JP2021127484A - 水素生成システム並びにその運転方法 - Google Patents

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拓也 赤塚
佳央 田村
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佳央 田村
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Abstract

【課題】本開示は、精製水素ガスの水素流量が低下しても精製水素ガス中の水素純度を所定値以上に維持する水素生成システムを提供する。【解決手段】本開示における水素生成システム100は、電解質膜4cの一方の主面に配置されるアノード4aにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、電解質膜4cの他方の主面に配置されるカソード4bにおいて電解質膜4cを透過した水素イオンと電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイス4と、アノード4aに水素含有ガスを供給する改質器2と、を備え、カソード4bから排出される精製水素ガスの水素流量に基づいて、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、カソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整するように構成されている。【選択図】図1

Description

本開示は、原料ガスから水素含有ガスを生成する改質器と、水素含有ガスから高純度の精製水素ガスを精製する電気化学デバイスとを備える水素生成システム並びにその運転方法に関する。
特許文献1は、原料ガスを改質して水素含有ガスを生成する改質器と、電解質膜を挟んで配置されるアノードとカソードの間に電圧を印加することによって水素含有ガス中の水素を精製及び昇圧して精製水素ガスを生成する電気化学デバイスと、を備える、水素生成システムを開示する。
特開2015−117139号公報
本開示は、精製水素ガスの水素流量が低下しても精製水素ガス中の水素純度を所定値以上に維持する水素生成システム並びにその運転方法を提供する。
本開示における水素生成システムは、電解質膜の一方の主面に配置されるアノードにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにおいて電解質膜を透過した水素イオンと電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイスと、アノードに水素含有ガスを供給する改質器と、を備え、カソードから排出される精製水素ガスの水素流量に基づいて、アノードにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、カソードにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整するように構成されたものである。
本開示における水素生成システムは、アノードにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧とカソードにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整することで、電気化学デバイスを介してアノードにおける水素含有ガスからカソードにおける精製水素ガスへ透過する不純物ガス流量を所定範囲内に収めることができる。そのため、精製水素ガスの水素流量が低下しても精製水素ガス中の水素純度を所定値以上に保つことができる。
実施の形態1における水素生成システムのブロック図 実施の形態1の水素生成システムにおける精製水素ガス流量に対する精製水素ガス中の水素純度を示す特性図 実施の形態2における水素生成システムのブロック図 実施の形態3における水素生成システムのブロック図
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、電気化学式水素圧縮という技術は、電気化学デバイスに電力を加えることで、精製水素ガスを精製するという状況であった。
そのため、当該業界では、精製水素ガス中の流量が低下すると、電気化学デバイスに加える電流値を調整して精製水素ガス中の流量を低減するので、精製水素ガス中の不純物ガス分圧が上昇し、精製水素ガス中の水素純度を所定値以上に維持できないということを課題として、十分な水素純度が得られない場合は、電気化学デバイスの運転を停止するという製品設計をするのが一般的であった。
そうした状況下において、発明者らは、電気化学デバイスの電解質膜を透過する不純物ガス流量はアノードとカソードとの不純物ガス分圧差に応じて変化するということをヒントにして、不純物ガス分圧差を調整することで、電気化学デバイスを透過する不純物ガス流量を制御するという着想を得た。
そして、発明者らは、その着想を実現するには、水素含有ガス中の不純物ガス分圧と精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を直接的に調整することは困難であるため、アノードの水素含有ガスの圧力を調整することによって、電気化学デバイスを介してアノードからカソードへ透過する不純物ガス流量を所定値以下に収めなければならないという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、電気化学デバイスを介してアノードからカソードへ透過する不純物ガス流量を所定範囲内に収める水素生成システム並びにその運転方法を提供する。
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1〜図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1−1.構成]
図1において、水素生成システム100は、原料ガス供給器1と、原料ガス供給経路1aと、改質器2と、水素含有ガス排出経路3と、電気化学デバイス4と、アノードオフガス経路5と、燃焼排ガス経路6と、精製水素ガス排出経路7と、制御部8と、圧力計測器10と、圧力計測器11と、流量計20と、水素濃度計21と、電源70と、を備える。
原料ガス供給器1は、所定の供給圧を有する原料ガスインフラである。原料ガスは、メタンを主成分とした都市ガスを用いる。
原料ガス供給経路1aは、原料ガス供給器1から原料ガスを改質器2へと供給する経路である。
改質器2は、原料ガスおよび水を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する。改質器2の内部には改質触媒および燃焼バーナー(図示せず)が搭載されている。水は改質器2内部において加熱され、水蒸気となり、燃焼バーナー(図示せず)によって必要な温度まで調整された改質触媒において原料ガスと反応して水素含有ガスを生成する。
水素含有ガス排出経路3は改質器2によって生成された水素含有ガスを電気化学デバイ
ス4へと供給する経路である。
電気化学デバイス4は、電解質膜4cを挟んでアノード4aとカソード4bとが配置されている。アノード4aに水素含有ガスを供給し、アノード4aからカソード4bへ電流を流すことで、アノード4aに供給された水素含有ガスから、水素をカソード4bに移動する。
電気化学デバイス4は、電解質膜4cの一方の主面に配置されるアノード4aにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、電解質膜4cの他方の主面に配置されるカソード4bにおいて電解質膜4cを透過した水素イオンと電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる。
改質器2は、水素含有ガス排出経路3を介して、アノード4aに水素含有ガスを供給する。
アノードオフガス経路5は、電気化学デバイス4から排出される未使用の水素含有ガスを改質器2の燃焼バーナー(図示せず)へと供給する経路である。改質器2からアノード4aに供給された水素含有ガスのうちでアノード4aからカソード4bに透過せずにアノード4aから排出される未使用の水素含有ガスは、アノードオフガス経路5によって、改質器2の燃焼バーナー(図示せず)に供給される。
燃焼排ガス経路6は、改質器2の燃焼バーナー(図示せず)で燃焼した後の燃焼排ガスを水素生成システム100外へ排気する経路である。燃焼排ガス経路6の下流端は水素生成システム100の筐体外に大気開放される。
精製水素ガス排出経路7は、電気化学デバイス4によって精製された精製水素ガスを排出する経路である。
制御部8は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、CPUが例示される。記憶部としては、メモリーが例示される。
圧力計測器10は、精製水素ガス排出経路7において、精製水素ガスが流通する部分の精製水素ガス圧力を計測し、制御部8へ圧力情報を返す。制御部8によって、精製水素ガス排出経路7において、精製水素ガス中の不純物ガス分圧を推定する。
圧力計測器11は、水素含有ガス排出経路3において、水素含有ガスの圧力を計測し、制御部8へ圧力情報を返す。制御部8によって、原料ガス供給経路1aにおいて、水素含有ガス中の不純物ガス分圧を推定する。
流量計20は、精製水素ガス排出経路7に設けられ、電気化学デバイス4によって精製された精製水素ガス(カソード4bから排出される精製水素ガス)の水素流量を計測し、制御部8へ流量情報を返す。
水素濃度計21は、精製水素ガス排出経路7に設けられ、電気化学デバイス4によって精製された精製水素ガスの水素濃度を計測し、制御部8へ水素濃度情報を返す。
電源70は、電気化学デバイス4へ所定の電圧を与えてアノード4aの水素をカソード4bへと移動する。アノード4aとカソード4bとに所定の電圧が与えられると、水素含有ガス中の水素がアノード4aで水素イオン化される。そして、当該水素イオンが電解質
膜4cを移動し、カソード4bで水素に戻ることにより、精製水素ガスが得られる。電源70には直流電源を用いる。
[1−2.動作]
以上のように構成された水素生成システム100について、以下その動作、作用を説明する。
まず、図1に基づいて、水素生成システム100における水素精製動作を説明する。原料ガス供給器1から供給される原料ガスは、圧力計測器11の値に基づいて、原料ガス供給器1内において調圧された後、改質器2に供給される。
原料ガス供給器1から改質器2に供給された原料ガスは、改質器2において、水が加熱されて変化した水蒸気と混合され、改質器2内部において改質反応が進行する。改質器2における改質反応は以下の(化1)(化2)の反応式で示される。
Figure 2021127484
Figure 2021127484
そして、(化2)の反応において生成した一酸化炭素は、改質器2内の変成器において(化3)で示される変成反応によって二酸化炭素に変換される。
Figure 2021127484
さらに、(化3)の変成反応でも反応しきれなかった一酸化炭素は、改質器2内の選択酸化反応器において(化4)で示される選択酸化反応によって二酸化炭素に変換される。
Figure 2021127484
(化4)において、酸素を供給するために改質器2外部から空気が供給される。反応には寄与しないが、空気を改質器2内へ空気を供給するため、窒素、アルゴン、二酸化炭素も改質器2内に混入することとなる。(化1)から(化4)の反応が発生することによって、水素含有ガスが生成される。
水素含有ガス中には、生成物として、水素、二酸化炭素、一酸化炭素が含まれ、未反応原料として、メタン、水蒸気、窒素が含まれる。
水素生成システム100において目的とするガスは水素であるため、不純物ガスは、水素以外の二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素、アルゴン、水蒸気等のガスで構成されている。
水素含有ガスは水素含有ガス排出経路3を経て電気化学デバイス4のアノード4aに供給される。アノード4aとカソード4bには電源70から電流が供給され、アノード4aでは以下に示す(化5)の酸化反応が、カソード4bでは(化6)の還元反応が起こる。
Figure 2021127484
Figure 2021127484
(化5)(化6)の反応によって、水素含有ガスに含まれている水素が精製され、カソード4bの水素純度が所定の水素純度まで高められた精製水素ガスとなり、精製水素ガス排出経路7を経て水素生成システム100外へと排出される。
次に、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)について述べる。
水蒸気を除いた乾燥状態での水素濃度を導出するため、水蒸気以外の不純物ガスの濃度について検討する。nは不純物ガス成分を示しており、n=1は二酸化炭素、n=2は一酸化炭素、n=3はメタン、n=4は窒素、n=5はアルゴンを示す。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過係数をλn(cm/(Pa・s))、電解質膜4cの膜面積をA(cm)、電解質膜4cの膜厚をL(cm)とする。
カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧をPcn(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧をPan(kPa)とする。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)は以下の(数1)で表される。
Figure 2021127484
n=0は水素とする。水素についても同様に考えると、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過係数をλ0(cm/(Pa・s))、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0(kPa)とすると、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)は以下の式(数2)で示される。
Figure 2021127484
また、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SH(cm/s)について述べる。
電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値をI(A)、電気化学デバイス4のセル数をM(枚)、水素1モル当たりのモル体積を22.4(L/mоl)とする。
ファラデー定数は96485(C/mоl)だから、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SH(cm/s)は以下の式(数3)で示される。
Figure 2021127484
以上(数1)(数2)(数3)から、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は以下の式(数4)で示される。
Figure 2021127484
(数1)から(数4)で示すように、カソード4bにおけるドライ条件(水蒸気を含まない)精製水素ガス中の水素純度EH(%)は、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)とカソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧Pa0(kPa)とカソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧Pc0(kPa)との差、および電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)とに応じて変化することが分かる。
カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)および、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧Pc0(kPa)はカソード4bにおける精製水素ガスの全圧を調整することで変化させることができるが、精製水素ガスの圧力は製品圧力となるため、水素生成システム100の運転中に可変させることは現実的ではない。
圧力計測器11の値に基づいて、原料ガス供給器1の原料ガスの圧力を調整すれば、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)および、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧Pa0(kPa)を可変させることができる。
これによって、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)および、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)を制御することが可能となる。
水素生成システム100が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合
における精製水素ガス中の水素純度EH(%)の変化を、図2を用いて、より詳細に説明する。
精製水素ガス中の水素純度EH(%)の目標値を98.1(%)以上であるとする。水素生成システム100が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)を低減する。
水素流量の負荷が変動する前について、水素流量=0.50(Nm/h)、電流値I=80.5(A)、電気化学デバイス4のセル数をM=15(枚)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=140.2(cm/s)となる。
次に、原料ガス供給器1の原料ガス圧力を調整し、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を40(kPa)に設定したと仮定する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過係数をλ0=7.5E−11(cm/(Pa・s))、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0=148.5(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0=75.5(kPa)、電解質膜4cの膜面積をA=232(cm)、電解質膜4cの膜厚をL=1.2E−3(cm)とする。
この時、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.06(cm/s)となる。アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)がマイナス値を取る時は、水素は電解質膜4cを介してカソード4bからアノード4aへ透過することを意味する。
一方で、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)がプラス値を取る時は、水素は電解質膜4cを介してアノード4aからカソード4bへ透過することを意味する。
不純物ガス成分についても各成分ごとに(数1)からアノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)を算出する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する二酸化炭素の透過係数をλ1=6.95E−10(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する一酸化炭素の透過係数をλ2=2.50E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過するメタンの透過係数をλ3=2.52E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する窒素の透過係数をλ4=2.10E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過するアルゴンの透過係数をλ5=2.00E−12(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水蒸気の透過係数をλ6=1.20E−11(cm/(Pa・s))とする。
アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差をΔPn(kPa)とすると、圧力計測器11の圧力を40(kPa)に設定した際のΔPn(kPa)は各ガス成分ごとに以下の値であると仮定する。
ΔP1=9.62(kPa)、ΔP2=0(kPa)、ΔP3=3.88(kPa)、
ΔP4=7.53(kPa)、ΔP5=0.09(kPa)、ΔP6=10.2(kPa)となる。(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=2.61(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=98.1(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から算出することができる。
続いて、水素流量の負荷が0.50(Nm/h)から0.37(Nm/h)へ変動が発生したとする。水素流量の負荷が0.37(Nm/h)に合わせて、電流値I=60.0(A)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=104.5(cm/s)となる。
圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力は40(kPa)を維持したままの場合におけるアノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.05(cm/s)となる。
不純物ガス成分についても各成分ごとに(数1)からアノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)を算出する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過係数λn(cm/(Pa・s))およびアノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差ΔPn(kPa)は変化しないと仮定すると、(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=2.61(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=97.5(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から算出することができる。
以上より、水素生成システム100が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、圧力計測器11の圧力を一定に保った状態で電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)を低減すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は低下し、目標値である98.1(%)を満足することができないことが分かる。
次に、水素流量の負荷が0.50(Nm/h)から0.37(Nm/h)へ変動が発生し、対応として、圧力計測器11の圧力を低下した場合について述べる。精製水素ガス中の水素純度EH(%)の目標値は同じく98.1(%)以上である。
水素流量の負荷が0.37(Nm/h)に合わせて、電流値I=60.0(A)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=104.5(cm/s)となる。
圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を15(kPa)に調整すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0=148.5(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0=57.9(kPa)となるので、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.31(cm/s)となる。
また、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差ΔPn(kPa)は、圧力計測器11の圧力を15(kPa)に設定した際、各ガス成分ごとに以下の値であると仮定する。
ΔP1=12.8(kPa)、ΔP2=0(kPa)、ΔP3=2.98(kPa)、ΔP4=5.78(kPa)、ΔP5=0.07(kPa)、ΔP6=8.2(kPa)。(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=1.96(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=98.1(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から算出することができる。
以上のように水素生成システム100が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、原料ガス供給器1の原料ガス圧力を調整し、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を低下させることで、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)を目標値である98.1(%)以上に維持することができる。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態の水素生成システム100は、電解質膜4cの一方の主面に配置されるアノード4aにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、電解質膜4cの他方の主面に配置されるカソード4bにおいて電解質膜4cを透過した水素イオンと電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイス4と、アノード4aに水素含有ガスを供給する改質器2と、制御部8と、を備え、制御部8が、カソード4bから排出される精製水素ガスの水素流量(流量計20によって計測した水素流量)に基づいて、(改質器2に原料ガスを供給する原料ガス供給器1の原料ガス圧力の調整によって水素含有ガス排出経路3の(圧力計測器11で計測する)水素含有ガスの圧力を調整することによって、流量計20からの水素流量の情報と水素濃度計21からの精製水素ガス排出経路7の精製水素ガスの水素濃度の情報から得られる精製水素ガスの水素純度が目標値以上になるように)アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧(圧力計測器11からの水素含有ガス排出経路3の水素含有ガスの圧力情報を基に制御部8が推定する水素含有ガス中の不純物ガス分圧)と、カソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧(圧力計測器10からの精製水素ガス排出経路7の精製水素ガスの圧力情報を基に制御部8が推定する精製水素ガス中の不純物ガス分圧)との差を調整する。
これにより、水素生成システム100は、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧とカソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整することで、電気化学デバイス4を介してアノード4aにおける水素含有ガスからカソード4bにおける精製水素ガスへ透過する不純物ガス流量を所定範囲内に収めることができる。そのため、精製水素ガスの水素純度を所定値以上に保つことができる。
本実施の形態のように、水素生成システム100は、アノードオフガス経路5の経路上に水素含有ガスの圧力を調整する圧力調整手段を備えるようにしてもよい。
これにより、アノードオフガス経路5の経路上の圧力調整手段よりも上流のアノード4aの圧力を調整することができる。そのため、水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を制御することができる。
また、本実施の形態において、水素生成システム100は、水素含有ガス排出経路3の経路上に水素含有ガスの圧力を調整する圧力調整手段を備えるようにしてもよい。
これにより、水素含有ガス排出経路3の経路上の圧力調整手段よりも下流のアノード4aの圧力を調整することができる。そのため、水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を制御することができる。
(実施の形態2)
以下、図3を用いて、実施の形態2を説明する。
[2−1.構成]
図3において、水素生成システム200は、原料ガス供給器1と、原料ガス供給経路1aと、改質器2と、水素含有ガス排出経路3と、電気化学デバイス4と、アノードオフガス経路5と、燃焼排ガス経路6と、精製水素ガス排出経路7と、制御部8と、第1圧力調整手段9と、圧力計測器10と、圧力計測器11と、流量計20と、水素濃度計21と、電源70と、を備える。
実施の形態1と同一構成には同一符号を付与し、その説明は省略する。
第1圧力調整手段9は、背圧弁であり、アノードオフガス経路5の経路上に設けられ、圧力計測器11の値に基づいて、アノード4aにおける水素含有ガスの圧力を調整する。
[2−2.動作]
以上のように構成された水素生成システム200について、以下その動作、作用を説明する。
まず、図3に基づいて、水素生成システム200における水素精製動作を説明する。原料ガス供給器1から供給される原料ガスは、改質器2に供給される。
原料ガス供給器1から改質器2に供給された原料ガスは、改質器2において、水が加熱されて変化した水蒸気と混合され、改質器2内部において改質反応が進行する。改質器2における改質反応は(化1)(化2)の反応式で示される。
そして、(化2)の反応において生成した一酸化炭素は、改質器2内の変成器において(化3)で示される変成反応によって二酸化炭素に変換される。
さらに、(化3)の変成反応でも反応しきれなかった一酸化炭素は、改質器2内の選択酸化反応器において(化4)で示される選択酸化反応によって二酸化炭素に変換される。
(化4)において、酸素を供給するために改質器2外部から空気が供給される。反応には寄与しないが、空気を改質器2内へ空気を供給するため、窒素、アルゴン、二酸化炭素も改質器2内に混入することとなる。(化1)から(化4)の反応が発生することによって、水素含有ガスが生成される。
水素含有ガス中には、生成物として、水素、二酸化炭素、一酸化炭素が含まれ、未反応原料として、メタン、水蒸気、窒素が含まれる。
水素生成システム200において目的とするガスは水素であるため、不純物ガスは、水素以外の二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素、アルゴン、水蒸気等のガスで構成され
ている。
水素含有ガスは水素含有ガス排出経路3を経て電気化学デバイス4のアノード4aに供給される。アノード4aとカソード4bには電源70から電流が供給され、アノード4aでは以下に示す(化5)の酸化反応が、カソード4bでは(化6)の還元反応が起こる。
(化5)(化6)の反応によって、水素含有ガスに含まれている水素が精製され、カソード4bの水素純度が所定の水素純度まで高められた精製水素ガスとなり、精製水素ガス排出経路7を経て水素生成システム200外へと排出される。
電気化学デバイス4のアノード4aにおいて、水素をカソード4bへ供給した後のガスであるアノードオフガスはアノードオフガス経路5を流通する。圧力計測器11の値に基づいて、アノードオフガス経路5に設けられた背圧弁である第1圧力調整手段9を調整することによって、アノード4aにおける水素含有ガスの圧力を制御することができる。
次に、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)について述べる。
水蒸気を除いた乾燥状態での水素濃度を導出するため、水蒸気以外の不純物ガスの濃度について検討する。nは不純物ガス成分を示しており、n=1は二酸化炭素、n=2は一酸化炭素、n=3はメタン、n=4は窒素、n=5はアルゴンを示す。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過係数をλn(cm/(Pa・s))、電解質膜4cの膜面積をA(cm)、電解質膜4cの膜厚をL(cm)とする。カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧をPcn(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧をPan(kPa)とする。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)は(数1)で表される。
n=0は水素とする。水素についても同様に考えると、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過係数をλ0(cm/(Pa・s))、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0(kPa)とすると、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)は(数2)で示される。
また、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SH(cm/s)について述べる。
電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値をI(A)、電気化学デバイス4のセル数をM(枚)、水素1モル当たりのモル体積を22.4(L/mоl)とする。ファラデー定数は96485(C/mоl)だから、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SH(cm/s)は(数3)で示される。
以上(数1)(数2)(数3)から、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は(数4)で示される。
(数1)から(数4)で示すように、カソード4bにおけるドライ条件(水蒸気を含まない)精製水素ガス中の水素純度EH(%)はアノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)とカソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧Pa0(kPa)とカソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧Pc0(kPa)との差、および電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)に応じて変化することが分かる。
カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)および、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧Pc0(kPa)はカソード4bにおける精製水素ガスの全圧を調整することで変化させることができるが、精製水素ガスの圧力は製品圧力となるため、水素生成システム200の運転中に可変させることは現実的ではない。
圧力計測器11の値に基づいて、第1圧力調整手段9を調整し、アノード4aにおける水素含有ガスの圧力を調整すれば、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)および、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧Pa0(kPa)を可変させることができる。
これによって、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)および、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)を制御することが可能となる。
水素生成システム200が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合における精製水素ガス中の水素純度EH(%)の変化を、詳細に説明する。
精製水素ガス中の水素純度EH(%)の目標値を98.1(%)以上であるとする。水素生成システム200が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)を低減する。
水素流量の負荷が変動する前の状況について、水素流量=0.50(Nm/h)、電流値I=80.5(A)、電気化学デバイス4のセル数をM=15(枚)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=140.2(cm/s)となる。
次に、第1圧力調整手段9を調整し、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を40(kPa)に設定したとする。アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過係数をλ0=7.5E−11(cm/(Pa・s))、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0=148.5(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0=75.5(kPa)、電解質膜4cの膜面積をA=232(cm)、電解質膜4cの膜厚をL=1.2E−3(cm)とする。
この時、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.06(cm/s)となる。アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)がマイナス値を取る時は、水素は電解質膜4cを介してカソード4bからアノード4aへ透過することを意味する。
一方で、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)がプラス値を取る時は、水素は電解質膜4cを介してアノード4aからカソード4bへ透過することを意味する。
不純物ガス成分についても各成分ごとに(数1)からアノード4aからカソード4bへ
電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)を算出する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する二酸化炭素の透過係数をλ1=6.95E−10(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する一酸化炭素の透過係数をλ2=2.50E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過するメタンの透過係数をλ3=2.52E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する窒素の透過係数をλ4=2.10E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過するアルゴンの透過係数をλ5=2.00E−12(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水蒸気の透過係数をλ6=1.20E−11(cm/(Pa・s))とする。
アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差をΔPn(kPa)とすると、圧力計測器11の圧力を40(kPa)に設定した際のΔPn(kPa)は各ガス成分ごとに以下の値であると仮定する。
ΔP1=9.62(kPa)、ΔP2=0(kPa)、ΔP3=3.88(kPa)、ΔP4=7.53(kPa)、ΔP5=0.09(kPa)、ΔP6=10.2(kPa)。(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=2.61(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=98.1(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から算出することができる。
続いて、水素流量の負荷が0.50(Nm/h)から0.37(Nm/h)へ変動が発生したとする。
水素流量の負荷が0.37(Nm/h)に合わせて、電流値I=60.0(A)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=104.5(cm/s)となる。
圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力は40(kPa)を維持したままの場合において、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.05(cm/s)となる。
不純物ガス成分についても各成分ごとに(数1)からアノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)を算出する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過係数λn(cm/(Pa・s))およびアノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差ΔPn(kPa)は変化しないと仮定すると、(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=2.61(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=97.5(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH
(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から算出することができる。
以上より、水素生成システム200が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、圧力計測器11の圧力を一定に保った状態で電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)を低減すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は低下し、目標値である98.1(%)を満足することができないことが分かる。
次に、水素流量の負荷が0.50(Nm/h)から0.37(Nm/h)へ変動が発生し、対応として、圧力計測器11の圧力を低下した場合について述べる。精製水素ガス中の水素純度EH(%)の目標値は同じく98.1(%)以上である。
水素流量の負荷が0.37(Nm/h)に合わせて、電流値I=60.0(A)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=104.5(cm/s)となる。
第1圧力調整手段9によって、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を15(kPa)に調整すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0=148.5(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0=57.9(kPa)となるので、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.31(cm/s)となる。
また、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)とカソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差ΔPn(kPa)は、圧力計測器11の圧力を15(kPa)に設定した際、各ガス成分ごとに以下の値であると仮定する。
ΔP1=12.8(kPa)、ΔP2=0(kPa)、ΔP3=2.98(kPa)、ΔP4=5.78(kPa)、ΔP5=0.07(kPa)、ΔP6=8.2(kPa)。(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=1.96(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=98.1(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から算出することができる。
以上のように水素生成システム200が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、第1圧力調整手段9を調整し、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を低下させることで、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)を目標値である98.1(%)以上に維持することができる。
[2−3.効果等]
以上のように、本実施の形態の水素生成システム200は、電解質膜4cの一方の主面に配置されるアノード4aにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、電解質膜4cの他方の主面に配置されるカソード4bにおいて電解質膜4cを透過した水素イオンと電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイス4と、アノード4aに水素含有ガスを供給する改質器2と、制御部8と、を備え、制御部8が、カソード4bから排出される精製水素ガスの水素流量(流量計20によって計測した水素流量)に基づいて、(アノードオフガス経路5に設けられた第1圧力調整手段9によって水素含有ガス排出経路3の(圧力計測器11で計測する)水素含有ガスの圧力を調整
することによって、流量計20からの水素流量の情報と水素濃度計21からの精製水素ガス排出経路7の精製水素ガスの水素濃度の情報から得られる精製水素ガスの水素純度が目標値以上になるように)アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧(圧力計測器11からの水素含有ガス排出経路3の水素含有ガスの圧力情報を基に制御部8が推定する水素含有ガス中の不純物ガス分圧)と、カソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧(圧力計測器10からの精製水素ガス排出経路7の精製水素ガスの圧力情報を基に制御部8が推定する精製水素ガス中の不純物ガス分圧)との差を調整する。
これにより、水素生成システム200は、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧とカソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整することで、電気化学デバイス4を介してアノード4aにおける水素含有ガスからカソード4bにおける精製水素ガスへ透過する不純物ガス流量を所定範囲内に収めることができる。そのため、精製水素ガスの水素純度を所定値以上に保つことができる。
本実施の形態のように、水素生成システム200は、水素含有ガス排出経路3の経路上に水素含有ガスの圧力を調整する圧力調整手段を備えるようにしてもよい。
これにより、水素含有ガス排出経路3の経路上の圧力調整手段よりも下流のアノード4aの圧力を調整することができる。そのため、水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を制御することができる。
(実施の形態3)
以下、図4を用いて、実施の形態3を説明する。
[3−1.構成]
図4において、水素生成システム300は、原料ガス供給器1と、原料ガス供給経路1aと、改質器2と、水素含有ガス排出経路3と、電気化学デバイス4と、アノードオフガス経路5と、燃焼排ガス経路6と、精製水素ガス排出経路7と、制御部8と、圧力計測器10と、圧力計測器11と、流量計20と、水素濃度計21と、第2圧力調整手段30と、電源70と、を備える。
実施の形態1と同一構成には同一符号を付与し、その説明は省略する。
第2圧力調整手段30は、昇圧ポンプであり、圧力計測器11の値に基づいて、アノード4aにおける水素含有ガスの圧力を調整する。
[3−2.動作]
以上のように構成された水素生成システム300について、以下その動作、作用を説明する。
まず、図4に基づいて、水素生成システム300における水素精製動作を説明する。原料ガス供給器1から供給される原料ガスは、改質器2に供給される。
原料ガス供給器1から改質器2に供給された原料ガスは、改質器2において、水が加熱されて変化した水蒸気と混合され、改質器2内部において改質反応が進行する。改質器2における改質反応は(化1)(化2)の反応式で示される。
そして、(化2)の反応において生成した一酸化炭素は、改質器2内の変成器において(化3)で示される変成反応によって二酸化炭素に変換される。
さらに、(化3)の変成反応でも反応しきれなかった一酸化炭素は、改質器2内の選択酸化反応器において(化4)で示される選択酸化反応によって二酸化炭素に変換される。
(化4)において、酸素を供給するために改質器2外部から空気が供給される。反応には寄与しないが、空気を改質器2内へ空気を供給するため、窒素、アルゴン、二酸化炭素も改質器2内に混入することとなる。(化1)から(化4)の反応が発生することによって、水素含有ガスが生成される。
水素含有ガス中には、生成物として、水素、二酸化炭素、一酸化炭素が含まれ、未反応原料として、メタン、水蒸気、窒素が含まれる。
水素生成システム300において目的とするガスは水素であるため、不純物ガスは、水素以外の二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素、アルゴン、水蒸気等のガスで構成されている。
水素含有ガスは、圧力計測器11に基づいて、水素含有ガス排出経路3上に設けられた昇圧ポンプである第2圧力調整手段30によって所定圧力まで加圧された後、電気化学デバイス4のアノード4aに供給される。
アノード4aとカソード4bには電源70から電流が供給され、アノード4aでは以下に示す(化5)の酸化反応が、カソード4bでは(化6)の還元反応が起こる。
(化5)(化6)の反応によって、水素含有ガスに含まれている水素が精製され、カソード4bの水素純度が所定の水素純度まで高められた精製水素ガスとなり、精製水素ガス排出経路7を経て水素生成システム300外へと排出される。
電気化学デバイス4のアノード4aにおいて、水素をカソード4bへ供給した後のガスであるアノードオフガスはアノードオフガス経路5を流通し、改質器2内の燃焼バーナ(図示せず)へ供給される。
次に、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)について述べる。
水蒸気を除いた乾燥状態での水素濃度を導出するため、水蒸気以外の不純物ガスの濃度について検討する。nは不純物ガス成分を示しており、n=1は二酸化炭素、n=2は一酸化炭素、n=3はメタン、n=4は窒素、n=5はアルゴンを示す。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過係数をλn(cm/(Pa・s))、電解質膜4cの膜面積をA(cm)、電解質膜4cの膜厚をL(cm)とする。
カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧をPcn(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧をPan(kPa)とする。アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)は(数1)で表される。
n=0は水素とする。水素についても同様に考えると、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過係数をλ0(cm/(Pa・s))、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0(kPa)とすると、アノード4aからカソード4b
へ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)は(数2)で示される。
また、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SH(cm/s)について述べる。電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値をI(A)、電気化学デバイス4のセル数をM(枚)、水素1モル当たりのモル体積を22.4(L/mоl)とする。ファラデー定数は96485(C/mоl)だから、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SH(cm/s)は(数3)で示される。
以上(数1)(数2)(数3)から、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は(数4)で示される。
(数1)から(数4)で示すように、カソード4bにおけるドライ条件(水蒸気を含まない)精製水素ガス中の水素純度EH(%)はアノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)とカソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧Pa0(kPa)とカソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧Pc0(kPa)との差、および電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)に応じて変化することが分かる。
カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)および、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧Pc0(kPa)はカソード4bにおける精製水素ガスの全圧を調整することで変化させることができるが、精製水素ガスの圧力は製品圧力となるため、水素生成システム300の運転中に可変させることは現実的ではない。
圧力計測器11の値に基づいて、第2圧力調整手段30を調整し、アノード4aにおける水素含有ガスの圧力を調整すれば、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)および、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧Pa0(kPa)を可変させることができる。
これによって、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)および、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)を制御することが可能となる。
水素生成システム300が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合における精製水素ガス中の水素純度EH(%)の変化を、詳細に説明する。精製水素ガス中の水素純度EH(%)の目標値を98.1(%)以上であるとする。水素生成システム300が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)を低減する。
水素流量の負荷が変動する前の状況について、水素流量=0.50(Nm/h)、電流値I=80.5(A)、電気化学デバイス4のセル数をM=15(枚)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=140.2(cm/s)となる。
次に、第2圧力調整手段30を調整し、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を40(kPa)に設定したとする。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過係数をλ0=7.5E−11(cm/(Pa・s))、カソード4bにおける精製水素ガス中の水
素分圧をPc0=148.5(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0=75.5(kPa)、電解質膜4cの膜面積をA=232(cm)、電解質膜4cの膜厚をL=1.2E−3(cm)とする。
この時、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.06(cm/s)となる。アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)がマイナス値を取る時は、水素は電解質膜4cを介してカソード4bからアノード4aへ透過することを意味する。
一方で、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0(cm/s)がプラス値を取る時は、水素は電解質膜4cを介してアノード4aからカソード4bへ透過することを意味する。
不純物ガス成分についても各成分ごとに(数1)からアノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)を算出する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する二酸化炭素の透過係数をλ1=6.95E−10(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する一酸化炭素の透過係数をλ2=2.50E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過するメタンの透過係数をλ3=2.52E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する窒素の透過係数をλ4=2.10E−11(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過するアルゴンの透過係数をλ5=2.00E−12(cm/(Pa・s))、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水蒸気の透過係数をλ6=1.20E−11(cm/(Pa・s))とする。
アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差をΔPn(kPa)とすると、圧力計測器11の圧力を40(kPa)に設定した際のΔPn(kPa)は各ガス成分ごとに以下の値であるとする。
ΔP1=9.62(kPa)、ΔP2=0(kPa)、ΔP3=3.88(kPa)、ΔP4=7.53(kPa)、ΔP5=0.09(kPa)、ΔP6=10.2(kPa)。
(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=2.61(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=98.1(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から計測することができる。
続いて、水素流量の負荷が0.50(Nm/h)から0.37(Nm/h)へ変動が発生したとする。
水素流量の負荷が0.37(Nm/h)に合わせて、電流値I=60.0(A)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=104.5(cm/s)となる。
圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力は40(kPa)を維持したままの場合において、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.05(cm/s)となる。
不純物ガス成分についても各成分ごとに(数1)からアノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn(cm/s)を算出する。
アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過係数λn(cm/(Pa・s))およびアノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)と、カソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差ΔPn(kPa)は変化しないと仮定すると、(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=2.61(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH=97.5(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から計測することができる。
以上より、水素生成システム300が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、圧力計測器11の圧力を一定に保った状態で電気化学デバイス4へ電源70から印加する電流値I(A)を低減すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は低下し、目標値である98.1(%)を満足することができないことが分かる。
次に、水素流量の負荷が0.50(Nm/h)から0.37(Nm/h)へ変動が発生し、対応として、圧力計測器11の圧力を低下した場合について述べる。
精製水素ガス中の水素純度EH(%)の目標値は同じく98.1(%)以上である。
水素流量の負荷が0.37(Nm/h)に合わせて、電流値I=60.0(A)とすると、アノード4aに供給された水素含有ガスからカソード4bへ電気化学的に移動する水素流量SHは(数3)からSH=104.5(cm/s)となる。
第2圧力調整手段30によって、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を15(kPa)に調整すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素分圧をPc0=148.5(kPa)、アノード4aにおける水素含有ガス中の水素分圧をPa0=57.9(kPa)となるので、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する水素の透過量S0=−1.31(cm/s)となる。
また、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pan(kPa)とカソード4bにおける水素含有ガス中の不純物分圧Pcn(kPa)との差ΔPn(kPa)は、圧力計測器11の圧力を15(kPa)に設定した際、各ガス成分ごとに以下の値であると仮定する。
ΔP1=12.8(kPa)、ΔP2=0(kPa)、ΔP3=2.98(kPa)、ΔP4=5.78(kPa)、ΔP5=0.07(kPa)、ΔP6=8.2(kPa)。(数1)から、アノード4aからカソード4bへ電解質膜4cを介して透過する不純物ガスの透過量Sn=1.96(cm/s)となる。
以上の値を(数4)に代入すると、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度E
H=98.1(%)となる。実際のカソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)は流量計20の情報と水素濃度計21の情報から計測することができる。
以上のように水素生成システム300が精製する水素流量の負荷が変動し、水素流量が低減した場合、第2圧力調整手段30を調整し、圧力計測器11で計測する水素含有ガスの圧力を低下させることで、カソード4bにおける精製水素ガス中の水素純度EH(%)を目標値である98.1(%)以上に維持することができる。
[3−3.効果等]
以上のように、本実施の形態の水素生成システム300は、電解質膜4cの一方の主面に配置されるアノード4aにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、電解質膜4cの他方の主面に配置されるカソード4bにおいて電解質膜4cを透過した水素イオンと電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイス4と、アノード4aに水素含有ガスを供給する改質器2と、制御部8と、を備え、制御部8が、カソード4bから排出される精製水素ガスの水素流量(流量計20によって計測した水素流量)に基づいて、(水素含有ガス排出経路3に設けられた第2圧力調整手段30によって水素含有ガス排出経路3の(圧力計測器11で計測する)水素含有ガスの圧力を調整することによって、流量計20からの水素流量の情報と水素濃度計21からの精製水素ガス排出経路7の精製水素ガスの水素濃度の情報から得られる精製水素ガスの水素純度が目標値以上になるように)アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧(圧力計測器11からの水素含有ガス排出経路3の水素含有ガスの圧力情報を基に制御部8が推定する水素含有ガス中の不純物ガス分圧)と、カソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧(圧力計測器10からの精製水素ガス排出経路7の精製水素ガスの圧力情報を基に制御部8が推定する精製水素ガス中の不純物ガス分圧)との差を調整する。
これにより、水素生成システム300は、アノード4aにおける水素含有ガス中の不純物ガス分圧とカソード4bにおける精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整することで、電気化学デバイス4を介してアノード4aにおける水素含有ガスからカソード4bにおける精製水素ガスへ透過する不純物ガス流量を所定範囲内に収めることができる。そのため、精製水素ガスの水素純度を所定値以上に保つことができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および実施の形態2および実施の形態3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2および3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1および実施の形態2および実施の形態3では、精製水素ガス中の水素流量計測手法の一例として、流量計20と水素濃度計21を用いた水素生成システムを説明した。水素流量は精製ガス流量を測定して推定できればよい。
したがって、水素流量計測手法は水素濃度計21に限定されない。ただし、水素濃度計として、熱伝導式の水素濃度計21を用いれば、リアルタイムで簡易に精製水素ガス中の水素濃度を測定することができるので、水素生成システムの応答性を速くすることができる。
本開示は、負荷変動が生じても精製水素ガス中の水素純度を所定値以上に保つ必要がある水素生成システムに適用可能である。具体的には、オンサイト型水素ステーションなどに本開示は適用可能である。
1 原料ガス供給器
1a 原料ガス供給経路
2 改質器
3 水素含有ガス排出経路
4 電気化学デバイス
4a アノード
4b カソード
4c 電解質膜
5 アノードオフガス経路
6 燃焼排ガス経路
7 精製水素ガス排出経路
8 制御部
9 第1圧力調整手段
10 圧力計測器
11 圧力計測器
20 流量計
21 水素濃度計
30 第2圧力調整手段
70 電源
100 水素生成システム
200 水素生成システム
300 水素生成システム

Claims (4)

  1. 電解質膜の一方の主面に配置されるアノードにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、前記電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにおいて前記電解質膜を透過した前記水素イオンと前記電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイスと、前記アノードに前記水素含有ガスを供給する改質器と、を備えた水素生成システムであって、
    前記カソードから排出される前記精製水素ガスの水素流量に基づいて、前記アノードにおける前記水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、前記カソードにおける前記精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整するように構成された、水素生成システム。
  2. 前記アノードから前記カソードに透過せずに前記アノードから排出される未使用の水素含有ガスが流れるアノードオフガス経路上に、第1圧力調整手段を備え、
    前記精製水素ガスの水素流量に基づいて、前記第1圧力調整手段によって、前記アノードにおける前記水素含有ガスの圧力を調整するように構成された、請求項1記載の水素生成システム。
  3. 前記改質器から前記アノードに前記水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給経路に、前記水素含有ガスの圧力を調整する第2圧力調整手段を備え、
    前記精製水素ガスの水素流量に基づいて、前記第2圧力調整手段によって、前記アノードにおける前記水素含有ガスの圧力を調整するように構成された、請求項1または請求項2記載の水素生成システム。
  4. 電解質膜の一方の主面に配置されるアノードにおいて水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、前記電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにおいて前記電解質膜を透過した前記水素イオンと前記電子とを結合させて精製水素ガスを発生させる電気化学デバイスと、前記アノードに前記水素含有ガスを供給する改質器と、を備えた水素生成システムの運転方法であって、
    前記カソードから排出される前記精製水素ガスの水素流量に基づいて、前記アノードにおける前記水素含有ガス中の不純物ガス分圧と、前記カソードにおける前記精製水素ガス中の不純物ガス分圧との差を調整する工程を有する、水素生成システムの運転方法。
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