JP2021105714A - 画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法 - Google Patents

画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021105714A
JP2021105714A JP2020213829A JP2020213829A JP2021105714A JP 2021105714 A JP2021105714 A JP 2021105714A JP 2020213829 A JP2020213829 A JP 2020213829A JP 2020213829 A JP2020213829 A JP 2020213829A JP 2021105714 A JP2021105714 A JP 2021105714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
binder resin
wax
formula
image forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020213829A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021105714A5 (ja
Inventor
大輔 吉羽
Daisuke Yoshiba
大輔 吉羽
徹哉 衣松
Tetsuya Kinumatsu
徹哉 衣松
麻理子 山下
Mariko Yamashita
麻理子 山下
関谷 道代
Michiyo Sekiya
道代 関谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2021105714A publication Critical patent/JP2021105714A/ja
Publication of JP2021105714A5 publication Critical patent/JP2021105714A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08702Binders for toner particles comprising macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G9/08706Polymers of alkenyl-aromatic compounds
    • G03G9/08708Copolymers of styrene
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/14Inert intermediate or cover layers for charge-receiving layers
    • G03G5/147Cover layers
    • G03G5/14708Cover layers comprising organic material
    • G03G5/14713Macromolecular material
    • G03G5/14747Macromolecular material obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G5/14756Polycarbonates
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/05Organic bonding materials; Methods for coating a substrate with a photoconductive layer; Inert supplements for use in photoconductive layers
    • G03G5/0528Macromolecular bonding materials
    • G03G5/0557Macromolecular bonding materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsatured bonds
    • G03G5/0564Polycarbonates
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0819Developers with toner particles characterised by the dimensions of the particles
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0821Developers with toner particles characterised by physical parameters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08775Natural macromolecular compounds or derivatives thereof
    • G03G9/08782Waxes

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】低温定着性に優れ、かつ転写中抜けが抑えられた高精細な画像を得られる画像形成装置画像形成装置などを提供する。【解決手段】電子写真感光体と、トナーを有し、電子写真感光体上にトナーを供給するための現像装置と、を有する画像形成装置であって、電子写真感光体が結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、結着樹脂(A)が所定の構造を有し、トナーがトナー粒子を有し、トナー粒子が結着樹脂(B)及びワックスを含有し、ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8〜2.5((J/cm3)0.5)である画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法。【選択図】図1

Description

本開示は、画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法に関する。
従来、電子写真法を利用した画像形成装置及び画像形成方法としては多数の方法が知られている。該画像形成方法の一例としては、次のようなものである。
光導電性物質を利用し、種々の手段により電子写真感光体(以下、感光体ともいう)上に電気的潜像を形成する。次いで電気的潜像をトナーを用いて現像を行ってトナー像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー像を転写する。その後、熱及び圧力などにより転写材上にトナー像を定着して定着画像を得る。
この際、転写材に転写されずに感光体上に残余したトナーは、必要に応じて転写後に種々の方法でクリーニングされる。
レーザービームプリンターや複写機において、近年は低消費電力化や一層の高画質化が求められている。低消費電力化の要求に対応するためには、より低い温度で速やかに溶融する、すなわち低温定着性に優れたトナーが好ましい。低温定着性に優れたトナーを得るために、ワックスをトナーに用いる検討がなされている。
例えば特許文献1では、ワックスとしてジエステル化合物を用い、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性を改善したトナーが提案されている。
国際公開第2013/047296号
ワックスは、離型性をトナーに与える目的で添加される場合があるが、結着樹脂に可塑性を与える目的で添加することもできる。結着樹脂とワックスの相溶性を制御することで、熱によって溶融して液体化したワックスが結着樹脂を可塑化し、トナーの溶融時の粘度が下がり、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。
可塑性に優れたワックスとしては、極性が高く、運動性が高い分子構造を有するものが好ましく用いられ、低温定着性の改善効果も大きい。
一方で、トナー中のワックスは、トナーの帯電性や付着性に大きく影響を及ぼす。特に高画質化に影響する転写工程においては、ワックスの影響を受け易くなる。
具体的には、転写時にトナーに転写電圧が印加されると、高極性のワックスが局所的に帯電し易く、感光体との静電的な付着力が一時的に上昇し、転写が阻害され、画像欠陥を発生する場合があることがわかった。この画像欠陥は特にライン画像で顕著に見られ、ラインの一部(主に中心部)が欠損することから、この画像欠陥を「転写中抜け」と呼ぶ。かかる転写中抜けは、高画質化が求められる中で問題視され得る。
転写中抜けは、極性が高く、かつ相溶性も高いワックスで顕著になり易くなることがわかったため、低温定着性と転写中抜けが抑えられた高精細な画質の両立が求められる。
しかしながら、特許文献1においては、低温定着性の改善に対しては効果があるが、トナーと感光体の関係を詳細に検討しておらず、転写中抜けに関しては改善の余地がある。
本開示は、低温定着性に優れ、かつ、転写中抜けが抑えられた高精細な画像を得られる
画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法を提供するものである。
上記課題を解決するための本開示の第一の画像形成装置は、
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
を有する画像形成装置であって、
該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
Figure 2021105714
(式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
該トナーが、トナー粒子を有し、
該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である
ことを特徴とする。
本開示の第二の画像形成装置は、
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
を有する画像形成装置であって、
該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
Figure 2021105714
(式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
該トナーが、トナー粒子を有し、
該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
該ワックスが、下記式(3)で示されるジエステル化合物を含有する、
Figure 2021105714
(式(3)中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数15以上22以下のアルキル基を示す。)
ことを特徴とする。
また、本開示のプロセスカートリッジは、
画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジが、
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
を有し、
該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
Figure 2021105714
(式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
該トナーが、トナー粒子を有し、
該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である
ことを特徴とする。
さらに、本開示のカートリッジセットは、
画像形成装置の本体に脱着可能である第一のカートリッジ及び第二のカートリッジを有するカートリッジセットであって、
該第一のカートリッジが、電子写真感光体を有し、
該第二のカートリッジが、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像して電子写真感光体の表面にトナー像を形成するためのトナーを収容しているトナー容器を有し、
該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
Figure 2021105714
(式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
該トナーが、トナー粒子を有し、
該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である
ことを特徴とする。
さらにまた、本開示の画像形成方法は、
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上にトナーを供給する現像工程と、
を有する画像形成方法であって
該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
Figure 2021105714
(式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
該トナーが、トナー粒子を有し、
該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5以下(J/cm0.5である
ことを特徴とする。
本開示によれば、低温定着性に優れ、かつ転写中抜けが抑えられた高精細な画像を得られる画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法を提供することができる。
画像形成装置の例
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らは、優れた低温定着性に加えて、転写中抜けを抑制できる画像形成装置などについて鋭意検討した。
まず、本発明者らは低温定着性に優れたトナーを得るために、ワックスの検討を行った。
上記の通り、ワックスは、離型性をトナーに与える目的で添加される場合があるが、結着樹脂に可塑性を与える目的で添加することもできる。結着樹脂とワックスの相溶性を制御することで、熱によって溶融して液体化したワックスが結着樹脂を可塑化し、トナーの溶融時の粘度が下がり、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。
可塑性に優れたワックスとしては、極性が高く、運動性が高い分子構造を有するものが好ましく用いられ、低温定着性の改善効果も大きい。一方でワックスの極性が高すぎると、可塑性の制御が困難になり易く、トナーの保存安定性が低下し易くなるため、適切な極性に制御する必要がある。
本発明者らは鋭意検討した結果、ワックスの極性の指標として、ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)を用いた。該δp(w)が1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下であると、低温定着性と保存安定性を両立させ易いことを見出した。
ハンセン溶解度パラメータは、分散項、極性項、水素結合項からなる、三次元ベクトル量である。ある物質のハンセン溶解度パラメータの分散項の値をδd、極性項の値をδp、水素結合項の値をδhとしたとき、本明細書中では、[δd、δp、δh]のように表記する。
本発明者らは、ワックスの極性の指標として用い得る、該ハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、画像形成装置などの低温定着性と保存安定性の指標になり得ることを見出した。
ハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値(δp)は、溶解度パラメータ計算ソフトウェアであるHansen Solubility Parameters in Practice 4th Edition 4.1.03(https://www.hansen−solubility.com/HSPiP/より入手可能)により算出する。計算方法はハンセンの溶解度パラメータの理論に基づくものであり、化合物の化学構造式を入力して計算を行い、極性項の値(δp)[(J/cm0.5]を求める。詳細な計算方法は後述する。
一方で、トナー中のワックスは、上記の通りトナーの帯電性や付着性に大きく影響を及ぼす。特に高画質化に影響する転写工程においては、ワックスの影響を受け易くなる。
上記の通り、ワックスは、低温定着性の観点から、比較的極性の高いもの、具体的にはδp(w)が1.8(J/cm0.5〜2.5(J/cm0.5であるワックスである。一方で、トナー中のワックスは結着樹脂中に分散した状態で存在することが一般的である。このように電荷に偏りがある高極性のワックスがトナー中に存在すると、トナーの帯電が不均一になり易く、様々な影響を及ぼすことが分かった。具体的には、上記の通り、転写時にトナーに転写電圧が印加されると、ワックスが局所的に帯電し、感光体との静電的な付着力が一時的に上昇し、転写が阻害され、画像欠陥を発生する場合があることがわかった。この画像欠陥は、上記の通り、特にライン画像で顕著に見られ、ラインの一部(主に中心部)が欠損することから「転写中抜け」と呼べるものであり、高画質化が求められる中で問題視され得る。
そこで本発明者らは、トナーに使用されるワックスと感光体の表面層の関係を鋭意検討し、転写電圧が印加されたときの一時的な付着力の上昇を抑制するべく検討を行った。
その結果、感光体が、特定の構造を有する結着樹脂を含有する表面層を有することで、上記課題を解決し得ることを見出した。
ここで、「表面層」とは、感光体の最も外表面側に位置する層であり、表面層の外表面がトナーと接する面である。
すなわち、本開示で用いられる感光体は、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、該結着樹脂(A)が下記式(1)で示される構造を有する。
Figure 2021105714
式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。
該結着樹脂(A)は、上記式(1)で示される構造を有する。すなわち、結着樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂に分類される。
ポリカーボネート樹脂は耐摩耗性に優れるため、感光体の結着樹脂として好ましく用いられる。一般的なポリカーボネート構造は、上記式(1)で示される構造における2つのフェニレン基の間に、酸素原子の代わりに第四級炭素が存在し得る。
一方、該結着樹脂(A)は、この第四級炭素を酸素に置換した構造、すなわち上記式(1)で示される構造を取る。
上記式(1)で示される構造は、酸素原子の代わりに第四級炭素が存在する構造と比べて、構造単位自体の極性が高められる。その結果、トナーに用いられるワックスとの極性が相対的に近くなることで、転写電圧が印加されたときの、感光体とトナーの静電的な付着力の一時的な上昇を抑制することが可能となり、その結果転写中抜けを飛躍的に改善することが可能となった。
また、式(1)中のR11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。R11を上記構造とすることで、感光体の表面層(好ましくは感光層)を作製する際の、溶剤に対する結着樹脂(A)の溶解性が向上し、耐摩耗性が向上する。
上記の通り、本開示では、トナーに用いられるワックスの極性と、感光体の表面層に含まれる樹脂の極性の関係を適正に制御した画像形成装置を用いることで、低温定着性と転写中抜けを高度に両立することが可能となった。
以降本開示を更に詳細に説明する。
トナーはトナー粒子を含有し、該トナー粒子は結着樹脂(B)及びワックスを含有する。該ワックスは、そのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である。
該ワックスは、そのδp(w)が上記範囲内であればその他の制限はなく、公知のワックスを用いることができる。具体的には、例えば、エチレングリコールジステアレート、トリメチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジベヘネートなどが挙げられる。また、DP−16(ジペンタエリスリトールのパルミチン酸エステル、日清オイリオ株式会社製)などの市販のワックスを使用することもできる。
該δp(w)は、好ましくは1.8(J/cm0.5〜2.3(J/cm0.5であり、より好ましくは1.9(J/cm0.5〜2.2(J/cm0.5である。該δp(w)は、ワックスとして含まれる化合物の原料となるモノマーの種類や、ワックスとして含まれる化合物の種類、含有量などを変えることなどによって制御することが可能である。
該ワックスは、下記式(3)で示されるジエステル化合物(以下、単に「ジエステル化合物」ともいう)を含有することが好ましい。
Figure 2021105714
式(3)中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基を示し、より好ましくはエチレン基又はトリメチレン基を示し、さらに好ましくはエチレン基を示す。また、R及びRはそれぞれ独立して炭素数15以上22以下のアルキル基(好ましくは直鎖アルキル基)を示す。該アルキル基(好ましくは直鎖アルキル基)の炭素数は、より好ましくは16以上、さらに好ましくは17以上である。また、該炭素数は、より好ましくは21以下である。該数値範囲は任意に組み合わせることができる。
該ワックスが式(3)で示されるジエステル化合物を含有することで、該δp(w)を上記範囲内に制御し易くなる。また、式(3)で示される構造は、適度な分子サイズを有するため、結着樹脂(B)への相溶スピードがより速くなり、より迅速に可塑効果が得られるため、低温定着性が更に向上する。
該Rが示す炭素数1〜3のアルキレン基(好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基)は、置換基を有していてもよい。
上記式(3)で示されるジエステル化合物として、具体的には以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
エチレングリコールジステアレート(R=−C−、R=R=−C1735)、トリメチレングリコールジステアレート(R=−C−、R=R=−C1735)、エチレングリコールアラキジネートステアレート(R=−C−、R=−C1939、R=−C1735)、トリメチレングリコールアラキジネートステアレート(R=−C−、R=−C1939、R=−C1735)、エチレングリコールステアレートパルミテート(R=−C−、R=−C1735、R=−C1531)、トリメチレングリコールステアレートパルミテート(R=−C−、R=−C1735、R=−C1531)、エチレングリコールジパルミテート(R=−C−、R=R=−C1531)、トリメチレングリコールジパルミテート(R=−C−、R=R=−C1531)、エチレングリコールジマルガレート(R=−C−、R=R=−C1633)、トリメチレングリコールジマルガレート(R=−C−、R=R=−C1633)、エチレングリコールジノナデカネート(R=−C−、R=R=−C1837)、トリメチレングリコールジノナデカネート(R=−C−、R=R=−C1837)、エチレングリコールジアラキジネート(R=−C−、R=R=−C1939)、トリメチレングリコールジアラキジネート(R=−C−、R=R=−C1939)、エチレングリコールジベヘネート(R=−C−、R=R=−C2143)、トリメチレングリコールジベヘネート(R=−C−、R=R=−C2143)。
これらのジエステル化合物の中でも、エチレングリコールジステアレート、トリメチレングリコールジステアレートがより好ましい。
該ワックスが上記式(3)で示されるジエステル化合物を主成分として含んでいれば、本開示の効果を得られやすい。具体的には、該ワックス中の該ジエステル化合物の含有量は、50質量%〜100質量%であることが好ましく、95質量%〜100質量%であることがより好ましい。
また、該ワックスの含有量は、結着樹脂(B)100質量部に対して、5質量部〜30質量部であることが好ましく、10質量部〜30質量部であることがより好ましい。5質量部以上含有することで、本開示の効果が安定的に得られる。一方、30質量部以下にすることで保存安定性との両立がより容易となる。
該ワックスは、その他のワックスを含んでいてもよい。
その他のワックスとしては、具体的には、以下のようなものが例示される。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素;
ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネートなどのグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどのジペンタエリスリトールエステル化合物;などの多官能エステルワックスが挙げられる。
該ワックスの酸価は、0.01mgKOH/g〜2.0mgKOH/gであることが好ましく、0.03mgKOH/g〜1.0mgKOH/gであることがより好ましく、0.05mgKOH/g〜0.5mgKOH/gであることがさらに好ましい。なお、該ワ
ックスの酸価は、日本工業規格制定の化学製品の酸価の試験方法を用いて、JIS K 0070に準拠して測定される値である。測定方法の詳細は後述する。
該ワックスの酸価が0.01mgKOH/g以上2.0mgKOH/g以下であると、該ワックス中に未反応の脂肪酸由来のカルボン酸基が適度に存在するため、液滴形成工程において、重合性単量体組成物の液滴を安定して形成することが容易となる傾向がある。その結果該トナー粒子の粒径が均一になり易い。
該ワックスの水酸基価は、0.1mgKOH/g〜15mgKOH/gであることが好ましく、0.3mgKOH/g〜10mgKOH/gであることがより好ましく、0.5mgKOH/g〜5.0mgKOH/gであることがさらに好ましく、1.0mgKOH/g〜4.0mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、該ワックスの水酸基価は、日本工業規格制定の化学製品の水酸基価の試験方法を用いて、JIS K 0070に準拠して測定される値である。
該ワックスの水酸基価が0.1mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であると、該ワックス中に未反応の原料由来の水酸基が適度に存在するため、液滴形成工程において、重合性単量体組成物の液滴を安定して形成することが容易となる傾向がある。その結果該トナー粒子の粒径が均一になり易い。
上記式(3)で示されるジエステル化合物の製造方法としては、特に限定されないが、例えばエステルワックスの場合は、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応などが挙げられる。
該ジエステル化合物の製造には適宜触媒を用いることもできる。触媒としては、エステル化反応に用いる一般の酸性又はアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などが好ましい。エステル化反応後、再結晶、蒸留などにより目的生成物を精製してもよい。
以下に上記式(3)で示されるジエステル化合物の具体的な製造例を示すが、以下の製造例に限定されない。
まず、反応容器に、原料となるアルコールモノマーとカルボン酸モノマーを加える。アルコールモノマーとカルボン酸モノマーのモル比は、目的とするジエステル化合物の化学構造に合わせて適宜調整する。すなわち、アルコールモノマー:カルボン酸モノマー=1:2のモル比となるようにアルコールモノマーとカルボン酸モノマーを混合する。なお、脱水縮合反応における反応性などを考慮して、アルコールモノマーとカルボン酸モノマーのうちいずれか一方を、上記比より若干過剰に加えてもよい。
次に、アルコールモノマーとカルボン酸モノマーの混合物を適宜加熱し、脱水縮合反応を行う。脱水縮合反応により得られるエステル化粗生成物に対し、塩基性水溶液、及び適宜有機溶媒を加え、未反応のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを脱プロトン化し水相に分離する。あとは、適宜水洗、溶媒留去、及びろ過を行うことにより、所望のジエステル化合物が得られる。
また、該ワックスの融点は65℃〜85℃であることが好ましく、より好ましくは70℃〜80℃である。
上記範囲にすることで、トナーの保存安定性と低温定着性を両立し易くなる。
該トナーは、トナー粒子を含有する。該トナー粒子は、結着樹脂(B)及び上記ワックスを含有する。該結着樹脂(B)は、特に限定されるものではなく、トナー用の公知の樹脂を用いることができる。
具体的には、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シ
リコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、該ワックスとの相溶性の観点から、ビニル系樹脂が好ましく、スチレン系共重合樹脂がより好ましい。
また、トナー中の結着樹脂(B)の含有量は、40質量%〜95質量%が好ましい。
該結着樹脂(B)のSP値をSP1((J/cm0.5)、該ワックスのSP値をSP2((J/cm0.5)としたとき、下記式(2)を満足することが好ましい。
1.80≦SP1−SP2≦2.10 (2)
ここで、SP値とは、溶解度パラメータ(soluble parameter)の略であり、溶解性の指標となる値である。
結着樹脂(B)とワックスとの相溶性は、このSP値の関係で表すことが可能である。
両者のSP値の関係を上記式(2)の範囲に制御することで、ワックスと結着樹脂(B)の相溶性を適正に制御することが可能となり、低温定着性と保存安定性の両立が図り易い。SP1−SP2の値は、より好ましくは1.90〜2.05である。
SP1−SP2が2.10以下であると、相溶性が向上して低温定着性が良好となる傾向がある。SP1−SP2が1.80以上だと可塑化が過度に進むことが抑制され、保存安定性が低下しにくい傾向がある。
また、該SP1は、19.00〜21.00が好ましく、19.50〜21.50がより好ましい。
さらに、該SP2は、18.00〜18.50が好ましく、18.00〜18.45がより好ましい。
SP1は、結着樹脂として含まれる化合物の原料となるモノマーの種類や含有量などを変えることなどによって制御することが可能である。
また、SP2は、ワックスとして含まれる化合物の原料となるモノマーの種類や、ワックスとして含まれる化合物の種類、含有量などを変えることなどによって制御することが可能である。
SP1、SP2に関しては、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。
結着樹脂(B)及びワックスについて、分子構造中の原子又は原子団に対して、「polym.Eng.Sci.,14(2),147−154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギーΔei(cal/mol)及びモル体積Δvi(cm/mol)を求め、(4.184×ΣΔei/ΣΔvi)0.5の値をSP値(J/cm0.5とする。
なお、複数の化合物が該ワックスとして含まれる場合、SP2の値は、それぞれの化合物のSP2の値を加重平均した値とする。
例えば、SP2の値がSP2であるワックスを、ワックスとして含まれる化合物全体のモル数を基準としてAモル%含み、SP2の値がSP2である化合物を、ワックスとして含まれる化合物全体のモル数を基準として(100−A)モル%含む場合のSP2の値は、
SP2=(SP2×A+SP2×(100−A))/100
である。ワックスとして含まれる化合物が3以上含まれる場合も同様に計算する。
また、トナーは、トナー粒子を含有し、該トナー粒子が、δp(w)の値が上記範囲であるワックスを含有していれば特に制限されず、その製造方法に関しても特に限定はない。
該トナー粒子を粉砕法によって製造することも可能であり、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化凝集法など、水系媒体中でトナー粒子を製造する方法によっても製造することが可能である。
ただし、該ワックスの存在状態を制御する観点から、水系媒体中でトナー粒子を製造する方法が好ましく、トナー形状制御の観点から特に懸濁重合法でトナー粒子を製造することが好ましい。
以下に、懸濁重合法について述べる。
懸濁重合法とは、重合性単量体及びワックス(更に必要に応じて着色剤、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー粒子(以後「重合トナー粒子」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法では、ワックスとして、δp(w)が上記範囲内であるワックスを使用する。
重合トナー粒子の製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレンなどのスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルなどのニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミドなどのアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレンなどのオレフィン;が挙げられる。
これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一を含むこと好ましい。より好ましくは、スチレン及びアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一を含む

該重合性単量体は、該モノビニル単量体を主成分として含むことが好ましい。具体的には、重合性単量体中のモノビニル単量体の含有量は、50質量%〜100質量%であることが好ましい。
トナー粒子の重合法による製造において使用される重合開始剤としては、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジエチルアセテート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート及びt−ブチルパーオキシイソブチレ
ートなどの有機過酸化物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されてもよいが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されてもよい。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3質量部〜15質量部であり、特に好ましくは1質量部〜10質量部である。
トナー粒子を重合法により製造する際は、架橋剤を添加してもよい。架橋剤の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15質量部以下である。
該架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。具体的には、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート及びジエチレングリコールジメタクリレートなどの2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン及びジビニルエーテルなどのその他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;などを挙げることができる。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタなどの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛及び酸化鉄ニッケルなどの磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物などが利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60などが挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料などのアゾ系顔料、縮合多環系顔料などの化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213などが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料などのアゾ系顔料、縮合多環系顔料などの化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。着色剤の量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは1質量部〜10質量部である。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の
帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されない。帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体などが挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al及びFeなどの金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体などが挙げられる。
帯電制御剤を、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.03質量部〜8質量部の割合で用いる。帯電制御剤の添加量が0.01質量部以上の場合にはカブリが発生しにくくなる傾向がある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部以下である場合には印字汚れが発生しにくくなる傾向がある。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールなどのメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;などが挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子量調整剤を、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.1質量部〜5質量部の割合で用いる。
トナー粒子を重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー粒子の原料を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機などの分散機によって均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に懸濁する。このとき、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとすると、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。
重合開始剤を添加するタイミングとしては、重合性単量体中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され、かつ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえばよい。
トナー粒子を製造する場合には、分散剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、硫酸バリウム及び硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム及び酸化チタンなどの金属酸化
物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び水酸化第二鉄などの金属水酸化物;などが挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下を使用することが望ましい。また、上記分散剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。更に、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60℃〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1時間〜20時間であり、更に好ましくは2時間〜15時間である。
上記重合反応を経て得られたワックスを含む重合体粒子は、そのまま重合トナー粒子として用いてもよいが、この重合体粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、いわゆるコアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の重合体粒子とすることが好ましい。コアシェル型の重合体粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記重合体粒子を用いて、コアシェル型の重合体粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。なかでも、in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の重合体粒子の製造法を以下に説明する。
重合体粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の重合体粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレートなどの、ガラス転移温度(Tg)が80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。なかでも、少なくともメタクリル酸メチルをシェル用重合性単量体として使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムなどの過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)及び2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]並びにそれらの水和物などのアゾ系開始剤;などの水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1質量部〜30質量部、より好ましくは1質量部〜20質量部である。
相分離法を用いる場合、シェルを形成する物質を事前に重合した重合体を、コアを形成するための重合性単量体に添加することが好ましい。事前に重合した重合体を用いる場合、不飽和結合を有する反応性重合体であることがより好ましい。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60℃〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1時間〜20時間であり、更に好ましくは2時間〜15時間である。
得られた重合体粒子を、必要に応じて公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することにより、トナー粒子を得ることもできる。また必要に応じて分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
得られたトナー粒子をそのままトナーとすることもできる。また、このトナー粒子に、外添剤を必要に応じて混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、トナーを得るこ
ともできる。
混合処理を行う攪拌機は、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(商品名、ホソカワミクロン社製)及びメカノミル(商品名、岡田精工社製)などの混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウムなどの無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などの有機微粒子;などが挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ及び酸化チタンが好ましく、シリカがより好ましい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部〜6質量部、好ましくは0.2質量部〜5質量部である。
トナーの、フローテスターにおける1/2法での溶融温度(Tm)は、100℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは120℃〜140℃である。トナーのTmが上記範囲であると、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させ易くなる。
該Tmは、重合温度や架橋剤の添加量などで制御することができる。
トナーのガラス転移温度(Tg)は、44℃〜60℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜58℃である。
トナーの数平均分子量(Mn)は、5,000〜20,000が好ましく、7,000〜15,000がより好ましい。該数平均分子量が20,000以下であると、低温定着性が向上する傾向があり、該数平均分子量が5,000以上であると、耐熱保存性が向上する傾向がある。
トナーの重量平均分子量(Mw)は、100,000〜300,000が好ましく、150,000〜280,000がより好ましい。該重量平均分子量が300,000以下であると、低温定着性が向上する傾向があり、該重量平均分子量が100,000以上であると、耐熱保存性が向上する傾向がある。
トナーの分子量分布(Mw/Mn)は、10〜40が好ましく、15〜35がより好ましい。該分子量分布が40以下であると、低温定着性及び保存性が向上する傾向があり、該分子量分布が10以上であると、耐ホットオフセット性が向上する傾向がある。
トナーのMn、Mwは、重合温度や架橋剤の添加量などで制御することができる。
次に、感光体に関して詳細を説明する。
[電子写真感光体]
感光体は、結着樹脂(A)を含有する表面層を有する。該結着樹脂(A)は、下記式(1)で示される構造を有する。
Figure 2021105714
式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。
結着樹脂(A)中の上記式(1)で示される構造の含有量は特に制限されないが、10質量%以上が好ましい。該含有量は、100質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。該数値範囲は任意に組み合わせることができる。
また、上記式(1)で示される構造の含有割合は特に制限されないが、該結着樹脂(A)中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。該含有割合は、100モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、40モル%以下がさらに好ましい。該数値範囲は任意に組み合わせることができる。
また、該結着樹脂(A)は、下記式(4)で示される構造をさらに有することが好ましい。
Figure 2021105714
式(4)中、R21は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基若しくはフェニル基を示すか、又は、R22、R23及びR22とR23の間のCが連結してシクロアルキリデン基を形成する。
結着樹脂(A)中の、上記式(1)で示される構造と、上記式(4)で示される構造のモル比率は、式(1)で示される構造:式(4)で示される構造=5:95〜95:5であることが好ましい。
該モル比の下限は、より好ましくは10:90以上、15:85以上、20:80以上、25:75以上、30:70以上、35:65以上、40:60以上、又は45:55以上である。
該モル比の上限は、より好ましくは90:10以下、85:15以下、80:20以下、75:25以下、70:30以下、65:35以下、60:40以下、55:45以下、又は50:50以下である。
上記数値範囲は任意に組み合わせることができる。
また、上記式(4)中、R22がメチル基であり、R23がエチル基であることが好ましい。
結着樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜300,000の範囲が好ましく、20,000〜200,000の範囲がより好ましい。該Mwは、モノマーの配合比率、反応温度などの重合条件により制御することができる。
結着樹脂(A)の製造方法は、上記式(1)で示される構造(及び必要に応じて上記式(4)で示される構造)を有する樹脂を製造できれば特に制限されない。該製造方法としては、例えば、上記式(1)で示される構造するためのジオール化合物及びホスゲン、並びに必要に応じて上記式(4)で示される構造を構成するためのジオール化合物を界面縮重合させる方法、該ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法などが挙げられる。
より具体的には、例えば、下記式(1’)で示されるジオール化合物、(及び必要に応じて下記式(4’)で示されるジオール化合物)及びホスゲンを界面縮重合させる方法が
挙げられる。
Figure 2021105714
Figure 2021105714
式(1’)中、R11は独立して、水素原子又はメチル基を示す。
式(4’)中、R21は独立して、水素原子又はメチル基を示す。R22及びR23は、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基若しくはフェニル基を示すか、又は、R22、R23及び式(4’)中に示されるR22とR23の間のCが連結してシクロアルキリデン基を形成する。
感光体を製造する方法の一例としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に該塗布液を支持体上に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。
<支持体>
感光体は、支持体を有することができる。該支持体は、導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
該金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
該導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
該金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。
該金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げら
れる。
これらの中でも、該導電性粒子の材質として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
該導電性粒子の材質として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物粒子の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、該導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子の材質としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層の材質としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物粒子を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm〜500nmであることが好ましく、3nm〜400nmであることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm〜50μmであることが好ましく、3μm〜40μmであることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を含有することが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
感光体は、一般的に感光層を有することができる。該感光層は、支持体上に形成されていることが好ましく、支持体と感光層の間には上記導電層や下引き層を有していてもよい。該感光層は、主に、(1)単層型感光層と、(2)積層型感光層とに分類される。
(1)単層型感光層は、例えば、電荷発生物質と電荷輸送物質と電子輸送物質を共に含有する感光層を有することができる。
(2)積層型感光層は、例えば、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有することができる。
(1)単層型感光層
感光層は、単層型感光層とすることができる。該単層型感光層は、例えば、電荷発生物質、電荷輸送物質、電子輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。該単層型感光層が感光体の表面層である場合、該樹脂は結着樹脂(A)を含有する。
該単層型感光層が感光体の表面層である場合、単層型感光層は、結着樹脂(A)以外の樹脂を、本開示の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、無金属フタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電子輸送物質としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。
キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。
これらの電子輸送物質は、単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの電子輸送物質の中でも、以下の式(5)〜(13)に示す化合物が好ましい。
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
Figure 2021105714
式(5)〜(13)中、
41〜R44、R51、R52、R61、R62、R71〜R73、R101、R102、R121〜R124は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基を示し、
63は、水素原子、ハロゲン基又は炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基を示し、
74、R81、R82は、それぞれ独立して、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基、ハロゲン基または炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基を有してもよいフェニル基を示し、
91は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基を示し、
111、R112は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。
表1に、式(5)〜(13)で示される電荷輸送物質の具体例を示す。
Figure 2021105714
表1中、t−Buはt−ブチル基を示す。
電荷発生物質と、感光層中の全ての樹脂成分との含有量比(質量比)は、1:1000〜50:100が好ましく、5:1000〜30:100がより好ましい。
電荷輸送物質と、感光層中の全ての樹脂成分との含有量比(質量比)は、1:10〜20:10が好ましく、1:10〜10:10がより好ましい。
電子輸送物質と、感光層中の全ての樹脂成分との含有量比(質量比)は、5:100〜10:10が好ましく、1:10〜8:10がより好ましい。
また、感光層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
なかでも、感光層の耐久性向上のために、シリカ粒子を添加してもよい。
該シリカ粒子は、表面処理剤で表面処理が施されていてもよい。該表面処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、N−メチル−ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチ
ル−N−プロピルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、又はポリジメチルシロキサンが挙げられる。表面処理剤は、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
該シリカ粒子の含有量は、結着樹脂(A)100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
該シリカ粒子の含有量は、感光層中の全ての樹脂成分100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
該シリカ粒子の体積平均粒径は、7nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上300nm以下であることがより好ましい。なお、シリカ粒子の特定、及びシリカ粒子の体積平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いた感光層の断面観察によって確認することができる。
感光層の平均膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層は、上述の各材料及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)積層型感光層
感光層は積層型感光層であってもよい。該積層型感光層は、例えば、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有することができる。
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有してもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有してもよい。該積層型感光層が感光体の表面層である場合、該電荷輸送層は結着樹脂(A)を含有する。
電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)単層型感光層」における材料の例示した材料と同様のものを使用することができる。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、上記「(1)単層型感光層」で例示した添加剤と同様の添加剤を含有してもよい。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
上記式(1)で示される構造のハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値をδp(A)((J/cm0.5)としたとき、下記式を満足することが好ましい。
5.8≦δp(A)―δp(w)≦6.5
δp(A)―δp(w)の値が6.5以下であると、両者の極性差が小さく、付着力低減の効果が得られやすい。一方で、δp(A)―δp(w)の値が5.8以上の場合、結着樹脂(A)の溶剤に対する溶解性が低下しにくい傾向があり、耐摩耗性などの物性が低
下しにくい。
δp(A)―δp(w)は、より好ましくは5.9〜6.4である。また、該δp(A)は、好ましくは4.0〜10.0であり、より好ましくは5.0〜9.0である。該δp(A)は、結着樹脂(A)に含まれる化合物の原料となるモノマーの種類や含有量などを変えることなどによって制御することが可能である。
[プロセスカートリッジ、画像形成装置]
プロセスカートリッジは、
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
を有し、
該電子写真感光体が、上記結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該トナーが、上記トナーであり、
画像形成装置の装置本体に着脱可能である
ことを特徴とする。
該プロセスカートリッジは、必要に応じて、帯電装置、像形成装置、転写装置及びクリーニング装置からなる群から選択される少なくとも一を有していてもよい。
また、画像形成装置は、
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給する現像装置と、
を有し、
該電子写真感光体が、上記結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該トナーが、上記トナー粒子を含有する
ことを特徴とする。
該画像形成装置は、必要に応じて、帯電装置、像形成装置、転写装置、クリーニング装置及び露光装置からなる群から選択される少なくとも一を有していてもよい。
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する画像形成装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。なお、図1においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。
帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、画像形成装置の外へプリントアウトされる。
画像形成装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。画像形成装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
[カートリッジセット]
カートリッジセットは以下の態様を有する。
画像形成装置の本体に脱着可能である第一のカートリッジ及び第二のカートリッジを有するカートリッジセットであって、
該第一のカートリッジが、電子写真感光体を有し、
該第二のカートリッジが、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像して電子写真感光体の表面にトナー像を形成するためのトナーを収容しているトナー容器を有し、
該電子写真感光体が、上記結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該トナーが、上記トナー粒子を含有する。
該第一のカートリッジは、該電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電装置を有していてもよい。また、該第一のカートリッジは、該電子写真感光体(及び必要に応じて該帯電装置)を支持するための第一の枠体を有していてもよい。
第一のカートリッジ又は第二のカートリッジは、電子写真感光体の表面にトナー像を形成するための現像装置を備えていてもよい。現像装置は、画像形成装置の本体に固定されていてもよい。
[画像形成方法]
画像形成方法は以下の態様を有する。
電子写真感光体と、
トナーを有し、該電子写真感光体上にトナーを供給する現像工程と、
を有する画像形成方法であって
該電子写真感光体が、上記結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
該トナーが、上記トナー粒子を有する
ことを特徴とする。
該画像形成方法は、必要に応じて、帯電工程、像形成工程、転写工程、クリーニング工程及び露光工程からなる群から選択される少なくとも一を有していてもよい。
次に、本開示に関わる各物性の測定方法に関して記載する。
<トナーの1/2法での溶融温度(Tm)の測定方法>
トナーの1/2法での溶融温度(Tm)は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用いて測定する。
該CFT−500Dは、上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させながら溶融してシリンダ底部の細管孔から押し出し、この際のピストンの降下量(mm)と温度(℃)から流動曲線をグラフ化できる装置である。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、ピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度を、1/2法における溶融温度とする。
測定試料は、1.2gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(標準手動式ニュートンプレス NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いる。
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行う。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:3.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf
予熱時間:5分
ダイの穴の直径:0.5mm
ダイの長さ:1.0mm
剪断応力:2.451×10Pa
<トナーのガラス転移温度の測定方法>
トナーのガラス転移温度は、ASTM D3418−97に準拠して測定する。
具体的には、乾燥によって得られたトナーを10mg精秤し、アルミニウムパン中に入れる。リファレンスとして空のアルミニウムパンを用いる。示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名:DSC6220)を用い、ASTM D 3418−97に従って、精秤したトナーのガラス転移温度を、測定温度範囲0℃〜150℃の間で、昇温速度10℃/分の条件下で測定する。
<トナー及び樹脂の分子量測定方法>
トナー及び樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)を用い、以下のようにして測定する。
(a)測定試料の調製
試料10mgを5mLのテトラヒドロフランに溶解し、25℃、16時間放置後、0.45μmメンブランフィルター(東ソー社製マイショリディスクH−25−2)を通して試料とする。
(b)測定条件
測定装置:ウォーターズ社製LC−GPC 150C、カラム温度:35℃、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0mL/min、試料濃度:0.2質量%、試料注入量:100μL
(c)カラム
東ソー(株)製、GPC TSKgel MultiporeHXL−M(30cm×2本)を用いる。重量平均分子量Mw=1,000〜300,000間のLog(Mw)‐溶出時間の一次相関式が0.98以上となる条件で測定する。
<ワックスの融点の測定方法>
試料用ホルダーにワックス6mg〜8mgを計量し、示差走査熱量分析機(セイコーインスツル社製、商品名:RDC−220)を用いて、−200℃〜1,000℃まで100℃/分で昇温する条件で測定を行い、DSC曲線を得る。当該DSC曲線の吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<ワックスの酸価の測定方法>
ワックスの酸価は、日本工業標準調査会(JISC)制定の規準油脂分析手法である、JIS K 0070に準拠して測定する。
具体的には、以下の方法により求める。
1)ワックス0.5g〜2.0gを精秤する。このときの質量をM(g)とする。
2)50mLのビーカーに該ワックスを入れ、テトラヒドロフラン/エタノール(2/1)の混合液25mLを加え溶解する。
3)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用い、電位差滴定測定装置(自動滴定測定装置「COM−2500」、平沼産業(株)製)を用いて滴定を行う。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(mL)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(mL)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOH溶液のファクターである。
酸価[mgKOH/g]=(S−B)×f×5.61/M
<トナーの体積平均粒径Dv及び粒径分布Dv/Dn>
トナーの体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び粒径分布Dv/Dnは粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定する。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行う。
具体的には、トナー0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)を加える。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、トナーを湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行う。
<結着樹脂(A)、式(3)で示されるジエステル化合物の構造の特定方法、及び、結着樹脂(A)における式(1)で示される構造と式(4)で示される構造のモル比の測定方法>
結着樹脂(A)、式(3)で示されるジエステル化合物の構造、及び、結着樹脂(A)における式(1)で示される構造と式(4)で示される構造のモル比は、核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて特定する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
溶媒:トナーを溶解する重水素化溶媒を適宜用いる
<トナーからの結着樹脂(B)とワックスの分離方法>
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000未満のワックス由来の低分子量成分と、分子量2000以上の結着樹脂由来の高分子量成分とを分取する。分取の条件は以下の通りである。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。
<感光体の表面層からの結着樹脂(A)の分離方法>
感光体の表面層をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、感光体の表面層のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られた感光体の表面層のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分取する。分取の条件は以下の通りである。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。
<ハンセン溶解度パラメータに基づく極性項δpの計算方法>
ハンセン溶解度パラメータの3次元ベクトルは以下の方法で計算を行う。
(1):前記溶解度パラメータ計算ソフトウェアを用いて、ビニル樹脂またはポリエステルの前駆体となる各モノマーに由来するユニット(以下、モノマーユニットともいう。)ごとのハンセンの溶解度パラメータ(δd,δp,δh)、モル体積および分子量を計算する。
ビニル樹脂に使用するモノマー:下記式(A)のように重合で開裂する二重結合に、計算結果に影響しない未知のハロゲンXを付加した状態で計算する。
Figure 2021105714
1以上のエステル結合を有する化合物に使用するモノマー:下記式(B)のように、縮合反応するモノマー中の官能基の内、1つを[−C(=O)O−X]または、[XC(=O)−O−]に変更し、もう1つの官能基をXに置換した状態で計算する。
Figure 2021105714
1以上のカーボネート結合を有する化合物に使用するモノマー:下記式(C)のように、縮合反応するモノマー中の官能基の内、1つを[−O−C(=O)O−X]に変更し、もう1つの官能基をXに置換した状態で計算する。
Figure 2021105714
その他の脱水を経て縮合するモノマー:下記式(D)のような反応を経て縮合する場合、各モノマーの溶解度パラメータは、下記式(E)、(F)のように、モノマーの一方の末端を結合基JとXで構成し、他方の末端をXに置換した状態で計算する。
G−Ra−G + H−Rb−H → (Ra−J−Rb) (D)
X−J−Ra−X (E)
X−J−Rb−X (F)
式(D)〜(F)中、G,Hは反応性官能基であり、Jは結合基であり、Ra、Rbは有機基である。
(2):ポリマー中での各モノマーユニットのモル比率と、各ユニットのモル体積から各モノマーに由来するユニットのモル体積比率を計算する。
(3):上記モル体積比率と各モノマーユニットのハンセンの溶解度パラメータのδdを掛け合わせた値の総和をポリマーのハンセンの溶解度パラメータのδdとする。δp、δhについても同様に計算する。
結着樹脂(B)やワックスが2種類以上の物質からなる混合物の場合の溶解度パラメータの導出方法は以下の通りである。
まずそれぞれの物質の溶解度パラメータ(δd,δp,δh)を導出する。そして各物質のδd同士、δp同士、δh同士のパラメータの相加平均を計算した値を混合物の溶解度パラメータ(δd,δp,δh)とする。
<ワックスの含有量の測定方法>
トナー中のワックスの含有量Xは、熱分析装置(DSC Q2000 TAインスツルメント社製)を用いて測定する。
まず、トナー試料約5.0mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。
窒素雰囲気下、30℃から200℃まで昇温速度10℃/分で加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測し、トナー試料中のワックスの吸熱量を算出する。また、ワックス単体試料約5.0mgを用いて同様な方法により吸熱量を算出する。そして、それぞれ得られたワックスの吸熱量を用いて、下記式(14)によりワックスの含有量を求める。
トナー中のワックスの含有量X(質量%)=(トナー試料中のワックスの吸熱量(J/g))/(ワックス単体の吸熱量(J/g))×100 ・・・・・(14)
以下、実施例及び比較例を用いて本開示を更に詳細に説明する。本開示は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<結着樹脂(A)1の製造例>
以下の材料を用意した。
・下記式(15)で示されるジオール13.3部
Figure 2021105714
・下記式(16)で示されるジオール36.7部
Figure 2021105714
・ハイドロサルファイト0.1部
これらを5質量%の水酸化ナトリウム水溶液1100部に溶解した。これにメチレンクロライド500部を加えて攪拌しつつ、15℃に保ちながら、次いでホスゲン60.0部を60分かけて吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調整剤としてp−t−ブチルフェノール1.0部を加えて攪拌して、反応液を乳化させた。乳化後0.3部のトリエチルアミンを加え、23℃にて1時間攪拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)
の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して結着樹脂(A)1を得た。
得られた結着樹脂(A)1をH−NMRで確認した結果、結着樹脂(A)1は、式(1)で示される構造を30mol%、式(4)で示される構造を70mol%有する樹脂であった。結着樹脂(A)1の重量平均分子量(Mw)は110,000であった。得られた結着樹脂(A)1の特性を表2に示す。
<結着樹脂(A)2〜13の製造例>
式(1)中のR11及び式(4)中のR21〜R23が表2の通りとなるように使用するジオールの種類を変更し、並びに、式(1)で示される構造と式(4)で示される構造のモル比率及び量を表2のように変更した以外は結着樹脂(A)1の製造例と同様にして、結着樹脂(A)2〜13を製造した。得られた結着樹脂(A)2〜13の特性を表2に示す。
<感光体1の製造例>
電荷発生物質剤として、無金属フタロシアニン顔料を3.0部、
電荷輸送物質として、下記式(17)で表される化合物を60.0部、
Figure 2021105714
電子輸送物質として、上記(E4−1)で表される化合物12.0部と、上記(E5−1)化合物28.0部、
結着樹脂として結着樹脂(A)1を100部と、
溶剤としてテトラヒドロフラン800部と
を容器内に投入した。
棒状超音波分散器を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合し、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、材料と溶剤とを50時間混合して、材料を溶剤に分散して感光層用塗布液を調整した。
この感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製支持体上に浸漬塗布し、これを40分間100℃で乾燥することにより、膜厚25μm、単層型感光層を有する感光体1を作製した。該単層型感光層が、感光体1の表面層に当たる。
<感光体2〜11、13、14の製造例>
結着樹脂(A)1を、表2に示す通りに変更したこと以外は、感光体1の製造例と同様にして、感光体2〜11、13、14を作製した。感光体2〜11,13,14は、いずれも単層型感光層を有する感光体であり、それぞれの単層型感光層がそれぞれの感光体の表面層に当たる。
<感光体12の製造例>
電荷発生物質として、上記無金属フタロシアニン顔料を3.0部、
電荷輸送物質として、上記式(17)で表される化合物を60.0部、
電子輸送物質として、上記(E4−1)で表される化合物12.0部と、上記(E5−1)で表される化合物28.0部、
添加剤として、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ粒子(日本アエロジル社製RX200)1.0部、
結着樹脂として結着樹脂(A)1を100部、
溶剤としてテトラヒドロフラン800部と
を容器内に投入した。
棒状超音波分散器を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合し、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、材料と溶剤とを50時間混合して、材料を溶剤に分散して感光層用塗布液を調整した。
この感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製支持体上に浸漬塗布し、これを40分間100℃で乾燥することにより、膜厚25μm、単層型感光層を有する感光体12を作製した。該単層型感光層が、感光体12の表面層に当たる。
Figure 2021105714
表2中、*は、R22、R23及びR22とR23の間のCが連結してシクロヘキシリデンを形成していることを示す。
<ワックス1の製造例>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン300部とエチレングリコール15.5部、ステアリン酸170部を加え、撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.41部を加え、温度200℃に昇温して縮合した。反応後、溶媒を留去してワックス1を得た。ワックスの物性を表3に示す。
<ワックス2〜5の製造例>
アルコールモノマーと酸モノマーを表3に示すように変更した以外はワックス1の製造例と同様の方法により、ワックス2〜5を製造した。ワックス2〜5の物性を表3に示す。
<ワックス6〜8>
ワックス6として、ジペンタエリスリトールのパルミチン酸エステルであるDP−16(商品名、日清オイリオグループ株式会社製)を用いた。
ワックス7として、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステルである、PE−18(商品名、日清オイリオグループ株式会社製)を用いた。
ワックス8として、パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:HNP−11)を用いた。
ワックス6〜8の物性を表3に示す。
Figure 2021105714
<トナー1の製造例>
・重合性単量体:スチレン 75部、n−ブチルアクリレート 25部
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学製、商品名:#25B) 7部
・架橋剤:ジビニルベンゼン 0.74部
・帯電制御剤:スチレン/アクリル樹脂(藤倉化成株式会社製、商品名:FCA−592P) 0.37部
・分子量調整剤:テトラエチルチウラムジスルフィド 1部
・マクロモノマー:ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃) 0.25部
上記材料を通常の攪拌装置で攪拌及び混合した後、メディア型分散機により、均一分散し63℃に加温した。
ここに、ワックス1を20部添加、混合、及び溶解して、重合性単量体組成物を得た。
他方、攪拌槽において、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム7.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.1部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウム3.0部)を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、60℃に昇温し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーブチルO)5部を添加後、インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で高剪断攪拌して重合性単量体組成物の液滴形成を行った。
上記重合性単量体組成物の液滴が分散した水酸化マグネシウムコロイド分散液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、89℃まで昇温して温度が一定となるように制御し、重合反応を行った。次いで、重合転化率が98%に達したときに、系内温度を75℃に冷却し、75℃に到達して15分後に、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート3部、及びイオン交換水10部に溶解した2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]四水塩(和光純薬社製、商品名:VA086)0.36部を添加した。更に3時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5の着色樹脂粒子の水分散液を得た。
この後、着色樹脂粒子の水分散液を80℃とし、窒素ガス流量0.6m/(hr・kg)で5時間ストリッピング処理を行った後、水分散液を25℃まで冷却した。次いで、得られた水分散液を、25℃にて攪拌しながら、硫酸により系のpHを6.5以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を、数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機に入れ、温度40℃で12時間乾燥してトナー粒子1を得た。
100部のトナー粒子1に、疎水化された個数平均一次粒径が7nmのシリカ微粒子0.7部、疎水化された個数平均一次粒径が50nmのシリカ微粒子1部を添加し、高速攪拌機(日本コークス工業社製、商品名:FMミキサー)を用いて混合して、トナー1を製造した。得られたトナー1について物性を表4に示す。
<トナー2〜12の製造例>
トナー1の製造例において、ワックスの種類及び添加量を表4に示す通りに変更したこと以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜12のトナーを作製した。得られたトナーの特性を表4に示す。
Figure 2021105714
<実施例1>
トナー1と感光体1の組み合わせで下記評価を実施した。
<低温定着性の評価>
低温定着性の評価には、HL−5470DW(ブラザー工業製モノクロレーザープリンター)の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを400mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度5%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を0.5mg/cmに設定した未定着画像を、150℃に温調した上記定着器に通した。なお、記録媒体には「プローバーボンド紙」(105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。結果を表5に示す。
A:画像濃度の低下率が10.0%未満
B:画像濃度の低下率が10.0%以上15.0%未満
C:画像濃度の低下率が15.0%以上20.0%未満
D:画像濃度の低下率が20.0%以上
<保存安定性>
保存安定性についてはトナー1 10gを50mLのプラスチック製カップに計りとり、55℃の恒湿槽に3日間放置した後のブロッキング性を以下の評価基準を用いて目視評価を行った。評価結果を表5に示す。
A:全く固まっている様子がない。
B:塊があるが、カップを回すうちに小さくなってほぐれてくる。
C:カップを回してほぐしても塊が残る。
D:大きな塊があり、カップを回してもほぐれない。
<転写中抜けの評価>
転写中抜けの評価は、以下のようにして行った。
HL−5470DW(ブラザー工業製モノクロレーザープリンター)を用い、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)において、印字比率5%の横線画像を100枚連続通紙後、紙上のトナー載り量を0.6mg/cmになるように調整した。
縦横両方向に細線が存在するよう画像を形成し、2、4、6、8、10ドットラインを各2本、各ライン間の非潜像部幅が約1mmになるようプリントし、目視及び20倍ルーペにより観察した結果を以下の基準にて評価した。評価結果を表5に示す。
A:2ドットラインにおいて、拡大観察によっても中抜けが殆ど確認できなかった。
B:2ドットラインにおいて、拡大観察によって中抜けが若干確認されたが、目視では確認できなかった。
C:2ドットラインにおいて、目視によって中抜けが確認できたが、4ドットラインにおいて、目視によって中抜けが確認できなかった。
D:4ドットラインにおいて、目視によって中抜けが確認できた。
<実施例2〜19、比較例1〜6>
表5のようにトナー及び感光体を変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜19、比較例1〜6を検討した。結果を表5に示す。
Figure 2021105714
1:電子写真感光体、2:軸、3:帯電手段、4:露光光、5:現像手段、6:転写手段、7:転写材、8:定着手段、9:クリーニング手段、10:前露光光、11:プロセスカートリッジ、12:案内手段

Claims (16)

  1. 電子写真感光体と、
    トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
    を有する画像形成装置であって、
    該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
    該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
    Figure 2021105714
    (式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
    該トナーが、トナー粒子を有し、
    該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
    該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である
    ことを特徴とする、画像形成装置。
  2. 前記結着樹脂(B)のSP値をSP1((J/cm0.5)とし、前記ワックスのSP値をSP2((J/cm0.5)としたとき、下記式(2)を満足する、請求項1に記載の画像形成装置。
    1.80≦SP1−SP2≦2.10 (2)
  3. 前記ワックスが、下記式(3)で示されるジエステル化合物を含有する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
    Figure 2021105714
    (式(3)中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数15以上22以下のアルキル基を示す。)
  4. 前記ワックスの含有量が、前記結着樹脂(B)100質量部に対して5質量部〜30質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記結着樹脂(A)が、下記式(4)で示される構造をさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
    Figure 2021105714
    (式(4)中、R21は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基若しくはフェニル基を示すか、又は、R22、R23及びR22とR23の間のCが連結してシクロアルキリデン基を形成する。)
  6. 前記結着樹脂(A)中の、前記式(1)で示される構造と、前記式(4)で示される構造のモル比率が、式(1)で示される構造:式(4)で示される構造=5:95〜95:5である、請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記式(4)中、R22がメチル基であり、R23がエチル基である、請求項5又は6に記載の画像形成装置。
  8. 前記式(1)で示される構造のハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値をδp(A)((J/cm0.5)としたとき、下記式を満足する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
    5.8≦δp(A)―δp(w)≦6.5
  9. 画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
    該プロセスカートリッジが、
    電子写真感光体と、
    トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
    を有し、
    該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
    該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
    Figure 2021105714
    (式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
    該トナーが、トナー粒子を有し、
    該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
    該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である
    ことを特徴とする、プロセスカートリッジ。
  10. 画像形成装置の本体に脱着可能である第一のカートリッジ及び第二のカートリッジを有するカートリッジセットであって、
    該第一のカートリッジが、電子写真感光体を有し、
    該第二のカートリッジが、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像して電子写真感光体の表面にトナー像を形成するためのトナーを収容しているトナー容器を有し、
    該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
    該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
    Figure 2021105714
    (式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
    該トナーが、トナー粒子を有し、
    該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
    該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J
    /cm0.5以上2.5(J/cm0.5以下である
    ことを特徴とする、カートリッジセット。
  11. 電子写真感光体と、
    トナーを有し、該電子写真感光体上にトナーを供給する現像工程と、
    を有する画像形成方法であって
    該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
    該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
    Figure 2021105714
    (式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
    該トナーが、トナー粒子を有し、
    該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
    該ワックスのハンセン溶解度パラメータに基づく極性項の値δp(w)が、1.8(J/cm0.5以上2.5以下(J/cm0.5である
    ことを特徴とする、画像形成方法。
  12. 電子写真感光体と、
    トナーを有し、該電子写真感光体上に該トナーを供給するための現像装置と、
    を有する画像形成装置であって、
    該電子写真感光体が、結着樹脂(A)を含有する表面層を有し、
    該結着樹脂(A)が、下記式(1)で示される構造を有し、
    Figure 2021105714
    (式(1)中、R11は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示す。)
    該トナーが、トナー粒子を有し、
    該トナー粒子が、結着樹脂(B)及びワックスを含有し、
    該ワックスが、下記式(3)で示されるジエステル化合物を含有する、
    Figure 2021105714
    (式(3)中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数15以上22以下のアルキル基を示す。)
    ことを特徴とする、画像形成装置。
  13. 前記ワックスの含有量が、前記結着樹脂(B)100質量部に対して5質量部〜30質量部である、請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記結着樹脂(A)が、下記式(4)で示される構造をさらに有する、請求項12または13に記載の画像形成装置。
    Figure 2021105714
    (式(4)中、R21は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基若しくはフェニル基を示すか、又は、R22、R23及びR22とR23の間のCが連結してシクロアルキリデン基を形成する。)
  15. 前記結着樹脂(A)中の、前記式(1)で示される構造と、前記式(4)で示される構造のモル比率が、式(1)で示される構造:式(4)で示される構造=5:95〜95:5である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  16. 前記式(4)中、R22がメチル基であり、R23がエチル基である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
JP2020213829A 2019-12-26 2020-12-23 画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法 Pending JP2021105714A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019237079 2019-12-26
JP2019237079 2019-12-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021105714A true JP2021105714A (ja) 2021-07-26
JP2021105714A5 JP2021105714A5 (ja) 2024-01-18

Family

ID=73856994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020213829A Pending JP2021105714A (ja) 2019-12-26 2020-12-23 画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20210200109A1 (ja)
EP (1) EP3842867A1 (ja)
JP (1) JP2021105714A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7350639B2 (ja) * 2019-11-29 2023-09-26 キヤノン株式会社 画像形成装置および画像形成方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102132686B1 (ko) 2011-09-28 2020-07-10 제온 코포레이션 정전하상 현상용 토너
DE102018127479A1 (de) * 2017-11-07 2019-05-09 Canon Kabushiki Kaisha Toner und verfahren zur herstellung von toner
JP7046571B2 (ja) * 2017-11-24 2022-04-04 キヤノン株式会社 プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP6825586B2 (ja) * 2018-01-31 2021-02-03 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP3842867A1 (en) 2021-06-30
US20210200109A1 (en) 2021-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10324391B2 (en) Toner and image formation method
AU2006236025A1 (en) Electrophotographic toner and electrophotographic developer and image forming method
JP2007121404A (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法
US9946180B2 (en) Toner for developing electrostatic latent image
JP2021105714A (ja) 画像形成装置、プロセスカートリッジ、カートリッジセット及び画像形成方法
JP3703335B2 (ja) 二成分系現像剤
JP7350638B2 (ja) 画像形成装置、及び画像形成方法
JP6930237B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP7433867B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2001356526A (ja) トナー
JP4708988B2 (ja) トナーの製造方法
US20210397108A1 (en) Image forming method and image forming system
JP2021105715A (ja) 画像形成装置、プロセスカートリッジ及びカートリッジセット
US11614687B2 (en) Image forming apparatus and image forming method
JP4336612B2 (ja) 二成分系現像剤及び二成分系現像方法
JP2020187210A (ja) トナー及びトナーの製造方法
US11312865B2 (en) Image forming method
JP2023147690A (ja) トナー、トナーカートリッジ及び画像形成装置
US20200264527A1 (en) Electrostatic image developing toner and image forming method
JP3814435B2 (ja) トナー及び画像形成方法
JP2023034114A (ja) 画像形成方法及び画像形成システム
JP2022180946A (ja) 静電荷像現像用トナー、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
JP2023061586A (ja) トナー
JP2022186013A (ja) 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2023061436A (ja) トナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240110