JP2021109320A - 包装用フィルム及び包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】貼付剤などの粘着性物品の包装に好適に使用できる包装用フィルム及び包装袋を提供する。【解決手段】ポリエチレン樹脂及びシリコーン化合物を含有するシーラント層11と、ポリオレフィン樹脂からなる中間層12と、基材層13とを有する積層体10からなり、前記中間層12が、前記シーラント層11と前記基材層13との間に積層され、前記積層体10が、粘着性物品の包装用フィルムであることを特徴とする包装用フィルムを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、包装用フィルム及び包装袋に関する。
従来、貼付剤などの固形物を包装するため、包装用フィルムからなる包装袋が用いられている。包装袋の内容物となる固形物が粘着剤を積層した物品など粘着性を有する場合、包装袋の内側に貼り付いて取り出しにくくなる場合がある。
特許文献1には、液体や半固体、ゲル状物質等の粘性体を有する内容物の包装材料内面への付着や残存を抑制することができる包装材料として、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂と、シリル化ポリオレフィンとを含んでなる樹脂組成物からなる第1の樹脂層と、ポリオレフィン樹脂(シリル化されたものを除く)等の熱可塑性樹脂を含んでなる第2の樹脂層と、を有する撥水性フィルムが記載されている。
特開2015−24548号公報
包装袋の内容物が貼付剤などの粘着性物品である場合、内容物を取り出すには、内容物を包装袋から引き出す等の操作が必要となる。また、包装用フィルムから包装袋等の包装容器を製造する際の加工性、包装袋の引き裂き等による開封性などの性能が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、貼付剤などの粘着性物品の包装に好適に使用できる包装用フィルム及び包装袋を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ポリエチレン樹脂及びシリコーン化合物を含有するシーラント層と、ポリオレフィン樹脂からなる中間層と、基材層とを有する積層体からなり、前記中間層が、前記シーラント層と前記基材層との間に積層され、前記積層体が、粘着性物品の包装用フィルムであることを特徴とする包装用フィルムを提供する。
前記ポリエチレン樹脂のMFR(メルトフローレート)の値が、5g/10min以上であってもよい。
前記中間層と前記シーラント層との間に金属からなるバリア層を有する構成でもよい。
前記シーラント層が、前記シリコーン化合物として、オレフィン−シリコーン共重合体を含む構成でもよい。
前記基材層が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セロハンから選択される材料のフィルムからなる構成でもよい。
また、本発明は、前記包装用フィルムからなる包装袋を提供する。
本発明の包装用フィルム及び包装袋によれば、貼付剤などの粘着性物品の包装に好適に使用することができる。
第1実施形態の包装用フィルムを示す断面図である。 第2実施形態の包装用フィルムを示す断面図である。 粘着性物品を収容した包装袋の一例を示す平面図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1に、第1実施形態の包装用フィルムを構成する積層体10の断面図を示す。第1実施形態の包装用フィルムは、シーラント層11と、中間層12と、基材層13とを有する積層体10から構成されている。シーラント層11は、包装用フィルムに収容される内容物に接する側の層である。シーラント層11は、ポリエチレン樹脂及びシリコーン化合物を含有する。中間層12は、ポリオレフィン樹脂から構成されている。中間層12は、シーラント層11と基材層13との間に積層されている。積層体10は、粘着性物品の包装用フィルムとして使用される。
シーラント層11に含有されるポリエチレン樹脂としては、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)、エチレンと他のオレフィンとの共重合体などから選択される1種以上が挙げられる。ポリエチレン樹脂に共重合させる他のオレフィンとしては、炭素原子数3〜18のα−オレフィンから選択される1種以上が挙げられる。ポリエチレン樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン等が挙げられる。炭素原子数3〜18のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。シーラント層11のシール性能の観点では、シーラント層11がLDPE又はLLDPEの少なくとも1種を含有することが好ましい。
シーラント層11に含有されるシリコーン化合物は、シリコーンからなる化合物でもよく、シリコーン構造を有する化合物でもよい。シリコーン化合物の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、オレフィン−シリコーン共重合体などの1種以上が挙げられる。
前記オレフィン−シリコーン共重合体としては、オレフィン系モノマーとシリコーン系モノマーとのランダム共重合体、ポリオレフィンとシリコーンとのブロック共重合体、ポリオレフィンとシリコーンとのグラフト共重合体などが挙げられる。前記オレフィン系モノマーとしては、エチレン又はα−オレフィンが挙げられる。前記シリコーン系モノマーとしては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の共重合性官能基と、アルキル基(R−)、アルコキシ基(RO−)、アリール基(Ar−)、アルキルシリル基(例えばRSi−など)、アルコキシシリル基(例えば(RO)Si−など)、アルキルシロキシ基(例えばRSiO−など)、アルコキシシロキシ基(例えば(RO)SiO−など)等の非重合性有機基とを有するシラン化合物が挙げられる。
前記ポリオレフィンとシリコーンとのブロック共重合体又はグラフト共重合体は、ビニル基等の共重合性官能基を有するポリオレフィンと、アルキル基、アルコキシ基等の非重合性有機基を有するヒドロシラン化合物とを、遷移金属化合物等の触媒を用いて反応させてもよい。前記ヒドロシラン化合物は、ケイ素原子に結合した水素原子を有するシラン化合物である。前記オレフィン−シリコーン共重合体において、オレフィンに由来する部分とシリコーンに由来する部分との比率は特に限定されないが、例えば重量比で1:99〜99:1の範囲内としてもよい。
例えば一般式R Si−H(ここでRは非重合性有機基)で表されるヒドロシラン化合物と、一般式CH=CH−R(ここでRはポリオレフィン鎖)で表されるポリオレフィンとを反応させると、一般式R Si−CH−CH−Rで表される共重合体が得られる。ポリオレフィンが末端に共重合性官能基を有する場合は、ヒドロシラン化合物との反応によりブロック共重合体が得られる。ポリオレフィンが側鎖に共重合性官能基を有する場合は、ヒドロシラン化合物との反応によりグラフト共重合体が得られる。
前記シリコーン系モノマー又は前記ヒドロシラン化合物における前記シラン化合物は、1分子中に2個以上のケイ素原子を有するポリシラン化合物、1分子中に酸素原子を介して2個以上のケイ素原子を有するシロキサン化合物、1分子中に窒素原子を介して2個以上のケイ素原子を有するシラザン化合物、1分子中に硫黄原子を介して2個以上のケイ素原子を有するシラチアン化合物であってもよい。前記シラン化合物は、前記共重合性官能基又は前記非重合性有機基等の有機基に限らず、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等の無機基を有してもよい。
シーラント層11における前記ポリエチレン樹脂の含有率は、80重量%以上が好ましく、90〜99重量%がより好ましく、94〜97重量%がさらに好ましい。シーラント層11における前記シリコーン化合物の含有率は、20重量%以下が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、3〜6重量%がさらに好ましい。シーラント層11の厚みは、特に限定されないが、20μm〜50μmが好ましい。
シーラント層11を成形するためのポリエチレン樹脂とシリコーン化合物とを混合した樹脂組成物は、シリコーン化合物を少量のポリエチレン樹脂と混練して組成を均等化したマスターバッチを作製した後、マスターバッチをポリエチレン樹脂と混練する工程を1回以上実施して、シリコーン化合物の濃度を段階的に下げる方法で調製することが好ましい。シーラント層11に含有される樹脂成分は、前記ポリエチレン樹脂のみ、又は、前記ポリエチレン樹脂と前記シリコーン化合物(前記シリコーン化合物が樹脂に該当する場合)とのみであってもよい。
また、ポリエチレン樹脂は、シリコーン化合物の分散度を高くする観点から、MFR(メルトフローレート)の値が5g/10min以上であることが好ましい。シリコーン化合物の分散度が高くなると、ベースとなるポリエチレン樹脂の「海」の部分に対して、シリコーン化合物の「島」の部分の面積が減少する。結果として、前記「海」の部分のヒートシール能力が維持できる。さらに、剥離強度のムラもなくなり、均一に剥離性能が得られる。なお、ポリエチレン樹脂のMFRは、JIS K7210−1(プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1部:標準的試験方法)、JIS K6922−1(プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎)に準拠して、例えば温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
シーラント層11の表面は、JIS K7125(プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法)に準拠して測定した摩擦係数が低いことが好ましい。静摩擦係数μは、0.3未満であることが好ましく、0.1以上0.3未満がより好ましい。動摩擦係数μは、0.3未満であることが好ましく、0.1以上0.3未満がより好ましい。摩擦係数の測定は、2枚の積層体10を対向させて、シーラント層11どうしを接触させた状態で行うことができる。
中間層12に含有されるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。中間層12に含有されるポリエチレン樹脂としては、シーラント層11に含有されるポリエチレン樹脂として例示した樹脂から選択される1種以上が挙げられる。中間層12に含有されるポリエチレン樹脂が、シーラント層11に含有されるポリエチレン樹脂と同一でもよく、異なってもよい。
中間層12に含有されるポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。ポリプロピレン樹脂に共重合させる他のオレフィンとしては、エチレン又は炭素原子数4〜18のα−オレフィンから選択される1種以上が挙げられる。炭素原子数4〜18のα−オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。
積層体10が、中間層12として、ポリオレフィン樹脂からなる層を有することにより、押出成形等の加工性を向上することができる。中間層12は、内容物に接触しない層であるため、前記シリコーン化合物を含有しない層であってもよい。中間層12の厚みは、特に限定されないが、5μm〜30μmが好ましい。
シーラント層11に含有されるポリエチレン樹脂又は中間層12に含有されるポリオレフィン樹脂は、極性基を有するコモノマー(極性モノマー)を共重合させた樹脂でもよい。前記極性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸系モノマー、メタクリル酸メチル(MMA)等の不飽和カルボン酸エステル系モノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、ビニルアルコール(ビニルエステルのケン化物)、グリシジルメタクリレート等のエポキシ系モノマーが挙げられる。アイオノマー樹脂のように、前記極性モノマーを共重合させた樹脂に、ナトリウムや亜鉛などの金属イオンを加えてもよい。シーラント層11に含有されるポリエチレン樹脂又は中間層12に含有されるポリオレフィン樹脂が、極性モノマーを共重合させていない樹脂でもよい。
基材層13としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セロハンから選択される材料のフィルムが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレン基の二価カルボン酸エステルが挙げられる。二価カルボン酸エステルとしては、テレフタレート、ナフタレート、イソフタレート、アジペートなどが挙げられる。ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、ナイロン等の脂肪族ポリアミド、アラミド等の芳香族ポリアミドが挙げられる。セロハンは、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等の樹脂層をコーティングした防湿セロハンであってもよい。
積層体10が基材層13を有することにより、包装用フィルムとしての機械的強度、耐久性などを調整することができる。基材層13の厚みは、特に限定されないが、5μm〜30μmが好ましい。基材層13と中間層12との間には、アンカーコート剤を介在させてもよい。アンカーコート剤としては、イミン系、イソシアネート系、ウレタン系、ポリエーテル系、アルキルチタネート(有機チタン化合物)等が挙げられる。
図2に、第2実施形態の包装用フィルムを構成する積層体10Aの断面図を示す。第2実施形態の包装用フィルムは、シーラント層11と、バリア層14と、中間層12と、基材層13とを有する積層体10Aから構成されている。第2実施形態の積層体10Aにおいて、シーラント層11、中間層12、及び基材層13は、第1実施形態の積層体10と同様に構成することができるので、重複する説明を省略する。積層体10Aは、粘着性物品の包装用フィルムとして使用される。
シーラント層11と中間層12との間にバリア層14を配置することにより、積層体10Aに水蒸気、酸素ガス等に対するバリア性を付与することができる。バリア層14としては、水蒸気バリア性、酸素ガスバリア性等のバリア性を有する層である。バリア層14の具体例としては、アルミニウム等の金属蒸着層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機化合物蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)や塩化ビニリデン樹脂(PVDC)等のガスバリア性樹脂層、アルミニウム箔等の金属箔が挙げられる。バリア層14は金属からなる層として、金属蒸着層又は金属箔が好ましい。バリア層14の厚みが大きいほどバリア性が高くなるが、包装用フィルムとしての適性を兼ね備えることが好ましい。このため、例えば厚みが5μm〜30μm程度の金属箔をバリア層14とすることが好ましい。
積層体10,10Aからなる包装用フィルム及び包装袋の開封性を向上するため、積層体10,10Aは、ハーフカット線、ミシン目などの易開封線を有してもよい。易開封線は、中間層12又は基材層13に形成することが好ましい。ハーフカット線は、レーザー加工、機械加工等を用いて、易開封線が形成される層を貫通しないように形成するため、開封方向に連続した線でもよい。ミシン目は、易開封線が形成される層を貫通してもよいが、開封方向に所定の間隔を開けて断続的に複数のミシン目が形成される。
積層体10,10Aの引き裂き性は、JIS K7128(プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法)において、第1部(トラウザー引裂法)、第2部(エルメンドルフ引裂法)又は第3部(直角形引裂法)により測定した引き裂き力により評価することができる。引き裂き力は、積層体10,10Aの流れ方向及び幅方向のいずれにおいても、55gf未満が好ましく、20gf以上55gf未満がより好ましい。
積層体10,10Aは、粘着性物品を引き剥がし剥離する時の剥離力が小さいことが好ましい。例えば日東電工株式会社製No.31Bテープ(電気絶縁用ポリエステル基材粘着テープ)をシーラント層11に貼り合わせて、剥離角度180°で剥離したときの剥離力が75gf/50mm未満であることが好ましい。剥離力の下限値は特に限定されないが、例えば10gf/50mm以上であってもよい。
積層体10,10Aにおける各層の積層方法は特に限定されないが、各層の組み合わせに応じて、ドライラミネート、押出ラミネート、共押出、熱ラミネート等から選択することができる。積層体10,10Aの各層、特に樹脂を含有する層には、公知の添加剤、例えば抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機充填剤、無機充填剤等を適宜配合しても良い。積層体10,10Aには、印刷層、遮光層等の機能層を付加してもよい。積層体10,10Aは、ロール状としてもよい。積層体10,10Aをロール状にした場合、シーラント層11と基材層13等との面接触を抑制するため、ロールの層間に保護用のシート等を配置してもよい。
図3に、粘着性物品等の内容物を包装した包装袋の一例を示す。包装袋20は、2枚の包装用フィルム21を重ね合わせて、又は、1枚の包装用フィルム21を2つ折りにして対向させ、内容物24の周囲にシール部22を形成した構成である。包装用フィルム21が内容物24とシール部22の間に易開封線23を有すると、易開封線23に沿って包装用フィルム21を引き裂いたときに、内容物24の近くに取り出し口を形成することができるので好ましい。内容物24の両側のそれぞれの包装用フィルム21で重なり合う位置に易開封線23を形成することが好ましい。易開封線23の少なくとも片方の端部において、シール部22に切り込み状のノッチを形成してもよい。
内容物24の種類は特に限定されないが、包装袋20を粘着性物品の包装に使用することが好ましい。粘着性物品としては、粘着テープ、粘着シート、粘着性食品、粘着性薬剤などの粘着性を有する固形物が挙げられる。粘着性物品は、固形物を主体とするものであれば、液体、粉体等の流動物が付着、含浸などされていてもよい。粘着性物品の表面には、剥離紙、剥離フィルム、剥離シート等の剥離部材が貼り合わされていてもよい。剥離部材は、粘着性物品の粘着性表面を被覆して保護し、粘着性物品の使用時には粘着性物品から剥離除去される。
粘着性食品の具体例としては、餅、羊羹、団子、饅頭、中華饅、シューマイ、ケーキ、ベーコン、オムレツ、チーズ、アイスクリームなどが挙げられる。粘着性薬剤としては、湿布、パップ剤、テープ剤等の貼付剤が挙げられる。粘着性物品の粘着性表面に剥離部材を貼り合わせた物品であれば、粘着性表面の大部分が剥離部材で被覆されるので、包装袋の内面に粘着することは少ない。しかし、長時間にわたって保管した後など、粘着剤等の粘着物が剥離部材の外側まではみ出して包装袋の内面に粘着する場合がある。
上記実施形態の積層体10,10Aからなる包装袋20及び包装用フィルム21によれば、内容物24に接触するシーラント層11がシリコーン化合物を含有するため、粘着性物品に対する剥離力を低減することができる。このため、内容物24が粘着性物品であっても、シーラント層11から内容物24を剥離する抵抗力を抑制して、内容物24の取出しを容易にすることができる。
シーラント層11は、ポリエチレン樹脂及びシリコーン化合物を均一に配合しているため、シリコーン化合物がヒートシールを阻害しにくい。このため、シール部22においても、シーラント層11どうしを容易に接合することができる。中間層12がポリオレフィン樹脂からなるため、積層体10,10Aの加工性を向上することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(1)包装用フィルムの作製
外側から、基材層/中間層/バリア層/シーラント層の順に積層された積層体からなる包装用フィルムを押出ラミネートにより作製した。シーラント層の厚み及び組成を変更して、実施例1〜4及び比較例1〜2の包装用フィルムとした。
基材層には、厚み12μmのポリエステル樹脂フィルム(東洋紡株式会社製、商品名エスペット(登録商標)T4100)を用いた。
中間層には、厚み13μmの低密度ポリエチレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名スミカセン(登録商標)L405)からなる押出ラミネート層を用いた。
バリア層には、厚み9μmのアルミニウム箔(株式会社UACJ製、商品名1N30)を用いた。
実施例1のシーラント層は、低密度ポリエチレン樹脂(住友化学株式会社製、商品名スミカセン(登録商標)L705、MFR7g/10min)と、オレフィン−シリコーン共重合体を含有するマスターバッチ(三井化学ファイン株式会社製、商品名イクスフォーラ(登録商標)PE3027、低密度ポリエチレン樹脂に対してオレフィン−シリコーン共重合体を30重量%含有)とを、重量比で80:20の割合で配合した樹脂組成物から、加工温度320℃、厚み30μmで押出ラミネートにより形成した。
実施例2のシーラント層は、前記スミカセン(登録商標)L705と、前記イクスフォーラ(登録商標)PE3027とを、重量比で90:10の割合で配合した樹脂組成物から、加工温度320℃、厚み30μmで押出ラミネートにより形成した。
実施例3のシーラント層は、前記スミカセン(登録商標)L705と、前記イクスフォーラ(登録商標)PE3027とを、重量比で80:20の割合で配合した樹脂組成物から、加工温度320℃、厚み50μmで押出ラミネートにより形成した。
実施例4のシーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名ユメリット(登録商標)021GT、MFR6g/10min)と、前記イクスフォーラ(登録商標)PE3027とを、重量比で80:20の割合で配合した樹脂組成物から、加工温度320℃、厚み30μmで押出ラミネートにより形成した。
比較例1のシーラント層は、前記スミカセン(登録商標)L705から、加工温度320℃、厚み30μmで押出ラミネートにより形成した。
比較例2のシーラント層は、前記ユメリット(登録商標)021GTから、加工温度320℃、厚み30μmで押出ラミネートにより形成した。
(2)シーラント層の表面の摩擦係数の測定
JIS K7125に準拠して、実施例1〜4及び比較例1〜2の包装用フィルムのシーラント層の表面の摩擦係数を測定した。同一の包装用フィルムから2枚の測定試料を作製し、シーラント層どうしを対向させて接触させた状態で、静摩擦係数μ及び動摩擦係数μを測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2021109320
実施例1〜4の包装用フィルムによれば、静摩擦係数μ及び動摩擦係数μの値が、いずれも0.30未満であった。
(3)包装用フィルムの引き裂き性の測定
引き裂き性を評価するため、JIS K7128−2に準拠して、実施例1〜4及び比較例1〜2の包装用フィルムの流れ方向及び幅方向の引き裂き力(単位N)を測定し、単位をgfに換算した。1000gf=1kgf=9.80665Nである。その結果を表2に示す。
Figure 2021109320
実施例1〜4の包装用フィルムによれば、流れ方向及び幅方向の引き裂き力が、いずれも55gf未満であり、包装袋として引き裂きによる開封性に優れることが明らかになった。
(4)粘着テープの剥離力の測定
実施例1〜4及び比較例1〜2の包装用フィルムのシーラント層の表面に、粘着テープ(日東電工株式会社製、商品名No.31B)を、ローラーの質量が2kgであるゴムローラーを用いて貼り合わせた。包装用フィルムと粘着テープとからなるサンプルを50mm幅に切断し、温度23℃、相対湿度50%RHの環境に1時間放置した。その後、粘着テープを包装用フィルムから剥離角度180°、剥離速度0.3mm/minで剥離して、剥離力(単位gf/50mm)を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2021109320
実施例1〜4の包装用フィルムによれば、剥離力がいずれも75gf/50mm未満であり、粘着性物品をシーラント層から剥離するときの抵抗力が小さいことが明らかになった。
(5)まとめ
以上のように、粘着テープを弱い力で剥離させることができるシーラント層を有する包装用フィルムを包装袋として使用することで、貼付剤等の粘着性物品から粘着物が外側にはみ出し、べたべたすることがあっても、包装袋から粘着性物品を取り出す際の抵抗力が小さくなり、取り出しが容易になる。
10…積層体、11…シーラント層、12…中間層、13…基材層、14…バリア層、20…包装袋、21…包装用フィルム、22…シール部、23…易開封線、24…内容物。

Claims (6)

  1. ポリエチレン樹脂及びシリコーン化合物を含有するシーラント層と、ポリオレフィン樹脂からなる中間層と、基材層とを有する積層体からなり、前記中間層が、前記シーラント層と前記基材層との間に積層され、前記積層体が、粘着性物品の包装用フィルムであることを特徴とする包装用フィルム。
  2. 前記ポリエチレン樹脂のMFR(メルトフローレート)が、5g/10min以上であることを特徴とする請求項1に記載の包装用フィルム。
  3. 前記中間層と前記シーラント層との間に金属からなるバリア層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用フィルム。
  4. 前記シーラント層が、前記シリコーン化合物として、オレフィン−シリコーン共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装用フィルム。
  5. 前記基材層が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セロハンから選択される材料のフィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装用フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装用フィルムからなる包装袋。
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