JP4788534B2 - エキシマランプ - Google Patents
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Description
このエキシマランプ10は、各々、シリカガラスよりなる円筒状の外側管12および円筒状の内側管13が同軸上に配置されると共に、両端部において溶融、接合されて外側管12と内側管13との間に環状の放電空間Sが形成されてなる二重管構造をなす放電容器11を備えており、金網などの導電性材料よりなるメッシュ状の外部電極16が外側管12の外周面に密接して設けられていると共に例えばアルミニウムよりなる内部電極15が内側管13の内周面に密接して設けられており、キセノンガスなどの希ガスや、希ガスに塩素などのハロゲンガスを混合した放電ガスが放電空間S内に封入されて、構成されている。図中、17は、放電空間S内の一端部に設けられたゲッターであり、18は、ランプ点灯用電源である。
この要求に答えるためには、ランプ入力を増大させる方法があるが、単純にランプ入力を増大させると、放電容器11の温度が上昇するものである。
さらに、シリカガラスは温度が高くなるほど真空紫外線の吸収率が大きくなり、これに起因して、さらに、放電容器11の温度が上昇するものである。
この結果、高温状態となった内側管13によって、真空紫外線が吸収される割合が高くなり、紫外線の放射効率が低下してしまうという問題があった。
放電ガスの温度が上昇すると、放電空間Sにおいて、エキシマ分子が生成される効率が大幅に低下するので、その結果として、紫外線の放射効率が大きく低下してしまう。
しかしながら、このような構造では、エキシマランプ以外に冷却構造が必要となり、構造が複雑になるという問題があった。
図1は、本発明が適用された二重管構造のエキシマランプの一例における構成の概略を、管軸方向に沿って切断した状態で示す断面図であり、図2は、図1に示すエキシマランプの構成の概略を、管軸に直交する方向に沿って切断した状態で示す断面図である。
紫外線反射膜20は、例えば中心径が0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmとなる粒子径分布を有するシリカ粒子により形成されてなり、凹凸のある光散乱面を有し、例えば150〜190nmの波長域の紫外線に対して不透明すなわち紫外線反射機能を備えている。
すなわち、先ず、シリカ粒子と、有機バインダーと、例えばアクリル系樹脂などの可塑剤および分散剤などとを溶剤に混合することにより得られるペーストを、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの有機フィルム構造体上に一定の厚みで流延し、溶剤を乾燥させてフィルム状としたグリーンシート状成形体を形成する。
次に、このグリーンシート状成形体を孔付きステンレス製パイプに仮止めして、シリカガラス製の内側管13の表面に配設し、グリーンシート状成形体を内側管13の表面に接着転写した状態において、グリーンシート状成形体を焼成することにより内側管13の表面に固着させ、これにより、シリカ粒子が粒子状態で保持されてなる紫外線反射膜20を形成することができる。
焼成処理を行う際の処理条件としては、処理温度が例えば1100〜1200℃、処理時間が30〜90分間であることが好ましい。このような条件で熱処理が行われることにより、シリカ粒子のすべてが溶融して内側管13と一体化してしまうことがなく、シリカ粒子が粒子状態で内側管13の表面に焼結した状態となり、紫外線反射膜20の表面が凹凸のある光散乱面となり、十分な紫外線反射機能を確実に得ることができる。
図3の拡大模式図に示すように、内側管13の放電空間と接する表面に紫外線反射膜20が形成されており、この紫外線反射膜20は、粒子径1〜5μmのシリカ粒子21が粒子状態の形態を保った状態であって、シリカ粒子21の内側管13と接している粒子が内側管13の表面に焼結した状態になっており、他のシリカ粒子21が一部隣接したシリカ粒子21同士で接触したり結合した状態になっているものである。
そして、放電空間側から紫外線反射膜20の表面に矢印で示すように紫外線が入射すると、乱雑に配置されたシリカ粒子21の隙間に紫外線が入り込み、シリカ粒子21間で紫外線が多重反射されるために、この紫外線反射膜20によって紫外線が放電空間側に確実に反射されることになり、内側管13に紫外線が照射されることを防止できるものである。
このような紫外線反射膜20の構成について具体的に説明すると、シリカ粒子は中心径が例えば0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmとなる粒子径分布を有するものであり、他の紫外線散乱粒子は中心径が例えば0.1〜3μmとなる粒子径分布を有するものであり、シリカ粒子と他の紫外線散乱粒子とにより凹凸のある光散乱面が構成されている。
図4の拡大模式図に示すように、内側管13の放電空間と接する表面に紫外線反射膜20が形成されており、この紫外線反射膜20は、粒子径1〜5μmのシリカ粒子21と、粒子径0.1〜3μmのアルミナ粒子22が粒子状態の形態を保った状態であって、シリカ粒子21とアルミナ粒子22の内側管13と接している粒子が内側管13の表面に焼結した状態になっており、他のシリカ粒子21やアルミナ粒子22が一部隣接した粒子同士で接触したり結合した状態になっているものである。
そして、放電空間側から紫外線反射膜20の表面に矢印で示すように紫外線が入射すると、乱雑に配置されたシリカ粒子21やアルミナ粒子22の隙間に紫外線が入り込み、シリカ粒子21間、アルミナ粒子22間、シリカ粒子21とアルミナ粒子22間で紫外線が多重反射されるために、この紫外線反射膜20によって紫外線が放電空間側に確実に反射されることになり、内側管13に紫外線が照射されることを防止できるものである。
また、紫外線反射膜20の厚みは、例えば30〜300μmであることが好ましく、実際上、紫外線の直線透過率が例えば3%以下となる厚みとされている。
つまり、膜厚が30μm以下では、紫外線が透過してしまい反射率が悪く、膜厚が300μm以上では、膜が剥離する。
しかも、紫外線反射膜20がシリカ粒子を30重量%以上含有しているものであることにより、紫外線反射膜20をシリカガラス製の内側管13に対して確実に焼結させることができる。
他の紫外線散乱粒子の含有割合は、例えば30〜65重量%であることが好ましい。これにより所期の紫外線反射機能を確実に得ることができると共に、紫外線反射膜20を確実に形成することができる。
図5の拡大模式図に示すように、内側管13の放電空間と接する表面に紫外線反射膜20が形成されており、この紫外線反射膜20は、シリカガラス層23中に、粒子径0.1〜3μmのアルミナ粒子22が粒子状態の形態を保った状態で保持されたものである。
そして、シリカガラス層23の内部であって内側管13側には比較的大きな粒径のアルミナ粒子22が存在し、放電空間側には比較的に小さな粒径のアルミナ粒子が存在する状態とされている。
この紫外線反射膜20は、放電空間側から紫外線反射膜20の表面に矢印で示すように紫外線が入射すると、シリカガラス層23内に紫外線が入射するが、シリカガラス層に乱雑に混入されたアルミナ粒子22に紫外線が照射され、このアルミナ粒子22間で紫外線が多重反射され、しかも、放電空間側の比較的に小さな粒径のアルミナ粒子に照射されず、この粒子間を抜けた紫外線があっても内側管13側の比較的大きな粒径のアルミナ粒子22に照射されることになり、確実に、アルミナ粒子22間で紫外線が多重反射されるために、この紫外線反射膜20によって紫外線が放電空間側に確実に反射されることになり、内側管13に紫外線が照射されることを防止できるものである。
紫外線散乱反射層20の厚みは、例えば30〜300μmであることが好ましく、実際上、紫外線の直線透過率が例えば3%以下となる厚みとされている。
エキシマランプ10は、各々、シリカガラスよりなる円筒状の外側管12および円筒状の内側管13を有し、内側管13が支持部材14によって外側管12の内部において、外側管12と同軸上になるように配置され、外側管12の一端部が封止されて外側管12と内側管13との間に環状の放電空間Sが形成されてなる二重管構造をなす放電容器11を備えている。
この紫外線反射膜20は、上述した紫外線反射膜と同様に、例えば中心径が0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmとなる粒子径分布を有するシリカ粒子により形成されてなり、一部隣接したシリカ粒子同士が接触したり結合したりして粒子塊状態で保持された状態になり、紫外線反射膜20の表面が凹凸のある光散乱面を有し、例えば150〜190nmの波長域の紫外線に対して不透明すなわち紫外線反射機能を備えており、紫外線反射膜20の厚みは、例えば30〜300μmであることが好ましく、実際上、紫外線の直線透過率が例えば3%以下となる厚みとされている。
さらには、シリカ粒子が全て溶融された場合は、セラミック粒子からなる紫外線散乱粒子は紫外線反射膜20中に粒子状態で保持された状態となっていてもよく、シリカガラス層の内部にセラミック粒子からなる紫外線散乱粒子が存在する状態であってもよい。
<実験例>
この実験に用いたエキシマランプは、図1、図2に示す構造のエキシマランプであって、各構成は下記に示すものである。
放電容器:シリカガラス製で全長が300mm
外側管内径:24.5mm
内側管外径:18mm
放電用ガス:キセノン(封入量400Torr)
点灯条件:放電空間Sの体積1cm3あたりの入力が3W
シリカ粒子(出発原料):粒子径0.5〜5μm(中心径3μm)
アルミナ粒子(出発原料):粒子径0.1〜3μm(中心径1μm)
膜厚:図10に記載の通り
図10中、「紫外線反射膜形成位置」の欄に記載の内側管とは、放電空間に接する内側管の表面に紫外線反射膜が形成されていることを意味するものである。
図10中、「紫外線反射膜形成位置」の欄に記載の外側管の半周とは、図8に示すように、エキシマランプの管軸に直交する断面において、エキシマランプの管軸を中心とした中心角(θ)が180°(外側管の内表面の半周)となる外側管の放電空間と接している表面領域に紫外線反射膜が形成されていることを意味するものである。
参考実験として、紫外線反射膜をシリカ粒子を全く用いず、アルミナ粒子のみで作成する実験を行った。
この実験では、粒子径が0.1〜3μmの範囲内にあり、中心径が1μmであるアルミナ粒子を用い、アルミナ粒子のみからなる紫外線反射膜を放電容器を構成する内側管の内面に形成しようとしたところ、アルミナ粒子を含むフィルム状成形体をシリカガラス製の内側管に付着させることができず、紫外線反射膜を形成することができなかった。
参考実験として、紫外線反射膜をシリカ粒子とアルミナ粒子で作成し、シリカ粒子の混合割合が低い場合の実験を行った。
粒子径が0.5〜5μmの範囲内にあり、中心径が3μmであるシリカ粒子と、粒子径が0.1〜3μmの範囲内にあり、中心径が1μmであるアルミナ粒子とからなり、シリカ粒子を20重量%、アルミナ粒子を80重量%の割合で含有する紫外線反射膜を放電容器を構成する内側管の内面に形成しようとしたところ、フィルム状成形体をシリカガラス製の内側管に付着させることができず、紫外線反射膜を形成することができなかった。
11 放電容器
12 外側管
13 内側管
14 支持部材
15 内側電極
16 外部電極
17 ゲッター
18 点灯用電源
Claims (3)
- シリカガラスよりなる内側管と外側管を有する放電容器を備え、当該放電容器の内側管と外側管との間の空間が放電空間であるエキシマランプにおいて、
前記内側管の放電空間に接した表面に、少なくともシリカ粒子を含む紫外線散乱粒子が粒子状態で保持されてなる紫外線反射膜が形成されており、
前記紫外線散乱粒子は、シリカ粒子以外にセラミック粒子を含み、シリカ粒子を30重量%以上含有することを特徴とするエキシマランプ。 - シリカガラスよりなる内側管と外側管を有する放電容器を備え、当該放電容器の内側管と外側管との間の空間が放電空間であるエキシマランプにおいて、
前記内側管の放電空間に接した表面に、シリカガラス層内にシリカ粒子以外のセラミック粒子が紫外線散乱粒子として粒子状態で保持されてなる紫外線反射膜が形成されており、
前記放電空間側のセラミック粒子の粒径が、前記内側管側のセラミック粒子の粒径より小さいことを特徴とするエキシマランプ。 - 前記紫外線反射膜の厚みが、30〜300μmであることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか一項に記載のエキシマランプ。
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