JP5083184B2 - エキシマランプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エキシマランプ装置に関する。特に、半導体基板や液晶基板などの製造工程において半導体基板や液晶基板の洗浄等に利用されるエキシマランプ装置に関する。
近年、半導体基板や液晶基板などの製造工程においては、半導体基板であるウェハや液晶基板であるガラス基板の表面に付着した有機化合物等の汚れを除去する方法として、紫外線を用いたドライ洗浄方法が広く利用されている。特に、エキシマランプから放射される真空紫外光を用いたオゾンや活性酸素による洗浄方法においては、より効率よく短時間で洗浄する洗浄装置が種々提案されており、例えば、特許文献1が知られている。
図14には、同文献に開示される従来のエキシマランプ装置と同様の構成を示す。従来のエキシマランプ装置Gの、開放ハウジングKの天井部には、例えばステンレス板に直径2mmの孔Dを3mmピッチで多数形成して開口率40%となるようにした多数の孔を有するガス拡散板Cを開放ハウジングKの開放面と平行になるように配置してある。この開放ハウジングK内のガス拡散板Cの上方にはガス導入口Fが設けてある。この開放ハウジングKの下方を、ローラーJによって搬送されるワークWが移動し、開放ハウジングK内を擬似的に閉鎖空間とすると同時にエキシマランプHより照射される光によって表面処理がなされる。
上記構成のエキシマランプ装置によれば、図14の矢印に示すようにガス拡散板Cの孔Dから不活性ガスが下向きに吐き出される。吐き出された不活性ガスは、まずエキシマランプHの上部平坦面に衝突し、ここで横向きに流れを変え、エキシマランプの両端部から真っ直ぐワークW表面に向かって落ちるように流れる。このためエキシマランプHの周囲からワークWの表面にかけて開放ハウジングK内全体が流れる不活性ガスで満たされ、酸素がほとんど存在しない雰囲気に維持される。
特開2005−197291
ところで、エキシマランプの放電容器内に封入された発光ガスの温度が上昇すると、エキシマの生成が阻害されて発光量が減少する。エキシマランプは入力電力を増加させていくと内部の発光ガスの温度が上昇してしまうので、照度向上のために入力を増やしても発光効率が低下するという問題がある。例えばキセノンを封入したエキシマランプであれば、投入電力に対して波長172nmの発光効率が低下する。
従来のエキシマランプ装置によれば、開放ハウジング内を均一に不活性ガスで満たすことができるが、ガス拡散板が障壁となって下方へのガスの流れは緩慢なものとなるので、この不活性ガス流を利用してもランプの冷却効果は不十分である。また、ガス流量を増加させて流速を早めても、ガス拡散板によって流れが阻害されて冷却効果がそれほど望めないばかりか、ガス使用過多によりランニングコストは増大する。
また、このガス供給管以外の別の冷却手段をランプハウス内の空間に設けることは以下の理由により困難である。このエキシマランプ20は、主として発光管の外部にのみ放電電極を有する誘電体バリア放電ランプが用いられ、高電圧供給側電極と接地側電極の間で6〜10kVもの交流電圧が印加されるものである。よって、高電圧供給側の電極から空間絶縁距離Lだけ離間した範囲内の空間には異常放電を起こす原因となる部材、特に金属などを設置することは出来ず、冷却のためのノズルなどを設けることはできない。
したがって、ガスなどの気体によりエキシマランプを冷却するためには、空間絶縁距離Lの外方から流速の早い気体を噴出して吹き付けなければならない。総流量を変えずに流速の早い気体を送り出すには、噴出口の径を小さくするか、噴出口の数を減らさなければならないので、ガス供給管に形成された噴出口と噴出口のあいだに、不活性ガスの滞留が生じてしまう。
また、ランプハウス内は基板の表面処理の高効率化のために、絶えず不活性ガスが置換されていなければならず、ランプの下方や同じ高さ程度の側方に冷却のためのノズルを設ける方法は、この不活性ガスの置換を阻害することとなるので採用できない。
以上により、本発明はランプハウス内を不活性ガスで均一に置換して表面処理効率を高めるとともに、ランプを冷却して真空紫外光の発光効率を向上させ、処理能力の高いエキシマランプ装置を提供することを目的とする。
上記課題解決のために、本発明は、鉛直下方に開口したランプハウスと、該ランプハウス内に収容されたエキシマランプと、ガス噴出口を有するガス供給管と、搬送機構とを備え、搬送される被処理体に対してエキシマ光を照射するエキシマランプ装置において、前記ランプハウス内には、前記ガス供給管が互いに離間して複数設けられ、隣り合うガス供給管同士は、一方のガス供給管に設けられたガス噴出口と、他方のガス供給管に設けられたガス噴出口とが一対の関係となるガス噴出口を少なくとも一対備え、該一対のガス噴出口は、一方のガス噴出口の噴出方向と他方のガス噴出口の噴出方向とが該隣り合うガス供給管に挟まれた空間内で対向、または交差するように形成され、前記エキシマランプは、該隣り合うガス供給管に挟まれた空間よりも鉛直下方に配置され、前記エキシマランプの放電容器は、上方側に位置する平坦壁と下方側に位置する平坦壁とが互いに平行に伸びており、該放電容器の上側の平坦壁、および下側の平坦壁に電極が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記複数のガス供給管は、前記ランプハウスの天井近傍に設けられ、前記対となるガス供給管に挟まれた空間に接する該天井の上部には、冷却流体が流通する冷却流体流通路が設置されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記エキシマランプの放電容器は、シリカガラスよりなり、該放電容器の下側に光出射部を有し、該エキシマランプの放電容器の前記に位置する平坦壁の下側内表面には、シリカ粒子とアルミナ粒子からなる紫外線反射膜が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ガス噴出口よりガス流を噴出して衝突させ、ガス流を3次元的に発散させ、ランプハウス内の雰囲気を滞留させること無く均一に置換するとともに、鉛直下方に向かう早いガス流によってエキシマランプを好適に冷却することができる。
これにより、表面処理効率は高まり、ランプを冷却して発光効率を向上させ処理能力の高いエキシマランプ装置を実現できる。
また、本発明によれば、エキシマランプ点灯時に発生する熱によって、天井の温度が上昇してもこれを冷却することができる。そのため、不活性ガスが熱せられて冷却風としての効果を損なうことがない。
また、本発明によれば、ガス流の冷却によってエキシマランプの上側の平坦壁は下側の平坦壁よりも冷却され、歪により収縮しやすくなり、ランプの反りを緩和することができる。
図1(a)および(b)は本発明のエキシマランプ装置内に設置されるエキシマランプ20の一例についての概略構成図であり、図1(a)は長手方向に沿った断面図、図1(b)は短手方向に沿った断面図である。
エキシマランプ20は、図2に示すように、誘電体材料であるシリカガラスより構成され、四隅に丸みを有する扁平な角筒形状の放電容器24を有している。放電容器24の内部に形成された放電空間Sには、例えばキセノンガスなどの希ガスや、希ガスに塩素ガスなどのハロゲンガスを混合したものが放電ガスとして充填されている。放電ガスの種類によって異なる波長のエキシマ光が発生する。放電ガスは、通常は10〜100KPa程度の圧力で充填されている。
放電容器24は、上方側に位置する平坦壁25と下方側に位置する平坦壁26とが互いに離間して平行に伸びているとともに、紙面の左方に位置する平坦壁27と紙面の右方に位置する平坦壁28とが互いに離間して平行に伸びており、これら平坦壁25ないし28の各々の端部が湾曲部29によって連結されている。このような放電容器24は、紙面の上下に位置する平坦壁25、26のいずれかが被処理体Wに向けて紫外線を出射するための光出射部を形成し、例えば放電容器24の下方に被処理体Wを配置する場合には平坦壁26が光出射部となる。
平坦壁25、26にはそれぞれ電極21、22が配置されている。電極21、22は、例えば金、銀、銅、ニッケル、クロムなどの耐食性金属を平坦壁21、22上に印刷または蒸着することによって、例えば厚みが0.1μm〜数十μmとなるように形成されており、平坦壁25、26の表面のほぼ全域を覆っている。下方に位置する電極22は、平坦壁26が光出射面となる場合には、上記の金属を格子状または網状に、印刷または蒸着することにより光透過性を有するように形成される。
図2は、本発明のエキシマランプ装置の構成を示す断面図である。
エキシマランプ装置10は、鉛直方向の下方側に開口19を有する金属製の筐体よりなるランプハウス11の内部に、エキシマランプ20が配置されるとともに、ランプハウス11の、エキシマランプ照射面に平行な内壁面である天井11a近傍には不活性ガスを供給するためのガス供給管12A、12Bが設けられている。ガス供給管12A、12Bは少なくとも1つのガス噴出口12aおよび12bを備えている。
このガス供給管12A、12Bは互いに離間して、長手方向が紙面の手前から奥へと向くように、隣り合うガス供給管同士が平行関係に配置される。このガス供給管12Aとガス供給管12B間には、天井11aと両ガス供給管に挟まれた空間Aが存在する。
紫外線光源であるエキシマランプ20は、このガス供給管に挟まれた空間Aよりも鉛直下方に配置される。
また、このランプは長尺であり、被処理体Wとの距離を均等にするために被照射面に対して平行に、長手方向が紙面の手前から奥へと向くように配置されている。ランプハウス11の鉛直方向の下方には、液晶基板、半導体基板などの被処理体Wを図1中の矢印方向に搬送するための複数のローラーを備える搬送機構38が設けられている。
搬送機構38により、装置内にガラス基板などの被処理体Wが搬入されると、開口したランプハウス11とわずかな隙間を隔てながらこれを封鎖して、外部空間との仕切りの役割を果たし、ランプハウス11内部に擬似閉鎖空間を形成することができる。
すると、ランプハウス11内の雰囲気は、ガス噴出口12aにより噴出された、例えば窒素などの不活性ガスに速やかに置換される。これにより、エキシマランプ20から照射される紫外線は酸素によって減衰することなく照射面である被処理体Wの表面まで到達し、基板の洗浄を行うことができる。
図3は、図2に示したエキシマランプ装置を水平方向に90度回転して横から見た断面図である。この図においてエキシマランプ20は紙面左右方向を長手方向として設置され、両端をランプホルダー14によって保持されている。
ランプハウス11の天井11a近傍に設置された長尺のガス供給管12Aには、ランプの長手方向に沿ってガス噴出口12aが均等間隔で形成されている。このガス噴出口12aの寸法は、例えば断面1.5mmΦの円形であり、噴出口の中心と中心とが40mmピッチで形成されている。
このガス供給管12Aの長手方向の中央部近傍には、不活性ガスを導入するための導入口15が形成される。この導入口15により、不図示のガス供給源からガス供給管12Aへ不活性ガスが供給される。
エキシマランプ20の外表面に設置された電極21には、交流電源40の高電圧供給側が、電極22には接地側がそれぞれ電気的に接続される。この電極間には例えば6〜10kVの高周波電圧が印加され、誘電体である平坦壁25、26を介して放電容器24内で放電が生じる。
図4(a)は本発明のエキシマランプ装置のガス供給手段とその作用効果を説明するために、図2に示した断面図を利用した模式図であり、図4(b)はB−B’線断面図であり、エキシマランプ装置10をガス噴出口12aおよび12bを含む面で切断した断面による模式図である。
ここで、このエキシマランプ装置10が存在する3次元空間を、鉛直方向、水平方向、奥行方向という言葉を用いて説明する。鉛直方向は前述したようにランプハウス11が開口している方向であり、紙面で言えば上下方向にあたる。水平方向は、基板が搬送される方向であり、紙面で言えば左右方向にあたる。奥行方向はランプの長手方向が向かう方向であって、紙面で言えば手前から奥の方向に当たる。なお、これらの方向関係はエキシマランプ装置の構成要素間の位置関係を規定するためのものであって、必ずしも現実の水平方向などと一致するわけではない。
ガス供給管12Aは、ランプハウス11の側壁11bに接して天井11a近傍に設置され、例えば水平方向にガス噴出口12aが形成される。また、他方のガス供給管12Bも同様にランプハウス11の側壁11bに対向する側壁11cに接して天井11a近傍に設置され、前記ガス噴出口12aと対となるガス噴出口12bが水平方向で対向するように形成される。
すなわち、隣り合う各々のガス供給管間には、対となるガス噴出口が設けられており、一方のガス噴出口の噴出方向と、他方のガス噴出口の噴出方向とが、ガス供給管に挟まれた空間A内で対向、または交差する。
また、図4(b)に示すように、このガス供給管およびガス噴出口の配置を鉛直上方からみると、対となるガス噴出口どうしが水平方向で対向するように設けられており、複数のガス噴出口の対が奥行方向に均等間隔で配置されている。
ガス供給管12Aおよび12Bに不活性ガスが供給されると、一方のガス噴出口12aおよび他方のガス噴出口12bから、各々のガス噴出口の形状によって決まるガス噴出方向(矢印方向)に不活性ガスが噴出される。すると、各々のガス噴出口から噴出された不活性ガスは、例えば同量で同流速のガスが供給されれば、ガス供給管間の中間地点近傍で衝突する。
衝突したガス流は、図4(a)に示したように、衝突地点を中心として全方位に向けて発散的に放出されるように流れを変える。衝突したガス流のうち、一部のガス流は鉛直方向の下方へ向きが変わり、残りの一部は鉛直方向の上方へ向きが変わる。
また、奥行き方向においても、図4(b)に示したように、衝突したガス流のうち、一部のガス流は奥行方向の奥側へ向きを変え、残りの一部は奥行方向の手前側へ向きを変える。
鉛直方向に上昇した一部のガス流は、図4(a)に示したように、天井と衝突して跳ね返され、下方に向かって旋回して流れる。下方に向かって流れるガス流は、エキシマランプ20と衝突してこれを冷却する。
また、上昇したガス流の一部は、天井11aに沿って水平方向に流れ、ガス供給管12Aまたは12Bに突き当たると、鉛直方向下方に旋回して流れ、エキシマランプ20と衝突してこれを冷却する。
すなわち、衝突したガス流は全方位に向けて3次元的に発散することによって、そもそもガス墳出口の噴出方向、噴出範囲にない場所、例えば、天井近傍の隅部においても流通し、ランプハウス内の雰囲気を滞りなく均一に置換することができる。
さらに、1つ1つの噴出口の断面積を小さいものにすることによって、全体として使用する時間あたりのガス総流量が同じであっても、ガス流の流速は速くなり、エキシマランプに対して効果的な冷却をすることができる。
また、ガス噴出口12aの向きは、水平対向した状態から鉛直方向上下に傾けると、傾ける角度に応じてガス流どうしの交差する領域が変化する。
図5(a)は、一対のガス噴出口12aの向きを水平から鉛直方向上方に傾けたときのガス流の動きを表す模式図であり、(b)は、一対のガス噴出口12bの向きを水平から鉛直方向下方に傾けたときのガス流の動きを表す模式図である。
図5(a)に示すように、水平よりも上方に傾けると、衝突後のガス流は上方に向かう成分が多くなり、下方に向かう成分が減少する。また、図5(b)に示すように、水平よりも下方に傾けるとその逆になる。
衝突後のガス流の上向き成分は、主に天井近傍を流通して不活性ガスの滞留を防ぐ効果があり、衝突後のガス流の下向き方成分はエキシマランプを冷却する効果がある。
したがって、ガス噴出口の上下角度は対となるガス噴出口のガス流どうしが衝突する範囲で目的に応じて適宜設定できる。
ただし、エキシマランプ装置においては、不活性ガスによる置換と冷却の両方の効果を得ることが必要となるため、ガス噴出口同士は前述のように水平方向で対向していることが好ましい。
また、対となるガス噴出口同士は、完全に対向していることが好ましいが、互いの噴出方向が交差していれば、鉛直方向や奥行方向にある程度偏位してずれていてもよい。ガス噴出方向が交差してガス流が衝突する領域が存在すれば、本発明の効果を得ることができる。
なお、本発明において噴出させる不活性ガスは、窒素やアルゴンの乾燥ガスであることが好ましい。噴出させる不活性ガスに水蒸気などが高い濃度で含まれていると、結露して装置内の部材に付着し、異常放電等の様々な問題の原因となるおそれがある。したがって、噴出させる不活性ガスの露点は−10℃以下であることが好ましい。また、基板洗浄を行うオゾンを生成するための酸素供給源として、乾燥した微量の酸素または空気を混合してもよい。
上記構成によれば、ランプハウス内においてガス噴出口よりガス流を噴出して衝突させ、ガス流を3次元的に発散させ、ランプハウス内の雰囲気を滞留させること無く均一に置換するとともに、鉛直下方に向かう速いガス流によってエキシマランプの冷却の効果を奏する。これにより、表面処理効率は高まり、ランプを冷却して発光効率を向上させ、処理能力の高いエキシマランプ装置を実現できる。
図6(a)は本発明のエキシマランプ装置のガス供給管の他の実施形態を示す概略構成図である。ガス供給管以外の構成については図2に示したものと同様なので説明を省略する。
ガス供給管は図6(a)に示すような断面がコの字状の奥行方向に伸びる部材により構成されるガス供給管52Aであってもよい。この場合、天井11aとのわずかな隙間がガス噴出口52aとなる。
このガス供給管52Aに形成されるガス噴出口52aは、長手方向に連続する単一のスリットであってもよいし、仕切りが設けられて複数に分割されたスリットであってもよい。
ランプハウス11内には、水平方向に沿ってガス供給管52A、エキシマランプ20、ガス供給管52B、エキシマランプ40、ガス供給管52Cが配置されている。このように、ランプハウス11内にエキシマランプを複数配置するときは、ガス供給管とエキシマランプとを交互に配置することで本発明の効果を得ることができる。
図6(b)は、図6(a)に示したガス供給管52Aの取り付け方法の一例を示す図である。
棒状の取り付け部18が鉛直方向に沿って天井11aに固定されている。このような取り付け部18が奥行方向に複数設けられる。この取り付け部18の鉛直方向の長さは、ガス供給管12の鉛直方向の高さよりも長く、ガス供給管12を取り付け部18に当接させると、天井11aとの間にわずかな隙間が形成されるようになっている。ガス供給管52Aの固定は、螺子18bをガス供給管52Aに形成された挿通孔12hより挿入して貫通し、螺子孔18aに螺着することによってなされる。
このようなガス供給管52Aによれば、ガス供給管自体を簡便に作成することができる。
また、ガス噴出口52aが天井11aと間に形成されるので、天井近傍の雰囲気を確実に置換することができる。
図7は、本発明の第2の実施形態にかかるエキシマランプ装置の構成を示す概略断面図である。冷却流体流通路以外の構成は図2に示した構成と同様であるから説明を省略する。
図7において、ランプハウスの天井11aの上部には、冷却流体を流通する冷却流体流通路14がエキシマランプ20と同様に奥行方向に沿って配されている。冷却流体は、例えば水である。冷却流体流通路は金属などのパイプによって形成してもよいし、金属ブロックなどに流通路を貫通させたものでもよい。
この冷却流体流通路14は、ランプハウス11の天井11aの上部に設置されている。
ランプハウス11は、例えばステンレス鋼またはアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属によって構成されているため、この一部である天井11aの上部に冷却流体流通路14が設置されていると、天井11aを冷却流体流通路14に流通される冷却流体によって好適に冷却することができる。
このガス供給管12Aに不活性ガスを供給すると、一方のガス噴出口12aより噴出されるガス流と、他方のガス噴出口12bより噴出されたガス流が天井11a近傍においてと衝突するとともに冷却され、鉛直下方に流れ落ちてエキシマランプ20を冷却することができる。
すなわち、エキシマランプ20を点灯して生じた発熱により、エキシマランプ20の鉛直上方にある天井11aは熱せられやすいものであるが、冷却流体流通路14により好適に冷却することができる。
なお、ガス供給管12Aは、図2に示したものに限られず、図6(a)に示したコの字形のガス供給管52Aを用いても本発明の効果を発揮することができる。
上記構成によれば、エキシマランプ点灯時に発生する熱によって、天井11aの温度が上昇してもこれを冷却することが出来る。そのため、不活性ガスが熱せられて冷却風としての効果を損なうことがない。
さらに、冷却流体流通路によって冷やされたランプハウスの天井11aの温度が不活性ガスよりも低いものであれば、不活性ガスが衝突前後で冷やされることとなるため、より冷却効果が期待できる。
次に本発明の第3の実施形態について説明する。図8(a)および(b)は第3の実施形態において用いられるエキシマランプ20の一例についての概略構成図であり、図8(a)は長手方向に沿った断面図、図1(b)は短手方向に沿った断面図である。
このエキシマランプについては、紫外線反射膜以外の構成については、図1(a)、(b)に示したものと同様であるから説明を省略する。
図8(a)および(b)に示したエキシマランプにおいて、放電容器24の上側に位置する平坦壁25の下側内表面には紫外線反射膜23が形成されている。
この紫外線反射膜23は、例えばシリカ粒子とアルミナ粒子からなる粒子堆積層による反射膜である。このシリカ粒子およびアルミナ粒子は、例えば0.1μm〜3.0μmの中心粒径を有する微小粒子である。この微小粒子が多数堆積し、その表面で紫外線が散乱反射されることで紫外線を反射することができる。したがって、この紫外線反射膜23を放電容器24の上側の平坦壁25の下側内表面に形成することにより、照射面での照度を大幅に向上させることができる。
しかし、原理的に反射膜に照射された紫外線を完全に反射する機能を有するものではなく、一部の光は漏れてこれを透過し、上側の平坦壁25に向かう。
エキシマランプ20の下側の平坦壁26は、紫外線が被処理体Wに照射される際に必ず透過することになるため、紫外線による歪が徐々に蓄積されて収縮していく。一方、紫外線半透過膜23が形成された上側の平坦壁25には、一部の紫外線しか透過しないので紫外線による歪の影響は少なく、下側の平坦壁26ほど収縮しない。したがって、この収縮の差によってランプが反るという問題がある。このようなランプの反りは長尺であるエキシマランプの放電容器にとっては多大な応力による負荷となり、場合によっては破損する。
図9は、本発明の第3の実施形態にかかるエキシマランプ装置の構成を示す断面図である。このエキシマランプ装置10には、図8(a)に示した紫外線反射膜付きのエキシマランプ20が設置されている。
なお、このエキシマランプ装置10については、エキシマランプ20に紫外線半透過膜23が形成されていること以外は、図2の構成と同様であるから説明を省略する。
図9に示すエキシマランプ装置10において、ガス供給管12A、12Bから不活性ガスが供給されると、ランプハウス内において不活性ガス同士が衝突して下方に流れ、エキシマランプ20の上側を冷却することになる。
放電容器24の材料であるシリカガラスは、温度によって紫外線の透過波長域が変化する。この紫外線反射膜23が形成された上側の平坦壁25は、ガス噴出口12aより噴出されたガス流が直接吹き付けられるので、下側の平坦壁26よりも温度が低くなる。これによって、上側の平坦壁25では短波長の紫外線の透過率が向上する。紫外線の歪による損傷は、短波長によるものほど大きいから、この冷却によって上側の平坦壁25に蓄積される歪は大きくなり、より収縮する。
すると、上側の平坦壁25と下側の平坦壁26の紫外線の歪による収縮の差が小さくなり、ランプの反りが緩和される。
上記構成によれば、紫外線反射膜を上側の平坦壁に形成したエキシマランプを用いるエキシマランプ装置においては、ガス流の冷却によってエキシマランプの上側の平坦壁25は下側の平坦壁26よりも冷却され、紫外線による歪が大きくなる。すなわち、紫外線半透過膜を形成したことによる上側と下側の収縮の差は小さくなり、ランプの反りを緩和することができる。
本発明のエキシマランプ装置を用いて以下のような実験を行った。
(実験1)
エキシマランプ装置の冷却効果についての実験を行った。
種々のエキシマランプ装置を用いて、エキシマランプの発光効率の評価を行った。エキシマランプは図1(a)に示した構成においてキセノンを封入したものを用いた。エキシマランプへの入力電力を増加させていき、そのときのランプ表面での波長172nmの照度を測定して発光効率について評価した。
図10は、エキシマランプの発光効率についての実験結果である。
図10中に□でプロットしたものは、図2に示した第1の実施形態と同様の構成のエキシマランプ装置(本発明1)によるものである。また、図10中に○でプロットしたものは、図7に示した第2の実施形態と同様の構成のエキシマランプ装置(本発明2)によるものである。さらに参考例として、図10中に△でプロットしたものは、図14に示した従来例と同様の構成のエキシマランプ装置によるものである。
測定に用いたエキシマランプは、いずれの装置にも同一のものを用い、装置構成のみ異なるものとした。以下に実験結果について説明する。
図10において、横軸は点灯電力負荷(W/cm)であり、同一のランプにおいては入力電力の増加を意味する。また、縦軸は波長172nmの真空紫外光についてのランプ表面照度(mW/cm)である。
△で示した従来例のエキシマランプ装置においては、点灯電力負荷の増加に伴ってランプ表面照度が増加したが、その増加は鈍り、飽和していく傾向にあることがわかる。すなわち、入力電力の増加に伴ってランプの温度が上昇し、冷却が十分でないことによってエキシマの生成効率が低下し、エキシマランプの発光効率自体が低下していると考えられる。
□で示した本発明1のエキシマランプ装置においては、点灯電力負荷が増加するに伴って、ランプ表面照度が増加した。すなわち、不活性ガスの衝突によって生じたガス流によりエキシマランプが好適に冷却され、ランプの温度上昇を防ぐことができる。これにより、エキシマの生成が阻害されず、入力電力が増加してもエキシマランプの発光効率が高いまま維持されるという効果が確認された。
○で示した本発明2のエキシマランプ装置においては、点灯電力負荷が増加するに伴ってランプ表面照度が直線的に増加した。すなわち、ランプ表面照度は点灯電力負荷が増加してランプ温度が上昇しても、□で示した本発明1よりも冷却の効果が高く、発光効率が低下しないことがわかる。
(実験2)
エキシマランプの反りを緩和する効果についての実験を行った。
図7に示したエキシマランプ装置の他に、種々のエキシマランプ装置を用いて紫外線反射膜を形成したエキシマランプを長時間点灯し、エキシマランプの反り量と経時変化について評価した。
図11はエキシマランプの反り量を測定する方法についての説明図である。図11には、水平な台の上に長時間点灯させたエキシマランプの長手方向を紙面左右方向として載置した様子を示す。このときの水平面から放電容器の下側外表面までの距離dが最大となる位置での距離d(mm)を反り量として測定した。
図12(a)は本発明の第2の実施形態において、紫外線反射膜を形成したエキシマランプを用いたエキシマランプ装置の概略構成図である。また、図12(b)は、従来例において、紫外線反射膜を形成したエキシマランプを用いたエキシマランプ装置の概略構成図である。
図13はエキシマランプの反り量についての測定結果である。
図13中に□でプロットしたものは図6に示した第3の実施形態と同様の構成のエキシマランプ装置(本発明3)によるものである。また、図中に○でプロットしたものは、図11(a)に示した、第3の実施形態のエキシマランプ装置のランプハウスに、冷却流体流通路を付加したもの(本発明3’)である。さらに参考例として、図中に△でプロットしたものは、図11(b)に示した、従来例のエキシマランプ装置において紫外線半透過膜を形成したエキシマランプを用いたものである。
種々の装置について、エキシマランプは同じ仕様のものを用い、同じ点灯条件により3000時間点灯させた。以下に実験結果について説明する。
図12において、横軸は点灯時間(h)であり、縦軸は反り量(mm)である。
△、□、○のいずれのプロットで示したエキシマランプについても点灯時間の経過とともに反り量が増加することがわかる。しかし、△で示した従来例は経過時間とともに蓄積される歪による反り量の増加が顕著であるのに比して、□で示した本発明3および○で示した本発明3’においては、1000時間あたりの反り量の増加量は、それぞれ従来例の約4分の1、6分の1程度にとどめることができた。
このように、紫外線半透過膜が形成されたエキシマランプを用いる場合には、本発明の冷却の効果を利用して反りを緩和することができ、ランプの破損を防ぐこともできる。
本発明にかかるエキシマランプの概略構成図である。 本発明の第1の実施形態にかかるエキシマランプ装置の概略構成図である。 図2を水平に90度回転させた方向から見たエキシマランプ装置の概略構成図である。 (a)は本発明の効果を説明するための模式図であり、(b)はB−B’線断面図である。 本発明にかかるエキシマランプ装置のガス供給管の一例について示す図である。 本発明にかかるエキシマランプ装置の一例について示す概略構成図である。 本発明の第2の実施形態にかかるエキシマランプ装置の概略構成図である。 本発明の第3の実施形態にかかるエキシマランプの概略構成図である。 本発明の第3の実施形態にかかるエキシマランプ装置の概略構成図である。 本発明のエキシマランプ装置の実験結果である。 本発明のエキシマランプ装置の実験についての説明図である。 実験に用いたエキシマランプ装置を示す概略構成図である。 本発明のエキシマランプ装置の実験結果である。 従来のエキシマランプ装置の概略構成図である。
符号の説明
10 エキシマランプ装置
11 ランプハウス
11a 天井
12A ガス供給管
12a ガス噴出口
12B ガス供給管
12b ガス噴出口
12h 挿通孔
14 ランプホルダー
15 ガス導入口
18 取り付け部
18a 螺子孔
18b 螺子
19 開口
20 エキシマランプ
21 電極
22 電極
23 紫外線半透過膜
24 放電容器
25 平坦壁
26 平坦壁
27 平坦壁
28 平坦壁
29 湾曲部
32 平坦壁
33 平坦壁
38 搬送機構
40 エキシマランプ
52A ガス供給管
52a ガス噴出口
52B ガス供給管
52b ガス噴出口
52C ガス供給管
52c ガス噴出口
A 空間
L 空間絶縁距離
S 放電空間
B ランプハウス
C ガス拡散板
D 孔
E ガス供給空間
F ガス導入口
G エキシマランプ装置
H エキシマランプ
I 紫外線半透過膜
J 搬送機構
W 被処理体

Claims (3)

  1. 鉛直下方に開口したランプハウスと、該ランプハウス内に収容された、エキシマランプと、ガス噴出口を有するガス供給管と、搬送機構とを備え、搬送される被処理体に対してエキシマ光を照射するエキシマランプ装置において、
    前記ランプハウス内には、前記ガス供給管が互いに離間して複数設けられ、
    隣り合うガス供給管同士は、一方のガス供給管に設けられたガス噴出口と、他方のガス供給管に設けられたガス噴出口とが一対の関係となるガス噴出口を少なくとも一対備え、
    該一対のガス噴出口は、一方のガス噴出口の噴出方向と他方のガス噴出口の噴出方向とが該隣り合うガス供給管に挟まれた空間内で対向、または交差するように形成され、
    前記エキシマランプは、該隣り合うガス供給管に挟まれた空間よりも鉛直下方に配置され
    前記エキシマランプの放電容器は、上方側に位置する平坦壁と下方側に位置する平坦壁とが互いに平行に伸びており、
    該放電容器の上側の平坦壁、および下側の平坦壁に電極が形成されていることを特徴とするエキシマランプ装置。
  2. 前記複数のガス供給管は、前記ランプハウスの天井近傍に設けられ、前記対となるガス供給管に挟まれた空間に接する該天井の上部には、冷却流体が流通する冷却流体流通路が設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ装置。
  3. 前記エキシマランプの放電容器は、シリカガラスよりなり、該放電容器の下側に光出射部を有し、該エキシマランプの放電容器の前記に位置する平坦壁の下側内表面には、シリカ粒子とアルミナ粒子からなる紫外線反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のエキシマランプ装置。
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