JP2020164569A - 撥液層形成用樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材 - Google Patents

撥液層形成用樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートシール性に優れ、且つ、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成可能な樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を含み、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%である、撥液層形成用樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、撥液層形成用樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材に関する。
従来、食品、飲料、医薬品、化学品等の多くの商品に対して、それぞれの内容物に応じた包装材が開発されている。特に、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材としては、ヒートシール性、耐水性、耐油性、ガスバリア性、軽量性、フレキシブル性、意匠性などに優れるプラスチック材料が用いられている。
また、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材としては、より高機能を提供する目的で、複数の種類のプラスチック基材を積層したプラスチック積層体や、紙、金属箔、無機材料等とプラスチック基材との複合積層体、更にはプラスチック基材に機能性組成物による処理を施した複合体などが提案されている。
上述の高機能の一つとして、例えば、ヒートシール性に優れ、且つ、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材内面への付着、すなわち包装体内部への残存を抑制する機能が求められている。包装体内部への残存を抑制する機能としては、より具体的には、ヨーグルト、ゼリー、シロップ等の容器の蓋材、お粥、スープ、カレー、パスタソース等のレトルト食品包装材、化学品や医薬品等の液体、半固体、ゲル状物質等の保存容器用フィルム材料などには、その内面に内容物が付着し、内容物を全て使い切ることができずに無駄が生じることや、内容物の付着により汚れが生じること、内容物の排出作業に手間がかかることを抑制するために、その内面に内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有することが求められている。
これらの要求に対して、例えば特許文献1には、包装材の内面にシリコーン粒子等の疎水性微粒子を含有するシリコーン樹脂組成物層を設けた撥水性包装材が提案されている。また、特許文献2には、球状シリコンを添加した樹脂層を最内層とした内容物撥水性・離型性を有する包装材が提案されている。
特開2013−23224号公報 特開平8−337267号公報
包装材内面の樹脂層の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性等の機能を付与する材料として用いられている。しかしながら、撥液性を付与するためにポリオレフィン樹脂に上述したシリコーン粒子を添加した場合であっても、樹脂層内でのシリコーン粒子の凝集や、樹脂層からのシリコーン粒子の遊離が生じ易く、包装材内面への内容物の付着を抑制する効果が必ずしも十分ではなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ヒートシール性に優れ、且つ、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成可能な樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を含み、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%である、撥液層形成用樹脂組成物を提供する。
上記撥液層形成用樹脂組成物によれば、(A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を含み、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%であることにより、ヒートシール性に優れ、且つ、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成することができる。ここで、(A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を併用するとともに、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%であることにより上記効果が奏される理由について、本発明者らは、以下のように推察している。すなわち、撥液層形成用樹脂組成物として(A)ポリオレフィン樹脂のみを用いた撥液層と、内容物である水性又は油性材料とは、反対の電荷に帯電しやすい傾向があり、静電気的作用により撥液層に内容物が付着しやすくなる場合がある。これに対し、撥液層形成用樹脂組成物として(A)ポリオレフィン樹脂に加えて(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を用いた場合には、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体に含まれるエーテル基の存在により撥液層の帯電を抑制することができ、撥液層への内容物の付着を抑制することができると考えられる。その結果、撥液層は、内容物が付着しにくく滑落しやすい高い撥液性を得ることができる。また、内容物が油性成分を含む場合、(A)ポリオレフィン樹脂に加えて(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を用いることで、油性成分による撥液層の膨潤が抑えられ、膨潤に伴う内容物の残存を抑制することができる。また、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%であることで、形成される撥液層は、ヒートシール性に優れ、且つ、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有するものとなる。
上記撥液層形成用樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体のポリオレフィン部位とが非相溶であり、(A)ポリオレフィン樹脂と相溶する部位及び(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体と相溶する部位を有する(C)相溶化剤を更に含んでいてよい。撥液層形成用樹脂組成物が(C)相溶化剤を含むことにより、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の分散性が向上することで、形成される撥液層により一層効率的に撥液性を付与することができる。加えて、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体との界面密着性を向上することができるため、得られる撥液性積層体のヒートシール性が一層向上する。
本発明はまた、上記本発明の撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備える撥液性フィルムを提供する。かかる撥液性フィルムによれば、上記本発明の撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備えることにより、ヒートシール性に優れ、且つ、撥液層に内容物が付着しにくく滑落しやすい。また、上記撥液性フィルムによれば、水や油だけでなく、カレーやパスタソースなどの水中油分散型内容物に対しても良好な撥液性を発現することができる。
上記撥液性フィルムは、上記撥液層の一方の主面上に設けられた1層以上の樹脂層を更に備えていてもよい。撥液性フィルムを撥液層以外の樹脂層を備えた多層構造とすることにより、撥液性に加えて更なる機能性(耐熱性、耐衝撃性等)を付与することが可能となる。また、撥液層の薄膜化が可能となり、コストダウンも可能である。
撥液性フィルムが撥液層以外の樹脂層を備える場合、上記撥液層中の上記(A)ポリオレフィン樹脂の融点T(℃)と、上記1層以上の樹脂層のうち上記撥液層と接する樹脂層に含まれる樹脂の融点T(℃)とが、T<Tの関係を満たしていてもよい。上記関係を満たすことにより、結晶化度の観点から、撥液層中の(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体が第2の樹脂層に移行することを抑制でき、撥液層表面への(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の偏在化を向上させることができるため、撥液性をより向上できる傾向がある。
本発明はまた、基材と、該基材上に設けられた上記本発明の撥液性フィルムと、を備え、上記撥液層が少なくとも一方の最表面に配置されている、撥液性積層体を提供する。かかる撥液性積層体によれば、上記本発明の撥液性フィルムを備えることにより、ヒートシール性に優れ、且つ、撥液層に内容物が付着しにくく滑落しやすい。また、撥液性フィルムを所望の機能を有する基材と積層することにより、撥液性積層体に機械強度やバリア性、遮光性等の機能を付与することができる。
本発明はまた、上記本発明の撥液性積層体を用いて形成された包装材を提供する。かかる包装材によれば、上記本発明の撥液性積層体を用いて形成されているため、ヒートシール性に優れ、且つ、撥液層に内容物が付着しにくく滑落しやすい。
上記包装材は、80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられるものであってもよい。本実施形態に係る包装材によれば、このような用途に用いられた場合であっても、ヒートシール性に優れ、且つ、加熱処理後も包装材内面に内容物が付着しにくく滑落しやすい。
本発明によれば、ヒートシール性に優れ、且つ、内容物が付着しにくく滑落しやすい優れた撥液性を有する撥液層を形成可能な樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体及び包装材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。 撥液性積層体の撥液性の評価方法を説明する模式図である。 撥液性積層体の撥液性の評価方法を説明する模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本願明細書において撥液性とは、撥液層に液体をはじいて付着させない性質、及び、撥液層に付着した液体を速やかに滑落させ、その場に留まらせない(付着した状態を維持させない)性質を含める。
[撥液性積層体]
本実施形態に係る撥液性積層体は、基材と、該基材上に設けられた撥液性フィルムと、を備え、撥液層が少なくとも一方の最表面に配置された構造を有するものである。図1及び図2は、本実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。本実施形態に係る撥液性積層体は、図1に示す撥液性積層体1のように、撥液層11からなる撥液性フィルム10と、基材14とが、接着剤13を介して積層された構造を有するものであってもよい。また、本実施形態に係る撥液性積層体は、図2に示す撥液性積層体2のように、撥液層11及び第2の樹脂層12からなる撥液性フィルム10と、基材14とが、接着剤13を介して積層された構造を有するものであってもよい。撥液性フィルム10が第2の樹脂層12を備える場合、撥液性フィルム10は、撥液層11が撥液性積層体2の最表面となるように、第2の樹脂層12が基材14と対向するように配置される。
<撥液層11>
撥液層11は撥液性を有する層である。撥液層11は、加熱によりヒートシール性を発現することができる層であってもよい。ここで、撥液性とは、撥水性及び撥油性の両特性を包含する概念であり、具体的には、液体状、半固体状、もしくはゲル状の水性又は油性材料に対し撥液する特性である。水性又は油性材料としては、水、油、ヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップ、お粥、スープ、カレー、パスタソース等の食品、ハンドソープ、シャンプー等の洗剤、医薬品、化粧品、化学品などが挙げられる。また、ヒートシール性とは、一例として、100〜200℃、0.1〜0.3MPa、1〜3秒間の条件にてヒートシールが可能である性質をいう。ヒートシールの条件は、撥液性積層体のヒートシールに要する条件に応じて容易に変更することが可能である。
撥液層11の厚さは、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜70μmであることがより好ましく、3〜50μmであることが更に好ましく、5〜30μmであることが特に好ましい。撥液層11の厚さが上記下限値以上であることにより良好な撥液性及びヒートシール性が得易くなる傾向がある。一方、厚さが上記上限値以下であることにより、撥液性積層体全体の厚さを薄くすることができる。
撥液層11の表面抵抗値は、1.0×1014Ω/□以下であってよく、1.0×1012Ω/□以下であることが好ましく、1.0×1010Ω/□以下であることがより好ましい。撥液層11の表面抵抗値が1.0×1014Ω/□以下であることで、正に帯電した内容物が静電気力により撥液層11に付着しにくくなるため、撥液層11は撥液性に優れる。上記効果は、80℃以上に加熱した油性材料は正に帯電するため、内容物が油性材料であり、包装材が80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられる場合に特に顕著に奏される。撥液層11の表面抵抗値は、ハイレスタ(三菱ケミカルアナリティック)を用いて、JISK6911に準拠して、印加電圧1000V、測定時間5分、温度23℃、湿度50%RHの条件で測定した値を指す。
撥液層11は、下記成分を含む撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成することができる。以下、撥液層形成用樹脂組成物について説明する。
<撥液層形成用樹脂組成物>
本発明の一実施形態に係る撥液層形成用樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン樹脂(以下、「(A)成分」ともいう)、及び、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体(以下、「(B)成分」ともいう)を含む。ここで、(B)成分は(A)成分に対して相溶性を有するものであってもよく、相溶性を有しないものであってもよい。(B)成分が(A)成分に対して相溶性を有しないものである場合、本実施形態に係る撥液層形成用樹脂組成物は、(A)成分と相溶する部位及び(B)成分と相溶する部位を有する(C)相溶化剤を更に含んでいてよい。
((A)ポリオレフィン樹脂)
(A)成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリノルボルネン等が挙げられる。(A)成分は、ヒートシール性及び強度物性(引張強度、衝撃強度など)の観点から、線状ポリオレフィンであってもよく、線状ポリオレフィンは直鎖状でも分岐状でもよい。撥液性積層体をレトルト食品包装材のような湯煎等の加熱処理が施される包装材用途に用いる場合には、袋状の包装材が湯煎等の加熱処理によって破袋することを防止しやすくなることから、(A)成分は、ポリプロピレンであることが好ましい。(A)成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。αオレフィン成分としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを例示することができる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、変性ポリプロピレン、並びに、エチレン及びプロピレン以外のαオレフィンとプロピレンとの共重合体(プロピレン系共重合体)が挙げられる。
変性ポリプロピレンは、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル等から導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分で、ポリプロピレンをグラフト変性することで得られる。また、ポリプロピレン樹脂として、水酸基変性ポリプロピレンやアクリル変性ポリプロピレン等の変性ポリプロピレンを使用することもできる。プロピレン系共重合体を得るために用いられるαオレフィン成分としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを例示することができる。
((B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体)
(B)成分は、撥液層11に撥液性を付与する成分である。(B)成分は、ポリエーテル部位とポリオレフィン部位とを有する。(B)成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。(B)成分の分散性を向上させる観点から、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体は、ランダム共重合体であることが好ましい。
ポリエーテル部位を構成するモノマー成分としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びテトラヒドロフランが挙げられる。モノマー成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィン部位を構成するモノマー成分としては、例えば、炭素数2〜30のオレフィンが挙げられる。炭素数2〜30のオレフィンは、炭素数2〜12のオレフィンであることが好ましく、プロピレン及び/又はエチレンであることがより好ましい。モノマー成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分は、そのポリオレフィン部位が(A)成分と相溶するものであってよく、相溶しない(非相溶)ものであってもよい。ただし、ポリオレフィン部位が(A)成分と非相溶である(B)成分を用いる場合、以下の(C)相溶化剤と併用することが好ましい。なお、ポリオレフィン部位が(A)成分と非相溶である(B)成分を用いる場合、(A)成分及び(B)成分の材料の組み合わせの選択肢が増え、目的・用途に応じた設計が可能であるとともに、撥液性をより向上させやすい傾向があるという利点がある。例えば、(A)成分がポリプロピレンである場合、ポリオレフィン部位が(A)成分と相溶する(B)成分としては、ポリオレフィン部位がポリプロピレンであるもの等が挙げられ、ポリオレフィン部位が(A)成分と非相溶である(B)成分としては、ポリオレフィン部位がポリエチレンであるもの等が挙げられる。
(B)成分の融点は、撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成される包装材が、80℃以上の加熱処理を施す用途(レトルト食品包装材料用)に用いられる場合、130〜170℃であることがより好ましい。
((C)相溶化剤)
(C)成分は、好ましくは、ポリオレフィン部位が(A)成分と非相溶である(B)成分を用いる場合に用いられる。(C)成分は、(A)成分と相溶する部位及び(B)成分と相溶する部位を有する成分である。(C)成分を用いることにより、ポリオレフィン部位が(A)成分と非相溶である(B)成分と(A)成分との相溶性を向上させることができる。
(A)成分と相溶する部位としては、(A)成分と相溶可能なポリオレフィン構造が挙げられ、(A)成分と同種のポリオレフィン構造を有する部位であることが好ましい。すなわち、(A)成分がポリエチレン構造を有する場合、(C)成分はポリエチレン構造を有することが好ましい。(A)成分がポリプロピレン構造を有する場合、(C)成分はポリプロピレン構造を有することが好ましい。また、(A)成分が2種以上のオレフィンからなる共重合体である場合、(C)成分は、該(A)成分を構成するオレフィンのうち主成分となるオレフィンと同種のオレフィンを重合又は共重合させた構造を少なくとも有することが好ましい。
(B)成分と相溶する部位としては、(B)成分のポリオレフィン部位と相溶可能なポリオレフィン構造が挙げられ、(B)成分のポリオレフィン部位と同種のポリオレフィン構造を有する部位であることが好ましい。すなわち、(B)成分のポリオレフィン部位がポリエチレン構造を有する場合、(C)成分はポリエチレン構造を有することが好ましい。(B)成分のポリオレフィン部位がポリプロピレン構造を有する場合、(C)成分はポリプロピレン構造を有することが好ましい。また、(B)成分のポリオレフィン部位が、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等の2種以上のオレフィンからなる共重合体に基づく構造を有する場合、(C)成分は、上記共重合体を構成するオレフィンのうち主成分となるオレフィンと同種のオレフィンを重合又は共重合させた構造を少なくとも有することが好ましい。
(C)成分としては、例えば、エチレンとプロピレンとのブロック共重合体、あるいはプロピレンとエチレン/ブチレン共重合体とのブロック共重合体等を用いることが可能である。これらの(C)成分を用いる場合、(A)成分としては、ポリエチレン部位を有するものを用い、(B)成分としては、ポリプロピレン部位を有するものを用いることが好ましい。この場合、(A)成分のポリエチレン部位と(C)成分のポリエチレン部位とが相溶し、(B)成分のポリプロピレン部位と(C)成分のポリプロピレン部位とが相溶する。
(C)成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
撥液層形成用樹脂組成物における(A)成分の含有量は、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、60〜99.5質量%であることが好ましく、62.5〜97.5質量%であることがより好ましく、65〜95質量%であることが更に好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、良好なヒートシール性が得られやすい傾向がある。一方、(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、相対的に(B)成分及び必要に応じて用いられる(C)成分の含有量が増えるため、撥液性が向上しやすい傾向がある。
撥液層形成用樹脂組成物における(B)成分の含有量は、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%であり、0.75〜27.5質量%であることが好ましく、1.0〜25質量%であることがより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、撥液性が向上しやすい傾向がある。一方、(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、良好なヒートシール性が得られやすい傾向がある。
撥液層形成用樹脂組成物における(B)成分及び(C)成分の合計の含有量は、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜50質量%であることが好ましく、0.75〜47.5質量%であることがより好ましく、1.0〜45質量%であることが更に好ましい。(B)成分及び(C)成分の合計の含有量が上記下限値以上であると、撥液性が向上しやすい傾向がある。一方、(B)成分及び(C)成分の合計の含有量が上記上限値以下であると、相対的に(A)成分の含有量が増えるため、良好なヒートシール性が得られやすい傾向がある。
撥液層形成用樹脂組成物が(C)成分を含む場合、(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比((C)成分の質量/(B)成分の質量)は、0.01〜50であってもよく、0.04〜30であることが好ましく、0.05〜20であることがより好ましく、0.05〜15であることが更に好ましい。この含有量の比が上記下限値以上であると、撥液層において(B)成分を十分に分散させることができ、より良好な撥液性を得ることができる傾向がある。一方、この含有量の比が上記上限値以下であると、過剰な(C)成分により(B)成分が被覆されることを防ぎ、より良好な撥液性を得ることができる傾向がある。また、含有量の比が上記上限値を超えるほど(C)成分を添加しても、(B)成分がそれ以上分散しない状態となり、撥液性の向上効果が見られなくなる傾向がある。
撥液層形成用樹脂組成物は、撥液性を損なわない程度の範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等が挙げられる。
撥液層11は、上記撥液層形成用樹脂組成物を製膜することで形成することができる。
<第2の樹脂層12>
第2の樹脂層12は、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性、酸素・水蒸気バリア性等を向上させるために撥液層11と基材14との間に設けられる層である。撥液性フィルムが第2の樹脂層を更に備えることで、ヒートシール性及び撥液性に加えて更なる機能性(耐熱性、耐衝撃性等)を付与することが可能となる。また、撥液層の薄膜化が可能となり、撥液層に含まれる(B)成分の総量を減らすことができるため、コストダウンも可能である。第2の樹脂層12は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
第2の樹脂層12に用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのエステル化物又はイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物、ポリ酢酸ビニル又はそのケン化物、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸樹脂、フラン樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
第2の樹脂層12に用いられる上記熱可塑性樹脂は、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性が向上しやすいことから、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、撥液層11に用いられる(A)成分と同様のものを用いることができる。
第2の樹脂層12が撥液層11と接している場合、撥液層11中の(A)成分の融点T(℃)と、第2の樹脂層12中の上記熱可塑性樹脂の融点T(℃)とは、T<Tの関係を満たすことが好ましい。上記関係を満たすことにより、結晶化度の観点から、撥液層11中の(B)成分が第2の樹脂層12に移行することを抑制でき、撥液層11表面への(B)成分の偏在化又はブリードアウトの効率を向上させることができるため、撥液性をより向上できる傾向がある。同じ観点から、融点Tは、融点Tよりも1℃以上高いことが好ましく、3℃以上高いことがより好ましい。
ここで、融点Tは、撥液層11を測定試料とした、撥液層11中で測定される(A)成分の融点である。同様に、融点Tは、第2の樹脂層12を測定試料とした、第2の樹脂層12中で測定される樹脂の融点である。融点Tは、撥液層11が(A)成分として融点の異なる2種類以上のポリオレフィン樹脂を含有している場合、撥液層11中で最も低温で融解するポリオレフィン樹脂の融点を示すが、他のポリオレフィン樹脂などの影響を受けるため、ポリオレフィン樹脂単独で測定される融点とは異なる。撥液層11中での(A)成分の融点T及び第2の樹脂層12中での樹脂の融点Tは、熱分析装置(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製のTA7000)により測定することができる。
第2の樹脂層12の厚さは、本撥液層形成用樹脂組成物を用いた商材の最終用途に応じて適宜設定できる。第2の樹脂層12の厚さは、例えば、0.1〜300μmであることが好ましく、1〜200μmであることがより好ましく、5〜150μmであることが更に好ましく、10〜100μmであることが特に好ましい。
<撥液性フィルム10>
上述した撥液層11単層、又は、撥液層11及び第2の樹脂層12の2層により、撥液性を有する撥液性フィルム10が形成される。撥液性フィルム10は、基材14の表面の一部又は全部を覆うように形成されている。なお、撥液性フィルム10は、用途に応じて、基材14と積層せずに撥液性フィルム10単独で使用してもよい。
撥液性フィルム10は、撥液層11及び第2の樹脂層12以外の他の樹脂層を更に1層以上含んでいてもよい。他の樹脂層の組成は、第2の樹脂層12の組成と同様であってもよく、異なっていてもよい。
<基材14>
基材14は、支持体となる物であれば特に制限はなく、例えば紙、樹脂フィルム、金属箔等が挙げられる。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、セロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔、ニッケル箔等が挙げられる。基材14は、材質の異なる複数の基材を積層したものであってもよい。
基材14の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜調整することができるが、通常、1〜500μmであり、好ましくは10〜100μmである。
基材14と撥液性フィルム10との貼り合わせ方法としては、以下のような、接着剤によるラミネート方法、及び、熱処理によるラミネート方法などが挙げられるが、それらに限定されない。
(接着剤によるラミネート方法)
接着剤によるラミネート方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネートなどの各種公知のラミネート方法を用いることができる。これらのラミネート方法に用いられる接着剤13としては以下のものが挙げられる。
<接着剤13>
接着剤13は、撥液性フィルム10と基材14とを接着するものである。接着剤13としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
接着剤13には更に、接着促進を目的として、上述したポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合してもよい。
また、接着剤13に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
接着剤13の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
(熱処理によるラミネート方法)
熱処理によるラミネート方法としては、大きく以下の方法が挙げられる。
(1)あらかじめ製膜した撥液性フィルム10を接着性樹脂と共に基材14上に押出ラミネートする方法。
(2)撥液性フィルム10を構成する樹脂層と接着性樹脂とを基材14上に押出ラミネートする方法。
(3)上記(1)もしくは(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に熱ロールで加熱・加圧することにより接着させる方法。
(4)上記(1)もしくは(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に高温雰囲気下で保管する、あるいは高温雰囲気下の乾燥・焼付け炉を通過させる方法。
熱処理によるラミネート方法で用いられる接着性樹脂としては、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。また、上記の方法では押出ラミネートにより基材14と撥液性フィルム10とを積層しているが、押出ラミネートを行わずに、酸変性ポリオレフィン系コーティング剤(溶解型、分散型)をあらかじめ基材14上に塗工形成した後、撥液性フィルム10を熱処理により積層させることも可能である。
また、基材14には、接着性プライマー(アンカーコート)を設けることも可能であり、その材料として、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアリルアミン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素−酢酸ビニル系などを用いることが可能であり、必要に応じて、接着剤13として使用可能な上記の各種硬化剤や添加剤を配合してもよい。
本実施形態に係る撥液性積層体は、撥液層が内面となるように袋状に形成した撥液性積層体内に、食用油を上記内面全体と接するように充填して密閉し、温度121℃、圧力0.2MPa、30分間の条件で水蒸気による加熱加圧処理を行った後の撥液性積層体の単位面積当たりの油膨潤量が、1.0mg/cm以下であることが好ましい。このようにして測定される油膨潤量が1.0mg/cm以下であることで、撥液性積層体はより優れた撥液性を有することができ、内容物を排出した後の残液量をより低減することができる。同様の観点から、上記油膨潤量は0.95mg/cm以下であることがより好ましい。一方、内容物の滑落性を高める観点から、撥液層は油脂により多少膨潤してもよく、上記油膨潤量は、0.5mg/cm以上であってもよい。
[包装材]
本実施形態に係る包装材は、上述した撥液性積層体を用いて形成されたものである。包装材として具体的には、ヨーグルト、ゼリー、シロップ等の容器の蓋材、お粥、スープ、カレー、パスタソース等のレトルト食品包装材(レトルトパウチ)などが挙げられる。包装材の内面(内容物側)に撥液層が配置されるように包装材を形成することで、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の包装材内面への付着や残存を抑制することができる。また、レトルト食品包装材のような袋状の包装材においては、包装材の最内層同士がブロッキングすることで内容物が排出され難くなる場合があるが、本実施形態に係る包装材によれば、最内層である撥液層同士がブロッキングし難く、内容物を効率的に排出することができる。
上記包装材は、80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられるものであってもよい。具体的には、レトルト食品包装材のような湯煎等の加熱処理が施される包装材用途に用いられるものであってもよい。本実施形態に係る包装材によれば、このような用途に用いられた場合であっても、加熱処理後も包装材内面への内容物の付着や残存を抑制できる。
[容器]
本実施形態に係る容器は、上述した撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を少なくとも内面(内容物側)に有する容器である。容器として具体的には、化学品や医薬品等の液体、半固体、ゲル状物質等の保存容器、ハンドソープやシャンプー等を収容するボトルなどが挙げられる。容器の内面(内容物側)に撥液層が配置されるように容器を形成することで、液体や半固体、ゲル状物質等の内容物の容器内面への付着や残存を抑制することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<撥液層形成用樹脂組成物の作製>
[実施例1〜24及び比較例1〜7]
表1及び表2に示す材料を準備し、表1及び表2に示す割合で混合することで撥液層形成用樹脂組成物を調整した。表1及び表2における略称は以下の通りである。
b−PP1:ブロックポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンブロック共重合体、商品名「ノバテック」、融点135〜165℃、日本ポリプロ株式会社製)
b−PP2:ブロックポリプロピレン樹脂(プロピレン−エチレンブロック共重合体、商品名「ノバテック」、融点145〜170℃、日本ポリプロ株式会社製)
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商品名「エボリュー」、融点116℃、株式会社プライムポリマー社製)
B1:ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体(融点135℃、表面抵抗値1.0×10Ω/□)
PP−PE:プロピレンとエチレンとのブロック共重合体
PP−Et/Bu:プロピレンとエチレン/ブチレン共重合体とのブロック共重合体
<撥液性積層体の作製>
[実施例1〜4及び12〜20並びに比較例2〜7]
3層共押出し機を用いて、撥液層形成用樹脂組成物を押出し製膜し、厚さ60μmの撥液層からなる撥液性フィルムを得た。得られた撥液性フィルムと、基材である厚さ38μmのPETフィルム(商品名「エンブレット」、ユニチカ株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、50℃で4日間エージングして、撥液性積層体を得た。
[実施例5〜11及び21〜24並びに比較例1]
表1及び表2に記載の原料を準備し、第2の樹脂層形成用樹脂組成物とした。3層共押出し機を用いて、撥液層形成用樹脂組成物と第2の樹脂層形成用樹脂組成物とを共押出し製膜し、厚さ15μmの撥液層と厚さ45μmの第2の樹脂層からなる撥液性フィルムを得た。得られた撥液性フィルムの第2の樹脂層と、基材である厚さ38μmのPETフィルム(商品名「エンブレット」、ユニチカ株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、撥液性積層体を得た。
表1及び表2には、撥液層中で測定される(A)成分である樹脂の融点T(℃)と、第2の樹脂層に用いた(A)成分である樹脂の融点T(℃)との大小関係を示した。撥液層中での(A)成分の融点T及び第2の樹脂層中での樹脂の融点Tは、熱分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、TA7000)により測定した。
(撥液性評価)
<レトルト処理無しの残液性評価>
[実施例12〜24及び比較例3〜7]
得られた撥液性積層体について、図3に示した方法により、撥液性の評価を行った。まず、撥液性積層体を縦150mm×横138mmにカットしたサンプル100を2枚用意した。2枚のサンプル100を、それぞれの撥液層が内側となるように重ね、縦方向端部の1辺と横方向両端部の2辺とを、ヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2秒の条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部51を形成し、縦方向端部の一辺が開口しているパウチを作製した(図3の(a)を参照)。次に、パウチの開口部から100gのサラダ油54を注液した(図3の(b)参照)。その後、次いで、パウチを逆さにし、注ぎ口を水平面から45°傾けた状態で30秒間保持し、容器56にサラダ油54を排出させて、秤57により排出量を秤量した(図3の(c)を参照)。秤量した排出量から、下記式により残液量(%)を求めた。
残液量(%)={(100−排出量)/100}×100
測定は3回行い、3回の平均残液量から下記評価基準により残液評価を行った。残液量及び残液評価の結果を表1及び表2に示す。
◎:平均残液量が2.0%未満
○:平均残液量が2.0%以上2.5%未満
△:平均残液量が2.5%以上3.5%未満
×:平均残液量が3.5%以上
<レトルト処理有りの残液性評価>
[実施例1〜11並びに比較例1及び2]
得られた撥液性積層体について、図4に示した方法により、撥液性の評価を行った。まず、撥液性積層体を縦150mm×横138mmにカットしたサンプル200を2枚用意した。2枚のサンプル200を、それぞれの撥液層が内側となるように重ね、縦方向端部の1辺と横方向両端部の2辺とを、ヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2秒の条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部151を形成し、縦方向端部の一辺が開口しているパウチを作製した(図4の(a)を参照)。次に、パウチの開口部から180gの水中油分散型液体154(商品名「ボンカレーゴールド 中辛」、脂質量7.0g/180g中、大塚食品社製)を注液した(図4の(b)を参照)。その後、開口部をヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2secの条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部151を形成し、パウチを密閉した(図4の(c)を参照)。
密閉したパウチを高温高圧調理殺菌装置(日立キャピタル株式会社製)に投入後、高温の水蒸気で圧力0.2MPaの条件下、121℃で30分間レトルト処理を行い、更に密閉したパウチを100℃で5分間湯煎処理した。上記処理後、直ちに密閉したパウチの上部を切断して注ぎ口を形成した(図4の(d)を参照)。次いで、パウチを逆さにし、注ぎ口を水平面から45°傾けた状態で10秒間保持し、容器56に水中油分散型液体154を排出させて、秤57により排出量を秤量した(図4の(e)を参照)。秤量した排出量から、下記式により残液量(%)を求めた。
残液量(%)={(180−排出量)/180}×100
測定は3回行い、3回の平均残液量から下記評価基準により残液評価を行った。残液量及び残液評価の結果を表1及び表2に示す。
◎:平均残液量が6.5%未満
○:平均残液量が6.5%以上8.0%未満
△:平均残液量が8.0%以上10.0%未満
×:平均残液量が10.0%以上
<外観評価>
[実施例1〜24及び比較例1〜7]
上記残液評価において、パウチ内から液体を排出した際の液体の排出挙動を目視にて観察し、下記評価基準により外観評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
◎:液体が綺麗に滑落する様子が見られ、フィルムへの付着がほぼない。
○:液体が滑落する様子が見られ、フィルムへの付着が少ない。
△:液体が滑落する様子は見られるが、フィルムに付着している。
×:液体が滑落する様子が見られず、フィルムに多く付着している。
(ヒートシール性評価)
[実施例1〜24及び比較例1〜7]
撥液性積層体を縦50mm×横15mmにカットしたサンプルを2枚用意した。2枚のサンプルを、それぞれの撥液層が内側となるように重ね、ヒートシーラーで190℃、0.2MPa、1秒の条件で縦50mm×横15mmにわたって熱封緘してシール部を形成した。次に、剥離試験機(島津製作所社製AGS−X)を使用して、剥離角度180度、剥離速度300mm/minにて、剥離強度を測定した。下記評価基準により剥離強度を評価した。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2においては、単に「シール性」という。
◎:シール強度が40N/15mm以上。
○:シール強度が30N/15mm以上40N/15mm未満。
△:シール強度が20N/15mm以上30N/15mm未満。
×:シール強度が20N/15mm未満。
(表面抵抗値の測定)
撥液性積層体の撥液層の表面抵抗値を測定した。表面抵抗値は、ハイレスタ(三菱ケミカルアナリティック)を用いて、JISK6911に準拠して、測定した。測定条件は、印加電圧1000V、測定時間5分、温度23℃、湿度50%RHとした。
Figure 2020164569
Figure 2020164569
表1及び表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜24の撥液性積層体によれば、比較例1〜5の撥液性積層体と比較して、残液が少なく、また、パウチ内にて液体が滑落する様子が確認されたことから、撥液性を向上させることができることが確認された。また、実施例1〜24の撥液性積層体は、比較例6及び7の撥液性積層体と比較して、ヒートシール性にも優れることが確認された。
実施例5〜11及び21〜24の撥液性積層体は、第2の樹脂層を備えているために、耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
1,2…撥液性積層体、10…撥液性フィルム、11…撥液層、12…第2の樹脂層、13…接着剤、14…基材、51,151…シール部、54…サラダ油、154…水中油分散型液体、56…容器、57…秤、100,200…撥液性積層体の評価用サンプル。

Claims (8)

  1. (A)ポリオレフィン樹脂、及び、(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体を含み、前記(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の含有量が、撥液層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜30質量%である、撥液層形成用樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリオレフィン樹脂と前記(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体のポリオレフィン部位とが非相溶であり、前記(A)ポリオレフィン樹脂と相溶する部位及び前記(B)ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体と相溶する部位を有する(C)相溶化剤を更に含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備える撥液性フィルム。
  4. 前記撥液層の一方の主面上に設けられた1層以上の樹脂層を更に備える、請求項3に記載の撥液性フィルム。
  5. 前記撥液層中の前記(A)ポリオレフィン樹脂の融点T(℃)と、前記1層以上の樹脂層のうち前記撥液層と接する樹脂層に含まれる樹脂の融点T(℃)とが、T<Tの関係を満たす、請求項4に記載の撥液性フィルム。
  6. 基材と、該基材上に設けられた請求項3〜5のいずれか一項に記載の撥液性フィルムと、を備え、前記撥液層が少なくとも一方の最表面に配置されている、撥液性積層体。
  7. 請求項6に記載の撥液性積層体を用いて形成された包装材。
  8. 80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられる、請求項7に記載の包装材。
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