JP2021101641A - 攪拌装置および攪拌用の回転羽根 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転羽根の抜け止め部を回転軸に設けるなどの煩雑な手段を用いることなく、簡易かつ廉価な手段により、回転羽根の抜け止めを適切に図ることが可能な攪拌装置、および攪拌用の回転羽根を提供する。【解決手段】攪拌対象物質を収容する容器2内の下部領域に位置する回転軸4に対して、その上方側からの着脱が可能とされ、かつ回転軸4に伴って回転可能な攪拌用の回転羽根1を備えている、攪拌装置Aであって、回転羽根1の中央本体部11の下面部11aには、下向き開口状の凹部12、または下向き突出状の凸部15が設けられ、凹部12の内面部、または凸部15の外面部の少なくとも一部は、回転羽根1の回転時において、下面部11aの下の隙間Cに進入した攪拌対象物質mを、隙間Cの外方に流出させることが可能な進入物質流出促進面部12b,12c,15aとして形成されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、たとえばパン生地やその他の食品材料の混練(捏和)装置などとして構成される攪拌装置、および攪拌装置の構成要素としての攪拌用の回転羽根に関する。
ここで、本発明でいう「攪拌」とは、所望の物質中において攪拌用の回転羽根を回転させることにより、前記物質をかき回すことを意味する。パン生地やその他の食品材などを捏ねる混練(捏和)が含まれる他、所望の物質の混合、乳化、あるいは各種の反応促進などを目的とするものをも含む、広い概念である。
本出願人は、攪拌装置の一例として、特許文献1に記載されたパン生地などを混練するための装置を先に提案しており、その概略構成を、図7に示す。
図7に示す攪拌装置は、パン生地用の材料などの攪拌対象物質mを収容するための容器2と、この容器2内の下部領域に位置して回転する攪拌用の回転羽根1eとを備えている。回転羽根1eは、モータ(不図示)を用いて駆動回転される回転軸4に対して、その上方側から、いわゆるワンタッチで着脱可能である。その手段として、回転羽根1eの中央本体部11には、孔部13が貫通して形成され、この孔部13に回転軸4を差し込ませる手段が用いられている。
このような構成によれば、回転軸4に対する回転羽根1eの着脱が容易であるため、回転羽根1eを回転軸4から取り外して洗浄した後に、回転軸4に再装着するといった作業を容易かつ迅速に行なうことができ、便利である。
図7に示す攪拌装置は、パン生地用の材料などの攪拌対象物質mを収容するための容器2と、この容器2内の下部領域に位置して回転する攪拌用の回転羽根1eとを備えている。回転羽根1eは、モータ(不図示)を用いて駆動回転される回転軸4に対して、その上方側から、いわゆるワンタッチで着脱可能である。その手段として、回転羽根1eの中央本体部11には、孔部13が貫通して形成され、この孔部13に回転軸4を差し込ませる手段が用いられている。
このような構成によれば、回転軸4に対する回転羽根1eの着脱が容易であるため、回転羽根1eを回転軸4から取り外して洗浄した後に、回転軸4に再装着するといった作業を容易かつ迅速に行なうことができ、便利である。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
すなわち、攪拌対象物質mとして、粘性が高い物質(たとえば、和菓子用の餅生地の材料など)が用いられ、かつその量が比較的少ない場合には、その混練途中において、回転羽根1eが回転軸4から抜ける虞があった。この現象は、攪拌対象物質mの量が比較的少なく、回転羽根1eが攪拌対象物質mによって下向きに強く押さえられない状態において、回転羽根1eの中央本体部11と、その下方に位置する支持台座部7の上面部との相互間の隙間Cに、攪拌対象物質mの一部が次々と入り込み、かつこの入り込んだ攪拌対象物質mが回転羽根1eを上方に押し上げることにより発生する。このような現象を生じたのでは、攪拌対象物質mの攪拌(混練)を適切に行なうことができない。したがって、これを適切に解消することが望まれる。
前記不具合を解消するための手段として、回転軸4の上端部に、回転羽根1eの抜け止めを図るための抜け止め部を設けることが考えられる。ところが、このような手段を採用したのでは、いわゆるワンタッチで回転羽根1eの着脱を行なうことができなくなる他、前記抜け止め部が設けられた分だけ装置が複雑化し、その製造コストが高価となる。さらに、装置の衛生を保つには、抜け止め部の洗浄作業を余分に行なう必要が生じ、その洗浄作業も面倒なものとなる。
本発明者は、回転羽根1eの抜け止め防止手段の一例として、回転軸4をいわゆる引っ掛け構造とすることを試みたものであるが、このような手段によれば、回転羽根1eと回転軸4とのギャップが大きくなり、回転羽根1eの回転時には、異音(カタカタ音)が発生するものとなった。本発明の背景として、このような事情もある。
本発明者は、回転羽根1eの抜け止め防止手段の一例として、回転軸4をいわゆる引っ掛け構造とすることを試みたものであるが、このような手段によれば、回転羽根1eと回転軸4とのギャップが大きくなり、回転羽根1eの回転時には、異音(カタカタ音)が発生するものとなった。本発明の背景として、このような事情もある。
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、回転羽根の抜け止め部を回転軸に設けるなどの煩雑な手段を用いることなく、簡易かつ廉価な手段により、回転羽根の抜け止めを適切に図ることが可能な攪拌装置、および攪拌用の回転羽根を提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供される攪拌装置は、攪拌対象物質を収容するための容器と、この容器内の下部領域に位置し、かつ上下高さ方向に延びる軸心周りに回転可能な回転軸と、この回転軸に対してその上方側からの着脱が可能とされ、かつ前記回転軸への装着状態において、前記回転軸に伴って回転可能な攪拌用の回転羽根と、を備えており、前記回転羽根は、羽根部と、この羽根部の基端部側が繋がった中央本体部と、を備えており、かつ前記回転軸への装着状態において、前記中央本体部の下面部の下に隙間が形成されている、攪拌装置であって、前記回転羽根の前記中央本体部の下面部には、少なくとも1つの下向き開口状の凹部、または下向き突出状の凸部が設けられており、前記凹部の内面部、または前記凸部の外面部の少なくとも一部は、前記回転羽根の回転時において、前記隙間に進入した攪拌対象物質を、前記隙間の外方に流出させることが可能な進入物質流出促進面部として形成されていることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、回転羽根を回転させて攪拌対象物質を攪拌している際に、攪拌対象物質の一部が、回転羽根の中央本体部の下面部の下の隙間に進入したとしても、この攪拌対象物質は、前記下面部に設けられている進入物質流出促進面部の作用により前記隙間の外方に流出する。この場合、隙間内の進入物質の一部が隙間の外部に排出されると、進入物質の粘性に起因し、隙間内の進入物質の他の一部も前記一部の進入物質の流出に引きずられたかたちで前記隙間から流出する作用が生じることとなる。したがって、前記従来技術とは異なり、攪拌対象物質が前記隙間に次々と進入して累積し、回転羽根が上方に押し上げられる現象を生じないようにすることができる。その結果、攪拌対象物質が比較的少量であって、粘性が高い場合であっても、回転羽根が回転軸から抜けることを適切に防止することが可能となる。
このようなことから、本発明によれば、回転羽根の抜け止めを図るための抜け止め部を回転軸に設ける必要はない。したがって、回転軸への回転羽根の着脱を容易なものとすることができる。また、回転軸に抜け止め部を設けた場合には、装置の複雑化や、洗浄作業の煩雑化を生じるが、本発明によれば、そのような不具合も適切に解消し、装置の低コスト化を図るとともに、利便性に優れたものとすることができる。
さらに、回転羽根の回転時に、異音が生じることもない。
進入物質流出促進面部を内面部に有する凹部、または外面部に有する凸部は、たとえば回転羽根の樹脂成形時において、回転羽根の他の部分と同時に、かつ容易に形成することができる。
すなわち、回転羽根を回転させて攪拌対象物質を攪拌している際に、攪拌対象物質の一部が、回転羽根の中央本体部の下面部の下の隙間に進入したとしても、この攪拌対象物質は、前記下面部に設けられている進入物質流出促進面部の作用により前記隙間の外方に流出する。この場合、隙間内の進入物質の一部が隙間の外部に排出されると、進入物質の粘性に起因し、隙間内の進入物質の他の一部も前記一部の進入物質の流出に引きずられたかたちで前記隙間から流出する作用が生じることとなる。したがって、前記従来技術とは異なり、攪拌対象物質が前記隙間に次々と進入して累積し、回転羽根が上方に押し上げられる現象を生じないようにすることができる。その結果、攪拌対象物質が比較的少量であって、粘性が高い場合であっても、回転羽根が回転軸から抜けることを適切に防止することが可能となる。
このようなことから、本発明によれば、回転羽根の抜け止めを図るための抜け止め部を回転軸に設ける必要はない。したがって、回転軸への回転羽根の着脱を容易なものとすることができる。また、回転軸に抜け止め部を設けた場合には、装置の複雑化や、洗浄作業の煩雑化を生じるが、本発明によれば、そのような不具合も適切に解消し、装置の低コスト化を図るとともに、利便性に優れたものとすることができる。
さらに、回転羽根の回転時に、異音が生じることもない。
進入物質流出促進面部を内面部に有する凹部、または外面部に有する凸部は、たとえば回転羽根の樹脂成形時において、回転羽根の他の部分と同時に、かつ容易に形成することができる。
本発明において、好ましくは、前記凹部の内面部として、前記回転羽根の回転方向の前方側部分から後方側部分に進むほど高さが低くなるように傾斜し、および/または、前記中央本体部の外周側部分から中心寄り部分に進むほど高さが低くなるように傾斜した傾斜状上面部を有しており、この傾斜状上面部が、前記進入物質流出促進面部である。
このような構成によれば、回転羽根の回転時において、前記した傾斜状上面部は、前記隙間に進入した攪拌対象物質を、前記隙間の外方に流出させることとなり、本発明が意図する効果を適切に得ることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記攪拌対象物質として、食品の生地材料が前記容器内に収容された状態において、前記生地材料を前記回転羽根によって混練可能とされており、装置全体が食品生地製造装置として構成されている。
本発明の第2の側面により提供される攪拌用の回転羽根は、羽根部と、この羽根部の基端部側が繋がった中央本体部と、を備えており、攪拌装置に設けられている回転軸に着脱可能とされ、かつ前記回転軸に装着されることにより、攪拌対象物質を攪拌するのに用いられる、攪拌用の回転羽根であって、前記中央本体部の下面部には、少なくとも1つの下向き開口状の凹部、または下向き突出状の凸部が設けられており、前記凹部の内面部、または前記凸部の外面部の少なくとも一部は、前記回転羽根が回転するときに、前記下面部の下に形成された隙間に進入した攪拌対象物質を、前記隙間の外方に流出させることが可能な進入物質流出促進面部として形成されていることを特徴としている。
このような構成の攪拌用の回転羽根は、本発明の第1の側面により提供される攪拌装置の回転羽根として好適に用いることが可能であり、本発明の第1の側面により提供される攪拌装置について述べたのと同様な効果が得られる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
理解の容易のため、図6に示した従来技術と同一または類似の要素には、同一の符号を適宜付すこととする。
理解の容易のため、図6に示した従来技術と同一または類似の要素には、同一の符号を適宜付すこととする。
図1に示す攪拌装置Aは、パン生地や、和菓子用の餅生地などの食品の生地材料を混練するのに適した食品生地製造装置として構成されている。
この攪拌装置Aは、後述する回転羽根1の構成に特徴があり、攪拌装置Aの全体の基本的な構成は、特許文献1と同様である。具体的には、この攪拌装置Aは、攪拌対象物質mを収容するための容器2、容器用支持部材3、回転羽根1、この回転羽根1を駆動回転させるための回転軸4、この回転軸4をモータMを利用して駆動回転させるための駆動系5
、およびこれら駆動系5や容器用支持部材3を内部に収容する筐体6などを具備している。
この攪拌装置Aは、後述する回転羽根1の構成に特徴があり、攪拌装置Aの全体の基本的な構成は、特許文献1と同様である。具体的には、この攪拌装置Aは、攪拌対象物質mを収容するための容器2、容器用支持部材3、回転羽根1、この回転羽根1を駆動回転させるための回転軸4、この回転軸4をモータMを利用して駆動回転させるための駆動系5
、およびこれら駆動系5や容器用支持部材3を内部に収容する筐体6などを具備している。
容器2は、上面が開口した碗状であり、この容器2と同様な碗状に形成されている容器用支持部材3内に配されることにより起立姿勢で支持可能である。容器2は、容器用支持部材3内にその上方側から出し入れ可能である。容器2の内周面には、攪拌対象物質mの攪拌効率を高めるための手段として、1または複数の攪拌促進用凸状部20が設けられている。回転軸4は、容器2および容器用支持部材3の底壁部の下方側から、容器2内側に突出し、かつ容器2の下部領域において上下高さ方向に延びる軸心周りに回転可能である。この回転軸4を駆動回転させるための駆動系5は、モータMの駆動軸50の回転駆動力を、一対のプーリ51a,51b、およびこれらの相互間に架け渡されたベルト52を利用したベルト機構を介して中間軸53に伝達し、かつこの中間軸53の回転を、回転軸4を支持する支持部材54に伝達させる構成である。ただし、回転軸4を回転させるための具体的な機構は、これに限定されない。
筐体6の上面部には、モータMの駆動のオン・オフや、その他の所定の動作などを制御するための操作スイッチ60が設けられた操作パネル部61が設けられている。
筐体6の上面部には、モータMの駆動のオン・オフや、その他の所定の動作などを制御するための操作スイッチ60が設けられた操作パネル部61が設けられている。
回転羽根1は、たとえば樹脂成形品であり、2つの羽根部10(10a,10b)、これら羽根部10の基端部側が一体的に繋がった略円筒のボス状の中央本体部11、およびこの中央本体部11の下面部11aに形成された下向き開口状の複数の凹部12を備えている(図3および図4も参照)。
羽根部10aは、容器2内の最下部近傍において攪拌対象物質mを押圧し、攪拌対象物質mを持ち上げるように作用する羽根部である。この羽根部10aは、基本的には上下高さ方向に起立し、かつ下方に進むほど回転羽根1の進行方向前方に位置するように傾斜している。好ましくは、その傾斜角度は、羽根部10aの上部は小さく(鉛直に近く)、かつ羽根部10aの下部は大きくされている。このような構成によれば、羽根部10aが粘性の大きい攪拌対象物質mに対していわゆる潜り込みとなる現象を適切に抑制することが可能である。
羽根部10bは、羽根部10aよりも高い位置にあり、羽根部10aよりも水平に近い角度で傾斜した板状である。この羽根部10bは、攪拌対象物質mを剪断する役割を果たす。
ただし、本発明においては、羽根部10の具体的な形状や数は限定されない。
羽根部10bは、羽根部10aよりも高い位置にあり、羽根部10aよりも水平に近い角度で傾斜した板状である。この羽根部10bは、攪拌対象物質mを剪断する役割を果たす。
ただし、本発明においては、羽根部10の具体的な形状や数は限定されない。
回転羽根1の中央本体部11は、略円筒状であり、上下高さ方向に貫通した孔部13を有している。一方、回転軸4は、図2(b)に示すように、上端部付近に平面部40aが形成された非円形断面部40(断面D状部)、およびこの非円形断面部40とその下側の円形断面部41との間に形成された係合用段部42を備えている。回転羽根1の孔部13は、回転軸4の前記した非円形断面部40に対応した非円形状(D状)である。このため、回転軸4の非円形断面部40に対し、その上側から回転羽根1の孔部13を嵌合させることにより、回転羽根1を回転軸4に簡単に装着することが可能である(図2(a)参照)。この装着状態においては、回転羽根1の中央本体部11が、回転軸4の係合用段部42上に係合するため、回転羽根1を所定高さに維持させることが可能である。回転羽根1の装着状態において、この回転羽根1を上方に引き上げることにより、回転羽根1を回転軸4から簡単に取り外すことができる。
回転軸4は、容器2内の下部に位置するボス状の支持台座部7に支持されている。回転軸4に回転羽根1を装着した状態においては、回転羽根1の中央本体部11の下面部11aの下に、支持台座部7の上面部が位置し、これらの相互間に隙間Cが形成される。攪拌対象物質mを攪拌する際には、攪拌対象物質mの一部が隙間Cに進入する虞がある。
図4において、回転羽根1の複数の凹部12は、中央本体部11の下面部11aに等角度間隔で設けられている。各凹部12は、基本的には、下向き開口状の凹部であるが、中央本体部11の外方側にも開口している。この凹部12の内面部として、前壁面部12aと、傾斜状上面部12bとがある。図4(e)において、前壁面部12aは、クロスハッチング部分として示し、傾斜状上面部12bは、網点模様部分として示している(図3(b)も同様)。
前壁面部12aは、凹部12の内面部のうち、回転羽根1の回転方向Naの最も前方側に位置して起立状態にある壁部である。
前壁面部12aは、凹部12の内面部のうち、回転羽根1の回転方向Naの最も前方側に位置して起立状態にある壁部である。
これに対し、傾斜状上面部12bは、前壁面部12aの上端部から回転羽根1の回転方向Naの後方側に延びる部位であり、かつ回転羽根1の回転方向Naの前方側部分から後方側部分に進むほど高さHが低くなるように、中央本体部11の周方向において傾斜している(図3(a),図4(c)参照)。また、この傾斜状上面部12bは、中央本体部11の半径方向においても傾斜しており、中央本体部11の外周側部分から中心寄り部分に進むほど高さHが低くなるように傾斜している(図4(e)も参照)。
この傾斜状上面部12bは、本発明でいう「進入物質流出促進面部」の一例に相当し、後述するように、隙間Cに進入した攪拌対象物質mを隙間Cの外方に流出させる作用を発揮する。
この傾斜状上面部12bは、本発明でいう「進入物質流出促進面部」の一例に相当し、後述するように、隙間Cに進入した攪拌対象物質mを隙間Cの外方に流出させる作用を発揮する。
次に、前記した攪拌装置Aの作用について説明する。
まず、攪拌装置Aは、既述したように、パン生地や、和菓子用の餅生地などの食品の生地材料を攪拌(混練)するのに用いられ、そのためには、食品の生地材料を攪拌対象物質mとして容器2に収容させた状態で、回転羽根1を回転させる。このような混練時において、攪拌対象物質mの一部は、回転羽根1の中央本体部11と、回転軸4の支持台座部7との相互間の隙間C(各凹部12内も含む)に進入する。
これに対し、回転羽根1の各凹部12の傾斜状上面部12bは、図3に示すように、回転羽根1の回転時において、凹部12に進入している攪拌対象物質mを、矢印Nbで示すように押圧し、凹部12からその外方に流出させる。ここで、凹部12内は、隙間Cの一部であり、かつ攪拌対象物質mは、粘性をもつため、凹部12からその外方に攪拌対象物質mが流出すると、隙間C内のうち、凹部12の近傍に存在する他の攪拌対象物質mも、前記流出に引っ張られるようにして隙間Cの外方に流出する。このような作用により、攪拌対象物質mが隙間Cに次々と進入して累積していくことは解消される。
とくに、本実施形態においては、図4(e)に示したように、傾斜状上面部12bは、中央本体部11の周方向および半径方向の双方において傾斜しているため、凹部12内に進入した攪拌対象物質mを凹部12の外方に円滑に流出させる作用に優れ、隙間Cからの攪拌対象物質mの流出を効果的に行なわせることが可能である。
とくに、本実施形態においては、図4(e)に示したように、傾斜状上面部12bは、中央本体部11の周方向および半径方向の双方において傾斜しているため、凹部12内に進入した攪拌対象物質mを凹部12の外方に円滑に流出させる作用に優れ、隙間Cからの攪拌対象物質mの流出を効果的に行なわせることが可能である。
前記したように、本実施形態の攪拌装置Aにおいては、隙間Cに多くの攪拌対象物質mが次々と進入して滞留していくことはなく、隙間Cに進入した攪拌対象物質mによって回転羽根1が上方に持ち上げられて回転軸4から外れる現象を生じないようにすることができる。背景技術の欄で述べたように、容器2に収容される攪拌対象物質mが、比較的少量であって、回転羽根1が攪拌対象物質mによって下方に強く押さえられず、かつ粘性が強い場合には、回転羽根1が回転軸4から外れ易くなるが、本実施形態においては、そのようなことを適切に解消することが可能である。
回転軸4には、回転羽根1が上方に抜けることを防止するための手段を講じる必要はないため、構成を簡素とし、製造コストを廉価にすることができる。また、回転軸4の洗浄なども容易なものとすることができる。
一方、回転羽根1の複数の凹部12は、回転羽根1を樹脂成形する際に同時に形成することが可能であるため、製造コストが大幅に高くなるといった不利はない。
回転軸4には、回転羽根1が上方に抜けることを防止するための手段を講じる必要はないため、構成を簡素とし、製造コストを廉価にすることができる。また、回転軸4の洗浄なども容易なものとすることができる。
一方、回転羽根1の複数の凹部12は、回転羽根1を樹脂成形する際に同時に形成することが可能であるため、製造コストが大幅に高くなるといった不利はない。
図5および図6は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
図5に示す実施形態においては、回転羽根1に設けられた各凹部12の内面部として、回転羽根1の回転方向Naの最も後方側に位置して起立する後壁面部12cが設けられている。この後壁面部12cは、回転羽根1の回転方向Naを向いているが、好ましくは、中央本体部11の周方向に対して適当な角度だけ中央本体部11の外方側を向くように振れている。この後壁面部12cが、本発明でいう「進入物質流出促進面部」の具体例に相当している。各凹部12の上面部12dは、上述の実施形態の傾斜状上面部12bとは異なり、非傾斜状である(ただし、傾斜状上面部12bと同様に傾斜させてもよい)。
本実施形態によれば、回転羽根1が回転した際には、凹部12内に進入している攪拌対象物質mを矢印Ncで示すように、凹部12の外方に押し出すこととなり、隙間Cに進入している攪拌対象物質mが隙間Cからその外方に流出する作用が得られる。
図5に示した回転羽根1の凹部12の例から理解されるように、本発明における凹部12(の内面部)の具体的な形状は限定されない。要は、回転羽根の凹部の内面部として、回転羽根の回転時において、回転羽根の中央本体部の下面部の下に形成された隙間に進入した攪拌対象物質を、隙間の外部に流出させることが可能な内面部(進入物質流出促進面部)が設けられていればよい。
なお、図4に示した回転羽根1においては、傾斜状上面部12bが、周方向と半径方向との双方において傾斜しているが、いずれか一方向のみにおいて傾斜した構成とすることも可能である。凹部12の具体的なサイズや数も限定されない。
なお、図4に示した回転羽根1においては、傾斜状上面部12bが、周方向と半径方向との双方において傾斜しているが、いずれか一方向のみにおいて傾斜した構成とすることも可能である。凹部12の具体的なサイズや数も限定されない。
図6に示す実施形態においては、回転羽根1の中央本体部11の下面部11aに1または複数の下向き状の凸部15が設けられている。この凸部15の外面部として、回転羽根1の回転方向Na側を向く前面部15aがあり、この前面部15aが本発明でいう「進入物質流出促進面部」の具体例に相当している。
回転羽根1が回転する際には、凸部15の前面部15aは、隙間C内に進入した攪拌対象物質mの一部を押圧し、隙間Cの外方に流出させる。これに引っ張られたかたちで隙間C内の攪拌対象物質mの他の部分も、隙間Cの外方に流出することとなる。
本実施形態から理解されるように、本発明においては、進入物質流出促進面部を設けるための手段として、凹部に代えて、凸部を回転羽根の中央本体部の下面部に設けた構成とすることもできる。勿論、凹部と凸部との双方を設けた構成とすることもできる。凸部を設ける場合においては、凹部を設ける場合と同様に、その具体的な形状、サイズ、および数などは限定されない。
回転羽根1が回転する際には、凸部15の前面部15aは、隙間C内に進入した攪拌対象物質mの一部を押圧し、隙間Cの外方に流出させる。これに引っ張られたかたちで隙間C内の攪拌対象物質mの他の部分も、隙間Cの外方に流出することとなる。
本実施形態から理解されるように、本発明においては、進入物質流出促進面部を設けるための手段として、凹部に代えて、凸部を回転羽根の中央本体部の下面部に設けた構成とすることもできる。勿論、凹部と凸部との双方を設けた構成とすることもできる。凸部を設ける場合においては、凹部を設ける場合と同様に、その具体的な形状、サイズ、および数などは限定されない。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る攪拌装置、および攪拌用の回転羽根の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
冒頭で延べたとおり、本発明でいう攪拌は、食品の生地材料などの混練(捏和)の他、物質の混合、乳化、各種の反応促進などを目的とするものをも含む広い概念である。このため、攪拌対象物質の具体的な種類も限定されない。攪拌対象物質を攪拌するための回転羽根の具体的な形状は、攪拌の目的などに応じて適宜に変更すればよい。回転羽根、容器、回転軸などの材質やサイズなども限定されない。
A 攪拌装置
C 隙間
m 攪拌対象物質
1 回転羽根
2 容器
4 回転軸
10(10a,10b) 羽根部
11 中央本体部(回転羽根の)
11a 下面部(中央本体部の)
12 凹部
12b 傾斜状上面部(進入物質流出促進面部)
12c 後壁面部(進入物質流出促進面部)
15 凸部
15a 前面部(進入物質流出促進面部)
C 隙間
m 攪拌対象物質
1 回転羽根
2 容器
4 回転軸
10(10a,10b) 羽根部
11 中央本体部(回転羽根の)
11a 下面部(中央本体部の)
12 凹部
12b 傾斜状上面部(進入物質流出促進面部)
12c 後壁面部(進入物質流出促進面部)
15 凸部
15a 前面部(進入物質流出促進面部)
Claims (4)
- 攪拌対象物質を収容するための容器と、
この容器内の下部領域に位置し、かつ上下高さ方向に延びる軸心周りに回転可能な回転軸と、
この回転軸に対してその上方側からの着脱が可能とされ、かつ前記回転軸への装着状態において、前記回転軸に伴って回転可能な攪拌用の回転羽根と、
を備えており、
前記回転羽根は、羽根部と、この羽根部の基端部側が繋がった中央本体部と、を備えており、かつ前記回転軸への装着状態において、前記中央本体部の下面部の下に隙間が形成されている、攪拌装置であって、
前記回転羽根の前記中央本体部の下面部には、少なくとも1つの下向き開口状の凹部、または下向き突出状の凸部が設けられており、
前記凹部の内面部、または前記凸部の外面部の少なくとも一部は、前記回転羽根の回転時において、前記隙間に進入した攪拌対象物質を、前記隙間の外方に流出させることが可能な進入物質流出促進面部として形成されていることを特徴とする、攪拌装置。 - 請求項1に記載の攪拌装置であって、
前記凹部の内面部として、前記回転羽根の回転方向の前方側部分から後方側部分に進むほど高さが低くなるように傾斜し、および/または、前記中央本体部の外周側部分から中心寄り部分に進むほど高さが低くなるように傾斜した傾斜状上面部を有しており、
この傾斜状上面部が、前記進入物質流出促進面部である、攪拌装置。 - 請求項1または2に記載の攪拌装置であって、
前記攪拌対象物質として、食品の生地材料が前記容器内に収容された状態において、前記生地材料を前記回転羽根によって混練可能とされており、装置全体が食品生地製造装置として構成されている、攪拌装置。 - 羽根部と、この羽根部の基端部側が繋がった中央本体部と、を備えており、
攪拌装置に設けられている回転軸に着脱可能とされ、かつ前記回転軸に装着されることにより、攪拌対象物質を攪拌するのに用いられる、攪拌用の回転羽根であって、
前記中央本体部の下面部には、少なくとも1つの下向き開口状の凹部、または下向き突出状の凸部が設けられており、
前記凹部の内面部、または前記凸部の外面部の少なくとも一部は、前記回転羽根が回転するときに、前記下面部の下に形成された隙間に進入した攪拌対象物質を、前記隙間の外方に流出させることが可能な進入物質流出促進面部として形成されていることを特徴とする、攪拌用の回転羽根。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019234084A JP2021101641A (ja) | 2019-12-25 | 2019-12-25 | 攪拌装置および攪拌用の回転羽根 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021101641A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114081048A (zh) * | 2021-11-24 | 2022-02-25 | 江门市大晖科技有限公司 | 一种自动和面机及和面方法 |
KR20230001036U (ko) * | 2021-11-15 | 2023-05-23 | 주식회사 엔유씨전자 | 믹서기용 용기 |
-
2019
- 2019-12-25 JP JP2019234084A patent/JP2021101641A/ja active Pending
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KR200496956Y1 (ko) * | 2021-11-15 | 2023-06-20 | 주식회사 엔유씨전자 | 믹서기용 용기 |
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