本発明者は、キーが挿入されていない状態(例えばガソリン車でエンジンを切って駐車しており、乗員がいない状態)であっても、何らかの原因で電源電圧にノイズが生じる場合があり、これが、車両の電流使用量に影響を与えていることを見出した。例えば、近年の車両やカーアクセサリには、例えばガソリン車でエンジンを切って駐車しており、乗員がいない状態でも動作をするもの(例えば、セキュリティ関係の電装品)があり、そのような外部機器が動作した際に電源電圧のノイズが生じる場合がある。引用文献2の電源制御装置では、これらのノイズを検出すると、車載ネットワークに対して応答要求信号を送信するため、車載ネットワークに接続されたシステムの一部(例えば、ボディー系のECU等)又は全部がウエイクアップし、車載ネットワークに接続された機器に流れる電流が増加する。このようなノイズが頻繁に発生すると、例えば、例えばガソリン車でエンジンを切って駐車しており、乗員がいない状態でも、バッテリーが上がってしまうことも考えられる。
また、イグニッションがオフ状態になれば、通常、エンジンECUは、外部からの信号に対して応答信号を送信しない。よって、エンジンECUからの応答信号によって、イグニッションオフの状態であることを検出可能である。しかし、輸入車や最近の車両など、イグニッションオフの状態になった後も暫くの間は、外部からの信号に対して応答信号を送信する車両もあり、応答信号のみでは、イグニッションオフの状態を正確に判断することができない問題があることを本発明者は見出した。
外部入力線にて直接イグニッションスイッチを監視することも考えられるが、専門知識の無い一般のユーザがこのような配線を行うのは困難である。
本願には、上記の問題の全部又は一部又は他の問題に対処した発明が開示される。
本願には、例えば、下記各構成例に記載の発明が開示される。
<構成例1>
車両から供給される電源のノイズを検出し、車載ネットワークを流れる信号を検出した場合に、前記車載ネットワークに打診信号を送信し、
前記打診信号の送信後に前記車載ネットワークを流れる応答信号に基づき所定の給電条件を満たしたときに前記車両から供給される電源に基づく外部機器への給電を開始する給電制御機能を有することを特徴とする電源制御機器。
このようにすれば、車載電源のノイズを検出し、車載ネットワークの信号を検出したときに、車載ネットワークに打診信号が送信されるので、車載電源のノイズを検出したときに無条件に打診信号を送信する場合に比べて、打診信号によって車載ネットワーク上のコンピュータがウエイクアップする事がなくなり、車両の電流使用量を減少させることができるのでよい。特に、車両がスリープ中、例えばガソリン車でエンジンを切って駐車しており乗員がいない状態など、一般的には例えばイグニッションスイッチがOFF位置のときに流れる電流である暗電流を減少させることができ、いわゆるバッテリ上がりの発生を予防することができる。特に車載ネットワークを打診信号が流れた場合にウェイクアップする車載コンピュータを有する車両において優れた効果を発揮する。特に車載ネットワークを打診信号が流れた場合に複数の車載コンピュータがウェイクアップする車両において顕著な効果を発揮する。
特に、打診信号は、車載電源のノイズを検出した後、車載ネットワークの信号を検出したときに送信するようにするとよい。打診信号は、例えば、車載ネットワークに接続されたコンピュータの全部又は一部(例えば、ボディ系ECU)が既にウエイクアップしている状態で流れる信号を検出したときに送信するとよく、このようにすれば、スリープ状態にあるコンピュータ等が打診信号によってウエイクアップするという状況をより的確に回避することができるのでよい。打診信号は、例えば、車載ネットワークに接続されたコンピュータの全部又は一部がスリープしていることを示す信号が検出されたとき、或いは、車載ネットワークに接続されたコンピュータの全部又は一部がウエイクアップしていることを示さない信号しか流れていないときには、送信しないようにするとよく、このようにすれば、スリープ状態にあるコンピュータ等が打診信号によってウエイクアップするという状況をより的確に回避することができるのでよい。
また、構成例1では、車載電源のノイズと車載ネットワークを流れる信号の検出に加え、打診信号の送信後に車載ネットワークを流れる応答信号に基づいて給電条件が成立したと判断されたときに外部機器への給電を行うので、車両がスリープ(例えばイグニッションスイッチをON等していない)状態において、何らかの原因で電源電圧にノイズが生じたとしても、車両の状態等に応じて適切な外部機器への給電制御が可能になるのでよい。
車両から供給される電源は、例えば車両のバッテリーやオルターネータに直接または間接的に接続された電源とするとよい。電源のノイズは、例えば、オルタノイズのようにエンジンの回転に伴う発電によるノイズ、イグニッションノイズのようなプラグの点火時に発生するようなスパイクノイズ、セル始動時やイグニッションスイッチをIG位置又はACC位置に切り替えた時の電圧低下・ドアアンロック時等に発生する車両内の各種機器への突入電流による電圧降下ノイズ等とするとよい。車載ネットワークは、例えば、CAN、FlexRay等とするとよい。車載ネットワークを流れる信号は、電源制御機器又は他の機器を着脱自在に接続するためのコネクタから取得するとよい。当該コネクタは、信
号端子と電源端子を有するコネクタとするとよい。車両から供給される電源と車載ネットワークの信号の双方を当該コネクタから取得するとよい。このようにすれば1つのコネクタから車載電源のノイズと車載ネットワークの信号の双方を得ることができる。当該コネクタは、OBDコネクタとするとよい。
なお、車両から供給される電源のノイズ検出から一定時間内(特に例えば1sec程度)に車載ネットワーク上にデータが現れ無い場合、電源制御装置はスリープへ移行するようにするとよい。このようにすれば本装置で消費される電流も減らす事ができるのでよい。車両から供給される電源のノイズの検出から一定時間のみ車載ネットワークの信号を検査し、当該一定時間を経過後は検査をやめるようにするとよい。この一定時間は、打診信号の送信後、車載ネットワーク上にデータが流れ続けているにも関わらず、応答が無い場合、リトライは数回程度とし、次のノイズ信号を検出した時に再打診するとよい(例えば、イグニッションスイッチをACC位置にしたときにCANが動作しだす車両において、ACC位置でのノイズ検出後、エンジンECUに打診を行っても応答がない。このままイグニッションオンの状態(例えば、イグニッションスイッチがIG位置)になるまで打診をし続けると、仮にその後イグニッションスイッチをOFF位置にしても打診が有る為、車両はスリープに入れない。ノイズ検出後に再打診とした場合、イグニッションスイッチがACC位置の状態からIG位置になったときのエンジン始動ノイズで再打診を行い応答を受け取る事が出来る。イグニッションスイッチがACC位置からOFF位置になっても打診しない為、車両はスリープに入る事が出来る)。給電判断機能は、打診信号の送信後の一定時間のみ車載ネットワークの信号を検査し、当該一定時間を経過後は検査しないようにすると更に良い。
給電条件は、例えば、応答信号に含まれる情報、応答信号の特性(例えば、周波数、頻度、振幅、パラメータ、識別情報、識別情報の数等)に関する条件とするとよい。給電条件は、応答信号または車載ネットワーク上に流れる信号で判断すると良い(例えば、外部機器がレーダー探知機であればイグニッションスイッチがIG位置になったときに車載ネットワーク上に流れる信号、外部機器がナビゲーションであればイグニッションスイッチがACC位置になったときに車載ネットワーク上に流れる信号、外部機器がセキュリティ関係の機器であればリモコンからのドアロック信号が検出されることを給電条件とするとよい)。給電制御機能は、給電条件が成立したと判断したときに、車載電源から外部機器への給電を開始する制御を行うとよい。給電制御機能は、例えば、車両のイグニッションスイッチがIG位置、又は、車両が走行中(例えば、エンジン回転数が0rpmではないとき)の状態を示す応答信号があるとき、又は、そのような応答信号があると推定されるときに、給電条件が成立したと判断するとよい。エンジン回転数が0rpmになった(エンジンが停止した)ことを検出したときに電源供給をOFFにするとよい。ただし、アイドリングストップ車の場合、交差点等で停止(アイドリングストップ)する都度外部機器の電源が切れてしまう問題を生じるので、アイドリングストップ車であるか否かの設定または判定を行い、アイドリングストップ車の場合、エンジン回転数が0rpmであるときには給電条件が成立したと判断しないようにするとよい。外部機器は、上記状態以外での使用が意図されていない機器とするとよい。例えば、レーダー探知機は、これらの状態以外での使用は意図されていないので、外部機器がレーダー探知機である場合は、上記状態のときのみ給電を行うことで、使用電流を効果的に削減できるのでよい。給電制御機能は、例えば、車両がイグニッションオンの状態(例えば、イグニッションスイッチがACC位置又はIG位置である状態を示す応答信号があるとき、又は、あると推定されるときに、給電条件が成立したと判断するとよい。外部機器は、これらの状態での使用が意図されている機器とするとよい。例えば、ナビゲーションシステムは、ACCの状態でも使用される場合があるので、外部機器がナビゲーションシステムである場合は、上記状態のときのみ給電を行うことで、使用電流を効果的に削減できるのでよい。
電源制御機器は、車載ネットワークに着脱自在に接続することができるコネクタを有するとよい。電源制御機器は、外部機器に着脱自在に接続することができるコネクタやケーブルを有するとよい。電源制御機器は、外部機器に対する電源の供給/遮断を切り替えるための切替器等のハードウェアやソフトウェアを有するとよい。電源制御機器は、電源アダプタとするとよい。電源制御機器は、電源制御機器が有する各機能を実現するための給電条件等のデータやプログラムを記憶した記憶媒体を有するとよい。記憶媒体は、揮発性又は不揮発性の記憶媒体とするとよい。揮発性媒体は、例えば、RAMとするとよい。不揮発性媒体は、例えば、EEPROMとするとよい。電源制御機器は、上記プログラムを実行し、及び/又は、電源制御機器が有する各機能を実現するためのCPU等の制御部を有するとよい。
<構成例2>
前記給電判断機能は、前記応答信号のパラメータに基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、給電条件の成否判断の容易化、的確化できるのでよい。例えば、給電判断機能は、特定のパラメータを含む応答信号が検出されたときに、給電条件が成立したと判断するとよい。例えば、車両が特定の状態(例えば、イグニッションオンの状態)のときに、打診信号に対して特定のパラメータを含む応答信号が車載ネットワークに流れることが判っているならば、当該特定のパラメータを検出したときに給電条件が成立したと判断することで、車両が当該特定の状態のときのみ外部機器への給電を行うことができるのでよい。
パラメータは、例えば、信号に含まれるデータの内容とするとよい。例えば、パケット通信であれば、パラメータは、パケットの特定ビットの状態とするとよい。例えば、特定の車種において、車両が特定の状態のときには、特定ビット(例えば、パケットのデータ部分の5バイト目の第5ビット)が「1」の応答信号が送信されることが判っているのであれば、当該特定ビットが「1」の信号を検出したときに給電条件が成立したと判断すれば、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。
他の態様として、前記給電判断機能は、前記応答信号の周期に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うとよい。例えば、応答信号がエンジン動作時に得られる程度の短い周期で検出される場合、或いは、応答信号の検出頻度がエンジン動作時と同等レベルの高い頻度のときに、給電条件が成立したと判断するとよい。例えば、エンジンECUの信号が他の信号に比べて周期が短い車両であれば、エンジンECUがウエイクアップしているときの周期あるいは頻度とするとよい。このようにすればエンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器に給電する制御を行うことができるのでよい。
<構成例3>
前記給電判断機能は、前記応答信号の識別情報に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、給電条件の成否判断の更なる容易化、的確化を図ることができるのでよい。例えば、車載ネットワークに特定の識別情報を含む信号が流れているかどうかで給電条件の成否判断を行うとよい。例えば、車載ネットワークに特定の識別情報を含む信号が流れている場合に、給電条件が成立する方向での判断をするとよい。給電条件が成立する方向での判断は、構成例3の条件が成立したときに給電条件が成立したと判断してもよく、他の条件(例えば、構成例2の条件)を同時に満たしたときに給電条件が成立したと判断してもよい。識別情報は、例えば、応答信号を発信したコンピュータを識別するための情報とするとよい。例えば、特定の車種において、車両が特定の状態では、特定の識
別情報を有する信号が車載ネットワークに流れることが判っているのであれば、当該識別情報を含む信号を検出したときに給電条件が成立したと判断することにより、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。或いは、例えば、特定の車種において、車両が特定の状態では、第1の識別情報の打診信号に対して第2の識別情報を有する信号が車載ネットワークに流れることが判っているのであれば、当該第2の識別情報を含む信号を検出したときに給電条件が成立したと判断することにより、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。第1の識別情報と第2の識別情報は、同一でもよく、異なってもよい。第1の識別情報と第2の識別情報が一定の関係があるものとするとよい。例えば、メーカーや車両の種類によっては、打診信号の識別番号に「8」を加算した識別番号の応答信号が出力される場合がある。そのようなメーカーや車両については、第1の識別情報に「8」を加算したものを第2の識別情報とするとよい。例えば、この一定の関係がある第2の識別情報を検出した場合には、給電条件が成立したと判断するとよい。この一定の関係のない第2の識別情報が検出された場合には、給電条件が成立したと判断しないとよい。
<構成例4>
前記給電判断機能は、前記応答信号の識別情報の数に基づいて、給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、給電条件の成否判断の一層の容易化、的確化を図ることができるのでよい。例えば、車載ネットワークを流れる応答信号に含まれる識別情報の種類の数が一定数以上の場合に、給電条件が成立する方向での判断をするとよい。給電条件が成立する方向での判断は、構成例4の条件が成立したときに給電条件が成立したと判断してもよく、他の条件(例えば、構成例2,3の条件)を同時に満たしたときに給電条件が成立したと判断してもよい。例えば、特定の車種において、車両が特定の状態では、識別情報の個数又は種類の数が一定数以上になることが判っているのであれば、当該数が一定数以上のときに給電条件成立したと判断することにより、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。
<構成例5>
前記給電条件の設定を行うための給電条件設定機能と、
前記給電条件設定機能により設定された前記給電条件を記憶する設定条件記憶機能とを更に有し、
前記給電判断機能は、前記設定条件記憶機能に記憶された前記給電条件に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、給電条件の設定を行うことが可能になるのでよい。例えば、新規発売やモデルチェンジのために車載ネットワークの仕様(例えば、車両の状態等に応じてどのような信号が車載ネットワークに流れるのかの仕様)が変わった場合でも、条件設定機能を用いて当該新規発売等の車種の給電条件を設定できるので、多様な車種・メーカーの車両への柔軟な対応が可能になるのでよい。
<構成例6>
前記給電条件設定機能は、ユーザの操作に基づいて、前記給電条件の設定を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、ユーザが任意に給電条件の設定を行うことができるのでよい。例えば、新規発売の車種に電源制御装置を使用したい場合、ユーザは、当該新規発売の車種の給電条件を、例えば、電源制御装置のメーカーから入手し、給電条件設定機能を用いて当該給電条件を設定できるのでよい。入手の方法は、例えば、ウェブサイトからのダウンロ
ードやSDカード等のメディアの配布等とするとよい。
<構成例7>
前記給電条件設定機能は、ユーザが前記外部機器に対して行った操作に基づいて、前記給電条件の設定を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、外部機器への操作により給電条件の設定を行い得るので、ユーザの利便性、操作性が向上するのでよく、また、電源制御機器が操作のための部材を有する必要が無いので電源制御機器の小型化、低コスト化を図り得るのでよい。外部機器は、液晶モニタ等の出力装置やタッチパネル等の入力装置等、操作を行うためのユーザインターフェイスを有するとよい。給電条件設定機能は、外部機器の出力装置に、給電条件の設定の入力を受け付けるための画面を表示させるとよい。電源端子は、ユーザから操作しにくい位置にあることが多く、一方、外部機器は、ユーザが操作し易い位置にある場合が多いので、特に電源制御装置を電源端子付近に設置する場合、構成例7では、ユーザは、操作し難い位置での操作を行わなくてよいのでよい。
<構成例8>
車両が第1の状態のときに前記車載ネットワークを流れる信号に関する情報を記憶する第1情報記憶機能と、
車両が前記第1の状態と異なる第2の状態のときに前記車載ネットワークを流れる信号に関する情報を記憶する第2情報記憶機能と、
を更に有し、
前記給電条件設定機能は、第1情報記憶機能が記憶した情報と、第2情報記憶機能が記憶した情報に基づいて、前記給電条件を設定することを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、第1情報記憶機能が記憶した情報と、第2情報記憶機能が記憶した情報に基づいて、給電条件を自動的に設定することが可能になるのでよい。例えば、第1の状態は、イグニッションオンの状態(例えば、イグニッションスイッチがIG位置)、第2の状態は、イグニッションオフの状態(イグニッションスイッチがOFF位置又はACC位置)とするとよい。
第1情報記憶機能は、第1の状態のときに車載ネットワークを流れるすべての信号に関する情報を記憶するとよい。第2情報記憶機能は、第2の状態のときに車載ネットワークを流れるすべての信号に関する情報を記憶するとよい。特に第1の状態と第2の状態での記憶時間は同一の時間とするとよい。例えば、第1情報記憶機能の情報と第2情報記憶機能の情報との差分の情報を用いて給電条件を決定すると、給電条件の決定が容易になるのでよい。特に、第1情報記憶機能の情報と第2情報記憶機能の情報との差分の識別情報を用いて給電条件を決定すると、給電条件の決定が特に容易になるのでよい。具体的には、例えば、第2の状態のときに流れている全ての信号の識別情報から、第1の状態のときに流れている全ての信号の識別情報を除外したときに残った識別情報を使用することにするとよい。例えば、給電判断機能は、応答信号が上記の「残った識別情報」を含むときに、給電条件が成立したと判断するとよい。「残った識別情報」が複数になる場合も考えられるが、そのような場合は、例えば、周期の短い信号の識別情報を使用することにするとよく、このようにすれば、例えば、エンジンECUの信号が他の信号に比べて周期が短い車両であれば、エンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器に給電する制御をより確実に行うことができるのでよい。ここでは、第1、第2情報記憶機能に記憶する情報として識別情報を使用する場合で説明したが、識別情報に変えて、他のパラメータ(例えば、データの内容)を使用してもよい。パラメータ、データの内容については、上記説明を参照されたい。
例えば、電源制御装置は、(1)ユーザに対して車両を第1の状態(例えば、ACC)にすることを指示し、続いて、(2)車両を第1の状態にしたことの確認の操作をユーザに対して求め、(3)当該操作が検出されたときに車載ネットワークを流れる信号に関する情報を第1情報記憶機能に記憶し、更に、(4)ユーザに対して車両を第2の状態(例えば、イグニッションオンの状態)にすることを指示し、続いて、(5)車両を第2の状態にしたことの確認の操作をユーザに対して求め、(6)当該操作を検出したときに車載ネットワークを流れる信号に関する情報を第2情報記憶機能に記憶するといった方法で学習をさせるとよい。これらの指示の表示や操作の受け付け等は、外部装置を用いて行うと、電源制御装置を簡略化できるのでよい。例えば、(1)では、第1の状態で電源制御装置を車載ネットワークに接続することをユーザに指示し、及び/又は、(2)、(5)では、それぞれ、第1、第2の状態になったことを電源制御装置が自動検出すると、ユーザの操作がより容易になるのでよい。第2の状態になったことは、電源制御装置から車載ネットワークに打診信号を送信し、それに対する応答信号があったことにより判断するとよい。その他、上記手順は適宜変更が可能である。
<構成例9>
複数の前記給電条件を記憶する給電条件記憶機能と、
前記給電条件記憶機能により記憶された前記給電条件のいずれかを選択する給電条件選択機能を更に有し、
前記給電判断機能は、前記給電条件選択機能が選択した前記給電条件に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、複数の給電条件のいずれかを選択でき、選択した給電条件が成立したときに外部機器への給電が行われるため、例えば、仕様(例えば、車両の状態等に応じてどのような信号が車載ネットワークに流れるのかの仕様)が異なる複数種類の車両に応じて、より柔軟に給電を制御できるのでよい。例えば、車種やメーカーにより、車両の状態を判別できる条件が決まっているのであれば、車種やメーカー毎の当該条件を給電条件として記憶しておき、車種やメーカーに応じて給電条件を選択できるようにすれば、複数種類の車種やメーカーの車両に対して、車両の状態に応じて外部機器への給電を行うことができるのでよい。給電条件選択機能は、複数の給電条件を選択可能にしてもよい。その場合、例えば、選択されたいずれか1つの給電条件が成立したときに給電を開始してもよく、選択された給電条件の全部又は2つ以上が成立したときに給電を開始してもよい。
<構成例10>
1つ又は複数の前記給電条件に対応する1つ又は複数の第1切替状態と、1つ又は複数の第2切替状態のいずれかの条件を選択可能なスイッチと、
第1特別給電機能を更に有し、
前記スイッチがいずれかの前記第1切替状態の選択をした場合、前記給電判断機能が当該選択された前記第1切替状態に対応する前記給電条件が成立したと判断したときに、前記給電制御機能は、前記外部機器への給電を行い、
前記スイッチがいずれかの前記第2切替状態を選択した場合、前記第1特別給電機能は、前記給電判断機能による前記給電条件を満たしたか否かの判断とは無関係に前記車載電源から前記外部機器への給電を行うことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、ユーザは、スイッチを第2切替状態にすることにより、給電判断機能による成否判断とは無関係に、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。これにより、電源制御装置に給電条件が記憶又は設定されていない車両(例えば、新規発売の車種)で電源制御装置を使用する場合でも、ユーザは、スイッチを第2切替状態に切り替えることにより、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。よって、給電条件が記憶又は設定されていなから電源供給ができず、電源供給がされていないか
ら給電条件を設定できないというジレンマを防止できるのでよい。スイッチは、例えば、DIPスイッチとするとよい。
<構成例11>
前記給電制御機能による外部機器への電源供給が不可能な切断状態から、前記給電制御機能による外部機器への電源供給が可能な接続状態への移行があったときに、前記給電判断機能による前記給電条件を満たしたか否かの判断とは無関係に前記車載電源から前記外部機器への給電を行う第2特別給電機能を更に有することを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、切断状態から接続状態に移行したときに、給電判断機能による成否判断とは無関係に、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。これにより、給電条件が条件記憶機能により記憶されていない車両(例えば、新規発売の車種や新規メーカーの車両)で電源制御装置を使用する場合でも、電源制御装置を切断状態から接続状態に移行させることで、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。よって、給電条件が設定されていなから電源供給ができず、電源供給がされていないから給電条件を設定できないというジレンマを防止できるのでよい。切断状態は、電源制御装置が車載ネットワークから切断された状態とし、接続状態は、電源制御装置が車載ネットワークに接続された状態とするとよい。切断状態から接続状態への移行は、例えば、電源制御装置のコネクタを車載ネットワークのコネクタに差し込むこととするとよい。この場合、接続状態の継続による電流消費を抑える為、数分程度のタイマーにより自動で切断状態に移行するとよい。またタイマー設定有効・無効もディップスイッチ等で選択可能とするとよい。切断状態はバッテリー切れの状態とし、接続状態はバッテリー切れでない状態としてもよい。
構成例10及び/又は11(特に構成例5〜9のいずれかを引用する構成例10及び/又は11)では、給電判断機能による成否判断とは無関係に車載電源から外部機器への電源供給が行われているときに、給電条件設定機能が設定の操作を受け付けると、給電条件の設定が必要である蓋然性が高いときに、その設定が行われることとなり、ユーザの利便性が向上するのでよい。
<構成例12>
前記打診信号が前記車載ネットワークに接続されたコンピュータを識別するための識別情報を含むことを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、例えば、打診信号の識別情報により車載ネットワーク上のコンピュータを指定し、その指定したコンピュータが発出する応答信号に基づいて給電条件の成否判断を行うことができるのでよい。打診信号は、外部機器に電源を供給すべきに動作している車載ネットワーク上のコンピュータを識別するための識別番号を含むと、外部機器に電源を供給すべきときを的確に判断できるのでよい。例えば、エンジンECUを指定する識別情報を有する打診信号を使用し、エンジンECUからの応答信号があったときに給電条件が成立したと判断すると、エンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器への給電を行う制御ができるのでよい。
<構成例13>
前記打診機能は、前記車載ネットワークに前記打診信号を反復して送信し、
前記給電判断機能は、いずれかの前記打診信号の送信後に前記車載ネットワークを流れる前記応答信号に基づいて、遮電条件の成否判断を行い、
前記給電制御機能は、前記遮電判断機能が前記遮電条件が成立したと判断したときに、前記車載電源から外部機器への給電を遮断することを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、応答信号に基づいて、車載電源から外部機器への給電を遮断する(例えば、給電を終了させる)ことが可能になるのでよい。例えば、応答信号を検出できない場合に給電を遮断するとよい。打診機能は、例えば、打診信号の送信後に車載ネットワークを流れる応答信号を検出したときに、打診信号を送信することを反復して実行するとよい。打診機能は、例えば、打診信号の送信後に一定時間内に車載ネットワークを流れる応答信号を検出したときに、打診信号を送信することを反復して実行するとよい。打診信号の反復の間隔は、一定時間とするとよい。車両の状態を適切に監視して適切な電源供給の制御を行うために、一定時間は、10ミリ秒〜1秒程度とするとよい。各打診信号は、同一構成(例えば、波形、周波数、振幅、パラメータ等が同一)の信号とするとよい。
遮電条件は給電条件とは異なる条件とするとよい。給電判断機能は、例えば、特定のパラメータや識別番号の信号を検出できないときに遮電条件が成立を判断するとよい。給電判断機能は、例えば、特定のパラメータや識別番号の信号を一定時間以上検出できないときに遮電条件が成立を判断するとよい。遮電条件の成否判断のより具体的な態様は、給電条件の成否判断に関して上記したと同様又は類似の態様とするとよい。
<構成例14>
車載ネットワークの信号を常時検査する常時検査機能と、
前記常時検査機能が検出した信号に基づいて、車両の状態を判断する車両状態判断機能と、
前記車両状態判断機能の判断に基づいて、前記車載電源から外部機器への給電を制御する第2給電制御機能を有することを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、車載ネットワークの信号に基づいて判断される車両の状態に応じて外部機器への給電を制御できるのでよい。車両状態判断機能は、例えば、車載ネットワークの信号のパラメータ(例えば、データ内容、識別情報、識別情報の数等)に基づいて車両の状態を判断するとよい。例えば、車両が特定の状態(例えば、イグニッションオンの状態)のときのみ特有のパラメータを含む信号が車載ネットワークに流れることが判っているのであれば、当該パラメータを含む信号を検出したときに、第2給電制御機能が外部機器への給電を行うことで、車両が特定の状態のときに外部機器への給電を行うことが可能になるのでよい。また、当該パラメータを含む信号を検出しないときに、外部機器への給電を遮断することで、車両が特定の状態ではないときには、外部機器への給電を遮断することが可能になるのでよい。このようにすれば、輸入車や最近の車両など、イグニッションオフの状態になった後も暫くの間は、外部からの信号に応答する車両であっても、イグニッションオフの状態のときには、給電を遮断できるのでよい。また、アイドリングストップ車において、交差点等でアイドリングストップしても、イグニッションオンの状態である限り給電が行われるので、アイドリングストップの都度、外部機器の電源が切れてしまう問題も解消できるのでよい。常時検査としては、車載ネットワークの信号を常時検査するとよい。例えば、車載電源のノイズを検出したかどうかとは無関係に、車載ネットワークの信号を検査するとよい。
構成例14の発明は、構成例1〜13のいずれかを引用する構成例であってもよく、構成例1〜13のいずれも引用しない独立の構成例であってもよい。構成例1を引用しない構成例14は、打診信号の送信が不要であり、打診信号によるコンピュータのウエイクアップのために電流消費量が増加する問題を確実に防止できるのでよい。
<構成例15>
前記電源制御装置は、
前記車載ネットワーク及び前記外部機器との間での情報の通信を制御する通信プログラムと、
プログラム更新機能と、
を有し、
前記外部機器は、外部から更新情報の入力を受けるための更新情報入力機能と、前記電源制御装置から受信した情報を表示するための表示プログラムを有し、
前記更新情報入力機能が前記更新情報の入力を受けたときに、前記プログラム更新機能は、前記通信プログラムと前記表示プログラムをセットで更新することを特徴とする電源制御装置。
このようにすれば、車載ネットワークからの情報の取得と、その情報の表示のためのプログラムをセットで更新できるのでよい。例えば、電源制御装置が車載ネットワークからエンジン回転数、車速、水温の情報を取得して外部機器に提供し、当該外部機器がこれらエンジン回転数、車速、水温の情報を表示する場合、外気温の情報を追加で表示させるための更新情報を用いることで、電源制御装置が車載ネットワークからエンジン回転数、車速、水温、外気温の情報を取得して外部機器に提供し、当該外部機器がこれらエンジン回転数、車速、水温、外気温の情報を表示するように、通信プログラム及び表示プログラムをセットで更新できるようにするとよい。
更新情報は、通信プログラム及び表示プログラムの更新を行うための指令、プログラム及び/又はデータとするとよい。更新情報は、例えば、電源制御装置のメーカーのウェブサイトからダウンロードする等の形態で提供するとよい。更新情報入力機能は、例えば、有線又は無線で外部から外部機器に更新情報の入力を行う機能とするとよい。例えば、更新情報を記憶したSDカード等のメディアを外部機器に装着することで、更新情報の入力を行い得るようにするとよい。
構成例15では、電源制御装置がプログラム更新機能を有するが、プログラム更新機能は、外部機器が有してもよく、それら以外の装置・機器が有してもよい。例えば、構成例15の変形形態の構成例として、下記構成例15’とするとよい。
<構成例15’>
前記車載ネットワークと前記外部機器の間での情報の通信を制御する通信プログラムを有する構成例1〜14のいずれかの電源制御装置と、
外部から更新情報の入力を受けるための更新情報入力機能と、前記電源制御装置から受信した情報を表示するための表示プログラムを有する外部機器と、
プログラム更新機能と
を有し、
前記更新情報入力機能が前記更新情報の入力を受けたときに、前記プログラム更新機能は、前記通信プログラムと前記表示プログラムをセットで更新する
ことを特徴とするシステム。
<構成例16>
請求項1〜15及び15’のいずれかに記載の電子機器の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
上述した各構成例等に記載の構成は矛盾の生じない範囲で組み合わせて構成するとよい。また各構成例等に記載の構成要素を矛盾の生じない範囲で任意組み合わせてあらたな構成例を構成するとよい。
図1は、第1実施形態の電源制御装置30を搭載した車両1を示す。図1の車両1は、エンジン2により駆動する。エンジン2の回転軸はベルト等によりオルタネータ3に接続される。オルタネータ3は電機子を回転させることで交流電力を発生する。発生した交流電力は整流されて直流になり、直流の出力端子がカーバッテリー4の正極と接続される。なお、オルタネータ3は、エンジン2に必ずしも直結されているとは限らない。近年の車両では、ECM(エンジンコントロールモジュール)の制御によって、オルタネータ3による発電のタイミングを制御する車両も知られている。カーバッテリー4の正極は、OBDコネクタ6の電源端子(後述する図2(b)のPin16)と接続される。OBDコネクタ6には、電源制御装置30が接続され、さらに外部機器であるレーダー探知機20が電源制御装置30に接続される。
本実施形態では、車両のイグニッションスイッチは、OFF位置、ACC位置、IG位置及びセルスタート位置の4つのいずれかの位置に切り替えることが可能である。イグニッションスイッチがOFF位置又はACC位置のときは、車両は、「イグニッションオフ」の状態(エンジンが始動しない状態)である。イグニッションスイッチがIG位置又はセルスタート位置のときには、車両は、「イグニッションオン」の状態(エンジン始動が可能な状態)である。
エンジン2にはエンジンセンサ12とエンジンセンサ13が接続される。エンジンセンサ12はエンジン2の回転数を計測するセンサであり、エンジンセンサ13はエンジン2の温度(例えば、エンジン冷却水温・エンジン油温・吸入空気温等)を計測するセンサである。タイヤ8は前のタイヤであり、回転センサ10はタイヤ8の回転を検出するセンサである。タイヤ9は後ろのタイヤであり、回転センサ11はタイヤ9の回転を検出するセンサである。
車載ネットワーク7は、複数の車載コンピュータ5が接続されている。例えば、回転センサ10、回転センサ11および図示しない各種のセンサ等が接続された車載コンピュータ5と、エンジンセンサ12、エンジンセンサ13および図示しない各種のセンサ等に接続された車載コンピュータ5も接続されている。複数の車載コンピュータ5には、イグニッションオンの状態のときにのみ起動するエンジンECU等の複数のコンピュータ(以下、「エンジン系コンピュータ」という場合がある。)と、イグニッションスイッチがACC位置のときやドアの開閉があったときなどに起動する複数のコンピュータ(以下、「非エンジン系コンピュータ」という場合がある。)が含まれる。回転センサ10、回転センサ11、エンジンセンサ12、エンジンセンサ13等と車載コンピュータ5は、車両1のイグニッションキーがACC位置又はIG位置になると通電して動作を開始する。車載ネットワーク7には、各車載コンピュータ5が検出した回転センサ10、回転センサ11、エンジンセンサ12、エンジンセンサ13等の検出結果が送出される。また各車載コンピュータ5は、各種センサからの検出結果に基づきエンジンの状態及び車両の状態を判断する。車両の状態としては、バッテリー走行中やアイドリングストップ中であることを含む。
車載ネットワーク7は、CANである。
レーダー探知機20は、速度取締装置が発するレーダー波を探知し、レーダー探知機が無線受信機能を有する場合は受信可能な無線を可能な限り受信し、レーダー探知機がGPS受信機能を有する場合は当該装置に登録済みの附近にある固定型取締装置や過去に取締が行われていた取締エリアなどの情報を通知し、ドライバーに安全運転を促す装置である。
図2は、OBDコネクタ6及び電源制御装置30を示す。OBDコネクタ6は、通信規格の枠を超えて、DTC(SAE J1962規格)と呼ばれる同じ形状・ピン配置を有する。図2(b)にOBDコネクタ6のピン配置を示す。OBDコネクタ6には、タイプAとタイプBがあり、タイプAは運転席からアクセスできる範囲で、車のインパネから1フィート(約30cm)以内の範囲(ステアリング・コラム付近)に設置される。タイプBは、運転席または助手席からアクセスできる範囲で、車のインパネから2.5フィート(約75cm)以内の範囲(センターコンソール付近など)に設置される。図2(b)に示したOBDコネクタ6のピン配置(各位置のピンの有無)により、車載ネットワーク7の種類を知ることができる。OBDコネクタ6のPin7の端子ピンが有れば、K−Lineに接続されていると判断できる。OBDコネクタ6のPin6と14の端子ピンが有れば、CANに接続されていると判断できる。Pin16は電源端子であり、車載電源であるオルタネータ3及び/又はカーバッテリー4と接続されている。OBDコネクタ6のPin16以外の端子を以下では、信号端子と呼ぶ。
電源制御装置30は、箱形の筐体51を有する。筐体51は、プラスチック等、適切な強度を有する材料で形成される。筐体51は、その前後側面及び裏面にそれぞれ接続部52、53及びディップスイッチ54を有する。
接続部52は、OBDコネクタ6を着脱自在に取付可能な形状及び構造を有する。接続部52は、OBDコネクタ6の各Pinに対応する端子を有する。
接続部53は、レーダー探知機20のケーブル21の一端の接続部22を着脱自在及び回転自在に取付可能な形状及び構造を有する。ケーブル21の他端には、外部機器であるレーダー探知機20が接続される。接続部22に対して接続部22を着脱自在に装着できるため、外部機器不使用の際にはケーブル21を取り外すことで、車内スペースの節約が可能である。接続部22が接続部53に対して回転自在であることにより、ケーブル21の引き回し等の利便性が向上する。
図2(c)は、電源制御装置30裏面のディップスイッチ54を示す。ディップスイッチ54は、制御部31の動作設定用の4つの設定スイッチ(番号1〜4)を有する。各スイッチのON/OFFにより、ディップスイッチ54は、16種類の切替状態を取り得る。番号1から3までのディップスイッチがとる0から7の値が順に対応する切替状態1〜8を第1切替状態と呼び、番号4のディップスイッチのオン・オフを第2切替状態と呼ぶ。ユーザは、電源制御装置30を設置する車両の車種(又はメーカー)等に応じて切替状態1〜8のいずれかを選択することができる。
図3は、電源制御装置30のシステム構成を示す。電源制御装置30は、制御部31、記憶部32、ノイズ検出部33及び電源切替部34を有する。
制御部31は、CPU、ROM、RAM、各種の周辺回路、インタフェース等を備えるコンピュータで構成される。制御部31は、ROMに記録されたOSとプログラム記憶部
32aに記憶されたプログラムをRAM上に展開して実行することで、後述の各種処理を実行し、各種の機能を実現する。制御部31には、OBDコネクタ6の信号端子及びレーダー探知機20の制御部23が接続されており、車載ネットワーク7とレーダー探知機20の間での信号の送受信を制御することができる。制御部31は、更に、ノイズ検出部33及び電源切替部34に接続されており、ノイズ検出部33からの信号に基づき、電源切替部34に対して後述のON信号/OFF信号を送信する。
記憶部32は、不揮発性のメモリであるEEPROMで構成される。記憶部32は、プログラム記憶部32aとデータ記憶部32bを有する。
プログラム記憶部32aには、電源制御装置30の各種機能(後述)を実現するために必要な各種プログラムが記憶される。プログラム記憶部32aのプログラムは、車載ネットワーク7とレーダー探知機20の間の通信を制御するための通信プログラムを含む。通信プログラムは、後述の通信制御機能を実現するためのプログラムである。
データ記憶部32bには、電源制御装置30の動作に必要な各種のデータが記憶される。データ記憶部32bは、給電条件記憶部32b1を含む。
給電条件記憶部32b1には、複数の給電条件及び/又は遮電条件が記憶される。複数の給電条件は、切替状態1〜8のそれぞれに対応する第1〜第8給電条件を含む。複数の給電条件と複数の遮電条件は相違しても良いが、本第1実施形態では、同一である。
第1〜第8給電条件は、メーカー等が異なる8種類の車種(以下、「車種A〜H」等という場合がある。)について、車両がイグニッションオンの状態であることを判断するための情報である。例えば、車種Aでは、イグニッションオンの状態のときに、識別情報「xx0」を有する打診信号に対して車載ネットワーク7から識別番号「xx8」を有する応答信号が出力されるものとすると、給電条件記憶部32b1には、第1給電条件として当該応答信号の識別番号である「xx8」が記憶される。例えば、車種Bでは、イグニッションオンの状態のときに、識別情報「xx0」を有する打診信号に対して車載ネットワーク7から識別番号が「xx8」以外の応答信号(例えば、「xyz」)が出力される場合、第2給電条件として当該応答信号の識別番号である「xyz」が記憶される。
給電条件記憶部32b1は、更に、複数の遮電条件が記憶され得る。本第1実施形態では、第1〜第8遮電条件として第1〜第8給電条件が使用されるので、遮電条件は記憶されない。
ノイズ検出部33は、AC成分通過回路41、フィルタ42、増幅回路43、整流回路44、DC変換回路45を有し、電源電圧からノイズを検出する。ノイズは、例えば車両1始動時に発生して電源電圧に重畳されるノイズである。エンジン2を有する車両1の場合、車両1の始動時に発生してノイズ検出部33で検出されるノイズは、エンジン2の始動時に発生する電圧降下を含むノイズである。なお、車両1が、エンジン2ではなく、モーターで駆動されるハイブリッド自動車のバッテリー走行時または電気自動車であれば、車両1の始動時に発生してノイズ検出部33で検出されるノイズは、車両1への電源供給をオンにした際に発生する電圧降下を含むノイズとすればよい。
AC成分通過回路41は、OBDコネクタ6の電源端子(Pin16)と接続され、カーバッテリー4等の出力電圧から直流電圧成分を除去してAC成分のみを通過させる。フィルタ42は、AC成分通過回路41から出力されたAC成分から、さらに検出する目的の周波数帯域の信号のみを抽出するフィルタである。AC成分通過回路41は、検出する目的の周波数に応じて、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタから
選択して使用される。例えば、エンジンの回転数に比例して変化するオルタネータノイズの成分は例えば概ね数十Hz〜数百Hzであり、エアーコンディショナ、ヘッドライトおよびクラクション等の電装品の電源ON/OFF時のノイズ成分はオルタネータノイズよりも高い周波数帯域である。エンジン始動時の電圧降下の幅は狭く例えばμ秒のオーダーであり、周波数は高い。車両1がエンジン2を有する場合も、電気自動車の場合も、電圧降下を含むノイズは低い帯域の周波数であるので、一つのフィルタで検出することができる。以下、検出する目的の周波数がエンジン始動時(車両1が、エンジン2ではなく、モーターで駆動される場合(ハイブリッド自動車のバッテリー走行時または電気自動車)であれば、モーター始動時)の電圧降下の周波数である場合について説明する。
フィルタ42から出力された検出目的の周波数帯域の信号は、増幅回路43で増幅され、整流回路44で整流され、DC変換回路45でDC電圧に変換されて制御部31に制御信号として出力される。ノイズ検出部33は、フィルタ42に電圧降下を含む低い帯域の周波数のノイズを検出できるフィルタを用いることで、エンジン2を有する車両1の始動を的確に検出でき、また、電気自動車の車両1の始動も的確に検出できる。なお、増幅回路43の出力を制御部31のA/Dポートにも接続する(例えば、DC変換の代わりにコンパレータを経由しCPUに入力)とスレッシュレベル(電圧)や検出周波数の設定が任意に出来る様になる。
電源切替部34は、制御部31からの電源制御信号により動作するリレースイッチで構成される。電源制御信号は、規定のしきい値よりもハイレベル側のON信号とローレベル側のOFF信号の何れかである。電源切替部34は、OBDコネクタ6の電源端子(Pin16)とレーダー探知機20に接続され、制御部31からON信号を受信したときに電源端子(Pin16)の電源をレーダー探知機20に供給し、制御部31からOFF信号を受信したときに電源端子(Pin16)からレーダー探知機20への電源供給を遮断する。
レーダー探知機20は、制御部23、記憶部24、インターフェイス部25を有する。制御部23は、CPU、ROM、RAM、各種の周辺回路等を備えるコンピュータで構成される。制御部23は、ROMに記録されたOSと記憶部24に記憶されたプログラムを実行することで、レーダー探知機20の各種機能を実現する。レーダー探知機20の各種機能は、レーダー波の探知を実行し、当該探知の結果や電源制御装置30から受信する各種情報(例えば、車両1のエンジン回転数、車速、水温等)を表示することを含む。記憶部24には、これら各種機能を実現するためのプログラムやデータが記憶される。インターフェイス部25は、情報を入出力するための出力装置や入力装置等を含む。出力装置は、上記各情報を出力するための音声出力装置(スピーカー等)や画像出力装置(液晶モニタ等)等を含む。入力装置は、ユーザが入力や操作を行うためのタッチパネル等の入力操作装置、SDカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取るための読み取り装置や、インターネット等の情報をダウンロードするための通信装置を含む。記憶部24のプログラムには、電源制御装置30から受信する各種情報(例えば、車両1のエンジン回転数、車速、水温等)を画像出力装置において表示させるための表示プログラムが含まれる。
以下、電源制御装置30の機能を説明する。
電源制御装置30は、給電条件記憶機能と、ノイズ検出機能と、信号検査機能と、送受信機能と、給電判断機能と、遮電判断機能と、給電制御機能と、給電条件設定機能と、接続判定機能と、第1,第2特別給電機能を有する。
給電条件記憶機能は、給電条件記憶部32b1が上記第1〜第8給電条件を記憶する機能である。
ノイズ検出機能は、制御部31が、ノイズ検出部33からの信号に基づいて、電源電圧のノイズを検出する機能である。
信号検査機能は、ノイズ検出機能により制御部31がノイズを検出したときに、制御部31が、信号端子を介して車載ネットワーク7上を流れる信号の有無を検査する機能である。
送受信機能は、プログラム記憶部32aの通信プログラムに従って、制御部31が、車載ネットワーク7及びレーダー探知機20との間で通信を行う機能である。送受信機能は、第1打診機能、第2打診機能及び通信機能を含む。
第1打診機能は、信号検査機能により制御部31が車載ネットワーク7上を信号が流れていることを検出したときに、制御部31が信号端子を介して車載ネットワーク7に対して打診信号を送信する機能である。打診信号は、車載ネットワーク7に接続された特定の車載コンピュータ5(例えば、エンジンECU)を特定する識別番号(例えば、「xx0」)を含む信号である。
第2打診機能は、後述の給電判断機能が給電条件の成立を判断してから、後述の遮電判断機能が遮電条件の成立を判断するまでの間、制御部31が信号端子を介して一定の時間間隔(例えば、10ミリ秒〜1秒)で車載ネットワーク7に対して打診信号を反復して送信する機能である。
通信機能は、プログラム記憶部32aに記憶された通信プログラムに従い、制御部31が、車載ネットワーク7及びレーダー探知機20との間で信号の送受信を行う機能である。通信機能により、制御部31は、例えば、エンジン回転数、車速、水温を問い合わせる問合信号を車載ネットワーク7に送信し、車載ネットワーク7から出力されるエンジン回転数、車速、水温を示す回答信号を受信してレーダー探知機20に送信する。当該信号の送受信は、一定の時間間隔(例えば、10ミリ秒〜1秒)で行われる。問合信号には、車載ネットワーク7に接続されたエンジンECU等の特定のコンピュータを指定するための識別情報(例えば、「xx0」)が含まれ、回答信号には、回答信号を発信したコンピュータを特定するするための識別情報(例えば、「xx8」)が含まれる。
給電判断機能は、ディップスイッチ54の状態により指定される第1〜第8給電条件を用いて制御部31が給電条件の成否判断を行う機能である。具体的には、制御部31は、打診機能が打診信号の送信した後の一定時間(例えば、0.5秒程度)に渡り、信号端子を介して車載ネットワーク7を流れる信号を検査し、検出した信号がディップスイッチ54の状態により指定される第1〜第8給電条件を満足している場合には、給電条件の成立を判断し、それ以外の場合は、給電条件の不成立を判断する。例えば、ディップスイッチ54が第1切替状態の場合には第1給電条件が指定されるので、上記一定時間内に「xx8」の識別情報を含む信号(応答信号)が検出された場合に制御部31は給電条件の成立を判断し、それ以外の場合は、給電条件の不成立を判断する。
遮電判断機能は、制御部31が遮電条件の成否判断を行う機能である。具体的には、制御部31は、第2打診機能による打診信号の送信後の一定時間(例えば、0.5秒程度)に渡り、信号端子を介して車載ネットワーク7を流れる信号を検査し、検出した信号がディップスイッチ54の状態により指定される第1〜第8給電条件を満足している場合には、遮電条件の不成立を判断し、それ以外の場合は遮電条件の成立を判断する。例えば、ディップスイッチ54が第1切替状態の場合には第1給電条件が指定されるので、上記一定時間内に「xx8」の識別情報を含む信号(応答信号)が検出された場合に制御部31は
遮電条件の不成立を判断し、それ以外の場合は、遮電条件の成立を判断する。
給電制御機能は、制御部31が、給電判断機能が給電条件の成立を判断した場合に制御部31が電源切替部34に対してON信号を送信し、遮電判断機能が遮電条件の成立を判断した場合に制御部31が電源切替部34に対してOFF信号を送信することにより、制御部31がレーダー探知機20への給電を制御する機能である。電源切替部34に対してON信号が送信されることにより、電源切替部34がONとなり、OBDコネクタ6の電源端子からレーダー探知機20への給電が行われる。電源切替部34に対してOFF信号が送信されることにより、電源切替部34がOFFとなり、OBDコネクタ6の電源端子からレーダー探知機20への給電が遮断される。
図4及び図5は、従来の電源制御装置(図4)と第1実施形態の電源制御装置30(図5)における車載ネットワーク7に対する打診信号及び応答信号の送受信とレーダー探知機20への給電のタイミングチャートを示す。図の「CANBUS」は、車載ネットワーク7に対応する。従来技術の電源制御装置(図4)は、信号検査機能を有さず、ノイズ検査機能が電源のノイズを検出したときに第1打診機能が打診信号を送信する点で電源制御装置30と相違する。
図4(a)に示すように、「1.通常動作時」では、ドアの開閉やイグニッションスイッチがACC位置にされることにより、非エンジン系コンピュータ(図では、「CAN」と示す)がウエイクアップし、車載ネットワーク上に何らかのデータが出現する。電源制御装置(図4)はこれらのデータを検出するとエンジンECU宛に打診信号(「ID:xx0」)をネットワーク上に送信する(*1)が、イグニッションオフの状態では、エンジンECUはネットワーク上に応答信号を返さない(*2)ため、レーダー探知機20への給電は行われない。非エンジン系コンピュータがウエイクアップしている間は、車載ネットワーク7には、非エンジン系コンピュータ等が出力するなんらかの信号(他CANデータ)が流れ続ける。
イグニッションスイッチがIG位置になり、又は、エンジンが始動したときには、それにより発生する電源ノイズ(*3)をノイズ検査機能が検出する。これにより、第1打診機能が打診信号を車載ネットワーク7に送信し(*4)、それに対してエンジン系コンピュータが上記応答信号を車載ネットワーク7に出力する。この応答信号を受信(*5)した給電判断機能が給電条件の成立を判断することで、給電制御機能が電源端子からレーダー探知機20への給電を開始する(*6)。その後、第2打診機能は反復して打診信号の送信を行い(*7)、それに対して、上記応答信号が車載ネットワーク7から受信される(*8)間は給電判断機能が遮電条件の不成立を判断するのでレーダー探知機20への給電が継続するが、イグニッションオフの状態になると、エンジン系コンピュータが非動作となり、打診信号に対する応答信号が出力されなくなる(*9)ため、遮電判断機能が遮電条件の成立を判断し、給電制御機能がレーダー探知機20への給電を遮断する(*10)。
これに対し、「2.スリープ中(車両)にノイズ検出」の場合には、図4(b)に示すように、何らかの原因で発生した電源ノイズ(*11)をノイズ検査機能が検出すると、第1打診機能が打診信号を車載ネットワーク7に送信するが(*12)、エンジン系コンピュータはスリープしているので、車載ネットワーク7に応答信号は出力されず、よって、給電判断機能が給電条件の成立を判断することはなく、レーダー探知機20への給電は行われない。しかし、*12の打診信号の送信により、非エンジン系コンピュータがウエイクアップしてしまい(*13)、そのため、無駄な電流が消費されてしまう。非エンジン系コンピュータのウエイクアップ状態は一定時間続くため、電流消費量は小さくない。また、図示のように、電源ノイズにより打診信号が送信されることによる非エンジン系コ
ンピュータのウエイクアップ(*13)が何度も生じると、電流消費量が大きくなり、例えば、駐車中にバッテリーが上がってしまうことも起こり得る。
図5に示すように、電源制御装置30では、何らかの原因で発生した電源ノイズ(*21)をノイズ検査機能が検出すると、信号検査機能が車載ネットワーク7を流れる信号を検査する(*22)。
このとき、非エンジン系コンピュータがウエイクアップした状態であれば、図5(a)、図5(b)に示すように、車載ネットワーク7の信号を信号検査機能が検出するため、第1打診機能が打診信号を車載ネットワーク7に送信する(*23)。
そして、図5(a)に示すように、イグニッションオンの状態では、*23の打診信号に対して応答信号が出力されるため(*24)、給電判断機能が給電条件の成立を判断し、給電制御機能がレーダー探知機20への給電を開始する(*25)。その後、第2打診機能は反復して打診信号の送信(*26)を行い、それに対して、上記応答信号が車載ネットワーク7から受信される(*27)間は給電判断機能が遮電条件の不成立を判断するのでレーダー探知機20への給電が継続するが、イグニッションオフの状態になると、エンジン系コンピュータがスリープすることにより打診信号に対する応答信号が出力されなくなる(*28)ため、遮電判断機能が遮電条件の成立を判断し、給電制御機能がレーダー探知機20への給電を遮断する(*29)。
一方、イグニッションオフの状態であれば、図5(b)に示すように、*23の打診信号に対する応答信号は出力されない(*30)ため、給電判断機能が給電条件の成立を判断することはなく、給電制御機能によるレーダー探知機20への給電は行われない。
また、ノイズ検査機能による電源ノイズ(*21)の検出があったとしても、非エンジン系コンピュータがスリープしている状態では、信号検査機能が車載ネットワーク7から信号を検出しないため、図5(c)に示すように、第1打診機能による打診信号の送信は行われれない。
図5(a)、図5(b)に示すように、電源制御装置30では、第1打診機能による打診信号の送信は、非エンジン系コンピュータがウエイクアップした状態のときに行われるが(*23)、非エンジン系コンピュータはすでにウエイクアップしているので、電流使用量の増大の問題は生じない。そして、図5(c)に示すように、非エンジン系コンピュータがスリープしている状態では、打診信号の送信は行われない。よって、図4(c)に示したような打診信号の送信(*12)により非エンジン系コンピュータがウエイクアップし(*13)、それにより電流使用量が増加する問題が回避される。
給電条件設定機能は、レーダー探知機20からの情報に基づいて給電条件を設定する機能であり、設定条件記憶機能は、給電条件設定機能により設定された前記給電条件を給電条件記憶部32b1に記憶する機能である。設定条件記憶機能は、第1〜第8給電条件のいずれかを、レーダー探知機20からの情報に基づく給電条件に書き替えることにより当該記憶を実行する。これにより、ユーザは、例えば、ユーザ所有の車両が切替状態1〜8のいずれにも対応していない場合でも、給電条件設定機能を用いて、ユーザ所有の車両についての給電条件を給電条件記憶部32b1に記憶させ、ディップスイッチ54を書き替えられた切替状態1〜8に切り替えることにより、給電制御機能によるレーダー探知機20の給電制御を行うことが可能になる。切替状態1〜8を切り換えるのではなく、ディップスイッチ54で選択可能な他の切替状態(例えば、切替状態10)に記憶させるのもよい。このようにすれば切替状態1〜8を元の設定値に戻す機能も不要になる。
ユーザは、上記給電条件設定機能による給電条件の設定を、レーダー探知機20からの給電条件の入力により行うことができる。レーダー探知機20への給電条件の入力は、例えば、電源制御装置30のメーカーのホームページ等で告知される給電条件をインターフェイス部25の入力操作装置を用いて入力してもよく、インターフェイス部25の読み取り装置を用いてSDカード等の媒体から給電条件を読み取ることで入力してもよい。制御部31は、レーダー探知機20で入力された上記給電条件を接続部22,53を介して受信し、当該受信した給電情報を上記態様で給電条件記憶部32b1に記憶する。
また、第1〜第8給電条件のいずれに対して書き替えを行うかは、インターフェイス部25の入力操作装置への操作により選択することができる。制御部31は、当該選択を行う際の案内画面等をレーダー探知機20の出力装置から出力し、レーダー探知機20の入力操作装置に入力される情報に基づいて、第1〜第8給電条件のどれを書き替えるのかを決定する。
第1特別給電機能は、ディップスイッチ54が第2切替状態である場合に、制御部31が、給電判断機能による給電条件の成否判断とは無関係に、OBDコネクタ6の電源端子からレーダー探知機20への給電を行う機能である。電源制御装置30が第1特別給電機能を有するため、ユーザは、電源制御装置30をOBDコネクタ6及びレーダー探知機20に接続し、ディップスイッチ54を第2切替状態にするだけで、レーダー探知機20への電源供給を受けることが可能になる。よって、ユーザ所有の車両に対する適切なディップスイッチ54の設定をユーザが知らない場合や、ユーザ所有の車両が切替状態1〜8のいずれにも対応していない場合でも、レーダー探知機20を使用することが可能である。また、ユーザは、第1特別給電機能によりレーダー探知機20への給電を受けている状態で、給電条件設定機能を用いて給電条件を設定することもできる。これにより、給電条件が記憶又は設定されていなから電源供給ができず、電源供給がされていないから給電条件を設定できないというジレンマを防止できる。
接続判定機能は、給電制御機能による外部機器への電源供給が不可能な状態である切断状態から、給電制御機能による外部機器への電源供給が可能な状態である接続状態への移行を制御部31が判断する機能である。具体的には、切断状態は、接続部52がOBDコネクタ6に差し込まれていない状態であり、接続状態は、接続部52がOBDコネクタ6に差し込まれ状態である。制御部31は、例えば、OBDコネクタ6の電源端子の電圧を検出することにより切断状態から接続状態への移行を判断する。
第2特別給電機能は、接続判定機能により制御部31が切断状態から接続状態に移行したことを判断した場合に、制御部31が給電判断機能による給電条件の成否判断とは無関係に、OBDコネクタ6の電源端子からレーダー探知機20への給電を行う機能である。電源制御装置30が第2特別給電機能を有することにより、ユーザは、電源制御装置30を切断状態から接続状態にすることにより、レーダー探知機20への電源供給を受けることが可能になる。よって、ユーザ所有の車両に対する適切なディップスイッチ54の設定をユーザが知らない場合や、ユーザ所有の車両が切替状態1〜8のいずれにも対応していない場合でも、レーダー探知機20を使用することが可能であり、また、ユーザは、第2特別給電機能によりレーダー探知機20への給電がなされている状態で、給電条件設定機能を用いて給電条件を設定することもできる。これにより、給電条件が記憶又は設定されていなから電源供給ができず、電源供給がされていないから給電条件を設定できないというジレンマを防止できる。
プログラム更新機能は、レーダー探知機20に入力される更新情報に基づいて、制御部31が、プログラム記憶部32aの通信プログラム及び記憶部24の表示プログラムをセットで更新する機能である。例えば、更新前の通信プログラムが、エンジン回転数、車速
、水温についての上記問合信号を制御部31が車載ネットワーク7に送信し、車載ネットワーク7から出力されるエンジン回転数、車速、水温を示す回答信号を制御部31が受信してレーダー探知機20に送信する通信機能を実現するためのプログラムであり、表示プログラムが、電源制御装置30から受信した上記回答信号に基づき、エンジン回転数、車速、水温を制御部23がレーダー探知機20の画像表示装置に表示させる表示機能を実現するプログラムである場合、プログラム更新機能により、制御部31は、レーダー探知機20に入力される更新情報に基づいて、通信プログラムを、エンジン回転数、車速、水温及び外気温についての問合信号を制御部31が車載ネットワーク7に送信し、車載ネットワーク7から出力されるエンジン回転数、車速、水温及び外気温を示す回答信号を制御部31が受信してレーダー探知機20に送信する機能を実現するプログラムに更新し、かつ、表示プログラムを、電源制御装置30から受信した上記回答信号に基づき、エンジン回転数、車速、水温及び外気温を制御部23がレーダー探知機20の画像表示装置に表示させる機能を実現するプログラムに更新する。
レーダー探知機20への更新情報の入力は、SDカード等のメディアの更新情報をインターフェイス部25の読み取り装置等を用いて読み取ることにより、又は、インターネットの更新情報をインターフェイス部25の通信装置等を用いてダウンロードすることにより行われる。
以上、好ましい実施の形態を説明したが、上記実施の形態における装置、システム、プログラム、機能又はその要素、部材等の形状、寸法、材質、動作態様、制御態様、制御パラメータ、動作態様等は例として記載したものであり、これらは、下記に例示するような変形が可能である。
<第1変形態様>
例えば、上記第1実施形態では、第1打診機能が送信した打診信号に対する応答信号が特定の識別情報を含む場合に給電判断機能が給電条件の成立を判断する場合を説明したが、給電判断機能は、応答信号の識別情報の数や他のパラメータやに基づいて給電条件の成否を判断してもよい。
図6は、特定の車種の車両(図では「車両B」と示す。)において、車両の状態に応じて車載ネットワーク7を流れる信号に含まれる識別情報(その一部を図では「ID例」として示す。)及び識別情報の数(図では「ID数」と示す。)を示す。なお、車両Bは、ハイブリッド車であり、ハイブリッド車は電装品には電力が供給されるが走行できない状態であるIGオン(オンモード)と、走行可能な状態であるReady状態がある。
図示のように、車両Bでは、識別情報「BB2」を有する信号は、イグニッションスイッチがIG位置の場合及びReadyの場合にのみ出力されるため、給電判断機能は、上記第1実施形態と同様、識別情報に基づいて給電条件の成否を判断する(識別情報「BB2」を有する信号を検出したときに給電条件の成立を判断する)ことが可能である。
(第1変形態様−1 識別情報の数による給電条件の成否判断)
しかし、仮に、そのような適切な信号(識別情報「BB2」の信号)が不明であったとしても、イグニッションスイッチがIG位置の場合及びReadyの場合には、それ以外の状態のときと比べて識別情報の数が明らかに多く、識別情報の数が一定数以上(例えば、50以上)のときには、イグニッションスイッチがIG位置又はReadyであると判断することが可能である。これを利用し、第1変形形態−1の電源制御装置30では、給電判断機能は、識別情報の数が一定数以上であることをもって給電条件の成立を判断し、識別情報の数が一定数未満であることをもって遮電条件の成立を判断する。
(第1変形態様−2 応答信号のパラメータによる給電条件の成否判断)
また、識別情報「AA1」を有する信号は、イグニッションスイッチがIG位置の場合及びReadyの場合だけでなく、ウェイクアップ時、ACC時、及び、イグニッションオフの状態にした後のしばらくの時間にも出力されるが、当該信号の5Byte目のD5ビットは、イグニッションオンの状態の場合にのみ状態が切り替わる(「0」→「1」になる)ので、識別情報「AA1」を有する信号の5Byte目のD5ビットが「1」であることをもって給電判断機能が給電条件の成立を判断することが可能である。これを利用し、第1変形形態−2の電源制御装置30では、給電判断機能は、識別情報「AA1」を有する信号の5Byte目のD5ビットが「1」であることをもって給電条件の成立を判断し、当該D5ビットが「0」であることをもって遮電条件の成立を判断する。第1変形形態−2では、給電判断機能は、応答信号の他のパラメータに基づいて給電条件及び遮電条件の成否を判断してもよい。
<第2変形態様>
上記第1実施形態において、識別情報の数による給電条件の成否判断及び/又は応答信号のパラメータによる給電条件の成否判断を選択的に実施可能にしても良い。例えば、第1〜第8給電条件の1つ又は複数は、第1実施形態において説明した情報(識別情報に基づく給電条件の判断のための情報)とし、他の1つ又は複数は、第1変形態様−1に説明した識別情報の数による給電条件の成否判断を行うための情報とし、他の1つ又は複数は、第1変形態様−2に説明した応答信号のパラメータによる給電条件の成否判断を行うための情報とすることができる。このようにすれば、車種等に応じてより適切に車両の状態(イグニッションスイッチがIG位置又はReadyであるかどうか)を判断して給電することが可能になり、より広範な車種への対応が可能になる。
<第3変形形態>
第3変形形態の電源制御装置30は、第1実施形態の電源制御装置30の各機能に加え、更に、常時検査機能と、車両状態判断機能と、第2給電制御機能を有する。
常時検査機能は、制御部31が車載ネットワーク7の信号を常時検査する機能である。
車両状態判断機能は、制御部31が常時検査機能が検出した信号に基づいて、車両の状態を判断する機能である。具体的な判断の態様は、第1変形形態、第1変形形態−1又は第1変形形態−2と同様である。例えば、特定の車種の車両において、車両の状態に応じて車載ネットワーク7を流れる信号に含まれる識別情報及びその数が図6の通りである場合、常時検査機能は、下記(1)〜(3)のいずれかのときに、「イグニッションスイッチがIG位置又はReady」であると判断する。
(1)識別情報「BB2」を有する信号が検出された場合
(2)識別情報の数が一定数以上(例えば、50以上)である場合
(3)識別情報「AA1」を有する信号の5Byte目のD5ビットが「1」である場合
第2給電制御機能は、「イグニッションスイッチがIG位置又はReady」の状態であると常時検査機能が判断した場合にOBDコネクタ6の電源端子からレーダー探知機20への給電を行い、それ以外の状態であると判断した場合にOBDコネクタ6の電源端子からレーダー探知機20への給電を遮断する制御を制御部31が行う機能である。
第3変形形態における給電条件記憶機能は、第1〜第8給電条件の全部又は一部として、1つ又は複数の種類の車両について上記(1)〜(3)の態様での車両の状態の判断を行うための1つ又は複数の情報を給電条件記憶部32b1に記憶する。よって、ユーザが、ユーザ所有の車両に対応してディップスイッチ54を設定することで、第3変形形態の電源制御装置30は、当該ユーザ所有の車両の状態に応じた給電制御を行うことが可能に
なる。
第3変形形態では、輸入車や最近の車両など、イグニッションオフの状態になった後も暫くの間は、外部からの信号に応答する車両であっても、イグニッションオフの状態のときには、給電を遮断できるのでよい。また、アイドリングストップ車において、交差点等でアイドリングストップしても、イグニッションスイッチがIG位置又はReadyの状態である限り、給電が行われるので、アイドリングストップの都度、外部機器の電源が切れてしまう問題も解消できるのでよい。
<第3変形形態−1>
第3変形形態では、ノイズ検出機能と、信号検査機能と、第1、第2打診機能と、給電判断機能と、遮電判断機能と、給電制御機能を省略しても、常時検査機能と、車両状態判断機能と、第2給電制御機能により、上記の給電制御を行うことが可能である。これを利用し、第3変形形態−1の電源制御装置30は、ノイズ検出機能と、信号検査機能と、第1、第2打診機能と、給電判断機能と、遮電判断機能と、給電制御機能を有しない。このようにすることで、電源制御装置30の機能の簡略化/低価格化を図ることができる。
<第4変形形態>
図7は、第4変形形態の電源制御装置30のシステム構成を示す。図示のように、第4変形形態の電源制御装置30は、第1実施形態のシステム構成に加えて、第1情報記憶部32b2と、第2情報記憶部32b3を有する。
第4変形形態の電源制御装置30は、第3変形形態−1の電源制御装置30が有する各機能に加え、第1、第2情報記憶機能及び第2給電条件設定機能を更に有する。
第1情報記憶機能は、車両が第1の状態(例えば、イグニッションオフの状態=イグニッションスイッチが、OFF位置又はACC位置)のときに車載ネットワークを流れるすべての信号に含まれる識別情報を制御部31が第1情報記憶部32b2に記憶する機能である。第2情報記憶機能は、車両が第2の状態(例えば、イグニッションオンの状態=イグニッションスイッチがIG、Ready等の状態)のときに車載ネットワークを流れるすべての信号に含まれる識別情報を制御部31が第2情報記憶部32b3に記憶する機能である。
第2給電条件設定機能は、第1情報記憶部32b2と第2情報記憶部32b3に記憶された識別情報に基づいて給電条件を設定する機能である。具体的には、第1情報記憶部32b2に記憶されたすべての識別情報と第2情報記憶部32b3に記憶されたすべての識別情報の差分の識別情報(すなわち、第2情報記憶部32b3に記憶された識別情報であって、第1情報記憶部32b2には記憶されていない識別情報)を給電条件として給電条件記憶部32b1に記憶する。
より具体的には、第1情報記憶機能は、(1)ユーザに対して車両を第1の状態にすることを指示し、続いて、(2)車両を第1の状態にしたことの確認の操作をユーザに対して求め、(3)当該操作が検出されたときに車載ネットワークを流れる信号に関する情報を第1情報記憶機能に記憶する。第2情報記憶機能は、(4)ユーザに対して車両を第2の状態(例えば、イグニッションオンの状態)にすることを指示し、続いて、(5)車両を第2の状態にしたことの確認の操作をユーザに対して求め、(6)当該操作を検出したときに車載ネットワークを流れる信号に関する情報を第2情報記憶機能に記憶する。これらの指示の表示や操作の受け付けは、レーダー探知機20の入出力装置に対する情報の入出力を通じて行われる。これにより、電源制御装置3を簡略化しつつ、第1、第2情報記憶機能による情報記憶のための操作をユーザが行い易くできるのでよい。例えば、(1)
、(4)では、車両を第1、第2の状態にすることをレーダー探知機20の液晶モニタやスピーカ等によりユーザに指示するとよい。(2)、(5)では、それぞれ、第1、第2の状態になったことを電源制御装置30が自動検出すると、ユーザの操作がより容易になるのでよい。車両がが第1,2の状態になったことは、電源制御装置30から車載ネットワーク7に打診信号を送信し、それに対する応答信号が検出できるかどうかにより判断するとよい。上記(1)〜(6)の実施順序や内容は適宜変更が可能である。
第4変形形態の電源制御装置30の車両状態判断機能は、第2給電条件設定機能により給電条件記憶部32b1に記憶された識別情報を含む信号が車載ネットワーク7に流れているときには、車両の状態が「イグニッションスイッチがIG位置又はReady」であると判断する。
第4変形形態では、第1、第2情報記憶機能に記憶する情報として識別情報を使用する場合で説明したが、識別情報に変えて、他のパラメータ(例えば、データの内容や識別情報の数)を使用する変形形態としてもよい。
<第4変形形態−1>
第4変形形態−1の電源制御装置30では、第2給電条件設定機能は、差分の識別情報が複数ある場合には、そのうちの最も周期の短い信号の識別情報を給電条件として給電条件記憶部32b1に記憶する。例えば、エンジンECUの信号は周期が短いことから、第4変形形態−1では、エンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器に給電する制御をより確実に行うことができるのでよい。
上述した実施形態では、図7に示して説明したように、ノイズ検出部33は、AC成分通過回路41、フィルタ42、増幅回路43、整流回路44、DC変換回路45をそれぞれ介してDC変換回路45から制御部31に入力して、ノイズ検出を行うように構成したが、例えば、DC変換回路45をなくして、整流回路44の出力を制御部31に入力するようにしてもよい。このようにすれば、セルモータ始動時のノイズと、ドアロックに伴う車両のハザード点滅の突入電流による電圧効果ノイズやIGオン時の突入電流による電圧降下のノイズなど、ノイズの種別を判別できる。また、増幅回路43の出力を制御部31に入力するようにしてもよい。このようにすれば、電源に重畳された周波数と電源のレベルとからのノイズの種別を判別できる。
<その他変形例>
車載ネットワークはCANであることが望ましいが、車両メーカーの独自規格のネットワークや、LIN(Local Interconnect Network)、BEAN(Body Electronics Area Network)、高速制御系のFlexRay、情報系のMOST(Media Oriented System Transport)等としてもよい。