JP2021130985A - 住宅の浮上構造 - Google Patents

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Hiroshi Hagiwara
浩 萩原
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洋 和木
武宏 高橋
Takehiro Takahashi
武宏 高橋
孝則 及川
Takanori Oikawa
孝則 及川
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Abstract

【課題】洪水や津波等の発生の際には必ず浮上し、これまでの住宅の美観も損ねることがない新規な住宅の浮上構造を提供する。【解決手段】上記住宅本体1,11から離間した位置において鉛直方向に起立してなるとともに該住宅本体1,11の周囲に設置された複数のポール2,12,62と、一端は上記ポール2,12,62に対して上下方向に移動可能に取り付けられ、他端は基礎部10に固定されてなる連結部材3,13,63と、を備え、上記基礎部10と住宅本体11とが一体的に浮上することにより、上記連結部材3,13,63の一端側がポール2,12,62の上下方向に移動されるように構成されてなる。【選択図】 図1

Description

本発明は、洪水や津波等の際に住宅が水に浮上するように構成された住宅の浮上構造に関するものである。なお、本願において、上記住宅は、建物、建築物を含むものとする。
近年、台風による大雨や集中豪雨等により洪水が発生したり地震により津波等が発生したりすることにより、住宅に大きな被害が発生する。すなわち、これまでの住宅は、上記洪水等の発生により、住宅の周囲が増水した場合には、該住宅の隙間から汚泥が侵入し、全ての建材、住宅に設けられた設備(住設機器)、家具等の多くが以後使用することができないばかりか、濁流の水圧に耐えられず住宅が倒壊し、場合によっては該濁流に流されてしまう事態も発生し多大な損失を蒙る。そこで、本出願人は、こうした事態を回避するために、住宅の壁や、玄関や勝手口或いは窓枠等の周囲から水が侵入しないように水密性を高くし、また基礎部に形成された換気口から床下に水が侵入しない構造を備えた各種の耐水害住宅等を出願した。こうした水密性の高い耐水害住宅によれば、上記洪水等の発生に伴って蒙る種々の被害・損失を回避することが可能となる。
しかし、このような耐水害住宅では、その水密性が高ければ高い程、洪水等が発生した場合、内部に流入した汚泥等による被害は防止することができる反面、住宅全体が浮上又は浮遊する危険性が増加し、場合によっては濁流により流されてしまう事態も発生する。他方、本出願人は、こうした住宅の浮上を防止する構造も出願したが、住宅の周囲の水位が高くなればなるほど、住宅に作用する水圧は増加し、該住宅に対する止水性・防水性は一層厳しい性能が要求され、ひいては該止水性・防水性に多大なコストが必要となる。
そこで、こうした住宅の止水性・防水性に多大なコストを掛けることなく、あえて積極的に住宅を浮遊させ、洪水や津波が収まり水位が低下するにしたがって、元の位置に下降する構造が提案されている。例えば、特許第5630917号公報(特許文献1)は、建物(住宅)に浮力を付与するエアバッグを取り付け、このエアバッグにより建物が浮上するように構成されているばかりではなく、地盤に管体を起立させる一方、この管体内に上方から挿通された棒状体を配置し、上記管体と建物とは、該建物の下方側に基端が固定され内部に該管体が挿通された円盤状の下方側連結部材により連結され、上記棒状体と建物とは、該建物の上方側に基端が固定され内部に該棒状体が挿通された円盤状の上方側連結部材により連結されてなるものである。こうした浮上構造によれば、上記建物が浮上する際、上記建物に固定された上方側連結部材に連結された棒状体は管体にガイドされながら、また上記下方側連結部材は上記管体にガイドされながら浮上する。そして、水位が低下することによって、上記建物は、上記下方側連結部材が管体にガイドされながら、また、上記棒状体が管体にガイドされながら下降される。
特許第5630917号
しかしながら、上記特許文献1に開示された浮上構造では、建物(住宅)に対して、上記上方側連結部材と下方側連結部材をそれぞれ固定する必要性があるばかりか、地盤には上記管体を起立させるととともに該管体内に上記棒状体を挿通させる必要性があり、極めて高コストとならざるを得ない。特に、上記建物(住宅)の総重量は相当重いことからすれば、上記管体や棒状体は高強度に設計せざるを得ない。また、上記浮上構造では、建物が浮上する際には必ず上記管体の内周面の一部が棒状体の外周面の一部に摺接することとなるが、先に記載した洪水や津波のように、建物の周囲を移動する水の流速が早ければ早いほど、上記管体と棒状体との抵抗は増加することとなり、該流速の程度によっては初期の目的の通りに建物が浮上しない場合も想定される。さらに、上記浮上構造では、必ず上記建物の側部には、それぞれの棒状体が露出するばかりではなく、各棒状体の上端は建物の屋根付近にまで達しているものであることから、該建物の外観・美観を損ねる。
そこで、本発明は、上述した従来の住宅の浮上構造が有する課題を解決するために提案されたものであって、洪水等の際に住宅全体が水に浮上されるばかりではなく、極めて簡単な構造により低コストにより提供することができ、洪水や津波のように流速を伴う水が住宅に作用した場合であっても必ず浮上することができるとともに、これまでの住宅の美観も損ねることがない新規な住宅の浮上構造を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、洪水や津波による水により、地盤上に形成された基礎部とこの基礎部に固定された住宅本体が一体的に浮上する住宅の浮上構造であって、上記住宅本体から離間した位置において鉛直方向に起立してなるとともに該住宅本体の周囲に設置された複数のポールと、一端は上記ポールに対して上下方向に移動可能に取り付けられ、他端は上記基礎部に固定されてなる連結部材と、を備え、上記基礎部と住宅本体とが一体的に浮上することにより、上記連結部材の一端側がポールの上下方向に移動されるように構成されてなることを特徴とするものである。
この第1の発明に係る住宅の浮上構造では、洪水や津波等の水により基礎部と住宅本体とが一体的に浮上すると、上記それぞれの連結部材の一端側は上記各ポールに沿って上昇する。この際、上記それぞれのポールは住宅本体の周囲に設置されていることから、水流による抵抗が住宅本体及び基礎部に作用した場合には、上流側の連結部材に張力が付与されて緊張状態となり、それ以上に該住宅本体及び基礎部が水に流れて移動されることはない。そして、徐々に水位が低下すると、その水位に応じて住宅本体及び基礎部は元の位置又はその近傍に着地する。この際、上記連結部材の一端側は、上記ポールに沿って下方に移動する。
したがって、この第1の発明に係る住宅の浮上構造によれば、材料費ばかりか施工費用も含めて極めて低コストで提供することが可能となるとともに、洪水等のように流れる水の抵抗により先に背景技術として説明した該棒状体と管体との摩擦抵抗が増加するような事態もなく、確実に住宅を浮上させることが可能となる。また、上記棒状体を構成要素としないことから、住宅の外観を大きく損なうこともない。さらに、上記ポールは、住宅本体の周囲に設置されていることから、濁流により住宅本体に大きな抵抗が発生し、その結果万が一上記連結部材と基礎部との固定状態が解除されてしまった場合であっても、住宅本体は上記幾つかのポールに衝突し、それ以上下流側に押し流されてしまう事態を回避することができる。
なお、上記住宅の浮上構造を備えるポールは、上記住宅本体から離間した位置において鉛直方向に起立してなるとともに該住宅本体の周囲に設置されたものであれば、その本数は特に限定されるものではない。また、これらのポールの高さは、住宅本体が建設される場所や想定される津波の高さ(例えば、政府又は自治体により公表されているハザードマップ)に応じて適宜設定すれば良く、必ずしも住宅本体の高さと同じ高さとする必要性はない。また、上記連結部材は、少なくとも、一端は上記ポールに対して上下移動可能に取り付けられ、他端は上記基礎部に固定されてなるものであれば良く、該連結部材として線状材を用いる場合には、例えば、ワイヤ、紐又はチェーン等を使用することができる。また、この連結部材の一端とポールとの取付状態は、少なくとも該連結部材が上下方向に移動可能な状態で取り付けられていれば良く、該連結部材(の主要部)を上記線状材とした場合には、該線状材をポールの外周に掛け渡したものの他、ポールに鉛直方向に長さを有するガイド溝を形成し、このガイド溝にガイドされながら昇降する昇降部材が連結部材の一部として構成要素とされているものであっても良い。また、上記連結部材の全長は、少なくともこの第1の発明では特に限定されるものではない。但し、上記ポールから上記基礎部までの距離よりも長ければ長い程、濁流等により住宅本体と基礎部とが一体的に流された場合、下流側に配置されたポールに住宅本体が衝突する危険性が高くなるとともに、水位が低下した際には、元の位置からはずれた位置に住宅本体等が着地することとなるため、該連結部材の全長は、可能な限り短いものとすることが望ましいが、逆に通常時においても該連結部材が張設された状態とすると、ポールと連結部材の一端側との摩擦抵抗が増加して住宅本体及び基礎部の浮上を妨げる危険性もある。したがって、上記連結部材の全長は、上記互いに相反する事態を考慮して適宜選定することが好ましい。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記地盤はコンクリート又は砕石により上面が平坦とされ、前記基礎部はこの平坦とされた地盤上に形成されてなることを特徴とするものである。
この第2の発明に係る住宅の浮上構造では、前記地盤は、コンクリート又は砕石により上面が平坦とされており、土からなる地盤上に上記基礎部が形成されているものではない。したがって、洪水等が発生し、上記基礎部と住宅本体とが一体的に浮上すると、該基礎部と上記地盤との間は濁流が流れ、こうした濁流により、例えば該基礎部の周囲の土(地盤)が部分的に(不均一に)浸食されたり崩れたりすることを防止することができる。換言すれば、この第2の発明に係る住宅の浮上構造では、コンクリート又は砕石により上面が平坦とされた地盤上に上記基礎部が形成されていることから、上記地盤の不均一な浸食や崩れを防止することができ、水位が低下して再び地盤上に着地された住宅本体等が傾斜してしまう危険性を有効に防止することができる。
なお、上記地盤を構成するコンクリートや砕石は、少なくともその一方が打設又は敷設されていれば良く、例えば、住宅本体の中央は砕石が敷設され、この砕石の周囲にはコンクリートが打設されている等して、該コンクリートと砕石の双方により地盤が形成されている場合であっても良い。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記基礎部と該基礎部が形成された地盤との間には、シート体が敷設されてなることを特徴とするものである。
この第3の発明に係る住宅の浮上構造は、以下の2つの態様に分かれる。1つ目の態様は、上記第1の発明を引用したものであり、コンクリートを打設することにより成形された基礎部と地盤(特に、以下に記載するコンクリート又は砕石からなる地盤ではなく、該地盤が土である)との間に上記シート体が敷設されている場合である。2つ目の態様は、上記第2の発明を引用したものであり、上記コンクリート又は砕石の何れか又はそれらの双方からなる地盤上にシート体が敷設され、このシート体上に上記基礎部が施工されている場合である。したがって、こうした住宅の浮上構造では、上記シート体を間に介して上記地盤と基礎部とは完全に分離されており、住宅本体を含めた基礎部全体が浮上した際、該基礎部の下面に地盤である土、コンクリート又は砕石の一部が該基礎部の下面等に付着して上昇し、この結果該地盤に凹凸が形成されることを有効に防止することができる。こうした凹凸が地盤に形成されそれが剥き出しの状態となり、該地盤が濁流により不均一に浸食されれば、水位が低下して再び地盤上に着地した際、住宅本体は傾斜してしまうこととなり、住宅本体の内部への浸水が無い状態であっても、良好な居住空間を確保できず、以後大規模な修復工事が必要となる。したがって、この第3の発明に係る住宅の浮上構造によれば、こうした事態を有効に回避することができる。
なお、上記シート体は合成樹脂からなるフィルムであっても良いばかりではなく、更に透湿性を有するシート体(透湿シート)であっても良い。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記基礎部の外周の下端には、ジャッキ等の昇降装置を構成する昇降部材又はベースが該基礎部の外側から挿入される挿入空間が形成されてなることを特徴とするものである。
この第4の発明に係る住宅の浮上構造は、上記ジャッキ等の昇降装置を構成する昇降部材又はベースが該基礎部の外側から挿入される挿入空間が上記基礎部の外周の下端に形成されていることから、濁流等が収まって水位が低下し、浮上していた住宅本体及び基礎部が地盤に着地した後において、該住宅本体と基礎部とを一体的に上昇させる(ジャッキアップさせる)際に、上記ベース等を上記挿入空間内に挿入することができる。なお、こうした挿入空間を基礎部に形成する方法は、概ね以下に説啓する工程を採用すれば良い。先ず、地盤上に所定の鉄筋を配筋し、次いで上記挿入空間となる部位に発泡ウレタン又は木片等のスペーサを配置する。その上で、上記鉄筋及びスペーサの周囲に型枠を配置し、この型枠内にコンクリートを打設する。そして、このコンクリートが硬化した後に、上記スペーサを取り除く。こうした一連の工程により、上記挿入空間が形成される。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記ポールには、前記連結部材が上昇した際に該連結部材に係止する1又は複数の係止部が形成されてなることを特徴とするものである。
この第5の発明に係る住宅の浮上構造では、前記ポールには1又は複数の係止部が形成され、この係止部は、住宅本体と基礎部との一体的な浮上に追随して上昇した連結部材が係止される部位である。すなわち、想定された水位よりも大幅に水位が上昇し住宅本体等がポールの高さよりも上方に浮上した場合には、上記連結部材と係止部とが互いに係合し、住宅本体及び基礎部はそれ以上上昇しない。
したがって、この第5の発明に係る住宅の浮上構造によれば、想定外の水位となった場合であっても上記連結部材は必ず上記ポールに形成された係止部に係止されることから、ある程度各ポールの高さを低いものとすることができ、該ポールにかかるコストを抑制することができるとともに、住宅の周囲の外観を損なうことも抑制することができる。
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第1ないし第5の発明の何れかにおいて、前記複数の連結部材は、一部の連結部材が緊張状態となった際に、他の連結部材が連結された前記ポールに前記住宅本体が当接しない長さとされてなることを特徴とするものである。
この第6の発明に係る住宅の浮上構造では、浮上した住宅本体及び基礎部が下流側に流され、一部の連結部材が緊張状態となった際に、他の連結部材が連結されたポールに住宅本体が当接(衝突)しない長さとされていることから、該住宅本体が下流に配置されたポールと当接することにより破損したり変形したりする危険性を有効に防止することができる。
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、上記第1ないし第6の発明の何れかにおいて、前記基礎部は、前記住宅本体の下方に形成された水平基礎部と、この水平基礎部から起立してなる垂直基礎部とを有し、前記連結部材は、一端に前記ポールの外周に掛け渡される中空状の挿通部が形成された線状材を備え、上記垂直基礎部の外側面には、上記連結部材の他端を固定する1又は複数の固定金具が固定されてなることを特徴とするものである。
この第7の発明に係る住宅の浮上構造によれば、連結部材の一端側とポールとの取付状態を簡素な構成とすることができ、安価に提供することが可能となる。
なお、上記第7の発明に係る住宅の浮上構造では、上記連結部材の一端に前記ポールの外周に掛け渡される中空状の挿通部が形成された線状材を備えている。換言すれば、この挿通部が上記ポールに外嵌挿されている。また、上記線状材は、ワイヤ、紐或いはチェーン等のように可撓性を有するものであり、該連結部材の他端は、上記垂直基礎部の外側面に固定された1又は複数の固定金具に固定されている。なお、この固定金具は、少なくとも上記連結部材の他端を固定するものであれば、その形状は特に限定されず、また、該固定金具と連結部材とは、互いに直接的に固定されている場合以外に、該固定金具と連結部材との間にリング状の部材やボルト・ナット等の締結部材が介在している場合であっても良い。
また、第8の発明(請求項8記載の発明)は、上記第7の発明において、前記固定金具は、前記垂直基礎部の外側面に露出してなる固定板部と、前記連結部材の他端を固定する固定部と、基端は上記固定板部の背面に固定され上記垂直基礎部内に埋設されてなるとともに該固定板部の背面との間において該垂直基礎部の材料であるコンクリートが充填された充填空間が形成されてなる埋設部と、を備えてなることを特徴とするものである。
この第8の発明に係る住宅の浮上構造では、上記垂直基礎の外側面に露出してなる固定板部に背面には、埋設部を備えている。この埋設部は、上記垂直基礎部内に埋設されてなるとともに該固定板部の背面との間において該垂直基礎部の材料であるコンクリートが充填された充填空間が形成されている。したがって、この第8の発明に係る住宅の浮上構造によれば、濁流により住宅本体等に大きな抵抗が作用し、この結果上記連結部材全体が緊張した場合であっても、上記充填空間内に充填されたコンクリートと埋設部とが係合し該垂直基礎部と連結部材との固定状態が解除されることがない。
なお、上記埋設部は、少なくとも上記固定板部の背面との間において該垂直基礎部の材料であるコンクリートが充填された充填空間が形成されてなるものであれば良く、その形状が限定されるものではない。例えば、上記垂直基礎部内に埋設され鉛直方向に長さ又は幅を有する板体を上記埋設部として、上記固定板部の背面に接続部を介して固定し、この板体と固定板部との間の空間が上記充填空間とされたものであっても良い。
また、第9の発明(請求項9記載の発明)は、上記第8の発明において、前記連結部材の他端にはボルト部を備えたボルト部材が固定され、前記固定板部には、上記ボルト部材が螺着されるナット部が内周に形成されてなるとともに前記垂直基礎部内に埋設された1又は複数のナット部材が該固定板部から水平に固定されてなることを特徴とするものである。
この第9の発明に係る住宅の浮上構造では、上記連結部材の他端に固定されたボルト部材が、上記固定板部に水平に固定されたナット部材に螺着されることにより、上記連結部材の他端が垂直基礎部に固定される。上記ナット部材は、上記垂直基礎部内に埋設されてなるものであり、その先端は外部に露出されている。したがって、この第9の発明に係る住宅の浮上構造によれば、連結部材の他端を上記垂直基礎部に対して簡単に固定することができるとともに、固定された連結部材の他端を該垂直基礎部から容易に取り外すことができる。また、上記固定板部に複数のナット部材が固定されている場合には、上記ナット部材を取り外し、例えば垂直板部と水平板部とにより側面形状がL字状に成形されたアングル材(の垂直板部)を垂直基礎部に複数のボルト部材により固定することにより、水位が低下し着地した住宅本体と基礎部とを一体的に上昇させる際に使用される昇降装置(ジャッキ)の昇降部材の上面を該アングル材(の水平板部)の下面に当接させることができる。
また、第10の発明(請求項10記載の発明)は、上記第7ないし第9の発明の何れかにおいて、前記固定金具を構成する固定板部の下端には水平板部が固定されてなるとともに、該水平板部の下面の左側には一方の脚部が固定され該水平板部の下面の右側には該一方の脚部と平行に配置された他方の脚部が固定され、上記一方の脚部と他方の脚部との間には、前記基礎部及び住宅本体を上昇させる昇降装置(ジャッキ)の昇降部材又はベースが挿入される挿入空間が形成されてなることを特徴とするものである。
この第10の発明に係る住宅の浮上構造では、上記一方の脚部と他方の脚部との間には、前記基礎部及び住宅本体を上昇させる昇降装置(ジャッキ)の昇降部材又はベースが挿入される挿入空間が形成されていることから、水位が低下し着地した住宅本体と基礎部とを一体的に上昇させる際に使用される昇降部材又はベースを上記挿入空間内に挿入することができる。なお、こうした挿入空間が形成された固定金具を上記垂直基礎部に施工・固定する方法は、概ね以下に説明する工程を採用すれば良い。先ず、地盤上に所定の鉄筋を配筋し、次いで上記固定金具を所定位置に配置する。この際、上記挿入空間となる位置には後に容易に取り出すことが可能なスペーサを配置して置く。その上で、上記鉄筋及び固定金具の周囲に型枠を配置し、この型枠内にコンクリートを打設する。そして、このコンクリートが硬化した後に、上記スペーサを取り除く。こうした一連の工程により、上記一方の脚部と他方の脚部との間に挿入空間が形成される。
また、第11の発明(請求項11記載の発明)は、上記第1ないし第10の発明の何れかにおいて、前記基礎部には、室外機又は温水器等の前記住宅本体の外側に設置される設備機器が載置される機器載置用基礎部が該基礎部と一体的に形成されてなることを特徴とするものである。
この第11の発明に係る住宅の浮上構造では、室外機又は温水器等の前記住宅本体の外側に設置される設備機器が載置される機器載置用基礎部が該基礎部と一体的に形成されてなることから、前記住宅本体及び基礎部が一体的に浮上した際には、この機器載置用基礎部も一体的に浮上し、室外機又は温水器等の設備機器のみが配管又は電気ケーブルを介して不安定に浮遊したり住宅本体に対してぶら下がったりした状態となり、さらには上記配管や電気ケーブルが切断され設備機器は流され、以後使用不能となる事態を有効に防止することができる。
また、第12の発明(請求項12記載の発明)は、上記第1ないし第11の発明の何れかにおいて、前記基礎部には、コンクリート製の玄関ポーチ又は勝手口ポーチ等のように該基礎部と一体的に形成されてなるとともに該基礎部の各部位における単位面積当たりの平均荷重と比較して高荷重を有する高荷重部位が形成され、上記高荷重部位の内部には、発泡樹脂等の低比重の素材からなる低荷重部材が配置されてなるか、又は該高荷重部位の内部には空洞が形成されてなるか、若しくは、前記住宅本体及び基礎部全体において、二階建て部位又は三階建て部位等の高荷重である高荷重部位と、この高荷重部位よりも平屋建て部位等のように上記高荷重部位と比較して低荷重である低荷重部位とがそれぞれ該住宅本体及び基礎部全体において変位した位置に形成されており、該低荷重部位には、上記高荷重部位との差異に相当する荷重を付与する荷重付与部材が配置されてなることを特徴とするものである。
この第12の発明に係る住宅の浮上構造は、以下の二つの特徴の何れかを備えたものである。すなわち、一方の特徴は、前記基礎部には、コンクリート製の玄関ポーチ又は勝手口ポーチ等のように該基礎部と一体的に形成されてなるとともに該基礎部の各部位における単位面積当たりの平均荷重と比較して高荷重を有する高荷重部位が形成され、上記高荷重部位の内部には、発泡樹脂等の低比重の素材からなる低荷重部材が配置されてなるか、又は該高荷重部位の内部には空洞が形成されてなるものである。この高荷重部位とは、コンクリート製の玄関ポーチ又は勝手口ポーチ等のように該基礎部と一体的に形成されてなるとともに該基礎部の各部位における単位面積当たりの平均荷重と比較して高荷重を有する部位を言う。また、上記低荷重部材とは、発泡樹脂等の低比重の素材からなり、少なくとも単位面積当たりにおける基礎部(コンクリート)の荷重よりも荷重が低い部材を言う。また、他方の特徴は、前記住宅本体及び基礎部全体において、二階建て部位又は三階建て部位等の高荷重である高荷重部位と、この高荷重部位よりも平屋建て部位等のように上記高荷重部位と比較して低荷重である低荷重部位とがそれぞれ該住宅本体及び基礎部全体において変位した位置に形成されており、該低荷重部位には、上記高荷重部位との差異に相当する荷重を付与する荷重付与部材が配置されてなるものである。
したがって、上記第12の発明に係る住宅の浮上構造によれば、洪水等により住宅本体及び基礎部が浮上すると、上記高荷重部位の内部に配置された低荷重部材の浮力又は上記空洞の浮力により、若しくは、上記低荷重部位に対する上記荷重付与部材の配置により、住宅本体等が傾斜しない状態で該住宅本体等を浮上させることができ、この結果、住宅本体の内部に設置された家具や冷蔵庫が転倒したり、或いは什器や調度品等が収納家具から脱落したりする等の被害を低減することができる。
また、第13の発明(請求項13記載の発明)は、上記第1ないし第12の発明の何れかにおいて、前記基礎部の外側には、前記住宅本体の内部に配置されたキッチン又はトイレ若しくは洗面台からの排水を該住宅本体内から外部に排水する住宅側排水管の先端が下向きに配置され、前記地盤には、上記住宅側排水管からの排水が流入する地盤側排水管の先端が上向きに配置され、上記住宅本体及び上記基礎部が一体的に浮上した際、それまで互いに接続されていた上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されるように構成されてなることを特徴とするものである。
この第13の発明に係る住宅の浮上構造では、上記住宅本体及び上記基礎部が一体的に浮上した際、それまで互いに接続されていた上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されるように構成されてなることから、洪水や濁流等により住宅本体及び基礎部が浮上した際に、上記住宅側排水管や地盤側排水管が破損することを防止することができる。特に、この第13の発明に係る住宅の浮上構造では、上記住宅側排水管の先端は、上記基礎部の外側に位置してなることから、上記洪水等が収まり住宅本体及び基礎部が着地した際には、住宅側排水管の先端と地盤側排水管の先端を再び容易に接続することが可能となる。
また、第14の発明(請求項14記載の発明)は、上記第13の発明において、前記地盤側排水管の先端側中途部には、蛇腹状に成形された伸縮部が形成されてなり、前記住宅本体及び前記基礎部が一体的に浮上した際、上記伸縮部が伸長されるとともに該伸縮部が所定の長さ伸長された後に、それまで互いに接続されていた上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されるように構成されてなることを特徴とするものである。
この第14の発明に係る住宅の浮上構造では、上記地盤側排水管の先端側中途部には、蛇腹状に成形された伸縮部が形成されていることから、洪水や濁流等による上記住宅本体及び基礎部の上昇の程度(浮き上がりの長さ)が、上記伸縮部による最大伸長長さに満たない場合には、上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されることはなく、その後洪水等が収まって着地した際においても依然として上記接続状態は維持され、該住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端とを接続する作業を要しない。また、上記住宅本体等が濁流等により斜めに浮上した場合であっても、上記地盤側排水管と住宅側排水管との位置の変位は、上記伸縮部により吸収することができるため、上述したように、住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端とを接続する作業を要しない。さらに、上記洪水等が収まり住宅本体及び基礎部が着地した位置が必ずしも元の位置ではなく多少ずれている場合であっても、上記伸縮部は蛇腹状に成形されていることから、元の位置と着地した位置との距離が該伸縮部の最大伸長長さの範囲内である限りにおいて、地盤側排水管の先端と住宅側排水管を容易に接続することが可能となる。
また、第15の発明(請求項15記載の発明)は、上記第13の発明において、前記住宅側排水管は、前記基礎部の外側に先端が露出した第1の住宅側排水管と、この第1の住宅側排水管の先端に接続され下端は下向きとされた第2の住宅側排水管とから構成され、
上記第1の住宅側排水管の先端と第2の住宅側排水管の基端との接続状態は、該第1の住宅側排水管に対して該第2の住宅側排水管が回転可能とされてなることを特徴とするものである。
この第15の発明に係る住宅の浮上構造では、上記第1の住宅側排水管の先端と第2の住宅側排水管の基端との接続状態は、該第1の住宅側排水管に対して該第2の住宅側排水管が回転可能とされてなることから、上記洪水等が収まり住宅本体及び基礎部が着地した地点が必ずしも元の位置ではなく多少ずれている地点に着地した場合であっても、上記伸縮部は蛇腹状に成形されていることと相俟って、第1の地盤側排水管の先端と上記第2の住宅側排水管を一層容易に接続することが可能となる。
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、材料費ばかりか施工費用も含めて極めて低コストで提供することが可能となるとともに、洪水等のように流れる水の抵抗により先に従来の技術として説明した該棒状体と管体との摩擦抵抗が増加するような事態もなく、確実に住宅を浮上させることが可能となる。また、上記棒状体を構成要素としないことから、住宅本体の外観を大きく損なうこともない。さらに、上記ポールは、住宅本体の周囲に設置されていることから、濁流により住宅本体に大きな抵抗が発生し、その結果万が一上記連結部材と基礎部との固定状態が解除されてしまった場合であっても、住宅本体は上記幾つかのポールに衝突し、それ以上下流側に押し流されてしまう事態を回避することができる。
また、上記第2の発明(請求項2記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、コンクリート又は砕石により上面が平坦とされた地盤上に上記基礎部が形成されていることから、土からなる地盤の不均一な浸食や崩れを防止することができ、水位が低下して再び地盤上に着地された住宅本体等が傾斜してしまう危険性を有効に防止することができる。
また、上記第3の発明(請求項3記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、上記シート体を間に介して上記地盤と基礎部とは完全に分離されていることから、住宅本体及び基礎部が一体的に浮上した際、該基礎部の下面に地盤である土、コンクリート又は砕石の一部が該基礎部の下面等に付着して上昇し、この結果該地盤に凹凸が形成されることを有効に防止することができる。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、洪水や濁流等が収まって水位が低下し、それまで浮上していた住宅本体及び基礎部が地盤に着地した後において、該住宅本体と基礎部とを一体的に上昇させる(ジャッキアップさせる)際に、上記昇降部材又はベースを上記挿入空間内に挿入することができる。換言すれば、この発明によれば、上記基礎部が着地した後に、住宅本体及び基礎部をジャッキアップし、その位置の修正作業を容易に行うことができる。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、想定外の水位となった場合であっても上記連結部材は必ず上記ポールに形成された係止部に係止されることから、ある程度各ポールの高さを低いものとすることができ、該ポールにかかるコストを抑制することができるとともに、住宅の周囲の外観を損なうことも抑制することができる。
また、第6の発明(請求項6記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、上記住宅本体が下流に配置されたポールと当接することにより破損したり変形したりする危険性を有効に防止することができる。
また、第7の発明(請求項7記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、連結部材の一端側とポールとの取付状態を簡素な構成とすることができ、安価に提供することが可能となる。
また、第8の発明(請求項8記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、濁流により住宅本体等に大きな抵抗が作用し、この結果上記連結部材全体が緊張した場合であっても、上記充填空間内に充填されたコンクリートと埋設部とが係合し該垂直基礎部と連結部材との固定状態が解除されることがない。
また、第9の発明(請求項9記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、連結部材の他端を上記垂直基礎部に対して簡単に固定することができるとともに、固定された連結部材の他端を該垂直基礎部から容易に取り外すことができる。また、上記固定板部に複数のナット部材が固定されている場合には、上記ナット部材を取り外し、例えば垂直板部と水平板部とにより側面形状がL字状に成形されたアングル材(の垂直板部)を垂直基礎部に複数のボルト部材により固定することにより、水位が低下し着地した住宅本体と基礎部とを一体的に上昇させる際に使用される昇降装置(ジャッキ)の昇降部材又はベースの上面を該アングル材(の水平板部)の下面に当接させることができ、住宅本体及び基礎部をジャッキアップし、その位置の修正作業容易に行うことができる。
また、第10の発明(請求項10記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、水位が低下し着地した住宅本体と基礎部とを一体的に上昇させる際に使用される昇降装置(ジャッキ)の昇降部材又はベースを上記挿入空間内に挿入することができ、住宅本体及び基礎部をジャッキアップし、その位置の修正作業を容易に行うことができる。
また、第11の発明(請求項11記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、上記住宅本体及び基礎部が一体的に浮上した際には、この機器載置用基礎部も一体的に浮上し、室外機又は温水器等の設備機器のみが配管又は電気ケーブルを介して不安定に浮遊したり住宅本体に対してぶら下がったりした状態となり、さらには上記配管や電気ケーブルが切断され設備機器は流され、以後使用不能となる事態を有効に防止することができる。
また、第12の発明(請求項12記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、洪水等により住宅本体及び基礎部が浮上すると、上記高荷重部位の内部に配置された低荷重部材の浮力又は上記空洞の浮力により、若しくは、上記荷重付与部材の配置により、住宅本体等が傾斜することなくほぼ均一な状態で(地面に対して略平行な状態で)該住宅本体等を浮上させることができ、この結果、住宅本体の内部に設置された家具や冷蔵庫が転倒したり、或いは什器や調度品等が収納家具から脱落したりする等の被害を低減することができる。
また、第13の発明(請求項13記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、洪水や濁流等により住宅本体及び基礎部が浮上した際に、上記住宅側排水管や地盤側排水管が破損することを防止することができる。特に、この発明では、上記住宅側排水管の先端は、上記基礎部の外側に位置してなることから、上記洪水等が収まり住宅本体及び基礎部が着地した際には、住宅側排水管の先端と地盤側排水管の先端を再び容易に接続することが可能となる。
また、第14の発明(請求項14記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、以下に説明する様々な効果を奏することができる。先ず、この発明では、上記地盤側排水管の先端側中途部には、蛇腹状に成形された伸縮部が形成されていることから、洪水や濁流等による上記住宅本体及び基礎部の上昇の程度(浮き上がりの長さ)が、上記伸縮部による最大伸長長さに満たない場合には、上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されることはなく、その後洪水等が収まって着地した際においても依然として上記接続状態は維持され、該住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端とを接続する作業を要しない。次に、上記住宅本体等が濁流等により斜めに浮上した場合であっても、上記地盤側排水管と住宅側排水管との位置の変位は、上記伸縮部により吸収することができるため、上述したように、住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端とを接続する作業を要しない。さらに、上記洪水等が収まり住宅本体及び基礎部が着地した位置が必ずしも元の位置ではなく多少ずれている場合であっても、上記伸縮部は蛇腹状に成形されていることから、元の位置と着地した位置との距離が該伸縮部の最大伸長長さの範囲内である限りにおいて、地盤側排水管の先端と住宅側排水管を容易に接続することが可能となる。
また、第15の発明(請求項15記載の発明)に係る住宅の浮上構造によれば、上記洪水等が収まり住宅本体及び基礎部が着地した地点が必ずしも元の位置ではなく多少ずれている地点に着地した場合であっても、上記伸縮部は蛇腹状に成形されていることと相俟って、第1の地盤側排水管の先端と上記第2の住宅側排水管を一層容易に接続することが可能となる。
本発明に係る住宅の浮上構造の一例を模式的に示す平面図である。 本発明に係る住宅の浮上構造の他の例を模式的に示す平面図である。 本発明に係る住宅の浮上構造の更に他の例を模式的に示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る住宅の浮上構造の要部を示す断面図である。 基礎部に固定金具が固定された状態を示す正面図である。 固定金具を示すものであり、(A)は該固定金具の正面図、(B)は該固定金具の側面図、(C)は該固定金具の平面図である。 垂直基礎部に固定された固定金具とポールとが連結部材により連結されている状態を示す平断面図である。 基礎部に機器載置用基礎部が形成された状態を示す側断面図である。 基礎部にアプローチ階段が形成された状態を示す側断面図である。 排水管の配管構造を示す側面図である。 水位が上昇する過程を示す側面図である。 挿入空間を利用してジャッキアップする状態を示す側面図である。 第1及び第2のナット部材にそれぞれ螺着されたボルトにより固定されたL字状アングル材を使用してジャッキアップする状態を示す側面図である。 ポールと連結部材との連結状態の他の例を示す側面図である。 浮力付与部材が基礎部上に配置された状態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る住宅の浮上構造ついて、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、本発明の基本的な構造について、図1ないし図3を参照しながら説明し、その後に具体的な実施の形態に係る住宅の浮上構造を説明する。
この住宅の浮上構造は、洪水や津波による水により、地盤上に形成された基礎部とこの基礎部に固定された住宅本体が一体的に浮上するものである。図1は、本発明に係る住宅の浮上構造の一例を模式的に示す平面図であり、中央に図示された住宅本体1の各角部からやや離間した位置には、それぞれポール2が立設されている。すなわち、上記それぞれのポール2は、上記住宅本体1の周囲の周囲に配置されている。また、上記住宅本体1は、高い水密性を有する耐水害住宅であり、後述する実施の形態に係る住宅の浮上構造において説明するように、コンクリートにより成形された基礎部上に固定されている。また、上記それぞれのポール2は、地盤から立設されてなるものであり、円筒状又は円柱状に成形されている。なお、このポール2の素材は、鉄又は木材からなるものであり、それぞれの高さ(地盤表面から先端までの長さ)は、政府又は自治体等から公表されたハザードマップにより想定された水位と同程度か或いはそれよりもやや高いものとされている。
そして、上記それぞれのポール2と住宅本体1の下方に形成された(図1においては)図示しない基礎部とは、それぞれ連結部材3により互いに連結されている。上記それぞれの連結部材3は、線状材であるワイヤを主体としてなるものである。そして、これらの連結部材3の一端は、上記ポール2の外周に掛け渡されているか(又は後述する(図14に示す)スライダー64に固定されて)おり、後述するように水位の上昇により上記住宅本体1及び基礎部(以下、住宅本体1等と言う。)の上昇に伴って、該ポール2の外周面にガイドされながら上昇し、また水位の低下に伴う住宅本体1等の下降により該連結部材の自重により下降されるように構成されている。また、上記それぞれの連結部材3の他端は、上記基礎部(この基礎部を構成するとともに外周に形成された垂直基礎部)の外周の各角部に固定されている。なお、これら各連結部材3の他端を上記基礎部に固定する構造は、後述する実施の形態に係る住宅の浮上構造において詳細に説明する。なお、上記連結部材3は、図1中(図2及び図3も同様)において直線で示されているが、上述した通り、水位の上昇及び下降により上下方向に移動可能とされていることから、緊張した状態で配置されているものではない。また、これらの連結部材3の長さは、図1中何れかの方向から濁流が押し寄せ、上流側の連結部材3が緊張され下流側の連結部材3が緩和された際、後述するように浮上した住宅本体1等が下流側のポール2に当接又は衝突しない長さとされている。
したがって、上記図1に示す住宅の浮上構造によれば、洪水等の発生により上記住宅本体1等の周囲の水位が所定の高さ(住宅本体1等の浮力が該住宅本体1等の質量を超える高さ)に至った場合には、該住宅本体1等は図示しない地盤から上昇・浮上する。この際、上記連結部材3の一端側は、上記住宅本体1等の上昇の程度に応じて追随するように、上記ポール2にガイドされながら上昇する。また、上記洪水等が収まり水位が低下すると、上記住宅本体1等は下降し、こうした住宅本体1等の下降に伴って上記連結部材3の一端側は下降し元の位置に着地・復帰する。この際、上記住宅本体1等は、上記連結部材3の長さにより一様ではないが、略元の位置に着地される。
なお、上記図1に示す住宅の浮上構造では、上記連結部材3を1つの線状材により構成するとともに、これらの線状材の他端を上記基礎部(垂直基礎部)の各角部に固定したものであるが、図2に示す住宅の浮上構造の他の例のように、それぞれの一端側は上記ポール2の外周に掛け渡された2つの線状材を備えた連結部材3を用い、これら2つの線状材の他端は、上記基礎部(垂直基礎部)の角部を挟んだ一方の外側面及び他方の外側面に固定したものであっても良い。またさらに、この発明に係る住宅の浮上構造は、図3に示すように、異形の敷地4内に、異形の住宅本体1等が前面道路Rに面して建設される場合には、上記それぞれポール2を、上記住宅本体1等の周囲に立設し、各ポール2と上記基礎部(垂直基礎部)とを1つ又は2つの線状材を主体とした連結材3により連結しても良い。この場合には、上記全面道路Rに面した住宅本体1等の(図3中)左右両側にポール2,2が立設されていることから、該全面道路Rから観察された場合、上記各ポール2,2は大きく目立ち外観を損ねたり使用勝手に悪影響を与えたりすることがない。
次に、本発明の実施の形態に係る住宅の浮上構造について、詳細に説明する。この住宅の浮上構造は、図4に示すように、地盤9上にコンクリートが打設されることにより成形された基礎部10と、この基礎部10上に固定された住宅本体11と、上記基礎部10及び住宅本体11の近傍に立設されたポール12と、このポール12に一端側が掛け渡され他端は後述する構造により上記基礎部10(を構成する後述する垂直基礎部10b)に固定された連結部材13とを備えている。
上記地盤9は、土からなる部位と、上記基礎部10が形成される位置よりもやや広い面積に敷設されたコンクリート製地盤9aと、このコンクリート製地盤9aの内側に砕石が敷設されてなる砕石地盤9bとを備えている。なお、この実施の形態では、上記コンクリート製地盤9aの下方には更に砕石地盤9cが形成されている。また、上記コンクリート製地盤9a及び上記砕石地盤9bの上面であって、上記基礎部10が形成される部位には、透湿シート15が敷設されている。
そして、上記透湿シート15上には、基礎部10が形成されている。すなわち、上記基礎部10と上記コンクリート製地盤9a及び上記砕石地盤9bとの間には、上記透湿シート15が形成されている。なお、この透湿シート15は、本発明構成をするシート体である。また、上記基礎部10は、水平に成形された水平基礎部10aと、この水平基礎部10aから起立して形成された垂直基礎部10bとを備え、これら水平基礎部10a及び垂直基礎部10b内にはそれぞれ鉄筋16,17が配筋されている。そして、上記垂直基礎部10b上に上記住宅本体11が建築されている。なお、この住宅本体11は、壁や柱、玄関や勝手口或いは窓枠等の周囲から水が侵入しないように水密性が高く、また基礎部10に形成された図示しない換気口から床下に水が侵入しない構造等を備えた耐水害住宅である。
また、上記垂直基礎部10bであって最も外側に形成された垂直基礎部10bには、図4、図5又は図6に示すように、固定金具18が固定されている。この固定金具18は、図4に示すように正面が上記垂直基礎部10bの外側面と面一とされ外部に露出されてなるとともに水平方向に長さを有する長方形状に成形された金属製の固定板部18aと、この固定板部18aの下端に先端が溶接され上記垂直基礎部10bの肉厚方向に幅を有する水平板部18bと、を備えている。また、上記固定板部18aの上端側中途部には、図5に示すように、第1のナット部材19と第2のナット部材20が左右に並んで固定されている。これら第1及び第2のナット部材19,20は、上記垂直基礎部10b内に埋設される部位であり、それぞれ筒状に成形されてなるとともに、図6に示すように、内周面には後述するボルト部材30のボルト部30bが螺着されるナット部19a,20aが形成されている。また、上記第1及び第2のナット部材19,20は、それぞれの先端側外周が上記固定板部18aに固定(溶接)され、互いに平行とされた状態で該固定板部18aの背面から上記垂直基礎部10bの肉厚方向に延伸されている。
そして、上記水平板部18bの下面には、図6の(A)又は(B)に示すように、第1及び第2の脚部21,22が互いに平行に固定されている。これら第1及び第2の脚部21,22は、上記水平板部18bの幅方向に長さを有するものであり、この実施の形態においては、直方体状に成形されている。なお、上記第1の脚部21と第2の脚部22との間の空間は、後述する昇降装置であるジャッキのベースが挿入される挿入空間18cである。そしてさらに、この固定金具18を構成する上記固定板部18aの背面には、本発明を構成する埋設部24の両端が溶接されている。この埋設部24は、図6の(C)に示すように、略U字状に成形されてなるものであり、該埋設部24と上記固定板部18bの背面との間は、図7に示すように、上記垂直基礎部10bの材料であるコンクリートが充填される充填空間18dとされている。
また、上記ポール12は、図1に示した形態と同じように、上記住宅本体11の周囲の周囲に複数本立設されてなるものであり、具体的には図4に示すように、下端側は上記地盤9の表面から下方に埋設されており、該ポール12の下端側中途部の周囲は根巻きコンクリート26により強固に固定されている。また、これらのポール12は、それぞれ図7に示すように、鉄製パイプからなるものであり上端は閉塞されている。また、上記それぞれのパイプ12の上端側の外周には、後述するように連結部材13が上昇した際において、該連結部材13の一端側が係止される抜け止め用の係止部12a,12bが形成されている。これらの係止部12a,12bは、それぞれ上記ポール12の外周面から水平に形成された水平軸部(符号は省略する。)と、この水平軸部の先端から垂下してなる垂下軸部(符号は省略する。)とから構成されている。
また、上記連結部材13は、図4又は図7に示すように、ワイヤからなる線状材28と、この線状材28の他端に連結されたシャックルからなる連結金具29と、この連結金具29に連結されたアイボルトからなるボルト部材30とから構成されている。そして、上記線状材28の一端側には該線状材28の他端を該線状材28の中途部に2つのワイヤクリップ31,31に固定されることにより挿通部28aが形成され、この挿通部28a内に上記ポール12が挿通されている。換言すれば、上記線状材28の一端側は上記ポール12に掛け渡されている。また、図7に示すように、上記線状材28の他端側には該線状材28の他端をその中途部に円筒状固定金具32により固定することにより中空部28bを形成し、この中空部28b内に、上記連結金具(シャックル)29が挿通(連結)されている。また、上記ボルト部材(アイボルト)30は、上記連結金具(シャックル)29に挿通(連結)されたリング部30aと、外周には上記ナット部19a(又はナット部20a)に螺着されるボルト部30bと、上記リング部30aとボルト部30bとの間に形成され上記ナット部材19(又はナット部材20)の外径よりも大径とされたフランジ部30cとから構成されている。
したがって、上述のように構成された連結部材13は、該連結部材13の一端側に形成された上記挿通部28a内に上記ポール12を挿通することにより該ポール12に連結され、上記ボルト部材30に形成されたボルト部30bを上記ナット部材19(又はナット部材20)に形成されたナット部19a(又はナット部20a)に上記フランジ部30cが上記固定板部18aの正面に当接するまで螺着することにより上記基礎部10(垂直基礎部10b)に固定される(図4参照)。
また、この実施の形態に係る住宅の浮上構造では、図8に示すように、上記基礎部10には、室外機又は温水器等の上記住宅本体1の外側に設置される設備機器Eが載置される機器載置用基礎部10cが該基礎部10と一体的に形成されている。この機器載置用基礎部10cは、上記基礎部10を構成する水平基礎部10aの上面と面一に成形されており、上記垂直基礎部10b(最も外側に形成された垂直基礎部10b)から外側に張り出して形成されたものである。なお、この機器載置用基礎部10cの下面には、先に説明した透湿シート15が敷設され、またこの透湿シート15の下方には上記コンクリート製地盤9aや砕石地盤9bが形成されている。
また、上記住宅本体1には、周知の通り図示しない玄関や勝手口等が設けられ、これら玄関や勝手口の手前には、図9に示すように、地盤9上との間で人が往来するアプローチ階段10dがコンクリートにより形成されており、この発明に係る住宅の浮上構造では、このアプローチ階段10dを上記基礎部10と一体的に形成するとともに該アプローチ階段10dの内部には、ブロック状に成形された発泡樹脂35が埋設されている。上記発泡樹脂は、発泡ポリスチレン又はウレタン樹脂からなるものであり、上記アプローチ階段10dの質量・荷重を低減するものである。上記アプローチ階段10dは、本発明を構成する高荷重部位であり、上記発泡樹脂35は、本発明を構成する低荷重部材である。なお、上記発泡樹脂35に代えて、空洞を上記アプローチ階段10d内に形成したものであっても良い。すなわち、こうした構造は、洪水や津波等により住宅本体11及び基礎部10が一体的に浮上する際に、これらが傾くことを防止するものであって、こうした傾きの原因は、コンクリート製の基礎部10の荷重が不均一である場合が多く、この実施の形態に係る住宅の浮上構造では、上記高荷重部位の一つであるアプローチ階段10dに上記発泡樹脂35を配置し又は該アプローチ階段10d内に空洞を形成したものである。したがって、コンクリート製の基礎部10の荷重が不均一となり浮上の際の傾きを防止する目的からは、上記アプローチ階段10dばかりではなく、上記不均一となる原因となる基礎部10の各部位における単位面積当たりの平均荷重と比較して高荷重を有する他の高荷重部位に、上記発泡樹脂又は空洞を形成したものであっても良い。
また、この実施の形態に係る住宅の浮上構造では、図10に示すように、住宅側排水管41が配管されてなるとともに、この住宅側排水管41には、地盤側排水管42が接続されている。上記住宅側排水管41は、上記住宅本体11(図10には図示しない。)の内部に配置された図示しないキッチン又はトイレ若しくは洗面台等の水回りからの排水を該住宅本体11内から外部に排水し略水平に配置された第1の住宅側排水管44と、基端側がこの第1の住宅側排水管44に接続された第1の継手45と、基端側がこの第1の継手45の先端側に接続された第2の住宅側排水管46と、基端側はこの第2の住宅側排水管46の先端側に接続された第2の継手47と、基端側はこの第2の継手47に接続されてなる第3の住宅側排水管48と、基端側はこの第3の住宅側排水管48に接続された自在継手49と、基端側はこの自在継手49に接続され90度折れ曲がった第1のエルボ管50と、上端側は、この第1のエルボ管50の下端側に接続された第4の住宅側排水管51とから構成されている。なお、第1の住宅側排水管44、第1の継手45、第2の住宅側排水管46及び第2の継手47は、上記垂直基礎部10bに形成された開口(符号は省略する。)に水密性を有した状態で挿通又は埋設され略水平に配置されている。
そして、上記(固定された)第3の住宅側排水管48に対して、上記自在継手49は、は該第3の住宅側排水管48の軸周り方向に回転可能であり、且つ、該第3の住宅側排水管48に対してやや折曲可能に接続されている。すなわち、上記第3の住宅側排水管48の先端側は円筒状に成形されてなる一方、上記自在継手49の基端側には、該略円弧状となされた湾曲部49aが周回り方向に形成され、この湾曲部49aの内側には、該自在継手49が(第3の住宅側排水管48に対してやや折曲されるように)変位した際に、該第3の住宅側排水管48の外周に当接し水密性が図られる複数の内側フランジ部49bが形成されている。また、そして、上記本実施の形態では、上記第4の住宅側排水管51は、上記第1のエルボ管50の下端側内部に挿入・固定されてなる上側接続部51aと、後述する差込ソケット52の上端側内部に挿入されている下側接続部51bと、上記上側接続部51aと下側接続部51bとの間に形成され蛇腹状に成形された伸縮部51cとから構成されている。
また、上記地盤側排水管42は、上記差込ソケット52と、上端側がこの差込ソケット52の下端側に接続されている第3の継手53と、上端側はこの第3の継手53の下端側に接続されている第1の地盤側排水管54と、上端側はこの第1の地盤側排水管54の下端側に接続された第2のエルボ管55と、図10中破線で示す第2の地盤側排水管56
及びこれに接続された第3の地盤側排水管57を備えている。そして、上記第3の地盤側排水管57は、地盤9内に配置された下水道管58に接続されている。なお、上記下水道管58の中途部には、下水マス59に接続されている。すなわち、この実施の形態に係る住宅の浮上構造では、洪水や津波等により住宅本体11及び基礎部10が一体的に所定高さまで浮上した際、それまで互いに接続されていた上記第4の住宅側排水管51と上記差込ソケット52との接続状態は解除され、該第4の住宅側排水管51は、上記住宅本体11等とともに浮上するように構成されている。
したがって、上述のように構成された実施の形態に係る住宅の浮上構造による場合であっても、洪水等の発生により上記住宅本体11及び基礎部10の周囲の水位が所定の高さ(住宅本体11等の浮力が該住宅本体11等の質量を超える高さ)に至った場合には、該住宅本体11及び基礎部10は図示しない地盤から一体的に上昇・浮上する。この際、上記連結部材13の一端側は、上記住宅本体11等の上昇の程度に応じて追随するように、上記ポール12にガイドされながら上昇する。このとき、上記基礎部10と一体的に形成された機器載置用基礎部10c及びこれに載置された上記設備機器Eも同様に上昇することから、該設備機器Eが使用不能となる事態を有効に防止することができる。また、上記アプローチ階段10d等のように、基礎部10の各部位における単位面積当たりの平均荷重と比較して高荷重を有する他の高荷重部位には、上記発泡樹脂35又は空洞が形成されていることから、上記住宅本体11等が浮上した際に、該アプローチ階段10d等のような高荷重部位が下がり住宅本体11等が全体として大きく傾き、この結果、住宅本体11の内部に設置された家具や冷蔵庫が転倒したり、或いは什器や調度品等が収納家具から脱落したりする等の被害を低減することができる。
換言すれば、図11の(A)に示すように、上記住宅本体11及び基礎部10の周囲の水位が上昇し、住宅本体11及び基礎部10(その他設備機器E等も含めた全体)の浮力が該住宅本体11等の質量を超える高さに至った場合には、図11の(B)に示すように住宅本体11及び基礎部10等は地盤9から離間して、一体的に上昇・浮上する。この際、上記地盤9上には、上記透湿シート15が敷設されていることから、浮上の際に地盤9の一部が基礎部10に付着することがない。また、上記図11の(B)に示す状態から更に水位が上昇し、図11の(C)に示すように、基礎部10の下面が上記ポール12の上端位置か或いはそれ以上浮上した場合には、上記連結部材13の一端側が該ポール12に形成された係止部12a,12bに係止され、それ以上浮上することがない。そして、上記図11にそれぞれ示すように洪水等の水(濁流)が上記住宅本体11に大きな抵抗として作用した場合であっても、上記垂直基礎部10bに固定された固定金具18には該垂直基礎部10b内に埋設された上記埋設部24が形成され、上記充填空間18dには該垂直基礎部10bの材料であるコンクリートが充填されるとされていることから容易に該固定金具18が垂直基礎部10bから脱落することがない。
さらに、図11の(B)や(C)に示すように、上記住宅本体11等が浮上し、この浮上した基礎部10の下方では、洪水等による濁流が流れるものの、上記地盤9上には透湿シート15が敷設されていることから、濁流により地盤9が浸食される等して凹凸が形成される危険性を回避することができるとともに、該透湿シート15が剥離された場合であっても、該地盤9は、先に説明したコンクリート製地盤9aや砕石地盤9bとされていることから、やはり上記濁流による凹凸が地盤9に形成され、水位が低下し上記住宅本体11等が着地した際に傾いてしまう事態を有効に防止することができる。
また、図11の(A)から(B)に至る際には、それまで互いに接続されていた上記住宅側排水管41と地盤側排水管42との接続状態は解除され、これらの排水管(符号は省略する。)が上記住宅本体11等の浮上により破損され、以後使用することができない事態を避けることができる。そして、上記住宅側排水管41の末端には、上記伸縮部51cが形成された第4の住宅側排水管51が接続されていることから、地震が発生した場合には、この伸縮部51cにより地盤9と基礎部10との変位は吸収され、これらの排水管(符号は省略する。)が破損されることはないとともに、浮上していた住宅本体11等が地盤9上に着地し、その着地位置が浮上する前の位置と多少位置ずれを起こしている場合であっても、上記伸縮部51c又は上記自在継手49を回転させたり、上記第3の住宅側排水管48に対してやや折曲されるように操作したりすることにより、浮上する前の配管状態に復帰させることができ、後述するように、昇降装置(ジャッキ)を使用して住宅本体11等を浮上前の位置に移動させる作業を省略することができる。
また、浮上していた住宅本体11等の着地位置が浮上する前の位置と大きく位置ずれを起こしている場合には、昇降装置(ジャッキ)を使用することにより元に位置に移動させる作業が必要となるところ、この実施の形態に係る住宅の浮上構造では、上述したように、上記固定金具18を構成する第1の脚部21と第2の脚部22との間の空間に形成された挿入空間18c内に、例えば図12に示すように、昇降装置であるジャッキJのベースJ1の先端側を挿入し、その上で該ジャッキJを操作して上昇させることができる。また、上記固定金具18を構成する上記固定板部18aには、上述した第1及び第2のナット部材19,20が形成されていることから、それまで該第1及び第2のナット部材19,20の何れかに固定されていたボルト部材30を取り外し、例えば図13に示すように、L字状の2つのボルトBを介してL字状アングル材Aを固定し、このL字状アングル材AにジャッキJの昇降部材J1の下面に当接させながら住宅本体11等を上昇させることができる。なお、上記L字状アングル材Aは、上記固定板部18aの正面(外側面)に上記2つのボルトBにより固定される固定板部A1と、この固定板部A1の上端から直角に折曲され水平に配置された水平板部A2とから構成されたものであり、こうしたL字状アングル材Aの水平板部A2の下面に上記昇降部材J1の上面を当接させながら、該ジャッキJを操作することにより住宅本体11等を上昇させることができる。
なお、上記実施の形態に係る住宅の浮上構造では、本発明を構成する連結部材として、線状材28の一端側にポール12に挿通される挿通部28aが形成されたもの(連結部材13)を図示しながら説明したが、本発明を構成する連結部材は、少なくとも一端は上記ポールに対して上下方向に移動可能に取り付けられ、他端は上記基礎部に固定されてなるものであれば良く、例えば、図14に示す連結部材63のように、ポール62内に配置されたスライダー64に一端が固定され他端は上記垂直基礎部10bに(上記固定金具18等)を介して固定された線状材であるチェーン65から構成されたものであっても良い。なお、こうした構成からなる連結部材63を用いる場合には、上記ポール62内に上記スライダー64を配置するとともに該ポール62に鉛直方向に長さを有するガイド溝62aを形成する。そして、上記スライダー64には、上記チェーン65の一端と連結するとともに上記ガイド溝62aに挿通されたフック64aを形成する。また、上記スライダー64は、上記ガイド溝62aの幅よりも短い長さ幅を有するものである。
したがって、上記構成を採用することにより、先に説明したように住宅本体11等が浮上すると、上記スライダー64の外側面は上記ポール62の内周面に摺接しながら上記連結部材63も上昇し、該スライダー64が上記ガイド溝62aの上端(本発明を構成する係止部)に到達した際には、それ以上の上昇が停止される。なお、互いに摺接する上記スライダー64と上記ポール62の内周面(それぞれ又は一方の摺動面)には、該スライダー64とポール62との摺接抵抗(摩擦抵抗)を低減するために図示しないベアリングを配置したりフッ素樹脂かならなる摩擦低減部材を配置したりしても良い。特に、浮上した後において住宅本体11等が着地する際、その着地位置を元の位置に着地させようとすればする程、上記連結部材63の全長を可能な限り短いものとすることになるところ、該連結部材63の全長を可能な限り短いものとすればする程、上記ポール62と上記スライダー64との摩擦抵抗は大きくなることから、こうした相反する事態を回避する場合には、上記ベアリングを配置したりフッ素樹脂かならなる摩擦低減部材を配置したりすることが好ましい。なお、このことは、先に説明した連結部材13(一端側にポール12に挿通される挿通部28aが形成された連結部材13)であっても同様であり、該ポール12と上記挿通部28aとの摩擦を低減する目的から、該ポール12の外周にフッ素樹脂等かならなる摩擦低減部材、又は該フッ素樹脂等を塗布することにより摩擦低減層を形成しても良い。
また、先に説明した実施の形態に係る住宅の浮上構造では、コンクリート製の基礎部10の荷重が不均一となり浮上の際の傾きを防止する目的から、上記アプローチ階段10d等の高荷重部位に、上記発泡樹脂35又は空洞を形成したものを説明したが、上記浮上の際の傾きを防止する目的の下、低荷重を有する部位に高荷重部材を配置し、全体としてバランスを取るものであっても良い。例えば、図15の(A)に示すように、二階(又は三階)建て部位71aと一階建て(平屋)部位71bとが形成された住宅本体71では、上記一階建て部分71bが二階建て部位71aの隣に形成されている(偏った部位に形成されている)ことから、該一階建て部位71bの荷重と比較した場合には該二階建て部位71aが高荷重である。そこで、この一階建て部位71bの基礎部10(水平基礎部10a)の上にコンクリート製の荷重付与部材72を配置し、上記基礎部10を含めた住宅本体71が浮上の際に傾かないようにしたものであっても良い。こうした構成に係る住宅の浮上構造によれば、図15の(B)に示すように、水に浮上した際において、上記住宅本体71等はその全体が傾くことなく浮上させることができる。なお、上記場合においては、上記コンクリート製の荷重付与部材72に代えて図示しない砕石を上記水平基礎部10a上に配置・敷設したものであっても良い。
1 住宅本体
2 ポール
3 連結部材
9 地盤
9a コンクリート製地盤
9b 砕石地盤
10 基礎部
10a 水平基礎部
10b 垂直基礎部
10c 機器載置用基礎部
11 住宅本体
12 ポール
12a,12b 係止部
13 連結部材
18 固定金具
18a 固定板部
18b 水平板部
18c 挿入空間
19 第1のナット部材
19a ナット部
20 第2のナット部材
20a ナット部
21 第1の脚部
22 第2の脚部
24 埋設部
28 線状材
28a 挿通部
30 ボルト部材
30b ボルト部
35 発泡樹脂
41 住宅側排水管
42 地盤側排水管
51c 伸縮部
62 ポール
62a ガイド溝
63 連結部材
64 スライダー
65 チェーン
71 住宅本体
71a 二階建て部位
71b 一階建て部位
72 荷重付与部材
A L字状アングル材
J ジャッキ
J1 昇降部材(又はベース)

Claims (15)

  1. 洪水や津波による水により、地盤上に形成された基礎部とこの基礎部に固定された住宅本体が一体的に浮上する住宅の浮上構造であって、
    上記住宅本体から離間した位置において鉛直方向に起立してなるとともに該住宅本体の周囲に設置された複数のポールと、一端は上記ポールに対して上下方向に移動可能に取り付けられ、他端は上記基礎部に固定されてなる連結部材と、を備え、
    上記基礎部と住宅本体とが一体的に浮上することにより、上記連結部材の一端側がポールの上下方向に移動されるように構成されてなることを特徴とする住宅の浮上構造。
  2. 前記地盤はコンクリート又は砕石により上面が平坦とされ、前記基礎部はこの平坦とされた地盤上に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の住宅の浮上構造。
  3. 前記基礎部と該基礎部が施工された地盤との間には、シート体が敷設されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの住宅の浮上構造。
  4. 前記基礎部の外周には、ジャッキ等の昇降装置を構成する昇降部材又はベースが該基礎部の外側から挿入される挿入空間が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの住宅の浮上構造。
  5. 前記ポールには、前記連結部材が上昇した際に該連結部材に係止する1又は複数の係止部が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし4記載の何れかの住宅の浮上構造。
  6. 前記複数の連結部材は、一部の連結部材が緊張状態となった際に、他の連結部材が連結された前記ポールに前記住宅本体が当接しない長さとされてなることを特徴とする請求項1ないし5記載の何れかの住宅の浮上構造。
  7. 前記基礎部は、前記住宅本体の下方に形成された水平基礎部と、この水平基礎部から起立してなる垂直基礎部とを有し、
    前記連結部材は、一端に前記ポールの外周に掛け渡される中空状の挿通部が形成された線状材を備え、
    上記垂直基礎部の外側面には、上記連結部材の他端を固定する1又は複数の固定金具が固定されてなることを特徴とする請求項1ないし6記載の何れかの住宅の浮上構造。
  8. 前記固定金具は、前記垂直基礎部の外側面に露出してなる固定板部と、前記連結部材の他端を固定する固定部と、基端は上記固定板部の背面に固定され上記垂直基礎部内に埋設されてなるとともに該固定板部の背面との間において該垂直基礎部の材料であるコンクリートが充填された充填空間が形成されてなる埋設部と、を備えてなることを特徴とする請求項7記載の住宅の浮上構造。
  9. 前記連結部材の他端にはボルト部を備えたボルト部材が固定され、
    前記固定板部には、上記ボルト部材が螺着されるナット部が内周に形成されてなるとともに前記垂直基礎部内に埋設された1又は複数のナット部材が該固定板部から水平に固定されてなることを特徴とする請求項8記載の住宅の浮上構造。
  10. 前記固定金具を構成する固定板部の下端には水平板部が固定されてなるとともに、該水平板部の下面の左側には一方の脚部が固定され該水平板部の下面の右側には該一方の脚部と平行に配置された他方の脚部が固定され、
    上記一方の脚部と他方の脚部との間には、前記基礎部及び住宅本体を上昇させるジャッキの昇降部材又はベースが挿入される挿入空間が形成されてなることを特徴とする請求項7ないし9記載の何れかの住宅の浮上構造。
  11. 前記基礎部には、室外機又は温水器等の前記住宅本体の外側に設置される設備機器が載置される機器載置用基礎部が該基礎部と一体的に形成されてなることを特徴とする請求項1ないし10記載の何れかの住宅の浮上構造。
  12. 前記基礎部には、コンクリート製の玄関ポーチ又は勝手口ポーチ等のように該基礎部と一体的に形成されてなるとともに該基礎部の各部位における単位面積当たりの平均荷重と比較して高荷重を有する高荷重部位が形成され、上記高荷重部位の内部には、発泡樹脂等の低比重の素材からなる低荷重部材が配置されてなるか、又は該高荷重部位の内部には空洞が形成されてなるか、若しくは、
    前記住宅本体及び基礎部全体において、二階建て部位又は三階建て部位等の高荷重である高荷重部位と、この高荷重部位よりも平屋建て部位等のように上記高荷重部位と比較して低荷重である低荷重部位とがそれぞれ該住宅本体及び基礎部全体において変位した位置に形成されており、該低荷重部位には、上記高荷重部位との差異に相当する荷重を付与する荷重付与部材が配置されてなることを特徴とする請求項1ないし11記載の何れかの住宅の浮上構造。
  13. 前記基礎部の外側には、前記住宅本体の内部に配置されたキッチン又はトイレ若しくは洗面台からの排水を該住宅本体内から外部に排水する住宅側排水管の先端が下向きに配置され、
    前記地盤には、上記住宅側排水管からの排水が流入する地盤側排水管の先端が上向きに配置され、
    上記住宅本体及び上記基礎部が一体的に浮上した際、それまで互いに接続されていた上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されるように構成されてなることを特徴とする請求項1ないし12記載の住宅の浮上構造。
  14. 前記地盤側排水管の先端側中途部には、蛇腹状に成形された伸縮部が形成されてなり、
    前記住宅本体及び前記基礎部が一体的に浮上した際、上記伸縮部が伸長されるとともに該伸縮部が所定の長さ伸長された後に、それまで互いに接続されていた上記住宅側排水管の先端と上記地盤側排水管の先端との接続状態が解除されるように構成されてなることを特徴とする請求項13記載の住宅の浮上構造。
  15. 前記住宅側排水管は、前記基礎部の外側に先端が露出した第1の住宅側排水管と、この第1の住宅側排水管の先端に接続され下端は下向きとされた第2の住宅側排水管とから構成され、
    上記第1の住宅側排水管の先端と第2の住宅側排水管の基端との接続状態は、該第1の住宅側排水管に対して該第2の住宅側排水管が回転可能とされてなることを特徴とする請求項14記載の住宅の浮上構造。
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