JP2021100836A - 運行管理支援装置および運行管理支援方法 - Google Patents

運行管理支援装置および運行管理支援方法 Download PDF

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Abstract

【課題】列車運行を駅間よりも詳細な精度で把握可能とするための視覚化技術を提供すること。【解決手段】各軌道回路の列車の在線有無を示す軌道回路情報に基づいて、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を列車別に算出することで各軌道回路境界を観測位置とした各列車の移動実績を算出する。そして、縦軸および横軸の一方を時間軸とし、他方を線路に沿った位置として、時間軸に沿って各列車の移動を表した移動実績図を、移動実績に基づいて生成する。【選択図】図1

Description

本発明は、運行管理支援装置等に関する。
鉄道における列車の運行管理システムでは、列車運行に関する実績データを収集・蓄積し、この実績データを用いて列車運行を再現する機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。列車運行に遅延等の何らかの事象が発生した場合に、この再現機能によって事象発生時の列車運行を再現・把握して、その原因究明に役立てる、といった用途が特許文献1に記載されている。
特開2001−287649号公報
しかしながら、従来の列車運行の再現機能は、時刻を少しずつ進めながら各列車の走行を再現するシミュレーション処理として実現するものであり、大きな処理負荷や処理時間を要する。また、列車遅延を視覚的に把握し易く表示する機能として、各駅の各列車の遅延時分から列車運行を示す列車スジを生成し、計画ダイヤに対する遅延の程度(遅延時分)に応じて色分けして表示する手法が知られている。しかし、列車スジは駅間を単位とした表示形態であるから、駅間のどの箇所で徐行運転となったのかといった、より詳細な区間の運行状況を把握することは難しかった。
従来から、列車の進行制御等は軌道回路単位で実施されている。その列車制御においては、軌道回路への進入や進出が重要な制御タイミングである。しかし、列車スジを表示するだけの従来の表示形態では、各軌道回路への進入や進出を把握することはできなかった。
本発明が解決しようとする課題は、列車運行を駅間よりも詳細な精度で把握可能とするための視覚化技術を提供すること、である。
上記課題を解決するための第1の発明は、
各軌道回路の列車の在線有無を示す軌道回路情報に基づいて、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を列車別に算出することで各軌道回路境界を観測位置とした各列車の移動実績を算出する移動実績解析手段(例えば、図11の移動実績算出部204)と、
縦軸および横軸の一方を時間軸とし、他方を線路に沿った位置として、時間軸に沿って各列車の移動を表した移動実績図を、前記移動実績に基づいて生成する移動実績図生成手段(例えば、図11の移動実績図生成部206)と、
を備えた運行管理支援装置である。
他の発明として、
各軌道回路の列車の在線有無を示す軌道回路情報に基づいて、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を列車別に算出することで各軌道回路境界を観測位置とした各列車の移動実績を算出する移動実績解析ステップと、
縦軸および横軸の一方を時間軸とし、他方を線路に沿った位置として、時間軸に沿って各列車の移動を表した移動実績図を、前記移動実績に基づいて生成する移動実績図生成ステップと、
を含む運行管理支援方法を構成しても良い。
第1の発明等によれば、各軌道回路の列車の在線有無を示す軌道回路情報に基づいて、駅間よりも詳細な区間単位である各軌道回路境界を観測位置とした各列車の移動実績を算出することができる。移動実績の算出は、列車別に各軌道回路への進入時刻および進出時刻の算出である。この移動実績に基づき、時間軸に沿って各列車の移動を表すことができるため、列車の移動を把握し易い形式とした移動実績図を生成することができる。これにより、列車運行を駅間よりも詳細な精度で把握可能とする視覚化技術を実現できる。
第2の発明は、第1の発明において、
前記移動実績図生成手段は、当該軌道回路への進入および/又は進出をプロットした前記移動実績図(例えば、図1の移動実績図)を生成する、
運行管理支援装置である。
第2の発明によれば、移動実績図は、軌道回路への進入および/又は進出をプロットして生成される。所定位置ごとのプロットのため、列車の移動を視覚的に把握し易く表現することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記移動実績図生成手段は、列車毎に、各軌道回路への進入時刻と進出時刻とをつないだ線分を表示した前記移動実績図(例えば、図4の移動実績図)を生成する、
運行管理支援装置である。
第3の発明によれば、移動実績図は、各軌道回路への進入時刻と進出時刻とをつないだ線分を表示して生成される。ある軌道回路の進入時刻と進出時刻とをつないだ線分の長さは当該軌道回路の通過に要した時間に相当し、線分の傾きは当該軌道回路を走行する際の列車速度に相当する。このため、各線分の分布によって、列車速度の変化を、軌道回路単位で詳細に且つ把握し易いように表現することができる。
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明において、
前記移動実績解析手段は、当該列車の先頭の各軌道回路への進入時刻および同時刻における当該列車の最後尾の位置と、当該列車の最後尾の各軌道回路からの進出時刻および同時刻における当該列車の先頭の位置とを算出する(例えば、図5,図6の移動実績図)、
運行管理支援装置である。
第4の発明によれば、各列車の移動実績として、先頭から最後尾までの列車全体が占める範囲、より具体的には先頭の位置から最後尾の位置までの列車在線と判定される範囲を算出することができる。そして、この移動実績に基づく移動実績図として、各列車の移動を、先頭から最後尾までの当該列車が占める範囲の移動として把握可能に表すことができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明において、
複数運行日分の前記移動実績に基づいて、同一列車毎に、各軌道回路への進入時刻の平均および進出時刻の平均を算出することで平均移動実績を算出する平均移動実績算出手段(例えば、図11の平均移動実績算出部208)と、
前記平均移動実績に基づく前記移動実績図である平均移動実績図を生成する平均移動実績図生成手段(例えば、図11の平均移動実績図生成部210)と、
を更に備えた運行管理支援装置である。
第5の発明によれば、複数運行日分の移動実績から、同一列車毎に平均移動実績を算出し、平均移動実績に基づく移動実績図である平均移動実績図を生成することができる。同一ダイヤの同一列車であっても、運行日毎に移動実績は異なり得るから、複数運行日分の平均移動実績を算出して平均移動実績図を生成することで、例えば、駅間のどの箇所で遅延が生じ易いか、といったことを把握することが可能となる。
第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明において、
前記移動実績に基づいて、所定の踏切の警報制御の開始時刻および終了時刻を列車別に判定し、当該列車のみが走行したときの個別警報期間を列車別に算出する個別警報期間算出手段(例えば、図11の警報実績算出部212)と、
前記移動実績図に、前記踏切の位置に関連付けた前記個別警報期間を重畳表示させる警報期間重畳表示制御手段(例えば、図11の警報実績重畳表示制御部214)と、
を更に備えた運行管理支援装置である。
第6の発明によれば、所定の踏切を当該列車のみが走行したときの個別警報期間を列車別に算出し、踏切の位置に関連付けた列車別の個別警報期間を移動実績図に重畳表示させることができる。これにより、踏切の警報期間を容易に把握することが可能となる。
第7の発明は、第6の発明において、
前記警報期間重畳表示制御手段は、異なる列車の前記個別警報期間が連続する場合に、連続する前記個別警報期間を含む連続警報期間を重畳表示させる、
運行管理支援装置である。
第7の発明によれば、移動実績図に、異なる列車の連続する個別警報期間を含む連続警報期間を重畳表示させることができる。これにより、例えば、踏切の警報期間が長い場合に、何れの列車が関係しているかを容易に把握することが可能となる。
第8の発明は、第6又は第7の発明において、
前記踏切を通過予定の予定列車について、前記踏切の警報制御の開始時刻および終了時刻を過去の前記移動実績に基づいて予測し、当該予定列車のみが走行したときの個別警報予測期間を予測する個別警報予測期間算出手段(例えば、図19の警報予測期間算出部220)と、
異なる予定列車の前記個別警報予測期間が連続する場合に、連続する前記個別警報予測期間を含む連続警報予測期間を算出する連続警報予測期間算出手段(例えば、図19の警報予測期間算出部220)と、
前記連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たす場合に、当該連続警報予測期間に係る予定列車のうち、所与の特定予定列車の運行を遅延させることで前記長期間条件を満たさなくなる前記特定予定列車を判定する特定予定列車判定手段(例えば、図19の運行計画案生成部222)と、
前記特定予定列車の運行を遅延させる運行計画案を報知する運行計画案報知手段(例えば、図19の運行計画案生成部222)と、
を更に備えた運行管理支援装置である。
第8の発明によれば、各列車の過去の移動実績に基づいて踏切の連続警報期間を予測して、連続警報期間を短縮するような運行計画案を提示することが可能となる。つまり、踏切を通過予定の予定列車について、過去の移動実績から当該踏切の個別警報予測期間を算出し、異なる予定列車の個別警報期間を含む連続警報予測期間を算出する。そして、連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たす踏切について、予定列車のうちから、遅延させることで長期間条件を満たさなくなるような特定予定列車を判定し、この特定予定列車を遅延させる、運行計画案を生成・報知する。
移動実績図の一例。 移動実績図における進入および進出のプロットの説明図。 移動実績図における進入および進出のプロットの説明図。 各軌道回路の進入および進出をつなぐ線分を表示させた移動実績図の一例。 移動実績図における列車の先頭および最後尾をプロットの説明図。 列車の先頭および最後尾をプロットした移動実績図の一例。 複数列車についての移動実績図の一例。 個別警報期間の算出の説明図。 連続警報期間の算出の説明図。 踏切の警報期間を重畳表示させた移動実績図の一例。 第1実施形態における運行管理支援装置の機能構成図。 移動実績データの一例。 平均移動実績データの一例。 踏切設置情報の一例。 踏切警報実績データの一例。 第1実施形態における運行管理支援処理のフローチャート。 警報期間を短縮させる運行計画案の説明図。 移動実績に基づく運行予測の説明図。 第2実施形態における運行支援管理装置の機能構成図。 第2実施形態における運行管理支援処理のフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態を説明する。
<概要>
第1実施形態における運行管理支援装置は、運行管理装置から取得した運行管理情報に基づき、軌道回路単位での列車の移動の解析や、移動解析結果を用いた踏切の警報の解析を行い、これらの解析結果を提示することで、列車運行管理を支援する装置である。
<原理>
(A)移動解析
列車の移動解析では、運行管理装置から取得した軌道回路情報及び在線情報に基づき、列車別に、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を算出して軌道回路単位での移動実績を算出する。軌道回路情報は、軌道回路によって検知された列車の在線有無の情報であり、軌道リレーの動作(落下/扛上)の変化時刻を示す。在線情報は、運行表示盤の表示窓に表示される列車番号の情報であり、駅や駅間の在線列車の列車番号を示す。軌道回路情報が示す各軌道回路の在線有無と、在線情報が示す列車番号とを比較することで、各列車が各軌道回路へ進入した時刻および進出した時刻を算出することができる。
運行管理支援装置は、この移動実績を表す移動実績図を生成する。図1は、移動実績図の一例である。図1に示すように、移動実績図は、横軸を時刻(時間軸)、縦軸を線路に沿った位置として、時間軸に沿って列車の移動を軌道回路単位で表した図である。図1では、1本の列車について、E駅からD駅、C駅、B駅を経由してA駅に到着するまでの移動実績図の概要を示している。線路には複数の軌道回路が連続して設置されているから、縦軸の位置は線路に沿った配置順の軌道回路に相当する。移動実績図は、各軌道回路の境界位置(軌道回路境界)を観測位置として、各軌道回路への進入および進出をプロットした図として生成される。なお、縦軸と横軸の関係は逆でもよい。
図2は、移動実績図における軌道回路への列車の進入および進出のプロットを説明する図である。図2の左側に、上方向を列車10の進行方向として軌道回路と列車10との位置関係を示し、右側に、移動実績図におけるプロットを示している。1つの軌道回路に着目すると、列車10の先頭が、観測位置である軌道回路の進入側の境界に到達した時刻tが軌道回路への進入時刻tとなり、列車10の最後尾が、観測位置である軌道回路の進出側の境界を越えた時刻tが軌道回路からの進出時刻tとなる。そして、軌道回路の進入側の境界位置Pおよび進入時刻tに対応する点20aによって進入をプロットし、軌道回路の進出側の境界位置Pおよび進出時刻tに対応する点20bによって進出をプロットすることで、移動実績図が生成される。
線路には複数の軌道回路が連続して設置されているから、列車は、これらの軌道回路に対して順次進入および進出を繰り返しながら走行する。複数の軌道回路それぞれの進入および進出をプロットすると、図3に示すようになる。軌道回路の進入側の境界位置に列車の先頭が進入したことを示す進入のプロットがあり、進出側の境界位置に列車の最後尾が進出したことを示す進出のプロットがある。したがって、各軌道回路の境界位置において、当該境界位置で隣接する一方の軌道回路からの進入を表すプロットと、他方の軌道回路への進出を表すプロットとが時間をおいて並んで表示される移動実績図が生成される。
図1〜図3の移動実績図に示されるように、軌道回路単位のプロットのため、列車の軌道回路単位での移動が視覚的に把握し易い。
更に、移動実績図において、軌道回路毎に、同一列車の同じ軌道回路への進入および進出を表すプロットを繋いだ線分を表示するようにしても良い。図4に、軌道回路単位の移動を表す線分を表示した移動実績図の一例を示す。軌道回路への列車の進入は、軌道回路の進入側の境界位置に列車の先頭が到達した時点であり、軌道回路からの列車の進出は、軌道回路の進出側の境界位置を列車の最後尾が通過した時点である。このため、同一列車でありながら、ある軌道回路からの進出時刻は、次の軌道回路への進入時刻ではない。ある軌道回路と次の軌道回路との境界を最後尾が通過する(=進出)よりも前に、先頭が通過(=進入)しているからである。従って、軌道回路毎の移動を表す線分は、軌道回路の境界位置で繋がらない。
図4によれば、ある軌道回路の進入時刻と進出時刻とをつないだ線分の長さは当該軌道回路の通過に要した時間に相当し、線分の傾きは当該軌道回路を走行する際の列車速度に相当する。このため、各線分の分布によって、列車速度の変化を、軌道回路単位で詳細に且つ把握し易いように表現することができる。
また、移動実績図における軌道回路への進入および進出のプロットとして、進入時の列車の最後尾および進出時の列車の先頭の位置をプロットしても良い。具体的には、図5に示すように、軌道回路への進入のプロットとして、列車10の先頭に相当する軌道回路の進入側の境界位置Pおよび進入時刻tに対応する点20aに加えて、列車10の最後尾に相当する境界位置Pから列車長だけ後方の位置および進入時刻tに対応する点20cをプロットする。また、軌道回路からの進出のプロットとして、列車10の最後尾に相当する軌道回路の進出側の境界位置Pおよび進出時刻tに対応する点20bに加えて、列車10の先頭に相当する境界位置Pから列車長だけ前方の位置および進出時刻tに対応する点20dをプロットする。
各軌道回路への進入および進出のプロットとして、列車の先頭および最後尾の位置をプロットした移動実績図の一例を、図6に示す。図6は、図1に示した移動実績図に相当する図である。図6の移動実績図によれば、列車の移動実績として、先頭から最後尾までの列車全体が占める範囲、より具体的には先頭が在線している位置から最後尾が在線している位置までの列車在線と判定される範囲を把握することができる。列車の移動を、先頭から最後尾までの当該列車が占める範囲の移動として把握することもできる。
上述の図1は、1本の列車についての移動実績図である。複数の列車についても、同様に移動実績図を生成することができる。図7は、複数の列車別の移動実績を表した移動実績図の一例である。図7では、A駅〜E駅の区間における、上り方向の4本の列車(列車番号10M,12M,14M,16M)と、下り方向の2本の列車(列車番号21M,23M)との合計6本の列車の移動実績を表している。
ここまで説明した移動実績は、列車の1日分の運行に関する移動実績である。列車番号が同じである同一列車毎に、複数運行日分の移動実績に基づいて平均移動実績を生成することもできる。具体的には、各軌道回路について、各運行日の進入時刻および進出時刻それぞれの平均を算出することで、平均移動実績を生成する。そして、同様に、平均移動実績を表す平均移動実績図を生成する。
同一ダイヤの同一列車であっても、運行日毎に移動実績は異なり得るから、複数運行日分の平均移動実績を算出して平均移動実績図を生成することで、例えば、駅間のどの箇所で遅延が生じ易いか、といったことを把握することが可能となる。
(B)踏切警報解析
上述のように算出した列車別の軌道回路単位の移動実績から踏切の警報実績を生成し、生成した警報実績を移動実績図に重畳表示させる。図8は、踏切の警報実績の生成および表示を説明する図である。図8の左側に、上方向を列車10の進行方向として踏切と列車10との位置関係を示し、右側に、移動実績図における警報実績の表示を示している。
踏切の進入側には警報開始点が定められ、進出側には警報終止点が定められている。踏切では、警報開始点への列車の到達によって警報制御(しゃ断機の降下や警報機の鳴動など)か開始され、警報終止点の列車の通過によって警報制御が終了される。本実施形態では、警報開始点および警報終止点を、踏切警報制御用としても使用する軌道回路として定められた所定の軌道回路の進入側境界又は進出側境界として説明する。なお、警報開始点を所定の軌道回路の進入から所定時間経過した時点としても良い。
列車別の移動実績に基づいて、踏切の警報開始条件と警報終止条件とに係る軌道回路の在線状態の変化時刻を列車別に判定し、当該列車のみが走行したときの個別警報期間を算出する。警報開始条件は、列車が踏切の警報開始点に到達したとみなす条件であり、警報終止条件は、列車が踏切の警報終止点を通過したとみなす条件である。移動実績は列車別に各軌道回路の在線有無の変化、つまり、当該軌道回路への進入時刻および進出時刻を示すから、移動実績から、列車10の、警報開始点に相当する軌道回路への進入時刻tを警報制御の開始時刻tとし、警報終止点に相当する軌道回路からの進出時刻tを警報制御の終了時刻tとして、開始時刻tから終了時刻tまでの期間を、当該列車10のみが走行した場合の踏切の警報制御がなされた期間である個別警報期間として算出する。なお、警報開始点を、上述した踏切警報制御用としても使用する所定の軌道回路の進入から所定時間経過した時点とするならば、進入時刻t1から所定時間経過後の時刻を、警報制御の開始時刻とする。そして、移動実績図において、踏切の位置に沿って、時間軸方向の幅を警報制御の開始時刻tから終了時刻tまでとした細長い帯形状の表示体30を表示することで、警報実績として個別警報期間を踏切の位置に関連付けて重畳表示させる。
1つの踏切に対して複数列車が連続して通過することで、列車別の踏切警報が連続する場合がある。このため、列車別の個別警報期間から踏切警報が連続する列車を判定して、これらの複数列車による連続警報期間を算出する。そして、各列車の個別警報期間とともに連続警報期間を移動実績図に重畳表示する。
図9は、連続警報期間の算出および表示を説明する図である。図9の左側に、踏切と列車10との位置関係を示し、右側に、移動実績図における警報実績の表示を示している。図9に示す例では、踏切を、上り方向(図中の上方向)に進行する列車10aおよび列車10bが順に通過した後、下り方向(図中の下方向)に進行する列車10cが通過しており、列車10a,10b,10cそれぞれの踏切警報が連続している。
つまり、列車10aが、上り方向の警報開始点に到達した警報開始時刻ta1から、上り方向の警報終止点を通過した終了時刻ta2までの個別警報期間30aと、列車10bが、上り方向の警報開始点に到達した警報開始時刻tb1から、上り方向の警報終止点を通過した警報終了時刻tb2までの個別警報期間30bとが一部重複している。また、列車10bの個別警報期間30bと、列車10cが、下り方向の警報開始点に到達した警報開始時刻tc1から、下り方向の警報終止点を通過した警報終了時刻tc2までの個別警報期間30cとが一部重複している。
従って、最初の列車10aの踏切警報の開始時刻ta1を連続警報の開始時刻Tとし、最後の列車10cの踏切警報の終了時刻tc2を連続警報の終了時刻Tとして、開始時刻Tから終了時刻Tまでの期間を、列車10a〜10cによる連続警報期間として算出する。そして、移動実績図において、踏切の位置に沿って、時間軸方向の幅を連続警報の開始時刻Tから終了時刻Tまでとした、各列車の個別警報期間を包括するような帯形状の表示体40を表示することで、警報実績として連続警報期間を踏切の位置に関連付けて重畳表示させる。
図10は、移動実績図に踏切の警報実績を重畳表示させた一例である。図10では、上り方向の4本の列車(列車番号10M,12M,14M,16M)と、下り方向の2本の列車(列車番号21M,23M)との合計6本の列車別の移動実績を示した移動実績図において、A駅とB駅との間の踏切についての警報実績を重畳表示している。つまり、6本の列車(列車番号10M,21M,12M,14M,23M,16M)それぞれについての個別警報期間30a〜30fを重畳表示している。そして、踏切警報が連続する前半の3本の列車(列車番号10M,21M,12M)それぞれによる個別警報期間30a〜30cを含む連続警報期間40aを重畳表示し、踏切警報が連続する後半の3本の列車(列車番号14M,23M,16M)それぞれによる個別警報期間30d〜30fを含む連続警報期間40bを重畳表示している。これにより、連続警報期間に関係している列車が何れであるかを容易に把握することが可能となる。
<機能構成>
図11は、第1実施形態における運行管理支援装置1Aの機能構成図である。図11によれば、運行管理支援装置1Aは、操作部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備え、一種のコンピュータシステムとして構成することができる。
操作部102は、例えばボタンスイッチやタッチパネル、キーボード等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えばLCDやタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に応じた各種表示を行う。音出力部106は、例えばスピーカ等の音声出力装置で実現され、処理部200からの音声信号に応じた各種音出力を行う。通信部108は、例えば有線或いは無線による通信装置で実現され、所与の通信ネットワークに接続して、運行管理装置3といった各種外部装置との通信を行う。
処理部200は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、運行管理支援装置1Aを構成する各部への指示やデータ転送を行い、運行管理支援装置1Aの全体制御を行う。また、処理部200は、記憶部300に記憶された第1運行管理支援プログラム302を実行することで、運行管理情報取得部202と、移動実績算出部204と、移動実績図生成部206と、平均移動実績算出部208と、平均移動実績図生成部210と、警報実績算出部212と、警報実績重畳表示制御部214との各機能ブロックとして機能する。但し、これらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってそれぞれ独立した演算回路として構成することも可能である。
運行管理情報取得部202は、運行管理装置3から、軌道回路情報や在線情報、遅延情報を含む運行管理情報を取得する。取得した運行管理情報は、取得運行管理情報320として蓄積記憶される。
移動実績算出部204は、取得された運行管理情報に基づいて、列車別に、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を算出することで軌道回路単位での移動実績を算出する。運行管理情報に含まれる軌道回路情報が示す各軌道回路の列車の在線有無と、在線情報が示す駅や駅間の在線列車の列車番号とを比較することで、各列車の各軌道回路への進入時刻および進出時刻を算出することができる。ここで、軌道回路の設置位置は、軌道回路設置情報314を参照して判断することができる。軌道回路設置情報314は、対象路線に設置されている各軌道回路について、軌道回路IDに対応付けて、キロ程で表現された設置位置(区間両端の境界位置)等のデータを格納している。
移動実績算出部204が算出した移動実績は、移動実績データ322として記憶される。図12は、移動実績データ322の一例である。図12によれば、移動実績データ322は、列車番号が同一である列車別に生成され、当該列車の列車番号に対応付けて、運行日別の移動実績を格納している。移動実績は、走行区間の線路に配置された各軌道回路を識別する軌道回路IDに、進入時刻と、進出時刻とを対応付けている。進入時刻は、当該軌道回路の進入側の境界に当該列車の先頭が到達した時刻であり、進出時刻は、当該軌道回路の進出側の境界位置を当該列車の最後尾が通過した時刻である。
移動実績図生成部206は、生成された列車別の移動実績に基づいて、時間軸に沿って各列車の移動を軌道回路単位で表した移動実績図を生成する。具体的には、縦軸および横軸の一方の時間軸とし、他方の軸を線路に沿った軌道回路の配置順を示す位置として、各軌道回路について、進入側の境界位置および進入時刻に対応する点によって進入をプロットし、進出側の境界位置および進出時刻に対応する点によって進出をプロットすることで、移動実績図を生成する(図1〜図7参照)。移動実績図の生成に際して、路線情報312や軌道回路設置情報314を参照して、対象路線における駅や踏切、軌道回路等の位置を判断することができる。路線情報312は、対象路線に設けられている各駅や各踏切等について、IDに対応付けて、名称やキロ程で表現された設置位置等のデータを格納している。
移動実績図において、軌道回路毎に、進入および進出を表すプロットを繋いだ線分を表示するようにしてもよい(図4参照)。また、各軌道回路の進入および進出を表すプロットとして、列車長から求められる列車の最後尾および先頭の位置をプロットしても良い(図5,図6参照)。その場合、各列車の列車長の情報を記憶部300に記憶させることとする。処理部200は、移動実績図生成部206が生成した移動実績図を、表示部104に表示し、また通信部108を介して外部装置に出力する。
平均移動実績算出部208は、複数運行日分の移動実績に基づいて、列車番号が同じである同一列車毎に、各軌道回路への進入時刻の平均および進出時刻の平均を算出することで平均移動実績を算出する。平均の算出対象とする運行日は、例えば、何月何日から何月何日までといった期間や、1月といった月単位の期間、或いは、平日や休日等の特定日、といったように任意に定めることができる。
算出した平均移動実績は、平均移動実績データ324として記憶される。図13は、平均移動実績データ324の一例である。図13によれば、平均移動実績データ324は、列車番号が同一である列車毎に生成され、当該列車の列車番号に対応付けて、平均の算出対象とした運行日である平均対象運行日別の平均移動実績を格納している。平均移動実績は、走行区間の線路に配置された各軌道回路を識別する軌道回路IDに、進入平均時刻と、進出平均時刻とを対応付けている。
平均移動実績図生成部210は、生成された平均移動実績に基づいて、時間軸に沿って各列車の移動の平均を軌道回路単位で表した、平均移動実績図を生成する。平均移動実績図においても、移動実績図と同様に、軌道回路毎に進入および進出を表すプロットを繋いだ線分を表示するようにしても良いし、進入および進出を表すプロットとして、列車の先頭および最後尾の位置を表示するようにしても良い。
警報実績算出部212は、算出された列車別の移動実績に基づいて、踏切の警報実績を算出する。すなわち、列車別に、当該列車についての移動実績から、踏切の警報開始点に相当する所定の軌道回路への進入時刻である警報制御の開始時刻、および、警報終止点に相当する所定の軌道回路からの進出時刻である警報制御の終了時刻を算出して、当該列車のみが走行したときの個別警報期間を算出する。そして、列車別の個別警報期間から、複数の異なる列車の踏切警報が連続する連続警報期間を算出する。踏切警報が連続するかは、列車別の個別警報期間の時刻の前後関係から判断することができる。
また、各踏切の警報開始点や警報終止点は、踏切設置情報316を参照して判断することができる。図14は、踏切設置情報316の一例である。図14によれば、踏切設置情報316は、踏切別に生成され、当該踏切を識別する踏切IDに対応付けて、上り方向の警報開始点と、上り方向の警報終止点と、下り方向の警報開始点と、下り方向の警報終止点とのそれぞれについて、キロ程で表現された設定位置と、当該設定位置を含む軌道回路の軌道回路IDとを対応付けて格納している。図14では、警報開始点および警報終止点それぞれに対応する軌道回路が定められている。警報開始点の通過については、当該警報開始点に対応する軌道回路への進入をもって検知することとする。警報終止点の通過については、当該警報終止点に対応する軌道回路への進入又は進出のどちらかを定めておくことができる。警報開始点および警報終止点それぞれに対応する軌道回路を同じ軌道回路とする場合には、当該軌道回路への進入をもって警報開始点の通過と判定し、当該軌道回路からの進出をもって警報終止点の通過と判定することができる。
警報実績算出部212が算出した警報実績は、踏切警報実績データ326として記憶される。図15は、踏切警報実績データ326の一例である。図15によれば、踏切警報実績データ326は、踏切別に生成され、当該踏切を識別する踏切IDに対応付けて、運行日別の警報実績を格納している。警報実績は、個別警報データと、連続警報データとを含む。個別警報データは、当該踏切を通過した列車それぞれについて、列車番号と、進行方向と、警報開始時刻、警報終了時刻と、個別警報時分とを対応付けて格納している。連続警報データは、連続警報それぞれについて、通過した各列車の列車番号と、警報開始時刻と、警報終了時刻と、連続警報時分とを対応付けて格納している。踏切警報実績データ326においては、1本の列車による警報も連続警報としている。
警報実績重畳表示制御部214は、生成された移動実績図に、生成された列車別の個別警報期間および連続警報期間を、踏切の位置に関連付けて重畳表示させる。具体的には、線路それぞれについて、当該踏切についての踏切警報実績データ326を参照して、通過した各列車の個別警報期間および連続警報期間を、当該踏切の位置に重畳表示する。表示形態としては、例えば、時間軸方向の幅を警報期間の警報開始時刻から警報終了時刻までとした帯形状の表示体を、踏切の位置に表示する(図8〜図10参照)。このとき、列車別個別警報期間を表す表示体同士が重ならないようにするとともに、連続警報期間を表す表示体は、列車別の個別警報期間を包括するように表示する。
記憶部300は、ハードディスクやROM、RAM等の記憶装置で実現され、処理部200が運行管理支援装置1Aを統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作部102や通信部108を介した入力データ等が一時的に格納される。第1実施形態では、記憶部300には、第1運行管理支援プログラム302と、列車ダイヤ情報310と、路線情報312と、軌道回路設置情報314と、踏切設置情報316と、取得運行管理情報320と、移動実績データ322と、平均移動実績データ324と、踏切警報実績データ326とが記憶される。列車ダイヤ情報310は、対象路線の基本ダイヤの情報である。
<処理の流れ>
図16は、第1実施形態における第1運行管理支援処理のフローチャートである。この処理は、運行管理支援装置1Aにおいて、第1運行管理支援プログラム302に従って処理部200が実行する処理であり、任意のタイミングで実行される。
先ず、運行管理情報取得部202が、運行管理装置3から運行管理情報を取得して、取得運行管理情報320を更新する(ステップA1)。次いで、移動実績算出部204が、取得された運行管理情報に含まれる軌道回路情報および在線情報に基づいて、列車別の移動実績を算出して、移動実績データ322を更新する(ステップA3)。続いて、警報実績算出部212が、算出された列車別の移動実績に基づいて、踏切毎に、列車別の個別警報期間を算出し、これらの個別警報期間の時間的な前後関係から複数の列車の警報が連続するかを判断して連続警報期間を算出することで、踏切別の警報実績を算出して、踏切警報実績データ326を更新する(ステップA5)。
その後、例えば操作部102を介して運行日の指定入力がなされたならば(ステップA7:YES)、移動実績図生成部206が、指定された運行日の移動実績データ322に基づいて、指定された運行日における各列車の移動を軌道回路単位で表した移動実績図を生成し、生成した移動実績図を、例えば表示部104に表示させる(ステップA9)。次いで、警報実績重畳表示制御部214が、指定された運行日の踏切警報実績データ326に基づいて、指定された運行日における各踏切の警報期間として、各列車についての個別警報期間および連続警報期間を、当該踏切の位置に関連付けて、生成した移動実績図に重畳表示させる(ステップA11)。
なお、ステップA7の運行日の指定の際に、時間帯(全日、何時から何時まで、等)や区間(全区間、何駅から何駅まで、等)を更に指定し、指定された時間帯や区間の移動実績図を生成するようにしてもよい。
また、例えば操作部102を介して、列車番号および平均対象運行日の指定入力がなされたならば(ステップA13:YES)、平均移動実績算出部208が、指定された列車番号の列車毎に、当該列車の平均対象運行日として指定された各運行日の移動実績データ322に基づいて、平均対象運行日の各運行日の移動実績を平均した平均移動実績を生成して、平均移動実績データ324を更新する(ステップA15)。次いで、平均移動実績図生成部210が、生成された各列車の平均移動実績を表す平均移動実績図を生成し、生成した平均移動実績図を、例えば表示部104に表示させる(ステップA17)。以上の処理を行うと、第1運行管理支援処理は終了となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明において、上述の第1実施形態と同一要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
<概要>
第2実施形態における運行管理支援装置は、踏切の警報実績に基づき、踏切の警報期間を短縮できるような運行計画案を提示することで、列車運行管理を支援する装置である。
<原理>
(A)運行計画案
図17は、第2実施形態における運行計画案の一例を示す図である。図17では、左側に、踏切の警報実績である警報期間を重畳表示させた移動実績図の一例を示し、右側に、運行計画案を示している。図17の左側に示す移動実績図は、A駅〜B駅の区間について、上り方向の2本の列車(列車番号10M,12M)と、下り方向の1本の列車(列車番号21M)との合計3本の列車別の移動実績を示しており、A駅とB駅との間の踏切に関する警報実績として、これらの3本の列車(列車番号10M,21M,12M)それぞれの個別警報期間30a〜30cと、連続警報期間40aとを重畳表示している。
図17の左側の移動実績図に示すような列車運行に対して、図17の右側に示すように、警報が連続する複数列車のうちの最後の列車(列車番号12M)について、踏切の直前駅であるB駅の発時刻を遅らせる出発抑止の運行計画案を生成する。列車(列車番号12M)のB駅の出発を遅らせることで、当該列車による踏切の個別警報期間30cが遅れることになり、先行する列車(列車番号10M,21M)の踏切警報とは連続しなくなる。つまり、先行する列車(列車番号10M,21M)による連続警報期間40bと、最後の列車(列車番号12M)による個別警報期間30cとの間に、踏切警報がなされない期間(踏切開扉期間)が生じる。また、先行する列車(列車番号10M,21M)による連続警報期間40bは、出発抑止を行わない場合の列車(列車番号10M,12M,21M)による連続警報期間40aに比較して短くなる。
運行計画案の生成は、運用予定のダイヤから列車運行に遅延が生じており、且つ、踏切の連続警報期間が所定の長期間条件を満たす場合に行う。遅延が生じているかは、運行管理装置から取得した遅延情報によって判断する。遅延情報は、各駅における各列車の遅延時分を含む情報である。長期間条件は、例えば基本ダイヤに従って走行した場合の連続警報時分を標準とし、これより所定時分以上長いこと、とすることができる。
運行計画案の生成は、列車別に、過去の移動実績に基づいて、通過予定の各踏切の個別警報予測期間を算出し、列車別の個別警報予測期間から、各踏切の連続警報予測期間を算出する。列車の個別警報予測期間は、例えば、遅延無しの列車については、平均移動実績に従って走行した場合の個別警報期間とする。遅延有りの列車(遅延列車)については、図18に示すように、平均移動実績に従って走行した場合の個別警報期間を、遅延時分だけ遅らせた期間とする。
そして、ある踏切の連続警報予測期間が長期間条件を満たす場合、当該踏切の警報が連続すると予測される複数の予定列車のうち、何れかの予定列車を特定予定列車として、この特定予定列車を遅延させることで警報短縮条件を満たすような特定予定列車を判定する。具体的には、特定予定列車を、遅延予定時分だけ遅延させた場合の個別警報予測期間を算出し、この個別警報予測期間に基づいて当該踏切の連続警報予測期間を算出して、警報短縮条件を満たすかを判定する。遅延予定時分を、例えば分単位で徐々に増加させながら警報短縮条件を満たすかの判定を繰り返し、警報短縮条件を満たすようになった場合の遅延予定時分を、特定予定列車に対して駅の発車を遅らせる抑止時分として運行計画案を生成する。特定予定列車を遅延予定時分だけ遅延させた場合の個別警報予測期間は、図18に示したように、特定予定列車が遅延無しの列車の場合には、平均移動実績に従って走行した場合の個別警報期間を、遅延予定時分だけ遅らせた期間とし、遅延列車については、平均移動実績に従って走行した場合の個別警報期間を、当該列車に生じている遅延時分に遅延予定時分を加算した時分だけ遅らせた期間とする。
警報短縮条件は、特定予定列車による踏切警報が、他の予定列車による踏切警報と連続しなくなることで、連続警報期間が短縮されたとみなす条件である。具体的には、元の連続警報予測期間が複数に分かれることとなるため、それぞれの連続警報予測期間が長期間条件を満たさず、且つ、分かれた連続警報予測期間の間の踏切開扉期間の長さが所定時分以上となる、ことである。
特定予定列車は、踏切を通過予定の予定列車の何れでもよい。図17に示した例では、踏切警報が連続する3本の列車(列車番号10M,12M,21M)のうち、踏切を最後に通過する列車(列車番号12M)を特定予定列車としている。通常、列車の遅延によって踏切の連続警報期間が延びることが多いため、本実施形態では、連続警報期間に係る最後の予定列車を特定予定列車とし、特定予定列車を遅延させるような運行計画案を生成することにする。
<機能構成>
図19は、第2実施形態における運行管理支援装置1Bの機能構成図である。図19によれば、運行管理支援装置1Bにおいて、処理部200は、記憶部300に記憶された第2運行管理支援プログラム304を実行することで、運行管理情報取得部202と、移動実績算出部204と、移動実績図生成部206と、平均移動実績算出部208と、平均移動実績図生成部210と、警報実績算出部212と、警報実績重畳表示制御部214と、警報予測期間算出部220と、運行計画案生成部222との各機能ブロックとして機能する。
警報予測期間算出部220は、踏切を通過予定の予定列車について、警報制御の開始時刻および終了時刻を過去の移動実績に基づいて予測し、当該予定列車のみが走行したときの個別警報予測期間を予測する。そして、異なる予定列車の個別警報予測期間が連続する場合に、連続する個別警報予測期間を含む連続警報予測期間を算出する。
具体的には、列車別に、当該列車の平均移動実績に基づいて、通過予定の踏切についての個別警報予測期間を算出する。遅延無しの列車については、平均移動実績に従って走行した場合の個別警報期間を、個別警報予測期間とする。遅延有りの列車(遅延列車)については、平均移動実績に従って走行した場合の個別警報期間から、当該列車の遅延時分だけ遅らせた期間を、個別警報予測期間とする(図18参照)。そして、算出した列車別の個別警報予測期間に基づき、各踏切について、各列車の個別警報期間の時間の前後関係から、警報が連続するかを判断して連続警報予測期間を算出する。
運行計画案生成部222は、踏切の連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たす場合に、当該連続警報予測期間に係る予定列車のうち、所与の特定予定列車の運行を遅延させることで長期間条件を満たさなくなる特定予定列車を判定し、特定予定列車の運行を遅延させる運行計画案を報知する。
具体的には、列車運行に遅延が生じている場合に、各踏切について連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たすかを判断し、長期間条件を満たす踏切について、特定予定列車の駅出発を所定の抑止時分だけ遅延させる出発抑止の運行計画案を生成する。遅延列車のうち、連続警報予測期間に係る最後の列車を特定予定列車とし、この遅延列車を、更に所定の遅延予定時分だけ遅延させた場合の個別警報予測期間を算出し、この個別警報予測期間に基づいて当該踏切の連続警報予測期間を算出して、警報短縮条件を満たすかを判定する。この警報短縮条件を満たすかの判定を、遅延予定時分を、例えば分単位で徐々に増加させながら繰り返し、警報短縮条件を満たすようになった場合の遅延予定時分を、特定予定列車に対して駅の発車を遅らせる抑止時分として運行計画案を生成する。
第2実施形態では、記憶部300には、第2運行管理支援プログラム304と、列車ダイヤ情報310と、路線情報312と、軌道回路設置情報314と、踏切設置情報316と、取得運行管理情報320と、移動実績データ322と、平均移動実績データ324と、踏切警報実績データ326とが記憶される。
<処理の流れ>
図20は、第2実施形態における運行管理支援処理のフローチャートである。この処理は、運行管理支援装置1Bにおいて、第2運行管理支援プログラム304に従って処理部200が実行する処理であり、任意のタイミングで実行される。
先ず、運行管理情報取得部202が、運行管理装置3から運行管理情報を取得して、取得運行管理情報320を更新する(ステップB1)。次いで、移動実績算出部204が、取得された運行管理情報に含まれる軌道回路情報および在線情報に基づいて、列車別の移動実績を算出して移動実績データ322を更新する(ステップB3)。続いて、警報実績算出部212が、算出された列車別の移動実績に基づいて、踏切別の警報実績を算出して踏切警報実績データ326を更新する(ステップB5)。
その後、移動実績図生成部206が、各列車の移動実績データ322に基づいて、本日の現時点までの各列車の移動を軌道回路単位で表した移動実績図を生成し、生成した移動実績図を、例えば表示部104に表示させる。次いで、警報実績重畳表示制御部214が、各踏切の踏切警報実績データ326に基づいて、本日の現時点までの各踏切の警報期間として、各列車についての個別警報期間および連続警報期間を、当該踏切の位置に関連付けて、生成した移動実績図に重畳表示させる(ステップB7)。
続いて、取得された運行管理情報に含まれる遅延情報に基づいて、現時点において列車運行の遅延が生じているかを判断し、遅延が生じているならば(ステップB9:YES)、警報予測期間算出部220が、現時点以降の各列車の運行を予測して、各踏切の警報時間を予測する。すなわち、警報予測期間算出部220は、各列車について、当該列車の過去の移動実績或いは平均移動実績に基づいて、当該列車が通過予定の各踏切の個別警報予測期間を算出する(ステップB11)。次いで、算出した列車別の個別警報予測期間に基づき、各踏切について、各列車の個別警報期間の時間の前後関係から、警報が連続するかを判断して連続警報予測期間を算出する(ステップB13)。
続いて、算出された連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たす踏切が有るかを判断し、有るならば(ステップB15:YES)、運行計画案生成部222が、当該踏切の警報期間を短縮させるような運行計画案を生成する。すなわち、運行計画案生成部222は、連続警報予測期間が長期間条件を満たす踏切を順に対象としたループAの繰り返し処理を行う。
ループAでは、対象踏切の長期間条件を満たす連続警報予測期間に係る予定列車の中から特定予定列車を選択する(ステップB17)。次いで、遅延予定時分を、例えばゼロ分に初期設定する(ステップB19)。続いて、遅延予定時分を所定時分だけ増加させて、増加後の遅延予定時分だけ特定予定列車を遅延させることで、対象踏切が警報短縮条件を満たすかを判断する(ステップB21)。警報短縮条件を満たすならば(ステップB23:YES)、対象踏切に至る直前駅を出発する特定予定列車の出発時刻を、遅延予定時分だけ遅らせる出発抑止を行う運行計画案を生成する。そして、生成した運行計画案を、例えば表示部104に表示する等によって報知する(ステップB27)。
警報短縮条件を満たさないならば(ステップB23:NO)、遅延予定時分が所定の上限時分に達したかを判断する。遅延予定時分が上限時分に達していないならば(ステップB25:NO)、ステップB21に戻り、同様の処理を繰り返す。遅延予定時分が上限時分に達したならば(ステップB25:YES)、特定予定列車を遅延させることによって警報短縮条件を満たすことは困難であり、運行計画案を生成できないと判断する。ループAの処理はこのように行われる。連続警報予測期間が長期間条件を満たす全ての踏切を対象としたループAの繰り返し処理を終了すると、本処理は終了となる。
[作用効果]
このように、第1実施形態によれば、列車運行に関する実績データに基づく列車運行の再現を、駅間よりも詳細な区間である軌道回路を単位として実現するとともに、視覚的に把握し易い形態で表現することが可能となる。つまり、運行管理装置3から取得した軌道回路情報に基づいて、列車毎に各軌道回路への進入時刻および進出時刻を算出することで、軌道回路という駅間よりも詳細な精度での各列車の移動実績を算出することができる。そして、この列車別の移動実績に基づき、時間軸に沿って各列車の位置を表すことで、列車の移動を把握し易い形式とした移動実績図を生成することができる。
また、第2実施形態によれば、各列車の過去の移動実績に基づいて踏切の連続警報期間を予測して、連続警報期間を短縮するような運行計画案を提示することが可能となる。つまり、踏切を通過予定の予定列車について、過去の移動実績や平均移動実績から当該踏切の個別警報予測期間を算出し、異なる予定列車の個別警報期間を含む連続警報予測期間を算出する。そして、連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たす踏切について、予定列車のうちから、遅延させることで長期間条件を満たさなくなるような特定予定列車を判定し、この特定予定列車を遅延させる、運行計画案を生成・報知する。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
1A,1B…運行管理支援装置
200…処理部
202…運行管理情報取得部
204…移動実績算出部、206…移動実績図生成部
208…平均移動実績算出部、210…平均移動実績図生成部
212…警報実績算出部、214…警報実績重畳表示制御部
220…警報予測期間算出部、222…運行計画案生成部
300…記憶部
302…第1運行管理支援プログラム
304…第2運行管理支援プログラム
310…列車ダイヤ情報、312…路線情報
314…軌道回路設置情報、316…踏切設置情報
320…取得運行管理情報、322…移動実績データ
324…平均移動実績データ、326…踏切警報実績データ
3…運行管理装置

Claims (9)

  1. 各軌道回路の列車の在線有無を示す軌道回路情報に基づいて、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を列車別に算出することで各軌道回路境界を観測位置とした各列車の移動実績を算出する移動実績解析手段と、
    縦軸および横軸の一方を時間軸とし、他方を線路に沿った位置として、時間軸に沿って各列車の移動を表した移動実績図を、前記移動実績に基づいて生成する移動実績図生成手段と、
    を備えた運行管理支援装置。
  2. 前記移動実績図生成手段は、当該軌道回路への進入および/又は進出をプロットした前記移動実績図を生成する、
    請求項1に記載の運行管理支援装置。
  3. 前記移動実績図生成手段は、列車毎に、各軌道回路への進入時刻と進出時刻とをつないだ線分を表示した前記移動実績図を生成する、
    請求項1又は2に記載の運行管理支援装置。
  4. 前記移動実績解析手段は、当該列車の先頭の各軌道回路への進入時刻および同時刻における当該列車の最後尾の位置と、当該列車の最後尾の各軌道回路からの進出時刻および同時刻における当該列車の先頭の位置とを算出する、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の運行管理支援装置。
  5. 複数運行日分の前記移動実績に基づいて、同一列車毎に、各軌道回路への進入時刻の平均および進出時刻の平均を算出することで平均移動実績を算出する平均移動実績算出手段と、
    前記平均移動実績に基づく前記移動実績図である平均移動実績図を生成する平均移動実績図生成手段と、
    を更に備えた請求項1〜4の何れか一項に記載の運行管理支援装置。
  6. 前記移動実績に基づいて、所定の踏切の警報制御の開始時刻および終了時刻を列車別に判定し、当該列車のみが走行したときの個別警報期間を列車別に算出する個別警報期間算出手段と、
    前記移動実績図に、前記踏切の位置に関連付けた前記個別警報期間を重畳表示させる警報期間重畳表示制御手段と、
    を更に備えた請求項1〜5の何れか一項に記載の運行管理支援装置。
  7. 前記警報期間重畳表示制御手段は、異なる列車の前記個別警報期間が連続する場合に、連続する前記個別警報期間を含む連続警報期間を重畳表示させる、
    請求項6に記載の運行管理支援装置。
  8. 前記踏切を通過予定の予定列車について、前記踏切の警報制御の開始時刻および終了時刻を過去の前記移動実績に基づいて予測し、当該予定列車のみが走行したときの個別警報予測期間を予測する個別警報予測期間算出手段と、
    異なる予定列車の前記個別警報予測期間が連続する場合に、連続する前記個別警報予測期間を含む連続警報予測期間を算出する連続警報予測期間算出手段と、
    前記連続警報予測期間が所定の長期間条件を満たす場合に、当該連続警報予測期間に係る予定列車のうち、所与の特定予定列車の運行を遅延させることで前記長期間条件を満たさなくなる前記特定予定列車を判定する特定予定列車判定手段と、
    前記特定予定列車の運行を遅延させる運行計画案を報知する運行計画案報知手段と、
    を更に備えた請求項6又は7に記載の運行管理支援装置。
  9. 各軌道回路の列車の在線有無を示す軌道回路情報に基づいて、各軌道回路への進入時刻および進出時刻を列車別に算出することで各軌道回路境界を観測位置とした各列車の移動実績を算出する移動実績解析ステップと、
    縦軸および横軸の一方を時間軸とし、他方を線路に沿った位置として、時間軸に沿って各列車の移動を表した移動実績図を、前記移動実績に基づいて生成する移動実績図生成ステップと、
    を含む運行管理支援方法。
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