JP2021097064A - 金属ペースト、導電体、並びに、貫通電極を有する基体及びその製造方法 - Google Patents

金属ペースト、導電体、並びに、貫通電極を有する基体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 充分な導電性を有するとともに、温度変化を受けた場合であっても抵抗値が上昇しにくい導電体、充分な導電性を有すると共に接続信頼性に優れた貫通電極を有する基体及びその製造方法、並びに、貫通電極を形成するために用いられる金属ペーストを提供すること。【解決手段】 導電体は、ポーラス構造を有する銅焼結体と、該銅焼結体に点在的に存在するはんだと、を含み、空孔を有する金属体を備え、金属体が、空孔として、はんだの内部に存在する空隙及び/又ははんだと銅焼結体との間に存在する空隙を含む。貫通電極を有する基体は、貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に前記貫通孔が通じている基体と、貫通孔を充填する導電体とを備え、導電体が、上記の導電体である。導電体は、金属体の空孔内に存在する樹脂硬化物を更に備えていてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、金属ペースト、導電体、並びに、貫通電極を有する基体及びその製造方法に関する。
近年、電子機器又は部品の小型化、高機能化及び集積化のために、シリコン基板にシリコン貫通電極(TSV)と呼ばれる電極を介して、上下に配置されたシリコン基板を電気的に接続し、半導体チップを縦方向(高さ方向)に高密度に積層する三次元実装技術する技術が注目されている。
シリコン貫通電極を形成する手法としては、例えば、特許文献1には、シリコン基板に形成された非貫通ビアに、特定の銅めっき液を用いる電気めっきにより銅めっきする工程を含む、シリコン貫通電極を有する半導体デバイスの製造方法が開示されている。
特開2019−16712号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、銅被膜の析出速度を抑えてめっきを行う必要があるために作業時間が長くなり、生産性の点で課題がある。
一方で、シリコン貫通電極を有する基板には、充分な導電性を有しているだけでなく、温度変化を受けた場合であっても抵抗値が上昇しにくいという接続信頼性に優れていることが求められる。
そこで、本発明の一側面は、充分な導電性を有するとともに、温度変化を受けた場合であっても抵抗値が上昇しにくい導電体、充分な導電性を有すると共に接続信頼性に優れた貫通電極を有する基体及びその製造方法、並びに、貫通電極を形成するために用いられる金属ペーストを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポーラス構造を有する銅焼結体を含んでなる導電体において、銅焼結体中に特定の金属を点在させ、特定の部位に空隙が存在する金属体を設けることにより、クラックが発生しにくい導電体を形成することができることを見出した。そして、本発明者らは、このような導電体によって貫通孔が充填された貫通電極を有する基体が、充分に低い初期抵抗値を示すと共に温度サイクル接続信頼性試験においても抵抗値が上昇しにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本開示の一側面は、以下の発明を提供する。
[1] ポーラス構造を有する銅焼結体と、該銅焼結体に点在的に存在するはんだと、を含み、空孔を有する金属体を備え、金属体が、空孔として、はんだの内部に存在する空隙及び/又ははんだと銅焼結体との間に存在する空隙を含む、導電体。
[2] 上記はんだが、スズ又はスズ合金を含む、[1]に記載の導電体。
[3] 上記はんだが、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、[1]に記載の導電体。
[4] 上記金属体の空孔内に存在する樹脂硬化物を更に備える、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の導電体。
[5] 上記金属体の空孔率が、金属体の体積を基準として、1〜15体積%であり、導電体における樹脂硬化物の含有量が、金属体の空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上である、[4]に記載の導電体。
また、本開示の他の側面は、以下の発明を提供する。
[6] 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じている基体と、貫通孔を充填する導電体と、を備え、導電体が、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の導電体である、貫通電極を有する基体。
[7] 上記基体が、少なくとも貫通孔の壁面に設けられた金属被膜を備える、[6]に記載の貫通電極を有する基体。
[8] 貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dが10以上である、[6]又は[7]に記載の貫通電極を有する基体。
[9] 上記導電体が、上記基体の主面上の少なくとも一部を被覆する、[6]〜[8]のいずれか一項に記載の貫通電極を有する基体。
[10] 上記絶縁性基体がシリコンウェハであり、上記貫通電極がシリコン貫通電極である、[6]〜[9]のいずれか一項に記載の貫通電極を有する基体。
また、本開示の他の側面は、以下の発明を提供する。
[11] 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じている基体を準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含有し、空孔を有する金属体を形成する金属体形成工程を含む、貫通電極を有する基体の製造方法。
[12] 上記導電体形成工程が、上記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を更に含む、[11]に記載の方法。
[13] 非貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、一方の主面に非貫通孔が開口している基体を準備する準備工程と、非貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、導電体が形成された基体の非貫通孔が開口している面とは反対側を研削することにより、貫通電極を設ける研削工程と、を備え、導電体形成工程が、少なくとも非貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含有し、空孔を有する金属体を形成する金属体形成工程を含む、貫通電極を有する基体の製造方法。
[14] 上記導電体形成工程が、上記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を更に含む、[13]に記載の方法。
[15] 上記はんだが、スズ又はスズ合金を含む、[11]〜[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16] 上記はんだが、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、[11]〜[14]のいずれか一項に記載の方法。
[17] 上記金属体の空孔率が、金属体の体積を基準として、1〜15体積%である、[11]〜[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18] 上記導電体における樹脂硬化物の含有量が、金属体の空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上である、[12]又は[14]に記載の方法。
[19] 上記金属体形成工程において、金属体を、基体の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成する、[11]〜[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20] 上記基体の主面上に形成された導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程を更に備える、[19]に記載の方法。
[21] 貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dが10以上である、[11]〜[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22] 上記金属体形成工程が、基体の貫通孔に、銅粒子とはんだ粒子とを含む金属ペーストを充填するペースト充填工程と、金属ペーストを焼成して上記金属体を形成するペースト焼成工程と、を有する、[11]又は[12]に記載の方法。
[23] 上記金属体形成工程が、基体の非貫通孔に、銅粒子とはんだ粒子とを含む金属ペーストを充填するペースト充填工程と、金属ペーストを焼成して上記金属体を形成するペースト焼成工程と、を有する、[13]又は[14]に記載の方法。
[24] 上記金属ペーストが、上記銅粒子として、粒径が0.8μm以上である第1の銅粒子と、粒径が0.5μm以下である第2の銅粒子と、を含む、[22]又は[23]に記載の方法。
[25] 上記第1の銅粒子が扁平状である、[24]に記載の方法。
[26] 上記はんだ粒子が、スズ又はスズ合金を含む、[22]〜[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27] 上記はんだ粒子が、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、[22]〜[25]のいずれか一項に記載の方法。
[28] 上記金属ペーストを0.1MPa以上の加圧下で焼成する、[22]〜[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29] 上記金属ペーストを、窒素、水素又はギ酸を含む雰囲気下で焼成する、[22]〜[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30] 上記絶縁性基体がシリコンウェハであり、上記貫通電極がシリコン貫通電極である、[11]〜[29]のいずれか一項に記載の方法。
また、本開示の他の側面は、以下の発明を提供する。
[31] 貫通電極を形成するために用いられる金属ペーストであって、銅粒子及びはんだ粒子を含み、銅粒子として、粒径が0.8μm以上である第1の銅粒子と、粒径が0.5μm以下である第2の銅粒子と、を含有する、金属ペースト。
[32] 上記第1の銅粒子が扁平状である、[31]に記載の金属ペースト。
[33] 上記はんだ粒子が、スズ又はスズ合金を含む、[31]又は[32]に記載の金属ペースト。
[34] 上記はんだ粒子が、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、[31]又は[32]に記載の金属ペースト。
本発明の一側面によれば、充分な導電性を有するとともに、温度変化を受けた場合であっても抵抗値が上昇しにくい導電体、充分な導電性を有すると共に接続信頼性に優れた貫通電極を有する基体及びその製造方法、並びに、貫通電極を形成するために用いられる金属ペーストを提供することができる。
また、導電体が樹脂硬化物を更に備える場合の上記基体及び上記方法によれば、気密性及び非浸透性(液体が浸入しない特性)にも優れた、貫通電極を有する基体を提供することができる。
第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法を示す模式図である。 第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法を示す模式図である。 第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法を示す模式図である。 第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法を示す模式図である。 第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法及び第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体を示す模式図である。 第1の実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。 第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法を示す模式図である。 第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法及び第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体を示す模式図である。 第2の実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。 試験片を示す模式図である。 実施例1で作製したサンプルにおいて、はんだ(SnBi58)内部に空隙がある部分の断面写真である。 実施例1で作製したサンプルにおいて、はんだ(SnBi58)外周部に空隙がある部分の断面写真である。 実施例46で作製したサンプルにおいて、はんだ(Sn96.5Ag3Cu0.5)内部に空隙がある部分の断面写真である。 比較例1で作製したサンプルにおいて、銅層内部にクラックがある部分の断面写真である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法)
図1〜図5は、第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法を示す模式図である。
第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法は、貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じている基体を準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含有し、空孔を有する金属体を形成する金属体形成工程と、上記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を含む。
第1の実施形態に係る方法について、基体として、絶縁性基体がシリコンウェハであるシリコン基板を準備し、貫通電極を有する基体として、シリコン貫通電極を有する基板(以下、シリコン貫通電極基板という場合もある)を製造する場合を例に説明するが、以下の説明は、シリコンウェハを他の絶縁性基体に読み替えてもよい。他の絶縁性基体としては、ガラス基板、セラミック基板、プリント配線板、半導体パッケージ基板等が挙げられる。
<基体の準備工程>
この工程では、図1(a)に示されるように、貫通孔30が設けられているシリコンウエハ1と、貫通孔の壁面及びシリコンウエハ1の表面に設けられた金属被膜2とを有するシリコン基板40を準備することができる。貫通孔30は、シリコン基板40の両主面に通じている。
シリコンウエハ1の厚みとしては、焼結後の基板の反りを抑制する観点から、100μm以上、200μm以上、300μm以上であってよく、基板の軽量化及び高密度化の観点から、800μm以下、300μm以下、200μm以下又は100μm以下であってよい。
貫通孔30の孔径の上限値は、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、200μm以下、100μm以下又は60μm以下であってよく、貫通孔30の孔径の下限値は、特に制限されないが、20μm以上であってよく、50μm以上であってよい。
シリコン基板40に設けられる貫通孔30の個数は、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、基板の主面1cmあたり100個以上又は300個以上であってよい。
金属被膜2は、シリコンウエハ1の両主面上及び貫通孔30の壁面に設けられていてもよく、シリコンウエハ1の少なくとも一方の主面上及び貫通孔30の壁面に設けられていてもよく、貫通孔30の壁面にのみに設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。図1(a)に示される実施形態においては、シリコン基板40が、シリコンウエハ1の両主面上及び貫通孔30の壁面に金属被膜2を備えている。
金属被膜2としては、例えば、チタン、ニッケル、クロム、銅、アルミ、パラジウム、プラチナ及び金等が挙げられる。密着性の観点から、金属被膜2は、チタン、ニッケル及び銅をこの順に層形成した被膜であることが好ましい。シリコンウエハ1の表面を酸化させ酸化ケイ素にし、酸化ケイ素の上にチタン層を形成させることで、接着性が向上する。また、チタン層の上にニッケル層を設け、その上に銅層を設けることで、チタン層の上に直接銅層を設けた場合と比較して、銅がシリコンウエハ1内に拡散することを抑制できる。更に、表面に銅層を設けることで、後述する金属体形成工程で形成される金属体とシリコン基板40との接着性が向上する。
<金属体形成工程>
この工程では、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体及びはんだを含有し、空孔を有する金属体を形成する。本実施形態においては、金属体を、シリコン基板40の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成してもよい。この場合、シリコン基板40の貫通孔を充填する導電体を形成すると共に、シリコン基板40の主面上にも導電体を設けることができる。シリコン基板40の主面上に設けられた導電体は、配線及びシリコン貫通電極を形成することができる。
金属体形成工程は、シリコン基板の貫通孔に銅粒子及びはんだ粒子を含む金属ペーストを充填する金属ペースト充填工程と、上記金属ペーストを焼成して上記金属体を形成する金属ペースト焼成工程とを有するものであってもよい。金属体を、シリコン基板の主面上に形成する場合は、金属ペースト充填工程において、又はその後に、シリコン基板の両主面上にも金属ペーストの層を設けることができる。
上記の金属体形成工程としては、例えば、図1(b)に示されるように、銅粒子及びはんだ粒子を含む金属ペースト3をシリコン基板40に塗布し、金属ペースト3を貫通孔30に充填すると共に、シリコン基板40の両主面上にも金属ペースト3の層を設けることができる。金属ペースト3の詳細については後述する。
金属ペースト3をシリコン基板40に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等を用いて塗布する方法が挙げられる。
金属ペーストがシリコン基板の主面上にも塗布される場合、金属ペースト層の厚みは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよく、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、又は50μm以下であってよい。
金属ペースト3は、金属ペースト3の焼結時に銅粒子及びはんだ粒子が流動すること、及び、金属体に含まれる銅焼結体にボイドが発生することを抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。金属ペースト3を乾燥させる場合、乾燥時の雰囲気は、窒素及び希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素及びギ酸等の還元雰囲気中であってもよい。
乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥の温度及び時間は、使用した分散媒の種類及び量に合わせて適宜調整してもよい。乾燥の温度は、例えば、50℃以上であってよく、180℃以下であってよい。乾燥の時間は、例えば、1分間以上であってよく、120分間以下であってよい。
金属ペースト充填工程の後、金属ペースト3を焼成することにより、金属ペースト3に含まれる銅粒子を焼結させる。こうして、図2(c1)に示されるように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含み、空孔(ポーラス)4を有する金属体5が貫通孔30を充填する金属体充填シリコン基板50が得られる。本実施形態においては、シリコン基板40の両主面上にも金属体5が設けられた金属体充填シリコン基板50が得られる。図2(c2)は、金属体の構成を示す模式図である。金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体12と、銅焼結体12中に点在的に存在するはんだ14と、空孔4とを含む。金属体は、空孔4として、銅焼結体12のポーラス、はんだ14の内部に存在する空隙、銅焼結体12とはんだ14との間に存在する空隙を含むことができる。
焼成は加熱処理により行うことができる。加熱処理には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等の加熱手段を用いることができる。
焼成時の雰囲気は、銅焼結体の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってよく、金属ペースト3中の銅粒子の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。加圧せずに加熱して金属ペースト3を焼結させる場合には、純水素ガス中、又はフォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中がよく、純水素ガス中であることが好ましい。純水素ガス中で加熱することで、銅粒子の焼結温度を下げることが可能になる。純水素ガスを用いると、基板の厚みが600μmと厚く、貫通孔30の径が10μmと微小な径であっても、貫通孔30の中央部までガスが到達し、銅焼結体を含有する金属体5を得ることが容易になる。
加熱処理時の到達最高温度は、各部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上であってよく、350℃以下、300℃以下、又は260℃以下であってよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下において、焼結が充分に進行する傾向にある。到達最高温度保持時間は、分散媒を全て揮発させ、また、歩留まりを向上させるという観点から、1分間以上であってよく、60分間以下、40分間以下、又は30分間以下であってよい。
金属ペーストの焼成は、圧力を加えた状態で行われてもよい。この場合、純水素ガスを含む雰囲気下では、圧力が0.05MPa以上、0.1MPa以上、又は0.3MPa以上であってよく、20MPa以下、15MPa以下、又は10MPa以下であってよい。また、窒素ガスを含む雰囲気下では、圧力が1MPa以上、又は3MPa以上であってよく、20MPa以下、15MPa以下、又は10MPa以下であってよい。
圧力は、純水素ガスを用いた場合には0.05MPa以上、窒素ガスを用いた場合には1MPa以上とすることで、貫通孔30の中央部に形成された金属体5におけるボイドの発生を抑制しやすくなり、良好な導通性を有する金属体が得られやすい。また、圧力を上記の下限値以上とすることで、シリコン基板40が金属被膜2を有する場合には、金属被膜2と金属体5との接合強度を向上させやすくなる。更に、図1(b)に示されるように、金属ペースト層を設けたシリコン基板40を上下から加圧治具Aにより挟み込むことによって加圧する場合、加圧治具Aにかかる圧力を上記の下限値以上とすることで、シリコン基板40の主面上に形成される金属体の表面を平滑にしやすくなる。金属体の表面が平滑であると、後の工程でエッチング等により配線を形成する際に、微細配線を形成しやすくなる利点がある。加圧治具Aとしては、特に限定されないが、市販のものであってよく、平坦部を有する金属部材を用いて作製することもできる。例えば、上記の金属部材を2つ以上有する加圧治具は、平坦部が対向するように配置した金属部材の間にシリコン基板を挟み込むことで、シリコン基板を加圧することができる。加圧治具Aは、シリコン基板に加わる圧力を調整する機構を有するものであってよい。圧力調整手段としては、バネなどを用いることができる。
圧力が20MPa以下であれば、シリコン基板40の反りを抑制しやすくなる。このような効果が得られる理由を本発明者らは以下のとおり推察する。まず、圧力を上げると、金属ペーストに含まれる銅粒子の焼結密度(特には、加圧治具Aと接触する側の緻密度)が上昇して、形成される銅焼結体の熱膨張率は、一般的な銅の25℃における熱膨張率16.5μm/(m・K)に近づくと考えられる。一方、シリコンの25℃における熱膨張率は2.6μm/(m・K)である。そのため、銅焼結体の緻密度が上がるにしたがって、銅焼結体とシリコンとの熱膨張率の差は大きくなり、反りが発生しやすくなると考えられる。本実施形態においては、圧力を20MPa以下とすることで、銅焼結体の緻密度の上昇が適度に抑制された結果、銅焼結体とシリコンとの熱膨張率の差がより小さくなり、反りが抑制されたものと考えている。
また、焼成時に受ける圧力が上記範囲内であれば、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうことなく、ボイドの低減、接合強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。金属ペーストを塗布したシリコン基板に圧力を加える方法としては、例えば、重りを載せる方法、加圧装置を用いて加圧する方法、加圧するための固定冶具を用いて加圧する方法等が挙げられる。
金属体の体積抵抗率を下げる観点から、シリコン基板の主面上に形成される金属体の空孔率(金属体に含まれる空孔の割合)は、金属体の全体積(空孔を含む)を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、金属体5の空孔率は、シリコン基板40の割れ及び反りを抑制できる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
シリコン基板の主面上に形成される金属体が上記のポーラス構造を有することで、熱膨張率を下げることが可能となり、シリコンウエハとの熱膨張率差を低減することができ、シリコン基板の割れ及び反りを抑制することができる。
金属体の体積抵抗率を下げる観点から、貫通孔に充填された金属体の空孔率は、金属体の空孔率(金属体に含まれる空孔の割合)は、金属体の全体積(空孔を含む)を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、金属体5の空孔率は、銅焼結体に加わる応力を緩和して、シリコン基板の割れ及び反りを抑制できる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
貫通孔に充填された金属体が上記のポーラス構造を有することで、金属体に加わる応力を緩和して、シリコン基板の割れ及び反りを抑制できる。
なお、金属体の空孔率は、以下の手順により算出される。
(i)集束イオンビームによって金属体充填シリコン基板の金属体の断面(基板の厚み方向の切断面)を露出させる。
(ii)露出させた断面を走査型電子顕微鏡により断面画像(基板の厚み方向に10μm及び基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲)を撮影する。
(iii)金属部分とポーラス部分とが分かれるように、得られた断面画像を2値化処理する。
(iv)2値化処理された断面画像から、金属体断面の全面積に対するポーラス部分の面積の比率を金属体の空孔率とする。
貫通孔に充填された金属体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、貫通孔に充填された金属体の中央部の断面を露出させる。貫通孔に充填された金属体の中央部の空孔率を算出する場合には、貫通孔に充填された金属体の中央部から、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察する。金属体充填シリコン基板の主面上に形成された金属体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、主面上の金属体の断面を露出させる。金属体充填シリコン基板の主面上に形成された金属体の空孔率を算出する場合には、主面上に形成された金属体の表面から5μmまでの領域を観察する。
後述する導電体における樹脂硬化物の充填率の算出のために用いられる金属体の空孔率の算出の際には、金属体の観察箇所は、導電体の観察箇所と同様の箇所となるように適宜設定することができる。
また、焼成時に受ける圧力が上記範囲内であれば、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうことなく、ボイドの低減、接合強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。金属ペーストを塗布したシリコン基板に圧力を加える方法としては、例えば、重りを載せる方法、加圧装置を用いて加圧する方法、加圧するための固定治具を用いて加圧する方法等が挙げられる。
金属体に含まれる銅焼結体は、構成する元素のうち軽元素を除いた元素中の銅元素の割合が95質量%以上であってもよく、97質量%以上であってもよく、98質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。銅焼結体における銅元素の上記割合が、上記範囲内であれば、金属間化合物の形成又は金属銅結晶粒界への異種元素の析出を抑制でき、銅焼結体を構成する金属銅の性質が強固になりやすく、より一層優れた接続信頼性が得られやすい。
金属体に含まれるはんだの含有量は、金属体に含まれる銅焼結体100質量部に対して、金属体のクラックを抑制する観点から、3質量部以上、10質量部以上、又は10質量部以上であってもよく、金属体の体積抵抗率を下げる観点から、20質量部以下、15質量部以下、又は10質量部以下であってもよい。
金属体形成工程において、金属ペーストを加圧せずに加熱して焼成してもよい。この場合、シリコン基板の主面上に形成された金属体の空孔率が大きくなる傾向にあり、金属体の熱膨張率を下がることにより、シリコン基板の割れ及び反りが発生しにくくなる。
<樹脂含浸工程>
この工程では、例えば、金属体形成工程を経て得られる金属体充填シリコン基板50に硬化性樹脂組成物を塗布することで、金属体5に硬化性樹脂組成物を含浸することができる。本実施形態では、貫通孔30を充填する金属体5及びシリコン基板40の両主面上に形成された金属体5に硬化性樹脂組成物が含浸される。なお、含浸した硬化性樹脂組成物によって、金属体5の空孔4が充分に充填されることが好ましい。
(硬化性樹脂組成物)
硬化性樹脂組成物を構成する成分としては、熱硬化性化合物が挙げられる。熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、硬化性樹脂組成物の硬化性及び粘度をより一層良好にし、高温放置における特性及び絶縁信頼性を向上させる点から、エポキシ化合物であってよい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化剤を更に含んでもよい。熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、低温で速やかに硬化可能である点で、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなる観点から、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。ポリチオール硬化剤の溶解度パラメーターは、好ましくは9.5以上、好ましくは12以下である。上記溶解度パラメーターは、Fedors法にて計算される。例えば、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは9.6、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは11.4である。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の塗布方法は、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等によって塗布する方法が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、金属体充填シリコン基板50の一方の主面上に塗布してもよく、主面上の一部に塗布してもよい。樹脂組成物を金属体充填シリコン基板50の両面に塗布する場合、金属体充填シリコン基板50の一方の主面上に対して樹脂組成物を塗布し、金属体充填シリコン基板50の樹脂組成物を塗布しなかった主面側まで樹脂組成物を浸透させ、その後、樹脂組成物を塗布しなかった主面上に樹脂組成物を塗布してもよい。これにより、空孔4に樹脂組成物をいきわたらせることができる。
硬化性樹脂組成物を塗布した金属体充填シリコン基板50は、減圧環境下に放置することで、金属体5の空孔4への硬化性樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。
樹脂含浸工程では、樹脂硬化工程を経て形成される導電体における樹脂硬化物の充填率が後述する好ましい範囲となるように、金属体に硬化樹脂組成物を含浸することが好ましい。
<樹脂硬化工程>
この工程では、図3(d1)に示されるように、金属体5に含浸させた硬化性樹脂組成物(空孔4に充填された硬化性樹脂組成物)を硬化させることで、空孔4に樹脂硬化物6が充填された金属体5を含んでなる導電体35が形成され、貫通孔30にシリコン貫通電極が設けられたシリコン貫通電極を有する基板51を得ることができる。本実施形態の場合、シリコン基板40の両主面上にもポーラス4に樹脂硬化物6が充填された金属体5を含んでなる導電体35が設けられている。図3(d2)は、導電体の構成を示す模式図である。導電体は、銅焼結体12と、はんだ14と、空孔に充填された樹脂硬化物6とを含む。はんだ14は、導電体35中に点在していてもよい。樹脂硬化物6は、銅焼結体12のポーラス、はんだ14の内部に存在する空隙、銅焼結体12とはんだ14との間に存在する空隙に存在していてもよい。
硬化性樹脂組成物の硬化は、加熱処理により行うことができる。加熱処理は、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等の加熱手段を用いることができる。
樹脂硬化工程における雰囲気は、金属体5(特には銅焼結体)の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってよく、金属体5(特には銅焼結体)の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。
樹脂硬化工程における加熱処理時の到達最高温度は、各部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上であってよく、350℃以下、300℃以下、又は260℃以下であってよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下において、樹脂組成物の硬化が充分に進行する傾向にある。
樹脂硬化工程で形成される導電体35(導電体除去工程前の導電体)は、樹脂硬化物6の含有量(充填率)が下記の条件を満たすものであってもよい。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長における中心且つそこでの孔径における中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S1から深さ10μmまでの領域において(図3の(d1)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S1から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S1から深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S2から深さ5μmまでの領域において(図3の(d1)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S2から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S2から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S2からの深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
導電体35における樹脂硬化物6の充填率は、以下の手順により算出される。
(i)集束イオンビームによって導電体充填シリコン基板の導電体の断面(基板の厚み方向の切断面)を露出させる。
(ii)露出させた断面を走査型電子顕微鏡により断面画像(基板の厚み方向に10μm及び基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲)を撮影する。
(iii)金属部分及び樹脂硬化物部分と、樹脂硬化物により埋まっていないポーラス部分とが分かれるように、得られた断面画像を2値化処理する。
(iv)2値化処理された断面画像から、導電体断面の全面積に対する樹脂硬化物により埋まっていないポーラス部分の面積の比率を求め、これを導電体の空孔率とする。
(v)硬化性樹脂組成物を含浸する前の金属体の空孔率と、導電体の空孔率とを下記式(1)に代入することにより、導電体における樹脂硬化物の充填率を算出する。
導電体における樹脂硬化物の充填率(%)=[(B−A)/B]×100・・・式(1)
[式(1)中、Aは導電体の空孔率(%)を示し、Bは金属体の空孔率(%)を示す。]
貫通孔に充填された導電体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、貫通孔内の導電体の中央部の断面を露出させる。導電体充填シリコン基板の主面上に形成された導電体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、主面上の導電体の断面を露出させる。
<導電体除去工程>
この工程では、シリコン基板40の主面上に形成された導電体35の少なくとも一部を除去することができる。導電体を除去する手段としては、化学的研磨、機械的研磨、化学的機械的研磨、フライカット処理及びプラズマ処理等が挙げられる。フライカット処理とは、サーフェースプレーナによる切削平坦化を意味する。
本実施形態においては、一般的な手法で、簡易に適用できる観点から、除去手段が、エッチング、機械的研磨及び化学的機械的研磨からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
本実施形態のシリコン貫通電極を有するシリコン基板の製造方法は、導電体除去工程を備えることにより、例えば、シリコン基板40の主面上に形成された導電体35の表面が平坦となり、配線の形成が容易となる。
本実施形態においては、導電体除去工程後の導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長における中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S3から深さ10μmまでの領域において(図4の(e)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S3から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S3から深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S4から深さ5μmまでの領域において(図4の(e)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S4から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S4から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S4からの深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
シリコン貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dは、得られる半導体装置の高密度化をはかる観点から、1以上、5以上又は10以上であってよく、15以下であってよく、10以下であってよく、5以下であってよい。シリコン貫通電極の長さLは、シリコン貫通電極を有する基板の厚みとしてもよい。この場合、シリコン貫通電極の孔径Dに対するシリコン貫通電極を有する基板の厚みTの比T/Dが上記範囲であってもよい。
本実施形態の貫通電極を有する基体の製造方法においては、導電体に樹脂硬化物を充填しているが、上記の樹脂含浸工程及び樹脂硬化工程を省いて、金属体から貫通電極を形成してよい。
本実施形態の貫通電極を有する基体の製造方法は、配線形成工程を更に備えることができる。配線形成工程は、以下で説明するレジスト形成工程、エッチング工程、及びレジスト除去工程を有することができる。
<レジスト形成工程>
レジスト形成工程では、図4(f)に示すように、シリコン基板40の主面上に形成された導電体35上にエッチングレジスト8を形成する。
エッチングレジスト8を形成する方法としては、例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷する方法、又はエッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートし、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光して、露光しなかった箇所を現像液で除去する方法等が挙げられる。
<エッチング工程>
エッチング工程では、図5(g)に示すように、エッチングレジスト8により被覆されていない部分の導電体35をエッチングにより除去する。本実施形態においては、シリコンウエハ1の両主面上に設けられた金属被膜2の一部がエッチングにより除去されている。
エッチングの方法としては、例えば、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液等、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いる方法等が挙げられる。
<レジスト除去工程>
レジスト除去工程では、導電体35上に形成されたエッチングレジスト8を除去する。
本実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法は、上記工程を有する配線形成工程を更に備えることで、シリコン基板40の主面上に導電体35を含む配線9を形成することができる。
(第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体)
図5(h)は、上述の第1の実施形態に係る方法によって製造することができるシリコン貫通電極を有する基板の一実施形態を示す断面図である。図5(h)に示すシリコン貫通電極を有する基板52は、貫通孔30が設けられているシリコンウエハ1を含み、両主面に貫通孔30が通じているシリコン基板と、貫通孔30を充填する導電体とを備える。導電体35は、ポーラス構造を有する銅焼結体と、該銅焼結体に点在的に存在するはんだとを含み、空孔4を有する金属体5を備え、金属体5は、空孔4として、はんだの内部に存在する空隙及び/又ははんだと銅焼結体との間に存在する空隙を含んでいる。この導電体35は、空孔4に充填された樹脂硬化物6を更に備えている。
図5(h)に示されるシリコン貫通電極を有する基板52は、シリコンウエハ1の両主面上及び貫通孔の壁面に金属被膜2が設けられているが、金属被膜2は、主面上に設けられていなくてもよく、一方の主面上にのみ設けられていてもよく、貫通孔の壁面に設けられていなくてもよい。また、シリコン貫通電極を有する基板52は、シリコン基板40の両主面上に金属被膜2及び導電体35を含んでなる配線9が設けられているが、配線9は、シリコン基板40の一方の主面上に設けられていてもよい。
シリコン貫通電極を有する基板52は、導電体における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長における中心且つそこでの孔径における中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体の表面とが交わる点S5から深さ10μmまでの領域において(図5(h)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S5から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S5から深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体の表面S6から深さ5μmまでの領域において(図5(h)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S6から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S6から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S6からの深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(第1の実施形態に係る半導体装置)
第1の実施形態に係る貫通電極を有する基体(シリコン貫通電極を有する基板)を用いて製造される半導体装置について図6を用いて具体的に説明する。図6は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図6(a)に示す半導体装置100は、インタポーザー基板25上の配線27と、シリコン貫通電極を有する基板52の導電体35とが直接接続されることにより、インタポーザー基板25とシリコン貫通電極を有する基板52とがフリップチップ接続されている。インタポーザー基板25とシリコン貫通電極を有する基板52との空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。上記シリコン貫通電極を有する基板52におけるインタポーザー基板25と反対側の主面上には、シリコン貫通電極を有する基板52が繰り返し積層されている。シリコン貫通電極を有する基板52同士は、導電体35により接続されている。シリコン貫通電極を有する基板52同士の間の空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。
半導体装置100は、例えば、下記の方法によって得られるものであってよい。すなわち、シリコン貫通電極を有する基板52を接着剤を介して積層し、積層体を得る。接着剤は、積層時に硬化されていてよい。得られた積層体とインタポーザー基板25とを圧着することで、電気的に接続し、積層体とインタポーザー基板25とが電気的に接続された接続体を形成する。形成した接続体の該インタポーザー基板25が設けられている面とは反対側の面にダイシングテープを貼り付け、ダイシングラインに沿ってダイシングを行うことで、半導体装置100が得られる。
図6(b)に示す半導体装置200は、インタポーザー基板25上の配線27と、シリコン貫通電極を有する基板52の導電体35とが、微細バンプ15を介して接続されることにより、インタポーザー基板25とシリコン貫通電極を有する基板52とがフリップチップ接続されている。インタポーザー基板25とシリコン貫通電極を有する基板52との空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。上記シリコン貫通電極を有する基板52におけるインタポーザー基板25と反対側の主面上には、微細バンプ15を介してシリコン貫通電極を有する基板52が繰り返し積層されている。シリコン貫通電極を有する基板52同士の間の空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。
半導体装置200は、例えば、下記の方法によって得られるものであってよい。すなわち、一方の主面上に微細バンプ15が設けられたシリコン貫通電極を有する基板52を接着剤を介して積層し、積層体を得る。接着剤は、積層時に硬化されていてよい。得られた積層体とインタポーザー基板25とを圧着することで、電気的に接続し、積層体とインタポーザー基板25とが電気的に接続された接続体を形成する。形成した接続体の該インタポーザー基板25が設けられている面とは反対側の面にダイシングテープを貼り付け、ダイシングラインに沿ってダイシングを行うことで、半導体装置200が得られる。
(第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法)
図7及び図8は、第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法として、シリコン貫通電極を有する基板の製造方法を示す模式図である。
第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法は、非貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、一方の主面に非貫通孔が開口している基体を準備する準備工程と、非貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、導電体が形成された基体の非貫通孔が開口している面とは反対側を研削することにより、貫通電極を設ける研削工程と、を備え、導電体形成工程が、少なくとも非貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含有し、空孔を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程とを含む。
第2の実施形態に係る方法についても、第1の実施形態に係る方法と同様に、基体として、絶縁性基体がシリコンウェハであるシリコン基板を準備し、貫通電極を有する基体として、シリコン貫通電極を有する基板を製造する場合を例に説明するが、以下の説明は、シリコンウェハを他の絶縁性基体に読み替えることができる。
<基体の準備工程>
この工程では、図7(a)に示されるように、非貫通孔31が設けられているシリコンウエハ1と、非貫通孔31の壁面及び底面並びにシリコンウエハ1の表面に設けられた金属被膜2とを有するシリコン基板41を準備することができる。非貫通孔31は、シリコンウエハ1の一方の主面に開口している。
シリコンウエハ1の厚みとしては、焼結後の基板の反りを抑制する観点から、20μm以上、30μm以上又は50μm以上であってよく、500μm以下、400μm以下又は300μm以下であってよい。
非貫通孔31の孔径の上限値は、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、200μm以下、100μm以下又は60μm以下であってよく、非貫通孔31の孔径の下限値は、特に制限されないが、10μm以上であってよく、30μm以上であってよい。
非貫通孔31の孔長(孔の深さ)は、形成するシリコン貫通電極の長さに応じて適宜設定することができる。
金属被膜2は、シリコンウエハ1における非貫通孔31が開口している面並びに非貫通孔31の壁面及び底面に設けられていてもよく、非貫通孔31の壁面及び底面に設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。図7(a)に示される実施形態においては、シリコン基板41が、シリコンウエハ1における非貫通孔31が開口している面並びに非貫通孔31の壁面及び底面に金属被膜2を備えている。
金属被膜2としては、第1の実施形態と同様の材質を用いることができる。
<金属体形成工程>
この工程では、少なくとも非貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体及びはんだを含有し、空孔を有する金属体を形成する。本実施形態においては、金属体を、シリコン基板41における非貫通孔31が開口している面の少なくとも一部を被覆するように形成してもよい。この場合、シリコン基板41の非貫通孔31を充填する導電体を形成すると共に、シリコン基板41における非貫通孔31が開口している面にも導電体を設けることができる。
金属体形成工程は、シリコン基板の非貫通孔に銅粒子及びはんだ粒子を含む金属ペーストを充填する金属ペースト充填工程と、金属ペーストを焼成して金属体を形成する金属ペースト焼成工程とを有するものであってもよい。シリコン基板における非貫通孔が開口している面上に金属体を形成する場合は、金属ペースト充填工程において、又はその後に、シリコン基板における非貫通孔が開口している面上にも金属ペーストの層を設けることができる。
上記の金属体形成工程としては、例えば、図7(b)に示されるように、銅粒子及びはんだ粒子を含む金属ペースト3をシリコン基板41に塗布し、金属ペースト3を非貫通孔31に充填すると共に、シリコン基板41における非貫通孔31が開口している面上にも金属ペースト3の層を設けることができる。金属ペースト3の詳細については後述する。
金属ペースト3をシリコン基板41に塗布する方法は、第1の実施形態と同様の方法が挙げられる。
シリコン基板41における非貫通孔31が開口している面上にも金属ペーストが塗布される場合、金属ペースト層の厚みは、シリコン基板41の反り抑制及び後述する導電体除去工程における負担軽減の観点から、30μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下であってよい。
金属ペースト3は、第1の実施形態と同様に適宜乾燥させてもよい。金属ペースト3を乾燥させる場合、乾燥時の雰囲気、乾燥方法、乾燥の温度は、第1の実施形態と同様であってよい。
金属ペースト充填工程の後、金属ペースト3を焼成することにより、金属ペースト3に含まれる銅粒子を焼結させる。こうして、図8(c)に示されるように、非貫通孔31に、ポーラス4を含む、すなわちポーラス構造を有する金属体5が充填された金属体充填シリコン基板60が得られる。本実施形態においては、シリコン基板41における非貫通孔31が開口している面上にも金属体5が設けられた金属体充填シリコン基板60が得られる。
焼成の条件は、第1の実施形態と同様であってよい。
シリコン基板における非貫通孔が開口している面上に形成される金属体の空孔率は、第1の実施形態におけるシリコン基板の主面上に形成される金属体の空孔率と同様であってよい。金属体の空孔率は、第1の実施形態と同様の手順で算出することができる。
非貫通孔に充填された金属体の空孔率は、第1の実施形態における貫通孔に充填された金属体の空孔率と同様であってよい。
金属体に含まれる銅焼結体における、構成する元素のうち軽元素を除いた元素中の銅元素の割合は、第1の実施形態と同様であってよい。また、金属体に含まれるはんだの含有量についても、第1の実施形態と同様であってよい。
<樹脂含浸工程>
この工程では、例えば、金属体形成工程を経て得られる金属体充填シリコン基板60に硬化性樹脂組成物を塗布することで、金属体5に硬化性樹脂組成物を含浸することができる。本実施形態では、非貫通孔31を充填する金属体5及びシリコン基板41における非貫通孔が開口している面上に形成された金属体5に硬化性樹脂組成物が含浸される。なお、含浸した硬化性樹脂組成物によって、金属体5の空孔4が充分に充填されることが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。硬化性樹脂組成物の塗布方法は、第1の実施形態と同様の方法が挙げられる。金属体5の空孔4への硬化樹脂組成物の充填率は、樹脂硬化工程後の導電体35の樹脂硬化物6の充填率にあわせて適宜変更することができる。
<樹脂硬化工程>
この工程では、金属体5に含浸させた硬化性樹脂組成物(空孔4に充填された硬化性樹脂組成物)を硬化させることで、空孔4に樹脂硬化物6が充填された金属体5を含んでなる導電体35が形成される。本実施形態の場合、シリコン基板41における非貫通孔が開口している面上にも空孔4に樹脂硬化物6が充填された金属体5を含んでなる導電体35が設けられている。
樹脂硬化工程における樹脂組成物の硬化条件は、第1の実施形態と同様であってよい。
樹脂硬化工程で形成される導電体(導電体除去工程及び研削工程前の導電体)は、形成するシリコン貫通電極における樹脂硬化物の充填率が後述する条件となるように、樹脂硬化物の充填率が調整されていてもよい。例えば、導電体は、樹脂硬化物の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。
(非貫通孔の導電体)
(a)非貫通孔の中央部(孔長における中心且つそこでの孔径における中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線と、導電体の表面とが交わる点から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)非貫通孔の中央部を通り、基板の厚み方向に伸びる線と、導電体の表面とが交わる点から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)非貫通孔の中央部を通り、基板の厚み方向に伸びる線と、導電体の表面とが交わる点から深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体の表面から深さ5μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体の表面から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)基板の主面に形成された導電体の表面から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)基板の主面に形成された導電体の表面からの深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
導電体における樹脂硬化物6の充填率は、第1の実施形態に係るシリコン貫通電極を有する基板の製造方法において説明した手順と同様にして算出される。
<導電体除去工程>
本実施形態のシリコン貫通電極を有する基板の製造方法は、樹脂硬化工程後に導電体除去工程を更に有していてもよい。この工程では、シリコン基板41の一方の主面上に形成された導電体35の少なくとも一部を除去することができる。導電体を除去する手段は、第1の実施形態と同様であってよい。
<研削工程>
この工程では、図8(d)に示されるように、導電体35が形成されたシリコン基板の非貫通孔31が開口している面とは反対側を研削することにより、シリコン電極が設けられたシリコン貫通電極を有する基板61を得ることができる。すなわち、この工程では、研削により、シリコン基板の非貫通孔31が開口している面とは反対側にも導電体35を露出させて、シリコン貫通電極を形成する。図8(d)においては、導電体除去工程により、シリコン基板の非貫通孔31が開口している面上に形成された導電体35が除去されている。
研削の方法としては、例えば、機械的研磨及び化学的機械的研磨等が挙げられる。
本実施形態においては、研削工程後の導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(a)シリコン貫通電極の中央部E(長さLにおける中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L2と、導電体35の表面とが交わる点S21から深さ10μmまでの領域において(図8の(d)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S21から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S21から深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)シリコン貫通電極の中央部Eから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
シリコン貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dは、第1の実施形態と同様であってよい。
本実施形態の貫通電極を有する基体の製造方法においては、導電体に樹脂硬化物を充填しているが、上記の樹脂含浸工程及び樹脂硬化工程を省いて、金属体から貫通電極を形成してよい。
また、第2の本実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法は、上述の第1の実施形態に係る方法と同様の配線形成工程を更に備えることができる。
(第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体)
図8(d)は、上述の第2の実施形態に係る方法によって製造することができるシリコン貫通電極を有する基板の一実施形態を示す断面図である。図8(d)に示すシリコン貫通電極を有する基板61は、貫通孔が設けられているシリコンウエハ1を含み、両主面に貫通孔が通じているシリコン基板と、貫通孔を充填する導電体35とを備える。導電体35は、ポーラス構造を有する銅焼結体と、該銅焼結体に点在的に存在するはんだとを含み、空孔4を有する金属体5を備え、金属体5は、空孔4として、はんだの内部に存在する空隙及び/又ははんだと銅焼結体との間に存在する空隙を含んでいる。この導電体35は、空孔4に充填された樹脂硬化物6を更に備えている。
図8(d)に示されるシリコン貫通電極を有する基板61は、両主面上に導電体35が形成されていないが、一方の主面上に導電体35が形成されていてもよい。図8(d)に示されるシリコン貫通電極を有する基板61は、貫通孔の壁面に金属被膜2が設けられているが、金属被膜2は、貫通孔の壁面に設けられていなくてもよい。
シリコン貫通電極を有する基板61に含まれる導電体35の樹脂硬化物6の充填率は、研削工程後の導電体35における樹脂硬化物6の充填率と同様であってよい。
(第2の実施形態に係る半導体装置)
第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体(シリコン貫通電極を有する基板)を用いて製造される半導体装置について図9を用いて具体的に説明する。図9は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図9に示す半導体装置300は、シリコン貫通電極を有する基板61が繰り返し積層されている。シリコン貫通電極を有する基板61同士は、電気的に接続されている。
半導体装置300は、導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(シリコン貫通電極の導電体)
(a)シリコン貫通電極の中央部E(長さLにおける中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L2と、導電体35の表面とが交わる点S22から深さ10μmまでの領域において(図9を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S22から深さ10〜20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S22から深さ20〜30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)シリコン貫通電極の中央部Eから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(金属ペースト)
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る貫通電極を有する基体の製造方法で用いられる、銅粒子及びはんだ粒子を含む金属ペーストについて説明する。
金属ペーストは、銅粒子として、例えば、粒径(最大径)が0.8μm以上である第1の銅粒子を含んでよい。
第1の銅粒子の粒径(最大径)は、1.2μm以上であってもよい。第1の銅粒子の粒径(最大径)は、10μm以下であってよく、8.0μm以下であってもよい。
金属ペーストに含まれる第1の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、貫通孔内での焼結密度を向上させて、貫通孔に発生するボイドを抑制する観点から、0.8μm以上又は1.2μm以上であってよく、10μm以下又は8μm以下であってよい。
第1の銅粒子の粒径(最大径)及び平均粒径(平均最大径)は、例えば、粒子のSEM像から求めることができる。第1の銅粒子の粒径(最大径)をSEM像から算出する方法を例示する。第1の銅粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により5000倍で観察する。SEM像の第1の銅粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の粒径(最大径)とする。複数のSEM像を用いて、この測定を50個以上の第1の銅粒子に対して行い、粒径の平均値(平均最大径)を算出する。
第1の銅粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。第1の銅粒子は、これらの形状を有する銅粒子の凝集体であってもよい。
第1の銅粒子は、好ましくは扁平状(フレーク状)である。この場合、第1の銅粒子が金属ペーストの塗布面に対して略平行に配向することで、金属ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に発生するボイドを抑制することが容易となる。また、金属ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制されることで、基体(例えば、シリコン基板)の少なくとも一方の主面上に形成した金属体におけるクラックを抑制することができる。
第1の銅粒子のアスペクト比は4以上であってよく、6以上であってもよい。アスペクト比が上記範囲内であれば、金属ペースト中の第1の銅粒子が、金属ペーストの塗布面に対して平行に配向しやすくなり、金属ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮を抑制できる。これにより、基体(例えば、シリコン基板)の主面上に設けられた導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。また、金属体と、基体(例えば、シリコン基板)上に形成した金属被膜との密着性を向上させることができる。金属ペースト中の銅粒子のアスペクト比(長径/厚さ)は、例えば、粒子のSEM像を観察し、長径及び厚さを測定することにより求めることができる。
金属ペーストは、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子を含むことが好ましい。金属ペーストがこのような第1の銅粒子を含むことにより、金属ペースト中の銅粒子を焼結させた際の体積収縮を充分に低減でき、ポーラス構造を有しつつ、導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔又は非貫通孔内に形成することが容易となる。それにより、貫通孔又は非貫通孔においてはボイドが発生することを抑制でき、基体(例えば、シリコン基板)の主面上においてはクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
金属ペーストは、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子を含んでいてもよいが、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましい。粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量を制限することにより、金属ペースト内の第1の銅粒子によって、貫通孔内にボイドが発生することを抑制しつつ、ポーラス構造を有しながらも導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔又は非貫通孔内に形成することができる。また、基体(例えば、シリコン基板)の主面上においては、第1の銅粒子が、金属ペーストの塗布面に対して略平行に配向しやすくなり、体積収縮をより有効に抑制することでクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
このような効果が更に得られやすくなる点で、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、20質量部以下であってもよく、10質量部以下であってもよく、0質量部であってもよい。
金属ペースト中の第1の銅粒子の含有量は、金属ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、15質量%以上、20質量%以上、又は50質量%以上であってよく、85質量%以下、70質量%以下、又は50質量%以下であってよい。第1の銅粒子の含有量が、上記範囲内であれば、上述した効果がより一層得られやすくなる。
第1の銅粒子は、分散安定性及び耐酸化性の観点から、表面処理剤で処理されていてよい。表面処理剤は、配線形成時(銅粒子の焼結時)に除去されるものであってよい。このような表面処理剤としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o−フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p−フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカンニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理剤などが挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
表面処理剤の処理量は、粒子表面に一分子層以上の量であってもよい。このような表面処理剤の処理量は、第1の銅粒子の比表面積、表面処理剤の分子量、及び表面処理剤の最小被覆面積により変化する。表面処理剤の処理量は、通常0.001質量%以上である。
表面処理剤の処理量は、第1の銅粒子の表面に付着した分子層数(n)と、第1の銅粒子の比表面積(A)(単位m/g)と、表面処理剤の分子量(M)(単位g/mol)と、表面処理剤の最小被覆面積(S)(単位m/個)と、アボガドロ数(N)(6.02×1023個)から算出できる。具体的には、表面処理剤の処理量は、表面処理剤の処理量(質量%)={(n・A・M)/(S・N+n・A・M)}×100%の式に従って算出される。
第1の銅粒子の比表面積は、乾燥させた銅粒子をBET比表面積測定法で測定することで算出できる。表面処理剤の最小被覆面積は、表面処理剤が直鎖飽和脂肪酸の場合、2.05×10−19/1分子である。それ以外の表面処理剤の場合には、例えば、分子モデルからの計算、又は「化学と教育」(上江田捷博、稲福純夫、森巌、40(2),1992,p114−117)に記載の方法で測定できる。表面処理剤の定量方法の一例を示す。表面処理剤は、金属ペーストから分散媒を除去した乾燥粉の熱脱離ガス・ガスクロマトグラフ質量分析計により同定でき、これにより表面処理剤の炭素数及び分子量を決定できる。表面処理剤の炭素分割合は、炭素分分析により分析できる。炭素分分析法としては、例えば、高周波誘導加熱炉燃焼/赤外線吸収法が挙げられる。同定された表面処理剤の炭素数、分子量及び炭素分割合から上記式により表面処理剤量を算出できる。
第1の銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されている第1の銅粒子としては、例えば、MA−C025(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径4.1μm)、3L3(福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径7.3μm)、1110F(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径5.8μm)、2L3(福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径9μm)が挙げられる。
金属ペーストの製造時には、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子を含み、且つ、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量が、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、50質量部以下、好ましくは30質量部以下である銅粒子を用いることができる。このような銅粒子からなる市販品を選定して用いてよい。
貫通孔の孔径と第1の銅粒子の粒径(最大径)との比(最大径)(孔径(μm)/粒径(μm)は、体積収縮を抑制して、クラックが発生しにくい金属体を形成することができる観点から、4以上、8以上又は10以上であってよく、150以下、100以下又は50以下であってよい。非貫通孔については、形成するシリコン貫通電極の孔径と第1の銅粒子の粒径(最大径)との比(最大径)(孔径(μm)/粒径(μm)が上記範囲となるように、非貫通孔の孔径と第1の銅粒子の粒径(最大径)との比(最大径)(孔径(μm)/粒径(μm)を設定することができる。
一実施形態において、金属ペーストは、上述した第1の銅粒子と、粒径(最大径)が0.5μm以下である第2の銅粒子とを含むことができる。この場合、銅粒子が焼結される際に、第1の銅粒子同士の間に第2の銅粒子が介在することで、得られる配線の導通性が向上する傾向がある。すなわち、第1の銅粒子と第2の銅粒子とを併用することが好ましい。銅粒子として第2の銅粒子のみを含む金属ペーストを調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、銅粒子を焼結させる際に、絶縁性基体(例えば、シリコンウエハ)上に設けた金属被膜から焼結体が剥離しやすくなり、充分な気密性及び接続信頼性が得られにくいが、第1の銅粒子と第2の銅粒子とを併用することで、金属ペーストを焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に形成される金属体と、貫通孔又は非貫通孔の壁面に形成された金属被膜との接着性を向上させることができる。これにより、貫通孔内の銅焼結体の熱ストレスによる破断がより起こり難くなり、気密性及び熱ストレスに対する接続信頼性がより一層向上する。
第2の銅粒子は、第1の銅粒子間を好適に接合する銅粒子として作用することができる。また、第2の銅粒子は、第1の銅粒子よりも焼結性に優れ、銅粒子の焼結を促進する機能を有することができる。例えば、銅粒子として第1の銅粒子を単独で使用した場合と比較して、より低温で、銅粒子を焼結させることが可能になる。また、銅粒子として第2の銅粒子のみを含む金属ペーストを調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、貫通孔又は非貫通孔内部に形成される金属体が体積収縮することによって、貫通孔又は非貫通孔内部にボイドを生じさせやすい。特に、扁平状の第1の銅粒子と、第2の銅粒子とを併用することで、扁平状の第1の銅粒子が第2の銅粒子によって好適に接合される銅粒子として作用し、これによって、貫通孔内部のボイド発生を抑制しつつ、空孔(ポーラス構造)を有する金属体を形成することが容易となる。
金属ペーストに含まれる第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、0.01μm以上、0.03μm以上、0.05μm以上又は0.08μm以上であってよく、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下又は0.2μm以下であってよい。
第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)が0.01μm以上であれば、第2の銅粒子の合成コストの抑制、良好な分散性、表面処理剤の使用量の抑制といった効果が得られやすくなる。第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)が0.5μm以下であれば、第2の銅粒子の焼結性に優れるという効果が得られやすくなる。より一層上記効果を奏する観点から、第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、0.05μm以上、0.1μm以上又は0.2μm以上であってよく、0.5μm以下、0.4μm以下又は0.3μm以下であってよい。
第2の銅粒子は、粒径(最大径)が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子を20質量%以上含んでいてよい。金属ペーストの焼結性の観点から、第2の銅粒子は、粒径が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子を30質量%以上含んでいてよく、50質量%以上含んでいてよく、85質量%以下含んでいてよい。第2の銅粒子における粒径(最大径)が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子の含有割合が20質量%以上であると、銅粒子の分散性がより向上し、粘度の上昇、ペースト濃度の低下をより抑制することができる。
金属ペースト中の第2の銅粒子の含有量は、金属ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、20質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってよく、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下であってよい。第2の銅粒子の含有量が上記範囲内であれば、貫通孔又は非貫通孔にボイドが発生することを抑制しつつ、基体(例えば、シリコン基板)に設けられた金属被膜との接着性に優れた金属体を形成しやすくなり、基体(例えば、シリコン基板)の主面上においてはクラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
金属ペースト中の第2銅粒子の含有量は、第1の銅粒子の質量及び第2の銅粒子の質量の合計を基準として、20質量%以上であってよく、85質量%以下であってよい。第2の銅粒子の上記含有量が20質量%以上であれば、第1の銅粒子の間を充分に充填することができ、クラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から形成される配線は、熱ストレスによる断線がより起こり難くなる。第2の銅粒子の上記含有量が85質量%以下であれば、銅粒子を焼結させた時の体積収縮を充分に抑制できるため、貫通孔又は非貫通孔内にボイドが発生することを抑制できると共に、クラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から形成される配線は、熱ストレスによる断線がより起こり難くなる。
上記効果がより一層得られやすくなる観点から、第2の銅粒子の含有量は、第1の銅粒子の質量及び第2の銅粒子の質量の合計を基準として、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、85質量%以下又は80質量%以下であってもよい。
第2の銅粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。第2の銅粒子は、これらの形状を有する銅粒子の凝集体であってもよい。分散性及び充填性の観点から、第2の銅粒子の形状は、球状、略球状、扁平状(フレーク状)であってよく、燃焼性、及び第1の銅粒子との混合性等の観点から、球状又は略球状であってよい。
第2の銅粒子のアスペクト比は、分散性、充填性、及び第1の銅粒子との混合性の観点から、5以下であってよく、3以下であってもよい。
第2の銅粒子は、特定の表面処理剤で処理されていてもよい。特定の表面処理剤としては、例えば、炭素数8〜16の有機酸が挙げられる。炭素数8〜16の有機酸としては、例えば、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サビエン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o−フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような有機酸と上記第2の銅粒子とを組み合わせることで、第2の銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性を両立できる傾向にある。
表面処理剤の処理量は、第2の銅粒子の表面に一分子層〜三分子層付着する量であってもよい。表面処理剤の処理量は、0.07質量%以上、0.10質量%以上、又は0.2質量%以上であってよく、2.1質量%以下、1.6質量%以下、又は1.1質量%以下であってよい。第2の銅粒子の表面処理量は、第1の銅粒子について上述した方法により算出することができる。比表面積、表面処理剤の分子量、及び表面処理剤の最小被覆面積についても同様である。
第2の銅粒子としては、合成したもの、又は市販されているものを用いることができる。
金属ペースト中の第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計は、金属ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、70質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、93質量%以上であってよい。第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計が上記範囲内であれば、貫通孔又は非貫通孔内でボイドの発生を抑制しやすくなる。このような効果がより一層得られやすくなる観点から、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、95質量%以上であってもよい。
はんだ粒子は、スズ又はスズ合金を含むものを用いることができる。スズ合金としては、例えば、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、Sn−Cu系の合金を用いることができ、下記の例が挙げられる。
・In−Sn(In52質量%、Bi48質量%、融点:118℃)
・In−Sn−Ag(In20質量%、Sn77.2質量%、Ag2.8質量%、融点:175℃)
・Sn−Bi(Sn43質量%、Bi57質量%、融点:138℃)
・Sn−Bi−Ag(Sn42質量%、Bi57質量%、Ag1質量%、融点:139℃)
・Sn−Ag−Cu(Sn96.5質量%、Ag3質量%、Cu0.5質量%、融点:217℃)
・Sn−Cu(Sn99.3質量%、Cu0.7質量%、融点:227℃)
金属ペーストは、はんだ粒子として、例えば、粒径(最大径)が1.0μm以上であるはんだ粒子を含んでよい。
はんだ粒子の粒径(最大径)は、2μm以上であってもよく、15μm以下であってよく、8.0μm以下であってもよい。
金属ペーストに含まれるはんだ粒子の平均粒径(平均最大径)は、貫通孔内での焼結による体積収縮を抑制させて、貫通孔に発生するボイドを抑制する観点から、1.0μm以上であってもよく、2.0μm以上であってよく、15μm以下であってもよく、8μm以下であってよい。はんだ粒子がこのような粒径であることにより、金属ペースト中の銅粒子を焼結させた際の体積収縮を充分に低減でき、ポーラス構造を有しつつ、導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔又は非貫通孔内に形成することが容易となる。それにより、貫通孔又は非貫通孔においてはボイドが発生することを抑制でき、基体(例えば、シリコン基板)の主面上においてはクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
はんだ粒子の粒径は、揃っていた方が好ましい。この場合、金属体の内部に高分散で点在しやすくなり、点在したはんだの内部又ははんだの外周部(はんだと銅焼結体との間)において空隙が発生することで、連続したボイド及び5μm以上の長さの亀裂の発生を抑制し、ビア内部での断線、及び、基体(例えば、シリコン基板)の主面上に形成された配線の断線を抑制することができる。
はんだ粒子の粒径(最大径)及び平均粒径(平均最大径)は、例えば、以下の手順でSEM像から算出することができる。はんだ粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により5000倍で観察する。SEM像はんだ粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の粒径(最大径)とする。複数のSEM像を用いて、この測定を50個以上のはんだ粒子に対して行い、平均粒径(平均最大径)を算出する。
はんだ粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。はんだ粒子は、これらの形状を有するはんだ粒子の凝集体であってもよい。
はんだ粒子は、好ましくは球状である。この場合、金属体の内部に均一に分散されて、均一に分散されたはんだの内部又ははんだの外周部(はんだと銅焼結体との間)において空隙が発生することで、金属ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に発生する断線を抑制することが容易となる。また、金属ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制されることで、基体(例えば、シリコン基板)の少なくとも一方の主面上に形成した金属体におけるクラックを抑制することができる。
金属ペースト中のはんだ粒子の含有量は、金属ペーストに含まれる銅粒子100質量部に対して、1質量部以上、2質量部以上、又は3質量部以上であってよく、25質量部以下、20質量部以下、又は15質量部以下であってよい。はんだ粒子の含有量が、上記範囲内であれば、上述した効果がより一層得られやすくなる。すなわち、貫通孔内にボイドが発生することを抑制しつつ、ポーラス構造を有しながらも導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔又は非貫通孔内に形成することが容易となる。また、金属ペーストが上記の第1の銅粒子を含む場合、基体(例えば、シリコン基板)の主面上において、第1の銅粒子が、金属ペーストの塗布面に対して略平行に配向しやすくなり、体積収縮をより有効に抑制することでクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。はんだ粒子の含有量が、銅粒子100質量部に対して1質量部以上であれば、金属体の内部にボイドが発生することを抑制しやすくなり、例えば、5μm以上の長さの亀裂が発生し、ビア内部で断線が発生することを防止しやすくなる。一方、はんだ粒子の含有量が、銅粒子100質量部に対して25質量部以下であると、配線の抵抗率が高くなりにくくなる。
金属ペーストにおける、銅粒子の含有量(好ましくは、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量)及びはんだ粒子の含有量の合計は、金属ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、90質量%以上であってよい。この場合、貫通孔又は非貫通孔内でボイドの発生を抑制しやすくなる。このような効果がより一層得られやすくなる観点から、銅粒子の含有量(好ましくは、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量)及びはんだ粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
金属ペーストは、銅粒子及びはんだ粒子以外のその他の金属粒子を更に含んでいてもよい。その他の金属粒子としては、例えば、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金等の粒子が挙げられる。その他の金属粒子の平均粒径(最大径)は、0.01μm以上又は0.05μm以上であってよく、5μm以下、3.0μm以下、又は2.0μm以下であってよい。その他の金属粒子を含んでいる場合、その含有量は、充分な接合性を得る観点から、金属ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、20質量%未満であってよく、10質量%以下であってもよい。その他の金属粒子は、含まれなくてもよい。その他の金属粒子の形状は、特に限定されるものではない。
金属ペーストは、分散媒を含んでいてもよい。分散媒は特に限定されるものではなく、例えば、揮発性のものであってよい。揮発性の分散媒としては、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、α−テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH)等の一価及び多価アルコール類;エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド;シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;炭素数1〜18のアルキル基を有するメルカプタン類;炭素数5〜7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類が挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、i−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、i−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン及びドデシルメルカプタンが挙げられる。炭素数5〜7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン及びシクロヘプチルメルカプタンが挙げられる。
分散媒の含有量は、金属ペーストに含まれる金属粒子の全質量を100質量部として、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよく、20質量部以下であってもよく、12質量部以下であってもよい。分散媒の含有量がこれらの範囲内であれば、金属ペーストをより適切な粘度に調整でき、貫通孔にボイドが発生することを抑制しやすくなる。
金属ペーストには、必要に応じて、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤;シリコーン油等の消泡剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤等を適宜添加してもよい。
上述した金属ペーストは、銅粒子、はんだ粒子及び任意の成分(添加剤、その他の金属粒子等)を分散媒に混合して調製することができる。各成分の混合後に、撹拌処理を行ってもよい。分級操作により分散液の最大径を調整してもよい。
金属ペーストが上述した第1の銅粒子及び第2の粒子を含む場合、第2の銅粒子、表面処理剤、分散媒をあらかじめ混合して、分散処理を行って第2の銅粒子の分散液を調製し、更に第1の銅粒子、はんだ粒子、必要に応じてその他の金属粒子及び任意の添加剤を混合して調製してもよい。このような手順とすることで、第2の銅粒子の分散性が向上して第1の銅粒子との混合性が良くなり、金属ペーストの性能がより向上する。第2の銅粒子の分散液を分級操作に供することによって凝集物を除去してもよい。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(第2の銅粒子の合成)
[ノナン酸銅の合成]
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[第2の銅粒子の合成]
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール22mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、30分以内で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅粒子の粉体(第2の銅粒子)を得た。
上記で合成した銅粒子を透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、製品名:JEM−2100F)で観察した。無作為に選択した200個の銅粒子の長軸の平均値は104nmであった。第2の粒子の形状は、球状であった。
(金属ペーストの調製)
<実施例1〜55>
下記に示す原料を表1〜6に示す割合で混合して金属ペーストを調整した。
[第1の銅粒子]
扁平1.4μm:1100YP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径1.4μm(D50)、商品名)
[第2の銅粒子]
球状100nm:上記で合成した銅粒子
[はんだ粒子]
SnBi58:SnBi58はんだ STC−3(三井金属鉱業株式会社製、商品名、平均粒径4.1μm(D50)、球形)
SnAgCu:Sn96.5Ag3Cu0.5はんだ STC−3(三井金属鉱業株式会社製、商品名、平均粒径4.1μm(D50)、球形)
[その他]
ジエチレングリコール:富士フィルム和光純薬株式会社製
<比較例1>
第1の銅粒子として1100YP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径1.4μm(D50)、商品名)を70質量部、第2の銅粒子として上記で合成した銅粒子を30質量部、ジエチレングリコール(富士フィルム和光純薬株式会社製)を5質量部、樹脂成分を5質量部混合し、金属ペーストを調整した。樹脂成分としては、有機バインダーのアクリル樹脂と、有機溶剤のカルビトール及びテレピネオールの混合物(混合物におけるカルビトールとテレピネオールとの質量比が、カルビトール:テレピネオール=1:1)とを、1:2の質量比で混合したものを用いた。
(シリコン基板の準備工程)
<実施例1〜55及び比較例1>
貫通孔を備え、両主面上及び貫通孔の壁面にチタン層、ニッケル層、銅層がこの順に形成されたシリコン基板を準備した。なお、シリコン基板の直径は6インチ、厚みは500μmである。シリコン基板の貫通孔の孔径を表1〜6に示した。チタン層、ニッケル層、銅層は順次スパッタにより形成されている。
(金属体形成工程)
<実施例1〜40、46〜55>
調製した金属ペーストをシリコン基板の両主面上に金属ヘラにより塗布し、金属ペーストを貫通孔に充填した。塗布後、90℃にて10分間、大気中で金属ペーストを乾燥させた。乾燥後、シリコン基板には厚み30μmの金属ペースト層が形成されていた。
金属ペースト層が形成されたシリコン基板をチューブ炉(株式会社エイブイシー製)内に配置し、アルゴンガスを1L/分で流してチューブ炉内の空気をアルゴンガスにより置換した。その後、水素ガスを300mL/分で流しながら昇温10分間、250℃で60分間の条件で焼結処理することにより金属ペーストを焼結させた。その後、アルゴンガスを0.3L/分に換えて冷却し、50℃以下で空気中に取り出し、金属体充填シリコン基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された金属体の厚みは、25μmであった。
<実施例41〜45>
シリコン基板を下記の加圧方法により加圧したこと以外は、実施例1と同様にして金属体充填シリコン基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された金属体の厚みは、30μmであった。
[加圧方法]
金属ペースト層が形成されたシリコン基板を両面から加圧治具により加圧した。加圧時の圧力は、シリコン基板に加わる圧力が表1〜6に記載の圧力となるようにした。加圧治具は、平坦なアルミ板及びスプリングを備え、加圧時の圧力を調整できる。加圧治具により加圧されたシリコン基板をチューブ炉(株式会社エイブイシー製)内に配置し、アルゴンガスを1L/分で流してチューブ炉内の空気をアルゴンガスにより置換した
<実施例26〜30、51〜55>
昇温時間を10分間、225℃で60分間の条件で焼結処理したこと以外は、実施例1と同様にして金属体充填シリコン基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された金属体の厚みは、30μmであった。
<比較例1>
昇温時間を10分間、300℃で60分間の条件で焼結処理したこと以外は、実施例1と同様にして金属体充填シリコン基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された金属体の厚みは、30μmであった。
(金属体の空孔率の測定)
<実施例1〜73及び比較例1>
集束イオンビーム加工観察装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:MI4050)を用い、集束イオンビームによってシリコン基板の貫通孔の中央部の断面及びシリコン基板の主面上に設けられた金属体の断面を露出させ、該断面を観察した。貫通孔の中央部の断面を観察する際には、貫通孔に充填された金属体の中央部から、シリコン基板の厚み方向に±5μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察した。シリコン基板の主面上に設けられた金属体の断面を観察する際には、シリコン基板の主面上に形成された金属体の表面から5μmまでの領域において、シリコン基板の厚み方向に10μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲を観察した。
観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S−3700N)を用い、倍率は1万倍とし、金属体の断面画像(約10μm角)を撮影した。観察箇所は5箇所とした。得られた断面画像を、画像解析ソフト(Adobe Photoshop(登録商標) Elements)を用いて、金属部分とポーラス部分とが分かれるように2値化処理した。5箇所の観察箇所それぞれについて、金属体断面の全面積に対するポーラス部分の面積の比率を空孔率とした。5箇所の観察の空孔率の平均値を金属体の空孔率とした。結果を表1〜6に示す。
(樹脂含浸工程)
<実施例1〜55>
下記に示す硬化性樹脂組成物をロールコーターにより金属体充填シリコン基板の片面に塗布した。次いで、金属体充填シリコン基板を容器内に配置し、該容器内をゲージ圧が100KPaとなるように吸引し、真空状態とした。真空状態で金属体充填シリコン基板を10分間保持し、その後、金属体充填シリコン基板を容器から取り出した。貫通孔の金属体に硬化性樹脂組成物が含浸し、硬化性樹脂組成物が、貫通孔の金属体の硬化性樹脂組成物を塗布した面とは反対の面にまで到達していることを確認した。金属体充填シリコン基板の硬化性樹脂組成物の塗布面に残った硬化性樹脂組成物をゴムヘラで除去した。次いで、硬化性樹脂組成物を塗布した面とは反対の面に、硬化性樹脂組成物をロールコーターにより塗布し、金属体充填シリコン基板の表面に残った硬化性樹脂組成物をゴムヘラにより極力除去した。
[硬化性樹脂組成物]
YDF−170(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量=170):95質量部
2PZ−CN(四国化成社製、イミダゾール化合物の商品名):5質量部
<比較例1>
樹脂含浸工程は行わなかった。
(樹脂硬化工程)
<実施例1〜55>
金属体に硬化性樹脂組成物を含浸させたシリコン基板を、窒素雰囲気中、180℃で1時間保持することにより、シリコン貫通電極を有するシリコン基板を得た。
<比較例1>
樹脂硬化工程は行わなかった。
(導電体除去工程)
<実施例1〜55及び比較例1>
シリコン貫通電極を有する基板の両面に対して、シリコン貫通電極を有する基板の両面の金属体の厚みが20μmとなるまで機械的研磨処理を行った。シリコン貫通電極を有する基板を貼り付ける試料台としては、セラミック製冶具(ケメット・ジャパン株式会社製)を用い、シリコン貫通電極を有する基板を試料台に貼り付けるための材料としては、アルコワックス(日化精工株式会社製)を用いた。また、研磨剤としては、DP−懸濁液P−3μm・1μm・1/4μm(ストルアス製)を順に用いた。
[導電体における樹脂硬化物の充填率]
<実施例1〜55及び比較例1>
機械的研磨処理を行ったシリコン貫通電極を有する基板を厚さ方向に切断し、シリコン基板の貫通孔の中央部の断面及びシリコン基板の主面上に設けられた導電体の断面を集束イオンビームによって露出させ、これらの断面を観察した。シリコン基板の貫通孔の中央部の断面を観察する際には、貫通孔の中央部から、シリコン基板の厚み方向に±5μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察した。シリコン基板の主面上に設けられた導電体の断面を観察する際には、シリコン基板の主面上に設けられた導電体の表面から5μmまでの領域において、シリコン基板の厚み方向に10μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲を観察した。集束イオンビーム加工観察装置は、(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:MI4050)を用いた。観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S−3700N)を用い、倍率は1万倍とし、導電体の断面画像(約10μm角)を撮影した。観察箇所は5箇所とした。得られた断面画像を、画像解析ソフト(Adobe Photoshop(登録商標) Elements)を用いて、金属部分及び樹脂硬化物部分と、ポーラス部分における樹脂硬化物により埋まっていない空間とが分かれるように2値化処理した。5箇所の観察箇所それぞれについて、導電体断面の全面積に対するポーラス部分における樹脂硬化物により埋まっていない空間の面積の比率を求め、これを空孔率とした。5箇所の観察の空孔率の平均値を導電体の空孔率とした。金属体の空孔率と、導電体の空孔率とを下記式(1)に代入することにより、導電体における樹脂硬化物の充填率を算出した。
導電体における樹脂硬化物の充填率(%)=[(B−A)/B]×100・・・式(1)
[式(1)中、Aは導電体の空孔率(%)を示し、Bは銅焼結体の空孔率(%)を示す。]
(配線形成工程(レジスト形成、エッチング及びレジスト除去))
<実施例1〜55及び比較例1>
機械的研磨処理を行ったシリコン貫通電極を有する基板の両面の金属体の表面に紫外線硬化型エッチングレジスト用ドライフィルムH−W425(日立化成株式会社製、商品名)をラミネータにて圧着した。その後、フォトマスクを合わせて配線パターンを露光し、レジスト現像−銅焼結体のエッチング−レジスト除去を経て、配線を形成し、図10に示すシリコン貫通電極を有する基板(試験片55)を得た。得られたシリコン貫通電極を有する基板(試験片55)は、貫通孔に充填された導電体が、基板表面に設けられた導電体(配線)により電気的に接続されている。
(初期抵抗値)
<実施例1〜55及び比較例1>
シリコン貫通電極を有する基板(試験片55)の初期抵抗値として連結接続抵抗値を測定した。シリコン基板の貫通孔の孔径が20μmである場合には、貫通孔20個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が30μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が50μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が100μmである場合には、貫通孔100個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が200μmである場合には、貫通孔200個が連結した抵抗値をそれぞれ測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1〜6に示す。
A:抵抗値が10mΩ未満
B:抵抗値が10mΩ以上、30mΩ未満
C:抵抗値が30mΩ以上、100mΩ未満
D:抵抗値が100mΩ以上、500mΩ未満
E:抵抗値が500mΩ以上
(温度サイクル接続性試験)
<実施例1〜55及び比較例1>
シリコン貫通電極を有する基板(試験片55)を温度サイクル試験機(TSA−72SE−W、エスペック株式会社製)にセットし、低温側:−40℃、15分、室温:2分、高温側:125℃、15分、除霜サイクル:自動、サイクル数:50、100、300、500サイクルの条件で温度サイクル接続信頼性試験を実施した。シリコン基板の貫通孔の孔径が20μmである場合には、貫通孔20個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が30μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が50μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が100μmである場合には、貫通孔100個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が200μmである場合には、貫通孔200個が連結した抵抗値をそれぞれ測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。温度サイクル試験500回後の評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1〜6に示す。
A:抵抗変化率が初期抵抗値に対して1%未満
B:抵抗変化率が初期抵抗値に対して1%以上3%未満
C:抵抗変化率が初期抵抗値に対して3%以上5%未満
D:抵抗変化率が初期抵抗値に対して5%以上10%未満
E:抵抗変化率が初期抵抗値に対して10%以上20%未満
F:抵抗変化率が初期抵抗値に対して20%以上
(基板の割れ)
<実施例1〜55及び比較例1>
シリコン貫通電極を有する基板(試験片55)を目視で確認し、シリコン基板の割れの有無を確認した。割れがない場合を○、部分的にでも割れがあった場合を×として評価した。結果を表1〜6に示す。
(気密性)
<実施例1〜55及び比較例1>
シリコン貫通電極を有する基板(試験片55)の気密性を評価した。評価は、ヘリウムリークディテクター(LEYBOLD社製「UL200」)を用いて行った。具体的には、シリコン貫通電極を有する基板を治具にセットし、測定機のインレット圧が5Paになるまで真空引きを行い、インレット圧が5Paに到達した時点でHe加圧(0.1MPa)を30秒間行った後、リーク量を測定して、以下の基準で評価した。結果を表1〜6に示す。
A:リーク量が1×10−11Pa・m/sec未満
B:リーク量が1×10−11以上1×10−10Pa・m/sec未満
C:リーク量が1×10−10以上1×10−9Pa・m/sec未満
D:リーク量が1×10−9以上1×10−8Pa・m/sec未満
E:リーク量が1×10−8以上1×10−6Pa・m/sec未満
F:リーク量が1×10−6Pa・m/sec以上。
(配線の密着性−プル強度−)
<実施例1〜55及び比較例1>
配線形成工程において2mm×2mmの配線パターンを形成したこと以外は同様にして得たシリコン貫通電極を有する基板に対して、先端部面積1mmのスタッドピンをハンダにより垂直に接合し、試験片とした。その試験片を固定し、引張試験機のチャック部でスタッドピンを掴み、上昇速度50mm/分で垂直上方へ引っ張り、シリコン基板の主面上の金属体がシリコン基板から剥離する時の破壊荷重を測定した。そして、得られた破壊荷重の測定値と、金属体の破壊面積から、下記式を用いて密着強度を算出した。なお、測定値は10点の平均とし、以下の基準で評価した。結果を表1〜6に示す。
密着強度(MPa)=破壊荷重(kgf)/破壊面積(mm2)×9.8(N/kgf)。
A:密着強度(MPa)が50MPa以上
B:密着強度(MPa)が40MPa以上50MPa未満
C:密着強度(MPa)が30MPa以上40MPa未満
D:密着強度(MPa)が20MPa以上30MPa未満
E:密着強度(MPa)が5MPa以上20MPa未満
F:密着強度(MPa)が5MPa未満
(配線形成性−ひび割れの有無−)
<実施例1〜55及び比較例1>
配線形成工程において2mm×2mmの配線パターンを5本形成したこと以外は同様にして得たシリコン貫通電極を有する基板を、光学顕微鏡により監察し、配線パターンにおいてクラック(長さ0.5mm以上)の有無を監察した。倍率は500倍とし、以下の基準で評価した。結果を表1〜6に示す。
A:クラックの発生無し
B:クラックが1本以上、2本未満
C:クラックが2本以上、5本未満
D:クラックが5本以上、10本未満
E:クラックが10本以上、20本未満
F:クラックが20本以上
(体積抵抗率)
<実施例1〜55及び比較例1>
シリコン基板上に形成した導電体の体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、4端針面抵抗測定器(三菱アナリテック社製、商品名:ロレスタGP)で測定した面抵抗値と、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)で求めた膜厚とから計算した。結果を表1〜6に示す。
(はんだ周辺部の隙間の観察結果)
図11及び12は、実施例1で作製した金属体充填シリコン基板について、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:VHX−6000)を用いて撮影された金属体の断面画像(約20μm角)を示す。図11及び12に示すように、金属体には、銅焼結体と、はんだ(SiBi58)と、空隙とが含まれており、空隙は、銅焼結体、はんだの内部、はんだの外周部(はんだと銅焼結体との間)に存在している。図11に示される空隙4aは、はんだ14aの内部に存在しており、図12に示される空隙4bは、はんだ14bの外周部に存在している。
図13は、実施例46で作製した金属体充填シリコン基板について、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:VHX−6000)を用いて撮影された金属体の断面画像(約10μm×19μm角)を示す。図13に示される空隙4cは、はんだ14cの内部に存在している。
<比較例1>
図14は、比較例1で作製した金属体充填シリコン基板について、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:VHX−6000)を用いて撮影された金属体の断面画像(約10μm×12μm角)を示す。図14に示すように、金属体を構成する銅焼結体12dの内部にはクラック18が見られた。
実施例で作製される金属体充填シリコン基板においては、はんだ粒子に由来するはんだの点在によって、上記のクラックの発生が抑制されていると考えられる。
Figure 2021097064
Figure 2021097064
Figure 2021097064
Figure 2021097064
Figure 2021097064
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1…シリコンウエハ,2…金属被膜,3…金属ペースト,4…空孔(ポーラス,空隙),5…金属体,6…樹脂硬化物,8…エッチングレジスト,9…配線,12…銅焼結体、14…はんだ、15…微細バンプ,20…接着剤の硬化物,25…インタポーザー基板,27…配線,30…貫通孔,31…非貫通孔,35…導電体,40,41…シリコン基板,50,60…金属体充填シリコン基板,51,52,61…シリコン貫通電極を有する基板,55…試験片,100,200,300…半導体装置,A…加圧治具

Claims (34)

  1. ポーラス構造を有する銅焼結体と、該銅焼結体に点在的に存在するはんだと、を含み、空孔を有する金属体を備え、
    前記金属体が、前記空孔として、前記はんだの内部に存在する空隙及び/又は前記はんだと前記銅焼結体との間に存在する空隙を含む、導電体。
  2. 前記はんだが、スズ又はスズ合金を含む、請求項1に記載の導電体。
  3. 前記はんだが、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、請求項1に記載の導電体。
  4. 前記金属体の前記空孔内に存在する樹脂硬化物を更に備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電体。
  5. 前記金属体の空孔率が、金属体の体積を基準として、1〜15体積%であり、
    前記導電体における前記樹脂硬化物の含有量が、前記金属体の前記空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上である、請求項4に記載の導電体。
  6. 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に前記貫通孔が通じている基体と、前記貫通孔を充填する導電体と、を備え、
    前記導電体が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電体である、貫通電極を有する基体。
  7. 前記基体が、少なくとも前記貫通孔の壁面に設けられた金属被膜を備える、請求項6に記載の貫通電極を有する基体。
  8. 前記貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dが10以上である、請求項6又は7に記載の貫通電極を有する基体。
  9. 前記導電体が、前記基体の主面上の少なくとも一部を被覆する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の貫通電極を有する基体。
  10. 前記絶縁性基体がシリコンウェハであり、前記貫通電極がシリコン貫通電極である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の貫通電極を有する基体。
  11. 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に前記貫通孔が通じている基体を準備する準備工程と、前記貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、
    前記導電体形成工程が、
    少なくとも前記貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含有し、空孔を有する金属体を形成する金属体形成工程を含む、
    貫通電極を有する基体の製造方法。
  12. 前記導電体形成工程が、
    前記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
    前記金属体に含浸させた前記硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、
    を更に含む、請求項11に記載の方法。
  13. 非貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、一方の主面に前記非貫通孔が開口している基体を準備する準備工程と、前記非貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、前記導電体が形成された基体の前記非貫通孔が開口している面とは反対側を研削することにより、貫通電極を設ける研削工程と、を備え、
    前記導電体形成工程が、
    少なくとも前記非貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体とはんだとを含有し、空孔を有する金属体を形成する金属体形成工程を含む、
    貫通電極を有する基体の製造方法。
  14. 前記導電体形成工程が、
    前記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
    前記金属体に含浸させた前記硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、
    を更に含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記はんだが、スズ又はスズ合金を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記はんだが、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記金属体の空孔率が、金属体の体積を基準として、1〜15体積%である、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記導電体における樹脂硬化物の含有量が、前記金属体の前記空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上である、請求項12又は14に記載の方法。
  19. 前記金属体形成工程において、前記金属体を、前記基体の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成する、請求項11〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記基体の主面上に形成された前記導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程を更に備える、請求項19に記載の方法。
  21. 前記貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dが10以上である、請求項11〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記金属体形成工程が、
    前記基体の前記貫通孔に、銅粒子とはんだ粒子とを含む金属ペーストを充填するペースト充填工程と、
    前記金属ペーストを焼成して前記金属体を形成するペースト焼成工程と、
    を有する、請求項11又は12に記載の方法。
  23. 前記金属体形成工程が、
    前記基体の前記非貫通孔に、銅粒子とはんだ粒子とを含む金属ペーストを充填するペースト充填工程と、
    前記金属ペーストを焼成して前記金属体を形成するペースト焼成工程と、
    を有する、請求項13又は14に記載の方法。
  24. 前記金属ペーストが、前記銅粒子として、粒径が0.8μm以上である第1の銅粒子と、粒径が0.5μm以下である第2の銅粒子と、を含む、請求項22又は23に記載の方法。
  25. 前記第1の銅粒子が扁平状である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記はんだ粒子が、スズ又はスズ合金を含む、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記はんだ粒子が、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記金属ペーストを0.1MPa以上の加圧下で焼成する、請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記金属ペーストを、窒素、水素又はギ酸を含む雰囲気下で焼成する、請求項22〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記絶縁性基体がシリコンウェハであり、前記貫通電極がシリコン貫通電極である、請求項11〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 貫通電極を形成するために用いられる金属ペーストであって、
    銅粒子及びはんだ粒子を含み、
    前記銅粒子として、粒径が0.8μm以上である第1の銅粒子と、粒径が0.5μm以下である第2の銅粒子と、を含有する、金属ペースト。
  32. 前記第1の銅粒子が扁平状である、請求項31に記載の金属ペースト。
  33. 前記はんだ粒子が、スズ又はスズ合金を含む、請求項31又は32に記載の金属ペースト。
  34. 前記はんだ粒子が、In−Sn、In−Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag、Sn−Ag−Cu、又はSn−Cu系の合金である、請求項31又は32に記載の金属ペースト。
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