JP4336612B2 - 二成分系現像剤及び二成分系現像方法 - Google Patents

二成分系現像剤及び二成分系現像方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4336612B2
JP4336612B2 JP2004132902A JP2004132902A JP4336612B2 JP 4336612 B2 JP4336612 B2 JP 4336612B2 JP 2004132902 A JP2004132902 A JP 2004132902A JP 2004132902 A JP2004132902 A JP 2004132902A JP 4336612 B2 JP4336612 B2 JP 4336612B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
mass
carrier
magnetic carrier
tan
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004132902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005316057A (ja
JP2005316057A5 (ja
Inventor
庸好 菅原
博之 藤川
隆行 板倉
恒 石上
直樹 岡本
善信 馬場
博英 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004132902A priority Critical patent/JP4336612B2/ja
Publication of JP2005316057A publication Critical patent/JP2005316057A/ja
Publication of JP2005316057A5 publication Critical patent/JP2005316057A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4336612B2 publication Critical patent/JP4336612B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Dry Development In Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は二成分系現像方法に用いる二成分系現像剤及び二成分系現像方法に関するものである。
静電荷像を、トナーを用いて現像する方法のうち、トナーをキャリアと混合した二成分系現像剤を使用する二成分系現像方法が高画質を要求されるフルカラー複写機又はプリンタに好適に用いられている。二成分系現像方法において、キャリアは摩擦帯電により適当量の正又は負の帯電量をトナーに付与し、また、該摩擦帯電の静電引力によりキャリア表面にトナーを担持する。
上記二成分系現像剤を構成するキャリアとトナーに対して要求される特性は種々あるが、キャリアに対して特に重要な特性として、適当な帯電性、交番電圧に対する耐圧性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐スペント性、現像性等が挙げられる。
昨今ではハイビジョンやフルカラープリンタ等の普及に伴い、電子写真においても、より一層の高画質化が望まれている。しかし、高画質化を図るために交番電圧を印加する場合、キャリアの抵抗率が低いと潜像電位がキャリアを介してリークし良好な画像を得られなくなるため、キャリアとしては或る程度以上の抵抗率が必要である。従って、キャリアが導電性の場合、キャリアコート材を用いてコートした被覆キャリアが好ましく用いられている。又、抵抗率が或る程度高いフェライト、磁性体分散型樹脂微粒子が被覆キャリアのコアとして好ましく用いられている。
キャリアの抵抗率を適正値に近づけるために、コア表面を絶縁性の樹脂でコートし同時にコアの強度アップや耐久性、帯電安定性を図ることが考えられている。
一方、主流の二成分系現像方法は、現像によってトナーを消費しキャリアは消費せずに現像器内に滞留させるため、トナー成分のキャリアへの移行によるキャリア汚染が生じ、又はキャリアそのものが現像器内ストレスを受け、キャリアとして被覆キャリアを用いる場合、その被覆層が剥がれて帯電性等の現像剤特性に影響を与え、画像濃度が変動したり、カブリが発生したりする。
この問題を解決するものとして、例えば、現像によって消費されるトナーと一緒にキャリアを追加し、現像器内のキャリアを少しずつ入れ替えることにより、帯電量の変化を抑制し、画像濃度を安定化する現像装置、いわゆるトリクル現像装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、あらかじめ現像器中に収容されているキャリアの抵抗率に比べて高い抵抗率を有するキャリアとトナーとが含有された補給用トナーを用いて帯電性の維持、画質低下を抑制することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、より高い帯電量をトナーに付与するキャリアをトナーに含有させた補給用現像剤を用いて帯電性の維持、画質低下を抑制することが開示されている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、これらの方法では、トナー消費の差により入れ替わるキャリア量が異なることから、現像器中の現像剤の抵抗率又は帯電量が変化し、画像濃度の変動が発生しやすくなり、満足のいくものではない。
さらに、あらかじめ現像器中に収容されているキャリアと物性の異なるキャリアを含有させた補給トナーを複数種用い、各トナーを順次補給する方法が開示されている(例えば
、特許文献4参照)。しかしながら、実際には、一つのトナー補給容器内に複数の物性の異なるキャリアを含有させた補給トナーを交じり合わないように現像器内に順次補給することは、キャリアとトナーの比重が極端に異なることから非常に困難であると共に、キャリアに対してトナーが多いためにキャリアの劣化が生じやすく、長期にわたり安定した画像を得ることができない。
今日求められる厳しい品質の要求上、例えば細線や小文字、写真又はカラー原稿等、様々な対象に対応できるための、更に高画質化や高品質化、高速化及び高耐久性を満足するための二成分系現像剤及び二成分系現像方法が待望されている。
特公平2−21591号公報 特開平3−145678号公報 特開平11−223960号公報 特開平8−234550号公報
本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであって、環境変動に強く、耐久時における帯電安定性、キャリア劣化に強い二成分系現像剤、また、本体寿命を通じて安定な画像を得ることができる二成分系現像方法を提供することを課題とする。
本発明の課題は、以下により達成される。
(1)結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する第1のトナー粒子と第1の外添剤を含有する第1のトナー並びに第1の磁性キャリアとを少なくとも有し、第2のトナーと第2の磁性キャリアを含有する補給剤を補給しながら現像する現像方法に使用される二成分系現像剤において、
上記第1のトナーは、個数平均粒径50nm以上の第1のシリカ粒子を少なくとも第1のトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上含有し、
上記二成分系現像剤の誘電損率ε”/誘電率ε’で示される損失正接tanδにおいて
、周波数2000Hzの損失正接tanδ1及び2×10Hzの損失正接tanδ2が下記式を満たすことを特徴とする二成分系現像剤。
0.06≦tanδ1(2000Hz)≦0.13
0.04≦tanδ2(2×10Hz)≦0.10
(2)上記補給剤が、前記第2の磁性キャリア1質量部に対して上記第2のトナー2〜50質量部の配合割合であり、上記補給剤の周波数2000Hzにおける損失正接tanδ3が0.005≦tanδ3(2000Hz)≦0.012であり、
さらにtanδ3と二成分系現像剤の周波数2000Hzの損失正接tanδ1が下記式を満たすことを特徴とする(1)に記載の二成分系現像剤。
tanδ3(2000Hz)/tanδ1(2000Hz)≧0.05
(3)上記第1の磁性キャリアはフッ素含有アクリル系樹脂により被覆されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の二成分系現像剤。
(4)結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する第1のトナー粒子と第1の外添剤を含有する第1のトナー並びに第1の磁性キャリアを少なくとも有する二成分系現像剤、並びに第2のトナー及び第2の磁性キャリアを含有する補給剤を用いて像担持体上の静電潜像を現像する現像方法であって、
前記第1のトナーは、個数平均粒径50nm以上の第1のシリカ粒子を第1のトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上含有し、
前記像担持体上の静電潜像を前記二成分系現像剤が収容される現像槽中の第1のトナーを用いて現像する現像工程、
補給剤収容手段から前記補給剤を前記現像槽中に補給する補給剤供給工程、
前記現像槽中の二成分系現像剤の一部を必要があるときに取り除く現像剤排出工程を有し、
前記二成分系現像剤の誘電損率ε”/誘電率ε’で示される損失正接tanδにおいて、周波数2000Hzの損失正接tanδ1、2×10Hzの損失正接tanδ2が下記式を満たすことを特徴とする二成分系現像方法。
0.06≦tanδ1(2000Hz)≦0.13
0.04≦tanδ2(2×10Hz)≦0.10
(5)上記補給剤が、前記第2の磁性キャリア1質量部に対して上記第2のトナー2〜50質量部の配合割合であり、上記補給剤の周波数2000Hzにおける損失正接tanδ3が0.005≦tanδ3(2000Hz)≦0.012であり、
さらにtanδ3と二成分系現像剤の周波数2000Hzの損失正接tanδ1が下記式を満たすことを特徴とする(4)に記載の二成分系現像方法。
tanδ3(2000Hz)/tanδ1(2000Hz)≧0.05
本発明により、環境変化に強く、優れた帯電安定性と画像安定性を有する二成分系現像剤及び耐久安定性が得られる二成分系現像方法を提供することが出来る。
本発明における課題は、耐久時、又は環境変動における帯電の安定化を達成することにある。これまで二成分系現像方法に関して、トナーならばトナーだけの特徴、磁性キャリアならば磁性キャリアだけの特徴を規定した手法が多く考案されている。確かにそれらは帯電の安定性や一定の帯電量を保持することはできるが、環境変動の激しい場所での使用においては帯電変化によるカブリや画像濃度の変化を改善することは困難である。そこで本発明者等は、環境変動の激しい場所でも優れた帯電安定性と耐久性を維持するためにはトナーと磁性キャリアのマッチングが重要であり、現像手段内の二成分系現像剤全体としての特徴を規定することで上記課題を達成することを見出し、本発明に至った。
環境変動によって帯電に変化を生じさせる要因の1つとして湿度がある。二成分系現像方法では、トナーと磁性キャリアの摩擦によって帯電を生じさせることが行われるが、例えば、低湿から高湿へと環境が変動した場合、二成分系現像剤に大気中の水分が付着して帯電緩和性が大きくなり帯電低下が生じる。また逆に、高湿から低湿に変動した時は過剰帯電となる。よって環境変動が生じても安定した帯電性を持たせるためには二成分系現像剤自身が大気中の水分に影響されず、帯電性と帯電緩和性がちょうど良いバランスで保たれていることが重要である。
これまで、磁性キャリアの抵抗率、トナーの帯電特性を規定する方法は数多く紹介されている。例えば磁性キャリアの抵抗率は、磁性キャリア表面をコートするコート材の組成や磁性キャリア自身に起因する所が大きい。またトナーの帯電特性は、外添剤の種類やトナーの誘電特性に起因する所が大きい。しかし、二成分系現像方法ではトナーと磁性キャリアの帯電特性がベストマッチしなければ優れた画像形成は行えない。これまで、二成分系現像剤全体の帯電性と帯電緩和性のバランス、抵抗率を同時に分析する手法は見出されていなかったため、本発明者等は鋭意検討の結果、二成分系現像剤の誘電損率及び誘電率を測定することで帯電性と帯電緩和性のバランス、抵抗率を同時に分析し、トナーと磁性キャリアの帯電特性をベストマッチさせる手法を見出した。
すなわち、本発明に用いられる第1のトナーと第1の磁性キャリアとを少なくとも有する二成分系現像剤は、静電潜像の現像に消費されたトナーを補うために、第2のトナーと
第2の磁性キャリアを含有する補給剤が補給されることで二成分系現像方法に用いられるが、その補給剤を補給する際、二成分系現像剤の周波数2000Hzの損失正接tanδ1及び2×10Hzの損失正接tanδ2が下記式を満たすように調整されることを特徴とする。なお、「損失正接tanδ」とは誘電損率ε”/誘電率ε’で示されるものである。
0.06≦tanδ1(2000Hz)≦0.13
0.04≦tanδ2(2×10Hz)≦0.10
二成分系現像剤の損失正接tanδにおいて、周波数2000Hzの損失正接tanδ1が0.06〜0.13の範囲内であると環境変動によって帯電変化が生じ難い。より好ましくは、0.07〜0.12であり、さらに好ましくは0.08〜0.11である。周波
数2000Hzの損失正接と環境変動による帯電特性変化は、第1の磁性キャリアのコート材の材質やコート量に相関することが分かった。コア100質量部に対するコート材の量は、20〜500質量部が好ましい。なお、本発明における磁性キャリアは、キャリアコアをコート材で被覆した被覆磁性キャリアである。
本発明者等は、各環境において磁性キャリアのコート材の材質やコート量を変えたものを高湿、低湿環境で帯電変化を検討した結果、低周波数側で特定の誘電特性を有するものが環境変動による帯電特性変化の差が小さくなることを見出した。おそらく低周波数側の誘電特性は、コート材に用いられる樹脂の結晶構造や末端分子が大気中の水分によって発生する分極率の変化と相関があり、この値が特定のものであれば電荷の帯電性と帯電緩和性がちょうど良いバランスで保たれるのではないかと考えた。
本発明において周波数を2000Hzに設定したのは、評価の誤差が最も小さいことに起因している。また、この検討では帯電の大きさは考慮に入れていない。
損失正接tanδ1が0.06未満であると、環境が高湿から低湿に変動したときに過剰帯電となり、画像濃度の低下を生じさせる原因となる傾向がある。また、損失正接tanδ1が0.13を超えると低湿から高湿へと環境が変動した場合、帯電の低下が起こり、カブリが発生する傾向がある。
二成分系現像剤は通常、第1のトナー濃度を2〜15%の範囲として使用されることから、二成分系現像剤の誘電特性は主に第1の磁性キャリアの物性に起因するところが大きい。しかし、第1のトナーの物性によっても損失正接tanδ1は変動する。このとき使用される第1のトナーの周波数2000Hzの損失正接tanδ1’は0.002〜0.007、さらには0.0025〜0.0065の範囲であることが好ましい。トナーの周波数2000Hzの損失正接tanδ1’は結着樹脂やその他の内添材料の種類で変化する。また、内添材料の結着樹脂中への分散され方によっても変化するが、tanδ1’を上記範囲内にするには内添材料が結着樹脂中で充分に分散されていることが好ましい。
二成分系現像剤の周波数2000Hzの損失正接tanδ1を0.06〜0.13の範囲に収めるためには、第1の磁性キャリアのコート材の材質によって調整できる。本発明者等は鋭意検討の結果、フッ素含有アクリル系樹脂を第1の磁性キャリアのコート材として用いることで二成分系現像剤の損失正接tanδ1が0.06〜0.13を満たし、耐久性が向上することを見出した。これはおそらくフッ素は撥水性を有するため、過剰な帯電緩和性を防止する働きがあるものと考えられる。フッ素含有アクリル系樹脂をコート材として使用することによってキャリアスペントの発生を防ぎ、耐久性も向上することができる。
二成分系現像剤の周波数2×10Hzにおける損失正接tanδ2の範囲は0.04
〜0.10が好ましく、該範囲であると二成分系現像方法に適した帯電量を得ることができる。より好ましくは0.045〜0.095であり、さらに好ましくは0.05〜0.0
9である。周波数2×10Hzの損失正接tanδ2は、二成分系現像剤の抵抗率と相関することが鋭意検討によって分かった。これは2×10Hzは電荷の転移を伴う空間電荷分極に関するところであるため、物質の導電性に関係しているのではないかと考えた。
損失正接tanδ2が0.04未満では二成分系現像剤は過剰帯電となりやすく、0.10を超えると帯電不良となりやすいことから、どちらも適切な帯電量を得ることができない。
上述のとおり、二成分系現像剤は通常、第1のトナー濃度を2〜15%の範囲として使用されることから、二成分系現像剤の損失正接tanδ2も第1の磁性キャリアの物性に起因するところが大きい。しかし、第1のトナーの物性によっても損失正接tanδ2は変動する。このとき使用される第1のトナーの周波数2×10Hzの損失正接tanδ2’は0.008〜0.016、さらには0.0085〜0.00155の範囲であることが好ましい。tanδ2’はトナー材料の物性により調製できる。例えば、トナー材料として導電性の物質を用いるとtanδ2’は大きくなる。
二成分系現像剤の周波数2×10Hzの損失正接tanδ2を上記範囲に収めるためには、第1の磁性キャリアのコアやコート材の材質によって抵抗率を調整することで達成できるが、さらに結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させた磁性体分散型キャリアをキャリアコアとして用いた場合、キャリアコアに使用する材料を複数使用しながら抵抗率を調整することで、損失正接tanδ2が調製し易くなる。好ましい第1の磁性キャリアの抵抗率の範囲は2×10〜1×1012(Ω・cm)である。
従来は帯電量を調整するためや、耐久性等を向上させるために第1の磁性キャリアのコアやコート材に用いる樹脂の材質や量を決定していたが、環境変化に強い二成分系現像剤の処方を判断するための手段は無かった。そのため、ある程度第1のトナーと第1の磁性キャリアの処方が決定された後、二成分系現像剤として用いて始めて環境変化に弱い事がわかり、両者の構成を見直す、又は環境変化は妥協するといったことがあった。特に従来の二成分系現像剤は、二成分系現像剤自体での誘電特性で第1のトナーや第1の磁性キャリアの処方を設計するという指針がこれまで無かったため、抵抗率に相関のあるtanδ2は比較的調整しやすいが、tanδ1は本発明における上記範囲から大きく外れることがあった。また、本発明の二成分系現像剤は抵抗率が従来のものよりも高くなっているため、従来の二成分系現像剤はtanδ1が0.06以下、tanδ2が0.10以上であるものが多かった。
周波数2000Hzの損失正接tanδ1と周波数2×10Hzの損失正接tanδ2の範囲を同時に満たすためには、第1のトナー処方を決定後、第1の磁性キャリアのコート材に用いる樹脂材質を決定する。そして、二成分系現像剤の損失正接が本発明の範囲内に入るようにコア材料の選択やコート材に用いる樹脂材質の微調整、又はコート量の調整を行って行くと良い。第1の磁性キャリアのコア材料、コート材に用いる樹脂の材質について具体的な例は後述する。
このように二成分系現像剤の誘電特性を規定することによって環境変動に対して安定な帯電性は確保できたが、転写性についてはまだ不十分な場合がある。そこで本発明者等は鋭意検討の結果、流動性向上を目的とする外添剤の他に50nm以上の粒子を第1のトナー粒子に添加することで転写性を向上させる手法を見出した。具体的には50nm以上の第1のシリカ粒子を第1のトナー粒子に添加することが最も効果的であった。50nm以
上であってもシリカ粒子以外の粒子では転写性は向上するが、耐久試験によって二成分系現像剤中で粒子が蓄積し、耐久後半で帯電の低下が見られることがわかった。
個数平均粒径50nm以上のシリカ粒子を添加することで、二成分系現像剤の周波数2×10Hzの損失正接tanδ2が0.04≦tanδ2(2×10Hz)≦0.10であるときに限り、高湿環境での長期放置による帯電の低下がより緩和されることもわかった。これは、本発明の二成分系現像剤中の第1の磁性キャリアが比較的高い抵抗率を有するため、第1のトナー中の微粒子成分の帯電が高くなると、第1の磁性キャリアの周りに付着し易くなる。これが耐久後半で第1の磁性キャリアの帯電性を低下させる原因であると考えられるが、50nm以上のシリカ粒子があると、二成分系現像剤の攪拌性を向上させ、第1の磁性キャリアの周りへの付着を抑えることが出来るのではないかと予想される。tanδ2が0.10を超える、つまり第1の磁性キャリアの帯電性が低いといくら攪拌性を良くしても帯電付与性が伴わないため、帯電の低下が発生する。一方、tanδ2が0.04より小さいと攪拌性が良くなることで逆に過剰に帯電され過ぎてしまう。50nm未満のシリカ粒子では高湿環境での長期放置による帯電の低下が緩和される効果は得られなかった。
次に、本発明で使用する補給剤について説明する。
補給剤は、第2の磁性キャリア1質量部に対して第2のトナー2〜50質量部の配合割合である。第2のトナーが2質量部未満であると、二成分系現像剤の寿命は向上するものの、第2の磁性キャリア量が多いために、補給剤量が重くなり、補給剤収容器から現像槽への供給性が悪化したり、現像槽中の二成分系現像剤を取り除く場合、取り除いた劣化二成分系現像剤を回収するための回収手段が複雑になったりして好ましくない。さらに、補給剤収容器内の実質第2のトナー量が減少して、補給剤収容器の交換頻度が多くなり、ユーザーの負荷が増えるばかりでなく、コストUPにもなり好ましくない。一方、50質量部を超えると、第2のトナーと第2の磁性キャリアが補給剤収容器内で均一に分散されず、画質が不安定になってしまう可能性がある。また本体寿命が来る前に二成分系現像剤の交換が必要となり好ましくない。
また、本発明では、周波数2000Hzにおける補給剤の損失正接tanδ3と二成分系現像剤の損失正接tanδ1がtanδ3/tanδ1≧0.05であることが好ましいが、より好ましくは0.05≦tanδ3/tanδ1≦0.09である。tanδ3/tanδ1が0.05よりも小さいと補給された補給剤と現像槽中の二成分系現像剤との攪拌性が悪くなってしまう。そのため、帯電分布が不均一で初期にカブリが悪くなる。
本発明における補給剤の周波数2000Hzにおける損失正接tanδ3は0.005〜0.012であることが好ましい。0.005以下では、補給剤が供給された二成分系現像剤は過剰帯電になりやすく、0.012以上ではカブリが発生し易くなる。
補給剤の損失正接tanδ3は、補給剤中の第2の磁性キャリアの含有量を変えることで調整可能である。従来の補給剤では二成分系現像剤との攪拌性まで考慮して設計されていなかったため、tanδ3/tanδ1が外れていることが多く、特に、0.05よりも下回るものが多い。本発明のように補給剤と二成分系現像剤の損失正接の比を特定の値になるように設計することで、tanδ3(2000Hz)/tanδ1(2000Hz)が0.5以上の範囲を満たすことができる。また、50nm以上のシリカ粒子を第2のトナー粒子に添加することで補給剤中の第2のトナーと第2の磁性キャリアの分散性が長期にわたって保持され易くなる。これは第2のトナーと第2の磁性キャリアの分散性を向上させるだけでなく、磁性キャリアの沈降も抑制する効果があるのではないかと考えられる。
次に、本発明における二成分系現像剤及び補給剤に用いられる第1及び第2のトナーについて説明する。本発明における第1のトナー及び第2のトナーは同じトナーを用いることが出来る(以下、「第1のトナー及び第2のトナー」を単に「トナー」ともいう)。具体的には、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と外添剤とシリカ粒子とからなり、該シリカ粒子は個数平均粒径50nm以上であり、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上添加される。
本発明で使用できる結着樹脂は、トナー用結着樹脂として公知の物が使用できるが、好ましいのは(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、及び(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物から選択される樹脂である。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、多価アルコールと多価カルボン酸、又は多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等がポリエステル系モノマーとして使用できる。
具体的には、例えば二価アルコール成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
三価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
二価の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための三価以上の多価カルボン酸成分を用いることも好ましく、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び、これらの無水物やエステル化合物等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の中でも、特に、下記一般式(イ)で代表されるビスフェノール誘導
体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとを含有するカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂は、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
Figure 0004336612
本発明におけるトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成する樹脂であり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(又はブロック共重合体)である。
本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸成分と多価アルコール成分が挙げられ、ビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、ビニル系重合体に用いられるビニル基を有するモノマーが挙げられる。
ビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリ
ン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーもビニル系モノマーとして挙げられる。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するスチレン誘導体もビニル系モノマーとして挙げられる。
本発明において、結着樹脂のビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤には、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
ビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットは多官能の架橋剤で架橋された構造であってもよく、そのとき用いられる多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
本発明ではビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれか一方又は両方の中に、両ユニットの成分と反応し得るモノマーを含んだハイブリッド樹脂を用いること
が好ましい。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーのうちビニル系重合体ユニットの成分と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーのうちポリエステルユニットの成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基もしくはヒドロキシ基を有するビニル系モノマー、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応を行うことにより得る方法が好ましい。
本発明に用いられるビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられる。
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製する製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンド品は、有機溶剤(例えば、キシレン)に前記樹脂成分を溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去することによって製造される。また、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成する方法。
(2)ビニル系重合体製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加)と、ポリエステル系モノマー(多価アルコール、多価カルボ
ン酸)及びポリエステルユニットのいずれか一方との反応、又は両方との反応により製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット(必要に応じてポリエステル系モノマーも添加)と、ビニル系重合体ユニット及びビニル系モノマーとのいずれか一方又は両方との反応により製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加して、付加重合及び縮重合反応のいずれか一方又は両方を行うことにより、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットを製造する。この場合、ハイブリッド樹脂には、上記(2)〜(4)のいずれかの製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットには、分子量や架橋度の異なる複数種の重合体ユニットを使用することができる。なお、本発明におけるビニル系重合体とは、ビニル系単重合体又はビニル系共重合体を意味し、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
本発明で使用される着色剤としては以下のものが挙げられる。ブラックトナー用着色剤としては、カーボンブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアントナー用着色剤を用い黒色に調色したものが利用される。
本発明のトナーをカラートナーとして用いる場合の着色剤としては、公知の染料及び顔料使用することができる。マゼンタトナー用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207.209、238、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C
.I.ディスパーバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28等の塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.アシッドブルー45、及び下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
Figure 0004336612
(式中、nは1〜5の整数を示す。)
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185等が挙げられる。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162等があり、顔料と染料を併用することも好ましい。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.5〜12質量部であり、最も好ましくは3〜10質量部である。
本発明では、トナー粒子に離型剤を添加することも可能である。離型剤は市販のものが使用できるが、一例として、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル等のエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラル
キルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合又は低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量のポリアルキレンワックス;パラフィンワックス;石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、又はこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えば、ジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン当のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;パラフィンワックス;が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
本発明においては、トナーに荷電制御剤を使用することで帯電量を調整することも好ましい。荷電制御剤は公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し総量で0.2〜10質量部が好ましい。
本発明で使用する個数平均粒径50nm以上のシリカ粒子について説明する。上述のとおり、本発明において個数平均粒径50nm以上のシリカ粒子を添加してトナー粒子表面上に個数平均粒径50nm以上のシリカを存在させことは、転写性向上だけでなく高湿環境での長期放置による帯電の低下を防止するためである。
本発明で使用するシリカ粒子は個数平均粒径50nm以上であるが、好ましくは80〜200nm、更に好ましくは100〜150nmである。50nmよりも小さいと転写性
向上への寄与が小さくなるだけでなく、高湿環境での長期放置による帯電の低下が発生する傾向がある。200nmを超えるとシリカ粒子のトナー粒子への付着性が悪くなり、帯電不良や現像装置周りの汚染を引き起こし易くなる可能性がある。また、添加量はトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上であるが、好ましくは0.7〜2.0質量部である。0.5質量部よりも少ないと転写性や高湿環境での長期放置による帯電低下の防止としての効果があまり得られない。また、2.0質量部を超えるとシリカ粒子がトナー粒子に付着しきれなくなり、帯電不良や現像装置周りの汚染を引き起こし易くなる可能性がある。
本発明のトナーは、上記個数平均粒径50nm以上のシリカ粒子とは別に、流動性向上剤がトナー粒子に外添されていることが、画質向上の観点から好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン微粉体、酸化アルミニウム微粉体等の無機微粉体が好ましい。更には、シランカップリング剤、シリコーンオイル又はそれらの混合物である疎水化剤で疎水化されていることがより好ましい。
流動性向上剤は、通常、トナー粒子100質量部に対して0.5〜5質量部使用される。
フルカラー画像形成において用いられる黒トナーである場合は、流動性向上剤として、酸化チタン微粉体を使用することが好ましい。トナー粒子と流動性向上剤との混合は、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いるのが良い。
次に本発明で使用される第1及び第2の磁性キャリアについて説明する。
本発明で使用される第1及び第2の磁性キャリアは同様のものを用いることができる(以下、「第1の磁性キャリア及び第2の磁性キャリア」を単に「磁性キャリア」ともいう)。本発明における磁性キャリアは、キャリアコアをコート材で被覆した被覆磁性キャリアである。キャリアコアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
被覆磁性キャリアのコアとして、結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させた磁性体分散型キャリアも好ましく使用できる。被覆磁性キャリアのコアを構成する磁性体微粒子に関しては上述の被覆磁性キャリアのコアと同じ材質の物が使用できるが、個数平均粒径が0.05〜1.0μmであることが好ましい。
磁性体分散型キャリアのコアを構成する結着樹脂に用いられる樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全てのビニル系樹脂が挙げられる。ここで言うビニル系モノマーとしては例えば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ジオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;マレイン酸;マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体;アクロレイン類等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上使用して重合させたものが用いられる。
また、コアを構成する結着樹脂として、ビニル系モノマーから重合して得られるビニル系樹脂以外にポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂又はこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を用いることができる。
本発明における磁性キャリアにおいて、被覆磁性キャリアのコアを被覆するコート材の被覆樹脂としては、キャリアコート用に用いられる一般の絶縁性樹脂を用いることが可能である。例えば、スチレン系樹脂;アクリル系樹脂;モノオレフィン系モノマーとして、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等から重合される樹脂が挙げられる。また、ビニル系モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルブチルケトン等のビニルケトン類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ジヒドロムコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸等から重合される樹脂が挙げられる。
コート材に用いられるその他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。これらの樹脂はモノマーを単独又は2種以上組合せて重合したものや、複数の樹脂を組合せて使用することができる。また、必要に応じて各種架橋剤を添加して用いることもできる。
コート材に用いられる樹脂としては、フッ素含有アクリル系樹脂が好ましい。具体的には、例えば下記に示すようなパーフルオロアルキルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体等により被覆されている被覆磁性キャリアが本発明では特に好ましい。
Figure 0004336612

(式中、mは0〜10の整数を示すが、その中でも特に好ましいのはm=4〜9のものである。)
本発明における磁性キャリアの物性については特に限定される物ではないが、二成分系現像剤の損失正接tanδ1、tanδ2及び補給剤の損失正接tanδ3を調整するために、トナーの周波数2000Hzにおける損失正接を従来に比べて若干高くなるように設計し、磁性キャリアは被覆磁性キャリアのコート材のコート量を少なめにしながらも磁
性キャリア全体の抵抗率は少し高めに設計することが好ましい。
二成分系現像剤の損失正接tanδ1、tanδ2及び補給剤の損失正接tanδ3を調整するための磁性キャリアの物性は以下の通りである。磁性キャリアを被覆磁性キャリアとし、コート材のコート量をキャリアコア100質量部に対して0.5〜1.3質量部とする。また、磁性キャリアの抵抗率を9×10〜1×1012Ω・cmの範囲とする。被覆磁性キャリアのコアは、例えば結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させた磁性体分散型キャリアを使用することが好ましい。また、トナーの周波数2000Hzでの損失正接tanδ1’を0.0020〜0.0070とする。
次に本発明の二成分系現像方法を用いた現像装置を有する画像形成装置について一例を挙げて説明するが、本発明の二成分系現像方法に使用される現像装置はこれに限るものではない。
図1は、ロータリー回転方式の現像装置を搭載した電子写真方式のフルカラー画像形成装置の概略構成図である。まず、像担持体1は、帯電装置15によりその表面を負極性に一様に帯電される。次に、露光装置14により、一色目、例えばイエロー画像に対応する像露光がなされ、像担持体1の表面にはイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
現像装置13は回転移動式の構成であり、前記イエロー画像に対応する静電潜像の先端が現像位置に到達する以前にイエロー用現像器が像担持体1に対向し、その後磁気ブラシが静電潜像を摺擦して前記像担持体上にイエロートナー像を形成する。
上記の現像に用いられる現像装置は、イエロー用現像器、マゼンタ用現像器、シアン用現像器、ブラック色用現像器の4つの現像器を有する。それぞれの現像器の内部は、例えば、現像剤担持体、二成分系現像剤が収容される現像槽、補給剤が収容される補給剤収容器、該補給剤収容器から現像槽に補給剤を供給するための補給剤供給手段、現像槽中の二成分系現像剤の一部を必要があるときに取り除く現像剤排出手段を少なくとも有する。図2は、図1の現像器2、3、4及び5の概略構成図である。図2によって現像器内の二成分系現像剤が現像されるまでの搬送されていく流れを説明する。
現像剤担持体としての現像スリーブ6は固定したマグネットロール8を内包し、像担持体1の周面との間に所定の現像間隔を保ち、駆動回転される。なお、現像スリーブ6と像担持体1とは接触していてもよい。規制部材7は剛性且つ磁性を有し、現像スリーブ6に対し現像剤が介在しない状態で所定の荷重をもって圧接されるものや、現像スリーブ6との間に所定の間隔を保って配されるもの等、種々の形態で用いられる。一対の現像剤攪拌搬送部材10、11は、スクリュー構造を持ち、互いに逆方向に二成分系現像剤を搬送循環させて、トナーと磁性キャリアを十分撹拌混合して二成分系現像剤とし、現像スリーブ6に送る作用をするものである。マグネットロール8は、例えば、N極及びS極を交互に等間隔に配置した等磁力の4極の磁石から構成されるもの、又は図示しないスクレーパに接する部分において反発磁界を形成し、二成分系現像剤の剥離を容易にするために、1極欠落させて5極とし、前記現像スリーブ6内で固定した状態で内包させたものであってもよい。
上記二本の現像剤撹拌搬送部材10、11は、互いに相反する方向に回転する撹拌部材を兼ねる部材であって、撹拌スクリューの推力によって補給剤収容器9より補給される補給剤を現像槽17中の現像スリーブ6に搬送すると共に、トナーと磁性キャリアとの混合作用によって摩擦帯電がなされた均質な二成分系現像剤とされ、現像スリーブ6の周面上にその二成分系現像剤を層状に付着させる。現像スリーブ6の表面の二成分系現像剤は、マグネットロール8の磁極に対向して設けた非磁性材料と磁性材料を含有する二重構造の
規制部材7により、均一な層を形成する。均一に形成された現像剤層は、現像領域において、像担持体1の周面上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
図1において、用紙又は透明シート等の転写材12は、給紙トレイ26又は27から送り出しロール28又は29により搬送され、一度レジストレーションロール25で先端を塞き止められた後、所定のタイミングで転写ドラム24へと送り出される。送り出された転写材12は、吸着装置32と対向ロール30により転写ドラム24へ静電的に保持され、転写ドラム24と像担持体1が対向する転写領域へ搬送される。そこで前記転写材は、像担持体1上の一色目のイエロートナー像と密着し、転写装置31の作用でイエロートナー像が転写材12上に転写され、前記転写ドラム24は、転写材12を保持したまま次の工程に備える。
イエロートナーの転写を終えた像担持体1は、その後、必要に応じてクリーニング前処理が施された後、除電コロトロンで除電され、クリーニング装置18により表面に残ったイエロートナーが掻き取られ、さらに除電装置16で表面に残った電荷が除電される。
次に、二色目、例えば、マゼンタの画像形成工程のために、前記像担持体1は帯電装置15によりその表面を負極性に一様に帯電され、露光装置14によりマゼンタ画像に対応する像露光がなされ、像担持体1の表面にはマゼンタ画像に対応する静電潜像が形成される。また、現像装置13はイエロートナー層の形成を終了した後で、マゼンタの現像器が前記像担持体1に対向するように切り換えられており、前記マゼンタ画像に対応する静電潜像はマゼンタ用の現像器で現像される。そして、前記転写ドラム上に保持されていた転写材が再び転写領域へと搬送され、転写装置31の作用で今度はイエロートナーの上にマゼンタトナーが多重転写される。
マゼンタトナーの転写を終えた像担持体1は、その後、イエロー画像形成工程と同様にして表面の残留トナーのクリーニングと残留電荷の除電が行われ、一方で、マゼンタトナーの転写を終えた転写材は、転写ドラム24に保持されたまま、次の工程に備える。
その後、マゼンタ画像形成工程と同様にして、三色目、例えばシアンの画像形成工程が行われ、最後に四色目、例えばブラックの画像形成工程が行われる。最後のブラックの画像形成工程では、転写材の搬送が前記三色目までの工程と異なる。すなわち、四色目の転写を終えた転写材は、剥離除電器19及び搬送ガイド部材20の先端の図示していない剥離フィンガーにより、転写ドラム24から分離され、定着装置21で多重トナー像が転写材に転写された後、画像形成装置の外に搬出される。
転写材の分離を終えた転写ドラム24は、その表面を除電装置22、33で除電した後、クリーニング装置23で表面クリーニングが行われ、次の転写材12の供給を待つことになる。
上記のような複写動作が繰り返されると、図2の現像器2〜4内の現像槽17内に収納されている二成分系現像剤中の第1のトナーは徐々に消費され、第1の磁性キャリアに対する第1のトナーの比率、すなわち第1のトナー濃度が低下していく。この第1のトナー濃度の変化は、現像槽17に設けられた図示しないトナー濃度センサーにより検知され、補給剤供給手段によりトナー濃度が現像に必要な適性範囲内に常に入るようにフィードバック制御され、補給剤収容器9の補給口から現像器内の現像槽17に供給される。本発明では、補給剤の中には磁性キャリアも入っているため、消費されたトナー量と補給される補給剤中のトナー量が一致するように補給剤が補給される。
一方、現像槽17内の二成分系現像剤中の第1の磁性キャリアは現像により消費されることはなく、現像槽17内で第1のトナーと一緒に撹拌されたり、マグネットロール8の
磁力及び像担持体1との接触等の影響により、徐々に表面等が汚染されて劣化していく。このように第1の磁性キャリアが劣化していくと第1のトナーに所定の帯電量を付与し得なくなり、画質の低下を生じることになる。そこで、上記の現像器内の消費されない劣化したキャリアを新しいキャリアと置換する必要がある。図2に示すように、新しい第2の磁性キャリアを現像器内に補給する手段として、補給剤収容器9中に補給用の第2のトナーと所定量の第2の磁性キャリアを混合した補給剤を入れ、補給剤収容器9の補給口から、各々の現像器2、3、4、5内の現像槽に補給する構成とする。過剰になった二成分系現像剤は、下記のように現像器側の現像剤排出手段(現像剤排出口34、連通管36、現像剤回収口35を含有する)より排出される。
図1に示した回転移動する現像装置13内の回転移動を利用した二成分系現像剤の入れ替えについて図2〜4によって説明する。図2の補給剤収容器9の補給口より補給された補給剤は現像剤撹拌搬送部材10によって二成分系現像剤と攪拌され、補給剤収容器9と反対の端にある、現像剤撹拌搬送部材10と11がつながった穴まで搬送される。攪拌された二成分系現像剤は現像剤撹拌搬送部材11の方へ移動し、さらに現像剤撹拌搬送部材11で攪拌されながら現像スリーブ6搬送され、現像スリーブ6上に層状に付着される。現像に使用された現像スリーブ6上の二成分系現像剤は、現像剤撹拌搬送部材11から、今度は補給剤収容器9の補給口がある手前側の10と11がつながった穴から10側の攪拌室へ移動する。
このように補給剤収容器9より補給され続けると、補給剤中の第2の磁性キャリアは消費されないため現像器内の二成分系現像剤は増大する。図3において、現像器が現像装置13中の2の位置にあり、現像器内の二成分系現像剤の面高さが一定レベル以上になると、余剰な二成分系現像剤は現像剤排出口34から現像器外へ排出される。
フルカラー画像形成装置の回転移動方式を採用した現像装置13において、現像器2、3、4、5は、現像装置13の内部で回転移動し、現像時、像担持体1に対向する位置に回転移動して現像を行い、非現像時は像担持体1に対向していない位置に回転移動する。なお、図4は各現像器のより詳細な構成を示す。
現像器2が像担持体1に対向し、現像動作を行っている位置で、現像器2に設けられた現像剤排出口34から溢出した二成分系現像剤は、回転動作により連通管36内を移動し、回転式現像器切替装置の回転中心軸に設けられた現像剤回収口35から排出され、現像剤回収容器38に回収される。
本発明の二成分系現像方法としては、具体的には、現像器として磁気ブラシ現像器を用い、現像剤担持体に交流電圧を印加して現像領域に交番電界を形成しつつ、磁気ブラシが感光ドラム1に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)6と像担持体1の距離(S−D間距離)は100〜1000μmであると、磁性キャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好であることから好ましい。100μmより狭いと二成分系現像剤の供給が不十分になりやすく画像濃度が低くなる傾向があり、1000μmを超えると磁極S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、磁性キャリアを拘束する力が弱まり磁性キャリア付着が生じやすくなる。
現像バイアスを印加して形成される交番電界のピーク間の電圧は300〜3000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは1000〜7000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、交番電界を形成するための交流電圧の波形としては三角波、矩形波、正弦波、又はDuty比を変えた波形が挙げられる。トナー像の形成速度の変化に対応するためには、非連続の交流電圧を有する現像バイアス(直流電圧に断続的に交流電圧を重畳したもの)を現像剤担持体に印加して現像を行うことが好ましい。印加電圧が300Vより低いと十分な画像濃度が得られ
にくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。また、3000Vを超える場合には磁気ブラシを介して静電潜像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、像担持体の一次帯電を低くすることができるために像担持体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが200V以下、より好ましくは150V以下が良い。コントラスト電位としては、十分画像濃度が出るように100〜400Vが好ましく用いられる。
また、周波数が500Hzより低いと、プロセススピードにも関係するが、像担持体に接触したトナーが現像スリーブに戻される際に、十分な振動が与えられずカブリが生じやすくなる。10000Hzを超えると、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
本発明の二成分系現像方法を適用した画像形成装置に使用する像担持体について説明する。本発明の二成分系現像方法を適用した画像形成装置に使用する像担持体の構成としては、通常の画像形成装置に用いられる感光体と同じで良く、例えば、アルミニウム、SUS等の導電性基体の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成の感光体が挙げられる。
導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層は、通常、感光体に用いられるもので良い。
図5を参照しながら、本発明の二成分系現像方法を適用した現像装置を有する画像形成方法の他の態様について説明する。図5はフルカラー画像形成装置の概略図を示す。図5におけるフルカラー画像形成装置は、感光体上に残存した転写残トナーを回収し貯蔵するための独立したクリーニング手段を有さず、現像手段がトナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを回収する現像同時クリーニング方法を行う。
図5に示されるフルカラー画像形成装置の現像手段も、図4で示される現像器と同様に、現像剤担持体、現像槽、補給剤供給手段、現像剤排出手段を有し、複写動作が繰り返されることで現像槽中の第1のトナー濃度が低下したことをトナー濃度検知センサー85により検知され、補給剤供給手段によりトナー濃度が現像に必要な適正範囲内に入るようにフィードバック制御され、補給剤収容器65aから補給剤が現像器63aに供給される。補給剤供給手段により補給剤が補給されることで、現像槽中の二成分系現像剤は磁性キャリアが増量するため、増量分がオーバーフローして現像剤排出手段により排出される。
図5に示す画像形成装置では現像器が回転移動方式ではないため、例えば図4に示す画像形成装置に用いられる現像器と同様の構成の現像器を用いた場合、排出された余剰な二成分系現像剤は現像剤排出口から連通管に落下する。連通管に落下した二成分系現像剤は連通管に設置した搬送スクリューによって現像剤回収口まで搬送され、現像剤回収容器に回収される等のような構成にして用いることが好ましい。
フルカラー画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が静電潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
第1の画像形成ユニットPaは、像担持体としての直径30mmの感光体61aを具備し、この感光体61aは矢印a方向へ回転移動される。一次帯電装置62aは、直径16
mmのスリーブの表面に形成された帯電用磁気ブラシを有し、感光体61aの表面に接触するように配置されている。レーザー光67aは、一次帯電装置62aにより表面が均一に帯電されている感光体61aに静電潜像を形成するために、図示されていない露光装置により照射される。感光体61a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー像を形成するための現像手段としての現像器63aは、カラートナーを保持している。転写手段としての転写ブレード64aは、感光体61aの表面に形成されたカラートナー像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の面に転写する。この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
現像によりトナーが消費され、二成分系現像剤中におけるキャリアに対するトナー濃度(T/C比)が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して二成分系現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサー85で検知し、補給剤供給手段により消費されたトナー量に応じて補給剤収容器65aから現像槽に補給剤を補給する。なお、トナー濃度検知センサー85は図示されないコイルを内部に有している。
図5に示される画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、カラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行われる。この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離され、搬送ベルト等の搬送手段によって定着装置70に送られ、一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着装置70は、一対の直径40mmの定着ローラ71と直径30mmの加圧ローラ72を有し、定着ローラ71は、内部に加熱手段75及び76を有している。転写材上に転写された未定着のカラートナー像は、この定着装置70の定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図5において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、80の駆動ローラによって矢印e方向に移動するものである。他に、画像形成装置は、転写材担持体68の周囲に転写ベルトクリーニング装置79、ベルト従動ローラ81、ベルト除電器82を有し、一対のレジストローラ83は、転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体68に搬送する。
転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えて、ローラ状の転写ローラ等の転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で、接触転写手段を用いることがより好ましい。
以下に、本発明に係る物性及び実施例で用いる物性の測定方法について説明する。
<二成分系現像剤、補給剤及びトナーの誘電特性及び損失正接の測定方法>
4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、
1kHz及び1MHzの周波数で校正する。
測定のためのサンプル成型は以下のようにして行う。まず、二成分系現像剤で約2.5
g、補給剤で約1.5gを秤量し、34300kPa(350kgf/cm2)の荷重を2分間かけて、直径25mm、厚さ約1mmの円盤状に成型し測定試料とする。
この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(TA I
nstruments社製)に装着し固定する。その後、0.98N(100g)の荷重をかけた状態で正確な成型済みサンプルの厚さを入力し、常温(23℃)で測定する。
2000Hzの二成分系現像剤の損失正接(tanδ1)、2×10Hzの二成分系現像剤の損失正接(tanδ2)、2000Hzの補給剤の損失正接(tanδ1)、2000Hzのトナーの損失正接(tanδ1’)、2×10Hzのトナーの損失正接(tanδ2’)をそれぞれ3回測定し、各点の平均値を算出して各々の損失正接を得る。
<磁性キャリアの抵抗率の測定>
磁性キャリアの抵抗率は、図6に示した測定装置を用いて行う。
抵抗率の測定は、セルEに磁性キャリアを充填し、該磁性キャリア粒子に接するように下部電極311及び上部電極312を配し、これらの電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって抵抗率を求める方法を用いる。本発明における抵抗率の測定条件は、充填された磁性キャリア粒子と電極との接触面積S=約2.4cm、サンプルの厚みd=約0.2cm、上部電極312の荷重240gとする。電圧の印加条件は、下記に示す印加条件I、II、IIIの順に印加し、印加条件IIIでの印加電圧での電流を
測定する。その後、サンプルの厚みdを正確に測定し、それぞれの電界強度(V/cm)における抵抗率(Ω・cm)を下記の計算式により求め、電界強度3000V/cmにおける抵抗率を、サンプルの磁性キャリアの抵抗率とする。
印加条件I:(0V→1000V:30秒おき200Vずつステップ状に増大)
印加条件II:(1000Vで30秒ホールド)
印加条件II:(1000V→0V:30秒おき200Vずつステップ状に減少)
磁性キャリアの抵抗率(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
<トナーに用いる結着樹脂の分子量のGPC測定>
トナーに用いる結着樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムにより次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー(株)製又はPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.
6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポ
リスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
<シリカ粒子の個数平均粒径の測定方法>
トナー粒子上に存在するシリカ粒子の粒径は以下のように測定する。走査型電子顕微鏡FE−SEM((株)日立製作所製S−4700)により10万倍に拡大したトナー粒子表面の写真を撮影し、その拡大写真を用いて、視野中の300個のシリカ粒子の粒径を測定して平均粒径を求める。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結着樹脂の製造例>
(ポリエステル樹脂の製造例)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン40質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10質量部、テレフタル酸20質量部、無水トリメリット酸3質量部、フマル酸27質量部及び酸化ジブチル錫をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。窒素雰囲気下で、210℃で約5時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
(ビニル系共重合体の製造例)
4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後、スチレン73質量部、アクリル酸n−ブチル24質量部、メタクリル酸3質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド4質量部を3.5時間かけてフラスコに滴下した。更に、キシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。こうしてビニル系共重合体を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
(共重合体の製造例)
・スチレン 65.0質量部
・アクリル酸−n−ブチル 26.5質量部
・マレイン酸モノブチル 5.5質量部
・ラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(下記一般式(1))3.0質量部
・過酸化ベンゾイル 2.0質量部
Figure 0004336612
上記各成分を、ポリビニルアルコール部分ケン化物0.2質量部を溶解した水200質量部に滴下し、激しく攪拌し、懸濁分散液とした。反応温度80℃で8時間懸濁重合反応させて、反応終了後、水洗し、脱水、乾燥して共重合体を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
Figure 0004336612
<トナーの製造例>
(トナーの製造例1)
(第1の混練工程)
・C.I.ピグメントブルー15:3 3質量部
・ポリエステル樹脂 40質量部
上記の原材料をまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。材料自体の温度を100℃で30分間加熱溶融混練し、その後、冷却し、簡便に粉砕して混練粉砕物を得た。
(第2の混練工程)
・上記第1工程の混練粉砕物 43質量部
・ポリエステル樹脂 40質量部
・共重合体 20質量部
・ワックスA(ノルマルパラフィン、DSCピーク温度:76℃、Mn:580)
4質量部
・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)2質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を130℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で15μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を、多分割分級装置で分級して、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子1を得た。
上記トナー粒子1の100質量部に対して、未処理のシリカ粒子1(個数平均粒径:120nm)1.0質量部と、n−CSi(OCHで処理した疎水性酸化チタ
ン(BET比表面積:110m/g)1質量部をヘンシェルミキサーで外添してトナー1とした。トナー粒子1の組成を表2に、トナー1の組成を表3に示す。得られたトナー1の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナー製造例2)
(第1の混練工程)
・カーボンブラック 4質量部
(平均一次粒径:25nm、DBP吸油量:90ml/100g、pH:9)
・共重合体 40質量部
上記の原材料をまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。材料自体の温度を120℃で30分間加熱溶融混練し、その後、冷却し、簡便に粉砕して混練粉砕物を得た。
(第2の混練工程)
・上記第1工程の混練粉砕物 44質量部
・ポリエステル樹脂 60質量部
・ワックスA 4質量部
・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)
2質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を130℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で15μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を、多分割分級装置で分級して、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子2を得た。
上記トナー粒子2の100質量部に対して、未処理のシリカ粒子1(個数平均粒径:120nm)1.0質量部と、n−CSi(OCHで処理した疎水性酸化チタ
ン(BET比表面積:110m/g)1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添してトナー2とした。トナー粒子2の組成を表2に、トナー2の組成を表3に示す。得られたトナー2の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナー製造例3)
・ポリエステル樹脂 10質量部
・ビニル系共重合体 90質量部
・ワックスA 4質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 3質量部
・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)
2質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を130℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で15μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を、多分割分級装置で分級して、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子3を得た。
上記トナー粒子3の100質量部に対して、未処理のシリカ粒子1(個数平均粒径:120nm)1.0質量部と、n−CSi(OCHで処理した疎水性酸化チタ
ン(BET比表面積:110m/g)1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添してトナー3とした。トナー粒子3の組成を表2に、トナー3の組成を表3に示す。得られたトナー3の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナーの製造例4)
トナーの製造例3において、未処理のシリカ粒子1を未処理のシリカ粒子2(個数平均粒径:70nm)に変えた以外はトナー製造例3と同様に調製してトナー4を得た。トナー4の組成を表3に示す。得られたトナー4の損失正接を測定した結果を表3に示す。得られたトナー4の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナーの製造例5)
トナーの製造例3において、未処理のシリカ粒子1を未処理のシリカ粒子3(個数平均粒径:40nm)に変えた以外はトナー製造例3と同様に調製してトナー5を得た。トナー5の組成を表3に示す。得られたトナー5の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナー製造例6)
トナーの製造例3において、シリカ粒子を添加しない以外はトナー製造例3と同様に調製してトナー6を得た。トナー6の組成を表3に示す。得られたトナー6の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナーの製造例7)
トナーの製造例1において、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド 122を4質量部に変えた以外はトナー製造例1と同様に調製してトナー粒子7を得
た後、外添剤を添加してトナー7を得た。トナー粒子7の組成を表2に、トナー7の組成を表3に示す。得られたトナー7の損失正接を測定した結果を表3に示す。
(トナーの製造例8)
トナーの製造例1において、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー180を5質量部に変えた以外はトナー製造例1と同様に調製してトナー粒子8を得、外添剤を添加してトナー8を得た。トナー粒子8の組成を表2に、トナー8の組成を表3に示す。得られたトナー8の損失正接を測定した結果を表3に示す。
Figure 0004336612
Figure 0004336612
<磁性キャリアの製造例>
(1)磁性キャリアコアの製造
(磁性キャリアコアの製造例A)
マグネタイト微粒子(抵抗率5×10(Ω・cm))と、ヘマタイト微粒子(抵抗率2×10(Ω・cm))に対して、それぞれ4.0質量%、2.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を親油化処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記処理したマグネタイト微粒子 75質量部
・上記処理したヘマタイト微粒子 9質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性微粒子が分散された状態の磁性キャリアコアA(個数平均粒径35μm)を得た。
(磁性キャリアコアの製造例B)
モル比で、Fe2O3=52モル%、CuO=10モル%、CaCO3=6%、MgO
=32モル%になるように秤量し、ボールミルを用いて10時間混合を行った。これを900℃で2時間仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを1150℃で10時間焼結し、粉砕し更に分級して磁性キャリアコアB(個数平均粒径35μm)を得た。
(磁性キャリアコアの製造例C)
マグネタイト微粒子(比表面積BET10.0(m/g)、抵抗率2×10(Ω・
cm))と、ヘマタイト微粒子(比表面積BET2.0(m/g)、抵抗率5×10
(Ω・cm))に対して、それぞれ5.0質量%、1.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で1
00℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を親油化処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記処理したマグネタイト微粒子 72質量部
・上記処理したヘマタイト微粒子 12質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水7質量部、水8質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性微粒子が分散された状態の磁性キャリアコアC(個数平均粒径50μm)を得た。
(磁性キャリアコアの製造例D)
モル比で、Fe2O3=67モル%、CuO=16モル%、MgO=17モル%になるように秤量し、ボールミルを用いて10時間混合を行った。これを900℃で2時間仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを1150℃で10時間焼結し、粉砕し更に分級して磁性キャリアコアD(個数平均粒径35μm)を得た。
(磁性キャリアコアの製造例E)
磁性キャリアコアの製造例Cでマグネタイト微粒子を72質量部から62質量部に変更し、ヘマタイト微粒子を12質量部から22質量部に変更した以外は磁性キャリアコアの製造例Cと同様に調製して磁性キャリアコアE(個数平均粒径50μm)を得た。
(2)磁性キャリアの製造
(磁性キャリアの製造例1)
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー3質量部、下記式(2)で示されるユニットを有するモノマー46質量部、メチルメタクリレート51質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、グラフト共重合体(P)溶液(固形分35質量%)を得た。
Figure 0004336612
グラフト共重合体(P)溶液27質量部に対し、メラミン樹脂(個数平均粒径0.2μm)0.2質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合してコート材
を得た。次いで、磁性キャリアコアAの1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート材を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、磁性キャリアコアA表面へ樹脂コートを行った(コート樹脂成分P)。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温層で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数平均粒径35μmの磁性キャリア1得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア1の抵抗率を表4に示す。
(磁性キャリアの製造例2)
磁性キャリアコアAの表面に、下記一般式(3)で表されるγ−アミノプロピルトリメトキシシランの5質量%メタノール溶液を塗布し、表面処理した。処理された磁性キャリアコアAを70℃で撹拌しながら、シリコーン樹脂SR2410(東レダウコーニング(株)製)を、シリコーン樹脂固形分として20%になるようトルエンで希釈した後、減圧下で添加して、1.0質量%の樹脂被覆を行った(コート樹脂成分Q)。
Figure 0004336612
以後、窒素ガスの雰囲気下で2時間撹拌しつつ、トルエンを揮発させた後、窒素ガスによる雰囲気下で140℃、2時間熱処理を行い、凝集をほぐした後、200メッシュ(75μmの目開き)以上の粗粒を除去し、磁性キャリア2を得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア2の抵抗率を表4に示す。
(磁性キャリアの製造例3及び4)
磁性キャリアコアAに変えて、磁性キャリアコアB又はCにした以外は磁性キャリアの製造例2と同様にして磁性キャリア3及び4を得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア3及び4の抵抗率を表4に示す。
(磁性キャリアの製造例5)
磁性キャリアの製造例1において、上記式(2)で示されるユニットを有するモノマー80質量部、メチルメタクリレート17質量部、アゾビスイソバレロニトリル3質量部に変更するに変更する以外は同様にし、グラフト共重合体(R)を得た。
グラフト共重合体(R)溶液27質量部に対し、メラミン樹脂(個数平均粒径0.2μm)0.5質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合して、コート材とした。次いで、磁性キャリアコアBを1000質量部、剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、磁性キャリアコアB表面への樹脂コートを行った(コート樹脂成分R)。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温層で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して磁性キャリア5得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア5の抵抗率を表4に示す。
(磁性キャリアの製造例6)
メチルメタアクリレート樹脂(分子量約30万 コート樹脂成分S)をトルエンで希釈して磁性キャリアコアCに塗布し、溶媒を70℃で揮発させた。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温層で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して磁性キャリア6得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア6の抵抗率を表4に示す。
(磁性コートキャリアの製造例7及び8)
磁性キャリアコアAに変えて、磁性キャリアコアD又はEにした以外は磁性キャリアの製造例2と同様にして磁性キャリア7及び8を得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリアの抵抗率を表4に示す。
(磁性キャリアの製造例9)
磁性キャリアコアBに変えて磁性キャリアコアDにした以外は磁性キャリアの製造例5と同様にして磁性キャリア9を得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア9の抵抗率を表4に示す。
(磁性コートキャリアの製造例10)
磁性キャリアコアCに変えて磁性キャリアコアEにした以外は磁性キャリアの製造例6と同様にして磁性キャリア10を得た。コア材料とコート材の組み合わせと磁性キャリア10の抵抗率を表4に示す。
Figure 0004336612
[実施例1]
磁性キャリア1の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し二成分系現像剤とした。一方、トナー1の9質量部に対し、キャリア1を1質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し補給剤とした。
得られた二成分系現像剤及び補給剤を、市販の複写機CLC−5000(キヤノン(株)製)を図5に示されるような、余剰な二成分系現像剤を排出する機構を有するように改造した改造機に充填した。画像形成の条件は、現像コントラストは各環境で初期の画像濃度が1.50になる様に調整し、カブリとの反転コントラスト−150Vに設定し、定着装置のオイル塗布機構を取り外し、加熱ローラ、加圧ローラともに表層をPFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で1.2μm被覆したローラに変更して改造した改造機を用いて、単色モードで画出しを行った。
画像面積30%のオリジナル原稿を使用し、180mm/secの画像形成速度で通紙試験を行い、0〜20000枚は常温低湿下(23℃/5%RH)にて耐久試験を行った。
その後、改造機を高温高湿下(32.5℃/80%RH)で3日間調湿させ、40000枚まで耐久試験を行った。耐久試験終了後、5日間同環境で放置した後に帯電性とカブリを確認し、再び改造機を常温低湿下で3日間調湿し、60000枚まで耐久試験を行った。
耐久試験は以下の評価方法に基づいて評価した。
(画像濃度)
画像濃度は各環境での耐久初期と耐久後の濃度の変化を評価の基準とした。画像濃度は、マクベス社製のマクベス濃度計にてオリジナル画像のベタ部(初期画像濃度=1.50)を5回平均し、画像濃度の変化値を見た。評価は初期からの変動差(Δ)で判断した。A:非常に良好(Δ=0.06未満)
B:良好(0.06≦Δ<0.12%)
C:普通(0.12≦Δ<0.18%)
D:悪い(0.18%以上)
(転写効率)
転写性は、各環境での耐久前後の画像を現像、転写し、感光体上の転写前のトナー量(単位面積あたり)と、転写材上のトナー量(単位面積あたり)をそれぞれ測定し、下記式により求めた。
転写率(%)={(転写材上のトナー量)/(感光体上の転写前のトナー量)}×100
評価方法は、耐久後の転写効率で判断した。
A:非常に良好(90%以上)
B:良好(86%〜90%未満)
C:普通(82%〜86%未満)
D:悪い(82%未満)
(摩擦帯電安定性(耐久トリボ))
耐久前と耐久後の二成分系現像剤をサンプリングし、図7の装置を用いて摩擦帯電量を測定した。図7の装置を用いた摩擦帯電量の測定方法を以下に示す。
底に635メッシュのスクリーン273のある金属製の測定容器272に摩擦帯電量を測定しようとする二成分系現像剤約0.5gを入れ、金属製のフタ274をする。このときの測定容器272全体の質量W1(g)を量る。次に、吸引機271(測定容器272
と接する部分は少なくとも絶縁体)によって、吸引口277から吸引しトナーを吸引除去(好ましくは2分間)する。この際、風量調節弁276を調整して真空計275の圧力を4.0kPaとして吸引を行う。
このときの電位計279の電位をV(ボルト)とする。ここで278はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。そして、吸引後の測定容器全体の質量W2(g)を量る。
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下記式を用いて計算される。
Figure 0004336612
評価方法は初期と各環境での耐久終了時の帯電量の差(Δ)で判断した。
A:非常に良好(Δ=3.0未満)
B:良好(3.0≦Δ<5.0)
C:普通(5.0≦Δ<7.0)
D:悪い(Δ=7.0以上)
(カブリ)
カブリは白地部分の白色度をリフレクトメーター(Tokyo Denshoku, co. ltd.製)により測定し、その白色度と転写紙の白色度の差からカブリ濃度(%)を算出し、評価した。評価基準は次の通りである。
A:非常に良好(1.2%未満)
B:良好(1.2%〜2.4%未満)
C:普通(2.4%〜3.6%未満)
D:悪い(3.6%以上)
実施例1では、環境を変化させた合計6万枚の耐久後に到るまで、トリボは安定しており、転写性に優れ、画像濃度の低下も小さく、カブリの発生も抑制されているという極めて良好な結果が得られた。実施例1で用いた二成分系現像剤及び補給剤の物性を表5に示す。なお、評価結果を表6〜8に示す。
[実施例2〜7及び比較例1〜8]
二成分系現像剤及び補給剤に用いるトナー及びキャリアの組み合わせ、補給剤のトナー濃度をそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にして実施例2〜7、及び比較例1〜8の二成分系現像剤及び補給剤の評価を行った。実施例2〜7及び比較例1〜8で用いた二成分系現像剤及び補給剤の物性を表5に示す。なお、評価結果を表6〜8に示す。
[実施例8]
実施例1で使用したシアンの二成分系現像剤及び補給剤、実施例2で使用したブラックの二成分系現像剤及び補給剤、トナー7とキャリア1を実施例1と同様にして調整したマゼンタの二成分系現像剤及び補給剤、トナー8とキャリア1を実施例1と同様にして調整したイエローの二成分系現像剤及び補給剤を、実施例1で使用した改造機に装着してフルカラーモードで同様の耐久試験を行った。実施例8では、環境を変化させた合計6万枚の耐久後に到るまで、トリボは安定しており、転写性に優れ、画像濃度の低下も小さく、カブリの発生も抑制されているという極めて良好な結果フルカラーモードでも得ることが出来た。実施例8で用いた二成分系現像剤及び補給剤の物性を表5に示す。なお、評価結果を表6〜8に示す。
Figure 0004336612
Figure 0004336612
Figure 0004336612
Figure 0004336612
本発明の二成分系現像方法を適用した画像形成装置の一つの実施の形態の概略図を示す。 本発明の二成分系現像方法を適用した現像器の一つの実施の形態の概略図を示す。 本発明の二成分系現像方法をフルカラーで用いた場合の現像装置の一つの実施の形態の概略図を示す。 本発明の二成分系現像方法を適用した現像器の一つの実施の形態の概略図を示す。 本発明の二成分系現像方法を適用した画像形成装置の一つの実施の形態の概略図を示す。 磁性キャリアの抵抗率を測定するための測定装置の説明図を示す。 実施例で摩擦帯電量を測定するために用いる装置の概略図を示す。
符号の説明
1:像担持体
2,3,4,5:現像器
6:現像スリーブ
7:規制部材
8:マグネットロール
9:補給剤収容器
13:現像装置
34:現像剤排出口
35:現像剤回収口
36:連通管
38:現像剤回収容器
63a:現像器
65a:補給剤収容器
85a:トナー濃度検知センサー

Claims (3)

  1. 結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する第1のトナー粒子と第1の外添剤を含有する第1のトナー並びに第1の磁性キャリアとを少なくとも有し、第2のトナーと第2の磁性キャリアを含有する補給剤を補給しながら現像する現像方法に使用される二成分系現像剤において、
    上記第1のトナーは、個数平均粒径50nm以上の第1のシリカ粒子を少なくとも第1のトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上含有し、
    上記二成分系現像剤の誘電損率ε”/誘電率ε’で示される損失正接tanδにおいて、周波数2000Hzの損失正接tanδ1及び2×10Hzの損失正接tanδ2が下記式を満たすことを特徴とする二成分系現像剤。
    0.06≦tanδ1(2000Hz)≦0.13
    0.04≦tanδ2(2×10Hz)≦0.10
  2. 上記補給剤が、前記第2の磁性キャリア1質量部に対して上記第2のトナー2〜50質量部の配合割合であり、上記補給剤の周波数2000Hzにおける損失正接tanδ3が0.005≦tanδ3(2000Hz)≦0.012であり、
    さらにtanδ3と二成分系現像剤の周波数2000Hzの損失正接tanδ1が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の二成分系現像剤。
    tanδ3(2000Hz)/tanδ1(2000Hz)≧0.05
  3. 上記第1の磁性キャリアはフッ素含有アクリル系樹脂により被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
JP2004132902A 2004-04-28 2004-04-28 二成分系現像剤及び二成分系現像方法 Expired - Fee Related JP4336612B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004132902A JP4336612B2 (ja) 2004-04-28 2004-04-28 二成分系現像剤及び二成分系現像方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004132902A JP4336612B2 (ja) 2004-04-28 2004-04-28 二成分系現像剤及び二成分系現像方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005316057A JP2005316057A (ja) 2005-11-10
JP2005316057A5 JP2005316057A5 (ja) 2007-05-31
JP4336612B2 true JP4336612B2 (ja) 2009-09-30

Family

ID=35443578

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004132902A Expired - Fee Related JP4336612B2 (ja) 2004-04-28 2004-04-28 二成分系現像剤及び二成分系現像方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4336612B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101241090B1 (ko) * 2006-04-28 2013-03-08 캐논 가부시끼가이샤 자성 토너
JP5641924B2 (ja) * 2010-12-28 2014-12-17 キヤノン株式会社 補給用カートリッジ及び画像形成方法
US8852843B2 (en) * 2012-11-06 2014-10-07 Xerox Corporation Dispensing toner additives via carrier dispense and clear toner
JP6822438B2 (ja) * 2018-04-20 2021-01-27 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 現像剤セット、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2024046429A (ja) 2022-09-22 2024-04-03 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005316057A (ja) 2005-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100619660B1 (ko) 현상 방법 및 이를 이용한 현상 장치
EP3195063B1 (en) Developing device and image forming apparatus
US20130260299A1 (en) Image forming method and image forming apparatus
JP2005338810A (ja) 現像方法、及びそれを用いた現像装置
JP5621467B2 (ja) オレンジトナー及びそれを収容するトナー収容容器、オレンジ現像剤及びそれを収容するプロセスカートリッジ、カラートナーセット、並びに、画像形成装置
CN103777481B (zh) 色调剂及其制造方法、显影剂、色调剂盒、处理盒和图像形成方法
JP4856980B2 (ja) トナー及び画像形成方法
US20210253750A1 (en) Resin particle
JP4532792B2 (ja) トナー、画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP4336612B2 (ja) 二成分系現像剤及び二成分系現像方法
JP2007206482A (ja) 画像形成方法、非磁性一成分現像剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
US7144667B2 (en) Electrostatic charge image developing toner, and developer, image forming apparatus and image forming method using the same toner
JP2007058138A (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電潜像現像剤、画像形成方法
JP5455477B2 (ja) トナー
US20220308477A1 (en) Method for producing toner for developing electrostatic charge image, and toner for developing electrostatic charge image
US20210253846A1 (en) Resin particle
JP2008083565A (ja) 画像形成方法
JP4378210B2 (ja) 磁性微粒子分散型樹脂キャリア及び二成分系現像剤
JP4065527B2 (ja) 二成分系現像剤
JP2006259026A (ja) 画像形成方法及び補給用現像剤
JP4332256B2 (ja) 負摩擦帯電性トナー及び画像形成方法
JP2004126233A (ja) 画像形成方法、トナー及び二成分現像剤
US8349532B2 (en) Toner for electrostatic charge image development and method for producing the same
JP5861538B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
US20220299904A1 (en) Method for producing toner for developing electrostatic charge image, and toner for developing electrostatic charge image

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070410

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070410

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090623

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090629

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4336612

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees