本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
[1.構成]
本実施形態に係る管理会計データ生成装置を含む管理会計データ生成システムの構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る管理会計データ生成装置を含む管理会計データ生成システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す管理会計データ生成システム1000は、情報処理装置としての管理会計データ生成装置100と、サーバ200と、管理会計データ生成装置100及びサーバ200を通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。
管理会計データ生成装置100は、物品の物流費に関する管理会計データを生成するための情報処理装置であり、例えば市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータで構成される。この管理会計データ生成装置100は、例えば、仕入及び販売を管理する管理部門に(例えば物流部門)に1台設置されている。なお、管理会計データ生成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、管理会計データ生成装置100は、管理会計データ生成システム1000内において複数台設置されていてもよく、複数台の管理会計データ生成装置100の間で同期をとることで1台の管理会計データ生成装置100として機能してもよい。
管理会計データ生成装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108とを備えている。管理会計データ生成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、管理会計データ生成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、管理会計データ生成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、他の情報処理装置からの入力情報等を、ネットワーク300を介して又はネットワーク300及びサーバ200を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明のプログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、この記憶部106には、本発明のプログラムを実施するために用いられる各種のデータが書き出し/読み出し可能に格納されている。
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
制御部102は、管理会計データ生成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
さらに図1を参照しながら、記憶部106及び制御部102の構成について詳述する。
記憶部106は、図1に示されるように、仕入データ記憶領域106aと、第1の物流管理データ記憶領域106bと、受注データ記憶領域106cと、第2の物流管理データ記憶領域106dと、管理会計データ記憶領域106eとを含む。また、記憶部106は、その他のマスタ(例えば、図3〜5に示すマスタ)やデータ記憶領域を備えていてもよい。
仕入データ記憶領域106a、第1の物流管理データ記憶領域106b、受注データ記憶領域106c、第2の物流管理データ記憶領域106d及び管理会計データ記憶領域106eは、ぞれぞれ、後述する仕入データ、第1の物流管理データ、受注データ、第2の物流管理データ及び管理会計データを記憶するための領域であり、必要に応じて各データを出力可能に保持する。
制御部102は、図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。図1に示す例では、制御部102は、物流管理データ生成部102aと、管理会計データ生成部102bとを備えている。
物流管理データ生成部102aは、前記受注データに含まれる物品を識別するための物品識別情報と、前記受注データに含まれる販売輸送費に関する情報とを含む第2の物流管理データを生成する物流管理データ生成手段として機能するモジュールである。管理会計データ生成部102bは、少なくとも、物品の輸送費を含む物流費に関する管理会計データを生成する管理会計データ生成手段として機能するモジュールである。各部の機能は、後述する処理内容を実現する機能を含む。
[2.処理]
次に、図1に示す管理会計データ生成システム1000において実行される管理会計データ生成方法を例示的に説明する。
図2は、図1の管理会計データ生成システム1000において、管理会計データ生成装置100が実行する管理会計データ生成方法の処理手順を示すフローチャートである。この図2に示す処理は、概略的には、物品の物流費を管理するに際し、物品の物流費に関する管理会計データを自動的に生成するというものであり、本処理の大部分は、管理会計データ生成装置100の制御部102において実行される。なお、以下では、例えば落札により仕入先から仕入れた車輛(物品)を自社指定の場所に輸送(調達輸送)して一旦保管(集荷)し、その後、保管していた車輛を必要な部品とともに受注元である得意先に納品すべく輸送(販売輸送)することで売上として計上する場合(簡略的には、得意先からの受注に基づき、中古車輛を仕入先から落札して必要に応じて輸送して納品する場合)を例に挙げて説明する。
図2において、まず、ステップS210では、必要なマスタの登録を受け付ける。既にマスタが構築されている場合には、斯かるマスタの編集(メンテナンス)を受け付けてもよい。マスタとしては、図3を用いて後述する仕入商品マスタ、図4を用いて後述する販売商品マスタ、図5を用いて後述する輸送費マスタが挙げられる。また、必要に応じてその他のマスタ(例えば、輸送元及び輸送先を登録したマスタ等)を用意してもよい。なお、マスタの名称は便宜上のものであり、任意の名称を採用できる。また、マスタの構成例は、後述するものに限られることはなく、例えば、仕入商品マスタと販売商品マスタとが統合されていてもよいし、販売商品マスタの一部の情報を登録せずに、斯かる一部の情報と販売に係る商品とを紐付けた別のマスタを構成してもよいし、仕入商品マスタ及び販売商品マスタの各々に輸送費マスタが統合されていてもよい。
図3は、図2のステップS210で登録される仕入商品マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
図3に例示される仕入商品マスタは、仕入に係る物品(商品)を登録したマスタである。仕入に係る物品は、例えば、主たる仕入対象である主物品(例えば中古車輛)と、当該主物品の仕入にともなって必要となる経費(例えば、中古車輛に応じてリサイクル料金)が含まれる。本実施形態では、経費等も物品名として管理される。図3に示す例では、仕入商品マスタには、各物品を識別するための物品識別情報(例えば、商品コードと商品名)が登録され、さらに必要に応じて各物品の単価に関する単価情報が登録される。なお、仕入に係る物品の単価が定まらない場合(例えば、落札等により仕入を行う物品である場合)には、仕入商品マスタに単価情報が登録されていなくてもよい。さらに、図3に示す例では、仕入商品マスタには、物品ごとに、集計種別に関する集計種別情報が登録されている。集計種別とは、後述するステップS241〜S246における集計処理における集計種別をさす。なお、仕入商品マスタに集計種別情報が登録されていなくてもよく、この場合には、仕入商品マスタとは別に、物品識別情報と集計種別情報とを紐付けたマスタが用意されることが好ましい。
図4は、図2のステップS210で登録される販売商品マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
図4に例示される販売商品マスタは、販売に係る物品(商品)を登録したマスタである。販売に係る物品は、例えば、主たる販売対象(取引先からの受注対象)である主物品(例えば中古車輛)と、当該主物品の販売にともなって必要となる経費(例えば、販売のための輸送に係るコスト、中古車輛から欠落しているパーツ)が含まれる。本実施形態では、経費等も物品名として管理される。図4に示す例では、販売商品マスタには、各物品を識別するための物品識別情報(例えば、商品コードと商品名)が登録され、さらに必要に応じて各物品の単価に関する単価情報が登録される。なお、販売に係る物品の単価が定まらない場合(例えば、物品によって査定額又は受注金額が異なる場合)には、販売商品マスタに単価情報が登録されていなくてもよいし、販売商品マスタに、想定される単価ごとに複数の商品が登録されていてもよい。さらに、図4に示す例では、販売商品マスタには、物品ごとに、集計種別に関する集計種別情報が登録されている。集計種別とは、後述するステップS241〜S246における集計処理における集計種別をさす。なお、販売商品マスタに集計種別情報が登録されていなくてもよく、この場合には、販売商品マスタとは別に、物品識別情報と集計種別情報とを紐付けたマスタが用意されることが好ましい。
図5は、図2のステップS210で登録される輸送費マスタの構成の一例を模式的に示す図である。
図5に例示される輸送費マスタは、輸送費を細分化して管理するためのマスタである。図5に示す例では、輸送費マスタには、輸送費の種別を特定するための輸送費種別情報と、輸送費を識別するための輸送費識別情報(例えば輸送費コード及び輸送費名称)とが互いに紐付けられて登録されている。輸送費の種別としては、例えば、日本ロジスティクスシステム協会にて提案されている調達輸送費、社内輸送費、販売輸送費の3種類が挙げられる。ただし、輸送費の種別は、調達輸送費、社内輸送費、販売輸送費の3種類に限られることはない。例えば、公的機関又はそれに準ずる機関から新たな提案がなされた場合には、それに応じた種別を輸送費マスタに登録することが可能である。また、例えば、自社において社内輸送費が発生しない場合には、輸送費マスタにおける輸送費種別から除外してもよいし、社内輸送費を調達輸送費に含めて管理したい場合には、輸送費マスタにおいて、社内輸送費の輸送費種別情報に調達輸送費の輸送費種別情報と同じ情報をセットしてもよいし、社内輸送費を販売物流費に含めて管理したい場合には、輸送費マスタにおいて、社内輸送費の輸送費種別情報に販売輸送費の輸送費種別情報と同じ情報をセットしてもよい。
図2に戻り、続いて、ステップS220では、仕入データの受け付けを行う。仕入データとは、仕入先からの物品の仕入に関する情報を含むデータである。なお、仕入データとは便宜上の名称にすぎず、仕入データに代えて、仕入先への発注データであってもよいし、仕入先からの納品データであってもよい。仕入データの受け付けに際し、ユーザは、物品の仕入ごとに、必要な情報を登録する。ステップS220において、必要な情報が登録された既存の仕入データに対する編集が行われてもよい。なお、ステップS220において、新規の仕入データを受け付けることに代えて、ユーザによって指定された既存の仕入データを読み出すようにしてもよい。
図6は、図2のステップS220で受け付け対象となる仕入データ(仕入ヘッダデータ)の構成例を模式的に示す図である。図7は、図6の仕入データの詳細を示す仕入明細データの構成例を模式的に示す図である。
図6に例示される仕入データは、仕入に係る1群の物品に関する情報を包括したデータ(仕入ヘッダデータ)である。ここで、1群の物品とは、一又は複数の主物品を1回の仕入(必要に応じて一連の配送)で管理すべき対象となる物品をいう。本実施形態では、主物品が複数である場合であっても、主物品を個々に管理すべきときは、個別に仕入データが生成されることが好ましい。1群の物品は、例えば、主物品である中古車輛と、当該中古車輛の仕入にともなって必要となる経費(例えばリサイクル料)を含む。仕入データには、管理すべき1群の物品の仕入を識別すべく、図6に示すように、仕入識別情報(例えば、仕入番号)が採番される。また、図6に示す仕入データは、仕入金額に関する情報を含む。この図6に示す仕入データが含む仕入金額に関する情報は、図7に示す仕入明細データとして登録された仕入金額の総額に関する情報である。本実施形態では、ユーザが仕入明細データに登録した仕入金額の総額が図6に示す仕入データの仕入金額に反映されるようになっており、これにより、仕入金額の総額について入力ミスが発生するのを防止したり、仕入伝票に記載の総額との確認を行ったりすることができる。仕入データは、図6に示すように、必要に応じて、仕入日若しくは仕入予定日に関する情報、仕入先に関する情報、仕入に係る物品を保管すべき場所(倉庫)に関する情報を含む。
図7に例示される仕入明細データは、図6に示す仕入ヘッダデータと紐付けられており、これにより、仕入明細データ単独からでも仕入識別情報を取得できるようになっている。仕入明細データは、1群の物品を構成する個々の物品を特定するための物品特定情報(例えば、商品コード及び商品名)と、個々の物品の数量に関する数量情報及び仕入金額に関する情報を含むレコードから構成される。レコードが複数である場合には、図7に示すように行番号で管理されることが好ましいが、これに代えて、仕入識別情報に枝番を設けることで管理されてもよい。ユーザが仕入明細データを登録する際に商品名又は商品コードが入力された際や数量を変更した際に、仕入商品マスタを参照して、未登録の情報、例えば仕入金額が自動的に表示されるように構成されていることが好ましい。
また、本実施形態では、仕入明細データにおいて、登録されている1群の物品のうち、一の物品(具体的には主物品)が、必要に応じて、物品識別情報(例えばロット番号)で管理される。物品識別情報は、ユーザが任意に登録することが可能であるが、これに代えて、ユーザが物品識別情報を登録しようとした際に、仕入識別情報に応じた物品識別情報が自動的に採番されるようにしてもよい。物品識別情報の例はロット番号であるとしたが、これに代えて、例えば、主物品のシリアル番号(例えば車輛の車体番号)であってもよい。なお、物品識別情報で管理する必要がない1群の物品については、仕入明細データにおいて物品識別情報が登録されなくてもよく、この場合には、斯かる1群の物品の仕入は、後述する集計処理の対象からは除外されることとなる。
なお、本実施形態では、図6及び図7に示すように仕入データが管理されている場合を例に挙げて説明したが、これに代えて、仕入データを、仕入ヘッダデータと、仕入明細データと、主物品の物品識別情報を管理するための仕入詳細データとから構成されるように管理されていてもよいし、仕入データを、仕入識別情報で紐付けられた1群のレコードからなるデータから構成されるように管理されていてもよい。
その後、ステップS221では、第1の物流データの受け付けを行う。なお、第1の物流データが登録されない場合(又はNullのまま更新されない場合)には、このステップS221はスキップされる。すなわち、ステップS220で受け付けた仕入データによって特定される主物品が庸車等の調達輸送を要しない場合には、ステップS221はスキップされる。
ここで、第1の物流データについて説明する。第1の物流データとは、物品の調達輸送費を含み得る第1の輸送費に関するデータをいう。調達輸送費とは、仕入に係る1群の物品のうち少なくとも主物品の輸送に要する費用をいい、例えば、仕入に係る主物品を自社指定の場所(倉庫)へ輸送するために、輸送業者に引取依頼(庸車)した場合には、それに要した庸車料が該当する。第1の物流データの具体例は、輸送業者への引取依頼に関するデータ又は輸送業者からの納車完了に基づく請求に関するデータである。このような調達輸送の結果、自社指定の場所に物品が保管されることで、仕入(在庫の入庫)が完了することとなる。ところで、輸送業者は、通常、依頼に係る輸送が、依頼者にとっての調達輸送であるのか販売輸送であるのかを把握していない。そのため、依頼者側(自社)は、輸送業者からの配達完了に基づく請求書から、依頼した輸送が調達輸送であったのか販売輸送であったのかを事後的に把握することはできず、他方、集荷日及び配達日から遡及的に確認することが可能であるとしても極めて手間のかかる作業である。さらには、自社にとっては、取り扱い対象の多数の物品が、調達輸送を要する物品だけであるとは限られず、調達輸送を要しない物品を含む場合があり、さらには、調達輸送を要する物品であっても事後的に調達輸送費が不要となる物品(例えば、仕入先負担での輸送が実現した物品)が生じたりする可能性があるといった事情がある。
図8は、図2のステップS221で受け付け対象となる第1の物流データの構成例を模式的に示す図である。図9は、図8の第1の物流データが含み得る輸送詳細データの構成の第1の例を模式的に示す図である。図10は、図8の第1の物流データが含み得る輸送詳細データの構成の第2の例を模式的に示す図である。図11は、図8の第1の物流データが含み得る調達輸送データの構成例を模式的に示す図である。図12は、図11に示す調達輸送データの詳細を示す調達輸送詳細データの構成例を模式的に示す図である。
図8に例示される第1の物流データは、輸送対象である物品(具体的には調達輸送対象である主物品)を特定する情報(商品コード及び商品名、必要に応じてシリアル番号又はロット番号)と、輸送元及び輸送先に関する情報と、入荷日に関する情報とを含む。本実施形態では、まず、第1の物流データとして各情報がNullのデータが用意されており、続いて、主物品を特定する情報(あるいは仕入識別情報)が特定されることにより、対応する仕入データ及び仕入明細データに含まれる情報が参照されて各情報の少なくとも一部が自動的に入力(連携)されるように構成されており、これにより、ユーザの入力に要する手間を軽減することができる。例えば、ユーザが第1の物流データを登録すべく商品名を入力した場合や仕入データを指定した場合には、仕入データに含まれる仕入日若しくは仕入予定日に関する情報、仕入先に関する情報、及び、仕入に係る物品を保管すべき場所(倉庫)に関する情報が、それぞれ、第1の物流データの入荷日に関する情報、輸送元に関する情報及び輸送先に関する情報として自動的に入力(連携)される。また、主物品のシリアル番号等が連携されることがより好ましい。なお、仕入日若しくは仕入予定日に関する情報は、仕入データに含まれる仕入日若しくは仕入予定日に関する情報が入力されることに代えて、図9又は図10に示す輸送詳細データに含まれる配達日に関する情報が自動的に入力されるようにしてもよい。
図9又は図10に例示される輸送詳細データは、輸送元に関する情報及び輸送先に関する情報、集荷日及び配達日若しくは配達予定日(好ましくは時刻を含む)に関する情報を管理するためのデータである。輸送詳細データは、ユーザが輸送業者に依頼した輸送内容に基づき各情報を入力することにより生成される。輸送詳細データは、好ましくは、図10に示すように、輸送業者に依頼した輸送を識別可能とすべく、輸送識別情報(例えばオーダー番号)を含むことが好ましく、より好ましくは、仕入先の担当者、担当部門、配車部門に関する情報を含む。このような情報を保持しておくことにより、任意のタイミングで輸送状況を把握したり確認したりすることができる。ところで、本実施形態では、図10に例示される輸送詳細データに含まれる輸送識別情報が、調達輸送であるのか、配達輸送であるのかに関する情報を含んでいない。これは、以下に説明する調達輸送データが調達輸送に関する情報を含むからである。このように構成することにより、ユーザは、依頼した輸送が、調達輸送に該当するのか、配達輸送に該当するのかを把握又は意識していなくても、依頼した輸送に関する情報を入力するだけで済むこととなる。また、輸送詳細データは、破損状況に関する情報(例えば、輸送依頼主コメント「バンパーにキズあり」)や、注意事項に関する情報(例えば、輸送元コメント「バンパー脱落注意」又は輸送業者コメント「輸送中にバンパー一部脱落」)を含んでいることが好ましい。これにより、輸送対象である物品の状況を追跡したり、輸送にともなう注意情報を、輸送業者、輸送元(輸送業者にとっての物品の受取場所)、及び輸送先(輸送業者にとっての物品の配送場所)の間で共有したりすることができる。
図11に例示される調達輸送データは、第1の物流データに含まれ得る調達輸送に関するレコードであり、このレコードは、例えば、第1の物流データの編集画面から新規に生成したり編集したりすることが可能なレコードである。調達輸送を複数回行う場合には、行番号が付されたレコードで管理されることが好ましい。調達輸送データは、図11に示す例では、輸送の種別を特定するための輸送種別情報(例えば、商品コード、商品名)と、輸送対象である物品を特定するための輸送対象物品情報(例えば、ロット番号、シリアル番号、物品としての車輛の商品コードとしての車輛コード)と、輸送対象である物品の数量に関する数量情報とを含むレコードである。輸送対象物品情報として少なくともロット番号を含むことがより好ましく、これにより、第1の物流データと仕入データとを互いに紐付けることができる。調達輸送データは、さらに、売上単価に関する情報及び売上金額に関する情報を含むことが好ましい。調達輸送データは、ユーザによる登録又は編集がなされる前に輸送種別情報、輸送対象物品情報、数量情報をデフォルトで含んでいてもよい。調達輸送データに、輸送対象物品情報、数量情報をデフォルトで含ませるためには、第1の物流データと同様に、仕入データに含まれる情報を読み出すか、又は、第1の物流データに含まれる情報を読み出せばよい。また、調達輸送データに、輸送種別情報をデフォルトで含ませるためには、第1の物流データが仕入データと連携している場合に、商品名として調達輸送をセットし、商品コードとして、輸送費マスタを参照することで得られる輸送費コードをセットすればよい。
図12に例示される調達輸送詳細データは、少なくとも、図11に示す調達輸送データの各レコードに対応する調達輸送に要する金額に関する情報を含む。調達輸送詳細データは、図12に示されるように、さらに、輸送業者を特定するための情報(例えば、輸送業者を識別するためのコード番号、輸送業者名、輸送を担当する運転者名)、輸送に要する料金の単価に関する単価情報(例えば、庸車料単価)を含んでいることが好ましい。調達輸送に要する金額は、調達輸送データの対応するレコードに含まれる数量情報が示す数量と、単価情報が示す単価との積で表される。なお、第1の物流データは、例えば調達輸送を実施しない場合、又は、調達輸送費がかからない場合には、調達輸送詳細データを含んでいなくてもよいが、これに代えて、調達輸送詳細データとして、仕入金額情報にゼロ又はNullがセットされたレコードを用意することが好ましく、これにより、後述する集計処理の対象とすることができる。
図2に戻り、次に、ステップS230では、受注データの受け付けを行う。受注データとは、得意先からの物品の受注に関する情報を含むデータである。なお、受注データとは便宜上の名称にすぎず、受注データに代えて、得意先からの発注データであってもよいし、得意先への納品データであってもよいし、自社の売上データであってもよい。受注データの受け付けに際し、ユーザは、物品の売上又は売上見込みごとに、必要な情報を登録する。ステップS230において、必要な情報が登録された既存の受注データに対する編集が行われてもよい。なお、ステップS230において、新規の受注データを受け付けることに代えて、ユーザによって指定された既存の受注データを読み出すようにしてもよい。
図13は、図2のステップS230で受け付け対象となる受注データ(受注ヘッダデータ)の構成例を模式的に示す図である。図14は、図13の受注データの詳細を示す受注明細データの構成例を模式的に示す図である。
図13に例示される受注データは、受注に係る1群の物品に関する情報を包括したデータ(受注ヘッダデータ)である。ここで、1群の物品とは、一又は複数の主物品を1回の受注(必要に応じて一連の配送)で管理すべき対象となる物品をいう。本実施形態では、主物品が複数である場合であっても、主物品を個々に管理すべきときは、個別に受注データが生成されることが好ましい。1群の物品は、例えば、主物品である中古車輛を含み、さらに必要に応じて、当該中古車輛の付属品(例えばバンパー)と、経費(例えば、輸送費)とを含めてもよい。受注データには、管理すべき1群の物品の受注を識別すべく、図13に示すように、受注識別情報(例えば、受注番号)が採番される。また、図13に示す受注データは、受注金額に関する情報を含む。この図13に示す受注データが含む受注金額に関する情報は、図14に示す受注明細データとして登録された受注金額の総額に関する情報である。受注金額の総額として、得意先が提示した受注金額の上限が一時的に登録されてもよいが、この場合、納品完了時点において受注金額の総額は確定することとなる。本実施形態では、ユーザが受注明細データに登録した受注金額(経費等含む)の総額が図13に示す受注データの受注金額に反映されるようになっていることが好ましく、これにより、受注金額の総額について入力ミスが発生するのを防止したり、受注伝票に記載の総額との確認を行ったりすることができる。受注データは、図13に示すように、必要に応じて、受注日に関する情報、得意先(発注主)に関する情報、受注に係る物品を納品すべき場所(倉庫)に関する情報を含む。
図14に例示される受注明細データは、図13に示す受注ヘッダデータと紐付けられており、これにより、受注明細データ単独からでも受注識別情報を取得できるようになっている。受注明細データは、1群の物品を構成する個々の物品を特定するための物品特定情報(例えば、商品コード及び商品名)と、個々の物品の数量に関する数量情報及び受注金額に関する情報を含むレコードから構成される。レコードが複数である場合には、図14に示すように行番号で管理されることが好ましいが、これに代えて、受注識別情報に枝番を設けることで管理されてもよい。ユーザが受注明細データを登録する際に商品名又は商品コードが入力された際や数量を変更した際に、販売商品マスタを参照して、未登録の情報、例えば受注金額が自動的に表示されるように構成されていることが好ましい。
また、本実施形態では、受注明細データにおいて、登録されている1群の物品のうち、一の物品(具体的には主物品)が、必要に応じて、物品識別情報(例えばロット番号)で管理される。物品識別情報は、ユーザが任意に登録することが可能であるが、これに代えて、ユーザが物品識別情報を登録しようとした際に、受注識別情報に応じた物品識別情報が自動的に採番されるようにしてもよい。ただし、同一の物品については、仕入明細データにおける物品識別情報と、受注明細データにおける物品識別情報とは同じである。物品識別情報の例はロット番号であるとしたが、これに代えて、例えば、主物品のシリアル番号(例えば車輛の車体番号)であってもよい。なお、物品識別情報で管理する必要がない1群の物品については、受注明細データにおいて物品識別情報が登録されなくてもよく、この場合には、斯かる1群の物品の受注は、後述する集計処理の対象からは除外されることとなる。
なお、本実施形態では、図13及び図14に示すように受注データが管理されている場合を例に挙げて説明したが、これに代えて、受注データを、受注ヘッダデータと、受注明細データと、主物品の物品識別情報を管理するための受注詳細データとから構成されるように管理されていてもよいし、受注データを、受注識別情報で紐付けられた1群のレコードからなるデータから構成されるように管理されていてもよい。
その後、ステップS231では、第2の物流データの受け付けを行う。なお、第2の物流データが登録されない場合(又はNullのまま更新されない場合)には、このステップS231はスキップされる。すなわち、ステップS230で受け付けた受注データによって特定される主物品が庸車等の販売輸送を要しない場合には、ステップS231はスキップされる。
ここで、第2の物流データについて説明する。第2の物流データとは、物品の販売輸送費を含み得る第2の輸送費に関するデータをいう。販売輸送費とは、受注に係る1群の物品のうち少なくとも主物品の輸送に要する費用をいい、例えば、受注に係る主物品を得意先指定の場所(倉庫)へ輸送するために、輸送業者に配車(庸車)を依頼した場合には、それに要した庸車料が該当する。第2の物流データの具体例は、輸送業者への配車依頼に関するデータ又は輸送業者からの納車完了に基づく請求に関するデータである。このような販売輸送の結果、得意先指定の場所に物品が納品されることで、受注(在庫の出庫)が完了して売上計上が可能となることとなる。ところで、輸送業者は、通常、依頼に係る輸送が、依頼者にとっての調達輸送であるのか販売輸送であるのかを把握していない。そのため、依頼者側(自社)は、輸送業者からの配達完了に基づく請求書から、依頼した輸送が調達輸送であったのか販売輸送であったのかを事後的に把握することはできず、他方、集荷日及び配達日から遡及的に確認することが可能であるとしても極めて手間のかかる作業である。さらには、自社にとっては、取り扱い対象の多数の物品が、販売輸送を要する物品だけであるとは限られず、販売輸送を要しない物品を含む場合があり、さらには、販売輸送を要する物品であっても事後的に販売輸送費が不要となる物品(例えば、発注者負担での輸送が実現した物品)が生じたりする可能性があるといった事情がある。
図15は、図2のステップS231で受け付け対象となる第2の物流データの構成例を模式的に示す図である。図16は、図15の第2の物流データが含み得る輸送詳細データの構成の第1の例を模式的に示す図である。図17は、図15の第2の物流データが含み得る輸送詳細データの構成の第2の例を模式的に示す図である。図18は、図15の第2の物流データが含み得る販売輸送データの構成例を模式的に示す図である。図19は、図18に示す販売輸送データの詳細を示す販売輸送詳細データの構成例を模式的に示す図である。
図15に例示される第2の物流データは、輸送対象である物品(具体的には販売輸送対象である主物品)を特定する情報(商品コード及び商品名、必要に応じてシリアル番号又はロット番号)と、輸送元及び輸送先に関する情報と、入荷日(例えば落札日)に関する情報とを含む。本実施形態では、まず、第2の物流データとして各情報がNullのデータが用意されており、続いて、主物品を特定する情報(あるいは受注識別情報)が特定されることにより、対応する受注データ及び受注明細データに含まれる情報が参照されて各情報の少なくとも一部が自動的に入力(連携)されるように構成されており、これにより、ユーザの入力に要する手間を軽減することができる。例えば、ユーザが第2の物流データを登録すべく商品名を入力した場合や受注データを指定した場合には、受注データに含まれる得意先(物品の発注主)に関する情報、及び、受注に係る物品を納品すべき場所(倉庫)に関する情報が、それぞれ、輸送元に関する情報及び輸送先に関する情報として自動的に入力(連携)される。また、主物品のシリアル番号等が連携されることがより好ましい。
また、第2の物流データは、図15に示されるように、輸送対象である物品を輸送するための輸送情報に関するレコードを含むことが好ましい。輸送情報は、受注明細データに含まれる物品特定情報の中から、輸送に関連する情報(例えば、商品コードとしてのU9901又は商品名としての「神戸−神奈川間輸送」)を抽出することにより、自動的に生成することが可能である。これに代えて、以下に説明する輸送詳細データに基づき、第2の物流データに含ませる輸送情報を生成するようにしてもよい。このように第2の物流データが輸送情報に関するレコードを含むにより、ユーザは、斯かる輸送が調達輸送であるのか、又は配達輸送であるのかを意識せずとも、受注データに応じた輸送が登録されていることを把握することができる。また、第2の物流データが輸送情報に関するレコードを含むことで、斯かる輸送情報が受注データに応じた売上に関する情報でなく販売輸送に関する情報(すなわち仕入として計上すべき情報)であることを区別して後述する集計処理において自動的に計上することを可能にしている。
図16又は図17に例示される輸送詳細データは、輸送元に関する情報及び輸送先に関する情報、集荷日及び配達日若しくは配達予定日(好ましくは時刻を含む)に関する情報を管理するためのデータである。輸送詳細データは、ユーザが輸送業者に依頼した輸送内容に基づき各情報を入力することにより生成される。輸送詳細データは、好ましくは、図17に示すように、輸送業者に依頼した輸送を識別可能とすべく、輸送識別情報(例えばオーダー番号)を含むことが好ましく、より好ましくは、得意先の担当者、担当部門、配車部門に関する情報を含む。このような情報を保持しておくことにより、任意のタイミングで輸送状況を把握したり確認したりすることができる。ところで、本実施形態では、図15に例示される輸送詳細データに含まれる輸送識別情報が、調達輸送であるのか、配達輸送であるのかに関する情報を含んでいない。これは、以下に説明する販売輸送データが販売輸送に関する情報を含むからである。このように構成することにより、ユーザは、依頼した輸送が、調達輸送に該当するのか、配達輸送に該当するのかを把握又は意識していなくても、依頼した輸送に関する情報を入力するだけで済むこととなる。また、輸送詳細データは、破損状況に関する情報(例えば、輸送依頼主コメント「バンパーにキズあり」)や、注意事項に関する情報(例えば、輸送元コメント「バンパー脱落注意」又は輸送業者コメント「輸送中にバンパー一部脱落」)を含んでいることが好ましい。これにより、輸送対象である物品の状況を追跡したり、輸送にともなう注意情報を、輸送業者、輸送元(輸送業者にとっての物品の受取場所)、及び輸送先(輸送業者にとっての物品の配送場所)の間で共有したりすることができる。
図18に例示される販売輸送データは、第2の物流データに含まれ得る販売輸送に関するレコードであり、このレコードは、例えば、第2の物流データの編集画面から新規に生成したり編集したりすることが可能なレコードである。販売輸送を複数回行う場合には、行番号が付されたレコードで管理されることが好ましい。販売輸送データは、図18に示す例では、輸送の種別を特定するための輸送種別情報(例えば、商品コード、商品名)と、輸送対象である物品を特定するための輸送対象物品情報(例えば、ロット番号、シリアル番号、物品としての車輛の商品コードとしての車輛コード)と、輸送対象である物品の数量に関する数量情報とを含むレコードである。輸送対象物品情報として少なくともロット番号を含むことがより好ましく、これにより、第2の物流データと受注データとを互いに紐付けることができる。販売輸送データは、さらに、売上単価に関する情報及び売上金額に関する情報を含むことが好ましい。販売輸送データは、ユーザによる登録又は編集がなされる前に輸送種別情報、輸送対象物品情報、数量情報をデフォルトで含んでいてもよい。販売輸送データに、輸送対象物品情報、数量情報をデフォルトで含ませるためには、第2の物流データと同様に、受注データに含まれる情報を読み出すか、又は、第2の物流データに含まれる情報を読み出せばよい。また、販売輸送データに、輸送種別情報をデフォルトで含ませるためには、第2の物流データが受注データと連携している場合に、商品名として販売輸送をセットし、商品コードとして、輸送費マスタを参照することで得られる輸送費コードをセットすればよい。
図19に例示される販売輸送詳細データは、少なくとも、図18に示す販売輸送データの各レコードに対応する販売輸送に要する金額に関する情報を含む。販売輸送詳細データは、図19に示されるように、さらに、輸送業者を特定するための情報(例えば、輸送業者を識別するためのコード番号、輸送業者名、輸送を担当する運転者名)、輸送に要する料金の単価に関する単価情報(例えば、庸車料単価)を含んでいることが好ましい。販売輸送に要する金額は、販売輸送データの対応するレコードに含まれる数量情報が示す数量と、単価情報が示す単価との積で表される。なお、第2の物流データは、例えば販売輸送を実施しない場合、又は、販売輸送費がかからない場合には、販売輸送詳細データを含んでいなくてもよいが、これに代えて、販売輸送詳細データとして、受注金額情報にゼロ又はNullがセットされたレコードを用意することが好ましく、これにより、後述する集計処理の対象とすることができる。
上述したようにして、図2のステップS210〜S231の一連の処理を行うことにより、以下に説明する集計処理の対象となるデータが定まることとなる。なお、受注が先で仕入が後である場合(例えば得意先からの依頼を受けてから仕入を行う場合)には、ステップS220〜S221の処理に先立ってステップS230〜S231の処理が実行されてもよい。そして、ステップS240の処理に進む。
ステップS240では、集計処理の指示入力を待機する。集計処理の指示入力は、例えばユーザが輸送費を含む管理会計データの生成を指示する場合に行われる。集計処理をまだ開始しない場合には(ステップS240でNo)、ステップS210に戻って、マスタのメンテナンス(編集)、受注データの受け付け又は編集、第1の物流データの受け付け又は編集、受注データの受け付け又は編集、第2の物流データの受け付け又は編集、集計処理の指示入力を待機する。
集計処理を開始する場合には(ステップS240でYes)、ステップS241に進んで、ステップS241〜S245において一連の集計処理を行う。まず、ステップS241では、物品識別情報(例えばロット番号)の入力又は指定を待機し、物品識別番号が確定したら当該物品識別情報を取得する。物品識別情報を取得することにより、物品識別情報に紐付く仕入データ、第1の物流データ、受注データ及び第2の物流データが特定されることとなる。
ステップS242〜S244では、仕入に関する要素の集計を行う(仕入集計処理)。このために、物品識別情報に基づき特定された仕入データ、第1の物流データ及び第2の物流データを読み出し、仕入商品マスタから特定される集計種別ごとに、仕入として計上すべき金額の集計額を算出する。具体的には、仕入データから、集計種別「車輛」の仕入金額を読み出し、その集計額を算出し、仕入データから、集計種別「その他仕入」の仕入金額を読み出し、その集計額を算出し、第1の物流データ(具体的には調達輸送詳細データ)から、その庸車料金額を読み出し、その集計額を調達輸送費(輸送費(調達))として算出し、第2の物流データ(具体的には配達輸送詳細データ)から、その庸車料金額を読み出し、その集計額を販売輸送費(輸送費(販売))として算出する。なお、庸車料金額がゼロである場合には、対応する調達輸送費又は販売輸送費はゼロとして計上される。このようにして、仕入に関する要素が集計種別ごとに集計される。ここで、集計種別ごとに集計された要素の集計額の総額が仕入合計額として算出されることが好ましい。仕入集計処理の結果は、仕入集計データとして出力可能に保持される。図20は、図2のステップS242〜S244における仕入集計処理の結果に関する仕入集計データの一例を模式的に示す図である。
ステップS245では、売上に関する要素の集計を行う(売上集計処理)。このために、物品識別情報に基づき特定された受注データを読み出し、販売商品マスタから特定される集計種別ごとに、売上として計上すべき金額の集計額を算出する。具体的には、受注データから、集計種別「車輛」の受注金額を読み出し、その集計額を売上金額として算出し、受注データから、集計種別「その他売上」の受注金額を読み出し、その集計額を売上金額として算出する。ここで、集計種別ごとに集計された要素の集計額の総額が売上合計額として算出されることが好ましい。売上集計処理の結果は、売上集計データとして出力可能に保持される。図21は、図2のステップS245における売上集計処理の結果に関する売上集計データの一例を模式的に示す図である。
続いて、ステップS246では、ステップS241〜S245の集計処理の結果に基づき、出力用の管理会計データが生成される。生成した管理会計データは、任意の方法で出力可能であり、例えば表示画面に表示するようにしてもよいし、所定の記憶領域に格納するようにしてもよいし、所定の宛先へネットワークを介して送信するようにしてもよい。
図21は、図2のステップS246において生成される管理会計データの構成例を模式的に示す図である。管理会計データは、図21に例示されるように、図2のステップS242〜S244における仕入集計処理の結果に関する情報と、図21は、図2のステップS245における売上集計処理の結果に関する情報とを含む。さらに、管理会計データは、図21に例示されるように、受注金額の集計額の総額(売上合計額)と、仕入金額の集計額の総額(仕入合計額)との差分を示す粗利合計額に関する情報を含むことが好ましい。このような管理会計データは、輸送費に関する情報を含むことから、物流費集計データと称してもよい。そして、管理会計データの生成を完了したら本処理を終了する。
以上詳細に説明したように、図2に示した管理会計データ生成方法の処理手順によれば、物品の物流費に関する管理会計データが生成される(ステップS246)(管理会計データ生成手段)。具体的には、前記物品の調達輸送費を含み得る第1の輸送費に関する第1の物流管理データと、第2の物流管理データであって、前記物品の販売輸送費を含み得る第2の輸送費に関する第2の物流管理データとに基づいて(ステップS244及びS245)、前記管理会計データとして、前記第1の物流管理データ及び前記第2の物流管理データを集計した物流費集計データであって、前記調達輸送費の集計額に関する情報及び前記販売輸送費の集計額に関する情報を含む物流費集計データが生成される。これにより、ユーザは、物品の輸送費(具体的には、調達輸送費及び販売輸送費)を含む物流費を的確に管理可能な管理会計データを、過大な手間を要することなく(例えば、庸車料に関する請求書の集荷日及び配達日に関する情報から斯かる請求が調達輸送費及び販売輸送費のいずれであるのかを訴求的に特定する必要がなく)得ることができる。そのため、ユーザは、得られた物流管理データを活用して、調達輸送費及び販売輸送費を削減するための配送ルート等を検討したり、取引内容の変更を検討したりすることができるようになる。特に、近年においては、物流費の高騰及びドライバー不足の深刻化が懸念されている状況にあるため、本発明は、物流費の検討に有効に寄与するものであるといえる。
また、図2の処理によれば、前記物品の仕入金額に関する情報を含む仕入データ、前記第1の物流管理データ及び前記第2の物流管理データに基づき、前記物流費集計データとして、前記仕入金額の集計額に関する情報、前記調達輸送費の集計額に関する情報及び前記販売輸送費の集計額に関する情報を少なくとも含む仕入集計データが生成される(ステップS241〜S244)。これにより、ユーザは、物品の輸送費(具体的には、調達輸送費及び販売輸送費)を含む仕入に要する物流費を的確に管理することができる。
また、図2の処理によれば、前記第1の物流管理データとして、前記仕入データに含まれる前記物品を識別するための物品識別情報と同じ情報を含む物流管理データが特定される(ステップS241)。これにより、ユーザは、輸送費が調達輸送費に該当するのか又は販売輸送費に該当するのかを意識せずとも、調達輸送費を的確に管理することができる。
また、図2の処理によれば、前記物品の受注金額に関する情報を含む受注データに基づき、前記物流費集計データとして、前記受注金額の集計額に関する情報を含む売上集計データが生成される。これにより、ユーザは、物品の売上を的確に管理することができる。
また、図2の処理によれば、前記第2の物流管理データとして、前記受注データに含まれる前記物品を識別するための物品識別情報と、前記受注データに含まれる販売輸送費に関する情報とを含む第2の物流管理データが生成される(ステップS231)(物流管理データ生成手段)。これにより、ユーザは、輸送費が調達輸送費に該当するのか又は販売輸送費に該当するのかを意識せずとも、販売輸送費を的確に管理することができる。
また、図2の処理によれば、前記物品の受注金額に関する情報を含む受注データに基づき、前記受注金額の集計額に関する情報が取得され、前記管理会計データとして、前記受注金額の集計額と、前記売上集計データに含まれる集計額の総額との差分を示す粗利合計額に関する情報を含む管理会計データが生成される(ステップS246)。これにより、ユーザは、物品を指定するだけで、粗利合計額に関する情報についても容易に取得することができる。
なお、図2に示した処理の処理内容や処理手順を任意に変更することが可能である。例えば、調達輸送を実施する予定がない物品については、ステップS221及びS243の処理を省略又はスキップするように構成してもよく、この場合には、少なくとも販売輸送費の集計額に関する管理会計データが得られる。また、販売輸送を実施する予定がない物品については、ステップS231及びS244の処理を省略又はスキップするように構成してもよく、この場合には、少なくとも調達輸送費の集計額に関する管理会計データが得られる。また、ステップS241〜245の集計処理に関し、上述した実施形態では、仕入データ、第1の物流管理データ、第2の物流管理データ、受注データを読み出すとしたが、これに代えて、データ連携の際に、第1の物流管理データが仕入データに含まれる情報を含むように構成してもよく、また、データ連携の際に、第2の物流管理データが受注データに含まれる情報を含むように構成してもよく、これにより、集計処理に際し読み出すべきデータを第1の物流管理データ及び第2の物流管理データとしてもよいし、又は、集計対象となる金額情報を抽出した退避データを物品識別情報ごとに生成するようにしてもよい。
また、図2の処理を改変して、前記物品の社内輸送費を含み得る第3の輸送コストに関する第3の物流管理データに基づいて、前記物流費集計データとして、前記第1の物流管理データ、前記第2の物流管理データ及び第3の物流管理データを集計した物流費集計データであって、前記第1の物流管理データ、前記第2の物流管理データ及び前記第3の物流管理データを集計した物流費集計データであって、前記調達輸送費の集計額に関する情報、前記販売輸送費の集計額に関する情報及び前記社内輸送費の集計額に関する情報を含む物流費集計データを生成するようにしてもよい(図22参照)。ここで、社内輸送費は、例えば、自社の倉庫間における物品の移動を輸送業者に依頼した場合に要した輸送費を挙げることができる。
また、上述した実施形態では、仕入に係る物品を販売する例について説明したが、製造した物品を、外部委託による輸送を伴って販売する場合、販売されている物品を、外部委託による輸送を伴って購入する場合、販売されている部品を、外部委託による輸送を伴って購入し、それら部品から製品を製造する場合等にも適用可能である。
[3.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、管理会計データ生成装置100及び管理会計データ生成システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、管理会計データ生成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて管理会計データ生成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、管理会計データ生成装置100に対して任意のネットワーク(例えばネットワーク300)を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明した処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、管理会計データ生成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、管理会計データ生成装置100は、当該装置に本明細書で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。