JP2021113910A - 焦点距離可変光学系 - Google Patents
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Abstract
Description
リレーシステムを含んだ焦点距離可変光学系において、結像レンズの焦点距離やリレーレンズの焦点距離などは、合焦位置の変動幅(スキャンレンジ)やストレール比などの性能に関わる。このため、これらのレンズのパワーバランスが適切に設定されないと、スキャンレンジやストレール比などの性能が悪化してしまう。
1.90≦fTube/fR1≦2.15 ・・・(1)
また、本発明の焦点距離可変光学系を用いた顕微鏡では、第1リレーレンズの焦点距離fR1に対する結像レンズの焦点距離fTubeの比率fTube/fR1が小さいほど、スキャンレンジが大きくなる。そこで、本発明では、比率fTube/fR1を2.15以下にすることで、実用的なスキャンレンジを確保することができる。
また、本発明の焦点距離可変光学系を用いた顕微鏡のストレール比を向上させるためには、レンズシステムの有効径に対するレンズシステムの入射瞳径の割合を小さくすることが望ましい。ここで、レンズシステムの入射瞳径は、前述の比率fTube/fR1が大きいほど小さくなる。
そこで、本発明では、前述の比率fTube/fR1を1.90以上に設定することで、レンズシステムの有効径に対するレンズシステムの入射瞳径の割合を十分に小さくすることができる。これにより、本発明の焦点距離可変光学系を用いた顕微鏡のストレール比が0.8以上になり、ほぼ無収差の状態を実現できる。
したがって、本発明では、前述の式(1)を満たす範囲であれば、顕微鏡の総合倍率を一定にするリレーシステムを含みつつ、スキャンレンジやストレール比などの性能を確保することができる。
なお、第2リレーレンズの焦点距離については、顕微鏡の総合倍率の設定に応じて、任意に設定することができる。
X<fR1≦2X・・・(2)
本発明の焦点距離可変光学系では、第1リレーレンズの焦点距離fR1がレンズシステムの前側端面からレンズシステムの前側主点までの距離Xよりも大きいことにより、第1リレーレンズとレンズシステムとが互いに干渉することを好適に防止できる。
また、本発明の焦点距離可変光学系を小型化するためには、第1リレーレンズの焦点距離fR1が前述の距離Xより大幅に大きくなることは好ましくない。本発明の焦点距離可変光学系では、第1リレーレンズ41の焦点距離fR1が距離2X以下に設定されているため、焦点距離可変光学系10を好適に小型化することができる。
fR2=fobj1x×fR1/fTube ・・・(3)
本発明の焦点距離可変光学系は、上述の式(3)を満たすことにより、等倍リレーシステムを構成する。これにより、本発明の焦点距離可変光学系を用いた顕微鏡の総合倍率は、対物レンズの倍率に基づいて通常に期待される倍率となる。
顕微鏡システム1の全体的な構成について説明する。
図1には、本実施形態の焦点距離可変光学系10を含んで構成される顕微鏡システム1が示されている。顕微鏡システム1は、撮像領域におかれたワークの表面に対する合焦位置Zを周期的に変化させつつワークを撮像する装置である。
なお、図1では図示を省略するが、顕微鏡システム1は、レンズシステム5を制御するレンズ制御部や、撮像部6により撮像された画像を処理する画像処理部などをさらに備えてもよい。
第1リレーレンズ41および第2リレーレンズ42は、それぞれ、1以上のレンズによって構成されている。第1リレーレンズ41および第2リレーレンズ42は、リレーシステム4を構成しており、結像レンズ3によって形成される中間像をリレーし、当該中間像を撮像部6の撮像面に再結像させる。
ここで、結像レンズ3と第1リレーレンズ41との間の距離は、結像レンズ3の焦点距離fTubeと第1リレーレンズ41の焦点距離fR1とを合わせた距離に等しい。すなわち、結像レンズ3の後側焦点と、第1リレーレンズ41の前側焦点とは、同じ位置に配置されている。
また、レンズシステム5は、光が通過するための窓部を有しており、レンズシステム5内の液体の屈折率が周期的に変化することにより、レンズシステム5の焦点距離が周期的に変化する。このレンズシステム5によれば、合焦位置Zは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、レンズシステム5の焦点距離の変化と共に周期的に変化する。
本実施形態において、レンズシステム5の有効径Dは、例えば1〜10倍率の対物レンズ2の射出瞳径と同程度(例えば±10%)の範囲内に設定される。
照明部7は、光を出射するLEDなどの光源71と、光源71から出射された光を調整する照明光学系72と、照明光学系72により調整された光を対物レンズ2側に反射するビームスプリッタ73とを含んで構成される。ビームスプリッタ73により反射された光は、対物レンズ2を介してワークに照射される。なお、ビームスプリッタ73は、ワークで反射されて対物レンズ2を通過した光を透過させる。
なお、照明部7は、連続光またはパルス光を照射する。照明部7が連続光を照射する場合、合焦位置Zが連続的に変化しているフォーカルスイープ画像が撮像される。また、照明部7がレンズシステム5の周期に対して任意のタイミングでパルス発光する場合、任意の合焦位置Zで合焦した画像が撮像される。
焦点距離可変光学系10のパワー配置について、図1を参照して説明する。
以下の説明では、レンズシステム5の焦点距離をfsとし、対物レンズ2の焦点距離をfobjとし、結像レンズ3の焦点距離をfTubeとし、第1リレーレンズ41の焦点距離をfR1とし、第2リレーレンズ42の焦点距離をfR2とする。また、結像レンズ3の前側焦点から対物レンズ2の射出瞳までの距離をLaとし、第1リレーレンズ41の後側焦点からレンズシステム5の前側主点Pまでの距離をLbとする。さらに、レンズシステム5の前側端面からレンズシステム5の前側主点Pまでの距離をXとする。
焦点距離可変光学系10では、レンズシステム5の焦点距離fsが変化している間、顕微鏡システム1の総合倍率が変化しないように、レンズシステム5の前側主点Pが対物レンズ2の射出瞳と共役になるように配置されている。
具体的には、顕微鏡システム1の総合倍率βは、以下の式(4)によって表されるため、レンズシステム5は、以下の式(5)が成り立つように配置される。
合焦位置Zは、以下の式(7)によって表されるため、レンズシステム5の前側主点Pが対物レンズ2の射出瞳と共役になるように配置されている場合(前述の式(6)が成り立つ場合)、合焦位置Zに関して、以下の式(8)が成り立つ。
そこで、本実施形態では、前述の比率fTube/fR1を1.90以上に設定することで、レンズシステム5の有効径Dに対するレンズシステム5の入射瞳径の割合を十分に小さくすることができる。これにより、顕微鏡システム1のストレール比が0.8以上になり、ほぼ無収差の状態を実現できる。
1.90≦fTube/fR1≦2.15 ・・・(1)
第1リレーレンズ41の焦点距離fR1は、レンズシステム5の前側端面からレンズシステム5の前側主点Pまでの距離Xよりも大きく設定されることが好ましい。
また、第1リレーレンズ41の焦点距離fR1の上限は、特に限定されるものではないが、第1リレーレンズ41の焦点距離fR1を前述の距離Xよりも大幅に大きく設定することは、焦点距離可変光学系10の大型化につながるため好ましくない。
よって、第1リレーレンズ41の焦点距離fR1は、以下の式(2)を満たすように設定することが好ましい。
X<fR1≦2X ・・・(2)
このような設定によれば、第1リレーレンズ41とレンズシステム5とが互いに干渉することを防止しつつ、焦点距離可変光学系10を小型化することができる。
前述の式(1)〜式(2)が満たされる場合、第2リレーレンズ42の焦点距離fR2は、以下の式(3)を満たすように設定されることが好ましい。なお、fobj1xは、倍率1倍の対物レンズ2の焦点距離である。
fR2=fobj1x×fR1/fTube ・・・(3)
このような構成によれば、焦点距離可変光学系10は、等倍リレーシステムを構成する。これにより、顕微鏡システム1の総合倍率βは、対物レンズ2の倍率に基づいて通常に期待される倍率となる。
以下の設定を有する実施例を用いて、結像レンズ3の焦点距離fTubeと第1リレーレンズ41の焦点距離fR1との比を変化させ、スキャンレンジおよびストレール比をシミュレーションした。
なお、シミュレーションでは、結像レンズ3の焦点距離fTubeを固定したまま第1リレーレンズ41の焦点距離fR1を変更し、焦点距離可変光学系10が等倍リレーを構成するように第2リレーレンズ42の焦点距離fR2を調整した。また、スキャンレンジおよびストレール比の計算には、光学設計シミュレーションソフトを利用した。また、1倍の対物レンズ2の焦点距離fobjx1は200mmとした。
倍率:5倍
焦点距離fobj:40mm
出射瞳径:11.2mm
・レンズシステム5
窓部径:16mm
有効径D:11mm
前側主点位置(前側端面から前側主点までの距離X):25.7mm
光軸方向長さ:74.3mm
・結像レンズ3
焦点距離fTube:100mm
・第1リレーレンズ41
焦点距離fR1:20〜75mm
・第2リレーレンズ42
焦点距離fR2:fobjx1fR1/fTube=2fR1
一般にほぼ無収差となるストレール比は0.8以上であり、本実施例では、比率fTube/fR1が1.90以上の範囲でストレール比が0.8以上になる。
1.90≦fTube/fR1≦2.15 ・・・式(1)
また、スキャンレンジが大きくなり過ぎると、各レンズの設計が困難になるという問題も存在している。
図1に示すように、焦点距離可変光学系10の全長は、fTube+(fR1+fR2)×2+αとなる。ここで、αは、レンズシステムの前側主点Pと後側主点P’との間の距離である。
51.4mm<fTube≦111.4mm
25.7mm<fR1≦55.7mm
fR2=100mm
このような設定によれば、焦点距離可変光学系10の全長は、302.8mm+αから422.8mm+αの範囲に収まる。
ここで、一般的な顕微鏡における倍率1倍の対物レンズの焦点距離は200mm程度であるため、比較例における結像レンズ3の焦点距離fTubeは、例えば200mmに設定される。この場合、焦点距離可変光学系10の全長を前述の実施例と同程度(302.8mm+αから422.8mm+αの範囲)に設定しようとすると、第1リレーレンズ41および第2リレーレンズ42の各焦点距離fR1,fR2は、それぞれ25.7mm〜55.7mmに設定される。このとき、第1リレーレンズの焦点距離fR1に対する結像レンズ3の焦点距離fTubeの比率fTube/fR1は、3.6〜7.8となるため、スキャンレンジが大幅に小さくなってしまう(図3参照)。また、スキャンレンジを確保するために、第1リレーレンズ41の焦点距離fR1を大きく設定した場合、焦点距離可変光学系10の全長は、実施例よりも大幅に大きくなってしまう。
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、焦点距離可変光学系10が等倍リレーを構成しているが、本発明はこれに限られず、第2リレーレンズ42の焦点距離fR2を変更することにより、対物レンズ2の倍率に基づいて通常に期待される倍率とは異なる倍率を実現してもよい。
Claims (3)
- 無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる焦点距離可変光学系であって、
前記対物レンズからの平行光束を集光して中間像を形成する結像レンズと、
物体側から順に第1リレーレンズおよび第2リレーレンズを含み、前記中間像を無限遠にリレーするリレーシステムと、
前記第1リレーレンズと前記第2リレーレンズとの間に配置され、入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体共振式のレンズシステムと、を備え、
前記レンズシステムの前側主点は、前記対物レンズの射出瞳に対して共役になるように配置され、
前記結像レンズの焦点距離をfTube、前記第1リレーレンズの焦点距離をfR1とするとき、以下の式(1)を満足することを特徴とする焦点距離可変光学系。
1.90≦fTube/fR1≦2.15 ・・・(1) - 請求項1に記載の焦点距離可変光学系において、
前記レンズシステムの前側端面から前記レンズシステムの前記前側主点までの距離をXとするとき、以下の式(2)を満足することを特徴とする焦点距離可変光学系。
X<fR1≦2X・・・(2) - 請求項1または請求項2に記載の焦点距離可変光学系において、
前記第2リレーレンズの焦点距離をfR2、倍率1倍の前記対物レンズの焦点距離をfobj1xとするとき、以下の式(3)を満足することを特徴とする焦点距離可変光学系。
fR2=fobj1x×fR1/fTube ・・・(3)
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