JP2021109541A - 路面の状態の判定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
・前記車両に装着されたタイヤの回転速度を順次取得すること
・順次取得される前記回転速度に基づいて、前記タイヤのスリップ比を順次算出することと、前記車両の駆動力を順次取得すること
・前記スリップ比と前記駆動力との線形関係を表す回帰係数として、前記駆動力に対する前記スリップ比の傾きを算出すること
・前記傾きに基づいて、前記路面の状態を判定すること
・前記路面の状態の判定時において前記駆動力のばらつきが一定値以上と判断される場合、前記路面の状態の判定時及びそれよりも前の前記スリップ比及び前記駆動力の多数のデータセットに基づいて、前記傾きを算出するとともに、前記線形関係を表す別の回帰係数として切片を算出すること
・前記路面の状態の判定時において前記ばらつきが前記一定値以上でないと判断される場合、前記路面の状態の判定時における前記スリップ比及び前記駆動力のデータセットと、既出の前記切片とに基づいて、前記傾きを算出すること
<1−1.判定装置の構成>
図1は、本実施形態に係る判定装置としての制御ユニット2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、四輪車両であり、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備えている。車輪FL,FR,RL,RRには、それぞれ、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRが装着されている。本実施形態に係る車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)であり、前輪タイヤTFL,TFRが駆動輪タイヤであり、後輪タイヤTRL,TRRが従動輪タイヤである。制御ユニット2は、走行中のタイヤTFL,TFR,TRL,TRRの回転速度の情報に基づいて、走行中のタイヤTFL,TFR,TRL,TRRのスリップのし易さを表すスリップ比Sを判定し、スリップ比Sに基づいて、車両1が走行する路面の状態を判定する。なお、ここでいう路面の状態とは、タイヤTFL,TFR,TRL,TRRの滑り易さである。路面の状態の情報は、様々な用途に応用することができ、例えば、車両の走行を制御する各種制御や、路面の状態についての道路マップの作成等に用いることができる。車両の走行を制御する各種制御には、例えば、ハイドロプレーニング等についてのドライバーへの警報、ブレーキシステムの制御、車間距離の制御等が含まれる。
以下、図3を参照しつつ、走行中のタイヤTFL,TFR,TRL,TRRのスリップ比Sを判定し、これに基づき車両1が走行する路面の状態を判定する判定処理について説明する。この判定処理は、車両1の電気系統に電源が投入されている間、繰り返し実行される。
S={(V1+V2)−(V3+V4)}/(V3+V4)
S=a1(1/R)2+b1(1/R)+c1
S=a1(1/R)2+c1
S=f1F+f2=(a2γ2+b2γ+c2)F+f2
S=S−a1(1/R)2
なお、下式によって、スリップ比Sから、補正時の旋回半径Rの逆数に係数b1を乗じた値をさらに減算することにより、スリップ比Sを補正してもよい。
S=S−a1(1/R)2−b1(1/R)
S=S−f1F=S−(a2γ2+b2γ+c2)F
S=S−(a2γ2+c2)F
S=f1F+f2
f1’=(S−f2)/F
f1=(1−r)f1+rf1’
次に、第2実施形態に係る判定装置について説明する。ただし、第2実施形態に係る判定装置は、ハードウェア構成としては第1実施形態と同様に構成することができるため、以下では、第2実施形態に係る判定処理についてのみ説明する。
f1=a2γ2+b2γ+c2
f1=f1−a2γ2−b2γ
f1=f1−a2γ2
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
上記実施形態に係るスリップ比S及びこれに基づく路面の状態を判定する機能は、後輪駆動車にも適用することができるし、四輪駆動車にも適用することもできる。さらに、同機能は、四輪車両に限られず、三輪車両または六輪車両などにも適宜、適用することができる。
車両1の横方向加速度γの取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、ヨーレートセンサ8からのヨーレートω及び回転速度V1〜V4の情報からも、横方向加速度γを取得することができる。
上記実施形態では、関係情報は、車両の走行の度に特定されたが、関係情報を予め導出しておき、スリップ比S又は傾きf1の補正時にこれを参照するようにしてもよい。
スリップ比Sの算出方法は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、スリップ比S=(駆動輪の速度−車体速度)/車体速度と定義したときに、車体速度を加速度センサ7により取得される加速度αを積分した値として、スリップ比Sを算出してもよい。
S=(V1−V3)/V3
S=(V2−V4)/V4
駆動力Fの取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限られない。例えば、駆動力Fは、車両1に取り付けられているホイールトルクセンサの出力値から導出することもできるし、車両1のエンジンの制御装置から取得されるエンジントルク及びエンジンの回転数から導出することもできるし、タイヤの回転速度V1〜V4から導出することもできる。
車体速度の取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限られない。例えば、駆動輪の回転速度でなく、車両1に通信接続されているGPS等の衛星測位システムから取得してもよい。
上記実施形態では、横方向加速度γや旋回半径Rに基づき補正されたスリップ比Sは、路面の状態の判定に用いられたが、これに限らず、スリップ比Sに基づく様々な制御に用いることができる。
<4−1.評価1>
実際に車両を走行させて計測データを収集し、車体速度を取得するとともに、シミュレーション例1として、第1実施形態と同様の方法で傾きf1を算出した。また、参考シミュレーション例1として、シミュレーション例1の方法から、駆動力Fのばらつきが一定値以上でない場合には傾きf1の算出を省略した方法により、シミュレーション例1と同様の計測データから、傾きf1を算出した。このときの結果を、図9に示す。図9の横軸は、時間である。図9によれば、下り坂において車体速度が概ね一定となり、駆動力が概ねゼロになっている期間において、参考シミュレーション例1による方法では算出できなかった傾きf1を、シミュレーション例1の方法によれば算出できている。なお、シミュレーション例1による傾きf1の有効データ数は、10524個であったが、参考シミュレーション例1による傾きf1の有効データ数は、6331個であった。よって、シミュレーション例1によれば、下り坂等においても、安定して路面の状態を判定可能であることが確認された。
実際に車両を走行させて計測データを収集し、シミュレーション例2として、第1実施形態と同様の方法で旋回半径Rに基づく補正を行い、多数のスリップ比Sのデータを取得した。また、参考シミュレーション例2として、シミュレーション例2の方法から旋回半径Rに基づく補正を省略した方法で、シミュレーション例2と同様の計測データから、多数のスリップ比Sのデータを取得した。そして、それぞれの場合について、横方向加速度γの所定の範囲ごとに、駆動力F及びスリップ比Sの値をプロットした。図10に、その結果を示す。図10の各グラフは、横軸が駆動力、縦軸がスリップ比を表す。図10からは、旋回半径Rに基づく補正をしない場合には、図中に丸印で囲む箇所のように、駆動力Fとスリップ比Sとの線形性が崩れている箇所が散見される。これに対し、旋回半径Rに基づく補正を行った場合には、このような線形性の崩れが抑制されている。よって、旋回半径Rに基づくスリップ比Sの補正により、路面の状態の判定等に用いるためのより妥当なスリップ比Sを算出できることが確認された。
路面の状態が概ね安定した道路上で実際に車両を走行させて計測データを収集し、車体速度及び横方向加速度γを取得するとともに、シミュレーション例3として、第1実施形態と同様の方法で傾きf1を算出した。また、参考シミュレーション例3として、シミュレーション例3の方法から横方向加速度γに基づく補正を省略した方法で、シミュレーション例3と同様の計測データから、多数の傾きf1のデータを取得した。このときの結果を、図1に示す。図1の各グラフの横軸は、時間である。図11によれば、横方向加速度γが大きく加わるとき、参考シミュレーション例3では、傾きf1が大きく変動するのに対し、シミュレーション例3では、傾きf1の変動が抑制されている。よって、横方向加速度γに基づくスリップ比Sの補正により、路面の状態の判定等に用いるためのより妥当なスリップ比Sを算出できることが確認された。
2 制御ユニット(判定装置)
3 表示器
4 横方向加速度センサ
6 車輪速センサ
7 加速度センサ
8 ヨーレートセンサ
9 プログラム
21 回転速度取得部
22 駆動力取得部
23 横方向加速度取得部
24 旋回半径取得部
25 スリップ比算出部
26 関係特定部
27 補正部
28 傾き算出部
29 判定部
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
V1〜V4 タイヤの回転速度
Claims (6)
- 車両が走行する路面の状態を判定する判定装置であって、
前記車両に装着されたタイヤの回転速度を順次取得する回転速度取得部と、
順次取得される前記回転速度に基づいて、前記タイヤのスリップ比を順次算出するスリップ比算出部と、
前記車両の駆動力を順次取得する駆動力取得部と、
前記スリップ比と前記駆動力との線形関係を表す回帰係数として、前記駆動力に対する前記スリップ比の傾きを算出する傾き算出部と、
前記傾きに基づいて、前記路面の状態を判定する判定部と
を備え、
前記傾き算出部は、
前記路面の状態の判定時において前記駆動力のばらつきが一定値以上と判断される場合、前記路面の状態の判定時及びそれよりも前の前記スリップ比及び前記駆動力の多数のデータセットに基づいて、前記傾きを算出するとともに、前記線形関係を表す別の回帰係数として切片を算出し、
前記路面の状態の判定時において前記ばらつきが前記一定値以上でないと判断される場合、前記路面の状態の判定時における前記スリップ比及び前記駆動力のデータセットと、既出の前記切片とに基づいて、前記傾きを算出する、
判定装置。 - 前記傾き算出部は、前記路面の状態の判定時において前記ばらつきが前記一定値以上と判断される場合、逐次的に又はバッチ処理により前記傾きを算出する、
請求項1に記載の判定装置。 - 前記傾き算出部は、前記路面の状態の判定時において前記ばらつきが前記一定値以上でないと判断される場合であって、当該駆動力の絶対値が一定値以上と判断される場合に、前記路面の状態の判定時における前記スリップ比及び前記駆動力と、既出の前記切片とに基づいて、前記傾きを算出する、
請求項1又は2に記載の判定装置。 - 前記判定部は、前記路面の状態の判定時において前記駆動力の前記ばらつきが前記一定値以上でないと判断される場合、前記路面の状態の判定時における前記スリップ比及び前記駆動力のデータセットと既出の前記切片とに基づいて算出された前記傾きと、既出の前記傾きとを重みを付けて合成した傾きに応じて、前記路面の状態を判定する、
請求項1から3のいずれかに記載の判定装置。 - 車両が走行する路面の状態を判定する判定方法であって、
前記車両に装着されたタイヤの回転速度を順次取得することと、
順次取得される前記回転速度に基づいて、前記タイヤのスリップ比を順次算出することと、
前記車両の駆動力を順次取得することと、
前記スリップ比と前記駆動力との線形関係を表す回帰係数として、前記駆動力に対する前記スリップ比の傾きを算出することと、
前記傾きに基づいて、前記路面の状態を判定することと
を含み、
前記傾き算出することは、
前記路面の状態の判定時において前記駆動力のばらつきが一定値以上と判断される場合、前記路面の状態の判定時及びそれよりも前の前記スリップ比及び前記駆動力の多数のデータセットに基づいて、前記傾きを算出するとともに、前記線形関係を表す別の回帰係数として切片を算出することと、
前記路面の状態の判定時において前記ばらつきが前記一定値以上でないと判断される場合、前記路面の状態の判定時における前記スリップ比及び前記駆動力のデータセットと、既出の前記切片とに基づいて、前記傾きを算出することと
を含む、判定方法。 - 車両が走行する路面の状態を判定する判定プログラムであって、
前記車両に装着されたタイヤの回転速度を順次取得することと、
順次取得される前記回転速度に基づいて、前記タイヤのスリップ比を順次算出することと、
前記車両の駆動力を順次取得することと、
前記スリップ比と前記駆動力との線形関係を表す回帰係数として、前記駆動力に対する前記スリップ比の傾きを算出することと、
前記傾きに基づいて、前記路面の状態を判定することと
をコンピュータに実行させ、
前記傾き算出することは、
前記路面の状態の判定時において前記駆動力のばらつきが一定値以上と判断される場合、前記路面の状態の判定時及びそれよりも前の前記スリップ比及び前記駆動力の多数のデータセットに基づいて、前記傾きを算出するとともに、前記線形関係を表す別の回帰係数として切片を算出することと、
前記路面の状態の判定時において前記ばらつきが前記一定値以上でないと判断される場合、前記路面の状態の判定時における前記スリップ比及び前記駆動力のデータセットと、既出の前記切片とに基づいて、前記傾きを算出することと
を含む、判定プログラム。
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