JP2021100290A - 回転電機のステータ、回転電機、及び巻枠の製造方法 - Google Patents

回転電機のステータ、回転電機、及び巻枠の製造方法 Download PDF

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勇太 小林
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Shuichi Kitano
修一 北野
雄康 平戸
Yuko Hirato
雄康 平戸
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一弥 熊谷
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Abstract

【課題】 ステータコアの巻締り量は積厚、大きさなど、回転電機の仕様により異なるため、巻締めされていく過程において、ステータコアと巻枠との相対的な位置を規制できず、巻き乱れが解消しない。【解決手段】 本発明における回転電機のステータ1は、複数の電磁鋼板が積層されて形成され、回転軸の周りに環状に形成されたバックヨーク部7とバックヨーク部7から径方向に突出したティース部8とを有するステータコア2と、バックヨーク部7の径方向の内面とティース部8の軸方向の両端面とを覆う巻枠3と、巻枠3を介して前記ティース部8に巻回されたコイル4とを備え、巻枠3は、ステータコア2の軸方向の両端面に設けられた開口部に挿入する第一突起部22と、第一突起部22よりも内径側に形成され、ステータコア2の軸方向の両端面に接する第二突起部23とを有する。【選択図】 図12

Description

本発明は、回転電機のステータ、回転電機、及び巻枠の製造方法に関するものである。
電動機や発電機等の回転電機では、銅損によるエネルギーの損失を低減させることが重要である。銅損を低減させるためには、導線の占積率を向上させることが有効であると一般的に知られている。例えば、ステータコアのティース部に設けられた絶縁性を有する巻枠において、ステータコアの外径側に設定された角度だけ傾斜した外壁部を設けることで、導線の巻崩れを防止し、占積率の向上を図っていた(例えば、特許文献1参照)。
WO2016/174768号公報
複数の電磁鋼鈑が積層されたステータコアに導線を巻回してコイルを形成すると、巻回時に導線を引っ張る張力によりステータコアが積層方向に圧縮され、層間のすきまが縮められて巻締りが発生する。巻締りが発生すると、ステータコアのバックヨーク部側の巻枠の外壁部がティース部の方向に傾くことで、外壁部が導線の巻回しを阻害し、所定の箇所に導線を誘導できない場合に巻き乱れが生じる。
特許文献1に記載の巻枠は、ステータコアの外径側に設定された角度だけ傾斜した外壁部を有するため、巻枠が巻締りにより内径側に傾斜しても、外壁部に巻線が阻害されず、巻き乱れが生じなかった。しかしながら、ステータコアの巻締り量は、積厚、大きさなど、回転電機の仕様により異なるため、巻締めされていく過程において、ステータコアと巻枠との相対的な位置が規制できない。そのため、巻締め位置を正確に規定できず、巻き乱れが解消しないという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ステータコアと巻枠との相対的な位置を規制することで、巻き乱れの解消を目的とする。
本発明における回転電機のステータは、複数の電磁鋼板が積層されて形成され、回転軸の周りに環状に形成されたバックヨーク部とバックヨーク部から径方向に突出したティース部とを有するステータコアと、バックヨーク部の径方向の内面とティース部の軸方向の両端面とを覆う巻枠と、巻枠を介して前記ティース部に巻回されたコイルとを備え、巻枠は、ステータコアの軸方向の両端面に設けられた開口部に挿入する第一突起部と、第一突起部よりも内径側に形成され、ステータコアの軸方向の両端面に接する第二突起部とを有するものである。
本発明における回転電機のステータは、ステータコアと巻枠との相対的な位置を規制することで、巻き乱れが解消される。
本発明の実施の形態1における回転電機のステータの斜視図である。 本発明の実施の形態1における分割コアの斜視図である。 本発明の実施の形態1におけるコア部材の平面図である。 本発明の実施の形態1におけるコア部材の平面図である。 本発明の実施の形態1におけるコア部材の平面図である。 本発明の実施の形態1における分割コアの側面図である。 本発明の実施の形態1における巻枠の平面図である。 本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアの斜視図である。 本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアの斜視図である。 本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアにコイルが巻回された斜視図である。 本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアの概略図である。 本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアにコイルが巻回された概略図である。 本発明の実施の形態1における比較例を示す概略図である。 本発明の実施の形態1における比較例を示す概略図である。 本発明の実施の形態1における金型を示す側面図である。 本発明の実施の形態1における回転電機の平面図である。 本発明の実施の形態2における巻枠の平面図である。 本発明の実施の形態3における巻枠の平面図である。 本発明の実施の形態4における巻枠の断面図である。 本発明の実施の形態5におけるステータコアの平面図である。 本発明の実施の形態5におけるステータコアの断面図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1における回転電機のステータについて、図1〜図16を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における回転電機のステータの斜視図である。以下の説明において、回転電機における各方向を、径方向X、軸方向Y、及び周方向Zとして示す。また、径方向Xの回転軸方向の外側を外径側X1、径方向Xの回転軸方向の内側を内径側X2として示す。よって、他の部品においても、これらの方向を基準として各方向を説明する。
図1に示すように、回転電機のステータ1は、ステータコア2、巻枠3、及びコイル4を備える。ステータコア2は、複数の分割コア5が円環状に組み合わさることにより構成されている。ステータコア2の内径側には、ロータ(図1においては図示せず)が設けられ、回転電機を構成する。
図2は、本発明の実施の形態1における分割コアの斜視図である。分割コア5は、電磁鋼鈑であるコア部材6を中心軸方向Y(以下、単に「軸方向」という。)に複数積層することにより構成されている。コア部材6は、バックヨーク部7、ティース部8、及びシュー部9から構成される。バックヨーク部7は、ロータの回転軸の周りに円環状に形成されており、ティース部8は、バックヨーク部7からロータの中心軸側X2に突出している。シュー部9は、ティース部8の内径側X2に設けられ、バックヨーク部7と同様にロータの中心軸から円周方向Zに突出して形成されている。
図3は、本発明の実施の形態1におけるコア部材の平面図であり、第一コア部材10の構成を示す。図4は、本発明の実施の形態1におけるコア部材の平面図であり、第二コア部材11の構成を示す。図5は、本発明の実施の形態1におけるコア部材の平面図であり、第三コア部材12の構成を示す。図6は、本発明の実施の形態1における分割コアの側面図である。分割コア5は、電磁鋼鈑の母材を必要幅に切断した帯状部材から、板状のコア部材をプレス等で打ち抜いてロータの軸方向Yに積層し、カシメや溶接、接着などにより固定される。
図6に示すように、コア部材は、第一コア部材10、第二コア部材11、及び第三コア部材12を有する。具体的には、軸方向Yの下方側から順番に、第三コア部材12、第二コア部材11、第二コア部材11、第一コア部材10、第一コア部材10、・・・第一コア部材10、第二コア部材11、第二コア部材11、第二コア部材11の順に打ち抜かれてコア部材が積層される。第三コア部材12、第二コア部材11、及び第一コア部材10による打ち抜きを繰り返し、コア部材を積層して第一コア部材10、第二コア部材11、及び第三コア部材12が所定の積層枚数に達したところで、金型により分割コア5が形成されて排出される。第一コア部材10、第二コア部材11、及び第三コア部材12は、軸方向Yから見るとほぼ同じ形状である。
この際、第三コア部材12の第二開口部18には、第二コア部材11の第一凹凸部14の第一凸部16が嵌まり込む。同様に、それ以外の箇所のコア部材は、第一凹凸部14の第一凹部15に軸方向Yに隣接するコア部材の第一凸部16が嵌まり込む。これにより、軸方向Yに積層するコア部材同士は、第一凹凸部14によりカシメられて接続される。積層されたコア部材同士の間には、隙間17が生じる。
図3と図6に示すように、第一コア部材10は、第一凹凸部14を備える。第一凹凸部14は、バックヨーク部7の周方向Zに2箇所位置し、軸方向Yの上面側に凹形状な第一凹部15と軸方向の下面側に凸形状な第一凸部16とから形成され、軸方向に隣接するコア部材同士を接続する。第一コア部材10は、軸方向Yに複数枚積層される。
図4と図6に示すように、第二コア部材11は、第一凹凸部14と第一開口部13を備える。第一凹凸部14は、バックヨーク部7の周方向Zに2箇所位置し、軸方向Yの積層方向の上面側に凹形状な第一凹部15と軸方向Yの積層方向の下面側に凸形状な第一凸部16とから形成され、軸方向Yに隣接するコア部材同士を接続する。積層されるコア部材の第一凹凸部14の位置は、第一コア部材10と第二コア部材11とでほぼ同じ箇所に設けられている。第一開口部13は、バックヨーク部7の周方向Zの中央付近に位置し、丸形状に形成され、巻枠3に設けられた突起が挿入するために開口されている。第二コア部材11は、巻枠3の突起部が第一開口部13に挿入する深さに合わせて軸方向Yに積層する。
図5と図6に示すように、第三コア部材12は、第一開口部13と第二開口部18を備える。第一開口部13は、バックヨーク部7の周方向Zの中央付近に位置し、巻枠に設けられた突起が挿入るために開口されている。第一開口部13は、軸方向Yにおいて、第二コア部材11に備えられた第一開口部13と同じ位置に形成される。第二開口部18は、バックヨーク部7の周方向Zの2箇所に位置し、軸方向Yに隣接する第二コア部材11の第一凹凸部14の第一凸部16と接続するために開口されている。第二開口部18は、軸方向Yにおいて、第二コア部材11に備えられた第一凹凸部14と同じ位置に形成される。第二コア部材11と第三コア部材12は、巻枠3の突起部が第二開口部4に挿入する深さに合わせて軸方向Yに積層する。
図3〜図5において、第一凹凸部14及び第二開口部18は、軸方向に隣接するコア部材同士を接続するものであれば、バックヨーク部7の2箇所に位置しなくてもよい。例えば、バックヨーク部7の周方向Zの中央部の1箇所に位置してもよい。この場合は、2箇所に第一凹凸部14及び第二開口部18を形成するよりも鉄損を抑制するため、回転電機の効率の低下を防止できる。
図4と図5において、第一開口部13は、バックヨーク部7において巻枠に設けられた突起が挿入るために開口して巻枠の位置決め及び固定ができれば、バックヨーク部7の周方向Zの中央付近に一箇所、丸形状に形成しなくてもよい。例えば、第一開口部13は、角形状に形成してもよい。この場合は、巻枠が、導線を巻回するときの張力によって、周方向Zに回転することを防止できる。
また、第一開口部13は、磁束の流れを遮ることで回転電機の効率を低下させるため、できるだけ外径側X1に位置するのが好ましい。尚、第一開口部13は、バックヨーク部7において、巻枠に設けられた突起が挿入するために開口して巻枠の位置決め及び固定ができれば必須の構成ではない。
図7は、本発明の実施の形態1における巻枠の平面図である。図7に示すように、巻枠3は、第一突起部22と第二突起部23を有する。第二突起部23は、巻枠3の回転軸を中心とする同心円上に複数形成される。ここで、第二突起部23は、第一突起部22よりも内径側X2に形成される。尚、本実施の形態では、第二突起部23が第一突起部22よりも分割コア5の径方向の中心側X2に位置する構成であればよく、例えば、第一突起部22はバックヨーク部7側に位置し、第二突起部23はティース部8側に位置する構成でもよい。また、第一突起部22と第二突起部23の最適な位置としては、第一突起部22はバックヨーク部7側の周方向の中心に位置し、第二突起部23はティース部8側の周方向の中心に少なくとも1個位置する構成でもよい。最適な位置の構成にすることによって、巻枠の位置決め及び固定を十分に行うことができる。巻枠3は、コイル4と分割コア5とを絶縁するため、絶縁性の部材で形成される。
分割コア5に巻枠3を設置し、コイルを巻回する手順について説明する。図8は、本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアの斜視図であり、図9は、本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアの斜視図である。図8は、巻枠3を設置中の状態を示し、図9は巻枠3を設置後の状態を示している。図9に示すように、巻枠3は、分割コア5のバックヨーク部7から内周方向X2に延びる磁気的に連結されたティース部8にかけて設けられ、覆設された絶縁性の第一巻枠19、第二巻枠20、及び第三巻枠21にて構成される。尚、第三巻枠21は絶縁性があればよく、絶縁シートでもよい。
まず、図6〜図8に示すように、第一巻枠19と第二巻枠20は、分割コア5におけるバックヨーク部の径方向Xの内面とティース部の軸方向Yの両端面とを覆うように取り付けられる。第一巻枠19と第二巻枠20は、分割コア5の第一開口部13に第一突起部22を挿入することで配置される。第二突起部23は、導線を巻回した際の張力により第一巻枠19と第二巻枠20が軸方向Yに傾くことを抑制するため、導線の巻回範囲にあたる第一巻枠19と第二巻枠20の周方向Zの両端部と中央部の合計3箇所、丸形状にて形成される。尚、第二突起部23は3箇所形成される例を示したが、両端に2箇所であっても、製造の容易さから1箇所に形成してもよい。または、それ以上の個数であってもかまわない。また、軸方向Yの積層方向の上面側においては、第一巻枠19の第一突起部22の長さよりも第一開口部13の軸方向Yの長さが長くなるように、第二コア部材11の積層枚数を設定する。軸方向Yの積層方向の下面側においては、第二巻枠20の第一突起部22の長さよりも第一開口部13の軸方向Yの長さが長くなるように、第二コア部材11及び第三コア部材12の積層枚数を設定する。
次に、図9に示すように、第三巻枠21は、分割コア5のティース部の周方向側面及びバックヨーク部の径方向内面を覆うように取り付けられる。第三巻枠21は、第一巻枠19と第二巻枠20に形成された挿入爪24にその一部が挿入されることで固定される。挿入爪24は、第一巻枠19と第二巻枠20において、バックヨーク部7の内周側とティース部8の外周側の接合部の周方向Zの両端2箇所と、シュー部9の外周側とティース部8の内周側の接合部の周方向Zの両端2箇所に配置されている。第三巻枠21の軸方向Yの長さは、第一巻枠19と第二巻枠20の挿入爪24にその一部を挿入できる長さに設定する。以上により、分割コア5に巻枠3が設置される。
図10は、本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアにコイルが構成された斜視図である。コイル4は、巻枠3を介して分割コア5のティース部に導線を巻回して形成される。
図11は、本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアの概略図であり、図12は、本発明の実施の形態1における巻枠が設けられた分割コアにコイルが巻回された概略図である。尚、上記の断面図は、各凹凸部、開口部、及び巻枠の突起部の関係が明確になるように示したものである。
図11に示すように、軸方向Yにおいて、第一巻枠19は、分割コア5の積層方向の上面に設けられた第二コア部材11の第一開口部13を貫通する第一突起部22を有し、第二巻枠20は、分割コア5の積層方向の下面に設けられた第二コア部材11及び第三コア部材12の第一開口部13を貫通する第一突起部22を有する。
図12に示すように、第一巻枠19と第二巻枠20には、コイル4が外径側X1に崩れることを防ぐ外壁部25と内径側X2に崩れることを防ぐ内壁部26とが夫々設けられている。巻枠3には導線27が巻回される。同一の層の導線27は、互いに当接している。以下、巻枠3に導線27を巻回する方法を説明する。導線27は、巻枠3に巻回して複数の層を構成する。導線27で構成された複数の層のうち1層目の形成手順について説明する。第一巻枠19の外壁部25側から第二巻枠20の外壁部25側1ターン目となる導線27が巻回される。続いて、第一巻枠19の内径側X2から第二巻枠20の内径側X2にかけて、導線27が順番に巻回される。更に、内壁部26に当接するように1層目の終わりのターンとなる導線27が巻回される。すなわち、1層目を構成する導線27は互いに当接して巻回される。
導線27で構成された複数の層のうち2層目の巻回手順について説明する。まず、1層目の導線27のうち第一巻枠19の内壁部26に隣接して隣り合う2つの導線27の間に2層目の始まりとなる導線27が巻回される。続いて、第一巻枠19の軸方向の内径側から外壁部25側にかけて1層目の導線27同士の間に2層目の導線27がそれぞれ巻回され、2層目の巻線導体導線27は、1層目の隣り合う2本の導線27に接することとなる。更に、外壁部25側に隣接して配設された1層目の隣り合う2本の導線27の間に2層目の終わりのターンとなる1本の導線27が接するとともに巻回される。その結果、1層目を構成する導線27は2層目を構成する導線27に当接するが、1層目の巻線導体導線27と同様に2層目の導線27は一定の間隔で隣り合う導線27と当接して配設される。すなわち、2層目を構成する導線27は互いに当接して巻回される。
導線27により巻回された3層目以降の巻回手順については、1層目と2層目の巻回手順と同様の手順が繰り返されるため、説明を省略する。以上の巻回手順により、巻枠3には、導線27が規則的に俵積み状に配置される整列巻の状態で巻回される。
図13は、本発明の実施の形態1における比較例を示す断面図であり、図14は、本発明の実施の形態1における比較例を示す断面図である。図13と図14は、上記実施の形態1の図11と図12に対応する比較例である。図13は、従来の巻枠が設けられた分割コアの断面図を示し、図14は、従来の巻枠が設けられた分割コアにコイルが巻回された断面図を示す。尚、上記の断面図は、各凹凸部、開口部、及び巻枠の突起部の関係が明確になるように示したもので、径方向Xにおける一断面を示したものではない。
コア部材を構成する第一コア部材10、第二コア部材11、及び第三コア部材12は、上記実施の形態1と同様に、軸方向Yにおいて夫々接続される。第一コア部材10、第二コア部材11、及び第三コア部材12は、導線27の巻線中にかかる張力により、複数のコア部材6の積厚が軸方向Yに収縮する巻締りが生じる。巻締りによる複数のコア部材6の積厚変化に追従して、巻枠3の外壁部25が、径方向Xに直交する平面よりも内径側X2に傾斜することになる。したがって、導線27が外壁部25の周辺に巻回される際に、導線27が外壁部25に衝突又は接触し、整列巻が妨げられる巻乱れの事態、又は導線27の絶縁被膜を損傷するといった事態が生じる。これらの事態を生じさせないようにすると、外壁部25の周辺に導線27を巻回できなくなってしまう。このため、外壁部25の周辺も導線27を巻回することが望まれる。
図12に示すように、本発明の実施の形態1においても、コア部材6を構成する第一コア部材10、第二コア部材11、及び第三コア部材12は、導線27の巻線中にかかる張力28により、複数のコア部材6の積厚が軸方向Yに収縮する巻締りが生じる。しかしながら、第一巻枠19と第二巻枠20が夫々有する第二突起部23が、分割コア5における軸方向Yの一方の端面と他方の端面に夫々当接することにより、導線27を巻回した際の張力28により巻枠3が軸方向Yに傾くことを抑制する。第二突起部23は、導線27の巻線中にかかる張力28が第二突起部23にかかっても巻回範囲29が維持できるような形状及び個数が形成される。
第一巻枠19と第二巻枠20は、夫々第二突起部23を有することによって、導線27が外壁部25の周辺に巻回される際に、導線27が外壁部25に衝突又は接触し、整列巻が妨げられる事態又は導線27の絶縁被膜を損傷するといった事態が生じなくなる。これにより、導線27の巻回範囲29を制御することが可能となり、整列巻を容易に行うことができる。また、第二突起部23は、第一突起部22よりもステータコア2の内径側X2に形成されることによって、巻線中の導線27から受ける張力28を軽減することができる。尚、第一突起部22はバックヨーク部7に形成され、第二突起部23はティース部8に形成される構成であっても、巻線中の導線27から受ける張力28を軽減することができる。さらに、外壁部25は、渡り線を這わして渡す必要から軸方向Yに高く構成されているため巻線するときに、傾きによる影響が顕著であるが、内壁部26は軸方向Yの高さを低く設定できるため、傾きによる巻線への影響は限定的である。
次に、このように構成された回転電機のステータにおいて、巻枠3の第二突起部23の高さの調整方法について説明する。図15は、本発明の実施の形態1における金型を示す側面図である。図15に示すように、巻枠3を成形する射出成型金型30は、固定金型であるキャビティ31と可動金型であるコア32を備える。コア32がキャビティ31の方向に移動してキャビティ31に接した状態で、射出成型ユニット33から加熱溶解した樹脂が、金型内の樹脂流動路であるスプルー34に射出され、金型内の空間に供給される。射出成型金型30を締めた状態で冷却することで巻枠3が成形される。巻枠3は、成形後にコア32をキャビティ31から離れる方向に移動させることで取り出される。
取り出された巻枠3には、高さH1を有する第二突起部23が形成されている。第二突起部23において高さをH1に成形するにあたっては、コア32において凹部の深さH2を第二突起部23の高さH1に対応するように調整して形成する。コア32は、ねじ35、調整板36、及びピン37を備える。コア32に固定されたねじ35を取り外すことで、調整板36とピン37を順に取り外すことが可能となる。
図15に示すように、導線27を巻回した際の張力28により巻枠3が軸方向Yに傾く場合は、調整板36の高さH3を第二突起部23の高さH1に対応するように形成する。図15に示すように、取り外した調整板36の高さH3をコア32の凹部の深さH2に対応するように設定し、調整板36とピン37を順に取り付けてねじ35で固定する。コア32の凹部の深さH2だけピン37が移動し、凹部の深さH2に対応する第二突起部23の高さH1が形成される。尚、巻枠3の内壁部26が導線27の巻回範囲29を減少させている場合は、調整板36の高さH3を設定した高さより低くなるように調整する。以上により、複数のコア部材6の積厚が軸方向Yに収縮する巻締りによる積厚の変化に対応した、高さH1を有する第二突起部23を形成することができる。
上記説明したように、本発明の実施の形態1によるステータコアを構成するバックヨーク部の径方向の内面とティース部の軸方向の両端面とを覆う巻枠3の製造方法では、所定の巻回範囲となるように金型の凹部を調整する工程と、前記凹部が調整された金型内に溶融した樹脂を流し込み、巻枠3を成形する工程とを含む。巻枠3が第二突起部23を有することによって、導線27が外壁部25の周辺に巻回される際に、外壁部25が周方向の内径側に傾斜することを抑制し、巻回の範囲を保持することができる。その結果、導線27が外壁部に衝突又は接触し、整列巻が妨げられる事態又は導線27の絶縁被膜を損傷するといった事態が生じることなく、コイルの巻乱れを防止し、整列巻を容易に行うことができる。これにより、第二突起部23の高さを射出成型金型30に設けられたねじ35で調整可能とすることにより、巻締めによる積層幅の縮み量が異なる複数種類のステータコアに対応可能となり、生産性が向上される。
図16は、本発明の実施の形態1における回転電機の平面図である。図16に示すように、回転電機44は、ステータ1とロータ45を備える構成でもよい。フレームは有底筒形状をしており、フレームの内周にコイル4が巻回されたステータ1が圧入等で固定され、ステータ1の内周面と所定のギャップを介してロータ45が配設されている。ロータ45は、回転軸46に接着等で固定された磁石47を有しており、フレームに設けられたベアリングケースに保持されるベアリングによって回転自在に支持されている。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2における回転電機のステータについて、図17を用いて説明する。尚、上記実施の形態で同一番号が付され説明されたものについては、同様な構成を有するものであるため、ここでは説明を省略する場合がある。
上記実施の形態1において、第二突起部23は巻枠3の周方向Zに3箇所、丸形状にて形成される構成であったが、第二突起部23は巻枠3の周方向Zに形成されればよい。例えば、第二突起部23は巻枠3の周方向Zに1箇所、長丸形状にて形成されてもよい。
図17は、本発明の実施の形態2における巻枠の平面図である。図17に示すように、巻枠3の第二突起部38は、巻回範囲にあたる巻枠3の周方向Zにおいて、長手方向が周方向Zとなるように1箇所、長丸形状にて形成される。第二突起部38は、導線27が外壁部25の周辺に巻回される際に、外壁部25が周方向の内径側X2に傾斜することを抑制し、巻回の範囲を保持することができる。
第二突起部38が、巻枠3の周方向Zに1箇所、長丸形状にて形成されることで、巻枠3を形成するための射出成型金型のピン本数を1本に減らすことができ、低コストでの製造が可能となる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3における回転電機のステータについて、図18を用いて説明する。尚、上記実施の形態で同一番号が付され説明されたものについては、同様な構成を有するものであるため、ここでは説明を省略する場合がある。
上記実施の形態1において、第二突起部23は巻枠3の周方向Zに3箇所、丸形状にて形成される構成であったが、第二突起部23は巻枠3の周方向Zに形成されればよい。例えば、第二突起部23は巻枠3の内径方向X2の先端において、周方向Zに1箇所、略矩形形状にて形成されてもよい。
図18は、本発明の実施の形態3における巻枠の平面図である。図18に示すように、巻枠3の第二突起部39は、巻回範囲にあたるティース部8の内径側X2の先端部分において、周方向Zに1箇所、略長方形状にて形成される。第二突起部39は、導線27が外壁部25の周辺に巻回される際に、外壁部25が周方向の内径側X2に傾斜することを抑制し、巻回の範囲を保持することができる。
第二突起部39が、ティース部8の内径側X2の先端部分において、周方向Zに1箇所、略長方形状にて形成されることで、巻枠3を形成するための射出成型金型30のピン37の本数を1本に減らすことができ、低コストでの製造が可能となる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4における回転電機のステータについて、図19を用いて説明する。尚、上記実施の形態で同一番号が付され説明されたものについては、同様な構成を有するものであるため、ここでは説明を省略する場合がある。
上記実施の形態1及び実施の形態2において、第二突起部23、35は、巻枠3の径方向Xに1列形成される構成であったが、第二突起部23、35は巻枠3の径方向Xに複数列並んで形成されればよい。例えば、第二突起部23は巻枠3の径方向Xに2列並んで形成されてもよい。
図19は、本発明の実施の形態4における巻枠の断面図である。図19に示すように、巻枠3の第二突起部40は、巻回範囲にあたる巻枠3の径方向Xにおいて、2列並んで形成される。第二突起部40は、図7にて示した構成と同様の丸形状にて形成される。尚、第二突起部23は巻枠3の径方向Xに形成されればよく、例えば、径方向Xに長丸形状にて形成されてもよい。
第二突起部40の内径側X2の高さをH1、外径側X1の高さをH11としたとき、「H1>H11」の関係が成り立つように第二突起部40の高さを夫々設定することで、巻枠3の内径側X2に形成される第二突起部40の高さは、巻枠3の外形側X1に形成される第二突起部40の高さよりも大きく形成される。これにより、第二突起部40は、導線27が外壁部25の周辺に巻回される際に、外壁部25が周方向の内径側X2に傾斜することを抑制し、巻回の範囲を保持することができる。
第二突起部40は、巻回範囲にあたる巻枠3の径方向Xにおいて2列並んで形成されることによって、巻線中の導線27から受ける張力を軽減することができる。また、第二突起部40は、内径側X2の高さが外径側X1の高さよりも大きいことによって、導線27が巻回される際に、径方向Xにおいて分割コアの異なる積厚に対応して抑制し、巻回の範囲を保持することができる。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5における回転電機のステータについて、図20〜図21を用いて説明する。尚、上記実施の形態で同一番号が付され説明されたものについては、同様な構成を有するものであるため、ここでは説明を省略する場合がある。
上記実施の形態1〜4において、周方向Zに隣り合うコア部材6同士は連結しない構成であったが、周方向Zに隣り合うコア部材6同士は連結してもよい。例えば、周方向Zに隣り合うコア部材6同士は、バックヨーク部7において連結してもよい。
図20は、本発明の実施の形態5におけるステータコアの平面図であり、図21は、本発明の実施の形態5におけるステータコアの断面図である。図21は、図20の破線I−Iに沿う断面を示している。
図20に示すように、コア部材6は、バックヨーク部7、ティース部8、及びシュー部9から構成される。周方向Zに隣り合うコア部材6同士は、バックヨーク部7の周方向Zの端部に設けた第二凹凸部41で連結して連なっている。バックヨーク部7の周方向Zの端部は、第二凹凸部41を中心として回動可能に連結されている。
図21に示すように、コア部材6の第二凹凸部41は、第二凹部42と第二凸部43を備える。軸方向Yにおいて、第二凹凸部41の第二凹部42に隣接する第二凹凸部41の第二凸部43が嵌まり込む。これにより、軸方向Yに積層されたコア部材6同士は第二凹凸部41により接続され、第二凹凸部41を中心として回動可能となる。軸方向Yに積層された複数のコア部材6に巻枠3を装着し、巻枠3にコイル4を巻回した複数の分割コア5の連結部分で、第二凹凸部41を中心として円環状に組み合わせることにより、ステータ1が形成される。
周方向Zに隣り合うコア部材6同士をバックヨーク部7において連結させることで、上記実施の形態1〜4と同様の効果を奏することができる。
尚、以上の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
1 ステータ、2 ステータコア、3 巻枠、4 コイル、5 分割コア、6 コア部材、7 バックヨーク部、8 ティース部、9 シュー部、10 第一コア部材、11 第二コア部材、12 第三コア部材、13 第一開口部、14 第一凹凸部、15 第一凹部、16 第一凸部、17 隙間、18 第二開口部、19 第一巻枠、20 第二巻枠、21 第三巻枠、22 第一突起部、23 第二突起部、24 挿入爪、25 外壁部、26 内壁部、27 導線、28 張力、29 巻回範囲、30 射出成型金型、31 キャビティ、32 コア、33 射出成型ユニット、34 スプルー、35 ねじ、36 調整板、37 ピン、38 第二突起部、39 第二突起部、40 第二突起部、41 第二凹凸部、42 第二凹部、43 第二凸部、44 回転電機、45 ロータ、46 回転軸、47 磁石。

Claims (9)

  1. 複数の電磁鋼板が積層されて形成され、回転軸の周りに環状に形成されたバックヨーク部と前記バックヨーク部から径方向に突出したティース部とを有するステータコアと、
    前記バックヨーク部の径方向の内面と前記ティース部の軸方向の両端面とを覆う巻枠と、
    前記巻枠を介して前記ティース部に巻回されたコイルとを備え、
    前記巻枠は、前記ステータコアの軸方向の両端面に設けられた開口部に挿入する第一突起部と、前記第一突起部よりも内径側に形成され、前記ステータコアの軸方向の両端面に接する第二突起部とを有する
    回転電機のステータ。
  2. 前記第一突起部は、前記バックヨーク部に形成され、
    前記第二突起部は、前記ティース部に形成される
    請求項1に記載の回転電機のステータ。
  3. 前記第二突起部は、前記巻枠の内径方向の先端に形成される
    請求項1又は請求項2に記載の回転電機のステータ。
  4. 前記第二突起部は、前記巻枠の前記回転軸を中心とする同心円上に複数形成される
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
  5. 前記第二突起部は、前記巻枠の径方向に並んで複数形成される
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
  6. 前記巻枠の内径側に形成される前記第二突起部の高さは、前記巻枠の外形側に形成される前記第二突起部の高さよりも大きい
    請求項5に記載の回転電機のステータ。
  7. 前記第二突起部は、丸形状又は長丸形状に形成される
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
  8. 回転軸を有するロータと、
    前記ロータの外径側に配置されたステータとを有し、
    前記ステータは、
    複数の電磁鋼板が積層されて形成され、前記回転軸の周りに環状に形成されたバックヨーク部と前記バックヨーク部から径方向に突出したティース部とを有するステータコアと、
    前記バックヨーク部の径方向の内面及び前記ティース部の軸方向の両端面を覆う巻枠と、
    前記巻枠を介して前記ティース部に巻回されたコイルとを備え、
    前記巻枠は、前記ステータコアの軸方向の両端面に設けられた開口部に挿入する第一突起部と、前記第一突起部よりも前記ステータコアの内径側に形成され、前記ステータコアの軸方向の両端面に接する第二突起部とを有する
    回転電機。
  9. ステータコアを構成するバックヨーク部の径方向の内面とティース部の軸方向の両端面とを覆う巻枠の製造方法であって、
    所定の巻回範囲となるように金型の凹部を調整する工程と、
    前記凹部が調整された前記金型内に溶融した樹脂を流し込み、巻枠を成形する工程と
    を含む巻枠の製造方法。
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