JP2021127494A - Cr−Al合金スパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【課題】Al含有量のばらつきが小さく、スパッタ時の異常放電も発生しにくいCr−Al合金スパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】CrとAlとを含む焼結体のCr−Al合金スパッタリングターゲットであって、Cの含有量が300質量ppm以下、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが40%以下であることを特徴とする。Al含有量が10原子%未満、残部がCr及び不可避不純物からなる成分組成を有することが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、熱電変換材料や硬質皮膜などの成膜に用いられるCr−Al合金スパッタリングターゲットに関するものである。
従来、熱電変換材料や硬質皮膜などの成膜に用いられるCr−Al合金スパッタリングターゲットが提供されている。
例えば、特許文献1には、Cr−M合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Si,Al,B及びYのうちの少なくとも1種)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行い、窒化物熱電変換材料を製造する方法が開示されている。
例えば、特許文献1には、Cr−M合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,Si,Al,B及びYのうちの少なくとも1種)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行い、窒化物熱電変換材料を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、Crを主成分とし、Al,Si,Ti,Zr,Hf,V,Ta,W、Mo,Bから選択される少なくとも1種の金属元素を含むスパッタリングターゲットと、これを用いて成膜された硬質皮膜、硬質皮膜部材が開示されている。実施例Aではガスアトマイズ法により作製した合金粉末を、実施例Bではボールミル混合した金属粉末を用いて、500℃で5時間保持の脱ガス処理の後、焼結温度1300℃で5時間、焼結圧力24.5MPaのホットプレスにより、ターゲット焼結体を調整している。また、実施例Cでは、アーク溶解法によりターゲットを作製している。
ところで、特許文献1には、Cr−Al合金スパッタリングターゲットの開示があるが、その組成や組織、製造方法についての開示はない。
また、特許文献2に開示されたスパッタリングターゲットにおいては、以下のような問題点があった。
実施例Aに記載のターゲットは、ガスアトマイズ法で作製した合金粉末を用いているが、Crの融点が高いことから、カーボン製のるつぼを用いる必要がある。Crはカーボンと反応しやすいため、カーボンるつぼを用いたガスアトマイズ合金粉末から調整したターゲット焼結体中には、炭化Crが析出する。この炭化Crが、スパッタ時に異常放電の原因となる。
実施例Bに記載のターゲットでは、Cr粉末とAl粉末の混合粉末を用いていることから、ターゲット内でAl含有量のばらつきがあり、これを用いて成膜した膜においても、Al含有量にばらつきが生じるおそれがある。
実施例Cに記載のターゲットは、焼結体ではなく、アーク溶解法により作製されたものだが、Crの融点が高いことから特殊な装置が必要となる。
また、特許文献2に開示されたスパッタリングターゲットにおいては、以下のような問題点があった。
実施例Aに記載のターゲットは、ガスアトマイズ法で作製した合金粉末を用いているが、Crの融点が高いことから、カーボン製のるつぼを用いる必要がある。Crはカーボンと反応しやすいため、カーボンるつぼを用いたガスアトマイズ合金粉末から調整したターゲット焼結体中には、炭化Crが析出する。この炭化Crが、スパッタ時に異常放電の原因となる。
実施例Bに記載のターゲットでは、Cr粉末とAl粉末の混合粉末を用いていることから、ターゲット内でAl含有量のばらつきがあり、これを用いて成膜した膜においても、Al含有量にばらつきが生じるおそれがある。
実施例Cに記載のターゲットは、焼結体ではなく、アーク溶解法により作製されたものだが、Crの融点が高いことから特殊な装置が必要となる。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、Al含有量のばらつきが小さく、スパッタ時の異常放電も発生しにくいCr−Al合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、CrとAlとを含む焼結体のCr−Al合金スパッタリングターゲットであって、Cの含有量が300質量ppm以下、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが40%以下であることを特徴とする。
この構成のCr−Al合金スパッタリングターゲットによれば、Cの含有量が300質量ppm以下とされているので、炭化Crの生成を抑制でき、スパッタ時に炭化Crに起因した異常放電の発生を抑制することができる。
また、本発明のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが40%以下とされているので、Al含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
また、本発明のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが40%以下とされているので、Al含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
ここで、本発明のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが36%以下であることが好ましい。
この場合、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが36%以下とされているので、よりAl含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
この場合、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが36%以下とされているので、よりAl含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
また、本発明のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、Al含有量が10原子%未満、残部がCr及び不可避不純物からなる成分組成を有することが好ましい。
この場合、Al含有量が10原子%未満なので、CrAl金属間化合物の生成を抑制でき、スパッタリングターゲットの加工強度を高めることが可能となる。
この場合、Al含有量が10原子%未満なので、CrAl金属間化合物の生成を抑制でき、スパッタリングターゲットの加工強度を高めることが可能となる。
本発明によれば、Al含有量のばらつきが小さく、スパッタ時の異常放電も発生しにくいCr−Al合金スパッタリングターゲットを提供できる。
以下に、本発明の一実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲットについて説明する。
本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10は、熱電変換材料や硬質皮膜などを形成するために、Cr−Al合金膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10は、熱電変換材料や硬質皮膜などを形成するために、Cr−Al合金膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
本実施形態であるCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、図1に示すように、円筒面(外周面)がスパッタ面11とされた円筒型スパッタリングターゲットとされている。
図1に示すCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば外径Dが140mm≦D≦200mmの範囲内、内径dが100mm≦d≦180mmの範囲内、軸線O方向長さLが80mm≦L≦800mmの範囲内とされている。
図1に示すCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば外径Dが140mm≦D≦200mmの範囲内、内径dが100mm≦d≦180mmの範囲内、軸線O方向長さLが80mm≦L≦800mmの範囲内とされている。
そして、本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10は、CrとAlとを含む焼結体で構成されており、Cの含有量が300質量ppm以下、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが40%以下とされている。
ここで、Al含有量のばらつきは、スパッタ面11の複数の箇所でAl含有量を測定した結果、以下の式によって算出されるものである。
Al含有量のばらつき(%)={(Al含有量の最大値−Al含有量の最小値)/Al含有量の平均値}×100
なお、本実施形態では、図1に示すように、軸線O方向の両端部A,Bと中心部Cにおいて、円周方向に90°間隔の(1)、(2)、(3)、(4)の計12点で、Al含有量を測定し、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを算出している。
ここで、Al含有量のばらつきは、スパッタ面11の複数の箇所でAl含有量を測定した結果、以下の式によって算出されるものである。
Al含有量のばらつき(%)={(Al含有量の最大値−Al含有量の最小値)/Al含有量の平均値}×100
なお、本実施形態では、図1に示すように、軸線O方向の両端部A,Bと中心部Cにおいて、円周方向に90°間隔の(1)、(2)、(3)、(4)の計12点で、Al含有量を測定し、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを算出している。
本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10は、Al含有量が10原子%未満、残部がCr及び不可避不純物からなる成分組成を有することが好ましい。
さらに、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、X線結晶回析(XRD)において、CrAl金属間化合物のピークが観察されず、Cr単相となっていることが好ましい。このとき、Alは結晶粒界に存在し、Crに固溶していると考えられる。
さらに、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、X線結晶回析(XRD)において、CrAl金属間化合物のピークが観察されず、Cr単相となっていることが好ましい。このとき、Alは結晶粒界に存在し、Crに固溶していると考えられる。
以下に、本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10のC含有量、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつき、Al含有量を、上述のように規定した理由について説明する。
(C含有量)
Cr−Al合金スパッタリングターゲット10中のCは、炭化Crとして組織中に析出するが、C量が300質量ppmを超えると、析出した炭化Crが、スパッタ時に異常放電を発生させる。
このような理由から、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、C含有量を300質量ppm以下としている。
なお、異常放電をさらに抑制するためには、C含有量を200質量ppm以下とすることが好ましく、150質量ppm以下とすることがさらに好ましい。
C含有量の下限に特に制限はないが、通常の工程で実現可能な範囲の下限としては、例えば、0.1質量ppmである。
Cr−Al合金スパッタリングターゲット10中のCは、炭化Crとして組織中に析出するが、C量が300質量ppmを超えると、析出した炭化Crが、スパッタ時に異常放電を発生させる。
このような理由から、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、C含有量を300質量ppm以下としている。
なお、異常放電をさらに抑制するためには、C含有量を200質量ppm以下とすることが好ましく、150質量ppm以下とすることがさらに好ましい。
C含有量の下限に特に制限はないが、通常の工程で実現可能な範囲の下限としては、例えば、0.1質量ppmである。
(Al含有量のばらつき)
Cr−Al合金スパッタリングターゲット10のスパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが大きいと、これを用いて成膜されたCr−Al合金膜においても、Al含有量のばらつきが大きくなる。また、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが大きいと、異常放電が増える傾向にある。
このような理由から、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを40%以下としている。
なお、よりAl含有量のばらつきの小さい均一なCr−Al合金膜を得るためには、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを36%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがさらに好ましい。
Al含有量のばらつきの下限に特に制限はないが、通常の工程で実現可能な範囲の下限としては、例えば、0.1%である。
スパッタリングターゲット10の厚み方向におけるAl含有量のばらつきも、40%以下とすることが好ましく、36%以下とすることがより好ましく、25%以下とすることがさらに好ましい。これにより、成膜されるCr−Al合金膜のAl含有量が、スパッタ時間によってばらつくことを防止できる。
Cr−Al合金スパッタリングターゲット10のスパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが大きいと、これを用いて成膜されたCr−Al合金膜においても、Al含有量のばらつきが大きくなる。また、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが大きいと、異常放電が増える傾向にある。
このような理由から、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを40%以下としている。
なお、よりAl含有量のばらつきの小さい均一なCr−Al合金膜を得るためには、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを36%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがさらに好ましい。
Al含有量のばらつきの下限に特に制限はないが、通常の工程で実現可能な範囲の下限としては、例えば、0.1%である。
スパッタリングターゲット10の厚み方向におけるAl含有量のばらつきも、40%以下とすることが好ましく、36%以下とすることがより好ましく、25%以下とすることがさらに好ましい。これにより、成膜されるCr−Al合金膜のAl含有量が、スパッタ時間によってばらつくことを防止できる。
(Al含有量)
Cr−Al合金スパッタリングターゲット10のAl含有量を10原子%未満とした場合には、CrAl金属間化合物が組織の主相となることを抑制でき、Cr−Al合金スパッタリングターゲット10の加工強度を確保でき、加工時及びスパッタ時における割れの発生を抑制することが可能となる。
このような理由から、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、Al含有量を10原子%未満とすることが好ましい。
なお、より高い加工強度を確保するためには、Cr−Al合金スパッタリングターゲット10のAl含有量を8原子%以下とすることがより好ましく、5原子%以下とすることがさらに好ましい。
Al含有量の下限に特に制限はないが、Cr−Al合金スパッタリングターゲットを用いた熱電変換材料膜の特性を確保するため、Al含有量の下限は、例えば、0.01原子%である。
Cr−Al合金スパッタリングターゲット10のAl含有量を10原子%未満とした場合には、CrAl金属間化合物が組織の主相となることを抑制でき、Cr−Al合金スパッタリングターゲット10の加工強度を確保でき、加工時及びスパッタ時における割れの発生を抑制することが可能となる。
このような理由から、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10においては、Al含有量を10原子%未満とすることが好ましい。
なお、より高い加工強度を確保するためには、Cr−Al合金スパッタリングターゲット10のAl含有量を8原子%以下とすることがより好ましく、5原子%以下とすることがさらに好ましい。
Al含有量の下限に特に制限はないが、Cr−Al合金スパッタリングターゲットを用いた熱電変換材料膜の特性を確保するため、Al含有量の下限は、例えば、0.01原子%である。
次に、本実施形態であるCr−Al合金スパッタリングターゲットの製造方法について、図2を参照して説明する。
本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットの製造方法は、原料粉末を混合して混合粉末を得る混合工程S01と、混合粉末を加熱保持する加熱工程S02と、加熱工程S02の後に、ホットプレスなどによって混合粉末の焼結体を得る焼結工程S03と、焼結体を機械加工してCr−Al合金スパッタリングターゲットを得る機械加工工程S04とを備える。
本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットの製造方法は、原料粉末を混合して混合粉末を得る混合工程S01と、混合粉末を加熱保持する加熱工程S02と、加熱工程S02の後に、ホットプレスなどによって混合粉末の焼結体を得る焼結工程S03と、焼結体を機械加工してCr−Al合金スパッタリングターゲットを得る機械加工工程S04とを備える。
(混合工程S01)
混合工程S01では、所定の組成となるように秤量したCr粉末とAl粉末とを原料粉末とし、これらを混合して、混合粉末を作製する。
原料粉末として合金粉末を用いず、Cr粉末と、Al粉末とを混合した混合粉を用いるのは、合金粉末ではアトマイズ等の製造過程においてCが混入するためである。
Cr−Al合金スパッタリングターゲットのC含有量を抑える観点から、原料粉末は高純度であることが好ましく、例えば、純度99.99質量%以上のCr粉末と、純度99.99質量%以上のAl粉末を用いることが好ましい。
混合工程S01では、所定の組成となるように秤量したCr粉末とAl粉末とを原料粉末とし、これらを混合して、混合粉末を作製する。
原料粉末として合金粉末を用いず、Cr粉末と、Al粉末とを混合した混合粉を用いるのは、合金粉末ではアトマイズ等の製造過程においてCが混入するためである。
Cr−Al合金スパッタリングターゲットのC含有量を抑える観点から、原料粉末は高純度であることが好ましく、例えば、純度99.99質量%以上のCr粉末と、純度99.99質量%以上のAl粉末を用いることが好ましい。
原料粉末の平均粒径に制限はないが、微細で均一な組織のCr−Al合金スパッタリングターゲットを得るため、例えば、1μm以上300μm以下が好ましく、5μm以上200μm以下がより好ましく、10μm以上150μm以下がさらに好ましい。
また、Al粉末の粒径DNと、Cr粉末の粒径DMの比DN/DMが、0.5以上2.0以下であることが好ましい。粒径の近いAl粉末とCr粉末とを用いることで、粉末同士をよりよく混合することができ、より均一な組成のCr−Al合金スパッタリングターゲットが得られる。
DN/DMの下限は、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。また、DN/DMの上限は、1.5以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
なお、Al粉末の粒径DNと、Cr粉末の粒径DMは、体積基準のメディアン径D50である。
また、Al粉末の粒径DNと、Cr粉末の粒径DMの比DN/DMが、0.5以上2.0以下であることが好ましい。粒径の近いAl粉末とCr粉末とを用いることで、粉末同士をよりよく混合することができ、より均一な組成のCr−Al合金スパッタリングターゲットが得られる。
DN/DMの下限は、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。また、DN/DMの上限は、1.5以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
なお、Al粉末の粒径DNと、Cr粉末の粒径DMは、体積基準のメディアン径D50である。
また、混合工程S01においては、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減するため、混合能力の高い装置を用いて原料粉末を混合することが好ましい。利用可能な装置としては、例えば、ミキサーやブレンダなどである。ボールミルは、混合能力が十分でなく、またAl粉末がボールに付着して組成ずれを生じるおそれがあるため、好ましくない。
(加熱工程S02)
加熱工程では、混合粉末を所定の温度に加熱保持して、AlとCrとを固相反応させる。
本実施形態では、後述の様にホットプレスによる焼結工程S03を実施することから、ホットプレスのモールド内に充填した混合粉末を、所定温度に加熱保持した。
加熱温度は、500℃以上650℃以下である。Alの融点(660.3℃)に近い温度に加熱保持することで、AlとCrとの反応を十分に進行させて合金化し、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減することができる。
ここで、加熱温度が500℃未満であると、AlとCrとの反応が進まず、焼結工程の熱処理時にAlが溶解してしまい、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減できない。一方、加熱温度が650℃を超えると、AlがCrと反応する前に溶解してしまうため、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量がばらついてしまう。
なお、加熱温度の下限は、550℃以上とすることがより好ましく、575℃以上とすることがさらに好ましい。また、加熱温度の上限は、630℃以下とすることがより好ましく、615℃以下とすることがさらに好ましい。
加熱工程では、混合粉末を所定の温度に加熱保持して、AlとCrとを固相反応させる。
本実施形態では、後述の様にホットプレスによる焼結工程S03を実施することから、ホットプレスのモールド内に充填した混合粉末を、所定温度に加熱保持した。
加熱温度は、500℃以上650℃以下である。Alの融点(660.3℃)に近い温度に加熱保持することで、AlとCrとの反応を十分に進行させて合金化し、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減することができる。
ここで、加熱温度が500℃未満であると、AlとCrとの反応が進まず、焼結工程の熱処理時にAlが溶解してしまい、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減できない。一方、加熱温度が650℃を超えると、AlがCrと反応する前に溶解してしまうため、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量がばらついてしまう。
なお、加熱温度の下限は、550℃以上とすることがより好ましく、575℃以上とすることがさらに好ましい。また、加熱温度の上限は、630℃以下とすることがより好ましく、615℃以下とすることがさらに好ましい。
加熱保持の時間は、0.5時間以上である。加熱保持が0.5時間未満であると、AlとCrとの反応が進まず、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減できない。加熱保持の時間は、0.8時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。加熱保持の時間の上限に特に制限はないが、5時間を超えて加熱保持しても、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきを低減する効果に差異がないことから、5時間以下とすることが好ましい。
加熱工程S02の雰囲気は、特に制限はないが、例えば、真空や不活性ガス、非酸化性雰囲気であることが好ましい。
加熱工程S02の雰囲気は、特に制限はないが、例えば、真空や不活性ガス、非酸化性雰囲気であることが好ましい。
(焼結工程S03)
焼結工程S03では、加熱工程S02を経た混合粉末を、さらに高温に加熱し焼結させて焼結体を得る。焼結工程S03の方法に特に制限はないが、例えば、ホットプレス(HP)や熱間等方圧加圧法(HIP)を用いることができる。
ホットプレス(HP)や熱間等方圧加圧法(HIP)のいずれの場合も、焼結温度の下限は1000℃以上とすることが好ましく、1050℃以上とすることがより好ましく、1100℃以上とすることがさらに好ましい。一方、焼結温度の上限は1700℃以下とすることが好ましく、1600℃以下とすることがより好ましく、1500℃以下とすることがさらに好ましい。
また、ホットプレス(HP)の圧力の下限は、10MPa以上とすることが好ましく、15MPa以上とすることがより好ましく、20MPa以上とすることがさらに好ましい。一方、ホットプレス(HP)の圧力の上限は、50MPa以下とすることが好ましく、45MPa以下とすることがより好ましく、40MPa以下とすることがさらに好ましい。
焼結工程S03では、加熱工程S02を経た混合粉末を、さらに高温に加熱し焼結させて焼結体を得る。焼結工程S03の方法に特に制限はないが、例えば、ホットプレス(HP)や熱間等方圧加圧法(HIP)を用いることができる。
ホットプレス(HP)や熱間等方圧加圧法(HIP)のいずれの場合も、焼結温度の下限は1000℃以上とすることが好ましく、1050℃以上とすることがより好ましく、1100℃以上とすることがさらに好ましい。一方、焼結温度の上限は1700℃以下とすることが好ましく、1600℃以下とすることがより好ましく、1500℃以下とすることがさらに好ましい。
また、ホットプレス(HP)の圧力の下限は、10MPa以上とすることが好ましく、15MPa以上とすることがより好ましく、20MPa以上とすることがさらに好ましい。一方、ホットプレス(HP)の圧力の上限は、50MPa以下とすることが好ましく、45MPa以下とすることがより好ましく、40MPa以下とすることがさらに好ましい。
(機械加工工程S04)
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行い、図1に示す円筒形状のスパッタリングターゲットを得る。
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行い、図1に示す円筒形状のスパッタリングターゲットを得る。
以上のようにして、本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10によれば、Cの含有量が300質量ppm以下とされているので、炭化Crの生成を抑制でき、スパッタ時において炭化Crに起因した異常放電の発生を抑制することが可能となる。
また、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが40%以下とされている、Al含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
特に、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを36%以下とすれば、よりAl含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
また、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきが40%以下とされている、Al含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
特に、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面11におけるAl含有量のばらつきを36%以下とすれば、よりAl含有量のばらつきが小さいCr−Al合金膜を成膜することができる。
さらに、本実施形態に係るCr−Al合金スパッタリングターゲット10において、Al含有量を10原子%未満とした場合には、Cr中にAlが固溶できるため、加工強度が低いCrAl金属間化合物の生成を抑制でき、Cr単相になる。そのためスパッタリングターゲットの加工強度を高めることが可能となる。特に、本実施形態のCr−Al合金スパッタリングターゲット10において、XRDでCrAl金属間化合物のピークが観察されず、Cr単相となっている場合には、十分な加工強度を有する。
本実施形態においては、図1に示すように、スパッタ面11が円筒面状をなす円筒型スパッタリングターゲットとされているので、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することができ、連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れる。
本実施形態においては、図1に示すように、スパッタ面11が円筒面状をなす円筒型スパッタリングターゲットとされているので、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することができ、連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように円筒形状のスパッタリングターゲットとして説明したが、これに限定されることはなく、図3に示すように、円板状のスパッタリングターゲットとしてもよいし、図4に示すように、矩形平板状のスパッタリングターゲットとしてもよい。
例えば、本実施形態では、図1に示すように円筒形状のスパッタリングターゲットとして説明したが、これに限定されることはなく、図3に示すように、円板状のスパッタリングターゲットとしてもよいし、図4に示すように、矩形平板状のスパッタリングターゲットとしてもよい。
ここで、円板状のスパッタリングターゲットにおいては、図3に示すように、円の中心(1)、及び、円の中心を通過するとともに互いに直交する2本の直線上の外周部分(2)、(3)、(4)、(5)の5点で、Al含有量、Al含有量のばらつきを算出することが好ましい。なお、外周部分(2)、(3)、(4)、(5)は、外周縁から内側に向かって直径の10%以内の範囲内とした。
一方、矩形平板状のスパッタリングターゲットにおいては、図4に示すように、対角線が交差する交点(1)と、各対角線上の角部(2)、(3)、(4)、(5)の5点で、Al含有量、Al含有量のばらつきを算出することが好ましい。なお、角部(2)、(3)、(4)、(5)は、角部から内側に向かって対角線全長の10%以内の範囲内とした。
以下に、前述した本発明のCr−Al合金スパッタリングターゲットについて評価した評価試験の結果について説明する。
表1に記載の粒径を有する、純度99.99質量%以上のCr粉末と純度99.99質量%以上のAl粉末とを用意した。
ここで、表1に記載のAl粉末の粒径DN及びCr粉末の粒径DMは、体積基準のメディアン径D50である。具体的には、ヘキサメタリン酸ナトリウム含有量0.2mol%の水溶液を100ml調製し、この水溶液にCr粉末又はAl粉末を10mg加え、超音波発生装置にて粉末を十分に溶液に分散させた後、レーザー回折散乱法(測定装置:日機装株式会社製、Microtrac MT3000)を用いて、粒子径分布を測定した。
ここで、表1に記載のAl粉末の粒径DN及びCr粉末の粒径DMは、体積基準のメディアン径D50である。具体的には、ヘキサメタリン酸ナトリウム含有量0.2mol%の水溶液を100ml調製し、この水溶液にCr粉末又はAl粉末を10mg加え、超音波発生装置にて粉末を十分に溶液に分散させた後、レーザー回折散乱法(測定装置:日機装株式会社製、Microtrac MT3000)を用いて、粒子径分布を測定した。
これらの原料粉末を、表1に記載の配合組成で全体重量が3000gとなるように秤量し、表1に記載の方法で混合して、混合粉末を作製した。
混合方法にミキサーと記載した本発明例、比較例では、ロッキングミキサー装置を用い、原料粉末を不活性ガス雰囲気下で1時間の混合を実施した。
混合方法にボールミルと記載した比較例、従来例では、原料粉末を直径5mmのジルコニアボールとともにボールミル装置に投入し、不活性ガス雰囲気下で16時間の乾式混合を行った。混合後、ジルコニアボールを分離回収し、混合粉末を得た。
混合方法にミキサーと記載した本発明例、比較例では、ロッキングミキサー装置を用い、原料粉末を不活性ガス雰囲気下で1時間の混合を実施した。
混合方法にボールミルと記載した比較例、従来例では、原料粉末を直径5mmのジルコニアボールとともにボールミル装置に投入し、不活性ガス雰囲気下で16時間の乾式混合を行った。混合後、ジルコニアボールを分離回収し、混合粉末を得た。
次に、得られた混合粉末を、モールドに充填して、真空ホットプレス装置に装填し、真空中(0.5Pa以下)において、10℃/minの速度で表1に記載の温度に加熱し、表1に記載の時間だけ保持する加熱工程を実施した。
続いて、真空中(0.5Pa以下)にて、10℃/minの速度で1400℃に加熱し、30MPaの圧力で3時間、ホットプレスすることにより焼結を行い、焼結体を作製した。
従来例3,4では、混合粉末に代えて、表1に記載の組成を有する、粒径100μm(体積基準のメディアン径D50)の合金粉(アトマイズ粉)に上述と同条件のホットプレスを施して、焼結体を得た。
得られた焼結体に対して機械加工を施して、板のものは幅126mm×長さ178mm×厚さ6mm、円筒のものは外径155mm×内径135mm×長さ600mmのCr−Al合金スパッタリングターゲットを作製した。
続いて、真空中(0.5Pa以下)にて、10℃/minの速度で1400℃に加熱し、30MPaの圧力で3時間、ホットプレスすることにより焼結を行い、焼結体を作製した。
従来例3,4では、混合粉末に代えて、表1に記載の組成を有する、粒径100μm(体積基準のメディアン径D50)の合金粉(アトマイズ粉)に上述と同条件のホットプレスを施して、焼結体を得た。
得られた焼結体に対して機械加工を施して、板のものは幅126mm×長さ178mm×厚さ6mm、円筒のものは外径155mm×内径135mm×長さ600mmのCr−Al合金スパッタリングターゲットを作製した。
作製された本発明例、比較例及び従来例のCr−Al合金スパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価した。
(ターゲット組成)
図1及び図4に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、これを酸で前処理した後、ICP−AES法により、Al含有量を測定した。そして、Al含有量の平均値を算出した。また、同じ箇所から切り出した測定試料について、不活性ガス融解赤外線吸収法によりC含有量を測定し、その平均値を算出した。評価結果を表2に示す。
図1及び図4に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、これを酸で前処理した後、ICP−AES法により、Al含有量を測定した。そして、Al含有量の平均値を算出した。また、同じ箇所から切り出した測定試料について、不活性ガス融解赤外線吸収法によりC含有量を測定し、その平均値を算出した。評価結果を表2に示す。
(Al含有量のばらつき)
図1及び図4に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、これを酸で前処理した後、ICP−AES法により、Al含有量を測定した。そして、実施形態に記載した式に基づいて、Al含有量のばらつきを算出した。評価結果を表2に示す。
図1及び図4に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、これを酸で前処理した後、ICP−AES法により、Al含有量を測定した。そして、実施形態に記載した式に基づいて、Al含有量のばらつきを算出した。評価結果を表2に示す。
(異常放電)
円筒形状のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、チタン製のバッキングチューブにInはんだによってはんだ付けし、マグネトロンスパッタ装置にセットし、以下の条件で60分間連続して成膜した。
到達真空度:5×10−5Pa
Arガス圧:0.3Pa
スパッタ電力:10000W
基板:ガラス基板 20mm×100mm
ターゲット−基板間距離:60mm
成膜の間、DC電源装置(京三製作所社製HPK30Z1−SW1)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。
円筒形状のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、チタン製のバッキングチューブにInはんだによってはんだ付けし、マグネトロンスパッタ装置にセットし、以下の条件で60分間連続して成膜した。
到達真空度:5×10−5Pa
Arガス圧:0.3Pa
スパッタ電力:10000W
基板:ガラス基板 20mm×100mm
ターゲット−基板間距離:60mm
成膜の間、DC電源装置(京三製作所社製HPK30Z1−SW1)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。
矩形平板状のCr−Al合金スパッタリングターゲットにおいては、Cu製のバッキングプレートにInはんだによってはんだ付けし、マグネトロンスパッタ装置にセットし、以下の条件で60分間連続して成膜した。
到達真空度:5×10−5Pa
Arガス圧:0.3Pa
スパッタ電力:1000W
基板:ガラス基板 80mm×180mm
ターゲット−基板間距離:60mm
成膜の間、DC電源装置(京三製作所社製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。
到達真空度:5×10−5Pa
Arガス圧:0.3Pa
スパッタ電力:1000W
基板:ガラス基板 80mm×180mm
ターゲット−基板間距離:60mm
成膜の間、DC電源装置(京三製作所社製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。
加熱工程の温度が450℃と低温の比較例1では、CrとAlの反応が進まず、焼結工程の熱処理時にAlが溶解してしまい、得られたCr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量のばらつきが大きくなった。また、比較例3では、比較例1と同条件で加熱工程の時間を長くしてDN/DMを0.9としたが、それでもAl含有量のばらつきが大きかった。
一方、加熱工程の温度が675℃と高温の比較例2では、AlがCrと反応する前に溶解してしまうため、Al含有量のばらつきが大きくなった。
一方、加熱工程の温度が675℃と高温の比較例2では、AlがCrと反応する前に溶解してしまうため、Al含有量のばらつきが大きくなった。
ボールミルで混合工程を実施した比較例4では、混合能力が足りず混合が十分でないため、Al含有量のばらつきが大きくなった。また、Al粉末がボールに付着するため、組成ずれが生じ、Cr−Al合金スパッタリングターゲットのAl含有量が配合組成よりも少なくなった。
加熱工程の時間が0.1時間と短い比較例5と、加熱工程を実施しなかった比較例6では、CrとAlの反応が進まず、Al含有量のばらつきが大きくなった。
加熱工程の時間が0.1時間と短い比較例5と、加熱工程を実施しなかった比較例6では、CrとAlの反応が進まず、Al含有量のばらつきが大きくなった。
ボールミルで混合工程を実施し、加熱工程の温度が450℃と低温の従来例1,2では、混合能力が足りず混合が十分でなく、低温のためCrとAlの反応も進まず、Al含有量のばらつきが大きくなった。
合金粉(アトマイズ粉)を用いて作製した従来例3,4は、Al含有量のばらつきは小さいが、C含有量が多く、多数の異常放電が発生した。
合金粉(アトマイズ粉)を用いて作製した従来例3,4は、Al含有量のばらつきは小さいが、C含有量が多く、多数の異常放電が発生した。
これに対し、本発明例1〜14のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが40%以下と小さく、また、Cの含有量が300質量ppm以下であるので、異常放電の発生回数が少なかった。
特に、Al粉末の粒径DNと、Cr粉末の粒径DMの比DN/DMを、0.5以上2.0以下とした本発明例1〜12は、DN/DMが0.3の本発明例13、DN/DMが2.2の本発明例14と比べて、混合工程でよりよく混合できており、Al含有量のばらつきが36%以下と小さかった。
Alを10原子%以上含有する本発明例11,12においては、成膜試験後のスパッタリングターゲットに微細なクラックが見られた。
特に、Al粉末の粒径DNと、Cr粉末の粒径DMの比DN/DMを、0.5以上2.0以下とした本発明例1〜12は、DN/DMが0.3の本発明例13、DN/DMが2.2の本発明例14と比べて、混合工程でよりよく混合できており、Al含有量のばらつきが36%以下と小さかった。
Alを10原子%以上含有する本発明例11,12においては、成膜試験後のスパッタリングターゲットに微細なクラックが見られた。
なお、本発明例6について、図5にXRDの分析結果を、図6にEBSDによる組織観察結果を示す。図5から、CrAl金属間化合物とAlのピークは観察されず、Cr単相となっていることがわかる。さらに、図6を考慮すると、Alは結晶粒界に存在し、Crに固溶していると考えられる。このように、本発明例6のCr−Al合金スパッタリングターゲットは、Al含有量が10原子%未満なので、CrAl金属間化合物の生成が抑制され、XRDにおいてCr単相となっているので、十分な加工強度を有する。
以上のことから、本発明例によれば、Al含有量のばらつきが小さく、スパッタ時の異常放電も発生しにくいCr−Al合金スパッタリングターゲットを提供できることが確認された。
10 Cr−Al合金スパッタリングターゲット
11 スパッタ面
11 スパッタ面
Claims (3)
- CrとAlとを含む焼結体のCr−Al合金スパッタリングターゲットであって、
Cの含有量が300質量ppm以下、スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが40%以下であることを特徴とするCr−Al合金スパッタリングターゲット。 - スパッタ面におけるAl含有量のばらつきが36%以下であることを特徴とする請求項1に記載のCr−Al合金スパッタリングターゲット。
- Al含有量が10原子%未満、残部がCr及び不可避不純物からなる成分組成を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のCr−Al合金スパッタリングターゲット。
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CN116804265A (zh) * | 2023-07-21 | 2023-09-26 | 苏州六九新材料科技有限公司 | 一种CrAlCuFe合金靶材及其制备方法 |
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CN116804265A (zh) * | 2023-07-21 | 2023-09-26 | 苏州六九新材料科技有限公司 | 一种CrAlCuFe合金靶材及其制备方法 |
CN116804265B (zh) * | 2023-07-21 | 2024-01-30 | 苏州六九新材料科技有限公司 | 一种CrAlCuFe合金靶材及其制备方法 |
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