JP2021116015A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 後輪の浮き上がりを抑制する制動制御装置において、スリップ誤差と勾配誤差との影響を補償する。【解決手段】 制動制御装置は、後輪の浮き上がりを抑制し、検出減速度を検出する減速度センサと、車輪速度を検出する車輪速度センサと、制動力を調整するアクチュエータと、アクチュエータを制御するコントローラと、を備える。コントローラは、車輪速度に応じた演算減速度が第1しきい値以上である状態が判定時間に亘って継続された時点で第1作動指示を出力し、演算減速度の時間変化量と検出減速度の時間変化量とが一致した場合の演算減速度を基準減速度とし、これに検出減速度の時間変化量を順次積算して積算減速度を演算し、積算減速度が第2しきい値以上になった時点で第2作動指示を出力する。そして、コントローラは、第1作動指示、及び、第作動指示のうちの何れか一方が出力された時点で、前輪の制動力を減少する。【選択図】 図2

Description

本開示は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、「二輪車における後輪浮き上がりを正確かつ迅速に検出する」ことを目的に、以下のことが記載されている。「前輪、後輪の車輪速度Vf,Vrのうち大きい方を選択して擬似車体速度を生成し、その擬似車体速度に基づいて演算した擬似車体減速度に注目し、その擬似車体減速度の低下度合いが所定以上であるとき、後輪浮き上がりが生じている、と判断する。実際の判断に際しては、次のAあるいはBのいずれか一つのとき、擬似車体減速度の低下度合いが所定以上であるとすることができる。(A)その擬似車体減速度が所定以上に低下するという第1条件を充足し、しかも、その第1条件が所定時間以上継続するという第2条件を充足するとき。(B)その擬似車体減速度が所定時間内に所定以上に低下するという第3の条件を充足するとき。」
特許文献2には、「ABS制御の精度を維持しつつ後輪浮き上がりの判定精度を高めることが可能な自動二輪車用ブレーキ制御装置を提供する」ことを目的に、「制御装置20Aは、前輪車輪速度を取得する前輪車輪速度取得手段21と、後輪車輪速度を取得する後輪車輪速度取得手段22と、前輪車輪速度及び後輪車輪速度を用いて推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段23と、前輪車輪速度のみを速度要素として用いて推定車体減速度を算出する推定車体減速度算出手段24と、推定車体速度に基づいて、前輪及び後輪について制動時のスリップを抑制するABS制御手段25と、推定車体減速度が基準減速度よりも高減速である状態が基準時間以上持続した場合に、少なくとも後輪浮き上がりのおそれがあると判定する後輪浮き上がり判定手段26と、少なくとも後輪浮き上がりのおそれがあると判定された場合に、前輪の制動力を減少させる前輪制動力制御手段27と、を備える」ことが記載されている。
特許文献3には、「後輪の浮き上がりを抑制するための前輪ブレーキのブレーキ圧の減圧が不要に実施されることを抑制することのできる車両のブレーキ制御装置を提供する」ことを目的に、「自動二輪車両のブレーキ制御装置の構成要素である電子制御ユニット40は、加速度センサ41の出力GXにフィルタ処理を施した値を出力するフィルタ処理部44と、前輪ブレーキ10の作動中に、フィルタ処理部44の出力値であるフィルタ値により示される車体減速度が規定のリフトアップ判定値以上となったときに、前輪ブレーキ10のブレーキ圧を減圧する減圧制御を行う減圧制御部42と、を備える。こうしたブレーキ制御装置の電子制御ユニット40に、フィルタ処理部44の出力値により示される車体減速度の増加率が規定値以上のときには、同増加率が上記規定値未満のときよりもリフトアップ判定値を大きい値に設定する判定値設定部45を備える」ことが記載されている。
特許文献1、2では、車輪速度に基づいて車体速度が演算され、この車体速度に基づいて車体減速度(以下、「演算減速度Ge」という)が演算される。しかしながら、後輪浮き抑制制御が必要となる場合は、車両が急制動されている場合であり、車輪速度には、車輪スリップ(車輪の回転方向のスリップであり、「減速スリップ」ともいう)が含まれている。ここで、減速スリップに起因する誤差が、「スリップ誤差」と称呼される。
出願人は、特許文献3に示す様な、車体減速度を検出する減速度センサを備えた制動制御装置を開発している。以下、減速度センサによって検出された車体減速度を「検出加速度Gx」と称呼する。検出減速度Gxには、減速スリップの影響が含まれないため、検出減速度Gxに応じて実行される後輪浮き抑制制御は、スリップ誤差の影響を受けない。しかしながら、検出減速度Gxには、走行路面の勾配に起因する誤差が含まれている。該誤差が、「勾配誤差」と称呼される。
後輪浮き抑制制御を実行する車両の制動制御装置においては、上記の2つの誤差の影響が低減され得るものが望まれている。
特開2002−029403号 特開2007−269290号 特開2017−105397号
本発明の目的は、後輪の浮き上がりを抑制する後輪浮き抑制制御を実行する車両の制動制御装置において、スリップ誤差と勾配誤差との影響が好適に補償され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)は、車両の後輪(WHr)の浮き上がりを抑制する後輪浮き抑制制御を実行するものであって、「前記車両の減速度を検出減速度(Gx)として検出する減速度センサ(GX)」と、「前記車両の車輪(WH)の回転速度を車輪速度(Vw)として検出する車輪速度センサ(VW)」と、「前記車両の前輪(WHf)の制動力(Fxf)を調整するアクチュエータ(HU)」と、「前記検出減速度(Gx)、及び、前記車輪速度(Vw)に基づいて前記アクチュエータ(HU)を制御するコントローラ(ECU)」と、を備える。
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記コントローラ(ECU)は、「前記車輪速度(Vw)に基づいて演算された前記車両の減速度である演算減速度(Ge)が第1しきい値(gx1)以上である状態が判定時間(ta)に亘って継続された時点で前記後輪浮き抑制制御の実行を判定して第1作動指示(Hn1=1)を出力する第1判定部(HN1)」と、「前記演算減速度(Ge)の時間変化量(dGe)と、前記検出減速度(Gx)の時間変化量(dGx)とが一致した場合の前記演算減速度(Ge)を基準減速度(gs)とし、前記基準減速度(gs)に前記検出減速度(Gx)の時間変化量(dGx)を順次積算して積算減速度(Gs)を演算し、前記積算減速度(Gs)が第2しきい値(gx2)以上になった時点で前記後輪浮き抑制制御の実行を判定して第2作動指示(Hn2=1)を出力する第2判定部(HN2)」と、を含み、前記第1作動指示(Hn1=1)、及び、前記第2作動指示(Hn2=1)のうちの何れか一方が出力された時点で、前記前輪(WHf)の制動力(Fxf)を減少する。
第1作動指示は、後輪浮き抑制制御の要否判定に時間を要するが、勾配誤差等の影響を受け難い。一方、第2作動指示は、勾配誤差等の影響を受けるが、後輪浮き抑制制御の要否を短時間で判定することができる。上記構成によれば、2つの作動指示のうちの何れか1つが出力された時点で、後輪浮き抑制制御の実行が開始されるため、車輪のスリップ誤差、及び、路面の勾配誤差の影響が好適に補償され得る。
本発明に係る制動制御装置SCの第1の実施形態を説明するための全体構成図である。 後輪浮き抑制制御の演算処理を説明するためのブロック図である。 第1判定ブロックHN1での処理を説明するための時系列線図である。 第2判定ブロックHN2での処理を説明するための時系列線図である。 本発明に係る制動制御装置SCの第2の実施形態を説明するための全体構成図である。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各種記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、車両の前後方向において、それが何れに関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「f」は前輪、「r」は後輪を示す。例えば、車輪において、前輪WHf、及び、後輪WHrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、その総称を表す。例えば、「CWf」は前輪ホイールシリンダを表し、「CWr」は後輪ホイールシリンダを表し、「CW」は前輪、後輪ホイールシリンダを表す。加えて、接続路HSにおいて、マスタシリンダCMに近い側が「上部」と称呼され、ホイールシリンダCWに近い側が「下部」と称呼される。
<本発明に係る制動制御装置SCの第1の実施形態>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る車両の制動制御装置SCの第1の実施形態について説明する。車両としては、自動二輪車(「モータサイクル」ともいう)が想定されている。車両には、2系統の流体路(即ち、2つの制動系統)が採用される。2つの制動系統のうちの一方では、前輪マスタシリンダCMfが、前輪接続路HSfを介して、前輪ホイールシリンダCWfに接続される。2つの制動系統のうちの他方では、後輪マスタシリンダCMrが、後輪接続路HSrを介して後輪ホイールシリンダCWrに接続される。ここで、前輪、後輪接続路HSf、HSr(=HS)は流体路である。「流体路」は、作動液体である制動液BFを移動するための経路であり、制動配管、流体ユニットHUの流路、ホース等が該当する。
制動制御装置SCを備える車両には、制動操作部材BP(=BPf、BPr)、ホイールシリンダCW(=CWf、CWr)、及び、マスタシリンダCM(=CMf、CMr)が備えられる。
制動操作部材BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。例えば、前輪制動操作部材BPfとして、ブレーキレバーが採用され、後輪制動操作部材BPrとして、ブレーキペダルが採用される、また、スクータでは、制動操作部材BPf、BPrとして、共に、ブレーキレバーが採用される。制動操作部材BPが操作されることによって、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWr(=CW)内の液圧(前輪、後輪ホイールシリンダ液圧)Pwf、Pwrが調整される。その結果、前輪、後輪制動トルクTqf、Tqr(=Tq)が調整され、前輪、後輪制動力Fxf、Fxr(=Fx)が発生される。ここで、前輪、後輪ホイールシリンダ液圧Pwf、Pwrは、「前輪、後輪制動液圧Pwf、Pwr(=Pw)」とも称呼される。
車両の車輪WH(=WHf、WHr)には、前輪、後輪回転部材KTf、KTr(=KT)が固定される。そして、回転部材KT(例えば、ブレーキディスク)を挟み込むように前輪、後輪ブレーキキャリパCPf、CPr(=CP)が配置される。ブレーキキャリパCPには、ホイールシリンダCWが設けられ、その内部の制動液BFの圧力(制動液圧)Pwが増加されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)が、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体的に回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルクTqが発生される。この制動トルクTqによって、車輪WHに制動力Fxが生じる。
前輪、後輪マスタシリンダCMf、CMr(=CM)の内部には、前輪、後輪液圧室Rmf、Rmr(=Rm)が形成されている。制動操作部材BPが操作されると、液圧室Rmの体積が減少され、制動液BFが、液圧室Rmから、接続路HSを介して、ホイールシリンダCWに圧送される。つまり、ホイールシリンダCWの液圧Pwが、マスタシリンダCMの液圧(「マスタシリンダ液圧」という)Pmによって増加される。
更に、車両には、前輪、後輪車輪速度センサVWf、VWr(=VW)、及び、前後加速度センサ(「減速度センサ」ともいう)GXが備えられる。各車輪WHに設けられた車輪速度センサVWによって、前輪、後輪車輪速度Vwf、Vwr(=Vw)が検出される。車両の車体に設けられた減速度センサGXによって、車両の前後方向(進行方向)の加速度(前後加速度であり、「検出減速度」ともいう)Gxが検出される。車輪速度Vw、及び、検出減速度Gxの信号は、車輪WHのロック傾向(即ち、過大な減速スリップ)を抑制するアンチロックブレーキ制御、後輪WHrのリフトアップを抑制する後輪浮き抑制制御等の制動力制御に利用される。各センサ(VW等)によって検出された車輪速度Vw、前後加速度(検出減速度)Gxは、制動コントローラECU(単に、「コントローラ」ともいう)に入力される。
≪制動コントローラECU≫
制動制御装置SCは、制動コントローラECU、及び、流体ユニットHUにて構成される。制動コントローラ(「電子制御ユニット」ともいう)ECUは、マイクロプロセッサ等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサにプログラムされた制御アルゴリズム(後輪浮き抑制制御、等)にて構成されている。
車両の重心は路面よりも高い位置にあるため、急制動によって、後輪WHrの荷重が減少し、極端な場合には後輪WHrが路面から離れる状況(「後輪浮き」、又は、「後輪リフトアップ」という)が生じ得る。「後輪浮き抑制制御」は、車輪速度Vw、及び、検出減速度Gxに基づいて、前輪制動力Fxfを減少することによって、該後輪浮きを抑制するものである。後輪浮き抑制制御は、コントローラECUにプログラムされたアルゴリズムである。
制動コントローラECU(電子制御ユニット)によって、流体ユニットHUの電気モータMT、及び、電磁弁VI、VOが制御(駆動)される。具体的には、マイクロプロセッサ内の制御アルゴリズムに基づいて、電磁弁VI、VOを制御するための駆動信号Vi、Voが演算される。同様に、電気モータMTを制御するための駆動信号Mtが演算される。
コントローラECUには、電磁弁VI、VO、及び、電気モータMTを駆動するよう、駆動回路が備えられる。駆動回路には、電気モータMTを駆動するよう、スイッチング素子(MOS−FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によってブリッジ回路が形成される。モータ駆動信号Mtに基づいて、各スイッチング素子の通電状態が制御され、電気モータMTの出力が制御される。また、駆動回路では、駆動信号Vi、Voに基づいて、スイッチング素子が駆動され、電磁弁VI、VOへの通電状態(即ち、励磁状態)が制御される。駆動回路には、電気モータMT、及び、電磁弁VI、VOの実際の通電量を検出する通電量センサが設けられる。例えば、通電量センサとして、電流センサが設けられ、電気モータMT、及び、電磁弁VI、VOへの供給電流が検出される。
≪流体ユニットHU≫
流体ユニットHUは、車輪WHの制動力Fxを個別に制御するアクチュエータである。前輪、後輪マスタシリンダCMf、CMrの前輪、後輪液圧室Rmf、Rmrと、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrとは、前輪、後輪接続路(流体路)HSf、HSr(=HS)にて接続される。接続路HSにおいて、マスタシリンダCMとホイールシリンダCWとの間には流体ユニットHUが設けられる。流体ユニットHUは、インレット弁VI、アウトレット弁VO、電気モータMT、流体ポンプHP、及び、低圧リザーバRWにて構成される。
前輪、後輪インレット弁VIf、VIr(=VI)は、通電に応じて閉弁する、常開型の電磁弁(例えば、オン・オフ弁)である。インレット弁VIは、接続路HSの途中に設けられている。インレット弁VIは、コントローラECUからの駆動信号Viに基づいて制御される。インレット弁VIによって、接続路HSを通じた、ホイールシリンダCWとマスタシリンダCMとの間の制動液BFの移動が、開弁時には許容され、閉弁時には遮断される。
接続路HSにおいて、インレット弁VIとホイールシリンダCWとの間(即ち、インレット弁VIの下部)には、流体路である前輪、後輪戻し路HRf、HRr(=HR)の一方の端部が接続される。戻し路HRの他方の端部は、「前輪、後輪RWf、RWr(=RW)」、及び、「接続路HSにおいて、マスタシリンダCMとインレット弁VIとの間(即ち、インレット弁VIの上部)」に接続される。換言すれば、戻し路HRは、インレット弁VIを迂回するよう、接続路HSにおいて、インレット弁VIの上部と、インレット弁VIの下部とを接続する流体路である。
前輪、後輪アウトレット弁VOf、VOr(=VO)は、通電に応じて開弁する、常閉型の電磁弁(例えば、オン・オフ弁)である。アウトレット弁VOは、戻し路HRに設けられる。アウトレット弁VOは、コントローラECUからの駆動信号Voに基づいて制御される。アウトレット弁VOによって、戻し路HRを通じた、ホイールシリンダCWからマスタシリンダCMの側への制動液BFの移動が、開弁時には許容され、閉弁時には遮断される。
前輪、後輪流体ポンプHPf、HPr(=HP)が、前輪、後輪戻し路HRf、HRr(=HR)に設けられる。また、低圧リザーバRWが、戻し路HRに接続される。詳細には、流体ポンプHPは、アウトレット弁VOと「インレット弁VIの上部における接続路HSと戻し路HRとの接続部」との間に設けられる。また、低圧リザーバRWは、アウトレット弁VOと流体ポンプHPとの間で、戻し路HRに接続される。
2つの流体ポンプHPは、1つの電気モータMTによって駆動される。電気モータMTは、制動コントローラECUからの駆動信号Mtに基づいて制御される。流体ポンプHPによって、制動液BFが、低圧リザーバRW、又は、ホイールシリンダCWから汲み上げられ、インレット弁VIの上部(例えば、マスタシリンダCMの液圧室Rm)に戻される。
アンチロックブレーキ制御、又は、後輪浮き抑制制御によって、ホイールシリンダCW内の液圧(制動液圧)Pwを減少するためには、インレット弁VIが閉位置にされ、アウトレット弁VOが開位置される。制動液BFのインレット弁VIからの流入が阻止され、ホイールシリンダCW内の制動液BFは、低圧リザーバRWに流出し、制動液圧Pwは減少される。また、制動液圧Pwを増加するためには、インレット弁VIが開位置にされ、アウトレット弁VOが閉位置される。制動液BFの低圧リザーバRWへの流出が阻止され、マスタシリンダCMの液圧(マスタシリンダ液圧)Pmが、ホイールシリンダCWに導入され、制動液圧Pwが増加される。更に、ホイールシリンダCW内の液圧(制動液圧)Pwを保持するためには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが、共に閉弁される。つまり、電磁弁VI、VOを制御することによって、制動液圧Pw(即ち、制動トルクTqであり、結果、制動力Fx)が、各車輪WHのホイールシリンダCWにて、独立に調整可能である。
<後輪浮き抑制制御の演算処理>
図2のブロック図を参照して、後輪浮き抑制制御の演算処理について説明する。後輪浮き抑制制御は、演算減速度演算ブロックGE、積算減速度演算ブロックGS、第1判定ブロックHN1(「第1判定部」に相当)、第2判定ブロックHN2(「第2判定部」に相当)、及び、制動力調整ブロックFXにて構成される。なお、以下で説明する演算減速度Ge、検出減速度Gx、及び、積算減速度Gsは、車両を減速する側の値が「正符号(+)」で表される。
演算減速度演算ブロックGEにて、車輪速度Vwに基づいて、演算減速度Geが演算される。具体的には、演算減速度演算ブロックGEでは、先ず、前輪車輪速度Vwf、及び、後輪車輪速度Vwrのうちの速い方の車輪速度に基づいて、車体速度Vxが演算される。車体速度Vxの演算において、その時間変化量において制限が設けられてもよい。即ち、車体速度Vxの増加勾配の上限値αup、及び、減少勾配の下限値αdnが設定され、車体速度Vxの変化が、上下限値αup、αdnによって制約される。次に、車体速度Vxが時間微分されて、演算減速度Geが演算される。つまり、演算減速度演算ブロックGEでは、車輪速度Vwに基づいて車体速度Vxが演算され、車体速度Vxに基づいて演算減速度Geが演算される。演算減速度Geは、後述する第1判定を行うための、車両(車体)の減速度である。演算減速度演算ブロックGEにて演算された演算減速度Geは、第1判定ブロックHN1に加え、積算減速度演算ブロックGSにも入力される。
積算減速度演算ブロックGSにて、検出減速度Gx、及び、演算減速度Geに基づいて、積算減速度Gsが演算される。演算減速度Geは、後述する第2判定を行うための、車両(車体)の減速度である。先ず、積算減速度演算ブロックGSでは、減速度センサGXから検出減速度Gxが取得される。具体的には、コントローラECUでは、アナログ信号である減速度センサGXの出力(検出信号)が、アナログ/デジタル変換回路によって、デジタル信号に変換される。そして、アナログ/デジタル変換後の減速度センサGXの出力にフィルタ処理が施されて、検出減速度Gxが取得(決定)される。
次に、積算減速度演算ブロックGSでは、検出減速度Gx、及び、演算減速度Geに基づいて、積算減速度Gsが演算される。以下、積算減速度Gsの演算方法について述べる(下記の(A)、(B)を参照)。
(A)検出減速度Gxの時間変化量dGx、及び、演算減速度Geの時間変化量dGeが演算される。「時間変化量dGxと時間変化量dGeとが一致しているか、否か」が判定される。そして、時間変化量dGxと時間変化量dGeとが一致した場合における演算減速度Geが基準減速度gsとして決定される。ここで、時間変化量dGxは、「検出勾配」とも称呼され、検出減速度Gxの時間微分値である。また、時間変化量dGeは、「演算勾配」とも称呼され、演算減速度Geの時間微分値である。
例えば、上記判定が、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの偏差(「勾配偏差」ともいう)hGが所定量hx未満になったこと」によって行われる。ここで、所定量hxは、予め設定された所定値(定数)である。更に、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの一致」は、「勾配偏差hGが所定量hx未満である状態が所定時間(「基準時間」という)txに亘って継続された時点(対応する演算周期)」で判定されてもよい。ここで、基準時間txは、予め設定された所定値(定数)である。何れにしても、基準減速度gsは、検出勾配dGxと演算勾配dGeとが一致した場合の演算減速度Geである。
(B)基準減速度gsに検出減速度Gxの時間変化量(検出勾配)dGxが演算周期毎に順次積算されて積算減速度Gsが演算される。つまり、基準減速度gsが設定(決定)された演算周期の次回の演算周期では、以下の式(1)にて、積算減速度Gsが演算される。なお、以下の式において、[n]は今回の演算周期に対応し、[n−1]は前回の演算周期に対応する状態量(変数)を表す。
Gs[n]=gs+dGx[n] …式(1)
初回の積算減速度Gsが演算された後は、前回演算周期の積算減速度Gs[n−1]に、今回演算周期の検出勾配dGx[n]が加算されて、積算減速度Gs[n]が演算される。即ち、式(2)に示す様に、積算減速度Gs[n−1]に、検出勾配dGx[n]が演算周期毎に順次加算されて、積算減速度Gs[n]が演算される。積算減速度演算ブロックGSにて演算された積算減速度Gsは、第2判定ブロックHN2に入力される。
Gs[n]=Gs[n−1]+dGx[n] …式(2)
≪第1指示Hn1≫
第1判定ブロックHN1(第1判定部)にて、演算減速度Geに基づいて、第1指示Hn1が演算され、制動力調整ブロックFXに出力される。第1指示Hn1は、「後輪浮き抑制制御の実行を指示するか、否か」の判定フラグである。第1指示Hn1は、「0」が「実行不要の指示(停止指示)」を表し、「1」が「実行要の指示(作動指示)」を表す。ここで、「Hn1=0」が「第1停止指示」と称呼され、「Hn1=1」が「第1作動指示」と称呼される。
第1判定ブロックHN1では、先ず、「後輪浮き抑制制御の実行指示がされているか、否か」が判定される。例えば、該判定は、「Hn1=1(作動指示)」であるか、「Hn1=0(停止指示)」であるか」に基づいて行われる。「Hn1=0」であり、演算減速度Geに基づく後輪浮き抑制制御の実行が指示されていない場合(第1停止指示の状態)には、次のステップとして、実行開始指示の判定(「第1開始指示」という)が行われる。一方、「Hn1=1」であり、演算減速度Geに基づく後輪浮き抑制制御の実行が指示されている場合(第1作動指示の状態)には、次のステップとして、実行終了指示(「第1終了指示」という)の判定が行われる。
「後輪浮き抑制制御の実行指示を開始するか、否か」の判定(第1作動指示の判定)は、以下の開始条件1aが満足されると、後輪浮き抑制制御の実行指示が開始される。即ち、第1判定ブロックHN1から出力される第1指示Hn1が、「0(停止指示)」から「1(作動指示)」に切り替えられる。
開始条件1a:演算減速度Geが第1開始減速度gx1(「第1しきい値」に相当)以上である状態が判定時間taに亘って継続されること。ここで、第1開始減速度gx1は、第1開始指示用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。また、判定時間taは、上記の基準時間txよりも長い、予め設定された所定値(定数)である。
「Ge≧gx1」が初めて満足された時点から、判定時間ta(所定時間)だけ経過し、開始条件1aが肯定される場合に、「Hn1=1(第1作動指示)」が、第1判定ブロックHN1から出力される。一方、「Ge<gx1」、又は、「Ge≧gx1」ではあるが判定時間taを経過しておらず、開始条件1aが否定される場合には、「Hn1=0(第1停止指示)」が、第1判定ブロックHN1から出力される。
「後輪浮き抑制制御の実行指示を終了するか、否か」の判定(第1停止指示の判定)は、以下の終了条件1bが満足されると、後輪浮き抑制制御の実行指示を終了することが判定される。即ち、第1判定ブロックHN1から出力される第1指示Hn1が、「1」から「0」に切り替えられる。
終了条件1b:演算減速度Geが第1終了減速度gz1未満であること。ここで、第1終了減速度gz1は、第1終了指示用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。第1終了減速度gz1は、第1開始減速度gx1よりも小さい値として設定される(即ち、「gx1>gz1」)。
「Ge≧gz1」であり、終了条件1bが否定される場合には、「Hn1=1(第1作動指示)」が、第1判定ブロックHN1から出力される。一方、「Ge<gz1」であり、終了条件1bが肯定される場合には、「Hn1=0(第1停止指示)」が、第1判定ブロックHN1から出力される。
終了条件として、以下の車体速度Vxに係る終了条件1cが付け加えられてもよい。
終了条件1c:車体速度Vxが第1終了速度vx1未満であること。ここで、第1終了速度vx1は、予め設定された所定値(定数)である。
終了条件1cが採用される場合には、終了条件1b、及び、終了条件1cのうちの何れか1つが、満足される場合に(満足された時点で)、第1判定ブロックHN1からの出力Hn1が、「1(作動指示)」から「0(停止指示)」に切り替えられる。従って、終了条件1b、及び、終了条件1cが共に否定される場合に限って、後輪浮き抑制制御の実行指示(Hn1=1)が継続して出力される。
≪第2指示Hn2≫
第2判定ブロックHN2(第2判定部)にて、積算減速度Gsに基づいて、第2指示Hn2が演算され、制動力調整ブロックFXに出力される。第2指示Hn2は、第1指示Hn1と同様に、「後輪浮き抑制制御の実行を指示するか、否か」の判定フラグである。第2指示Hn2は、「0」が「実行不要の指示(停止指示)」を表し、「1」が「実行要の指示(作動指示)」を表す。ここで、「Hn2=0」が「第2停止指示」と称呼され、「Hn2=1」が「第2作動指示」と称呼される。
第2判定ブロックHN2では、先ず、「後輪浮き抑制制御の実行指示がされているか、否か」が判定される。例えば、該判定は、「Hn2=2(作動指示)」であるか、「Hn2=0(停止指示)」であるか」に基づいて行われる。「Hn2=0」であり、積算減速度Gsに基づく後輪浮き抑制制御の実行が指示されていない場合(第2停止指示の状態)には、次のステップとして、実行開始指示の判定(「第2作動指示」という)が行われる。一方、「Hn2=1」であり、積算減速度Gsに基づく後輪浮き抑制制御の実行が指示されている場合(第2作動指示の状態)には、次のステップとして、実行終了指示(「第2停止指示」という)の判定が行われる。
「後輪浮き抑制制御の実行指示を開始するか、否か」の判定(第2開始指示の判定)は、以下の開始条件2aが満足されると、後輪浮き抑制制御の実行指示が開始される。即ち、第2判定ブロックHN2から出力される第2指示Hn2が「0(停止指示)」から「1(作動指示)」に切り替えられる。
開始条件2a:積算減速度Gsが第2開始減速度gx2以上であること。ここで、第2開始減速度gx2(「第2しきい値」に相当)は、第2開始指示用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。
「Gs≧gx2」であり、開始条件2aが肯定される場合には、「Hn2=1(第2作動指示)」が、第2判定ブロックHN2から出力される。一方、「Gs<gx2」であり、開始条件2aが否定される場合には、「Hn2=0(第2停止指示)」が、第2判定ブロックHN2から出力される。
「後輪浮き抑制制御の実行指示を終了するか、否か」の判定(第2終了指示の判定)は、以下の終了条件2bが満足されると、後輪浮き抑制制御の実行指示を終了することが判定される。即ち、第2判定ブロックHN2から出力される第2指示Hn2が、「1」から「0」に切り替えられる。
終了条件2b:積算減速度Gsが第2終了減速度gz2未満であること。ここで、第2終了減速度gz2は、第2終了指示用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。第2終了減速度gz2は、第2開始減速度gx2よりも小さい値として設定される(即ち、「gx2>gz2」)。
「Gs≧gz2」であり、終了条件2bが否定される場合には、「Hn2=1(第2作動指示)」が、第2判定ブロックHN2から出力される。一方、「Gs<gz2」であり、終了条件2bが肯定される場合には、「Hn2=0(第2停止指示)」が、第2判定ブロックHN2から出力される。
終了条件として、以下の車体速度Vxに係る終了条件2cが付け加えられてもよい。
終了条件2c:車体速度Vxが第2終了速度vx2未満であること。ここで、第2終了速度vx2は、予め設定された所定値(定数)である。
終了条件2cが採用される場合には、終了条件2b、及び、終了条件2cのうちの何れか1つが、満足される場合に(満足された時点で)、第2判定ブロックHN2からの出力Hn2が、「1」から「0」に切り替えられる。従って、終了条件2b、及び、終了条件2cが共に否定される場合に限って、後輪浮き抑制制御の実行指示(Hn2=1)が継続して出力される。
制動力調整ブロックFXにて、第1指示Hn1(第1判定フラグ)、及び、第2指示Hn2(第2判定フラグ)に基づいて、前輪制動力Fxfが調整される。具体的には、第1指示Hn1、及び、第2指示Hn2のうちで、先に、後輪浮き抑制制御の実行が指示された方(即ち、先に作動指示が出力された方であり、「先行指示Hns」という)に基づいて、後輪浮き抑制制御の実行が開始される。つまり、制動力調整ブロックFXでは、第1作動指示(Hn1=1)、及び、第2作動指示(Hn2=1)のうちの何れか一方が出力された時点(該当する演算周期)にて、前輪WHfの制動力Fxfが減少される。
例えば、第1指示Hn1の「0(第1停止指示)」から「1(第1作動指示)」への遷移よりも、第2指示Hn2の「0(第2停止指示)」から「1(第2作動指示)」への遷移が遅い場合には、第1指示Hn1(第1作動指示)が先行指示Hnsである。この場合には、第1指示Hn1が作動指示されたことによって、前輪制動力Fxfの減少が開始される。逆に、第1指示Hn1の「0」から「1」への遷移よりも、第2指示Hn2の「0」から「1」への遷移が早い場合には、第2指示Hn2(第2作動指示)が先行指示Hnsである。この場合、第2指示Hn2が作動指示されたことによって、前輪制動力Fxfの減少が開始される。
図1の制動制御装置SCでは、前輪制動力Fxfは、前輪インレット弁VIfの閉位置にて、前輪マスタシリンダ液圧Pmfに加圧された制動液BFの前輪ホイールシリンダCWfへの供給が遮断されるとともに、前輪アウトレット弁VOfの開位置にて、前輪ホイールシリンダCWf内の制動液BFが前輪低圧リザーバRWfに流出されることによって減少される。
制動力調整ブロックFXでは、第1指示Hn1、及び、第2指示Hn2のうちで、後輪浮き抑制制御が実行開始された側(即ち、先行指示Hns)に対応する方に基づいて、後輪浮き抑制制御の実行が終了され、前輪制動力Fxfが増加される(例えば、マスタシリンダ液圧Pmによって、制動液圧Pwが増加される)。例えば、第1作動指示(Hn1=1)によって、後輪浮き抑制制御が開始された場合には、第1指示Hn1が先行指示Hnsであり、第2停止指示(Hn2=0)が先に出力されたとしても、第1停止指示(Hn1=0)によって後輪浮き抑制制御が終了される。逆に、第2作動指示(Hn2=1)によって、後輪浮き抑制制御が開始された場合には、第2指示Hn2が先行指示Hnsであり、第1停止指示(Hn1=0)が先に出力されたとしても、第2停止指示(Hn2=0)によって後輪浮き抑制制御が終了される。
図1の制動制御装置SCでは、前輪制動力Fxfは、前輪インレット弁VIfの開位置にて、前輪マスタシリンダ液圧Pmfに加圧された制動液BFが前輪ホイールシリンダCWfに供給されるとともに、前輪アウトレット弁VOfの閉位置にて、前輪ホイールシリンダCWf内の制動液BFが前輪低圧リザーバRWfに流出されなくなることによって増加される。
後輪浮き抑制制御が終了された後は、再度、積算減速度Gsの演算(基準減速度gsを決定し、検出勾配dGxを積算すること)、第1指示Hn1の演算、及び、第2指示Hn2の演算が行われる。そして、前回の後輪浮き抑制制御の実行と同様に、第1作動指示、及び、第2作動指示のうちの何れか一方が出力された時点(即ち、先に作動指示が出力された時点)にて、後輪浮き抑制制御が開始され、前輪制動力Fxfが減少される。その後、第1、第2停止指示のうちで、先行指示Hns(実行開始側の判定結果)に対応する方に応じて、後輪浮き抑制制御が終了される。以降、車両が停止、又は、車体速度Vxが所定速度vs未満になるまで、該演算サイクルが繰り返される。
≪第1指示Hn1のメリット/デメリット≫
第1指示Hn1は、演算減速度Geに基づいて判定(決定)される。演算減速度Geは、車輪速度Vwに基づいて演算されるため、車輪WHの減速スリップ(車輪WHの回転方向のスリップであり、車体速度Vxと車輪速度Vwとの差)の影響を受ける。特に、後輪浮き抑制制御が実行される場合は、車体減速度が大きい急制動であるため、減速スリップが増大し易い。演算減速度Geが、車輪WHの減速スリップで発生しているのか、車体の減速度に応じて発生しているのかを識別するため、第1指示Hn1は、所定の判定時間taを経過してから判定される。これは、演算減速度Geが、減速スリップで発生している場合には、アンチロックブレーキ制御の実行により、一旦減少していた演算減速度Geが、再度増加されることに基づく。上記識別には、相対的に長い時間である判定時間ta(予め設定された所定値)を要するため、第1作動指示(Hn1=1)が遅れ、後輪浮き抑制制御の実行開始が遅れることがある。つまり、素早く、前輪制動力Fxfが減少され難い。一方で、第1指示Hn1は、検出減速度Gxを利用しないため、減速度センサGXの誤差(ゼロ点ドリフト、走行路面の勾配誤差、等)の影響を受けない。このため、演算減速度Geによって、意図した車両の減速度にて、後輪浮き抑制制御の実行が開始され得る。
≪第2指示Hn2のメリット/デメリット≫
検出減速度Gxには、ゼロ点ドリフトの誤差が含まれるが、検出勾配dGxは、時間Tに対する変化量であるため、ゼロ点ドリフトの誤差は含まれない。従って、検出勾配dGxが、演算周期毎に、順次積算された、積算減速度Gsは、減速度センサGXのゼロ点ドリフトの影響を受けない。更に、積算減速度Gsは、検出勾配dGxと演算勾配dGeとが一致した場合の演算減速度Geが基準値(基準減速度)gsとされ、その後、検出勾配dGxが積算されて演算されるため、車輪WHの減速スリップの影響を受けない。そして、基準減速度gsを決定されるために採用される基準時間txは、上記判定時間taに比較して短時間に設定され得る。
従って、路面勾配の影響が少ない道路(例えば、平坦路)では、積算減速度Gsに基づく第2作動指示(Hn2=1)は、演算減速度Geに基づく第1作動指示(Hn1=1)よりも早期に行われる。このため、積算減速度Gsに基づく第2作動指示(Hn2=1)は、演算減速度Geに基づく第1作動指示(Hn1=1)よりも早期に行われる。つまり、後輪浮き抑制制御において、積算減速度Gsによって、素早く、前輪制動力Fxfが減少され得る。
しかしながら、減速度センサGXには、ゼロ点ドリフトの他に、走行路面の勾配に起因する誤差(勾配誤差)が含まれている。このため、積算減速度Gsに基づく制御(即ち、第2指示Hn2に応じた制御)では、意図した車両の減速度にて、後輪浮き抑制制御の実行が開始されないことがある。
≪作用・効果≫
制動制御装置SCでは、上述した、第1、第2指示Hn1、Hn2のメリット/デメリットを勘案して、第1作動指示(Hn1=1)、及び、第2作動指示(Hn2=1)のうちの何れか一方が出力された時点で、後輪浮き抑制制御の実行が開始され、前輪WHfの制動力Fxfが減少される。つまり、第1、第2指示Hn1、Hn2がともに停止指示の状態(「Hn1=Hn2=0」の状態)で、第1、第2指示Hn1、Hn2のうちで、先に、作動指示が出力された方(即ち、先行指示Hns)によって、後輪浮き抑制制御の実行が開始される。これにより、路面勾配の影響がない略平坦路では、積算減速度Gsに応じて後輪浮き抑制制御の実行が開始され、適正なタイミングにて、前輪制動力Fxfが減少される。一方、路面勾配の影響によって、積算減速度Gsに基づく第2作動指示(Hn2=1)が行われ難い場合には、演算減速度Geに応じて後輪浮き抑制制御の実行が開始され、確実に、前輪制動力Fxfが減少される。つまり、第1、第2指示Hn1、Hn2のデメリットが相互補完されて、車輪のスリップ誤差、及び、路面の勾配誤差の影響が好適に補償され得る。
<第1判定ブロックHN1での処理>
図3の時系列線図(時間Tに対する状態変数Ge、及び、第1指示Hn1の遷移図)を参照して、第1判定ブロックHN1での演算処理について説明する。線図では、走行中の自動二輪車において、時点u0にて、運転者が急制動を行い、その後、第1指示Hn1が行われる状況が想定されている。なお、状態変数である演算減速度Geは、車両を減速する側の値が「正符号(+)」で表示されている。
時点u0にて、急制動が開始される。演算減速度演算ブロックGEにて、車輪速度Vwに基づいて演算減速度Geが演算される。検出された車輪速度Vwには減速スリップが含まれているため、演算減速度Geは変動し、車両の減速度が正しくは演算されない。
時点u1にて、演算減速度Geが第1開始減速度gx1以上となる。時点u1にて、「演算減速度Geが第1開始減速度gx1以上であること」の時間カウント(積算)が開始される。時点u2にて、演算減速度Geが第1開始減速度gx1未満となる。「Ge≧gx1」の継続時間が、判定時間ta未満であるため、第1指示Hn1は「0」のままである。つまり、「Hn1=1」は出力されない。
時点u3にて、再び、演算減速度Geが第1開始減速度gx1以上となり、継続状態の時間カウントが開始される。時点u4にて、継続時間が判定時間taに達すると、上記の開始条件1aが満足され、第1指示Hn1が、「0(停止指示)」から「1(作動指示)」に切り替えられる。即ち、時点u4にて、「Hn1=1(第1作動指示)」が出力される。その後、「Ge≧gx1」の状態が継続されるため、第1指示Hn1は、「1」に維持される。
時点u5にて、演算減速度Geが第1終了減速度gz1未満となる。時点u5にて、上記の終了条件1bが満足され、第1指示Hn1が、「1(作動指示)」から「0(停止指示)」に切り替えられる。即ち、時点u5にて、「Hn1=1(第1作動指示)」が出力されなくなる。
時点u6にて、再度、演算減速度Geが第1開始減速度gx1以上となり、時点u7にて、「Ge≧gx1」の継続時間が判定時間ta以上となり、第1指示Hn1が、「0」から「1」に切り替えられ、「Hn1=1」が出力される。その後、「Ge≧gx1」の状態が継続されるため、第1指示Hn1は、「1」に維持される。時点u8にて、演算減速度Geが第1終了減速度gz1未満となり、第1指示Hn1が、「1」から「0」に切り替えられ、第1指示Hn1は「0」にされる。以降、該状況が、車両が停止、又は、所定速度vs未満になるまで繰り返される。
<第2判定ブロックHN2での処理>
図4の時系列線図(時間Tに対する状態変数Ge、Gx、Gs、及び、第2指示Hn2の遷移図)を参照して、第2判定ブロックHN2での演算処理について説明する。上記同様に、線図では、走行中の自動二輪車において、時点t0にて、運転者が急制動を行い、その後、第2指示Hn2が行われる状況が想定されている。なお、状態変数Ge、Gx、Gsは、車両を減速する側の値が「正符号(+)」で表示される。また、減速度センサGXの検出信号に応じた検出減速度Gx(破線で示す)においては、ゼロ点が値goだけドリフトしている。
時点t0にて、急制動が開始される。演算減速度演算ブロックGEにて、車輪速度Vwに基づいて演算減速度Geが演算される。検出された車輪速度Vwには減速スリップが含まれているため、演算減速度Ge(実線で示す)は変動し、車両の減速度が正しくは演算されない。
積算減速度演算ブロックGSでは、検出減速度Gxの時間変化量(検出勾配)dGx、及び、演算減速度Geの時間変化量(演算勾配)dGeが演算される。更に、検出勾配dGxと演算勾配dGeとが比較され、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとが一致したか、否か」が判定される。
例えば、時点t1にて、検出勾配dGxと演算勾配dGeとの比較結果(勾配偏差)hG(=|dGx−dGe|)が、所定量hx未満であることが判定される。そして、時点t1から、所定時間tx(基準時間であり、判定時間taよりも小さい所定値)だけ経過した時点t2にて、上記一致の判定が行われる。つまり、時点t2の直前までは、「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの一致」は否定されている。
時点t2において、該時点の演算減速度Geが、基準減速度gsとして設定される(点(S)を参照)。時点t2の次の演算周期において、上記の式(1)に応じて、積算減速度Gsが演算される。その後の演算周期においては、上記の式(2)に応じて、積算減速度Gsが演算される。つまり、積算減速度演算ブロックGSでは、検出減速度Gxの時間変化量dGxと演算減速度Geの時間変化量dGeとが一致した場合の演算減速度Geが基準減速度gsとして決定される。そして、この基準減速度gsに検出減速度Gxの時間変化量dGxが順次積算されることによって、積算減速度Gsが演算される。
検出減速度Gxには、値goのゼロ点ドリフトが含まれるが、検出勾配dGxには、この誤差は含まれない。また、車輪速度Vwには減速スリップが含まれるため、演算減速度Geは振動的になり、演算勾配dGeは変動する。「検出勾配dGxと演算勾配dGeとの一致」は、演算減速度Geの変動が収束したことを意味する。従って、積算減速度演算ブロックGSでは、検出勾配dGxと演算勾配dGeとが一致した場合の演算減速度Geが基準減速度gsとされて、これに、ゼロ点ドリフトの影響を受けない検出勾配dGxが順次加算されることによって、積算減速度Gsが演算される。このため、積算減速度Gsには、ゼロ点ドリフトの影響、及び、減速スリップの影響が共に排除されているため、積算減速度Gsによって、正確に車両の減速度が決定される。
時点t3にて、積算減速度Gsが第1開始減速度gx1以上となる。上記の開始条件2aが満足され、第2指示Hn2が、「0(停止指示)」から「1(作動指示)」に切り替えられる。即ち、時点t3にて、「Hn2=1(第2作動指示)」が出力される。その後、「Ge≧gx2」の状態が継続されるため、第2指示Hn2は、「1」に維持される。
時点t4にて、演算減速度Geが第2終了減速度gz2未満となる。時点t4にて、上記の終了条件2bが満足され、第2指示Hn2が、「1(作動指示)」から「0(停止指示)」に切り替えられる。即ち、時点t4にて、「Hn2=1(第2作動指示)」が出力されなくなる。
時点t5にて、再度、演算減速度Geが第2開始減速度gx2以上となり、第2指示Hn2が、「0」から「1」に切り替えられ、「Hn2=1」が出力される。その後、「Ge≧gx2」の状態が継続されるため、第2指示Hn2は、「1」に維持される。時点t6にて、演算減速度Geが第2終了減速度gz2未満となり、第2指示Hn2が、「1」から「0」に切り替えられ、第2指示Hn2は、「0」にされる。以降、該状況が、車両が停止、又は、所定速度vs未満になるまで繰り返される。
第1、第2開始減速度gx1、gx2は、同じ値として設定される。また、第1、第2開始減速度gx1、gx2は、異なる値として設定されてもよい。同様に、第1、第2終了減速度gz1、gz2は、同じ値として設定される。また、第1、第2終了減速度gz1、gz2は、異なる値として設定されてもよい。
<後輪浮き抑制制御の実行>
第1、第2指示Hn1、Hn2が「0(停止指示)」の状態で、第1、第2指示Hn1、Hn2のうちで、何れか1つが「1(作動指示)」に切り替えられた時点で、後輪浮き抑制制御の実行が開始され、前輪制動力Fxfが減少される。前輪制動力Fxfの減少(後輪浮き抑制制御の実行)は、先行指示Hnsが、「1」から「0」に戻されるまで継続される。そして、先行指示Hnsに応じて、後輪浮き抑制制御の実行が終了され、前輪制動力Fxfが増加される。
基準時間txは、判定時間taよりも短く設定されているため、通常(例えば、平坦路の走行時)は、「Hn1=Hn2=0」の状態で、第1指示Hn1よりも前に、第2指示Hn2が「1」に切り替わる。即ち、第2指示Hn2が、先行指示Hnsとして採用される。そして、積算減速度Gsに応じて後輪浮き抑制制御の実行が開始される。結果、適正なタイミングにて、素早く、前輪制動力Fxfが減少される。
一方、路面勾配の影響によって、「Hn1=Hn2=0」の状態で、第2指示Hn2よりも前に、第1指示Hn1が「1」に切り替わることが生じ得る。この場合には、路面勾配の影響が補償されるように、演算減速度Geに応じて後輪浮き抑制制御の実行が開始される。結果、確実に、前輪制動力Fxfが減少される。なお、第2指示Hn2よりも前に、第1指示Hn1が「1」に切り替わった場合には、積算減速度Gsが一旦リセットされる。つまり、第1指示Hn1が先行指示Hnsとして採用された後、基準減速度gsが、再度、決定され、この基準減速度gsに検出勾配dGxが積算されて、新たに積算減速度Gsが演算される。
2つの指示(判定フラグ)Hn1、Hn2に基づいて、後輪浮き抑制制御が実行されるため、車輪スリップ誤差の影響、及び、路面の勾配誤差の影響が好適に補償され得る。
<本発明に係る制動制御装置SCの第2の実施形態>
図5の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態でも、車両としては、自動二輪車が想定されている。第2の実施形態では、運転者の制動操作に代わって、又は、補助して、自動的に制動力Fxを増加する「自動制動制御」が実行可能とされる。自動制動制御では、車両の前方の物体(障害物)と、車両との相対距離Obに応じた要求減速度Gtに基づいて、車両と障害物との衝突を回避等するよう、ホイールシリンダCWの液圧(制動液圧)Pw(=Pwf、Pwr)がマスタシリンダCMの液圧(マスタシリンダ液圧)Pm(=Pmf、Pmr)から増加される。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
≪運転支援システム≫
第2の実施形態に係る車両には、障害物との衝突を回避、又は、衝突時の被害を軽減するよう、運転支援システムが備えられる。運転支援システムは、距離センサOB、及び、運転支援コントローラECJを含んで構成される。距離センサOBによって、自車両の前方に存在する物体(他車両、固定物、人、自転車、等)と、自車両との間の距離(相対距離)Obが検出される。例えば、距離センサOBとして、カメラ、レーダ等が採用される。相対距離Obは、運転支援コントローラECJに入力される。運転支援コントローラECJでは、相対距離Obに基づいて、要求減速度Gtが演算される。要求減速度Gtは、自動制動制御を実行するための車両減速度の目標値である。制動コントローラECUと運転支援コントローラECJとは、通信バスBSを通して、ネットワーク接続されている。要求減速度Gtは、通信バスBSを介して、制動コントローラECUに送信される。
例えば、要求減速度Gtは、衝突余裕時間Tc、及び、車頭時間Twに基づいて演算される。衝突余裕時間Tcは、自車両と物体とが衝突に至るまでの時間であり、車両前方の物体と自車両との相対的な距離Obが、障害物と自車両との速度差(「相対速度」と称呼し、相対距離Obの時間微分値)によって除算されることによって決定される。車頭時間Twは、前方の物体の現在位置に自車両が到達するまでの時間であり、相対距離Obが、車体速度Vxにて除算されて演算される。要求減速度Gtは、衝突余裕時間Tcが大きいほど、小さくなるように演算される。また、要求減速度Gtは、車頭時間Twが大きいほど、要求減速度Gtが小さくなるように演算される。なお、車体速度Vxは、通信バスBSを介して、制動コントローラECUから送信される。
更に、第2の実施形態に係る車両には、運転者による前輪、後輪制動操作部材(ブレーキレバー、ブレーキペダル)BPf、BPrの前輪、後輪操作量Baf、Bar(=Ba)を検出するよう、前輪、後輪操作量センサBAf、BAr(=BA)が設けられる。例えば、操作量センサBAとして、マスタシリンダ液圧センサPM(=PMf、PMr)、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP(=SPf、SPr)、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFP(図示せず)のうちの少なくとも1つが採用される。つまり、制動操作量Baは、マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、及び、操作力Fpの少なくとも1つである。
≪制動制御装置SC≫
第1の実施形態と同様に、流体ユニットHUは、接続路HSに設けられる。流体ユニットHUは、上述した様に、電気モータMT、流体ポンプHP、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOを含んでいる。更に、流体ユニットHUは、これらに加え、調圧弁UA(=UAf、UAr)、調圧リザーバRC(=RCf、RCr)、マスタシリンダ液圧センサPM(=PMf、PMr)を含んで構成される。
前輪、後輪調圧弁UAf、UAr(=UA)が、前輪、後輪インレット弁VIf、VIr(=VI)の上部(マスタシリンダCMとインレット弁VIとの間の部位)において、前輪、後輪接続路HSf、HSr(=HS)に設けられる。調圧弁UAは、通電量(電流値)に応じて、その開弁量(リフト量)が連続的に制御される常開型のリニア電磁弁(「差圧弁」ともいう)である。
調圧弁UAの上部と、調圧弁UAの下部とを接続するように、前輪、後輪還流路HKf、HKr(=HK)が設けられる。流体路である還流路HKには、前輪、後輪流体ポンプHPf、HPr(=HP)が設けられるとともに、前輪、後輪調圧リザーバRCf、RCr(=RC)に接続される。
流体ポンプHPは、調圧弁UAの上部から制動液BFを吸込み、調圧リザーバRCを介して、調圧弁UAの下部に制動液BFを吐出する。電気モータMTによって流体ポンプHPが回転駆動されると、還流路HKでは、破線矢印で示す様に、制動液BFの前輪、後輪還流KNf、KNr(=KN)が生じる(「HP→UA→RC→HP」の流れ)。ここで、「還流」とは、制動液BFが循環して、再び元の流れに戻ることである。
調圧弁UAによって、還流KNが絞られて、調圧弁UAの上部(即ち、マスタシリンダ液圧Pm)と下部(即ち、制動液圧Pw)との間に圧力差(差圧)Saが発生される。具体的には、コントローラECUによって、常開型の調圧弁UAに通電が行われることで、その開弁量が減少され、ホイールシリンダCWの液圧Pwが、マスタシリンダ液圧Pmから増加するように調節される。例えば、自動制動制御では、制動操作部材BPが操作されていない場合(即ち、「Pm=0」の場合)に、この調圧弁UAのオリフィス効果によって、自動でホイールシリンダ液圧Pwが増加される。自動制動制御では、要求減速度Gtに基づいて、要求減速度Gtが大きいほど、調圧弁UAの開弁量が小さくされ、差圧Sa(結果、制動液圧Pw)が増加される。
前輪、後輪調圧弁UAf、UArの上部には、前輪、後輪液圧室Rmf、Rmrの液圧(マスタシリンダ液圧)Pmf、Pmrを検出するよう、前輪、後輪マスタシリンダ液圧センサPMf、PMrが設けられる。マスタシリンダ液圧センサPM(=PMf、PMr)は操作量センサBAに相当し、マスタシリンダ液圧Pmは操作量Baに相当する。例えば、操作量センサBAとして、操作変位センサSPが採用される場合には、マスタシリンダ液圧センサPMは省略されてもよい。或いは、冗長性を確保するため、マスタシリンダ液圧センサPMと操作変位センサSPとが共に設けられてもよい。
第2の実施形態において、インレット弁VI(常開型オン・オフ電磁弁)、及び、アウトレット弁VO(常閉型オン・オフ電磁弁)は、第1の実施形態と同様に配置される。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、後輪浮き抑制制御では、前輪インレット弁VIf、及び、前輪アウトレット弁VOfの制御によって、前輪制動液圧Pwf(結果、前輪制動力Fxf)が減少される。具体的には、前輪制動力Fxfの減少が必要になった時点で、前輪インレット弁VIfが閉弁され、前輪アウトレット弁VOfが開弁され、前輪制動液圧Pwfが減少される。
第2の実施形態においては、前輪調圧弁UAfによって、後輪浮き抑制制御が行われてもよい。具体的には、前輪制動力Fxfの減少が必要になった時点で、前輪調圧弁UAfへの通電量が減少され、その開弁量が増加される。結果、前輪制動液圧Pwfが減少され、前輪制動力Fxfが減少される。第2の実施形態においても、上記同様の効果(車輪スリップ誤差、路面勾配誤差の影響補償)を奏する。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。
上記実施形態では、車輪WHの制動トルクTq(結果、制動力Fx)を調節するアクチュエータとして、制動液BFを介した液圧式のユニットHUが例示された。これに代えて、電気モータによって駆動される、電動式のアクチュエータが採用され得る。電動式アクチュエータでは、電気モータの回転動力が、直線動力に変換され、これによって、摩擦部材が回転部材KTに押し付けられる。従って、制動液圧Pwに依らず、電気モータによって、直接、制動トルクTqが付与され、制動力Fxが発生される。更に、前輪WHf用として、制動液BFを介した液圧式のアクチュエータが採用され、後輪WHr用として、電動式のアクチュエータが採用された、複合型であってもよい。
上記の実施形態では、車両として、自動二輪車が採用されて、制動制御装置SCが適用された。これに代えて、制動制御装置SCは、四輪車(乗用車、トラック等)にも適用することができる。しかしながら、、及び、を備える制動制御装置SCは、自動二輪車でより効果を発揮する。以下、この理由について説明する。
自動二輪車は旋回する際に車体を傾ける必要があることから、四輪車用タイヤのトレッド面が偏平であるのに対して、二輪車用タイヤは、その断面形状が円に近い形状となっている。このため、自動二輪車においては、旋回のために車体が傾けられると、タイヤ径(車軸とタイヤの接地面との距離)が小さくなり、車輪速度センサVWの検出結果(即ち、車輪速度)Vwが小さくなる。つまり、自動二輪車の車輪速度Vwにおいては、減速スリップ誤差に加え、旋回に起因する誤差(旋回誤差)が含まれる。積算減速度Gsによって、この旋回誤差も補償されるため、制動制御装置SCは、四輪車に適用される場合に比較して、自動二輪車に適用されことが、極めて有効である。
SC…制動制御装置、GE…演算減速度演算ブロック、GS…積算減速度演算ブロック、HN1…第1判定ブロック(第1判定部)、HN2…第2判定ブロック(第2判定部)、FX…制動力調整ブロック、Hn1…第1指示(第1判定フラグ)、Hn2…第2指示(第2判定フラグ)、Hns…先行指示、BP…制動操作部材、CM…マスタシリンダ、CW…ホイールシリンダ、HU…流体ユニット、MT…電気モータ、HP…流体ポンプ、VI…インレット弁、VO…アウトレット弁、UA…調圧弁、ECU…コントローラ、VW…車輪速度センサ、GX…減速度センサ、Vw…車輪速度、Vx…車体速度、Gx…検出減速度、Ge…演算減速度、Gs…積算減速度、gs…基準減速度、dGx…検出勾配(検出減速度Gxの時間変化量)、dGe…演算勾配(演算減速度Geの時間変化量)、Fx…制動力。


Claims (1)

  1. 車両の後輪の浮き上がりを抑制する後輪浮き抑制制御を実行する車両の制動制御装置であって、
    前記車両の減速度を検出減速度として検出する減速度センサと、
    前記車両の車輪の回転速度を車輪速度として検出する車輪速度センサと、
    前記車両の前輪の制動力を調整するアクチュエータと、
    前記検出減速度、及び、前記車輪速度に基づいて前記アクチュエータを制御するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、
    前記車輪速度に基づいて演算された前記車両の減速度である演算減速度が第1しきい値以上である状態が判定時間に亘って継続された時点で前記後輪浮き抑制制御の実行を判定して第1作動指示を出力する第1判定部と、
    前記演算減速度の時間変化量と、前記検出減速度の時間変化量とが一致した場合の前記演算減速度を基準減速度とし、前記基準減速度に前記検出減速度の時間変化量を順次積算して積算減速度を演算し、前記積算減速度が第2しきい値以上になった時点で前記後輪浮き抑制制御の実行を判定して第2作動指示を出力する第2判定部と、を含み、
    前記第1作動指示、及び、前記第2作動指示のうちの何れか一方が出力された時点で、前記前輪の制動力を減少する、車両の制動制御装置。
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