JP2021121729A - スクロール型流体機械 - Google Patents

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渓太 齋藤
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重樹 岩波
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晴永 中山
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Abstract

【課題】寸法精度の向上が図れるスクロール型流体機械を提供する。【解決手段】流体機械1は、渦巻き状の固定側歯部331を有する固定スクロール33と、固定スクロール33に対して公転運動する旋回スクロール20とを備える。旋回スクロール20は、基盤部21と、基盤部21と一体に結合されているラップ形成部22とを備える。ラップ形成部22は、固定側歯部331との間に空気を吸入、圧縮および吐出する圧縮室38を形成する旋回側歯部222を備える。旋回側歯部222は、多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている。この構成により、高い寸法精度を有する旋回側歯部222を成形できる。【選択図】図1

Description

この明細書における開示は、スクロール型流体機械に関する。
特許文献1には、固定スクロールラップと公転スクロールラップを噛み合わせ、固定スクロール部材に対して公転スクロール部材を公転運動させる圧縮機が開示されている。
特開2004−3410号公報
スクロール型流体機械では、要求される性能を発揮するために、スクロール部材の寸法精度が求められる。
この明細書における開示の目的は、寸法精度の向上が図れるスクロール型流体機械を提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
開示されたスクロール型流体機械の一つは、作動流体である空気が、閉回路を循環することなく開放された外部へ供給され、かつスクロール型流体機械の内部流路に対する外部からの給油が無い条件下において使用され、
渦巻き状の固定側ラップ(331;1331,1331a)を有する固定スクロール(33;133)と、
固定スクロールに対して公転運動する旋回スクロール(20;122)と、
を備え、
旋回スクロールは、固定側ラップとの間に空気を吸入、圧縮および吐出する流体室(38)を形成しかつ多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている旋回側ラップ(22,222)を有する。
スクロール型流体機械では、接触しない範囲で固定側ラップと旋回側ラップの隙間を可能な限り小さくすることが圧縮性能上好ましい。この流体機械によれば、旋回側ラップが多孔質の樹脂によって形成されるため、高い寸法精度を有する旋回側ラップを成形することができる。このため、固定側ラップと旋回側ラップとの距離に関して高い寸法精度を提供できるので、ラップ同士の接触を抑制でき所望の圧縮性能を実現可能である。以上より、この開示は、寸法精度の向上が図れるスクロール型流体機械を提供できる。
開示されたスクロール型流体機械の一つは、作動流体である空気が、閉回路を循環することなく開放された外部へ供給され、かつスクロール型流体機械の内部流路に対する外部からの給油が無い条件下において使用され、
渦巻き状の固定側ラップ(1331,1331a)を有する固定スクロール(133)と、
固定側ラップとの間に空気を吸入、圧縮および吐出する流体室(38)を形成する旋回側ラップ(22,222)を有し、固定スクロールに対して公転運動する旋回スクロール(20)と、
を備え、
固定側ラップは、多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されており、旋回側ラップは、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている。
この流体機械によっても、固定側ラップが多孔質の樹脂によって形成されるため、高い寸法精度を有する固定側ラップを成形することができる。このため、固定側ラップと旋回側ラップとの距離に関して高い寸法精度を提供できる。さらに、旋回側ラップが非発泡樹脂によって形成されている構成に伴う旋回スクロールの軽量化と高い寸法精度とにより、公転時の遠心力抑制と圧縮性能確保とを実現可能である。この開示によっても、寸法精度の向上が図れるスクロール型流体機械を提供できる。
第1実施形態の流体機械を示す縦断面図である。 図1のII−II断面位置における流体機械の横断面図である。 第2実施形態の流体機械を示す部分縦断面図である。 第3実施形態の流体機械を示す部分縦断面図である。 回転抑止機構に係る第1の例を示す図である。 回転抑止機構に係る第2の例を示す図である。 回転抑止機構に係る第3の例を示す図である。 回転抑止機構に係る第4の例を示す図である。 回転抑止機構に係る第5の例を示す図である。 図9のX−X切断面を示す部分断面図である。 第4実施形態の流体機械を示す縦断面図である。 第5実施形態の流体機械を示す縦断面図である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
<第1実施形態>
スクロール型流体機械の一例を開示する第1実施形態について図1〜図2を参照しながら説明する。スクロール型流体機械は、流体を圧縮する機械または流体を膨張する装置を含んでいる。第1実施形態で開示する流体機械1は、作動流体として採用される気体を圧縮または膨張して外部へ流出させることができる。作動流体は、空気である。例えば、流体機械1は、閉じられたループ回路に適用される装置ではなく、流体機械1から流出する流体は開放された外部へ供給される。
流体機械1は、固定スクロール33と旋回スクロール20とを備えるスクロール型流体機械である。流体機械1は、外部からオイルを供給しないで正常に機能を発揮できるオイルレス方式の装置である。流体機械1は、オイルセパレータなどの付属装置が不要にできる。流体機械1は、例えば医療用エアや工場用エアなど、クリーンな空気を供給する空気圧源として適用することができる。以下には、流体機械1が作動流体とする例について説明する。
図1を参照して流体機械1の構成について説明する。図1に示すように、流体機械1は、ハウジング30、固定スクロール33、旋回スクロール20およびモータ部40等を備えている。ハウジング30は、第1ハウジング31と第2ハウジング32を含んで構成されている。第1ハウジング31と第2ハウジング32は、流体機械1において、可動する旋回スクロール20に対して、静止している固定側部材である。第1ハウジング31と第2ハウジング32はいずれも、例えばアルミニウム、その合金など、熱伝導性の高い金属により形成されている。第1ハウジング31と第2ハウジング32は、ボルト締めまたは溶接等により固定されている。
第1ハウジング31と第2ハウジング32はそれぞれの外壁が大気に露出するように設置されている。第1ハウジング31、第2ハウジング32は、旋回スクロール20よりも熱伝導率が高い材質によって形成されている。第1ハウジング31と第2ハウジング32は、少なくとも一部が金属により形成されている構成でもよい。第1ハウジング31と第2ハウジング32は、少なくとも一部が大気に露出するように構成されていればよい。この構成によれば、旋回スクロール20との摺動面において発生する熱は、ハウジングを通じて拡散し、流体機械1の外部に放出されやすい。
流体機械1は、ハウジング30に一体に固定されているカバー7を備える。カバー7と第1ハウジング31は、ボルト締めまたは溶接等により固定されている。カバー7と第1ハウジング31は、流体機械1またはシャフト44の軸方向に積層するように設置されている。カバー7は、第1ハウジング31よりも、旋回スクロール20とは反対側に位置している。カバー7は、例えば旋回スクロール20よりも熱伝導率が高い材質によって形成されている。カバー7は、外壁が大気に露出するように設置されている。旋回スクロール20に対して摺動する摺動面に発生する熱は、ハウジング30を通じて拡散して外部に放出されまたはハウジング30らカバー7を介して外部に放出される。
カバー7は、カバー基盤部71と、カバー基盤部71の周縁部からカバー基盤部71を取り囲むように流体機械1の軸方向に突出する筒状壁73とを備える。カバー基盤部71には、軸方向に貫通する下流側吐出口72が設けられている。下流側吐出口72は、流体機械1の外部へ流体を吐出する下流側吐出通路に相当する。筒状壁73は、第1ハウジング31と固定スクロール33に結合されている。筒状壁73における固定スクロール33側の端面は、第1ハウジング31と固定側基盤部330とに接触している。筒状壁73と固定側基盤部330との接触部分は、Oリングなどのパッキン材によって流体が外部に洩れないように封止されている。
固定側基盤部330には、軸方向に貫通する上流側吐出口35が設けられている。上流側吐出口35と下流側吐出口72との間には、作動流体を通過させて異物等を捕集可能なフィルタ部材62が設置されている。上流側吐出口35は、圧縮室38から吐出される流体が流下する上流側吐出通路に相当する。
ハウジング30の内側には、固定スクロール33と旋回スクロール20が収容されている。また、固定スクロール33は、第1ハウジング31の一部として構成されている形態でもよい。つまり、固定スクロール33と第1ハウジング31は一つの部材をなす構成でもよい。以下、固定スクロール33と旋回スクロール20とを合わせて、両スクロール部材ということがある。両スクロール部材は、作動流体の一例である空気を吸入し圧縮し、吐き出すための圧縮機構部を構成している。
固定スクロール33の材質には、金属、樹脂などを用いることができる。固定スクロール33は、全体が樹脂材料によって形成されている構成でもよい。固定スクロール33は、円盤状の固定側基盤部330と、固定側基盤部330から突出するように設けられている固定側歯部331とを備える。固定側歯部331は、固定スクロール33に設けられた固定側ラップであり、固定スクロール33を軸方向に視て渦巻状に形成されている。固定側基盤部330の外周縁から延びる外周壁部332は、第1ハウジング31の内壁に対し、圧入などによって固定されている。外周壁部332は、固定側歯部331の径外側を囲むように設けられている。
固定側基盤部330には、圧縮室38から空気を吐き出す上流側吐出口35が設けられている。上流側吐出口35は、フィルタ部材62を介して下流側吐出口72に連通している。フィルタ部材62は、自転防止孔51よりも下流側の流路に設置されている下流側フィルタ部の一例である。
旋回スクロール20の材質には、金属、樹脂などを用いることができる。旋回スクロール20は、円盤状の基盤部21と、基盤部21と一体に結合されているラップ形成部22とを備えている。ラップ形成部22は、ラップ側基盤部221と、ラップ側基盤部221から突出するように設けられた旋回側歯部222とを備える。基盤部21は、公転運動する円盤状部材である。ラップ側基盤部221は、基盤部21と一体となって公転運動するラップ形成部22における円盤状の部分である。旋回側歯部222は、公転運動時に固定側歯部331とともに、作動流体を圧縮する圧縮室38を形成する部分である。
基盤部21とラップ形成部22とは、異なる材質によって形成されている。基盤部21は、ラップ形成部22よりも高強度の材質、高強度の樹脂によって形成されている。少なくともラップ形成部22は、内部に多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている。また、ラップ形成部22のうち少なくとも旋回側歯部222は、内部に多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている。この多孔質の樹脂には、発泡成形させて多数の気泡が分散した樹脂が含まれる。発泡成形させた樹脂は、発泡樹脂と呼ぶことができる。
発泡成形は、成形プロセスにおいて発泡性を有する溶融樹脂を金型内に充填することによって、多数の細孔構造をもった多孔質の成形体を製造することである。細孔構造は、気泡構造と呼ぶこともできる。
多孔質の樹脂、発泡樹脂は、以下のような成形方法によって形成することができる。第1の成形方法は、樹脂と化学発泡剤やマイクロカプセルなどの発泡剤をドライブレンド状態で成形機内に投入し、樹脂と発泡剤を混合して気泡を形成する方法である。第2の成形方法は、加熱溶融した樹脂に対して窒素や二酸化炭素のような安定なガスを発泡剤として成形機内に投入して発泡成形を行う方法である。第3の成形方法は、超臨界状態の窒素や二酸化炭素を溶融樹脂に添加して成形する方法である。樹脂成形品には、成形品として反りが小さい低反りグレードである樹脂を用いることが好ましい。低反りグレードの樹脂は、例えば、アスペクト比が小さい球状、板状、粒子状である炭酸カルシウム、タルク、ガラスなどの無機物を含有する樹脂や、非結晶性の樹脂が充填されたものである。また、樹脂には、耐熱性や強度性能の観点から、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマーを用いることができる。
基盤部21は、金属によってまたは多孔質状でない非発泡樹脂などによって形成されている。この場合には、基盤部21とラップ形成部22は金型内において一体に成形されて、一つの部品である旋回スクロールを構成する。非発泡樹脂は、発泡成形させないで成形された樹脂である。
また、基盤部21とラップ形成部22とが別部品である場合には、これらの部品は一体に形成された状態で旋回スクロール20として流体機械1に設置されている。この場合、基盤部21とラップ形成部22とは接着等の結合手段、係合手段により一体に形成することができる。
また、旋回スクロール20は、樹脂材料によって形成されている構成でもよい。この場合、基盤部21とラップ形成部22のそれぞれは、細孔を形成する多孔質の樹脂などによって形成されている。あるいは、この場合、ラップ形成部22は細孔を形成する多孔質の樹脂などによって形成されており、基盤部21は多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている構成でもよい。
旋回スクロール20が樹脂材料によって形成されている場合、熱伝導率が低いため、旋回スクロール20からの放熱が期待できない。このため、相手側の摺動面における放熱を効果的に行うことが摺動部の温度上昇を抑制し、信頼性の確保のために重要となる。樹脂製の旋回スクロール20である場合、旋回スクロール20の遠心力による振動を低減でき、振動面および騒音面で有利になる。
旋回側歯部222は、旋回スクロール20に設けられた旋回側ラップである。旋回側歯部222は、旋回スクロール20を軸方向に視て渦巻状に形成されている。圧縮室38は、固定側ラップと旋回側ラップとの間に流体を吸入、圧縮および吐出する流体室である。圧縮室38は、軸方向に視て三日月状に形成されている。ラップ形成部22は、旋回側歯部222を含むため、旋回スクロール20に設けられた旋回側ラップである。
固定側歯部331は、旋回側歯部222における径方向外側部位よりもさらに径外側に位置する渦巻き状部を有している。基盤部21のうち圧縮室38とは反対側には、円筒状のボス部24が設けられている。
流体機械1は、旋回スクロール20の自転を防止するための自転防止機構50を備えている。自転防止機構50は、凹部によって形成された自転防止孔51と、自転防止孔51の内周壁に規制されつつ自転防止孔51の内側において旋回する棒状部52とを備える。自転防止機構50は、棒状部52と自転防止孔51の間に介在するリング状の介装部材53を含んでもよい。流体機械1は、複数の自転防止機構50を備えている。複数の自転防止機構50は、旋回スクロール20の中心軸の周りに略等間隔に設けられている。略等間隔とは、等間隔である構成と、所定の寸法公差の範囲で等間隔に対してずれている構成とを含む意味である。例えば、所定の寸法公差は±5度程度である。
自転防止孔51は、円形状の内周壁によって形成された穴部、または底面を有する凹部である。自転防止孔51は、例えば旋回スクロール20において、固定スクロール33とは反対側に設けられた所定の深さをもつ凹部である。自転防止孔51は、円形の開口端を形成する内周壁と内周壁の固定スクロール33側を閉じている底面とを有した構成である。この内周壁は、基盤部21によって形成されている。この底面は、ラップ側基盤部221によって形成されている。
棒状部52は、第2ハウジング32に固定された被固定部520と、自転防止孔51の底面に向けて突出する先端側部分としての摺動部521とを有している。棒状部52は鉄または鉄を含む合金によって形成されている。棒状部52はピン部とも呼ばれる。被固定部520は、第2ハウジング32に形成された円柱状凹部320に圧入された状態で固定されている。棒状部52は、摺動部521の先端および介装部材53の先端と自転防止孔51の底面とが離間した状態で第2ハウジング32に固定されている。
棒状部52には、自転防止孔51に対して摺動する先端側部分に介装部材53が装着されている。介装部材53は、棒状部52の先端側部分に回転可能に設置されている。この実施形態の自転防止機構50は、棒状部52に対して回転可能である介装部材53を含んでいる。摺動部521は、介装部材53を介して自転防止孔51の内周壁に対して規制されながら摺動する。自転防止機構50において摺動部521と介装部材53は、自転防止孔51の内周壁に対して規制されながら摺動する摺動構造を構成する。
介装部材53は、表面硬さが基盤部21よりも硬い素材によって形成されている構成でもよい。介装部材53は、例えば金属によって形成されている。介装部材53は、旋回スクロール20の公転に伴い、自転防止孔51の内周壁に規制されつつ自転防止孔51の内側を棒状部52に対して回転しながら旋回する。このような介装部材53によれば、自転防止孔51と介装部材53との摺動速度を低減することができる。さらに摺動部521の摩耗を抑制し、また摺動部分において焼き付き状態に至りにくい流体機械1を提供できる。
例えば、介装部材53の材質は、表面硬さが棒状部52の表面硬さよりも低い材質である。介装部材53は、棒状部52よりも摩耗しやすい材質によって形成されている。さらに棒状部52の表面粗さは介装部材53の内周部の表面粗さよりも小さい。この構成により、旋回スクロール20の旋回運動において棒状部52の外周部と介装部材53の内周部との摺動に伴い、棒状部52よりも介装部材53の方が摩耗するようになる。
介装部材53は、銅または錫を含む金属によって形成されていることが好ましい。銅または錫を含む金属は、固体潤滑作用を有する金属であるため、流体機械1において摺動部分の摩擦抵抗を低減する機能を発揮する。また、介装部材53は、鉄を含む金属によって形成されている構成でもよい。この構成によれば、無給油の流体機械1において摺動部分の摩擦抵抗を低減する顕著な効果を奏する。
例えば、介装部材53は、多孔質体によって形成されかつ含油されている構成でもよい。この構成によれば、自己保持された油の潤滑効果により磨耗を低減できる。介装部材53を形成する多孔質体は、例えば、焼結金属、プラスチック焼結多孔質体である。焼結金属は、金属粉を溶融点前後の温度によって焼き固めた物質であり、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属粉を用いることができる。プラスチック焼結多孔質体は、精製したプラスチック粉末を焼結、成形して製造することができる。介装部材53は、固体潤滑剤を含んでいることが好ましい。この場合も、潤滑効果により、摺動部分の摩擦抵抗を低減する顕著な効果を奏する。固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、黒鉛、有機モリブデン化合物、フッ素化合物等を用いることができる。
また、介装部材53は、銅または錫を含む金属によって形成され、かつ固体潤滑剤を含んでいる構成でもよい。
介装部材53の軸方向の一方端部と自転防止孔51の底面とは、離間した位置関係にある。介装部材53の一方端部は、圧縮室38側または固定スクロール33側に位置し軸方向に対して直交する端面である。摺動部521および介装部材53は、旋回スクロール20が公転する際に、自転防止孔51の内周壁を沿うように滑りながら円形状を描いて変位する。棒状部52は、両端に位置する、被固定部520と介装部材53および摺動部521とにおいて、固定側部材である第2ハウジング32と可動側部材である旋回スクロール20とによって支持されている。棒状部52は、摺動プレート部材136を貫通して設けられている。棒状部52は、他方端部において固体側部材に固定され、先端である一方端部において自転防止孔51に摺動しながら支持されている。
流体機械1が流体を膨張する膨張機である場合は、流体室が固定スクロール33の中心部から外端部へ向かって移動する構成を有する。この場合、外部側吸入口34が吐出口として機能し、下流側吐出口72を吸入口として機能させることができる。これにより、流体室の容積が増大していくように変化し、中心部側から流体室に取込まれた流体が膨張するようになる。
第2ハウジング32には、第1ハウジング31とは反対側においてモータ部40が一体に設けられている。モータ部40は、モータケース41の内側に、ヨーク45、ステータ42、ロータ43およびシャフト44等を有している。ステータ42は、ロータ43の外周を覆っている。ヨーク45は、ステータ42の外周を覆っている。モータ部40として、ブラシ付モータまたはブラシレスモータなど、種々のモータを採用することが可能である。シャフト44は、モータケース41またはヨーク45の内側に設けられた軸受部441と軸受部442とにより回転可能に設けられている。
シャフト44は、モータ部40が与える駆動力によって回転駆動される。シャフト44の端部は、第2ハウジング32の内側に挿入されている。シャフト44の端部には、偏心部46が固定されている。偏心部46の中心軸は、シャフト44の回転軸に対して径方向にずらした位置に設置されている。偏心部46は、旋回スクロール20のラップ形成部22に設けられたボス部24の内側に軸受部47を介して回転可能に設けられている。偏心部46は、旋回スクロール20の中心軸部である。シャフト44は、偏心部46を介して旋回スクロール20を旋回させる駆動軸である。
シャフト44の端部、偏心部46の少なくとも一部は、流体が流通する中心軸部収容室82に収容されている。中心軸部収容室82は、第2ハウジング32の内部において、外周壁部321と旋回スクロール20とによって囲まれた流体通路である。中心軸部収容室82は、旋回スクロール20よりもモータ部40側に設けられた流体通路である。中心軸部収容室82は、作動流体が圧縮室38に向けて流下する流下流路の一部である。
モータ部40に通電すると、シャフト44が回転軸周りに自転する。その際、モータ部40が出力するトルクは、偏心部46を介して旋回スクロール20のボス部24に伝達される。旋回スクロール20は、自転防止機構50によって自転を規制されつつ、シャフト44の回転軸の周りを公転する。公転半径は、偏心部46の中心軸とシャフト44の回転軸の距離と同等である。このとき、旋回スクロール20や自転防止機構50には、遠心力が作用する。
旋回スクロール20が公転すると、両スクロール部材の間に形成される圧縮室38は、径方向外側から径方向内側に向かって旋回しながら移動する。圧縮室側吸入通路12側に位置する圧縮室38は、シャフト44の回転角度が0度から360度に変化する間に、シャフト44の回転軸または上流側吐出口35に近づきながら、その容積が次第に縮小するように変化する。これにより、圧縮室側吸入通路12を通じて圧縮室38に供給された空気は圧縮され、この空気は下流側吐出口72から流体機械1の外部に吐き出される。
ハウジング30が金属により形成され、両スクロール部材が樹脂により形成されている場合には、ハウジングの熱膨張率より、両スクロール部材の熱膨張率は大きい。そこで、流体機械1は、温度が上昇したときに、両スクロール部材が互いに接触しないように構成されている。
固定側歯部331の先端と基盤部21との間には、所定の隙間が設けられている。旋回側歯部222の先端と固定側基盤部330との間には、所定の隙間が設けられている。固定側歯部331の先端と旋回側歯部222の先端には、それぞれチップシールが設けられている。このチップシールによって、前述の各隙間を通じて圧縮室38の空気がスラスト方向に漏れることを防いでいる。
両スクロール部材は、旋回スクロール20が公転する際、固定側歯部331の側面と旋回側歯部222の側面とが最も近づく箇所に所定の隙間が常に形成されるように構成されている。これにより、固定側歯部331の側面と旋回側歯部222の側面との摩耗や溶融凝着を抑制できる。
流体機械1は、旋回スクロール20とスラスト軸受部を構成する部位に、自己潤滑性を有するフッ素または二硫化モリブデンを含有するコーティング部を有する。フッ素を含有するコーティング部には、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのコーティングが含まれる。このようなコーティング部は薄膜であるので、旋回スクロール20からハウジング30への伝熱を阻害しにくい効果を奏する。このようなコーティング部によれば、ハウジング側摺動面136aの摩擦係数を低くすることが可能である。このため、旋回側摺動面23とハウジング側摺動面136aとがより高荷重の下で摺動する場合でも摺動部の温度上昇を抑制することができる。旋回スクロール20とスラスト軸受部を構成する部位は、フッ素、ポリテトラフルオロエチレンなどを含有する材料を含んでいる構成でもよい。旋回スクロール20とスラスト軸受部を構成する部位には、ハウジングの一部やハウジング側摺動面136aが含まれる。
前述のコーティング部は、チップシールに対して摺動する面に設けられている構成でもよい。この構成によれば、チップシールの異常な摩耗や焼き付きを抑制することに寄与する。
流体機械1は、ハウジング側摺動面136aを有する摺動プレート部材136を備える。摺動プレート部材136は、内周縁部と外周縁部とを有する環状の平板である。ハウジング側摺動面136aは、摺動プレート部材136において、旋回スクロール20に接触する面である。摺動プレート部材136の摺動面には前述のコーティング部が設けられている。摺動プレート部材136は、ハウジング側摺動面136aとは反対側の面において、第2ハウジング32の外周壁部321の端面に接触している。摺動プレート部材136は、摺動プレート部材136と外周壁部321の間に介在するクリアランス調整用の金属製シムを介して接触する構成でもよい。
流体機械1の内部に吸入された作動流体は、中心軸部収容室82から連絡通路11を介して基盤部収容室83に流下し圧縮室側吸入通路12から圧縮室導入部84に流入する。作動流体は、圧縮室導入部84から圧縮室38にかけて圧縮されて上流側吐出口35に吐出され、下流側吐出口72より外部に流出する。この流下流路によれば、摺動部分を含む、摺動プレート部材136および旋回スクロール20を作動流体によって冷却するため、流体機械1の冷却効率を高めることができる。この流下流路は、特に、振動に有利な樹脂製部品を含む旋回スクロールを備え、かつ無給油下で使用される流体機械1において摺動部を冷却する上で有用である。
流体機械1の内部において、外部側吸入口34から圧縮室側吸入通路12に至るまでの作動流体の流下通路について、図1を参照しながら説明する。モータケース41はモータ部40の外郭を構成する。モータケース41には、シャフト44の端部と軸受部441とを覆う部位に単数または複数の外部側吸入口34が設けられている。外部側吸入口34は、モータケース41を軸方向に貫通する通路であり、流体機械1の内部に作動流体を取り入れる入口部である。
モータケース41は、第1筒状部411と、第1筒状部411よりも圧縮室38側に位置する第2筒状部412とを備える。モータケース41は、第2筒状部412の端部が第2ハウジング32に結合する構成により、第2ハウジング32に一体に固定されている。第2筒状部412は、第1筒状部411よりも外径が大きく、第1筒状部411に一体に形成されている。第1筒状部411は、ステータ42や、ロータ43における外部側吸入口34側の部分を覆っている。第2筒状部412は、ステータ42やロータ43における第2ハウジング32側の部分を覆っている。第1筒状部411は、ヨーク45の外周面よりも径外側の位置においてヨーク45を覆っている。
第1筒状部411の内周面とヨーク45の外周面との間には、モータ外側通路80が設けられている。モータ外側通路80は、第2筒状部412の内側までわたっている。モータ外側通路80は、ヨーク45の外側に設けられた筒状をなす通路である。モータ外側通路80は、作動流体が圧縮室38に向けて流下する流下流路の一部である。モータ外側通路80には、フィルタ部材61が設置されている。フィルタ部材61は、自転防止孔51よりも上流側の流路に設置されている上流側フィルタ部の一例である。フィルタ部材61は、第2筒状部412によって支持されている。作動流体は、モータ外側通路80を軸方向に流下しながら、ヨーク45、ステータ42、ロータ43などを冷却する。
モータ外側通路80は、モータ部40を冷却する主要な流体通路である。モータ外側通路80は、軸方向に延びる連絡通路81を介して中心軸部収容室82に連通している。連絡通路81は、外周壁部321を軸方向に貫通する通路である。モータ外側通路80は、通路横断面積が連絡通路81や外部側吸入口34よりも大きい。圧縮室38で圧縮された空気の一部は、外部側吸入口34側へ圧力波として逆流して脈動騒音を生じさせる。この構成によれば、連絡通路81を逆流した空気はモータ外側通路80で膨張し、速度と圧力が低減する。減衰した圧力波のエネルギの一部は、外部側吸入口34から外部に排出されるため、圧力波による脈動騒音を抑制できる。また、外部側吸入口34は、ハウジングを貫通し、モータ外側通路80を介さず直接に中心軸部収容室82に連通する通路として構成してもよい。
第1筒状部411は、第1ハウジング31や第2ハウジング32よりも外径が小さい。このため、フィルタ部材61やモータ外側通路80の体積を確保しつつ、体格を抑制することに寄与する。
流体機械1は、中心軸部収容室82と基盤部収容室83とを連絡する連絡通路11を備える。第2ハウジング32の外周壁部321には、連絡通路11が設けられている。連絡通路11は、摺動プレート部材136との第2ハウジング32の接触面に対してモータ部40側に凹む凹部によって形成されている。連絡通路11は、単数また複数設けられている。
外周壁部332と旋回スクロール20におけるラップ側基盤部221の外周縁との間には、圧縮室側吸入通路12が設けられている。圧縮室側吸入通路12は、圧縮室導入部84に作動流体を吸入する吸入部である。圧縮室側吸入通路12は、ラップ側基盤部221の外周面が基盤部21の外周面よりも径内側に位置する構成により、基盤部収容室83と圧縮室導入部84とを連通する。圧縮室側吸入通路12は、上流端部が基盤部収容室83に臨み、下流端部が圧縮室導入部84に臨んでいる。圧縮室側吸入通路12は、基盤部21における固定スクロール33側の面と外周壁部332との間に形成された通路でもある。圧縮室側吸入通路12は、単数また複数設けられている。圧縮室側吸入通路12は、周方向について、連絡通路11に対応する位置に設けられている構成でもよい。圧縮室側吸入通路12は、周方向について等間隔に設けられている構成でもよい。
作動流体は、圧縮室側吸入通路12を流下しながら、旋回スクロール20と外周壁部332とに接触して冷却する。この冷却作用によれば、摺動部分で発生した熱は、旋回スクロール20、固定スクロール33等を通じて効率的に放熱するため、摺動部分の温度が低下する。
圧縮室側吸入通路12は、基盤部21を収容する基盤部収容室83と圧縮室導入部84とを連絡する通路である。基盤部収容室83は、基盤部21の外周面とハウジングの内周面との間に形成される筒状の通路である。圧縮室側吸入通路12は、流体機械1の軸方向に対して直交する方向に流体を吸入する通路を形成する。圧縮室側吸入通路12は、旋回スクロール20の外周縁において複数箇所に設けられている。圧縮室側吸入通路12は、旋回スクロール20の旋回運動に伴って、固定スクロール33に対して変位する。圧縮室導入部84は、圧縮室38において外周側の空間に相当し、内周側の空間よりも圧力が低い低圧空間である。圧縮室導入部84は、固定スクロール33の外周壁部332と旋回スクロール20における旋回側歯部222との間に形成されている。
上記構成により、流体機械1において作動流体は、外部側吸入口34、モータ外側通路80、フィルタ部材61、連絡通路81、中心軸部収容室82の順に流下する。作動流体は、中心軸部収容室82から、連絡通路11、基盤部収容室83、圧縮室側吸入通路12の順に流下する。さらに作動流体は、圧縮室側吸入通路12から、圧縮室導入部84、圧縮室38の順に流下する。流体は、この流体経路を流れる過程において、各部の冷却を図りつつ、特に摺動部分の熱を効果的に放出することに寄与する。
第1実施形態の流体機械1がもたらす作用効果について説明する。流体機械1は、空気が、閉回路を循環することなく開放された外部へ供給され、かつ内部流路に対する外部からの給油が無い条件下において使用される。流体機械1は、固定側ラップを有する固定スクロール33と、固定スクロール33に対して公転運動する旋回スクロール20とを備える。旋回スクロール20は、固定側ラップとの間に圧縮室38を形成しかつ多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている旋回側ラップを有する。
スクロール型流体機械では、接触しない範囲で固定側ラップと旋回側ラップの隙間を可能な限り小さくすることが圧縮性能上、求められる。旋回側ラップはラップ側基盤部221側が固定されたはり形状である。このため、非発泡樹脂で形成される場合は成形時の収縮作用によって反り易く、高い寸法精度を得ることが困難である。そこで、流体機械1によれば、旋回側ラップは、例えば発泡成形等の手段によって、細孔を内部に有する多孔質の樹脂として形成されている。旋回側ラップは、細孔の効果により成形時の収縮率が低減するため、反りが抑制され、より高い寸法精度を有することができる。流体機械1は、固定側ラップと旋回側ラップとの距離に関して高い寸法精度を提供できるので、ラップ同士の接触を抑制でき所望の圧縮性能を実現できる。この流体機械1は、寸法精度の向上が図れるスクロール型流体機械を提供できる。
旋回スクロール20は、旋回側ラップを有するラップ形成部22と、ラップ形成部22と一体に結合されている基盤部21とを備える。基盤部21は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている。この構成によれば、非発泡樹脂によって形成された基盤部21を備えるため、旋回スクロール20の軽量化が図れる。これにより、所望の圧縮性能の実現とともに、旋回スクロール20に作用する遠心力を抑制でき、振動抑制に寄与する。また、ラップ形成部22と基盤部21とが別材質である。このため、自転防止孔51の摩耗を考慮する必要が無く、ラップ形成部22の材質として、低反りグレード等のより高精度化可能な樹脂グレードを採用できる。また、基盤部21は、例えば圧縮強度の高い繊維強化樹脂を材料とすることができるため、基盤部21と同一材質である自転防止孔51の摩耗を抑制することができる。
流体機械1は、圧縮室側吸入通路12を介して基盤部収容室83と圧縮室38とを連通する流体の流下流路を備える。この構成によれば、作動流体は基盤部収容室83に流入して、圧縮室側吸入通路12を経由して圧縮室38に流下する。この経路により、作動流体によって、旋回側摺動面や旋回スクロール20を冷却することができる。
流体機械1は、外部側吸入口34と基盤部収容室83とをつなぐ流路において基盤部収容室83よりも上流に設けられた上流側フィルタ部を備える。この構成によれば、流体機械1の外部から基盤部収容室83に侵入する異物を抑制でき、異物によって各部品の異常摩耗が発生することを防止できる。
流体機械1は、外部へ流体を吐出する下流側吐出通路よりも上流であって自転防止孔51よりも下流に設けられた下流側フィルタ部を備える。この構成によれば、作動流体によって自転防止孔51から排出した摩耗粉等が流体機械1の外部へ流出することを抑制できる。これにより、クリーンな作動流体を供給する流体機械1を提供できる。
自転防止機構50は、棒状部52の外周面を覆うリング状の介装部材53をさらに備える。介装部材53の外周面は、自転防止孔51の内周面に対して摺動する。この構成によれば、介装部材53によって、材料の摺動表面が摩擦熱によって変形または溶融する限界PV値が良化できるため、自転防止孔51での摩耗粉の発生を抑制できる。このような構成を備える自転防止機構により、流体機械1の軽量化を図ることができる。
流体機械1において作動流体である空気は所定の閉回路を循環することなく、開放された外部へ供給され、かつ流体機械1は外部からの給油が無い条件下において使用される。これによれば、外部からの給油が無い無給油条件下においてシステムや装置において高い耐久性を発揮する流体機械1を提供できる。
旋回スクロール20に対して摺動する摺動面には、自己潤滑性を有するフッ素または二硫化モリブデンを含有するコーティング部が設けられている。この構成によれば、自己潤滑性を有するが故に摺動面において摩耗粉が発生しやすく、かつ自転防止孔51から摩耗粉を排出できるため、この装置において特に有益である。
<第2実施形態>
第2実施形態について図3を参照して説明する。第2実施形態の流体機械101は、第1実施形態に対して、ボス部124に係る構成が相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
図3に示すように、流体機械101は、基盤部121と、基盤部121と一体に設けられているラップ形成部22とを含む旋回スクロール20を備える。ボス部124は、基盤部121に設けられている。ボス部124は、基盤部121の一部である。ボス部124は、基盤部121と同じ材質によって形成されている。
流体機械101の旋回スクロール20は、ラップ形成部22と、自転防止孔51が形成されてラップ形成部22と一体に結合されている基盤部121とを備える。基盤部121は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている。これによれば、自転防止孔51が形成された基盤部121が非発泡樹脂で形成されている構成により、基盤部121の軽量化と自転防止孔51の摩耗の抑制とが図れる。
また、旋回スクロール20の基盤部121は、金属によって形成されている構成でもよい。これによれば、自転防止孔51が形成された基盤部121が非発泡樹脂で形成されている構成よりも自転防止孔51の摩耗抑制を図ることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態について図4〜図10を参照して説明する。第3実施形態の流体機械201は、第1実施形態に対して、旋回スクロール122と自転防止機構50の構成とが相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、流体機械201は、旋回スクロール122を備える。旋回スクロール122は、円盤状の基盤部1221と、基盤部1221に一体に形成されている旋回側歯部1222とを備えている。旋回側歯部1222は、基盤部1221から軸方向に突出している。基盤部1221と旋回側歯部1222は、一つの部品である旋回スクロール122の一部である。基盤部1221と旋回側歯部1222は、多孔質の樹脂によって形成されている。この多孔質の樹脂には、発泡成形させて多数の気泡を分散した樹脂が含まれる。基盤部1221と旋回側歯部1222は金型内において一体に成形されて、一つの部品である旋回スクロール122を構成する。
旋回スクロール122は、全体が樹脂材料によって形成されている。樹脂製の旋回スクロール122は、旋回スクロール122の遠心力による振動を低減でき、振動面および騒音面で有利になる。
旋回スクロール122に形成された自転防止孔51は、円形の開口端を形成する内周壁と内周壁の固定スクロール33側を閉じている底面とを有した構成である。この内周壁と底面は、基盤部1221に形成されている。
図4に示すように、第3実施形態の自転防止機構50は、自転防止孔51に設置されたリング部6を含む。流体機械201は、複数のリング部6を備える。リング部6は、介装部材53の外周面が摺動する内周面と、自転防止孔51の内周面に対して摺動する外周面とを有する筒状体である。自転防止孔51を形成する凹部には、リング部6が収容されている。リング部6は、介装部材53の旋回運動を規制するスリーブ部材でもある。摺動部521および介装部材53は、旋回スクロール122の公転に伴い、リング部6の内周壁に規制されつつリング部6の内側を旋回する。
リング部6は、例えば金属によって形成されている。この構成によれば、旋回スクロール122は介装部材53の外周部と摺動する部材ではなくなる。これにより必要な耐摩耗性、表面硬さを考慮せず旋回スクロール122の材質選定が可能となる。
リング部6は、例えば繊維強化樹脂によって形成されている。この構成によれば、自転防止孔51の内周壁を成形精度がよい材質によって形成することが可能になる。
リング部6は、自転防止孔51に対して回転が阻止された形態で収容されている。流体機械201は、自転防止孔51とリング部6とに設けられた回転阻止機構を備える。回転阻止機構は自転防止孔51に対するリング部6の回転を規制する機構である。回転阻止機構によれば、リング部6の回転を抑えるので、リング部6と自転防止孔51に関する摺動を抑制できる。回転抑止機構は、流体機械201の軸方向と軸方向に対して直交する径方向との少なくとも一方の方向に突出する突部と凹む凹部とが係り合う構成を含む。
以下、回転抑止機構の例について図5〜図10を参照して説明する。図5は、回転抑止機構に係る第1の例を示す断面図である。図5に示すように、回転抑止機構に係る第1の例は、自転防止孔51とリング部6に設けられている。自転防止孔51は、複数の内径大部51aと複数の内径小部51bとを含む壁部によって形成されている。内径大部51aは、自転防止孔51の中心からの距離である内径寸法が内径小部51bよりも大きい内周壁を形成している。内径大部51aは、所定の周方向長さを有し、所定の軸方向長さを有している。内径小部51bは、所定の周方向長さを有し、所定の軸方向長さを有している。自転防止孔51は、周方向に交互に設けられた内径大部51aと内径小部51bとを有して形成されている。内径大部51aの内周壁面は湾曲面である。内径小部51bの内周壁面は平面である。自転防止孔51は、周方向に隣り合う湾曲面と平面を連結する平面を有している。
リング部6は、複数の外径大部6aと複数の外径小部6bとを含む筒状体である。外径大部6aは、外径小部6bよりも外径寸法が大きい外周壁を形成している。リング部6が自転防止孔51に入りこんだ状態で、外径大部6aは隙間を介して内径大部51aに対向している。リング部6が自転防止孔51に入りこんだ状態で、外径小部6bは隙間を介して内径小部51bに対向している。外径大部6a、内径小部51bは、径方向に突出する突部である。外径小部6bは、外径大部6aよりも径方向に凹む凹部である。内径大部51aは、内径小部51bよりも径方向に凹む凹部である。また、リング部6が自転防止孔51に入りこんだ状態で、外径大部6aは内径大部51aに接触し、外径小部6bは内径小部51bに接触する構成でもよい。例えば、リング部6と自転防止孔51とは、部分的または全体的に接触して、嵌り合う関係でもよい。
外径大部6aは、所定の周方向長さを有し、所定の軸方向長さを有している。外径小部6bは、所定の周方向長さを有し、所定の軸方向長さを有している。外径大部6aは、内径大部51aよりも、周方向長さと軸方向長さが短い構成でもよい。外径小部6bは、内径小部51bよりも、周方向長さと軸方向長さが短い構成でもよい。リング部6は、周方向に交互に設けられた外径大部6aと外径小部6bとを有して形成されている。外径大部6aの外壁面は、湾曲面であり、内径大部51aに沿っている。外径小部6bの外壁面は、平面であり、内径小部51bに沿っている。リング部6は、周方向に隣り合う湾曲の外壁面と平面の外壁面を連結する外壁面を有している。
第1の例の回転抑止機構は、流体機械201において径方向に突出する突部と凹む凹部とが係り合う構成を有する。第1の例の回転抑止機構は、自転防止孔51に対してリング部6を回転させる力が作用した場合に、外径大部6aが隣接する内径小部51bに接触する構成を有する。この構成により、内径小部51bが外径大部6aの回転を阻止するストッパとして機能するため、自転防止孔51に対するリング部6の回転を抑止できる。
図6は、回転抑止機構に係る第2の例を示す断面図である。図6に示すように、回転抑止機構に係る第2の例は、自転防止孔151とリング部106に設けられている。自転防止孔151は、内径大部151aと内径小部151bとを含む壁部によって形成されている。内径大部151aは、自転防止孔151の中心からの距離である内径寸法が内径小部151bよりも大きい内周壁を形成している。自転防止孔151は、内径の大きい円弧面と、この円弧面の周方向両端部を連絡する平面とを含む面によって形成されている。内径大部151aは、所定の周方向長さを有し所定の軸方向長さを有する円弧面である。内径小部151bは、所定の周方向長さを有し所定の軸方向長さを有する平面である。
リング部106は、外径大部6aと外径小部6bとを含む筒状体である。外径大部6aは、外径小部6bよりも外径寸法が大きい円弧状の外周壁面を形成している。外径大部6aの外壁面は、内径大部151aに沿っている。外径小部6bの外壁面は、内径小部151bに沿っている。外径大部6a、内径小部151bは、径方向に突出する突部である。外径小部6bは外径大部6aよりも径方向に凹む凹部であり、内径大部151aは内径小部151bよりも径方向に凹む凹部である。リング部106が自転防止孔151に入りこんだ状態で、外径大部6aは内径大部151aに接触し、外径小部6bは内径小部151bに接触している。リング部106と自転防止孔151とは、部分的または全体的に接触して、嵌り合う関係である。また、外径大部6aは隙間を介して内径大部151aに対向し、外径小部6bは隙間を介して内径小部151bに対向する構成でもよい。
第2の例の回転抑止機構は、流体機械201において径方向に突出する突部と凹む凹部とが係り合う構成を有する。第2の例の回転抑止機構は、自転防止孔151に対してリング部106を回転させる力が作用した場合に外径大部6aが隣接する内径小部151bに接触する構成を有する。この構成により、内径小部151bが外径大部6aの回転を阻止するストッパとして機能するため、自転防止孔151に対するリング部106の回転を抑止できる。摺動部521および介装部材53は、旋回スクロール20の公転に伴い、リング部106の内周壁に規制されつつリング部106の内側を旋回する。
図7は、回転抑止機構に係る第3の例を示す断面図である。図7に示すように、回転抑止機構に係る第3の例は、自転防止孔251とリング部206に設けられている。自転防止孔251は、複数の内径大部251aと複数の内径小部251bとを含んだ壁部によって形成されている。内径大部251aは、自転防止孔251の中心からの距離である内径寸法が内径小部251bよりも大きい内周壁を形成している。内径大部251aは、内径小部251bよりも曲率が大きい湾曲状の内周面を形成している。内径大部251aは、所定の周方向長さを有し、所定の軸方向長さを有している。内径小部251bは、所定の周方向長さを有し、所定の軸方向長さを有している。自転防止孔251は、周方向に交互に設けられた内径大部251aと内径小部251bとを有して形成されている。
リング部206は、外径大部206aと外径小部206bとを含む筒状体である。外径大部206aは、外径小部206bよりも外径寸法が大きい外周壁面を形成している。外径大部206aの外壁面は、内径大部251aに沿っている。外径小部206bの外壁面は、内径小部251bに沿っている。外径大部206a、内径小部251bは、径方向に突出する突部である。外径小部206bは、外径大部206aよりも径方向に凹む凹部である。内径大部251aは、内径小部251bよりも径方向に凹む凹部である。リング部206が自転防止孔251に入りこんだ状態で、外径大部206aは内径大部251aに接触し、外径小部206bは内径小部251bに接触している。リング部206と自転防止孔251とは、部分的または全体的に接触して、嵌り合う関係である。また、外径大部206aは隙間を介して内径大部251aに対向し、外径小部206bは隙間を介して内径小部251bに対向する構成でもよい。
第3の例の回転抑止機構は、流体機械201において径方向に突出する突部と凹む凹部とが係り合う構成を有する。第3の例の回転抑止機構は、自転防止孔251に対してリング部206を回転させる力が作用した場合に外径大部206aが隣接する内径小部251bに接触する構成を有する。この構成により、内径小部251bが外径大部206aの回転を阻止するストッパとして機能するため、自転防止孔251に対するリング部206の回転を抑止できる。摺動部521および介装部材53は、旋回スクロール20の公転に伴い、リング部206の内周壁に規制されつつリング部206の内側を旋回する。
図8は、回転抑止機構に係る第4の例を示す断面図である。図8に示すように、回転抑止機構に係る第4の例は、自転防止孔351とリング部306に設けられている。自転防止孔351は、内径大部351aと内径小部351bとを含んだ壁部によって形成されている。内径小部351bは、自転防止孔351の中心からの距離である内径寸法が内径大部351aよりも小さい内周壁を形成している。自転防止孔351は、内径の小さい円弧面と、この円弧面の周方向両端部を連絡する平面とを含む面によって形成されている。内径小部351bは、所定の周方向長さを有し所定の軸方向長さを有する円弧面である。内径大部351aは、所定の周方向長さを有し所定の軸方向長さを有する平面である。
リング部306は、外径大部306aと外径小部306bとを含む壁部によって形成された筒状体である。外径小部306bは、外径大部306aよりも外径寸法が小さい円弧状の外周壁面を形成している。外径小部306bの外壁面は、内径小部351bに沿っている。外径大部306aの外壁面は、内径大部351aに沿っている。外径大部306a、内径小部351bは、径方向に突出する突部である。外径小部306bは、外径大部306aよりも径方向に凹む凹部である。内径大部351aは、内径小部351bよりも径方向に凹む凹部である。リング部306が自転防止孔351に入りこんだ状態で、外径大部306aは内径大部351aに接触し、外径小部306bは内径小部351bに接触している。リング部306と自転防止孔351とは、部分的または全体的に接触して、嵌り合う関係である。また、外径大部306aは隙間を介して内径大部351aに対向し、外径小部306bは隙間を介して内径小部351bに対向する構成でもよい。
第4の例の回転抑止機構は、流体機械201において径方向に突出する突部と凹む凹部とが係り合う構成を有する。第4の例の回転抑止機構は、自転防止孔351に対してリング部306を回転させる力が作用した場合に外径大部306aが隣接する内径小部351bに接触する構成を有する。この構成により、内径小部351bが外径大部306aの回転を阻止するストッパとして機能するため、自転防止孔351に対するリング部306の回転を抑止できる。摺動部521および介装部材53は、旋回スクロール20の公転に伴い、リング部306の内周壁に規制されつつリング部306の内側を旋回する。
図9、図10は、回転抑止機構に係る第5の例を示している。図9、図10に示すように、回転抑止機構に係る第5の例は、自転防止孔451とリング部406に設けられている。自転防止孔451は、軸方向突部451bと軸方向突部451bよりも軸方向に凹む軸方向凹部451aとを含む壁部によって形成されている。軸方向突部451bは、摺動部521や介装部材53に対して軸方向に対向する円形状の平面を形成する。軸方向凹部451aは、軸方向突部451bよりも固定スクロール33側に凹む弧状の平面を形成する。軸方向凹部451aは、自転防止孔451において外周縁の一部に設けられている。
リング部306は、環状をなす軸方向凹部406bと、軸方向凹部406bよりも軸方向に突出する軸方向突部406aとを含む壁部によって形成されたリング状体である。軸方向凹部406bは、リング状体である。リング部406は、周方向の端部において互いに離間して対向する先端部406b1を有する。軸方向突部406aは、軸方向凹部406bよりも固定スクロール33側に突出する弧状の壁部を形成する。軸方向突部406aは、リング部406において外周縁の一部に設けられている。
軸方向突部406a、軸方向突部451bは、軸方向に突出する突部である。軸方向突部406aは、軸方向凹部406bよりも軸方向に突出する突部である。軸方向突部451bは、軸方向凹部451aよりも軸方向に凹む凹部である。軸方向凹部406bは、軸方向突部451bに沿う軸方向先端面を有する。この軸方向先端面は、軸方向突部451bに対向している。軸方向突部406aは、軸方向凹部451aに沿う軸方向先端面を有する。この軸方向先端面は、軸方向凹部451aに対向している。
リング部406が自転防止孔451に入りこんだ状態で、軸方向突部406aは軸方向凹部451aに接触し、軸方向凹部406bは軸方向突部451bに接触している。リング部406と自転防止孔451とは、部分的または全体的に接触して、嵌り合う関係である。また、軸方向突部406aは隙間を介して軸方向凹部451aに対向し、軸方向凹部406bは隙間を介して軸方向突部451bに対向する構成でもよい。
第5の例の回転抑止機構は、流体機械201において軸方向に突出する突部と凹む凹部とが係り合う構成を有する。第5の例の回転抑止機構は、自転防止孔451に対してリング部406を回転させる力が作用した場合に軸方向突部406aが隣接する軸方向突部451bに接触する構成を有する。この構成により、軸方向突部451bが軸方向突部406aの回転を阻止するストッパとして機能するため、自転防止孔451に対するリング部406の回転を抑止できる。摺動部521および介装部材53は、旋回スクロール20の公転に伴い、リング部406の内周壁に規制されつつリング部406の内側を旋回する。
<第4実施形態>
第4実施形態について図11を参照して説明する。第4実施形態の流体機械301は、前述の実施形態に対して、作動流体の流下経路と、背圧導入通路25を備える点とが相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
図11に示すように、流体機械301は、モータ外側通路80と基盤部収容室83とを連通する連絡通路13を備える。連絡通路13は、第2ハウジング32を軸方向に貫通する通路である。流体機械301は、作動流体が外部側吸入口34、モータ外側通路80、連絡通路13、基盤部収容室83、圧縮室側吸入通路12、圧縮室導入部84、圧縮室38の順に流下する流下流路を備える。
基盤部21における固定スクロール33とは反対側の面と第2ハウジング32の外周壁部321との間には、背圧室182が設けられている。背圧室182には、圧縮室38で圧縮された空気の一部が、旋回スクロール20を貫通する背圧導入通路25を経由して供給される。背圧導入通路25は、圧縮室38と背圧室182とを連通する通路である。これにより、旋回スクロール20は、背圧室182に供給された空気の圧力によって固定スクロール33側に付勢されている。背圧室182は、自転防止孔51に連通している。
ラップ側基盤部221における固定スクロール側の面のうち、旋回側歯部222よりも径方向外側の部位には、旋回側摺動面123が設けられている。第1ハウジング31のうち旋回側摺動面123に対向する部位には、旋回側摺動面123と摺動するハウジング側摺動面36が設けられている。旋回側摺動面123とハウジング側摺動面36は、旋回スクロール20の旋回運動において摺動する。
旋回スクロール20が公転する際、背圧室182の空気の圧力により旋回スクロール20は固定スクロール33側に付勢される。このため、旋回側摺動面123とハウジング側摺動面36とは、常に接した状態で摺動する。ハウジング側摺動面36は、旋回スクロール20の軸方向の荷重を受けるためのスラスト軸受部として機能する。ハウジング側摺動面36は、旋回スクロール20に対して摺動する固定部材の部分に相当する。旋回スクロール20は、スラスト軸受部としてのハウジング側摺動面36に支持されつつ公転する。
旋回側摺動面123とハウジング側摺動面36との間に隙間が生じた場合、圧縮室38から背圧室182に供給された高圧の空気がその隙間を通り固定スクロール33の内側の圧縮室導入部84に漏れることが考えられる。この実施形態では、旋回スクロール20は背圧室182の空気の圧力により固定スクロール33側に付勢される。この付勢により、旋回側摺動面123とハウジング側摺動面36とが接した状態で摺動する。したがって、背圧室182の高圧の空気が低圧空間である圧縮室導入部84に漏れることを防ぐ効果がある。この流体機械301によれば、空気の圧縮効率の低下を防ぐことができる。
<第5実施形態>
第5実施形態について図12を参照して説明する。第5実施形態の流体機械401は、前述の実施形態に対して、固定スクロール133の構成が相違する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、流体機械401は、固定スクロール133と旋回スクロール20とを備えるスクロール型流体機械である。固定スクロール133の材質には、金属、樹脂などを用いることができる。固定スクロール133は、円盤状の基盤部1330と、基盤部1330と一体に結合されているラップ形成部1331とを備えている。ラップ形成部1331は、ラップ側基盤部1331bと、ラップ側基盤部1331bから突出するように設けられた固定側歯部1331aとを備える。
基盤部1330とラップ形成部1331とは、異なる材質によって形成されている。基盤部1330は、ラップ形成部1331よりも高強度の材質、高強度の樹脂によって形成されている。少なくともラップ形成部1331は、内部または表面に多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている。また、ラップ形成部1331のうち少なくとも固定側歯部1331aは、内部または表面に多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている。この多孔質の樹脂、発泡成形に関する記載や、当該樹脂成形品の成形方法に関する記載は、第1実施形態における記載を援用するものとする。
基盤部1330は、金属によってまたは多孔質状でない非発泡樹脂などによって形成されている。この場合には、基盤部1330とラップ形成部1331は金型内において一体に成形されて、一つの部品である固定スクロールを構成する。
基盤部1330とラップ形成部1331とが別部品である場合には、これらの部品は一体に形成された状態で固定スクロール133として流体機械401に設置されている。この場合、基盤部1330とラップ形成部1331とは接着等の結合手段、係合手段により一体に形成することができる。
また、固定スクロール133は、樹脂材料によって形成されている構成でもよい。この場合、基盤部1330とラップ形成部1331のそれぞれは、細孔を形成する多孔質の樹脂などによって形成されている。
第4実施形態によれば、流体機械401は、多孔質の樹脂によって形成されている固定側ラップを有する固定スクロール133を備える。流体機械401は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている旋回側ラップを有する旋回スクロール20を備える。
この流体機械401によっても、固定側ラップが多孔質の樹脂によって形成されるため、高い寸法精度を有する固定側ラップを成形することができる。このため、固定側ラップと旋回側ラップとの距離に関して高い寸法精度を提供でき、所望の圧縮性能を得ることができる。さらに、旋回側ラップが非発泡樹脂によって形成されている構成により、旋回スクロールの軽量化が図れるため、公転時の遠心力抑制と圧縮性能確保との両方を実現できる。さらに圧縮性能が確保できることにより、旋回スクロール20の作動回転数を低減できるため、スラスト軸受部における偏摩耗の抑制、振動低減が図れる。
流体機械401の固定スクロール133は、固定側ラップを含むラップ形成部1331と、ラップ形成部1331と一体に結合されている基盤部1330とを備える。基盤部1330は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている。この構成によれば、非発泡樹脂によって形成された基盤部1330を備えるため、固定スクロール133の軽量化が図れる。
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
前述の実施形態において、中心軸部収容室82と基盤部収容室83とを連絡する通路は、連絡通路11に限定されない。例えば、中心軸部収容室82と基盤部収容室83とを連絡する通路は、流体が自転防止孔51を経由して基盤部収容室83へ流出する通路でもよい。この自転防止孔流出通路は、旋回スクロール20において自転防止孔51を形成する内周面から基盤部21の外周面まで径方向に延びる溝部または貫通穴によって形成できる。自転防止孔流出通路は、自転防止孔51よりも径外側において、旋回側摺動面23に対して凹む溝部の内側に設けられた通路である。自転防止孔流出通路は、各自転防止孔51に対して単数また複数設けられている。自転防止孔流出通路は、旋回スクロール20の旋回運動において、介装部材53が摺動しない部位に設けられていることが好ましい。この構成によれば、自転防止孔51において自転防止孔流出通路の周囲の摩耗を抑制できる。作動流体は、自転防止孔流出通路を流下しながら、旋回スクロール20の溝部とハウジング側摺動面136aに接触して冷却する。この冷却作用によれば、摺動部分で発生した熱は摺動プレート部材136、ハウジング、旋回スクロール20等を通じて効率的に放熱するため、摺動部分の温度が低下する。
前述の実施形態において固定スクロール33はハウジングとは別個の部材であるが、ハウジングの一部であってもよい。この場合、前述の実施形態における固定スクロール33に関するすべての構成は、ハウジングに関する構成として読み替えるものとする。
前述の実施形態は、介装部材53を有しているが、介装部材53を備えない流体機械に適用することも可能である。摺動部521は、自転防止孔51を形成する内周壁に対して規制されながら摺動する。
第5実施形態における旋回スクロール20は、金属によってまたは多孔質状でない非発泡樹脂などによって形成されている構成でもよい。第5実施形態における旋回側ラップは、金属、多孔質状でない非発泡樹脂、または多孔質の樹脂によって形成されている構成でもよい。
20,122…旋回スクロール、 22…ラップ形成部(旋回側ラップ)
33,133…固定スクロール、 38…圧縮室(流体室)
222…旋回側歯部(旋回側ラップ)
331,1331a…固定側歯部(固定側ラップ)
1331…ラップ形成部(固定側ラップ)、 1331a…固定側歯部(固定側ラップ)

Claims (11)

  1. 作動流体である空気が、閉回路を循環することなく開放された外部へ供給され、かつスクロール型流体機械の内部流路に対する外部からの給油が無い条件下において使用され、
    渦巻き状の固定側ラップ(331;1331,1331a)を有する固定スクロール(33;133)と、
    前記固定スクロールに対して公転運動する旋回スクロール(20;122)と、
    を備え、
    前記旋回スクロールは、前記固定側ラップとの間に空気を吸入、圧縮および吐出する流体室(38)を形成しかつ多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている旋回側ラップ(22,222)を有するスクロール型流体機械。
  2. 前記固定側ラップは、多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されている請求項1に記載のスクロール型流体機械。
  3. 前記旋回スクロールは、前記旋回側ラップを有するラップ形成部(22)と、前記ラップ形成部と一体に結合されている基盤部(21;121)とを備え、
    前記基盤部は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている請求項1または請求項2に記載のスクロール型流体機械。
  4. 前記旋回スクロールの自転を阻止するために設けられた自転防止孔(51)と、
    前記旋回スクロールの自転を阻止するために設けられて、前記自転防止孔の内側において前記自転防止孔に対して旋回する棒状部(52)と、
    を備え、
    前記旋回スクロールは、前記旋回側ラップを有するラップ形成部(22)と、前記自転防止孔が形成されて、前記ラップ形成部と一体に結合されている基盤部(121)とを備え、
    前記基盤部は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている請求項1または請求項2に記載のスクロール型流体機械。
  5. 前記旋回スクロールの自転を阻止するために設けられた自転防止孔(51)と、
    前記旋回スクロールの自転を阻止するために設けられて、前記自転防止孔の内側において前記自転防止孔に対して旋回する棒状部(52)と、
    を備え、
    前記旋回スクロールは、前記旋回側ラップを有するラップ形成部(22)と、前記自転防止孔が形成されて、前記ラップ形成部と一体に結合されている基盤部(121)とを備え、
    前記基盤部は、金属によって形成されている請求項1または請求項2に記載のスクロール型流体機械。
  6. 作動流体である空気が、閉回路を循環することなく開放された外部へ供給され、かつスクロール型流体機械の内部流路に対する外部からの給油が無い条件下において使用され、
    渦巻き状の固定側ラップ(1331,1331a)を有する固定スクロール(133)と、
    前記固定側ラップとの間に空気を吸入、圧縮および吐出する流体室(38)を形成する旋回側ラップ(22,222)を有し、前記固定スクロールに対して公転運動する旋回スクロール(20)と、
    を備え、
    前記固定側ラップは、多数の細孔を形成する多孔質の樹脂によって形成されており、
    前記旋回側ラップは、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されているスクロール型流体機械。
  7. 前記固定スクロールは、前記固定側ラップを含むラップ形成部(1331)と、前記ラップ形成部と一体に結合されている基盤部(1330)とを備え、
    前記基盤部は、多孔質状でない非発泡樹脂によって形成されている請求項6に記載のスクロール型流体機械。
  8. 前記旋回スクロールの自転を阻止するために設けられた自転防止孔(51)と、
    前記旋回スクロールの自転を阻止するために設けられて、前記自転防止孔の内側において前記自転防止孔に対して旋回する棒状部(52)と、
    前記棒状部の外周面を覆うリング状の介装部材(53)と、
    を備え、
    前記介装部材の外周面は、前記自転防止孔の内周面に対して摺動する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスクロール型流体機械。
  9. 前記介装部材は、銅または錫を含む金属によって形成されている請求項8に記載のスクロール型流体機械。
  10. 前記介装部材は、多孔質体によって形成されかつ含油されている請求項8に記載のスクロール型流体機械。
  11. 前記介装部材は、固体潤滑剤を含んでいる請求項8に記載のスクロール型流体機械。
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