JP2021098983A - 杭打機 - Google Patents

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Abstract

【課題】限られた搭載スペースの有効利用が可能な還元剤タンクの支持構造を備えた杭打機を提供する。【解決手段】上部旋回体のフロアフレーム38に、エンジンパワーユニット及びエンジンからの排ガスを還元剤により浄化する排ガス浄化装置が搭載されるとともに、これらを一体で収容可能なエンジン収納ハウス41を備え、オーガとエンジンパワーユニットとは、メインフレーム36内を経由して引き回される油圧ホースにて互いに接続され、フロントジャッキとフロアフレームとの間には、メインフレームの側壁36aを境界として油圧ホースを途中で分離可能な油圧配管継手44が設けられることにより、該油圧配管継手に対してオーガ側油圧ホース19の接続又は切離し作業を行うための空間45が形成され、フロアフレームには、還元剤が貯留される還元剤タンク47を前記空間に出入り可能に支持するタンク支持構造46が設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、杭打機に関し、詳しくは、エンジンから排出された排ガスを浄化する排ガス浄化装置を備えた杭打機に関する。
杭打機やクレーン、油圧ショベルなどの建設機械は、動力源であるエンジンパワーユニットを駆動させると排ガスが発生するため、排気系に排ガス浄化装置を設置して排ガス規制に対応している。この種の排ガス浄化装置には、還元剤として尿素水を用いた選択還元型触媒装置(SCR)があり、排ガス中のNOxをSCR触媒によって高度に浄化することが可能である。通常、尿素水を貯留した還元剤タンクは、エンジン、その他の部品を避けた狭隘な空間を利用して配置されることから、例えば、油圧ショベルでは、旋回フレームに対してベース板と一体で着脱可能にするなど、組立性や保守性を考慮した取付構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2017−172141号公報
近年、排ガス規制の強化を受けて、杭打機においても還元剤タンクを搭載することが余儀なくされている。とりわけ、車体のコンパクト性が求められる小型杭打機では、還元剤タンクの配置について設計上の制約を受けやすくなるという課題があった。
そこで本発明は、限られた搭載スペースの有効利用が可能な還元剤タンクの支持構造を備えた杭打機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、クローラを備えた下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回ベアリングを介して旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前後左右4箇所に設けられたジャッキ装置と、前記上部旋回体の前部に起伏可能に設けられたリーダと、該リーダの前面に沿って昇降可能な作業装置とを備え、前記上部旋回体は、下面に旋回ベアリングが取り付けられる箱状のメインフレームと、該メインフレームの左右両側部に設けられたフロアフレームとが一体に結合されているフレーム体を有し、前記ジャッキ装置は、前記フロアフレームを間に挟んで前方に配置された左右一対のフロントジャッキと、後方に配置された左右一対のリヤジャッキとからなり、前記フロアフレームの左右片側には、エンジンパワーユニット及びエンジンからの排ガスを還元剤により浄化する排ガス浄化装置が搭載されるとともに、これらを一体で収容可能なハウスを備えている杭打機において、前記作業装置と前記エンジンパワーユニットとは、前記メインフレーム内を経由して引き回される油圧配管にて互いに接続され、前記フロントジャッキと前記フロアフレームとの間には、前記メインフレームの側壁を境界として前記油圧配管を途中で分離可能な油圧配管継手が設けられることにより、該油圧配管継手に対して作業装置側油圧配管の接続又は切離し作業を行うための空間が形成され、前記フロアフレームには、前記還元剤が貯留される還元剤タンクを前記空間に出入り可能に支持するタンク支持構造が設けられていることを特徴としている。
また、前記タンク支持構造は、前記還元剤タンクを収容する収容ケースと、該収容ケース及び前記フロアフレーム間に設けられた重合部と、該重合部を鉛直方向に貫通する回動ピンとを有し、前記収容ケースを前記空間内に移動させた進入位置と、前記空間外に移動させた退出位置との間で、前記回動ピンの軸心まわりに回動可能に構成されていることを特徴としている。
さらに、前記収容ケース内には、前記還元剤タンクを前記回動ピンから離間させることによって還元剤配管の引き回しを可能にする間隙が形成され、該間隙の大きさは、前記還元剤配管を前記還元剤タンクに接続した状態のままで、前記収容ケースの回動に伴う前記還元剤配管の変位を許容する大きさであることを特徴としている。
加えて、前記収容ケースの上面は、平坦に形成されることによって前記ハウスの上面との間で行き来が可能な足場となり、前記収容ケースの側面には、昇降ステップが設けられていることを特徴としている。
本発明の杭打機によれば、フロントジャッキとフロアフレームとの間において、作業装置側油圧配管の接続又は切離し作業を行うための空間を形成し、フロアフレームにおいて、還元剤タンクを前記空間に出入り可能に支持するタンク支持構造を設けているので、還元剤タンクを空間内に入れて支持すれば、ハウスの並びに還元剤タンクをコンパクトに搭載でき、空間外に出して支持すれば、組立や保守のために必要な作業スペースを確保できる。すなわち、車体上の限られた搭載スペースについて、その有効利用が可能な還元剤タンクの支持構造が得られる。
また、タンク支持構造が鉛直向きの回動ピンを有し、還元剤タンクの収容ケースを回動ピンまわりに回動可能に構成しているので、収容ケースを水平な面内において移動させることが可能になる。これにより、還元剤を貯留した還元剤タンクが重たくても、片持ち状態で安定的に支持できるとともに、進入位置から退出位置へ又はその逆へ移動させる操作を手動によって容易に行うことができる。とりわけ、進入又は退出位置のいずれの位置でも収容ケースの高さ位置や傾きが変化しないので、還元剤を補給する際には、還元剤タンクの給液口を車体から遠ざけた位置(退出位置)において、安全な姿勢で作業を行うことができる。
本発明の一形態例を示す杭打機の側面図である。 同じくベースマシンの側面図である。 同じくベースマシンの正面図である。 同じくベースマシンの平面図である。 タンク支持構造を示す側面図である。 同じく平面図である。 タンク支持構造の変形例を示す側面図である。 同じく平面図である。
図1乃至図8は、本発明の杭打機を示す図である。杭打機11は、図1に示すように、クローラ12aを備えた下部走行体12と、該下部走行体12上に旋回ベアリング13を介して旋回可能に設けられた上部旋回体14とで構成されたベースマシン15と、上部旋回体14の前部に立設したリーダ16と、該リーダ16を後方から支持するリーダ起伏シリンダ17とを備えている。また、上部旋回体14の前部には、リーダ16を起伏可能に支持するリーダサポート18が設けられ、上部旋回体14の前部上方には、リーダ16の後方で油圧ホース19や電気ケーブルなどの複数の配管を支持する配管案内アーム20が設けられている。さらに、上部旋回体14の前後左右の4箇所に安定用のジャッキ装置としてフロントジャッキ21及びリヤジャッキ22が設けられるとともに、上部旋回体14の後端部に杭打機11のバランスをとるためのカウンタウエイト23が搭載されている。
リーダ16は、前記リーダサポート18に設けられたベースマシン幅方向の支軸24に回動可能に取り付けられた基本リーダ25と、該基本リーダ25の上部に連結される上部リーダ26と、基本リーダ25の下部に連結される下部リーダ27とに分割形成され、さらに、上部リーダ26は、複数のリーダ部材に分割形成されている。これらの各リーダ部材は、上下端のフランジ部材によって連結され、ボルト・ナットを使用して着脱可能に構成されている。また、上部リーダ26の上端部にはトップシーブ28が、下部リーダ27の下部前方には着脱可能な振止部材29がそれぞれ配置されており、リーダ16の前面中央には、ラックピニオン式昇降装置の構成品の一つであるラック部材30が、両側面前端部には、左右一対のガイドパイプ31,31が、リーダ16の全長に亘ってそれぞれ連続的に設けられている。
作業装置の一例であるオーガ32は、前記ガイドパイプ31,31に摺接する左右一対のガイドギブ32a,32aが後方に突出して設けられるとともに、前記ラック部材30の両側に設けられているラックに歯合する左右一対のピニオンをオーガ昇降用油圧モータ32bで回転駆動することにより、リーダ16の前面に沿って昇降する。この杭打機11を工事現場で使用する場合には、例えば、施工部材として鋼管杭が使用される。鋼管杭33は、ギヤケース32cを貫通して取り付けたドライブロッド34の下端にロッドキャップ35を介して連結され、オーガ駆動用油圧モータ32dの駆動を受けて、ロッドキャップ35を回転させながらオーガ32を降下させることにより地中に圧入される。
上部旋回体14は、図2乃至図4に示すように、下面に旋回ベアリング13が取り付けられる矩形箱状のメインフレーム36と、該メインフレーム36の車幅方向両側部に枠組みされたフロアフレーム37,38とが一体的に結合されているフレーム体を有しており、各種大型部品は主にメインフレーム36に装着されている。また、前記ジャッキ装置は、フロアフレーム37,38を間に挟んで前後方向の両側において、前方に左右一対のフロントジャッキ21,21が、後方に左右一対のリヤジャッキ22,22がそれぞれ配置され、下端に接地板21a,22aを備えたジャッキシリンダ21b,22bを伸長させることによって車体を安定的に支持可能になっている。特に、フロントジャッキ21には、ジャッキシリンダ21bをリーダ16の側面付近に接地させることが可能なジャッキアーム21cを備えており、杭打ち施工時の安定性を向上させている。
右側のフロアフレーム37上の前部には、オーガ32や上部旋回体14、下部走行体12などを駆動させる操作がなされる運転室39が設置されている。また、右側のフロアフレーム37上の後部には、作動油タンクなどの油圧機器(図示せず)を収納する機器収納ハウス40が設けられている。一方、左側のフロアフレーム38上には、エンジンの駆動を受けて圧油を供給するための油圧源装置として、エンジンパワーユニットや、これに付属する燃料タンク、排ガス浄化装置などの複数の関連機器(図示せず)を収納するエンジン収納ハウス41が設けられている。各ハウス40,41は、略矩形箱型に形成され、複数の点検扉41a(反対側は図示せず)がそれぞれ設けられている。また、エンジン収納ハウス41の前部側には、階段41b及び転落防止用の手摺41cが設けられており、ハウスに上がって車体上の機器の保守などが行えるようになっている。
エンジンパワーユニットは、図示は省略するが、フロアフレーム38上に防振状態で搭載されたエンジンと、該エンジンにおける冷却ファンの存在側とは反対側となる後部側に、片持ち状に取り付けられた油圧ポンプ装置とを有して構成されている。また、フロアフレーム38上のエンジンの前部側には、つまり冷却ファンによる冷却風の流れ方向の上流側には、冷却ファンと対面して配置されたラジエータが設けられている。さらに、エンジン収納ハウス41内における階段41bの真下付近には燃料タンクが配置されている。
エンジンの吸気管には、エンジン収納ハウス41の上面41dに設置されたエアクリーナ42が接続されており、該エアクリーナ42で吸い込んだ新気(外部空気)をエンジンの各気筒に対して供給可能になっている。一方、エンジンの排気管には、高次の排ガス規制に対応する排ガス浄化装置が設けられている。排ガス浄化装置は、尿素水を還元剤とする選択還元型触媒(SCR)や、排気管のSCRに対して上流側に配置されるとともに、排気管内の排ガスに向けて尿素水を噴射する噴射ノズルなどを有している。これにより、燃焼後の排ガスは、排ガス浄化装置で浄化処理がなされた後、エンジン収納ハウス41の上部に設けられた排気口43から外部に排出される。具体的には、尿素水が噴射されると、高温雰囲気下の尿素水の分解反応でアンモニアが生成され、該アンモニアによって排ガス中のNOxが還元されて水と窒素に分解されるようになっている。
エンジンを駆動すると、エンジンパワーユニットから必要となる動力が、例えば、オーガ昇降用油圧モータ32b及びオーガ駆動用油圧モータ32dを作動させる圧油が得られ、オーガ32の昇降及び回転駆動を含む各種動作が行える。ここで、オーガ32とエンジンパワーユニットとは、メインフレーム36内を経由して引き回される複数の油圧ホースにて互いに接続されている。油圧ホースは、組立性や保守性の観点から、メインフレーム36の外側部分、つまりオーガ側油圧ホース19が分離可能に接続されている。具体的には、フロントジャッキ21とフロアフレーム38との間においてメインフレーム36の側壁36aが露出した部分に、該側壁36aを境界としてオーガ側油圧ホース19を分離可能な油圧配管継手(ホース継手)44が設けられている。これにより、フロントジャッキ21とフロアフレーム38とで前後方向に挟まれた空間に、油圧配管継手44に対してオーガ側油圧ホース19の接続又は切離し作業を行うための空間45が形成されている。
ところで、フロアフレーム38は、エンジンパワーユニットに加え、排ガス浄化装置など多くの機器が搭載されることから、その外形寸法が前後方向に大きくなっている。これにより、油圧配管継手44が設けられるメインフレーム36の側面領域は、フロアフレーム38に侵食されて狭くなっている。このような事情から、前記空間45は、オーガ側油圧ホース19の接続又は切離し作業が可能な広さを有しているものの、ジャッキアーム21cが前方に湾曲形成された分だけの広がりしかなく、狭隘な空間になっている。とりわけ、車体のコンパクト性が求められる小型の杭打機11では、もはや尿素水を貯留する還元剤タンク(尿素水タンク)をどのようにしてもエンジン収納ハウス41に収めることができないといった問題が生じている。
そこで、車体の限定されたスペースであるフロントジャッキ21とフロアフレーム38との間の空間45において、還元剤タンクの搭載を可能にすべく、フロアフレーム38には、還元剤タンクを空間45に出入り可能に支持するタンク支持構造を設けている。
タンク支持構造46は、図5及び図6に示すように、還元剤タンク47を収容する収容ケース48と、該収容ケース48及びフロアフレーム38間に設けられた重合部49と、該重合部49を鉛直方向に貫通する回動ピン50とを有している。フロアフレーム38と収容ケース48とは、互いの外側面38a,48aを面一に揃えて前後方向に横並びに位置され、収容ケース48の後部外側を凹ませて形成した段差部に、上下一対のフレーム側ブラケット38b,38bと、上下一対のケース側ブラケット48b,48bとを入れ子状に重ね合わせて重合部49を形成するとともに、該重合部49における互いのピン孔を一致させた状態で、回動ピン50が挿通されている。この回動機構によって、収容ケース48は、空間45内に移動した進入位置(図6の実線)と、空間45外に移動した退出位置(図6の想像線)との間で、回動ピン50の軸心まわりに、少なくとも90度以上の角度範囲に亘って回動(水平旋回)することが可能になっている。
収容ケース48は、還元剤タンク47の外形よりも若干大きく形成されることにより、還元剤タンク47をゆとりをもって収容可能であり、後端部に設けられた固定ブラケット48cをフロアフレーム38にボルト止めすることにより、前記進入位置に固定可能になっている。収容ケース48の上部前側には、還元剤タンク47の給液口キャップ47aに対応した位置に開閉自在な蓋体48dが設けられており、該蓋体48dを開くことで、還元剤タンク47への補給作業が行える。
収容ケース48の内部には、還元剤タンク47を回動ピン50から離間させることによって還元剤配管(尿素水ホース)51及び冷却配管(冷却水ホース)52の引き回しを可能にする間隙53が形成されている。間隙53の大きさは、還元剤配管51及び冷却配管52を還元剤タンク47の上面に備わる接続部47bにそれぞれ接続した状態のままで、収容ケース48の回動に伴う各配管51,52の変位を許容する大きさである。また、各配管51,52は、フロアフレーム38に設置された還元剤ポンプ装置(図示せず)との間でそれぞれ接続され、該還元剤ポンプ装置を作動することで、還元剤配管51は排ガス浄化装置に尿素水を供給し、冷却配管52はエンジンと還元剤タンク47との間で冷却水を循環させる。ここで、各配管51,52は、間隙53において、一定の弛みを有して引き回され、その弛み長さは、収容ケース48が進入位置から退出位置へ回動したとき、すなわち、最大に回動したときに引っ張られる長さよりも長く設定されている。
収容ケース48の上面48eは、平坦に形成されることによってエンジン収納ハウス41の上面41dとの間で行き来が可能な足場となっており、これに対応して、収容ケース48の下部には、外側面48aを凹ませて踏み面54aを形成した昇降ステップ54が設けられている。ここで、収容ケース48の配置にある程度の余裕があれば、昇降ステップの構造に関する変形例として、例えば、昇降ステップを凸状に形成することができる。具体的には、図7及び図8に示すように、収容ケース48の下部の前面48fにおいて、踏み面55aに滑り止め加工を施した昇降ステップ55を設けている。また、昇降ステップ55の内側角部には、隣接するジャッキアーム21cとの接触を避けるように、適宜な大きさの面取り部55bが設けられている。
このように形成された杭打機11では、製造現場においてエンジンパワーユニットを搭載する際、まず、フロアフレーム38上に、エンジンなどの大物部品から順に各種部品が搭載されてゆき、その後、エンジンの後部に油圧ポンプ装置が取り付けられるとともに、燃料タンクや作動油タンク、還元剤タンク47などに対して配管が接続され、その後、メインフレーム36に取り付けられる。このとき、油圧ポンプ装置からの油圧ホースは、一旦、メインフレーム36内の制御弁に接続され、該制御弁と油圧配管継手44との間をつなぐ複数の油圧ホースが、パワーユニット側油圧ホースとしてメインフレーム36内に引き回される。
続いて、用意した左右のハウス40,41に吊り治具が固定され、クレーンの吊り動作によって対応するフロアフレーム37,38に順次取り付けられる。そして、エンジン収納ハウス41の上面41dにエアクリーナ42などを取り付けることにより、エンジンパワーユニットの搭載が完了する。その後、ジャッキ装置など下回りの組立てに関する複数の工程を経て、上部旋回体14には、リーダ16やオーガ32などの各種大型部品が装着される。
ここで、オーガ側油圧ホース19は、その基端部が油圧配管継手44に接続され、配管案内アーム20に沿って拘束状態で案内されるとともにアーム先端(J字状屈曲部)20aにおいて拘束が解かれ、無拘束状態でオーガ32に備わる油圧コネクタ32eに接続される(図1)。以下では、オーガ側油圧ホース19の接続作業について、図5及び図6を参照しながら説明する。
まず、進入位置において保持された収容ケース48を退出位置へ回動して空間45の外に移動する。このとき、還元剤配管51及び冷却配管52は、収容ケース48の移動により引っ張られて変位(位置移動)するが、その長さ分は、間隙53に設定した弛みによって吸収される。続いて、クローラ12aを足場にして空間45に入り、複数本あるオーガ側油圧ホース19の全てを油圧配管継手44に接続する。そして、空間45から退避した後、収容ケース48を退出位置から進入位置へ回動して空間45内に移動する。このとき、還元剤配管51及び冷却配管52は、収容ケース48の移動により押し込まれて変位し、元の設定位置に復帰する。最後に、固定ブラケット48c及び複数のボルト48gで収容ケース48をフロアフレーム38に固定することにより、オーガ側油圧ホース19の接続作業が完了する。
オーガ32と上部旋回体14との間でホース接続を終えた杭打機11は、燃料や作動油、尿素水の供給工程を経て完成状態となり、エンジンパワーユニットを駆動することよって必要な動力が、例えば、オーガ昇降用油圧モータ32b及びオーガ駆動用油圧モータ32dを作動させる圧油が得られ、オーガ32の昇降及び回転駆動を含む各種動作によって杭打ち機能を発揮できる状態となる。
このように、本発明の杭打機11によれば、フロントジャッキ21とフロアフレーム38との間において、オーガ側油圧ホース19の接続又は切離し作業を行うための空間45を形成し、フロアフレーム38において、還元剤タンク47を前記空間45に出入り可能に支持するタンク支持構造46を設けているので、還元剤タンク47を空間45内に入れて支持すれば、エンジン収納ハウス41の並びに還元剤タンク47をコンパクトに搭載でき、空間45外に出して支持すれば、組立や保守のために必要な作業スペースを確保できる。すなわち、車体上の限られた搭載スペースについて、その有効利用が可能な還元剤タンク47の支持構造が得られる。
また、タンク支持構造46が鉛直向きの回動ピン50を有し、還元剤タンク47の収容ケース48を回動ピン50まわりに回動可能に構成しているので、収容ケース48を水平な面内において移動させることが可能になる。これにより、還元剤を貯留した還元剤タンク47が重たくても、片持ち状態で安定的に支持できるとともに、進入位置から退出位置へ又はその逆へ移動させる操作を手動によって容易に行うことができる。とりわけ、進入又は退出位置のいずれの位置でも収容ケース48の高さ位置や傾きが変化しないので、還元剤を補給する際には、還元剤タンク47の給液口を車体から遠ざけた位置(退出位置)において、安全な姿勢で作業を行うことができる。
さらに、収容ケース48内における回動ピン50の近傍に還元剤配管51の引き回しが可能な間隙53を形成し、該間隙53の大きさが、還元剤配管51の接続状態を保ちながら、収容ケース48の回動に伴う還元剤配管51の変位を許容する大きさであるため、還元剤配管51の無理な引き回しを回避し、かつ、動きの自由度を与えることが可能となる。これにより、組立を行う際に、その都度、還元剤配管51を外す手間がなくなり、リードタイムの短縮による生産性向上を図ることができる。とりわけ、保守においては、オーガ側油圧ホース19を交換する際の作業量を低減でき、これに加えて、排ガス浄化装置の動作設定をやり直す手間もなくせることから、作業量の低減効果が顕著に得られる。
また、収容ケース48の上面48eが平坦に形成されることにより、エンジン収納ハウス41の上面41dとの間で行き来が可能な足場になるので、杭打機11の組立や保守などを行う作業者の安全が確保される。しかも、収容ケース48の側面に昇降ステップ54,55を設けているので、昇降中の足運びが容易となり、足場を無理なく移動することができる。とりわけ、凹状の昇降ステップ54では、収容ケース48の外側面48aに設けても、踏み面54aが車幅から突出することを防止でき、一方、凸状の昇降ステップ55では、収容ケース48の前面48fに設けることで、踏み面55aを収容ケース48の奥行き方向へ拡大できるという利点がある。いずれの形態でも、タンク支持構造46における回動機構の機能を損なわずに、収容ケース48と昇降ステップ54,55とを、それぞれ空間45内に配置することが可能となる。これにより、フロントジャッキ21とフロアフレーム38との間の狭隘な空間を有効利用でき、もって、実用性の高い杭打機11を実現することができる。
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、タンク支持構造は、回動機構を採用することにより、軽量かつ安価で、その取り扱いも良好なものであるが、還元剤タンクを空間に出入り可能に支持できれば他の機構を採用してもよく、例えば、スライドレールを備えた引出し機構などを採用することができる。また、収容ケース内に設けた間隙は、還元剤配管などの引き回しが窮屈にならない程度に動き量を考慮して、その大きさを適宜に変更することができる。さらに、凹状及び凸状の昇降ステップを同時に設ければ、乗降経路の安全対策として有益である。
11…杭打機、12…下部走行体、12a…クローラ、13…旋回ベアリング、14…上部旋回体、15…ベースマシン、16…リーダ、17…リーダ起伏シリンダ、18…リーダサポート、19…油圧ホース、20…配管案内アーム、20a…アーム先端、21…フロントジャッキ、21a…接地板、21b…ジャッキシリンダ、21c…ジャッキアーム、22…リヤジャッキ、22a…接地板、22b…ジャッキシリンダ、23…カウンタウエイト、24…支軸、25…基本リーダ、26…上部リーダ、27…下部リーダ、28…トップシーブ、29…振止部材、30…ラック部材、31…ガイドパイプ、32…オーガ、32a…ガイドギブ、32b…オーガ昇降用油圧モータ、32c…ギヤケース、32d…オーガ駆動用油圧モータ、32e…油圧コネクタ、33…鋼管杭、34…ドライブロッド、35…ロッドキャップ、36…メインフレーム、36a…側壁、37,38…フロアフレーム、38a…外側面、38b…フレーム側ブラケット、39…運転室、40…機器収納ハウス、41…エンジン収納ハウス、41a…点検扉、41b…階段、41c…手摺、41d…上面、42…エアクリーナ、43…排気口、44…油圧配管継手、45…空間、46…タンク支持構造、47…還元剤タンク、47a…給液口キャップ、47b…接続部、48…収容ケース、48a…外側面、48b…ケース側ブラケット、48c…固定ブラケット、48d…蓋体、48e…上面、48f…前面、48g…ボルト、49…重合部、50…回動ピン、51…還元剤配管、52…冷却配管、53…間隙、54…昇降ステップ、54a…踏み面、55…昇降ステップ、55a…踏み面、55b…面取り部

Claims (4)

  1. クローラを備えた下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回ベアリングを介して旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前後左右4箇所に設けられたジャッキ装置と、前記上部旋回体の前部に起伏可能に設けられたリーダと、該リーダの前面に沿って昇降可能な作業装置とを備え、
    前記上部旋回体は、下面に旋回ベアリングが取り付けられる箱状のメインフレームと、該メインフレームの左右両側部に設けられたフロアフレームとが一体に結合されているフレーム体を有し、
    前記ジャッキ装置は、前記フロアフレームを間に挟んで前方に配置された左右一対のフロントジャッキと、後方に配置された左右一対のリヤジャッキとからなり、
    前記フロアフレームの左右片側には、エンジンパワーユニット及びエンジンからの排ガスを還元剤により浄化する排ガス浄化装置が搭載されるとともに、これらを一体で収容可能なハウスを備えている杭打機において、
    前記作業装置と前記エンジンパワーユニットとは、前記メインフレーム内を経由して引き回される油圧配管にて互いに接続され、
    前記フロントジャッキと前記フロアフレームとの間には、前記メインフレームの側壁を境界として前記油圧配管を途中で分離可能な油圧配管継手が設けられることにより、該油圧配管継手に対して作業装置側油圧配管の接続又は切離し作業を行うための空間が形成され、前記フロアフレームには、前記還元剤が貯留される還元剤タンクを前記空間に出入り可能に支持するタンク支持構造が設けられていることを特徴とする杭打機。
  2. 前記タンク支持構造は、前記還元剤タンクを収容する収容ケースと、該収容ケース及び前記フロアフレーム間に設けられた重合部と、該重合部を鉛直方向に貫通する回動ピンとを有し、前記収容ケースを前記空間内に移動させた進入位置と、前記空間外に移動させた退出位置との間で、前記回動ピンの軸心まわりに回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
  3. 前記収容ケース内には、前記還元剤タンクを前記回動ピンから離間させることによって還元剤配管の引き回しを可能にする間隙が形成され、該間隙の大きさは、前記還元剤配管を前記還元剤タンクに接続した状態のままで、前記収容ケースの回動に伴う前記還元剤配管の変位を許容する大きさであることを特徴とする請求項2記載の杭打機。
  4. 前記収容ケースの上面は、平坦に形成されることによって前記ハウスの上面との間で行き来が可能な足場となり、前記収容ケースの側面には、昇降ステップが設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の杭打機。
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