JP2021107920A - トナー用結着樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂等に関する。【解決手段】スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂であって、前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である、トナー用結着樹脂である。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーに用いられる結着樹脂に関する。
近年、電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化印刷に対応した静電荷像現像用トナーの開発が要求されている。このような要求に対して、低温定着性に優れるトナー用結着樹脂としてポリエステル樹脂が提唱されている。
一般に最低定着温度は低温オフセット発生温度から高温オフセット発生温度までの温度範囲にあるため、結着樹脂の使用可能温度領域は、最低定着温度から高温オフセット発生温度までの温度範囲となる。そのため、可能な限り、最低定着温度を下げ、高温オフセット発生温度を上げることにより、使用定着温度を下げることができると共に使用可能温度領域を広げることができ、省エネルギー化、高速定着化の要求を満たすことができる。そのため、低温定着性及び耐オフセット性に優れるトナー用結着樹脂及びトナーへの要望は高い。
しかしながら、ポリエステル樹脂は低温定着性に優れるが、オフセット現象が発生し易いという問題がある。
このような状況において、特許文献1では、トナー粒子の結着樹脂が、低軟化点樹脂として、縮重合系モノマーの存在下でビニル系モノマーを付加重合させ、付加重合反応が終了後に、該縮重合系モノマーを縮重合させて得られる樹脂、又は、ビニル系モノマーを付加重合させて得られるビニル系樹脂の存在下で、縮重合系モノマーを縮重合させることにより得られる樹脂と、高軟化点樹脂として、縮重合系モノマーを縮重合させることにより得られる縮重合樹脂に、ビニル系モノマーを添加、混合して付加重合させることにより得られる樹脂とを含有し、該低軟化点樹脂の軟化点が該高軟化点樹脂の軟化点より5℃以上低く、該低軟化点樹脂と該高軟化点樹脂との質量比が所定の範囲であるトナーが記載され、低温定着性、耐高温オフセット性及び現像性に優れたトナーが得られると開示されている。
特許文献2では、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂が、ポリエステルユニット及びその原料の非存在下でビニル系モノマーを重合させて得られるビニル系重合体ユニットと、ポリエステルユニットとを化学的に結合したハイブリット樹脂によって、低温定着性、保存性、感光ドラムへのトナー融着の制御に優れたトナーが得られると開示されている。
特開2008−102396号公報 特開2018−10124号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるトナーでは、ビニル系モノマーを重縮合系モノマー又は重縮合樹脂の存在下で付加重合して得られるビニル系樹脂を用いているため、分子量や分子量分布の制御及びモノマー共重合性に課題がある。
また、特許文献2に開示されるトナーでは、ハイブリッド樹脂を構成するビニル系重合体の酸価が低いため、ハイブリット化が不十分となり、耐熱保存性、帯電安定性等に課題がある。
本発明は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー、及びトナー用結着樹脂の製造方法に関する。
本発明者らは、低温定着性が優れるポリエステル系樹脂ユニットと、帯電性、耐ホットオフセット性に優れるスチレンアクリル系樹脂ユニットとが共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂において、該複合樹脂のスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂の分子量、分子量分布及びモノマー共重合性を最適なものとし、かつ所定の値以上の酸価を有するものとすることにより、ポリエステル系樹脂ユニットとの複合化を十分なものとすることができることに着目し、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性の課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕の実施形態に関する。
〔1〕スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂であって、
前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である、トナー用結着樹脂。
〔2〕前記〔1〕に記載のトナー用結着樹脂を含有する、静電荷像現像用トナー。
〔3〕スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂の製造方法であって、
工程I:ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)の非存在下、ポリエステル系樹脂(B)を構成する原料モノマー(b)の重合系とは別の独立した重合系で原料モノマー(a)の重合を行い、スチレンアクリル系樹脂(A)を得る工程、及び、
工程II:工程Iで得られたスチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)とを共有結合を介して結合し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程、
を含み、
前記スチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である、トナー用結着樹脂の製造方法。
本発明によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー、及びトナー用結着樹脂の製造方法を提供することができる。
[トナー用結着樹脂]
本発明のトナー用結着樹脂(以下、「本発明の結着樹脂」ともいう)は、スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂である。
そして、前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である。
本発明のトナーによれば、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性が示される。
本発明の効果が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明の結着樹脂に含まれる複合樹脂のスチレンアクリル系樹脂ユニットは、ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂や該ポリエステル系樹脂を構成する原料モノマーの非存在下で得られるスチレンアクリル系樹脂から構成されている。そのため、従来のようにスチレンアクリル系樹脂の原料モノマーの重合場がポリエステル系樹脂や重縮合モノマーではないため、スチレンアクリル系樹脂の原料モノマー本来の重合性能が発揮され、分子量や分子量分布、及びモノマーの共重合性が制御された、より均一なスチレンアクリル系樹脂ユニットを形成することができると考えられる。そして、前記複合樹脂のスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂との複合化を十分なものとすることができる。これらの相乗効果により、複合樹脂の低温時における分子運動及び高温時におけるポリマー鎖の絡み合いの制御が容易となり、低温時に低粘度でかつ高温時に高弾性な樹脂、すなわち低温時における高粘度化が抑制され、かつ、高温時における低弾性化を抑制された樹脂として、低温定着性、耐オフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させることができると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
「ポリエステル系樹脂」とは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂を含んでいてもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル樹脂が挙げられる。
「ビスフェノールA」は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを意味する。
「カルボン酸化合物」としては、例えば、カルボン酸、それらの無水物及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルが挙げられる。なお、アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、カルボン酸化合物の炭素数に含めない。
「結着樹脂」とは、トナー中の複合樹脂を含む結着樹脂成分を意味する。
本発明のトナーは、着色剤と、結着樹脂とを含有する。
本発明のトナーは、例えば、トナー粒子と外添剤とを含有する。
トナー粒子は、好ましくは、着色剤と、結着樹脂とを含む。
そして、トナー粒子は、例えば、離型剤、着色剤誘導体、荷電制御剤、その他添加剤を含んでいてもよい。
<複合樹脂>
複合樹脂は、スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された樹脂である。
そして、前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、40mgKOH/g以上である。
そして、スチレンアクリル系樹脂ユニットとポリエステル系樹脂ユニットとの共有結合を介した結合の形成による複合化方法は、分子量や分子量分布、及びモノマーの共重合性を制御し、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)と、の高分子反応による方法(i)、又は、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂ユニットを構成する原料モノマー(b)との反応による方法(ii)が挙げられる。
中でも、分子量や分子量分布、及びモノマーの共重合性を制御し、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、前述の高分子反応による方法(i)が好ましい。
方法(i)の場合、複合化方法が高分子化反応による方法であるため、スチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)のそれぞれの重合系は、独立した反応系で重合反応が行われるものが好ましい。スチレンアクリル系樹脂(A)の重合系は付加重合型で、ポリエステル系樹脂(B)の重合系は重縮合型であることが好ましい。独立した反応系とは、スチレンアクリル系樹脂(A)の付加重合とポリエステル系樹脂(B)の重縮合とを別個の反応場で行うことを意味する。すなわち、スチレンアクリル系樹脂(A)の付加重合はポリエステル系樹脂(B)及び該ポリエステル系樹脂(B)の原料モノマー(b)の非存在下で行い、ポリエステル系樹脂(B)の重縮合はスチレンアクリル系樹脂(A)及び該スチレンアクリル系樹脂(A)の原料モノマー(a)の非存在下で行うことを意味する。
上記のそれぞれの重合反応は、独立した反応系であれば、2つの重合反応の進行及び完結は時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択して反応を進行、完結させればよい。
また、方法(i)の高分子反応において、スチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との混合方法に特に制限はなく、例えば、ポリエステル系樹脂(B)を単離した後スチレンアクリル系樹脂(A)と混合して行ってもよく、あるいはポリエステル系樹脂(B)を単離せずに引き続きスチレンアクリル系樹脂(A)を添加し、混合して行ってもよい。
〔スチレンアクリル系樹脂(A)〕
(原料モノマー(a))
スチレンアクリル系樹脂(A)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性及び帯電安定性を向上させる観点から、複合樹脂のスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するものであり、スチレン系化合物と(メタ)アクリル系モノマーとを含む原料モノマー(a)の付加重合物である。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタレン等のスチレン及びスチレン誘導体が挙げられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、α−クロロアクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの双方の場合を含むことを示す。
中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
原料モノマー(a)は、スチレン化合物及び(メタ)アクリル系モノマー以外の他のモノマーを含むものであってもよい。
他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物などが挙げられる。
原料モノマー(a)は、スチレン及びα−メチルスチレンから選ばれる1種以上のスチレン化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルから選ばれる1種以上の(メタ)アクリル系モノマーとを含むことが好ましく、更にプロピレン等の他のモノマーを含んでもよい。
スチレンアクリル系樹脂(A)を構成する原料モノマー(a)中のスチレン化合物の含有量又はスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)中のスチレン化合物由来の構成単位の含有量は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは94質量%以下である。
スチレンアクリル系樹脂(A)を構成する原料モノマー(a)中の(メタ)アクリル系モノマーの含有量又はスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)中の(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位の含有量は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
スチレンアクリル系樹脂(A)を構成する原料モノマー(a)中のスチレン化合物及び(メタ)アクリル系モノマーの合計含有量又はスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)中のスチレン化合物由来の構成単位及び(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位の合計含有量は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上であり、そして、100質量%以下、更に好ましくは100質量%である。
(樹脂(A)の製造)
本発明において、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)は、分子量、分子量分布及びモノマーの共重合性を制御し、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、好ましくは、ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)の非存在下、該ポリエステル系樹脂(B)を構成する原料モノマー(b)の重合系とは別の独立した重合系により重合してなる。上記観点からは、スチレンアクリル系樹脂(A)の重合方法は、塊状重合法のほか、分子量、分子量分布及びモノマーの共重合性を制御することができる重合法、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法であってもよい。すなわち、上記観点からは、本発明の結着樹脂は、スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂であって、前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である、トナー用結着樹脂であれば、スチレンアクリル系樹脂(A)の重合方法に特に制限はない。
スチレンアクリル系樹脂(A)は、分子量、分子量分布及びモノマーの共重合性の制御の容易性の観点からは、下記の工程Iにより形成されてなることが好ましい。
工程I:ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)の非存在下、ポリエステル系樹脂(B)を構成する原料モノマー(b)の重合系とは別の独立した重合系で原料モノマー(a)の重合を行い、スチレンアクリル系樹脂(A)を得る工程
スチレンアクリル系樹脂(A)は、分子量、分子量分布及びモノマーの共重合性の制御の容易性の観点からは、好ましくは塊状重合又は溶液重合により形成されてなり、より好ましくは塊状重合により形成されてなる。すなわち、工程Iにおける原料モノマー(a)の重合は、好ましくは塊状重合又は溶液重合であり、より好ましくは塊状重合である。
本発明において、「塊状重合」とは、反応系中に溶剤が実質的に存在しない条件下、すなわち無溶剤の条件下で行う付加重合をいう。
塊状重合(工程Iの重合が塊状重合である場合)はラジカル発生剤を用いてもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
塊状重合におけるラジカル発生剤の濃度は、分子量、分子量分布及び共重合性を制御し、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、スチレンアクリル系樹脂(A)の原料モノマー(a)の総量を100質量%としたとき、該原料モノマー(a)の総量に対して、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0質量%、すなわち、原料モノマー(a)の総量100質量部に対して、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0質量部、すなわち無触媒の条件下で行うことが好ましい。
塊状重合(工程Iの重合が塊状重合である場合)は、常圧以上の加圧状態で高温下で行うことが好ましく、高温高圧下での連続塊状重合であることがより好ましい。
本発明において、加圧状態とは、オートクレーブのような密閉容器内で、内容物を常圧下での沸点以上に加熱している状態をいう。
常圧以上の加圧状態で高温下において、原料モノマー(a)の熱開始反応により発生したラジカルが重合開始剤として機能することにより、ラジカル発生剤が比較的少ない条件下においても付加重合を進行させることができ、分子量分布が狭いスチレンアクリル系樹脂(A)を得ることができる。
更に連続塊状重合である場合には、分子量分布に加えて、モノマー組成分布を制御することができ、モノマー組成分布が狭い、より均一なスチレンアクリル系樹脂(A)を得ることができ、これにより、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させることができる。
塊状重合の温度は、上記の観点から、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、更に好ましくは180℃以上、更に好ましくは190℃以上であり、そして、好ましくは350℃以下、より好ましくは320℃以下である。
本発明において「溶液重合」とは、反応系中に溶剤が存在する条件下で行う付加重合をいう。生成するポリマーは、該溶剤に溶解してもよく、該溶剤に溶解せずに析出してもよい。溶液重合は、原料モノマー(a)を溶剤中で重合開始剤や重合連鎖移動剤等とともに加熱して付加重合させることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ジブチルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
重合開始剤の添加量は特に限定されないが、原料モノマー(a)の総量100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下である。
重合連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類が挙げられる。
重合連鎖移動剤の添加量は特に限定されないが、原料モノマー(a)の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下である。
溶液重合の場合には、重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離及び精製してもよい。
スチレンアクリル系樹脂(A)の酸価は、ポリエステル樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)との複合化の観点、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性を向上させる観点から、40mgKOH/g以上であり、好ましくは43mgKOH/g以上、より好ましくは46mgKOH/g以上、更に好ましくは48mgKOH/g以上、更に好ましくは50mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは300mgKOH/g以下、より好ましくは250mgKOH/g以下、更に好ましくは200mgKOH/g以下、更に好ましくは150mgKOH/g以下、更に好ましくは100mgKOH/g以下である。
スチレンアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは7,000以上であり、そして、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下、更に好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下である。
スチレンアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、重合温度、重合時間により調整することができる。
スチレンアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは70℃以下、更に好ましくは55℃以下である。
スチレンアクリル系樹脂(A)の軟化点は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは105℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは120℃以下である。中でも、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、ガラス転移温度が50℃以上かつ軟化点が105℃以上であることが更に好ましい。
スチレンアクリル系樹脂(A)の酸価、重量平均分子量、ガラス転移温度、及び軟化点の測定は実施例に記載の方法により行うことができる。
〔ポリエステル系樹脂(B)〕
ポリエステル系樹脂(B)は、複合樹脂のポリエステル系樹脂ユニットを構成し、好ましくは原料モノマー(b)としてアルコール成分(b−al)とカルボン酸成分(b−ac)との重縮合物であるポリエステル樹脂である。以下、前記ポリエステル樹脂に含まれるアルコール成分(b−al)とカルボン酸成分(b−ac)について説明する。
(アルコール成分(b−al))
アルコール成分(b−al)は、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〕のアルキレンオキシド付加物(以下、「BPA−AO」ともいう。)が挙げられる。BPA−AOとしては、好ましくは、式(I):
Figure 2021107920

〔式中、OR11及びR12Oは、アルキレンオキシ基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキレン基(好ましくはエチレン基又はプロピレン基)であり、x及びyは、アルキレンオキシドの平均付加モル数であって、それぞれ独立に正の数であり、x及びyの和の平均値は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕で表されるBPA−AOが挙げられる。
BPA−AOとしては、具体的には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
上記の括弧内の数値は、上記式(I)におけるx及びyの和の平均値に相当するものである。
BPA−AOとしては、好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(以下、「BPA−PO」ともいう。)、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(以下、「BPA−EO」ともいう。)である。これらのBPA−AOは、1種又は2種以上を用いてもよい。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
なお、樹脂の分子量や軟化点を調整する観点から、アルコール成分(b−al)は、1価のアルコールを含んでもよい。
これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分(b−al)は、これらの中でも、好ましくは芳香族ジオール及び炭素数2以上18以下の脂肪族ジオールから選ばれる1種以上を含み、より好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、及びネオペンチルグリコールから選ばれる1種以上を含み、更に好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物(BPA−AO)を含む。
BPA−AOの量は、アルコール成分(b−al)中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
(カルボン酸成分(b−ac))
カルボン酸成分(b−ac)としては、例えば、ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、及び脂環式ジカルボン酸化合物が挙げられる。
ジカルボン酸化合物の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、ペンタン二酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が挙げられる。
炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸化合物としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸が挙げられる。
カルボン酸成分(b−ac)は、これらの中でも、好ましくは芳香族ジカルボン酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、及び3価以上の多価カルボン酸化合物から選ばれる1種以上を含み、より好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アルケニルコハク酸、及びトリメリット酸から選ばれる1種以上を含み、更に好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、及びトリメリット酸から選ばれる1種以上を含み、更に好ましくはテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上の芳香族ジカルボン酸化合物を含む。
芳香族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分(b−ac)中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
なお、カルボン酸成分(b−ac)は、樹脂の重合度を制御する観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物が適宜含有されていてもよい。
3価以上の多価カルボン酸化合物は、ポリエステル系樹脂(B)の原料モノマー(b)の総量に対して、好ましくは0.2質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下用いてもよい。
アルコール成分(b−al)のヒドロキシ基(OH基)に対するカルボン酸成分(b−ac)のカルボキシ基(COOH基)の当量比〔COOH基/OH基〕は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上、更に好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
(樹脂(B)の製造)
樹脂(B)は、例えば、アルコール成分(b−al)及びカルボン酸成分(b−ac)を含む原料モノマー(b)による重縮合反応により製造することが好ましく、該重縮合反応は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、下記の工程I’により行うことがより好ましい。
工程I’:スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の非存在下、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)を構成する原料モノマー(a)の重合系とは別の独立した重合系で原料モノマー(b)の重合を行い、ポリエステル系樹脂(B)を得る工程
工程I’における重縮合反応は、必要に応じて、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒を原料モノマー(b)の総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒を原料モノマー(b)の総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
また、工程I’における重縮合反応にフマル酸等の不飽和結合を有するモノマーを使用する際には、必要に応じて原料モノマー(b)の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、4−tert−ブチルカテコールが挙げられる。
工程I’における重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下である。なお、重縮合反応は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
ポリエステル系樹脂(B)の軟化点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の酸価は、好ましくは2mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の水酸基価は、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは40mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは80mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、更に好ましくは60mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂(B)の軟化点、ガラス転移温度、酸価、及び水酸基価の測定は実施例に記載の方法により行うことができる。
[トナー用結着樹脂の製造方法]
本発明の結着樹脂は、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)と、を複合化してなる複合樹脂を含有する。
本発明の結着樹脂の製造方法は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、
工程I:ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)の非存在下、ポリエステル系樹脂(B)を構成する原料モノマー(b)の重合系とは別の重合系で原料モノマー(a)の重合を行い、スチレンアクリル系樹脂(A)を得る工程、及び、
工程II:工程Iで得られたスチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)と、を共有結合を介して結合し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程、
を含むことが好ましい。
工程Iにおけるスチレンアクリル系樹脂(A)の製造は、前述のとおりである。
本発明の結着樹脂の製造方法は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、さらに前記工程I’を含むことが好ましい。
工程I’におけるポリエステル系樹脂(B)の製造は、前述のとおりである。
本発明において工程I’を含む場合、工程IIは、工程Iで得られたスチレンアクリル系樹脂(A)と、工程I’で得られたポリエステル系樹脂(B)と、の高分子反応により形成される共有結合を介して結合し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程であることが好ましい。すなわち、工程IIにおける高分子化反応は、複合化を十分なものとし、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、スチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)と、の縮合反応であることが好ましい。これにより、スチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)とが、共有結合であるエステル結合を介して結合され、複合化されることとなる。該縮合反応としては、スチレンアクリル系樹脂(A)のカルボキシ基とポリエステル系樹脂(B)のヒドロキシ基との縮合反応、又はスチレンアクリル系樹脂(A)のヒドロキシ基とポリエステル系樹脂(B)のカルボキシ基との縮合反応が挙げられる。
工程IIにおいて、複合化を十分なものとし、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、スチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との複合化は、これら樹脂(A)を構成する原料モノマー(a)及び樹脂(B)を構成する原料モノマー(b)のいずれとも反応し得る化合物(以下、「両反応性化合物」ともいう)を介した共有結合の形成により行うことが好ましい。すなわち、工程IIは、好ましくは、スチレンアクリル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)のいずれかに含まれる両反応性化合物由来の構成単位を介して、共有結合を形成し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程であり、より好ましくは、スチレンアクリル系樹脂(A)に含まれる両反応性化合物由来の構成単位を介して、該スチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)と、の高分子反応により共有結合を形成し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程である。
両反応性化合物は、スチレンアクリル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物が好ましく、スチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との縮合反応により形成されるエステル結合の形成により複合化し得る化合物がより好ましく、例えば、次の一般式(II−1)及び(II−2)で表わされるものが挙げられる。
Figure 2021107920

〔式中、R21、R22及びR23は同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはビニル基又はハロゲン原子を示し、これらは互いに結合して環を形成していてもよい。A及びBは同一又は異なって、下記の一般式(III−1)、一般式(III−2)又は一般式(III−3)で表わされる基を示す。X及びYは同一又は異なって、−COOR4又は−OR5(R4及びR5は水素原子又は置換基を有していてもよい低級アルキル基を示す)を示す。〕
Figure 2021107920

〔式中、R31、R32及びR33は同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはビニル基又はハロゲン原子を示し、これらは互いに結合して環を形成していてもよい。mは0〜5、nは0〜2の数を示す。〕
ここで、これらの両反応性化合物はスチレンアクリル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の原料モノマーのいずれとも反応し得ることが好ましいが、スチレンアクリル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の原料モノマーがそれぞれ2種以上ある場合には、少なくともこのうちの1つと反応し得ればよい。
一般式(II−1)、(II−2)、及び(III−1)〜(III−3)中、R21〜R23及びR31〜R33で示されるもののうち、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ビニル基、及びハロゲン原子の具体例又は好ましい態様は以下のとおりである。
アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1以上6以下のものが好ましく、炭素数1以上4以下のものがより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基は、フェニル基、ナフチル基、水酸基等で置換されていてもよい。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基が挙げられ、これらの基は、水酸基、カルボキシル基等で置換されていてもよい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基が挙げられ、これらの基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、水酸基等で置換されていてもよい。
ビニル基は、例えば、水酸基、フェニル基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
4及びR5で示される低級アルキル基は、好ましくは炭素数1以上4以下であり、メチル基、エチル基等が挙げられ、これらの基は水酸基等で置換されていてもよい。
一般式(II−2)においてXがカルボキシ基である場合、該一般式(II−2)で表わされる化合物としては、下記の一般式(IV−1)〜(IV−3)で表されるエチレン性不飽和モノカルボン酸化合物が挙げられる。
Figure 2021107920

〔式中、R41及びR42は、R21〜R23と同様の、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはビニル基又はハロゲン原子を示す。R43及びR44は、同一又は異なって、R21〜R23と同様の、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはビニル基又はハロゲン原子を示す。Aは前記と同じである。〕
一般式(IV−1)〜(IV−3)で表されるエチレン性不飽和モノカルボン酸化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、並びにこれらの低級アルキルエステル及び無水物が挙げられる。
一般式(II−1)においてX及びYがカルボキシ基である場合、該一般式(II−1)で表わされる化合物としては、下記の一般式(V−1)及び(V−2)で表されるエチレン性不飽和ジカルボン酸化合物が挙げられる。
Figure 2021107920

〔式中、R51及びR52は、R21〜R23と同様の、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはビニル基又はハロゲン原子を示す。A及びBは前記と同じである。〕
一般式(V−1)及び(V−2)で表されるエチレン性不飽和ジカルボン酸化合物の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、並びにこれらの低級アルキルエステル及び無水物が挙げられる。
一般式(II−2)においてXがヒドロキシ基である場合、該一般式(II−2)で表わされる化合物としては、好ましくは下記の一般式(VI−1)〜(VI−3)で表されるエチレン性不飽和モノアルコールが挙げられる。
Figure 2021107920

〔式中、R61〜R64は、R21〜R23と同様の、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はアリール基を示す。Aは前記と同じである。〕
一般式(VI−1)〜(VI−3)で表されるエチレン性モノアルコールの具体例としては、2−ビニルフェノール、4−ビニルフェノール、4−(1−メチルエテニル)フェノール、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルヘキシルが挙げられる。
一般式(II−1)においてX及びYがヒドロキシ基である場合、該一般式(II−1)で表わされる化合物としては、好ましくは下記の一般式(VII−1)及び(VII−2)で表されるエチレン性不飽和ジアルコールが挙げられる。
Figure 2021107920

〔式中、R71及びR72は、R21〜R23と同様の、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはビニル基又はハロゲン原子を示す。A及びBは前記と同じである。〕
両反応性化合物としては、複合化を十分なものとし、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、好ましくはエチレン性不飽和モノカルボン酸化合物であり、より好ましくはアクリル酸である。
両反応性化合物は、スチレンアクリル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)のいずれか一方の原料モノマーとして複合化前にポリマー骨格に導入した後、該両反応性化合物を介して他方の樹脂と複合化することが好ましく、複合化を十分なものとする観点から、スチレンアクリル系樹脂(A)の原料モノマー(a)として複合化前にポリマー骨格に導入した後、該両反応性化合物を介してポリエステル系樹脂(B)と複合化することがより好ましい。スチレンアクリル系樹脂(A)の原料モノマー(a)が、両反応性化合物としてエチレン性不飽和モノカルボン酸化合物を含有する場合には、該スチレンアクリル系樹脂(A)がエチレン性不飽和モノカルボン酸化合物由来の構成単位を含むことによりポリマー骨格に導入されたカルボキシ基と、ポリエステル系樹脂(B)のヒドロキシ基との縮合反応により形成されるエステル結合を介して、複合化されることとなる。
スチレンアクリル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)のいずれとも反応し得る両反応性化合物の量は、スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の原料モノマー(a)の総量を100質量%としたとき、該原料モノマー(a)の総量に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。すなわち、両反応性化合物の量は、原料モノマー(a)の総量100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
複合樹脂におけるポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)のスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)に対する質量比[ポリエステル系樹脂(B)/スチレンアクリル系樹脂(A)]、又はポリエステル系樹脂ユニットを構成する原料モノマー(b)の総量のスチレンアクリル系樹脂ユニットを構成する原料モノマー(a)の総量に対する質量比[原料モノマー(b)の総量/原料モノマー(a)の総量]は、スチレンアクリル系樹脂ユニットの分散性を向上させ、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、好ましくは30/70以上98/2以下、より好ましくは50/50以上95/5以下、更に好ましくは70/30以上90/10以下である。
工程IIを高分子反応により行う場合には、その方法は、共有結合を形成し得る方法であれば特に制限はないが、スチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)とを加熱して、融解及び混合して行う方法が好ましい。
工程IIの高分子反応時の温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
工程IIの高分子反応は、反応性の観点から、加圧下又は減圧下で行ってもよいが、反応容易性の観点から、常圧で行うことが好ましい。
また、高分子反応の時間は、反応温度等により適宜変更すればよいが、好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは6時間以下である。
本発明の結着樹脂中の複合樹脂の含有量は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性をより向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下、更に好ましくは100質量%以下である。
本発明の結着樹脂の軟化点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
本発明の結着樹脂のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは53℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
本発明の結着樹脂の酸価は、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。一方、本発明の結着樹脂の酸価は、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上、更に好ましくは14mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上である。
本発明の結着樹脂の軟化点、ガラス転移温度及び酸価をこれらの範囲にするには、原料モノマーの種類及び量、ラジカル発生剤量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に行うことができる。
本発明の結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
本発明の結着樹脂を2種以上併用する場合としては、軟化点の異なる2種の結着樹脂を用いる場合が挙げられる。低軟化点の結着樹脂と高軟化点の樹脂との軟化点の差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは7℃以上、更に好ましくは10℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは20℃以下である。
低軟化点の結着樹脂と高軟化点の樹脂とを併用する場合、低軟化点の結着樹脂と高軟化点の結着樹脂との混合比率(低軟化点の結着樹脂/高軟化点の結着樹脂)は、好ましくは10/90以上90/10以下、より好ましくは20/80以上80/20以下、更に好ましくは30/70以上70/30以下でありである。
[静電荷像現像用トナー]
本発明のトナーは、前記結着樹脂を含有する。
前記結着樹脂の含有量は、トナー中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
トナーは、例えば、トナー粒子と外添剤とを含有する。
トナー粒子は、好ましくは、前記結着樹脂を含む。
そして、トナー粒子は、例えば、着色剤、着色剤誘導体、ワックス等の離型剤、荷電制御剤、磁性体その他添加剤を含んでいてもよい。トナー粒子は、これらの中でも、好ましくは着色剤を含む。
<着色剤>
着色剤としては、顔料又は染料のいずれであってもよい。
着色剤としては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法、チャンネルブラック法、ランプブラック法等により製造される各種のカーボンブラック;カーボンブラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラック;ニグロシン染料;フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ピグメントブルー15:3、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35等、及びそれらの混合物などが挙げられる。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上15質量部以下、より好ましくは2質量部以上10質量部以下である。
<荷電制御剤>
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
これらの荷電制御剤は、1種又は2種以上を用いてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、スチレン−アクリル系樹脂が挙げられる。
ニグロシン染料として「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)が挙げられる。4級アンモニウム塩化合物としては、例えば「ボントロンP−51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(ヘキスト社製)が挙げられる。ポリアミン樹脂としては、例えば「AFP−B」(オリヱント化学工業株式会社製)が挙げられる。イミダゾール誘導体としては、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)を挙下られる。スチレン−アクリル系樹脂としては、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)が挙げられる。
中でも、好ましくは、ボントロンN−07を用いることができる。
負帯電性荷電制御剤の具体例としては、例えば、含金属アゾ染料、ベンジル酸化合物の金属化合物、サリチル酸化合物の金属化合物、銅フタロシアニン染料、4級アンモニウム塩、ニトロイミダゾール誘導体、有機金属化合物が挙げられる。
含金属アゾ染料としては、例えば、「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS−31」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「T−77」(保土ヶ谷化学工業株式会社製)、「ボントロンS−32」、「ボントロンS−34」、「ボントロンS−36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土ヶ谷化学工業株式会社製)が挙げられる。サリチル酸化合物の金属化合物としては、例えば「ボントロンE−81」、「ボントロンE−82」、「ボントロンE−84」、「ボントロンE−85」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)が挙げられる。有機金属化合物としては、例えば「TN105」(保土谷化学工業株式会社製)が挙げられる。
中でも、好ましくは、ボントロンE−81、ボントロンS−34、T−77、アイゼンスピロンブラックTRHを用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上8質量部以下、より好ましくは0.2質量部以上5質量部以下である。
<ワックス>
本発明のトナーは、オフセット防止剤として、ポリオレフィン、パラフィンワックス等のワックスを含有することが好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上5質量部以下である。ここで、ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、比較的低分子量のもの、特に蒸気浸透法による分子量が3,000以上15,000以下のものが好ましい。また、環球法による軟化点が70℃以上150℃以下、特に120℃以上150℃以下のものが好ましい。
<その他添加剤>
トナー粒子は、その他添加剤として、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
本発明のトナー中、トナー粒子の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
<外添剤>
本発明のトナーには、流動性を向上させるために、トナー粒子の表面を外添剤等の特性改良剤で処理することにより、例えば、トナー粒子と外添剤とを含有するものとしてもよい。外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化亜鉛等の無機材料の微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの外添剤の中では、シリカが好ましく、疎水化処理剤で処理された疎水性シリカがより好ましい。
疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中でもヘキサメチルジシラザンが好ましい。
外添剤を用いて、トナー粒子の表面処理を行う場合、該外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性の観点から、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.08質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
[トナーの製造方法]
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、懸濁重合法、乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
溶融混練法では、前記結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて特性改良剤とを均一分散した後、公知の方法により溶融混練、冷却、粉砕、分級することにより、体積中位粒径(D50)5μm以上15μm以下のトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。当該トナーは、非磁性一成分系現像剤として、又は、酸化鉄系キャリア、真球状酸化鉄系キャリア、フェライト系キャリア等のキャリアをそのまま、もしくは樹脂等でコートしたものと混合して乾式二成分系現像剤として使用することができる。
[測定]
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
樹脂の酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、該方法において、測定溶媒のみエタノールとエーテルの混合溶媒から、酸価の測定はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更し、水酸基価の測定はテトラヒドロフランに変更した。
〔樹脂の重量平均分子量〕
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、重量平均分子量を求めた。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP−200」(住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)重量平均分子量の測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製の「A−500」(Mw:5.0×102)、「A−1000」(Mw:1.01×103)、「A−2500」(Mw:2.63×103)、「A−5000」(Mw:5.97×103)、「F−1」(Mw:1.02×104)、「F−2」(Mw:1.81×104)、「F−4」(Mw:3.97×104)、「F−10」(Mw:9.64×104)、「F−20」(Mw:1.90×105)、「F−40」(Mw:4.27×105)、「F−80」(Mw:7.06×105)、「F−128」(Mw:1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「GMHXL」+「G3000HXL」(東ソー株式会社製)
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/分で昇温し、熱量を測定した。得られた吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
〔トナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次のとおり測定した。
・測定装置:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマン・コールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「コールターマルチサイザー(登録商標)IIIバージョン 3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマン・コールター株式会社製)
・分散液:「エマルゲン(登録商標)109P」〔ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance、グリフィン法)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
・測定条件:ビーカー内で、前記試料分散液を、前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、得られた粒度分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
[樹脂(A)、樹脂(B)の製造]
製造例A1〜A5、比較製造例A51(樹脂A−1〜A−5,A−51の製造)
表1に示す両反応性化合物としてアクリル酸を含むスチレンアクリル系樹脂の原料モノマーを、ステンレス製撹拌棒を備えたオートクレーブ中に入れ、加圧加熱条件(300℃)2時間にて原料モノマーを重合した。常圧、常温に戻すことで析出したスチレンアクリル系樹脂を回収することで、スチレンアクリル系樹脂A−1〜A−5及びA−51を得た。
製造例A6(製造A−6の製造)
表1に示す両反応性化合物としてアクリル酸を含むスチレンアクリル系樹脂の原料モノマー及びラジカル発生剤を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備したステンレス製反応容器中に入れ、150℃2時間にて原料モノマーを重合した。常温に戻すことで析出したスチレンアクリル系樹脂を回収することで、スチレンアクリル系樹脂A−6を得た。
Figure 2021107920
製造例B1〜B4(樹脂B−1〜B−4の製造)
表2に示すポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒、助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れた。窒素雰囲気にて180℃に加熱した後、1時間ごとに5℃ずつ230℃まで昇温し固体モノマーがすべて溶融反応したことを確認した後、60torrまで減圧し1時間脱水縮合させた。その後常圧に戻し、160℃まで冷却した後、220℃まで昇温し、更に1時間220℃を保持して反応を行った後、220℃60torrの条件で縮合反応を行い、軟化点が表2に示す軟化点に達するまで反応させて、樹脂B−1〜B−4を得た。
Figure 2021107920
[結着樹脂の製造]
実施例1−1〜1−11及び比較例1−1(結着樹脂C−1〜C−11,C−51の製造)
表3に示すスチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との組み合わせ及び混合比率で、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて180℃で4時間加熱し、スチレンアクリル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)とを融解及び混合して縮合反応させた。その後、更に230℃まで昇温し1時間反応させた後、60torrまで減圧した。樹脂の軟化点が表3に示す所定の軟化点に到達したことを確認し、反応を停止させて複合樹脂を形成して、結着樹脂C−1〜C−11,C−51を得た。
Figure 2021107920
比較例1−2(結着樹脂C−52の製造)
表4に示すトリメリット酸無水物を除くポリエステル樹脂ユニットの原料モノマー、両反応性化合物のアクリル酸、及びエステル化触媒、助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて160℃に加熱した。そこに表4に示すスチレンアクリル系樹脂ユニットの原料モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下後200℃まで昇温し1時間熟成反応させることで、反応系中にスチレンアクリル系樹脂を生成させた。その後1時間ごとに230℃まで昇温し固体モノマーがすべて溶融反応したことを確認した後、60torrまで減圧し1時間脱水縮合させた後、トリメリット酸無水物を加え、更に230℃で脱水縮合反応を継続させ、軟化点が表4に示す軟化点に達するまで反応させて、結着樹脂C−52を得た。
Figure 2021107920
[トナーの製造]
実施例2−1〜2−11及び比較例2−1〜2−2
表5に示す結着樹脂を合計100質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E−81」(オリヱント化学工業株式会社製)1質量部、着色剤「Pigment blue 15:3」(大日精化工業株式会社製)5質量部、及び離型剤「HNP−9」(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、スクリュー回転速度200r/min、バレル設定温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、外添剤「アエロジル R−972」(疎水性シリカ、日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径:16nm)2.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、トナーを得た。
[トナー評価]
[低温定着性及び耐ホットオフセット性]
複写機「AR−505」(シャープ株式会社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置に各トナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を80℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆株式会社製、幅:18mm、JIS Z1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
また、上記で得られた定着画像を目視で判断し、ホットオフセットが見られた定着ロールの最低温度をホットオフセット温度とした。なお、定着紙には、「CopyBond SF−70NA」(シャープ株式会社製、75g/m2)を使用した。ホットオフセット温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れる。
これらの結果を表5に示す。
[耐熱保存性]
各トナー5gを50mL容のポリビンに入れ、温度50℃、相対湿度60%の環境で48時間放置した。その後、そのトナーを目開き100μmのメッシュで篩い、メッシュ上の残存トナーを計量し、以下の評価基準に従って、耐熱保存性を評価した。結果を表5に示す。
(評価基準)
A:残存トナーが0.5g未満
B:残存トナーが0.5g以上1g未満
C:残存トナーが1g以上
[帯電安定性]
温度32℃、相対湿度50%の条件下にて、各トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業株式会社製、平均粒子径90μm)19.4gとを50mL容のポリビンに入れ、ボールミルを用いて250r/minで混合し、以下の方法によりトナーの帯電量を、Q/Mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。
所定の混合時間後、Q/Mメーター付属のセルに規定量のトナーとキャリアの混合物を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引した。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、X=〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)とした。混合時間60秒後における帯電量X60と混合時間600秒後における帯電量X600との比(X60/X600)を計算し、帯電安定性を以下の評価基準に従って評価した。数値が大きいほど高温高湿下での帯電安定性に優れる。結果を表5に示す。
(評価基準)
A:比率(X60/X600)が0.90以上
B:比率(X60/X600)が0.80以上0.90未満
C:比率(X60/X600)が0.80未満
Figure 2021107920
表5に示すとおり、特定の複合樹脂を含有する結着樹脂を用いた実施例のトナーは、比較例のトナーと比較して、最低定着温度が低くかつホットオフセット温度が高いため、低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れ、耐熱保存性及び帯電安定性にも優れているがわかる。

Claims (15)

  1. スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂であって、
    前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である、トナー用結着樹脂。
  2. 前記複合樹脂が、前記スチレンアクリル系樹脂(A)と、前記ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)と、の高分子反応により共有結合が形成されてなる樹脂である、請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
  3. 前記スチレンアクリル系樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B)のそれぞれの重合系が、独立した反応系である、請求項2に記載のトナー用結着樹脂。
  4. 前記スチレン系アクリル系樹脂(A)が、塊状重合により形成されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載のトナー用結着樹脂。
  5. 前記スチレン系アクリル系樹脂(A)の塊状重合におけるラジカル発生剤の濃度が、スチレンアクリル系樹脂(A)の原料モノマー(a)の総量に対して1質量%以下である、請求項4に記載のトナー用結着樹脂。
  6. 前記スチレンアクリル系樹脂(A)の塊状重合が、無溶剤の条件下での重合である、請求項4又は5に記載のトナー用結着樹脂。
  7. 前記スチレンアクリル系樹脂(A)の塊状重合が、無触媒の条件下での重合である、請求項4〜6のいずれかに記載のトナー用結着樹脂。
  8. 前記スチレンアクリル系樹脂(A)の塊状重合が、160℃以上の条件下での重合である、請求項4〜7のいずれかに記載のトナー用結着樹脂。
  9. 前記スチレンアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が50℃以上かつ軟化点が105℃以上である、請求項1〜8のいずれかに記載のトナー用結着樹脂。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のトナー用結着樹脂を含有する、静電荷像現像用トナー。
  11. スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂の製造方法であって、
    工程I:ポリエステル系樹脂ユニットを構成するポリエステル系樹脂(B)の非存在下、ポリエステル系樹脂(B)を構成する原料モノマー(b)の重合系とは別の独立した重合系で原料モノマー(a)の重合を行い、スチレンアクリル系樹脂(A)を得る工程、及び、
    工程II:工程Iで得られたスチレンアクリル系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)と、を共有結合を介して結合し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程、
    を含み、
    前記スチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上である、トナー用結着樹脂の製造方法。
  12. さらに下記工程I’を含む、請求項11に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
    工程I’:スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の非存在下、スチレンアクリル系樹脂(A)を構成する原料モノマー(a)の重合系とは別の独立した重合系で原料モノマー(b)の重合を行い、ポリエステル系樹脂(B)を得る工程
  13. 工程IIが、工程Iで得られたスチレンアクリル系樹脂(A)と、工程I’で得られたポリエステル系樹脂(B)と、の高分子反応により形成される共有結合を介して結合し、前記複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂を得る工程、である、請求項12に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  14. 工程IIにおける高分子反応が、縮合反応である、請求項11〜13のいずれかに記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  15. 工程Iにおける原料モノマー(a)の重合が塊状重合である、請求項11〜14のいずれかに記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
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