外層の表面に微生物層を形成した後、微生物層をクリスタルバイオレットで染色し、さらに、メタノール溶液でクリスタルバイオレットを抽出した後、抽出液の吸光度を測定した。この結果、吸光度は0.56であり、上記の実施例に比べて、抽出されたクリスタルバイオレットが少ないこと、即ち、中空糸膜の表面に形成された微生物層が少ないことが確認された。従って、比較例においては、最大高さD及び最大深さDが何れも0μm(D+D=0)であることから、実施例に比べて、中空糸膜の表面に微生物層が形成され難いことが確認できた。
上記の実施例の結果より、本発明で規定する構成を有する中空糸膜は、表面に微生物層が早期形成され、高い酸素透過性と膜強度を有し、水処理効率及び機械的特性に優れるとともに、省スペース性や省エネ性にも優れた特性を発揮できることが明らかとなった。
本発明の中空糸膜、中空糸膜モジュール、廃水処理装置、及び廃水処理方法は、高い酸素透過性と膜強度を有し、水処理効率及び機械的特性に優れるとともに、省スペース性や省エネ性にも優れたものなので、例えば、生活廃水や工業廃水の処理に好適である。
1,1A…中空糸膜
2…第1多孔質層(多孔質層)
2a…外面
2b…内面
3…非多孔質層
4…第2多孔質層(多孔質層)
4a…表面
4b…内面
5…中空部
6…微生物層
6A…好気処理領域
6B…嫌気処理領域
7…突状部
10…中空糸膜モジュール
11…中空糸膜シート状物
12…ハウジング
12A…上部ハウジング
12B…下部ハウジング
100…排水処理装置
110…処理槽
111開口部
W…廃水

Claims (14)

  1. 廃水処理中に、廃水中の微生物又は菌に由来する微生物層が表面に形成される、廃水処理用の中空糸膜であって、
    少なくとも1層以上の多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、最外層に前記多孔質層が配置されており、
    前記非多孔質層の合計の平均膜厚Dnと、前記多孔質層の合計の平均膜厚Dpとが、次式{0.005≦Dn/Dp≦1.0}で表される関係を満たし、
    前記最外層に配置される多孔質層の表面が凹凸構造とされているとともに、該凹凸構造は、前記多孔質層の表面からの最大高さDと最大深さDとの関係が、次式{0.1μm<D+D<10μm}で表される関係を満たす、中空糸膜。
  2. 前記多孔質層が複数設けられ、前記非多孔質層が、前記複数の多孔質層の間に配置されている、請求項1に記載の中空糸膜。
  3. 前記非多孔質層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、フッ素系樹脂、又はシリコン系樹脂の少なくとも何れかを含む材料からなる、請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜。
  4. 前記多孔質層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、又はフッ素系樹脂の少なくとも何れかを含む材料からなる、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の中空糸膜。
  5. 前記非多孔質層の合計の平均膜厚Dnが0.3μm以上10μm以下である、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の中空糸膜。
  6. 前記微生物層を除く平均外径Dが0.01mm以上3.0mm以下である、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の中空糸膜。
  7. 前記多孔質層は、平均細孔径が0.01μm以上5μm以下である、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の中空糸膜。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の中空糸膜を含む中空糸膜モジュール。
  9. 請求項8に記載の中空糸膜モジュールが複数備えられた中空糸膜モジュールユニットを含む廃水処理装置。
  10. 請求項8に記載の中空糸膜モジュール、又は、請求項9に記載の廃水処理装置を用いて廃水を処理する廃水処理方法であって、
    前記中空糸膜の表面に、廃水中の微生物又は菌に由来する前記微生物層を形成させた後、前記中空糸膜の中空部に酸素を含む気体を供給する、廃水処理方法。
  11. 前記酸素を含む気体が純酸素である、請求項10に記載の廃水処理方法。
  12. 前記酸素を含む気体が大気中の空気である、請求項10に記載の廃水処理方法。
  13. 前記酸素を含む気体が、大気中の空気を分離又は濃縮する処理により、成分構成比を変更したものである、請求項10に記載の廃水処理方法。
  14. 前記中空糸膜の中空部に供給する前記気体の圧力が200kPa以下である、請求項10〜請求項13の何れか一項に記載の廃水処理方法。
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