JP2021128068A - 容器内ガス性状の測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光などの検査ビームと、液体と気体とを貯留したうえで密閉されレーザなどの検査ビームが通過できるように構成された容器検査対象としての容器との位置関係を、精度良く規定できるようにする。【解決手段】分析対象のガスが充填された容器15に検査ビームを透過させることで、容器15内のガスの性状を測定することができる非破壊式の容器内ガス性状の測定装置である。この測定装置は、容器15を保持する容器保持装置16と、容器保持装置16に保持された容器15に検査ビームを照射するとともに、容器15を通過した後の検査ビームを検知するように構成された検査装置20とを有する。容器保持装置16は、容器15を調心状態で保持する。【選択図】図1
Description
本発明は容器内ガス性状の測定装置に関し、特に、液体と気体とを貯留したうえで密閉されレーザなどの検査ビームが通過できるように構成された容器についての容器内ガス性状の測定装置に関する。
医薬品などの製剤として、バイアル製剤やシリンジ製剤などが知られている。バイアル製剤は、ガラスや合成樹脂などで形成された容器に薬剤とガスとを充填したうえで、ゴム栓などにより密封したものである。使用時には、容器内の薬剤が、注射器により吸い上げられることで、この注射器に移される。シリンジ製剤は、バイアル製剤などのように容器内の薬剤を注射器に吸い上げるものではなく、薬剤とガスとを充填したシリンジを直接使用するものである。
バイアル製剤やシリンジ製剤においては、その品質検査の一つとして、容器内に充填されたガスである酸素や二酸化炭素などの濃度を測定することが行われている(特許文献1)。特許文献1に記載されているように、容器内のガスの濃度は、非破壊方式で測定される。すなわち、容器を開封せずに、その密閉状態を保ったまま、ガス濃度が測定される。このとき、ガス濃度の測定は、レーザビームのような検査ビームを用いて行われる。そして、容器としては、検査ビームが透過できるものが用いられる。たとえば、検査ビームがレーザ光である場合には、容器として、そのレーザ光を通過させることができるものが用いられる。
さらに、特許文献1に記載の技術では、円筒状の容器に対して、検査用のレーザ光を容器の径方向にオフセットさせた状態で通過させている。これにより、容器の壁面で反射したレーザ光がこのレーザ光の受光装置に入射することを防止して、この入射による測定誤差の発生を防止するようにしている。
容器内のガス濃度を正確に測定するためには、容器へのレーザ光の入射位置を厳密に規定することが必要である。特に上記したように検査用のレーザ光を容器の径方向にオフセットさせた状態で通過させる場合には、そのオフセット量を正確にコントロールしないと、上述の測定誤差の発生をうまく防止できなくなる。
そのためには、レーザ光と容器との位置関係を精度良く規定することが必要である。この点に関し、特許文献1に記載された装置では、円柱状の容器は、有底円筒状のホルダに収容されるようになっている。
ところが、円柱状の容器を有底筒状のホルダに収容しただけでは、ホルダと容器との間に隙間が形成されることを避けることができない。このため、この隙間の分だけ、レーザ光と容器との位置関係の精度が低下することが避けられない。隙間の存在にもとづく位置関係の精度の低下が測定データに影響を与えない程度であれば問題ないが、そうでない場合は対策が必要である。
またバイアル製剤やシリンジ製剤のための容器としてはガラス容器が多用されるが、ガラス容器は、容器における厚み誤差の発生が避けられない。したがって、この容器の厚み誤差にもとづく測定誤差の発生も、避けることが困難である。特許文献1に記載の発明では、測定に際して容器をその軸心周りに回転させることで、この容器の厚み誤差にもとづく測定誤差を平均化させることにより、その測定誤差を緩和させている。容器の回転は、ホルダを回転させることにより、行われている。しかし、上述のようにホルダと容器との間には隙間が存在するため、回転によりこの隙間の範囲で容器の位置が変化すると、それによる測定誤差の発生が懸念される。
そこで本発明は、このような問題点を解決して、容器をその軸心周りに回転させる場合はもちろんのこと、回転させない場合であっても、レーザ光などの検査ビームと、検査対象としての容器との位置関係をいっそう精度良く規定できるようにすることを目的とする。
この目的を達成するため、本発明の容器内ガス性状の測定装置は、
分析対象のガスが充填された容器に検査ビームを透過させることで、前記容器内のガスの性状を測定することができる非破壊式の容器内ガス性状の測定装置であって、
前記容器を保持する容器保持装置と、
前記容器保持装置に保持された容器に検査ビームを照射するとともに、前記容器を通過した後の検査ビームを検知するように構成された検査装置とを有し、
前記容器保持装置は、前記容器を調心状態で保持するように構成されているようにしたものである。
分析対象のガスが充填された容器に検査ビームを透過させることで、前記容器内のガスの性状を測定することができる非破壊式の容器内ガス性状の測定装置であって、
前記容器を保持する容器保持装置と、
前記容器保持装置に保持された容器に検査ビームを照射するとともに、前記容器を通過した後の検査ビームを検知するように構成された検査装置とを有し、
前記容器保持装置は、前記容器を調心状態で保持するように構成されているようにしたものである。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、容器保持装置が三つ爪スクロールチャックであることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、検査装置は、測定すべきガスの種類に応じた単数種類または複数種類の検査ビームを送受信可能な単数または複数の送受信装置を備えていることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、複数の送受信装置が互いに距離をおいて設置されており、容器保持装置は、前記距離をおいて設置された送受信装置どうしの間を相対的に移動できるように構成されていることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、検査装置は、容器の中心から容器の径方向にオフセットした位置において、前記容器に検査ビームを照射できるように構成されていることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、検査装置における検査ビームの送受信装置は、検査ビームの照射装置と検出装置とを備えるとともに、前記照射装置と検出装置との間の距離に応じてオフセット量を設定するものであることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、検査装置は、容器の種類に応じてオフセット量を設定するものであることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、検査装置は、測定すべきガスの種類に応じた複数種類の検査ビームの送受信装置を備えているとともに、容器の種類とガスの種類とに応じて各検査ビームの送受信装置ごとにオフセットの量を変更できるように構成されていることが好適である。
本発明の容器内ガス性状の測定装置によれば、容器保持装置が、容器を調心状態で保持するように構成されているため、検査装置と容器との位置関係をきわめて精度良く規定することができ、このため、容器の内部のガスの濃度などの性状を正確に測定することができる。
図1に示す容器内ガス性状の測定装置において、11は機体である。また12は測定部、13は表示部である。測定部12は、開閉式のカバー14にて覆うことができるように構成されている。
測定部12には、測定対象である円柱状の容器15をたとえば立てた状態で保持するための、容器保持装置としてのチャック装置16が設けられている。チャック装置16は図1および図2に示されているが、図示の例ではチャック装置16は上向きの樹脂製の三つ爪スクロールチャックにて構成され、3つの爪17、17、17によって、チャック装置16に載置された容器15の底部をクランプして調心状態で保持するとともに、このチャック装置16が回転することで、容器15の調心状態を保ったまま、この容器15をその長手方向の軸心の周りに回転させることができるように構成されている。
容器15は、医薬などの薬剤を密閉状態で貯留するためのもので、ガラスや合成樹脂などによって形成されている。容器15の内部には、薬剤のほかに、酸素や、二酸化炭素や、水蒸気などのガスが、薬剤とは別れた状態で充填されて貯留されている。
測定部12には、検査装置20が設けられている。検査装置20は、測定すべきガスの種類に応じた単数種類または複数種類の検査ビームのための、送受信装置21a、21b、・・・を備えている。図示の例では、2種類の検査ビームのための送受信装置21a、21bを備えたものが示されている。例を挙げると検査対象のガスが酸素である場合において、その濃度を検出するためには、たとえば波長763nmのレーザ光源を利用した検査ビームの送受信装置を用いることが好適である。また、検査対象のガスが水蒸気である場合において、その濃度を検出するためには、たとえば波長1400nmのレーザ光源を利用した検査ビームの送受信装置を用いることが好適である。
それぞれの検査ビームの送受信装置21a、21bは、検査ビームの照射装置22a、22bと、各照射装置22a、22bから容器15に向けて水平方向に照射されることでこの容器15を通過した後の検査ビームを検出するための検出装置23a、23bとを、各別に備えている。すなわち、検査ビームの送受信装置21aにおける照射装置22aと検出装置23aとは、容器15を間に挟んだ状態で水平方向に並んで配置され、また検査ビームの送受信装置21bにおける照射装置22bと検出装置23bも、容器15を間に挟んだ状態で水平方向に並んで配置されている。さらに図示の例では、二つの検査ビームの送受信装置21a、21bにおける二つの照射装置22a、22bと、二つの検査ビームの送受信装置21a、21bにおける二つの検出装置23a、23bも、それぞれ水平方向に並んで配置されている。照射装置22a、22bが並ぶ水平方向と、検出装置23a、23bが並ぶ水平方向とは、検査ビームの送受信装置21aにおける照射装置22aと検出装置23aとが並ぶ水平方向および検査ビームの送受信装置21bにおける照射装置22bと検出装置23bとが並ぶ水平方向に対して垂直な方向である。
図示された一対の照射装置22a、22bは第1のアーム24に並んで取り付けられており、また一対の検出装置23a、23bは第2のアーム25に並んで取り付けられている。
26は水平方向の送りねじで、第1のアーム24と第2のアーム25との間の距離を調節できるように構成されている。すなわち、水平方向の送りねじ26を正転あるいは逆転させることで、第1のアーム24と第2のアーム25とが、すなわち一対の照射装置22a、22bと一対の検出装置23a、23bとが、互いに近づいたり、あるいは遠ざかったりするように構成されている。水平方向の送りねじ26は、機体11に取り付けられた支持フレーム27によって支持されている。そして水平方向の送りねじ26は、カバー14の外に設けられた操作ノブ28によって手動で回転されるように構成されている。なお、水平方向の送りねじ26を機械的な動力源によって回転駆動させる構成を採用することもできる。29は、水平方向の送りねじ26の回転量を検出するためのエンコーダである。
支持フレーム27を昇降させるための鉛直方向の送りねじ30が設けられている。すなわち、鉛直方向の送りねじ30を正転あるいは逆転させることで、支持フレーム27すなわち照射装置22a、22bと検出装置23a、23bとを昇降させることができるように構成されている。鉛直方向の送りねじ30は、機体11に取り付けられた支持フレーム31によって支持されている。支持フレーム31には、支持フレーム27を昇降自在に支持するとともにその昇降動作を案内するためのガイド部材32、33が設けられている。そして鉛直方向の送りねじ30は、カバー14の外に設けられた操作ノブ34によって手動で回転されるように構成されている。なお、鉛直方向の送りねじ30を機械的な動力源によって回転駆動させる構成を採用することもできる。35は、操作ノブ34の回転量すなわち鉛直方向の送りねじ30の回転量を機械的に読み取って表示するための表示装置である。表示装置35によって、照射装置22a、22bと検出装置23a、23bとの高さを示すことができる。
チャック装置16は、照射装置22a、22bが並んでいる水平方向に、つまり検出装置23a、23bが並んでいる水平方向に、移動できるように構成されている。矢印36は、その移動方向を示す。そのための移動機構は、機体11の内部に設けられた動力源を備えた適宜のものとすることができる。このようにチャック装置16が水平方向に移動できるように構成されていることで、このチャック装置16によって保持された容器15は、検査ビームの送受信装置21aにおける照射装置22aと検出装置23aとの間の第1の位置と、検査ビームの送受信装置21bにおける照射装置22bと検出装置23bとの間の第2の位置との間を移動することができるようにされている。また、詳細は後述するが、チャック装置16は水平方向に微小移動できるようにも構成されており、これによって、送受信装置21a、21bにおける検査ビームを、容器15の中心から容器15の径方向にオフセットさせることができるように構成されている。
容器15に蓄えられたガスの性状を測定する際には、まず、図3に示すように水平方向の送りねじ26を手動操作などにより回転させることで、検査ビームの送受信装置21aにおける照射装置22aと検出装置23aとの間隔Wを、容器15のサイズにあわせて調節する。この調節によって、同時に、検査ビームの送受信装置21bにおける照射装置22bと検出装置23bとの間隔Wも同様に調節される。次に、鉛直方向の送りねじ30を手動操作などにより回転させることで、送受信装置21a、21bにおける照射装置22a、22bおよび検出装置23a、23bの高さを、容器15のサイズに合わせて調節する。
図3には、平面視したときの、容器15の中心位置37から、検査ビームとしてのレーザ光の光軸の位置38までの、容器15の径方向に沿った距離であるところの、オフセット量Xが示されている。検査ビームとしてのレーザ光は、送受信装置21aにおける照射装置22aから容器15に向けて照射され、容器15の壁部と、容器15の内部におけるガスが貯留された部分とを通過した後に、検出装置23aによって受光される。チャック装置16による容器15の回転中の検出装置23aの出力から、公知の手法によって、ガス濃度が測定される。
オフセット量Xは、容器15のサイズ、特に容器15の直径に対応して増減させることができる。容器15の直径に対応した容器15のサイズは、間隔Wによって表すことができる。機体11の内部にはコンピュータ装置が設置されており、このコンピュータ装置のメモリに、間隔Wとオフセット量Xとの相関データを、あらかじめ格納しておくことができる。そうすることで、手動操作によって間隔Wを設定したときに、それに対応するオフセット量Xを自動的に算出して設定することができる。
その詳細を、図3および図4を参照して説明する。なお、図3に示すように、あらかじめチャック装置16によって容器15の底部をクランプして保持しておく。そして、図4のステップS41で処理が開始されると、ステップS42において、操作ノブ34のマニュアル操作により鉛直方向の送りねじ30を回転させることで、アーム24、25すなわち検査ビームの送受信装置21a、21bを昇降させて、高さ方向に沿ったその位置を容器15のサイズに対応させとともに、特に、操作ノブ28のマニュアル操作により水平方向の送りねじ26を回転させることによって、上記した間隔Wを容器15のサイズに対応して設定する。
間隔Wが決まると、ステップS43において、上記のように格納していたデータから、その間隔Wの値に対応したオフセット量Xの値を抽出して、上記のコンピュータ装置に読み込む。
図1に示した装置では、2種類の検査ビームの送受信装置21a、21bが設けられているために、それに対応して、2種類のガスの濃度を測定することができる。ここでは、それぞれのガスを「測定ガスA」、「測定ガスB」と称する。ステップS44、S45では、これらの2種類のガスのうちのどれについての測定を行うかを選定する。測定を行うか否かは、マニュアル操作などによってコンピュータにオン信号またはオフ信号を入力することにより決定する。例えば、表示部13がタッチパネル方式のものである場合には、この表事部13を用いて、このようなオン・オフのマニュアル選定を行うことができる。
次に、ステップS46において測定が開始される。容器15は、最初、平面視におけるこの容器15の中心の位置が、2つの検査ビームの送受信装置21a、21bのうちの、測定ガスAを測定するものの中心の位置に一致した基本ポジションにセットされる。そして、ステップS47において、オフセット量Xに対応した変位が行われる。詳細には、チャック装置16を矢印36の方向にわずかに移動させることで、このチャック装置16ととともに容器15を基本ポジションからオフセット量X(mm)だけ移動させる。
次に、ステップS48において、ステップS44で測定ガスAについて測定することが選択されていたか否かを判断する。選択されていたと判断した場合には、ステップS49において測定ガスAについて濃度の測定を行い、ステップS50へ進む。ステップS48において、測定ガスAについて測定することが選択されていなかったと判断した場合には、ステップS49を実行することなく、ステップS50へ進む。
ステップS50では、ステップS45で測定ガスBについて測定することが選択されていたか否かを判断する。選択されていたと判断した場合には、ステップS51において、それまで2つの検査ビームの送受信装置21a、21bのうちの測定ガスAを測定するものに対応して位置していたチャック装置16と容器15とを、2つの検査ビームの送受信装置21a、21bのうちの測定ガスBを測定するものに対応する位置へ、矢印36の方向に沿って移動させる。その移動量をY(mm)とすると、この移動量Yは、2つの検査ビームの送受信装置21a、21bの設置位置どうしの間隔に対応した一定量となる。移動量Yをこのように設定することで、測定ガスBを測定するときにおいても、所定のオフセット量Xを確保することができる。
次に、ステップS52において測定ガスBについて濃度の測定を行い、ステップS53へ進む。ステップS50において、測定ガスBについて測定することが選択されていなかったと判断した場合には、ステップS51、S52を実行することなく、ステップS53へ進む。ステップS53では、チャック装置16と容器15を移動させて上述の基本ポジションに戻す。
上記した図3および図4に示される例においては、オフセット量Xは間隔Wに対応した一定値であった。すなわち、オフセット量Xは、容器15の種類にかかわらず一定であった。これによってオフセット量Xを簡便に設定することが可能であった。これに対し、図5と、図6のフローとは、間隔Wではなく、容器15の種類に応じてオフセット量Xを変化させる場合を示す。
すなわち、図5は、チャック装置16および容器15が、検査ビームの送受信装置21aに対応して位置する場合と、検査ビームの送受信装置21bに対応して位置する場合とを一緒に描いている。オフセット量Xは、両方の位置の場合において同じであるが、容器15の種類に応じて変化させる。
その詳細を、図5および図6を参照して説明する。図6のステップS61において処理が開始されると、あらかじめ、図3および図4の場合と同様に、検査ビームの送受信装置21a、21bの高さと、間隔Wとの調整が行われる。そのうえで、ステップS62において、容器15の品種の選択を行う。この選択は、たとえば容器15の種類に関するデータを、マニュアル操作などによってコンピュータに入力することにより行う。
次に、ステップS63において、容器15の種類に応じたオフセット量X(mm)が取得される。すなわちオフセット量Xの読込みが行われる。このとき、たとえば容器15の種類に応じたオフセット量Xのデータテーブルを、あらかじめコンピュータの内部に格納しておけば、それを利用して容易にオフセット量Xを設定することができる。たとえば、容器15として、径が11mm、高さが25mm、容量が2ミリリットルのものを測定する場合は、オフセット量Xを3mmに設定し、また、たとえば、容器15として、径が16mm、高さが30mm、容量が5ミリリットルのものを測定する場合は、オフセット量Xを5mmに設定することができる。
これ以後の、ステップS64〜ステップS73のフローは、図4に示したステップS44〜ステップS53のフローと同じである。ステップS71における容器15の移動量Y(mm)は、ステップS51の場合と同様に一定である。そのうえで、容器15の種類に応じてオフセット量Xだけが変更される。検査ビームの送受信装置21aによって測定ガスAを測定するときのオフセット量Xと、検査ビームの送受信装置21bによって測定ガスBを測定するときのオフセット量Xとは、同じである。
このようにすることで、オフセット量Xが容器15の種類に応じた適正値になるように良好に制御することができる。
図7および図8は、オフセット量Xを、容器15の種類によって変化させたうえで、測定ガスA、Bの種類によっても変化させる場合を示す。つまり、図7に示すように、検査ビームの送受信装置21aによって測定ガスAを測定するときのオフセット量Xは上述の例の場合と同様にして設定するが、検査ビームの送受信装置21bによって測定ガスBを測定するときのオフセット量Zを、オフセット量Xとは別に設定するものである。このとき、オフセット量Xを規定したうえで、矢印36に沿ったチャック装置16および容器15の移動量Yを変化させることによって、さまざまなオフセット量Zを設定することが可能である。
その詳細を図7および図8を参照して説明する。図8のステップS81において処理が開始されると、あらかじめ、図3および図4の場合と同様に、検査ビームの送受信装置21a、21bの高さと、間隔Wとの調整が行われる。そのうえで、ステップS82において、容器15の種類を選択する。この選択は、上述の場合と同様にして行うことができる。容器15の種類が選択されると、それを受けて、ステップS83において、容器15の種類に応じた、オフセット量X(mm)と、オフセット量Z(mm)と、オフセット量Zを実現するために必要なチャック装置16および容器15の移動量Y(mm)とが取得される。このとき、同様に、たとえば容器15の種類に応じた、オフセット量Xと、オフセット量Zと、移動量Yとのデータテーブルを、あらかじめコンピュータの内部に格納しておけば、それを利用して容易にこれらの量X、Y、Zを設定することができる。
たとえば、容器15として、径が11mm、高さが25mm、容量が2ミリリットルのものを測定する場合は、オフセット量Xを3mmに設定し、オフセット量Zを2mmに設定する。またオフセット量Xとオフセット量Zとが等しいときの移動量Yが35mmであったとすると、図示の例におけるこの場合の移動量Yは34mmに設定することになる。また、たとえば、容器15として、径が16mm、高さが30mm、容量が5ミリリットルのものを測定する場合は、オフセット量Xを5mmに設定し、オフセット量Zを2mmに設定し、また、そのために移動量Yは32mmに設定することになる。
これ以降の、ステップS84〜ステップS90、およびステップS92〜ステップS93のフローは、図4に示したステップS44〜ステップS50、およびステップS52〜ステップS53のフロート同じである。ステップS91における容器15の移動量Y(mm)は、一定ではなく、上述のようにオフセット量Zに応じて増減した値となる。
このようにすることで、オフセット量X、Zが、容器15の種類および測定ガスA、Bの種類に応じた適正値になるように、より詳細かつ良好に制御することができる。
図3〜図8に示されるいずれの場合においても、容器15はチャック装置16の爪17によって確実に保持され、このため、チャック装置16が回転したときに、それに合わせて調心状態で回転することになる。その結果、検査装置20すなわち検査ビームの送受信装置21a、21bと容器15との位置関係をきわめて精度良く規定することができる。また、仮に容器15を回転させずに測定を行う場合であっても、この容器を精度良く位置決めすることができる。このため、容器15の内部のガスの濃度などの性状を正確に測定することができる。
容器15を調心状態で保持して回転させるための装置は、上述したスクロール構造のチャック装置16に限られるものではなく、本発明によれば、同等の機能を有する限り他の装置を適用することもできる。例えば、容器形状を考慮したコレットチャックや、複数の方向から同等の力がかかるように弾性体を用いた構造のチャックのように、相似形の容器を同一中心で保持(調心状態で保持)できる構造であればよい。
上記においては、チャック装置16が矢印36の方向に移動できるようにすることで、複数の検査ビームの送受信装置21a、21bによって、異なる種類のガスの性状を測定するものを例示した。しかし、本発明によれば、これに代えて、チャック装置16および容器15は移動することなく静止し、反対に検査ビームの送受信装置21a、21bが容器15に対して矢印36の方向に移動することによって、異なる種類のガスの性状を測定するように構成することもできる。すなわち本発明によれば、チャック装置16および容器15と、検査ビームの送受信装置21a、21bとが相対的に移動できる構成であれば足りる。
上記では、2種類の検査ビームをそれぞれ異なる送受信装置21a、21bすなわちそれぞれ異なる照射装置22a、22bとそれぞれ異なる検出装置23a、23bとを使用して発生および検出させていたが、一つの送受信装置によって異なる波長の検査ビームを発生および検出させるようにすることもできる。このような構成であると、容器を移動させることなく検査することができる。
また、上においては容器15の底部をクランプすなわち保持する例を記載したが、容器15の形状などに応じて、胴部等その他の部分を保持してもよい。
また、上においては容器15の底部をクランプすなわち保持する例を記載したが、容器15の形状などに応じて、胴部等その他の部分を保持してもよい。
15 容器
16 チャック装置(容器保持装置)
20 検査装置
21a 検査ビームの送受信装置
21b 検査ビームの送受信装置
W 間隔
X オフセット量
Y 移動量
Z オフセット量
16 チャック装置(容器保持装置)
20 検査装置
21a 検査ビームの送受信装置
21b 検査ビームの送受信装置
W 間隔
X オフセット量
Y 移動量
Z オフセット量
Claims (8)
- 分析対象のガスが充填された容器に検査ビームを透過させることで、前記容器内のガスの性状を測定することができる非破壊式の容器内ガス性状の測定装置であって、
前記容器を保持する容器保持装置と、
前記容器保持装置に保持された容器に検査ビームを照射するとともに、前記容器を通過した後の検査ビームを検知するように構成された検査装置とを有し、
前記容器保持装置は、前記容器を調心状態で保持するように構成されていることを特徴とする容器内ガス性状の測定装置。 - 容器保持装置が三つ爪スクロールチャックであることを特徴とする請求項1記載の容器内ガス性状の測定装置。
- 検査装置は、測定すべきガスの種類に応じた単数種類または複数種類の検査ビームを送受信可能な単数または複数の送受信装置を備えていることを特徴とする請求項1または2項記載の容器内ガス性状の測定装置。
- 複数の送受信装置が互いに距離をおいて設置されており、容器保持装置は、前記距離をおいて設置された送受信装置どうしの間を相対的に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の容器内ガス性状の測定装置。
- 検査装置は、容器の中心から容器の径方向にオフセットした位置において、前記容器に検査ビームを照射できるように構成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の容器内ガス性状の測定装置。
- 検査装置における検査ビームの送受信装置は、検査ビームの照射装置と検出装置とを備えるとともに、前記照射装置と検出装置との間の距離に応じてオフセット量を設定するものであることを特徴とする請求項5記載の容器内ガス性状の測定装置。
- 検査装置は、容器の種類に応じてオフセット量を設定するものであることを特徴とする請求項5記載の容器内ガス性状の測定装置。
- 検査装置は、測定すべきガスの種類に応じた複数種類の検査ビームの送受信装置を備えているとともに、容器の種類とガスの種類とに応じて各検査ビームの送受信装置ごとにオフセットの量を変更できるように構成されていることを特徴とする請求項5記載の容器内ガス性状の測定装置。
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2020
- 2020-02-14 JP JP2020022918A patent/JP2021128068A/ja active Pending
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