JP2021105152A - シリコーン弾性体及びその製造方法、シリコーンエラストマー多孔体の製造方法 - Google Patents

シリコーン弾性体及びその製造方法、シリコーンエラストマー多孔体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化前組成物の長期保存の問題がない光拡散性シリコーン弾性体及びその製造方法、均質で微細なサイズの空隙を有するシリコーンエラストマー孔質体の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとの二相からなり、それぞれが連続相であり、(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−1)シリコーンオイルであるシリコーン弾性体。【選択図】図1

Description

本発明は、光拡散性能を有する、シリコーン弾性体及びその製造方法、シリコーンエラストマー多孔体の製造方法に関するものである。
光拡散性樹脂組成物は、照明カバー、照明看板、液晶ディスプレイのバックライト光拡散板、透過型スクリーン、LED照明光源等のLED光の散乱を目的とした部材等に使用されている。特許文献1:特開2011−184625号公報には、光拡散性のゴム組成物が提案されている。バインダーとなるジメチルシリコーンゴムに、光拡散剤としてフェニル基含有シロキサン単位を含むシリコーン弾性体粒子を配合した組成物であるが、硬化前組成物の長期保存で光拡散粒子が凝集する問題がある。
シリコーンエラストマー多孔質体は、ガスケット、防音材、防振剤、プリンタのローラ部材等に使用されている。従来より、発泡剤を用い、シリコーンゴムの硬化と発泡を同時に行う方法で製造されているが、得られる多孔質体中の空隙(気泡)のサイズが均一でなく、大きくばらつくばかりでなく、微細なサイズのセルを形成させることが困難である。特許文献2:特開平6−287348号公報には、室温硬化型のオルガノポリシロキサンエマルジョンを凍結乾燥することによって製造する方法が提案されている。しかしながら、この方法は凍結乾燥装置を必要とし、また、均一で微細なサイズの空隙を有する多孔質体を製造することが困難である。特許文献3:特開2005−171229号公報には、硬化性液状シリコーンの油中水型エマルションを作製し、シリコーンを硬化させた後、水を揮発除去することによって製造する方法が提案されているが、この方法も均一で微細なサイズの空隙を有する多孔質体を製造することは困難である。
特開2011−184625号公報 特開平6−287348号公報 特開2005−171229号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、硬化前組成物の長期保存の問題がない光拡散性シリコーン弾性体及びその製造方法、均質で微細なサイズの空隙を有するシリコーンエラストマー孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、シリコーンエラストマーを硬化する工程で相分離させる方法により、二相からなる構造を有するシリコーン弾性体が得られ、またその二相からなる弾性体から一方の相を除去する方法により、空隙を有するシリコーンエラストマー多孔体が得られ、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記を提供する。
1.(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとの二相からなり、それぞれが連続相であり、(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−1)シリコーンオイルであるシリコーン弾性体。
2.半透明又は不透明である1記載のシリコーン弾性体。
3.(A)第一のシリコーンと、(B)第二のシリコーンの屈折率差が0.002以上である2記載のシリコーン弾性体。
4.(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとの二相からなり、それぞれが連続相であり、(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−2)シリコーンエラストマーであるシリコーン弾性体。
5.半透明又は不透明である4記載のシリコーン弾性体。
6.(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンの屈折率差が0.002以上である5記載のシリコーン弾性体。
7.(i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)シリコーンオイルを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
(ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)のシリコーンオイルを相分離させる工程
を有する、1〜3のいずれかに記載のシリコーン弾性体を製造する製造方法。
8.(i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと、第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーンを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
(ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーを相分離させる工程
を有する、4〜6のいずれかに記載のシリコーン弾性体を製造する製造方法。
9.(i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)シリコーンオイルを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
(ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)を相分離させ、シリコーン弾性体を得る工程、
(iii)(ii)で得られたシリコーン弾性体から、(B−1)シリコーンオイルを溶剤により溶出、除去する工程
を有する、シリコーンエラストマー多孔体を製造する方法。
二相からなるシリコーン弾性体は、硬化前組成物の長期保存の問題がなく、弾性のある光拡散性部材として、また、均質で微細なサイズの空隙を有するシリコーンエラストマー多孔体の部材として、好適に使用できる。
実施例1のシリコーン多孔体断面の電子顕微鏡写真である。 実施例2のシリコーン多孔体断面の電子顕微鏡写真である。 実施例3のシリコーン多孔体の表面及び断面の電子顕微鏡写真である。 実施例3のシリコーン多孔体の断面の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[シリコーン弾性体]
本発明の二相からなるシリコーン弾性体は、(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとの二相からなり、それぞれが連続相、いわゆる共連続体(モノリス)となっている構造である。それぞれの相の形状には限定はなく、例えば、柱状の分岐網目構造がお互いに絡み合った構造、柱状の分岐網目構造とその構造の隙間を埋めている構造、球状粒子の凝集構造とその構造の隙間を埋めている構造等が挙げられる。分岐網目構造の柱状体の太さ、凝集している球状粒子の粒径、及びそれら構造を埋めている隙間の大きさは0.1〜50μmの範囲が好ましい。(A)第一のシリコーンはシリコーンエラストマーであり、第二のシリコーン(B)はシリコーンオイル(B−1)又は(B−2)シリコーンエラストマー(B−2)である。シリコーン弾性体の外観が無色透明でなく、半透明又は不透明であれば、シリコーン弾性体は二相からなる構造であると判断できる。不透明とは、物体の反対側にあるものが透けて見えない状態のことであり、見えていても、はっきり見えない場合、曇っている場合には半透明である。
(B)第二のシリコーンが(B−1)シリコーンオイルの場合、後記の方法によって得られるシリコーン弾性体より(B−1)シリコーンオイルを除去したシリコーンエラストマー多孔体を電子顕微鏡観察することにより、シリコーン弾性体が二相からなり、その二相が共連続相となっており、またそれぞれの相の形状や上記隙間の大きさを確認できる。(B)第二のシリコーンが(B−2)シリコーンエラストマーの場合は、分離構造を電子顕微鏡で確認することは難しいが、前記の(B)第二のシリコーンが(B−1)シリコーンオイルである組成のシリコーン弾性体に類似の構造になっていると考えられる。(A)第一のシリコーンと(B−1)第二のシリコーンからなるシリコーン弾性体に対し、原料組成が類似していれば、その弾性体により近い分離構造になっていると考えられる。
「弾性体」とは、力を加えると変形し取り除くと元の形に戻る性質を有する物体である。
本発明の二相からなるシリコーン弾性体を高い光散乱性とするには、シリコーン弾性体が半透明又は不透明であることが好ましい。不透明とは、物体の反対側にあるものが透けて見えない状態のことであり、見えていても、はっきり見えなかったり、曇っている場合には半透明である。そのためには、(A)第一のシリコーンと(B)第二の屈折率が異なっていることが必要で、その屈折率差は0.02以上が好ましく、より好ましくは0.05以上である。
(A)シリコーンのゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメーターによる測定で、5〜90が好ましい。又は日本ゴム協会標準規格(SRIS)に規定されているアスカーC試験機による測定で、5以上が好ましく、10〜95がより好ましい。(B)第二のシリコーンの(B−2)シリコーンエラストマーのゴム硬度は、特に限定されないが、タイプAデュロメーターによる測定で、90以下が好ましい。(B)第二のシリコーンの(B−1)シリコーンオイルの粘度は、25℃における動粘度が10〜10,000,000mm2/sが好ましく、100〜1,000,000mm2/sがより好ましい。なお、動粘度は、オスワルド粘度計による測定値である(以下、同じ。)
(A)第一のシリコーンのシリコーンエラストマー及び(B)第二のシリコーンの(B−2)シリコーンエラストマーは、例えば、下記式(1)
−(R1 2SiO2/2n− (1)
で示される線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化物が挙げられる。式中、R1は非置換又は置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、nは、5〜5,000の正数である。
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。なお、シリコーンエラストマー(A)及び(B−2)は、その中に、シリコーンオイル(シリコーンエラストマー中に含まれた状態)、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末等を含有していてもよい。
(B)第二のシリコーンの(B−1)シリコーンオイルは、例えば、下記平均組成式(2)
2 aSiO(4-a)/2 (2)
(式中、のR2は非置換又は置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは、0.1≦a≦3で示される正数である。)
で示される。式中のR2は、非置換又は置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、aは、0.1≦a≦3で示される正数であり、0.5≦a≦2.3が好ましい。R2としては、R1と同じものが挙げられる。なお、(B−1)シリコーンオイルは、その中に、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末等を含有していてもよい。
(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンの質量比((A):(B))は、98:2〜20:80の範囲が好ましく、95:5〜30:70がより好ましい。
[二相からなるシリコーン弾性体の製造方法]
本発明のシリコーン弾性体は、(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと、(B)第二のシリコーンである(B−1)シリコーンオイル又は第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーンを混合溶解し、得られた混合溶解物中の硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンである(B−1)シリコーンオイル又は(B−2)シリコーンエラストマーの相分離が起こり二相となる。
具体的には、本発明の二相からなるシリコーン弾性体のシリコーン弾性体は、
(I)(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−1)シリコーンオイルであるシリコーン弾性体の場合は、下記工程を有する製造方法が挙げられる。
(i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)シリコーンオイルを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
(ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)のシリコーンオイルを相分離させる工程。
(II)(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−2)シリコーンエラストマーであるシリコーン弾性体の場合は、下記工程を有する製造方法が挙げられる。
(i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと、第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーンを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
(ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーを相分離させる工程。
(i)において、透明な混合溶解物を得ることが重要で、透明な混合溶解物でない場合、共連続相とすることが困難で、硬化前に経時で(A)と(B−1)、(A)と(B−2)が分離してしまう等の問題がある。
(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーン、第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーンの硬化は、メトキシシリル基(≡SiOCH3)とヒドロキシシリル基(≡SiOH)等との縮合反応、メルカプトプロピルシリル基(≡Si−C36SH)とビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とのラジカル反応、ビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とヒドロシリル基(≡SiH)との付加反応によるもの等が例示されるが、硬化時間が短い、付加反応による硬化が好ましい。
硬化性液状シリコーンは硬化性液状シリコーン組成物であってもよく、硬化性液状シリコーン組成物としては、上記硬化反応の反応性基を有する成分(両方の反応性基を有するもの、一方の反応性基を有する成分ともう一方の反応性基を有する成分)と、硬化触媒とを含有するものである。反応性基を有する成分としては、例えば、両方の反応性基を有するオルガノポリシロキサン、一方の反応性基を有するオルガノポリシロキサンともう一方の反応性基を含するオルガノポリシロキサンの混合溶解物、一方の反応性基を含有するオルガノポリシロキサンともう一方の反応性基を含有するシランの混合溶解物等が挙げられる。
付加反応硬化型の硬化性液状シリコーン組成物の場合、例えば、1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン及び1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、又は1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有するオルガノポリシロキサン及び1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金族金属系触媒とを含有する。
例えば、下記平均組成式(3)
3 b4 cSiO(4-b-c)/2 (3)
(式中、R3は、脂肪族不飽和基を除く、非置換又は置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、R4は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基である。b、cは、0<b<3、0<c≦3、0.1≦b+c≦3で示される正数であり、好ましくは0<b≦2.295、0.005≦c≦2.3、0.5≦b+c≦2.3である。)
で示され、1分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、下記平均組成式(4)
5 deSiO(4-d-e)/2 (4)
(R5は脂肪族不飽和基を除く、非置換又は置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基である。d,eは0<d<3、0<e≦3、0.1≦d+e≦3で示される正数であり、好ましくは0<d≦2.295、0.005≦e≦2.3、0.5≦d+e≦2.3である。)
で示され、1分子中にケイ素原子(Si)に結合した水素原子(Si−H)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組み合わせにおいて、1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1価オレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が0.5〜2個となるような比率で配合された液状シリコーン組成物を白金族金属系触媒の存在下において付加反応させればよい。なお、分子中に、1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2又は3個有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2又は3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとなるように適宜選択される。
3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられるが、工業的には全R3基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
4は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基であり、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、工業的にはビニル基が好ましい。R5としては、上記R3と同じものが例示される。オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよい。
付加反応に用いる白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる周知の触媒が挙げられ、その具体例としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・n’H2O、H2PtCl6・n’H2O、NaHPtCl6・n’H2O、KHPtCl6・n’H2O、Na2PtCl6・n’H2O、K2PtCl4・n’H2O、PtCl4・n’H2O、PtCl2、Na2HPtCl4・n’H2O(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);白金、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックス、特に白金とビニル基含有ジシロキサン又はビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。
白金族金属系触媒の配合量は反応触媒としての有効量でよく、硬化性液状シリコーン組成物に対する触媒中の白金族金属の量が、質量換算で通常、0.1〜500ppm程度、好ましくは0.5〜200ppm程度、さらに好ましくは0.1〜100ppm程度となる量である。
硬化性液状シリコーン組成物には、付加反応の反応遅延剤を添加してもよい。例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニルシクロヘキサノール等のアセチレン系アルコール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−イン等のアセチレン系化合物、これらのアセチレン系化合物とアルコキシシラン又はシロキサンあるいはハイドロジェンシランとの反応物、テトラメチルビニルシロキサン環状体等のビニルシロキサン、ベンゾトリアゾール等の有機窒素化合物及びその他の有機リン化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物等が挙げられる。
上述したように、硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンである(B−1)シリコーンオイル又は(B−2)シリコーンエラストマーの相分離が起こり二相となる。
(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとが二相となり、相分離した粒子を得るには、(A)第一のシリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーン(組成物)と、(B)第二のシリコーンの(B−1)シリコーンオイル又は(B−2)シリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーン(組成物)とは溶解性があり、かつ(A)第一のシリコーンエラストマーと、(B)第二のシリコーンの(B−1)シリコーンオイル又は(B−2)シリコーンエラストマーとの相溶性が低いことが必要となる。そのようなシリコーン組成としては、例えば、付加反応による硬化でシリコーンエラストマーとする場合、(A)第一のシリコーンエラストマーの原料の硬化性液状シリコーンである前記平均組成式(3)R3 b4 cSiO(4-b-c)/2で示される1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及び前記平均組成式(4)R5 deSiO(4-d-e)/2で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、第二のシリコーンの前記平均組成式(2)R2 aSiO(4-a)/2で示されるシリコーンオイル(B−1)において、R3及び/又はR5と、R2が一部異なった構造の炭化水素基となっている組成が挙げられる。また、第一のシリコーンエラストマー(A)の原料の硬化性液状シリコーンのR3及び/又はR5と、第二のシリコーンのシリコーンエラストマー(B−2)の原料の硬化性液状シリコーンのR3及び/又はR5が一部異なった構造の炭化水素基となっている組成が挙げられる。また、第一のシリコーンエラストマー(A)の原料の硬化性液状シリコーンである1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、第二のシリコーンのシリコーンオイル(B−1)の粘度が大きく異なっている組成が挙げられる。また、第一のシリコーンエラストマー(A)の原料の硬化性液状シリコーンである1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、第二のシリコーンのシリコーンエラストマー(B−2)の原料の硬化性液状シリコーンである1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が大きく異なっている組成が挙げられる。
前記のような(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンのシリコーン組成で相分離するのは、(A)第一のシリコーンエラストマーの原料の硬化性液状シリコーン及び/又は第二のシリコーンのシリコーンエラストマー(B−2)の原料の硬化性液状シリコーンが、硬化反応によってシリコーンの分子量が大きくなり、それによって(A)第一のシリコーンと第二のシリコーン(B)の相溶性が低下するためと推測される。さらには、硬化に至る前に相溶性が低下するためと考えられる。
[連続した空隙を有するシリコーンエラストマー多孔体の製造方法]
本発明の連続した空隙を有するシリコーンエラストマー多孔体は、上記(I)の製造方法において、さらに、得られたシリコーン弾性体から、シリコーンオイル(B−1)を溶剤により溶出、除去することによって、製造することができる。具体的には、下記工程を有するものが挙げられる。
(i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)シリコーンオイルを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
(ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)を相分離させ、シリコーン弾性体を得る工程、
(iii)(ii)で得られたシリコーン弾性体から、(B−1)シリコーンオイルを溶剤により溶出、除去する工程
溶剤は、シリコーンオイル(B−1)を溶解し、かつシリコーンエラストマー(A)を透過するものである必要がある。さらには、揮発性があるものが好ましい。揮発性がある溶剤であれば、シリコーンオイル(B−1)を溶出、除去し、溶剤を分離した後に、揮発により溶剤を除去できる。例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブタノール、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
(B−1)シリコーンオイルの溶出、除去は、溶剤に二相からなるシリコーン弾性体を浸漬すればよい。シリコーンオイル(B−1)の除去率を高くするために、シリコーン弾性体と溶剤を分離した後、浸漬の操作を繰り返してもよい。また、ソックスレー抽出器を用いて行ってもよい。シリコーン弾性体と溶剤を分離した後、風乾や、常圧下又は減圧下に加熱することにより、溶剤を揮発除去する。
本発明の製造方法によって得られるシリコーンエラストマー多孔体は、その表面に孔が存在しない場合がある。表面に孔を存在させるには、表面を擦過やスライスする方法等で表面部分を除けばよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、濃度及び含有率を表す「%」は質量%を示す。動粘度は25℃において、オスワルド粘度計による測定値であり、日本電色工業(株)製のHAZEメーターNDH7000にて、実施例に記載の厚みの試料の全光透過率及びHAZE値を測定した。なお、平均式中の各シロキサン単位の結合順序は、下記に制限されるものではない。
[実施例1(二相からなるシリコーン弾性体及びシリコーン多孔体の製造)]
下記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン85g、下記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン27g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.14個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーン((A)成分の原料の硬化性液状シリコーンに該当)を得た。下記平均式(7)で示される動粘度が99,900mm2/sのジメチルポリシロキサン((B−1)成分に該当)15g((A):(B−1)質量比が88.2:11.8になる量)を添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、弾性のある固体状物(シリコーン弾性体)を得た。
その得られたシリコーン弾性体は不透明であり、全光透過率は20.7、HAZE値は
99.9であった。上記のメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、ジメチルポリシロキサンの屈折率は、1.403であり、屈折率差は0.012である。不透明であることから、シリコーンエラストマー((A)成分に該当)とジメチルポリシロキサン((B−1)成分に該当)が二相に分離した構造であり、また硬化反応中にシリコーンエラストマーとジメチルポリシロキサンが分離したと判断された。
シリコーン弾性体を約10mm×10mm大きさにカットし、容量100mLのガラスビーカーに入れたトルエン50g中に浸漬した。2時間後にシリコーン弾性体を取り出
し、新たに用意したトルエン50g中に再度浸漬した。同じ操作をもう一度繰り返した
後、2時間後にシリコーン弾性体を取り出し、24時間風乾し、トルエンを揮発させた。このトルエンの浸漬により、ジメチルポリシロキサンを溶出、除去した。
ジメチルポリシロキサンを除去して得られたシリコーンエラストマーを、電子顕微鏡にて観察した。表面に孔は観察されなかったが、カット面は孔が観察された。2μm前後の太さの骨格が連なったシリコーンエラストマーと0.5μm前後の連続した孔からなる多孔体であった。断面の写真を図1に示す。
ジメチルポリシロキサンを除去して得られたシリコーンエラストマーの電子顕微鏡観察結果より、ジメチルポリシロキサン含有のシリコーン弾性体は、2μm前後の太さの骨格が連なったシリコーンエラストマーと、0.5μm前後の連続した孔をジメチルポリシロキサンで満たした二相からなる構造体となっていると判断された。
シリコーンエラストマーの硬度を、デュロメーターA硬度計で測定したところ、75であった。
Figure 2021105152
[実施例2(二相からなるシリコーン弾性体及びシリコーン多孔体の製造)]
前記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン70g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン23g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.18個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーン((A)成分の原料の硬化性液状シリコーンに該当)を得た。前記平均式(7)で示される動粘度が99,900mm2/sのジメチルポリシロキサン((B−1)成分に該当)30g((A):(B−1)質量比が75.6:24.4になる量)を添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、弾性のある固体状物を得た。
得られたシリコーン弾性体は不透明であり、全光透過率は17.9、HAZE値は
99.9であった。上記のメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、ジメチルポリシロキサンの屈折率は、1.403であり、屈折率差は0.012である。不透明であることから、シリコーンエラストマー(成分(A)に該当)とジメチルポリシロキサン(成分(B−1)に該当)が二相に分離した構造であり、また硬化反応中にシリコーンエラストマーとジメチルポリシロキサンが分離したと判断された。
シリコーン弾性体を約10mm×10mm大きさにカットし、容量100mLのガラスビーカーに入れたトルエン50g中に浸漬した。2時間後にシリコーン弾性体を取り出
し、新たに用意したトルエン50g中に再度浸漬した。同じ操作をもう一度繰り返した
後、2時間後にシリコーン弾性体を取り出し、24時間風乾し、トルエンを揮発させた。このトルエンの浸漬により、ジメチルポリシロキサンを溶出、除去した。
ジメチルポリシロキサンを除去して得られたシリコーンエラストマーを、電子顕微鏡にて観察した。表面に孔は観察されなかったが、カット面は孔が観察された。2μm前後の球状の粒子が数個連なり、それがさらに凝集した構造のシリコーンエラストマーの多孔体であった。カットした断面の写真を図2に示す。
ジメチルポリシロキサンを除去して得られたシリコーンエラストマーの電子顕微鏡観察結果より、ジメチルポリシロキサン含有のシリコーン弾性体は、2μm前後の球状の粒子が数個連なり、それがさらに凝集した構造のシリコーンエラストマーと、その隙間の孔をジメチルポリシロキサンで満たした二相からなる構造体となっていると判断された。
シリコーンエラストマーの硬度を、デュロメーターA硬度計で測定したところ、75であった。
[実施例3(二相からなるシリコーン弾性体及びシリコーン多孔体の製造)]
下記平均式(8)で示される、動粘度が125mm2/sのメチルビニルポリシロキサン70g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン3.7g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.14個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーン((A)成分の原料の硬化性液状シリコーンに該当)を得た。下記平均式(9)で示される動粘度が3,015mm2/sのジメチルジフェニルポリシロキサン((B−1)成分に該当)30g((A):(B−1)質量比が71.1:28.9になる量)を添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、弾性のある固体状物を得た。
得られたシリコーン弾性体は不透明であり、全光透過率は25.6、HAZE値は99.8であった。上記のメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.406であり、ジメチルジフェニルポリシロキサンの屈折率は、1.428であり、屈折率差は0.022である。不透明であることから、シリコーンエラストマー(成分(A)に該当)とジメチルジフェニルポリシロキサン(成分(B−1)に該当)が二相に分離した構造であり、また硬化反応中にシリコーンエラストマーとジメチルジフェニルポリシロキサンが分離したと判断された。
シリコーン弾性体を約10mm×10mm大きさにカットし、容量100mLのガラスビーカーに入れたトルエン50g中に浸漬した。2時間後にシリコーン弾性体を取り出し、新たに用意したトルエン50g中に再度浸漬した。同じ操作をもう一度繰り返した後、2時間後にシリコーン弾性体を取り出し、24時間風乾し、トルエンを揮発させた。このトルエンの浸漬により、ジメチルジフェニルポリシロキサンを溶出、除去した。
ジメチルジフェニルポリシロキサンを除去して得られたシリコーンエラストマーを、電子顕微鏡にて観察した。表面に孔は観察されなかったが、カット面は孔が観察された。7μm前後の球状粒子が凝集した構造のシリコーンエラストマーの多孔体であった。表面及びカット断面の写真を図3に、カット断面のみの写真を図4に示す。
ジメチルジフェニルポリシロキサンを除去して得られたシリコーンエラストマーの電子顕微鏡観察結果より、ジメチルジフェニルポリシロキサン含有のシリコーン弾性体は、7μm前後の球状粒子が凝集したシリコーンエラストマーとその隙間の孔をジメチルジフェニルポリシロキサンで満たした二相からなる構造体となっていると判断された。
シリコーンエラストマーの硬度を、デュロメーターA硬度計で測定したところ、38であった。
Figure 2021105152
[実施例4(二相からなるシリコーン弾性体の製造)]
前記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン70g、下記平均式(10)で示される、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサン30g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン23g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が
1.17個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーン(成分(A)の原料の硬化性液状シリコーン及び成分(B−2)の硬化性液状シリコーンに該当)(成分(A):成分(B−2)質量比が75.5:24.5になる量)を得た。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、シリコーン弾性体を得た。
得られたシリコーン弾性体は不透明であり、全光透過率は29.9、HAZE値は99.8であった。上記の動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は、1.404であり、屈折率差は0.011である。不透明であることから、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマー(成分(A)に該当)と、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマー(成分(B−1)に該当)が二相に分離した構造であり、また、それぞれの硬化反応中に分離したと判断された。
本実施例は、成分(B)はシリコーンエラストマーである成分(B−2)になるが、成分(B)がシリコーンオイル(B−1)である実施例1〜3において、成分(A)と成分(B−1)のそれぞれが連続相であったことから、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマーと、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマーもそれぞれが連続相になって分離していると考えられる。
シリコーン弾性体の硬度を、デュロメーターA硬度計で測定したところ、59であった。
Figure 2021105152
[実施例5(二相からなるシリコーン弾性体の製造)]
前記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン50g、前記平均式(10)で示される、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサン50g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン16g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.14個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーン((A)成分の原料の硬化性液状シリコーン及び(B−2)成分の硬化性液状シリコーンに該当)((A):(B−2)質量比が56.7:43.3になる量)を得た。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、シリコーン弾性体を得た。その得られたシリコーン弾性体は不透明であり、全光透過率は31.8、HAZE値は98.9であった。上記の動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は、1.404であり、屈折率差は0.011である。不透明であることから、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマー((A)成分に該当)と、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマー((B−1)成分に該当)が二相に分離した構造であり、また、それぞれの硬化反応中に分離したと判断された。
本実施例は、成分(B)はシリコーンエラストマーである(B−2)成分になるが、(B)成分がシリコーンオイル(B−1)である実施例1〜3において、成分(A)と成分(B−1)のそれぞれが連続相であったことから、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマーと、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマーもそれぞれが連続相になって分離していると考えられる。
シリコーン弾性体の硬度を、デュロメーターA硬度計で測定したところ、48であった。
[実施例6(二相からなるシリコーン弾性体の製造)]
前記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン70g、下記平均式(11)で示される、動粘度が2,620mm2/sのメチルフェニルビニルポリシロキサン30g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン23g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.16個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーン(成分(A)の原料の硬化性液状シリコーン及び成分(B−2)の硬化性液状シリコーンに該当)(成分(A):成分(B−2)質量比が75.2:24.8になる量)を得た。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、シリコーン弾性体を得た。
得られたシリコーン弾性体は不透明であり、全光透過率は30.7、HAZE値は99.8であった。上記のメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、メチルフェニルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は、1.449であり、屈折率差は0.034である。不透明であることから、メチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマー((A)成分に該当)と、メチルフェニルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマー((B−1)成分に該当)が二相に分離した構造であり、また、それぞれの硬化反応中に分離したと判断された。
本実施例は、(B)成分はシリコーンエラストマーである(B−2)成分になるが、成分(B)がシリコーンオイル(B−1)である実施例1〜3において、成分(A)と成分(B−1)のそれぞれが連続相であったことから、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマーと、動粘度が114,000mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応物であるシリコーンエラストマーもそれぞれが連続相になって分離していると考えられる。
シリコーン弾性体の硬度を、アスカーC硬度計で測定したところ、86であった。
Figure 2021105152
[比較例1(シリコーン弾性体の製造)]
前記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン85g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン27g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.14個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、透明な混合溶解物である硬化性液状シリコーンを得た。下記平均式(12)で示される動粘度が1,000mm2/sのジメチルポリシロキサン15gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、弾性のある固体状物を得た。
その得られたシリコーン弾性体は無色透明であった。上記のメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、ジメチルポリシロキサンの屈折率は1.403であり、屈折率差は0.012である。無色透明であることから、二相からなる構造にはなっていないと判断された。
Figure 2021105152
[比較例2(シリコーン弾性体の製造)]
前記平均式(5)で示される、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサン70g、下記平均式(13)で示される、動粘度が1,010mm2/sのメチルビニルポリシロキサン30g、前記平均式(6)で示される、動粘度が111mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン23g(ビニル基1個に対しヒドロシリル基が1.17個となる配合量)、及び(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシトリメチルシラン(反応遅延剤)0.1gを容量200mLのガラスビーカーに仕込み、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させ、硬化性液状シリコーンを得た。次いで、白金−ビニル基含有ジシロキサン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.2gを添加し、ガラス棒を用いて撹拌し、透明溶解させた。厚みが9mmになるようアルミシャーレに流し込み、25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、シリコーン弾性体を得た。
得られたシリコーン弾性体は無色透明であった。上記の動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は1.415であり、動粘度が1,010mm2/sのメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの反応硬化物であるシリコーンエラストマーの屈折率は、1.405であり、屈折率差は0.010である。無色透明であることから、二相からなる構造にはなっていないと判断された。
Figure 2021105152
比較例1では、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルシロキサンと動粘度が1,000mm2/sのジメチルポリシロキサンは、ほぼ同じ単位からなる化合物で、かつ粘度の差が大きくないことから、それらの相溶性がよく、そのため実施例のように相分離しない。同様に、比較例2では、動粘度が8.5mm2/sのメチルビニルシロキサンと動粘度が1,010mm2/sのメチルビニルポリシロキサンは、同じ単位からなる化合物で、かつ粘度の差が大きくないことから、それらの相溶性がよく、そのため実施例のように相分離しない。

Claims (9)

  1. (A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとの二相からなり、それぞれが連続相であり、(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−1)シリコーンオイルであるシリコーン弾性体。
  2. 半透明又は不透明である請求項1記載のシリコーン弾性体。
  3. (A)第一のシリコーンと、(B)第二のシリコーンの屈折率差が0.002以上である請求項2記載のシリコーン弾性体。
  4. (A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンとの二相からなり、それぞれが連続相であり、(A)第一のシリコーンがシリコーンエラストマーで、(B)第二のシリコーンが(B−2)シリコーンエラストマーであるシリコーン弾性体。
  5. 半透明又は不透明である請求項4記載のシリコーン弾性体。
  6. (A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーンの屈折率差が0.002以上である請求項5記載のシリコーン弾性体。
  7. (i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)シリコーンオイルを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
    (ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)のシリコーンオイルを相分離させる工程
    を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のシリコーン弾性体を製造する製造方法。
  8. (i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと、第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーの原料である硬化性液状シリコーンを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
    (ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−2)シリコーンエラストマーを相分離させる工程
    を有する、請求項4〜6のいずれか1項記載のシリコーン弾性体を製造する製造方法。
  9. (i)(A)第一のシリコーンの原料である硬化性液状シリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)シリコーンオイルを混合溶解して、透明な混合溶解物を得る工程、
    (ii)(i)で得られた混合溶解物中で、硬化性液状シリコーンを硬化させ、その硬化させる過程で(A)第一のシリコーンと(B)第二のシリコーン(B−1)を相分離させ、シリコーン弾性体を得る工程、
    (iii)(ii)で得られたシリコーン弾性体から、(B−1)シリコーンオイルを溶剤により溶出、除去する工程
    を有する、シリコーンエラストマー多孔体を製造する方法。
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