JP2021111467A - フィラメントランプ - Google Patents

Abstract

【課題】 発光管内に形成された反射膜の剥離が抑制されたフィラメントランプを提供する。【解決手段】 光に対して透過性を示す筒状の発光管と、前記発光管内において、前記発光管の管軸方向に沿って延伸するフィラメントと、前記発光管の前記管軸方向に延伸し、前記発光管の前記管軸方向と直交する平面で切断したときの断面形状が、前記発光管の内壁面の周方向に関し、第一端部と第二端部とを有するように形成された反射膜と、前記発光管の内壁面上に、前記発光管の前記管軸方向に向かって、前記第一端部に接触するように延伸する第一保護膜と、前記発光管の前記管軸方向に向かって、前記発光管の内壁面上に、前記第二端部に接触するように延伸する第二保護膜とを備える。【選択図】 図２

Description

本発明は、フィラメントランプに関し、特に加熱対象物に対して光を照射することで加熱するフィラメントランプに関する。

従来、製造プロセスにおいて加熱対象物（以下、「ワーク」と称する。）の熱処理を行う装置の一つとして、発光管内にフィラメントを有するフィラメントランプを用いた加熱装置が知られている。当該加熱装置は、光を照射することで加熱する方式であるため、ワークを非接触で加熱することができる。また、フィラメントランプの熱源として一般的に用いられるタングステンは、熱容量が小さいため、放射の立ち上がりが早く、ワークを急速に加熱できるという特徴がある。

このようなフィラメントランプに関しては、フィラメントから放射される光が効率的にワークに照射されるように、発光管の壁面に反射膜が設けられたフィラメントランプや、ハロゲン電球が知られている（例えば、特許文献１及び２参照）。

特開２００８−０７８０６５号公報 特公昭５０−２７３１６号公報

近年、半導体ウェハや液晶ガラスの処理に用いるための、クリーンで、かつ、急速に昇降温が可能な加熱装置が期待されている。そこで、本発明者らは、発光管内にフィラメントを配置したフィラメントランプを検討したところ、次のような課題が存在することを見出した。以下、図面を参照しながら説明する。

図１０は、従来のフィラメントランプ１００の構成を模式的に示す側面図である。図１１は、図１０のフィラメントランプ１００のうち、サポーター部を有する箇所の断面をＸ方向に見たときの模式的な図面である。図１０及び図１１に示すように、従来のフィラメントランプ１００は、発光管１０１の内壁面１０１ｂに反射膜１０２が形成され、発光管１０１内には管軸１０１ａに沿ってフィラメント１０３が配置されている。

フィラメント１０３は、Ｘ（管軸）方向に複数配置されたサポーター１０４によって軸が発光管１０１の管軸１０１ａから大きくずれないように支持される。なお、以下説明においては、発光管１０１の管軸方向をＸ方向とし、フィラメントランプ１００とワークＷが対向する方向をＺ方向、Ｘ方向とＺ方向に直交する方向をＹ方向として説明する。

本明細書では、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「＋Ｚ方向」、「−Ｚ方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Ｚ方向」と記載される。

図１１に示すように、反射膜１０２は、ワークＷに向かって光を出射するために、発光管１０１の内壁面１０１ｂの周方向に関しては、一部に形成される。すなわち、反射膜１０２は少なくとも二つの端部１０２ａを有し、Ｘ方向に関しては、当該形状が延伸するように形成されている。また、従来のフィラメントランプ１００は、ワークＷに対して均一な光を照射するために、反射膜１０２は、周方向全体にわたって一様な厚さとなるように構成される。ここで、膜厚とは、管軸に対して直交する面で切断したときの断面における、発光管の内壁面から管軸に向かう方向（径方向）での幅をいう。

従来のフィラメントランプ１００は、発光管１０１の周方向に関する反射膜１０２の端部１０２ａにおいて、端面が露出しており、フィラメント１０３やサポーター１０４との引っ掛かりが生じやすく、反射膜１０２が発光管１０１の内壁面１０１ｂから剥がれやすい。これにより、発光管１０１内にフィラメント１０３を挿入する工程や、使用時及び搬送時の振動等によって、反射膜１０２が端部１０２ａから次々と剥離するという現象が発生していた。

反射膜１０２が、図１１に示すように、発光管１０１の内壁面１０１ｂに形成されている場合、剥離した反射膜１０２の一部がワークＷに落下してしまうおそれはない。しかしながら、反射膜１０２が発光管１０１から剥がれ落ちると、ワークＷとは反対側に向かって進行する光を、ワークＷ側に向かうように反射する機能が低下してしまい、反射膜１０２が剥がれた部分だけ、ワークＷに照射される光の強度分布が低下してしまうという問題があった。

また、剥離した反射膜１０２は、発光管１０１内に留まるため、フィラメント１０３から放射される光の進行を阻害する要因ともなり、結果として、光出力の低下や、ワークＷに対して照射される光の強度分布が不均一となってしまう。

本発明は、上記課題に鑑み、発光管内に形成された反射膜の剥離が抑制されたフィラメントランプを提供することを目的とする。

本発明に係るフィラメントランプは、
光に対して透過性を示す筒状の発光管と、
前記発光管内において、前記発光管の管軸方向に沿って延伸するフィラメントと、
前記発光管の前記管軸方向に延伸し、前記発光管の前記管軸方向と直交する平面で切断したときの断面形状が、前記発光管の内壁面の周方向に関し、第一端部と第二端部とを有するように形成された反射膜と、
前記発光管の内壁面上に、前記発光管の前記管軸方向に向かって、前記第一端部に接触するように延伸する第一保護膜と、
前記発光管の内壁面上に、前記発光管の前記管軸方向に向かって、前記第二端部に接触するように延伸する第二保護膜とを備えることを特徴とする。

上述したように、発光管の内壁面に形成された反射膜は、発光管の周方向に関する第一端部と第二端部で剥離が生じやすい。そこで、本発明のフィラメントランプは、発光管の管軸方向に向かって反射膜の第一端部と第二端部に接触するように延伸する保護膜が設けられている。

本明細書における光に対して透過性を有するとは、少なくとも、ワークの加熱に用いられる光である近赤外線の透過率が８０％以上であればよく、必ずしも可視光に対して高い透過率を有していなくてもよい。なお、一般的には、近赤外線の波長帯域は、波長８００ｎｍ以上２５００ｎｍ以下の範囲とされており、可視光の波長帯域は、波長３８０ｎｍ以上７８０ｎｍ以下の範囲とされている。

上記構成とすることで、フィラメントやサポーターが反射膜の第一端部及び第二端部と引っ掛かることや、発光管と反射膜との隙間に入り込むことが抑制され、反射膜の剥離が抑制される。

また、発光管の内壁面上に保護膜が形成されることによって、発光管の熱容量が増加し、保護膜と発光管の内壁面との間には、僅かながらも空隙が形成されるため、フィラメントから放射される熱が、発光管に伝わりにくくなる。したがって、保護膜が形成された発光管は、保護膜が形成されていない発光管と比較して、温度の上昇が抑制され、発光管の負荷が軽減され、結果として、フィラメントランプの長寿命化にもつながる。

さらに、反射膜が発光管の内壁面に形成されていることで、剥がれてしまった反射膜がワークの表面に落下してしまうおそれがない。すなわち、半導体製造プロセス等のクリーン度が要求される用途において、安心して用いることができる。また、反射膜が発光管の外壁面に形成されている場合は、フィラメントから放射された光のうち、反射膜で反射されてワークに向かう光が発光管を通過するのは計三回であるが、反射膜を発光管の内壁面に形成した場合には、フィラメントから放射された光が発光管を通過するのは一回だけのため、光エネルギーの損失が最小限に抑えられる。

上記フィラメントランプにおいて、
前記反射膜、前記第一保護膜及び前記第二保護膜は、前記発光管の前記管軸方向に関し、前記発光管の一端部から他端部にわたって形成されていても構わない。

上記構成とすることで、発光管の管軸方向において、反射膜が形成されている部分と形成されていない部分とが混在することがなく、フィラメントから放射されてワークに向かう光の強度分布の均一性が向上される。

上記フィラメントランプは、
前記周方向に関し、前記反射膜、前記第一保護膜及び前記第二保護膜の厚さが略同一であっても構わない。

周方向に関し、反射膜、第一保護膜及び第二保護膜の厚さが略同一であることにより、フィラメントやサポーターと反射膜の第一端部及び第二端部が引っ掛りにくくなり、反射膜が発光管から剥がれることを、さらに抑制することができる。なお、ここでの厚さが略同一とは、発光管の管軸方向に直交する面で切断したときの、断面における反射膜、第一保護膜及び第二保護膜の厚さの最大値と最小値との差が最小値に対して２０％以内の範囲をいう。

上記フィラメントランプにおいて、
前記第一保護膜と前記第二保護膜は、光に対して透過性を示すものであっても構わない。

第一保護膜及び第二保護膜が光に対して透過性を有することで、フィラメントから放射されて、それぞれの保護膜に向かって進行した光は、保護膜を透過してワークに向かって進行することができる。

さらに、上記フィラメントランプにおいて、
前記第一保護膜と前記第二保護膜は、前記発光管の前記周方向に沿って結合し、一体として構成されていても構わない。

上記構成とすることで、保護膜は、反射膜が形成されていない領域に大きく一体として形成されるため、フィラメントランプの製造が容易となる。また、発光管の光を出射する領域に一様に保護膜が形成されるため、ワークに対して照射される光の強度分布の均一性が向上される。

上記フィラメントランプの前記発光管の前記内壁面上には、前記発光管の管軸方向に関し、前記反射膜の少なくとも一方の端部に、前記反射膜と接触するように保護部が形成されていても構わない。

上記構成とすることで、フィラメントランプの製造時、発光管内にフィラメントを挿入する工程において、発光管内に形成された反射膜の管軸方向における端部は、保護膜によって保護されるため、フィラメントやサポーターと反射膜とが引っ掛かりにくくなり、反射膜が剥がれてしまうことが抑制される。

上記フィラメントランプにおいて、
前記反射膜は、前記管軸方向に見たときに、前記発光管の内壁面の周方向に関し、管軸を中心として９０°以上２７０°以下の範囲にわたって形成されていても構わない。

発光管の内壁面上の反射膜が形成されている範囲が狭すぎる場合は、発光管内のフィラメントからワークとは反対側に放射された光を、僅かしかワークに向かうように反射できない。また、発光管の内壁面上の反射膜が形成されている範囲が広すぎる場合は、発光管の外側に光を取り出すための開口領域が狭くなり、ワークに照射される光の量が著しく低下してしまう。

そこで、反射膜が上記範囲内で形成されることで、ワークとは反対側に向かって進行する光は十分にワークに向かうように反射されると共に、発光管の外側に光を取り出すための開口領域が十分に確保され、ワークに照射される光の量が著しく低下しないように構成することができる。つまり、フィラメントから放射された光が無駄なくワークに照射されるため、効率よくワークを加熱処理することができる。

上記フィラメントランプにおいて、
前記発光管は、前記管軸方向と直交する断面で切断したときの断面が円形状、又は楕円形状を呈するものであっても構わない。

発光管を管軸方向と直交する断面で切断したときの断面が四角形や六角形等の多角形状であった場合、管軸方向に見たときに円形状であるフィラメントから放射された光が、それぞれの辺の角度で決まる反射角で反射されることになり、ワークに向かって光を集光することが難しい。

発光管を管軸方向と直交する断面で切断したときの断面が円形状や楕円形状であれば、発光管の径や曲率を調整することによって、フィラメントから放射された光をワークに向かって容易に集光させることができる。

上記フィラメントランプにおいて、
前記反射膜は、前記管軸方向に見たときに、前記発光管の内壁面の周方向に関し、管軸を中心としてシリカ９０°以上２７０°以下の範囲にわたって形成されていても構わない。

上記フィラメントランプにおいて、
前記反射膜は、シリカを主たる成分とする粒子が凝集されて形成されており、前記粒子のうち、シリカ粒子の平均粒径が０．５μｍ以上１．５μｍ以下であっても構わない。

上記構成とすることで、フィラメントから放射され、加熱に用いられる近赤外線が、効率よくワークに向かうように反射される。また、反射膜を構成する粒子の主たる成分は、特に耐熱性が高く、熱による膨張や収縮の影響が小さいシリカであることが好ましい。

本発明によれば、発光管内に形成された反射膜の剥離が抑制されたフィラメントランプが実現される。

フィラメントランプの一実施形態の構成を模式的に示す側図面である。 図１Ａのフィラメントランプの保護膜を図示しない場合の側面図である。 図１ＡのフィラメントランプをＸ方向に見たときの断面図である。 図１Ａのフィラメントランプの反射膜の拡大図である。 フィラメントランプの一実施形態の構成を模式的に示す側図面である。 図４ＡのフィラメントランプをＸ方向に見たときの断面図である。 フィラメントランプの一実施形態をＸ方向に見たときの断面図である。 フィラメントランプの一実施形態をＸ方向に見たときの断面図である。 フィラメントランプの一実施形態の構成を模式的に示す側面図である。 フィラメントランプの製造工程を模式的に示す図面である。 フィラメントランプの製造工程を模式的に示す図面である。 フィラメントランプの別実施形態の構成を模式的に示す側面図である。 従来のフィラメントランプの構成を模式的に示す側面図である。 図１０のフィラメントランプのうち、サポーター部を有する箇所の断面をＸ方向に見たときの模式的な図面である。

以下、本発明に係るフィラメントランプの各実施形態について、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、実際の寸法比と図面上の寸法比とは必ずしも一致していない。

図１Ａは、フィラメントランプ１の第一実施形態の構成を模式的に示す図面であり、図１Ｂは、図１Ａのフィラメントランプ１の保護膜１２を図示しない場合の側面図である。図２は、図１Ａのフィラメントランプ１をＸ方向に見たときの断面図である。図１Ａ、図１Ｂ及び図２に示すように、フィラメントランプ１は、アルゴン（Ａｒ）等の不活性ガスやハロゲンガスが封入される発光管１０と、発光管１０の内壁面１０ｂ上に形成された反射膜１１と、発光管１０の内壁面１０ｂ上に形成された保護膜１２と、フィラメント１３と、フィラメント１３を発光管１０内で支持するサポーター１４を備える。以下説明においては、発光管１０の管軸方向をＸ方向とし、フィラメントランプ１とワークＷが対向する方向をＺ方向、Ｘ方向とＺ方向に直交する方向をＹ方向として説明する。

また、上述したように、本明細書では、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「＋Ｚ方向」、「−Ｚ方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Ｚ方向」と記載される。

発光管１０は、光に対して透過性を有する材料で構成されており、Ｘ方向に向かって延伸する筒状を呈している。本実施形態における発光管１０は、図２に示すように、Ｘ方向に向かって見たときの断面形状が円形状を呈しているが、楕円形状や多角形状を呈するものであっても構わない。なお、ワークＷに対して効率よくフィラメント１３から放射された光を照射するために、当該形状は、円形状又は楕円形状であることが好ましい。

ここで、上述したように、本明細書における光に対して透過性を有するとは、少なくとも、近赤外線での光の透過率が８０％以上であればよく、可視光に対して高い透過率を有していなくても構わない。

反射膜１１は、発光管１０の内壁面１０ｂ上に、Ｘ方向に延伸し、図２に示すように、ＹＺ平面で切断したときの断面形状が、発光管１０の内壁面１０ｂの周方向に関し、第一端部１１ａと第二端部１１ｂとを有するように形成されている。本実施形態における反射膜１１は、発光管１０の一端部から他端部にわたって形成されているが、Ｘ方向に関して、一部にのみ形成されていても構わない。

なお、本実施形態において、反射膜１１が形成されている領域は、管軸１０ａよりも＋Ｚ方向側の面に、管軸１０ａを中心として１８０°の角度範囲で形成されているが、使用態様に応じて任意の角度に調整してもよく、必ずしもＸ方向に見たときに、Ｚ軸に対して対称に形成されていなくても構わない。なお、上述したように、当該角度範囲は、９０°以上２７０°以下であることが好ましい。

発光管１０の説明で上述したように、本実施形態のフィラメントランプ１は、近赤外線によるワークＷの加熱を行う。したがって、反射膜１１は、近赤外線を反射するように構成されている。図３は、図１Ａのフィラメントランプ１の反射膜１１の拡大図である。本実施形態の反射膜１１は、図３に示すように、粒子が凝集されて形成されている。なお、近赤外線を効率よく反射させるために、近赤外線の波長帯域との関係から、反射膜１１を構成する粒子のうち、シリカ粒子の平均粒径は、０．５μｍ以上１．５μｍ以下であることが好ましい。

近赤外線以外の光を用いてワークＷの加熱を行う場合は、光に合わせて粒子の主たる成分や粒径が変更されても構わない。なお、図３は説明の便宜のために、実際よりも非常に大きい粒径で図示している。

反射膜１１を形成する粒子の主たる成分は、例えば、シリカ（ＳｉＯ₂）を採用することができる。また、反射膜１１を形成する粒子の成分として、例えば、アルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）、酸化ホウ素（Ｂ₂Ｏ₃）、酸化マグネシウム（ＭｇＯ）、ジルコニア（ＺｒＯ₂）等を含んでいても構わない。

保護膜１２は、発光管１０の内壁面１０ｂ上に、Ｘ方向に向かって、第一端部１１ａ及び第二端部１１ｂに接触するように延伸している。本実施形態において、保護膜１２は、発光管１０の内壁面１０ｂの内壁面１０ｂの周方向に関し、反射膜１１の第一端部１１ａから第二端部１１ｂにわたって一体で形成されている。

保護膜１２は、フィラメント１３から出射された光を遮らないように、光に対して透過性を有する。保護膜１２を形成する材料の主たる成分は、例えば、シリカ（ＳｉＯ₂）を採用することができる。また、保護膜１２を形成する材料の成分として、例えば、アルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）、酸化ホウ素（Ｂ₂Ｏ₃）、酸化マグネシウム（ＭｇＯ）、ジルコニア（ＺｒＯ₂）等を含んでいても構わない。保護膜１２は、反射膜１１とは異なり、光を透過するように形成する必要があるため、粒子の凝集ではなく、ガラスのような状態で形成されている。

また、本実施形態においては、図２に示すように、反射膜１１と保護膜１２は、周方向に関し、全体にわたって厚さが略同一に形成されているが、それぞれの厚さは、周方向において略同一でなくても構わない。なお、上述したように、厚さが略同一とは、発光管１０の管軸方向に直交する面で切断したときの、断面における反射膜１１、第一保護膜１２ａ及び第二保護膜１２ｂの厚さの最大値と最小値との差が最小値に対して２０％以内の範囲をいう。

図４Ａは、図１Ａの構成とは別のフィラメントランプ１の一実施形態を模式的に示す側面図である。図４Ｂは、図４Ａのフィラメントランプ１をＸ方向に見たときの断面図である。図４Ａ及び図４Ｂに示すように、保護膜１２は、反射膜１１の第一端部１１ａに接触してＸ方向に延伸する第一保護膜１２ａと、第二端部１１ｂに接触してＸ方向に延伸する第二保護膜１２ｂとで別々に形成されていても構わない。

なお、図４Ａ及び図４Ｂに示す構成の場合、保護膜１２は、フィラメント１３から放射されてワークＷに向かう光の進行の邪魔とならないため、光に対して透過性を有しない材料で構成されていてもよい。

図５は、図１Ａ〜図４Ｂの構成とは別のフィラメントランプ１の一実施形態をＸ方向に見たときの断面図である。反射膜１１と保護膜１２との境界面は、Ｘ方向に見たときに発光管１０の径方向沿うように形成されていなくてもよく、図５に示すように、発光管１０の内壁面１０ｂ上において、反射膜１１と保護膜１２の一部が重なるように形成されていても構わない。

フィラメント１３は、発光管１０内において、Ｘ方向に発光管１０の管軸１０ａに沿って延伸するように配置される。フィラメント１３は、その両端の、金属箔と外部リードからなる給電部１５から電力が供給されると光を放射する。フィラメント１３から−Ｚ方向側（ワークＷ側）に放射された光は、そのままワークＷに向かって進行し、＋Ｚ方向側（ワークＷとは反対側）に向かって進行する光は、反射膜１１によって反射されて、−Ｚ方向側に向かって進行する。

フィラメント１３の材料は、例えば、タングステンやカンタル、ニクロム、カーボン等を採用し得る。

サポーター１４は、図２に示すように、Ｘ方向に向かって見たときの形状が螺旋形状を呈し、管軸１０ａと軸が揃うように中央部でフィラメント１３を保持し、外周部を反射膜１１や保護膜１２に接触させることで、フィラメント１３の軸が管軸１０ａから大きくずれないように固定する。

図６は、図１Ａ〜図５のフィラメントランプ１の構成とは別のフィラメントランプ１の一実施形態をＸ方向に見たときの断面図である。サポーター１４は、図６に示すように、平板型のサポーター１４であってもよい。

また、フィラメントランプ１は、必ずしも、サポーター１４を備えなくても構わない。図７は、図１Ａ〜図６の構成とは別のフィラメントランプ１の一実施形態の構成を模式的に示す側面図である。例えば、図７に示すように、フィラメント１３が部分的に巻回の径を大きく構成され、サポーター１４としての機能を併せ持つように構成されている場合は、別途サポーター１４を配置する必要がない。なお、図７に示す構成においても保護膜１２は形成されているが、フィラメント１３の構造がわかるように、図１Ｂと同様に、保護膜１２を図示していない。

次に、発光管１０の内壁面１０ｂ上に反射膜１１と保護膜１２を形成する方法について、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、あくまでフィラメントランプ１を製造する方法の一例であり、本発明のフィラメントランプ１は、以下の方法で製造されたものには限定されない。

図８Ａ及び図８Ｂは、フィラメントランプ１の製造工程を模式的に示す図面である。保護膜１２の形成は、まず、発光管１０の内壁面１０ｂ上の反射膜１１が形成される部分にマスキングテープ８０を貼り付ける。

次に、図８Ａに示すように、シリカを酢酸ブチル（溶剤）に分散させた保護膜用塗布液Ｌ１を５０ｍｌ／ｓの吐出量で吐出する長尺のノズル８１を、マスキングテープ８０が貼り付けられた発光管１０内に挿入して、２０ｃｍ／ｓの速度で管軸１０ａに沿って掃引することで、発光管１０の内壁面１０ｂ上に保護膜用塗布液Ｌ１の被膜を形成する。

保護膜用塗布液Ｌ１の被膜が形成された発光管１０は、２５℃で２０分程度の間、窒素雰囲気中において乾燥される。

保護膜用塗布液Ｌ１の被膜が乾燥した発光管１０は、マスキングテープ８０が除去され、大気雰囲気中において、１７００℃で１時間程度焼成されて保護膜１２が形成される。

反射膜１１の形成は、まず、発光管１０の内壁面１０ｂ上において、上述した方法で保護膜１２が形成された部分にマスキングテープ８０を貼り付ける。

次に、図８Ｂに示すように、シリカを酢酸ブチル（溶剤）に分散させた反射膜用塗布液Ｌ２を５０ｍｌ／ｓの吐出量で吐出する長尺のノズル８１を、マスキングテープ８０が貼り付けられた発光管１０内に挿入して、２０ｃｍ／ｓの速度で管軸１０ａに沿って掃引することで、発光管１０の内壁面１０ｂ上に反射膜用塗布液Ｌ２の被膜を形成する。

反射膜用塗布液Ｌ２の被膜が形成された発光管１０は、２５℃で２０分程度の間、窒素雰囲気中において乾燥される

反射膜用塗布液Ｌ２の被膜が乾燥した発光管１０は、マスキングテープ８０が除去され、大気雰囲気中において、１０００℃で１時間程度焼成されて反射膜１１が形成される。

以上の方法によって、反射膜１１と保護膜１２が形成される。なお、上記の吐出量、掃引の速度、乾燥条件、乾燥時間、焼成温度等は、一例であり、形成するそれぞれの膜の厚さや、塗布液の状態等に応じて調整される。

以上のように、フィラメントランプ１が構成されることで、フィラメント１３やサポーター１４が、反射膜１１の第一端部１１ａ及び第二端部１１ｂと引っ掛かることや、発光管１０と反射膜１１との隙間に入り込むことが抑制され、反射膜１１の剥離が抑制される。

また、上述したうように、発光管１０の内壁面１０ｂ上に保護膜１２が形成されることによって、発光管１０の熱容量が増加し、保護膜１２と発光管１０の内壁面１０ｂとの間には、空隙が形成される。したがって、発光管１０は、温度の上昇が抑制され、発光管１０の負荷が軽減される。

さらに、反射膜１１が発光管１０の内壁面１０ｂ上に形成されていることで、剥がれてしまった反射膜１１がワークＷの表面に落下してしまうおそれがない。また、フィラメント１３から放射されて反射膜１１で反射されてワークＷに向かう光が発光管１０を通過するのが一回だけのため、光エネルギーの損失が最小限に抑えられる。

［別実施形態］
以下、別実施形態につき説明する。

〈１〉 図９は、フィラメントランプ１の別実施形態の構成を模式的に示す側面図である。図９に示すように、発光管１０の内壁面１０ｂ上には、Ｘ方向に関し、反射膜１１の少なくとも一方の端部に、反射膜１１と接触するように保護部９０が形成されている。

保護部９０は、例えば、シリカ（ＳｉＯ₂）を採用することができる。また、保護膜９０は、シリカ以外に、アルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）、酸化ホウ素（Ｂ₂Ｏ₃）、酸化マグネシウム（ＭｇＯ）、ジルコニア（ＺｒＯ₂）等を含んでいても構わない。また、保護部９０は、発光管１０又は保護膜１２と同じ材料で構成されていてもよく、さらには、発光管１０又は保護膜１２と一体として構成されていても構わない。

上記構成とすることで、発光管１０にフィラメント１３を挿入する際に、フィラメント１３が反射膜１１のＸ方向に関する端部に引っ掛かり、反射膜１１が発光管１０から剥離してしまうことを防止することができる。

〈２〉 上述したフィラメントランプ１が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。

１ ： フィラメントランプ
１０ ： 発光管
１０ａ ： 管軸
１０ｂ ： 内壁面
１１ ： 反射膜
１１ａ ： 第一端部
１１ｂ ： 第二端部
１２ ： 保護膜
１２ａ ： 第一保護膜
１２ｂ ： 第二保護膜
１３ ： フィラメント
１４ ： サポーター
１５ ： 給電部
８０ ： マスキングテープ
８１ ： ノズル
９０ ： 保護部
１００ ： フィラメントランプ
１０１ ： 発光管
１０１ａ ： 管軸
１０１ｂ ： 内壁面
１０２ ： 反射膜
１０２ａ ： 端部
１０３ ： フィラメント
１０４ ： サポーター
Ｌ１ ： 保護膜用塗布液
Ｌ２ ： 反射膜用塗布液
Ｗ ： ワーク

Claims (9)

1. 光に対して透過性を示す筒状の発光管と、
   前記発光管内において、前記発光管の管軸方向に沿って延伸するフィラメントと、
   前記発光管の前記管軸方向に延伸し、前記発光管の前記管軸方向と直交する平面で切断したときの断面形状が、前記発光管の内壁面の周方向に関し、第一端部と第二端部とを有するように形成された反射膜と、
   前記発光管の内壁面上に、前記発光管の前記管軸方向に向かって、前記第一端部に接触するように延伸する第一保護膜と、
   前記発光管の内壁面上に、前記発光管の前記管軸方向に向かって、前記第二端部に接触するように延伸する第二保護膜とを備えることを特徴とするフィラメントランプ。
2. 前記反射膜、前記第一保護膜及び前記第二保護膜は、前記発光管の前記管軸方向に関し、前記発光管の一端部から他端部にわたって形成されていることを特徴とする請求項１に記載のフィラメントランプ。
3. 前記周方向に関し、前記反射膜、前記第一保護膜及び前記第二保護膜の厚さが略同一であることを特徴とする請求項１又は２に記載のフィラメントランプ。
4. 前記第一保護膜と前記第二保護膜は、光に対して透過性を示すことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載のフィラメントランプ。
5. 前記第一保護膜と前記第二保護膜は、前記発光管の前記周方向に沿って結合し、一体として構成されていることを特徴とする請求項４に記載のフィラメントランプ。
6. 前記発光管の前記内壁面上には、前記発光管の管軸方向に関し、前記反射膜の少なくとも一方の端部に、前記反射膜と接触するように保護部が形成されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載のフィラメントランプ。
7. 前記発光管は、前記管軸方向と直交する面で切断したときの断面が円形状、又は楕円形状を呈することを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載のフィラメントランプ。
8. 前記反射膜は、前記管軸方向に見たときに、前記発光管の内壁面の周方向に関し、管軸を中心として９０°以上２７０°以下の範囲にわたって形成されていることを特徴とする請求項１〜７のいずれか一項に記載のフィラメントランプ。
9. 前記反射膜は、シリカを主たる成分とする粒子が凝集されて形成されており、前記粒子のうち、シリカ粒子の平均粒径が０．５μｍ以上１．５μｍ以下であることを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載のフィラメントランプ。
   

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