JP2023156407A - 導電体充填スルーホール基板の製造方法及び導電体充填スルーホール基板 - Google Patents

導電体充填スルーホール基板の製造方法及び導電体充填スルーホール基板 Download PDF

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Yoshinori Ejiri
偉夫 中子
Takeo Nakako
祐貴 川名
Yuki Kawana
元気 米倉
Genki Yonekura
振一郎 須方
Shinichiro Sugata
学 石井
Manabu Ishii
賢 藤田
Masaru Fujita
美智子 名取
Michiko Natori
昌宏 木村
Masahiro Kimura
涼 本名
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Abstract

【課題】本発明の一側面は、充分な導電性を有するとともに接続信頼性に優れた導電体充填スルーホール基板を生産性良く製造することができる方法を提供すること。【解決手段】本発明の一態様は、貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じているスルーホール基板を準備する準備工程と、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体を形成する銅焼結体形成工程と、銅焼結体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、銅焼結体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化することにより、ポーラスに樹脂硬化物が充填された銅焼結体を含んでなる導電体を形成する樹脂硬化工程とを備える導電体充填スルーホール基板の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、導電体充填スルーホール基板の製造方法及び導電体充填スルーホール基板に関する。
近年、電子機器又は部品の小型化、高機能化及び集積化のために、絶縁性基板に貫通孔(スルーホール)を形成し、貫通孔内に導電体を設けて基板の両主面を電気的に導通させる方法が利用されている。
貫通孔内に導電体を設ける方法としては、絶縁性基板の貫通孔の壁面に活性金属層を設け、更に銅めっきにより貫通孔を銅で充填する方法が知られている。しかし、絶縁性基板の薄化及びスルーホールの小径化によってスルーホールのアスペクト比が大きくなると、導電体にボイドやディンプルが発生しやすくなる。このような問題を抑制するために、下記特許文献1には、高電流密度を所定期間印加することと低電流密度を所定期間印加することとを含む直流サイクルの銅電気めっきによって、スルーホールを銅で充填する方法が提案されている。
特開2017-147441号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、銅被膜の析出速度を抑えてめっきを行う必要があるために作業時間が長くなり、生産性の点で課題がある。
一方で、スルーホールに導電体が充填された導電体充填スルーホール基板には、充分な導電性を有しているだけでなく、温度変化を受けた場合であっても抵抗値が上昇しにくいという接続信頼性に優れていることが求められる。
そこで、本発明の一側面は、充分な導電性を有するとともに接続信頼性に優れた導電体充填スルーホール基板を生産性良く製造することができる方法、及び充分な導電性を有するとともに接続信頼性に優れた導電体充填スルーホール基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、スルーホール基板の貫通孔内にポーラス構造を有する銅焼結体を形成した後、この銅焼結体に硬化性樹脂組成物を含浸し、これを硬化することにより、ポーラスに樹脂硬化物が充填された銅焼結体を含んでなる導電体を形成した。そして、本発明者らは、このような導電体によって貫通孔が充填された導電体充填スルーホール基板が、充分に低い初期抵抗値を示すとともに温度サイクル接続信頼性試験においても抵抗値が上昇しにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本開示の一側面は、以下の発明を提供する。
[1] 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じているスルーホール基板を準備する準備工程と、
少なくとも上記貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体を形成する銅焼結体形成工程と、
上記銅焼結体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
上記銅焼結体に含浸させた上記硬化性樹脂組成物を硬化することにより、ポーラスに樹脂硬化物が充填された上記銅焼結体を含んでなる導電体を形成する樹脂硬化工程と、
を備える、導電体充填スルーホール基板の製造方法。
[2] 上記導電体における樹脂硬化物の充填率が、上記ポーラスの内部空間の体積を基準として、80体積%以上である、[1]に記載の方法。
[3] 上記銅焼結体の空孔率が、上記銅焼結体の体積を基準として、1~15体積%である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 上記銅焼結体形成工程において、上記銅焼結体を、上記スルーホール基板の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成する、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記スルーホール基板の主面上に形成された上記導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程を更に備える、[4]に記載の方法。
[6] 上記導電体除去工程における除去手段が、エッチング、機械的研磨及び化学的機械的研磨からなる群より選択される一種以上である、[5]に記載の方法。
[7] 上記スルーホール基板が、少なくとも上記貫通孔の壁面に設けられた金属被膜を備える、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 上記貫通孔の孔径Dに対する孔長Lの比L/Dが10以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 上記銅焼結体形成工程が、
上記スルーホール基板の上記貫通孔に銅粒子とを含む銅ペーストを充填する銅ペースト充填工程と、
上記銅ペーストを焼成して上記銅焼結体を形成する銅ペースト焼成工程と、
を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 上記銅ペーストが、上記銅粒子として、粒径が0.8μm以上である第1の銅粒子と、粒径が0.5μm以下である第2の銅粒子と、を含む、[9]に記載の方法。
[11] 上記第1の銅粒子が扁平状である、[10]に記載の方法。
[12] 上記銅ペーストを0.1MPa以上の加圧下で焼成する、[9]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 上記銅ペーストを窒素又は水素を含む雰囲気下で焼成する、[9]~[12]のいずれかに記載の方法。
また、本開示の一側面は、以下の発明を提供する。
[14] 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じているスルーホール基板と、貫通孔を充填する導電体と、を備え、
上記導電体が、ポーラス構造を有する銅焼結体と、銅焼結体のポーラスに充填された樹脂硬化物と、を含む、導電体充填スルーホール基板。
[15] 上記導電体における樹脂硬化物の充填率が、上記ポーラスの内部空間の体積を基準として、80体積%以上である、[14]に記載の導電体充填スルーホール基板。
[16] 上記スルーホール基板が、少なくとも上記貫通孔の壁面に設けられた金属被膜を備える、[14]又は[15]に記載の導電体充填スルーホール基板。
[17] 上記貫通孔の孔径Dに対する孔長Lの比L/Dが10以上である、[14]~[16]のいずれかに記載の導電体充填スルーホール基板。
[18] 上記導電体が、上記スルーホール基板の主面上の少なくとも一部を被覆する、[14]~[17]のいずれかに記載の導電体充填スルーホール基板。
本発明の一側面によれば、充分な導電性を有するとともに接続信頼性に優れた導電体充填スルーホール基板を生産性良く製造することができる方法、及び充分な導電性を有するとともに接続信頼性に優れた導電体充填スルーホール基板が提供される。
上記方法によれば、気密性及び非浸透性(液体が浸入しない特性)に優れた導電体充填スルーホール基板を提供することができる。
一実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法を示す模式図である。 一実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法を示す模式図である。 一実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法を示す模式図である。 一実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法及び一実施形態の導電体充填スルーホール基板を示す模式図である。 一実施形態の半導体装置を示す模式図である。 実施例1において得られた導電体充填スルーホール基板の貫通孔に形成された銅焼結体の断面写真である。 試験片を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(導電体充填スルーホール基板の製造方法)
図1~図4は、一実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法を示す模式図である。
本実施形態に係る導電体充填スルーホール基板の製造方法は、貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に貫通孔が通じているスルーホール基板を準備する準備工程と、
少なくとも上記貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体を形成する銅焼結体形成工程と、
上記銅焼結体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
上記銅焼結体に含浸させた上記硬化性樹脂組成物を硬化することにより、ポーラスに樹脂硬化物が充填された上記銅焼結体を含んでなる導電体を形成する樹脂硬化工程と、
上記スルーホール基板の主面上に形成された上記導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程と、
を備える。
<スルーホール基板の準備工程>
この工程では、図1(a)に示されるように、貫通孔30が設けられている絶縁性基体1と、貫通孔の壁面及び絶縁性基体1の表面に設けられた金属被膜2とを有するスルーホール基板40を準備することができる。貫通孔30は、スルーホール基板40の両主面に通じている。
絶縁性基体1としては、例えば、シリコン基板、ガラス基板、セラミックス基板及びガラスエポキシ樹脂基板等の絶縁性基板が挙げられる。図1~図4は、絶縁性基体1としてシリコン基板を用いる一実施形態を示す。
絶縁性基体1の厚みとしては、焼結後の基板の反りを抑制する観点から、100μm以上、200μm以上、300μm以上であってよく、基板の軽量化・高密度化の観点から、800μm以下、300μm以下、200μm以下又は100μm以下であってよい。
貫通孔30の孔径の上限値は、絶縁性基体1がシリコン基板である場合、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、200μm以下、100μm以下又は60μm以下であってよく、貫通孔30の孔径の下限値は、特に制限されないが、20μm以上であってよく、50μm以上であってよい。
貫通孔30の孔径Dに対する孔長Lの比L/Dは、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、1以上、5以上又は10以上であってよく、貫通孔30のアスペクト比L/Dの上限値は、特に制限されないが、15以下であってよく、10以下であってよく、5以下であってよい。貫通孔30の孔長Lは、絶縁性基体1の厚みとしてもよい。この場合、貫通孔30の孔径Dに対する絶縁性基体1の厚みTの比T/Dが上記範囲であってもよい。
スルーホール基板に設けられる貫通孔30の個数は、絶縁性基体1がシリコン基板である場合、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、基板の主面1cmあたり100個以上又は300個以上であってよい。
金属被膜2は、絶縁性基体1の両主面上及び貫通孔30の壁面に設けられていてもよく、絶縁性基体1の少なくとも一方の主面上及び貫通孔30の壁面に設けられていてもよく、貫通孔30の壁面にのみに設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。図1(a)に示される実施形態においては、スルーホール基板40が、絶縁性基体1の両主面上及び貫通孔30の壁面に金属被膜2を備えている。
金属被膜2としては、例えば、チタン、ニッケル、クロム、銅、アルミ、パラジウム、プラチナ及び金等が挙げられる。密着性の観点から、金属被膜2は、チタン、ニッケル及び銅をこの順に層形成した被膜であることが好ましい。絶縁性基体1の主面の表面の材料がシリコンである場合には、絶縁性基体1の表面を酸化させ酸化ケイ素にし、酸化ケイ素の上にチタン層を形成させることで、接着性が向上する。また、チタン層の上にニッケル層を設け、その上に銅層を設けることで、チタン層の上に直接銅層を設けた場合と比較して、銅が絶縁性基体1内に拡散することを抑制できる。更に、表面に銅層を設けることで、後述する銅焼結体形成工程で形成される銅焼結体とスルーホール基板との接着性が向上する。
<銅焼結体形成工程>
この工程では、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体を形成する。本実施形態においては、銅焼結体を、スルーホール基板の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成してもよい。この場合、スルーホール基板の貫通孔を充填する導電体を形成するとともに、スルーホール基板の主面上にも導電体を設けることができる。スルーホール基板の主面上に設けられた導電体は、配線及び電極を形成することができる。
銅焼結体形成工程は、スルーホール基板の貫通孔に銅粒子とを含む銅ペーストを充填する銅ペースト充填工程と、上記銅ペーストを焼成して上記銅焼結体を形成する銅ペースト焼成工程とを有するものであってもよい。銅焼結体を、スルーホール基板の主面上に形成する場合は、銅ペースト充填工程において、又はその後に、スルーホール基板40の両主面上にも銅ペーストの層を設けることができる。
上記の銅焼結体形成工程としては、例えば、図1(b)に示されるように、銅粒子を含む銅ペースト3をスルーホール基板40に塗布し、銅ペースト3を貫通孔30に充填するとともに、スルーホール基板40の両主面上にも銅ペースト3の層を設けることができる。銅ペースト3の詳細については後述する。
銅ペースト3をスルーホール基板40に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等を用いて塗布する方法が挙げられる。
銅ペーストがスルーホール基板の主面上にも塗布される場合、銅ペースト層の厚みは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよく、3000μm以下、1000μm以下、500μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、又は100μm以下であってよい。
銅ペースト3は、銅ペースト3の焼結時に銅粒子が流動することや、銅焼結体にボイドが発生することを抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。銅ペースト3を乾燥させる場合、乾燥時の雰囲気は、窒素及び希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素及びギ酸等の還元雰囲気中であってもよい。
乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥の温度及び時間は、使用した分散媒の種類及び量に合わせて適宜調整してもよい。乾燥の温度は、例えば、50℃以上であってよく、180℃以下であってよい。乾燥の時間は、例えば、1分間以上であってよく、120分間以下であってよい。
銅ペースト充填工程の後、銅ペースト3を焼成することにより、銅ペースト3に含まれる銅粒子を焼結させる。こうして、図2(a)に示されるように、ポーラス4を含む、すなわちポーラス構造を有する銅焼結体5が貫通孔30を充填する銅焼結体充填スルーホール基板50が得られる。本実施形態においては、スルーホール基板40の両主面上にも銅焼結体5が設けられた銅焼結体充填スルーホール基板50が得られる。形成される銅焼結体5の詳細については後述する。
焼成は加熱処理により行うことができる。加熱処理には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等の加熱手段を用いることができる。
焼成時の雰囲気は、銅焼結体の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気が好ましく、銅ペースト3中の銅粒子の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気がより好ましい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。後述するように加圧せずに加熱し、銅ペースト3を焼結させる場合には、純水素ガス中、又はフォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中が好ましく、純水素ガス中であることがより好ましい。純水素ガス中で加熱することで、銅粒子の焼結温度を下げることが可能になる。純水素ガスを用いると、基板の厚みが500μmと厚く、貫通孔30の径が20μmと微小な径であっても、貫通孔30の中央部までガスが到達し、銅焼結体5を得ることが容易になる。
加熱処理時の到達最高温度は、各部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上であってよく、350℃以下、300℃以下、又は260℃以下であってよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下において、焼結が充分に進行する傾向にある。到達最高温度保持時間は、分散媒を全て揮発させ、また、歩留まりを向上させるという観点から、1分間以上であってよく、60分間以下、40分間以下、又は30分間以下であってよい。
銅ペーストの焼成は、圧力を加えた状態で行われてもよい。この場合、純水素ガスを含む雰囲気下では、圧力が0.05MPa以上、0.1MPa以上、又は0.3MPaであってよく、20MPa以下、15MPa以下、又は10MPa以下であってよい。また、窒素ガスを含む雰囲気下では、圧力が1MPa以上、又は3MPaであってよく、20MPa以下、15MPa以下、又は10MPa以下であってよい。
圧力を、純水素ガスを用いた場合には0.05MPa以上、窒素ガスを用いた場合には1MPa以上とすることで、貫通孔30の中央部に形成された銅焼結体5におけるボイドの発生を抑制しやすくなり、良好な導通性を有する銅焼結体が得られやすい。また、圧力を上記の下限値以上とすることで、スルーホール基板が金属被膜2を有する場合には、金属被膜2と銅焼結体5との接合強度を向上させやすくなる。更に、図1(b)に示されるように、銅ペースト層を設けたスルーホール基板40を上下から加圧治具Aにより挟み込むことによって加圧する場合、加圧治具Aにかかる圧力を上記の下限値以上とすることで、スルーホール基板40の主面上に形成される銅焼結体の表面を平滑にしやすくなる。銅焼結体の表面が平滑であると、後の工程でエッチング等により配線を形成する際に、微細配線を形成しやすくなる利点がある。加圧治具Aは、特に限定されないが、市販のものであってもよく、平坦部を有する金属部材を用いて作製することもできる。例えば、上記の金属部材を2つ以上有する加圧治具は、平坦部が対向するように配置した金属部材の間にスルーホール基板を挟み込むことで、スルーホール基板を加圧することができる。加圧治具Aは、スルーホール基板に加わる圧力を調整する機構を有するものであってよい。圧力調整手段としては、バネなどを用いることができる。
圧力が20MPa以下であれば、スルーホール基板40の反りを抑制しやすくなる。このような効果が得られる理由を本発明者らは以下のとおり推察する。まず、圧力を上げると、銅ペーストの焼結密度(特には、加圧治具Aと接触する側の緻密度)が上昇して、形成される銅焼結体の熱膨張率は、一般的な銅の25℃における熱膨張率16.5μm/(m・K)に近づくと考えられる。一方、例えば、シリコンの25℃における熱膨張率は2.6μm/(m・K)である。そのため、銅焼結体の緻密度が上がるにしたがって、銅焼結体とシリコンとの熱膨張率の差は大きくなり、反りが発生しやすくなると考えられる。本実施形態においては、圧力を20MPa以下とすることで、銅焼結体の緻密度の上昇が適度に抑制された結果、銅焼結体とシリコンとの熱膨張率の差がより小さくなり、反りが抑制されたものと考えている。
また、焼成時に受ける圧力が上記範囲内であれば、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうことなく、ボイドの低減、接合強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。銅ペーストを塗布したスルーホール基板に圧力を加える方法としては、例えば、重りを載せる方法、加圧装置を用いて加圧する方法、加圧するための固定冶具を用いて加圧する方法等が挙げられる。
銅焼結体5の体積抵抗率を下げる観点から、スルーホール基板の主面上に形成される銅焼結体の空孔率は、銅焼結体のポーラス構造を含めた全体の体積を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、銅焼結体5の空孔率は、スルーホール基板40の割れ及び反りを抑制できる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
スルーホール基板の主面上に形成される銅焼結体が上記のポーラス構造を有することで、熱膨張率を下げることが可能となり、シリコン基板等の絶縁性基体との熱膨張率差を低減することができ、絶縁性基体の割れや反りを抑制することができる。
銅焼結体5の体積抵抗率を下げる観点から、貫通孔に充填された銅焼結体の空孔率は、銅焼結体のポーラス構造を含めた全体の体積を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、銅焼結体5の空孔率は、銅焼結体5の体積抵抗率を下げる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
貫通孔に充填された銅焼結体が上記のポーラス構造を有することで、焼結後における、銅焼結体のクラックによる断線を抑制することができる。
なお、銅焼結体の空孔率は、以下の手順により算出される。
(i)集束イオンビームによって銅焼結体充填スルーホール基板の銅焼結体の断面(基板の厚み方向の切断面)を露出させる。
(ii)露出させた断面を走査型電子顕微鏡により断面画像(基板の厚み方向に10μm及び基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲)を撮影する。
(iii)焼結銅部分とポーラス部分とが分かれるように、得られた断面画像を2値化処理する。
(iv)2値化処理された断面画像から、銅焼結体断面の全面積に対するポーラス部分の面積の比率を銅焼結体の空孔率とする。
貫通孔に充填された銅焼結体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、貫通孔に充填された銅焼結体の中央部の断面を露出させる。貫通孔に充填された銅焼結体の中央部の空孔率を算出する場合には、貫通孔に充填された銅焼結体の中央部から、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察する。銅焼結体充填スルーホール基板の主面上に形成された銅焼結体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、主面上の銅焼結体の断面を露出させる。銅焼結体充填スルーホール基板の主面上に形成された銅焼結体の空孔率を算出する場合には、主面上に形成された銅焼結体の表面から5μmまでの領域を観察する。
後述する導電体における樹脂硬化物の充填率の算出のために用いられる銅焼結体の空孔率の算出の際には、銅焼結体の観察箇所は、導電体の観察箇所と同様の箇所となるように適宜設定することができる。
また、焼成時に受ける圧力が上記範囲内であれば、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうことなく、ボイドの低減、接合強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。銅ペーストを塗布したスルーホール基板に圧力を加える方法としては、例えば、重りを載せる方法、加圧装置を用いて加圧する方法、加圧するための固定治具を用いて加圧する方法等が挙げられる。
銅焼結体は、構成する元素のうち軽元素を除いた元素中の銅元素の割合が95質量%以上であってもよく、97質量%以上であってもよく、98質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。銅焼結体における銅元素の上記割合が、上記範囲内であれば、金属間化合物の形成又は金属銅結晶粒界への異種元素の析出を抑制でき、銅焼結体を構成する金属銅の性質が強固になりやすく、より一層優れた接続信頼性が得られやすい。
銅焼結体形成工程において、銅ペーストを加圧せずに加熱して焼成してもよい。この場合、スルーホール基板の主面上に形成された銅焼結体の空孔率が大きくなる傾向にあり、銅焼結体の熱膨張率が下がることにより、スルーホール基板の割れや反りが発生しにくくなる。
<樹脂含浸工程>
この工程では、例えば、銅焼結体形成工程を経て得られる銅焼結体充填スルーホール基板50に硬化性樹脂組成物を塗布することで、銅焼結体5に硬化性樹脂組成物を含浸することができる。本実施形態では、貫通孔30を充填する銅焼結体5及びスルーホール基板40の両主面上に形成された銅焼結体5に硬化性樹脂組成物が含浸される。なお、含浸した硬化性樹脂組成物によって、銅焼結体5のポーラス4が充分に充填されることが好ましい。
(硬化性樹脂組成物)
硬化性樹脂組成物を構成する成分としては、熱硬化性化合物が挙げられる。熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、硬化性樹脂組成物の硬化性及び粘度をより一層良好にし、高温放置における特性や絶縁信頼性を向上させる点から、エポキシ化合物であってよい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化剤を更に含んでもよい。熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらのうち、低温で速やかに硬化可能である点で、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなる観点から、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。ポリチオール硬化剤の溶解度パラメーターは、好ましくは9.5以上、好ましくは12以下である。上記溶解度パラメーターは、Fedors法にて計算される。例えば、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは9.6、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは11.4である。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ-tert-ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の塗布方法は、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等によって塗布する方法が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、銅焼結体充填スルーホール基板50の一方の主面上に塗布してもよく、主面上の一部に塗布してもよい。樹脂組成物を銅焼結体充填スルーホール基板50の両面に塗布する場合、銅焼結体充填スルーホール基板50の一方の主面上に対して樹脂組成物を塗布し、銅焼結体充填スルーホール基板50の樹脂組成物を塗布しなかった主面側まで樹脂組成物を浸透させ、その後、樹脂組成物を塗布しなかった主面上に樹脂組成物を塗布してもよい。これにより、ポーラス4に樹脂組成物をいきわたらせることができる。
硬化性樹脂組成物を塗布した銅焼結体充填スルーホール基板50は、減圧環境下に放置することで、銅焼結体5のポーラス4への硬化性樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。
樹脂含浸工程では、樹脂硬化工程を経て形成される導電体における樹脂硬化物の充填率が後述する好ましい範囲となるように、銅焼結体に硬化樹脂組成物を含浸することが好ましい。
<樹脂硬化工程>
この工程では、図2(d)に示されるように、銅焼結体5に含浸させた硬化性樹脂組成物(ポーラス4に充填された硬化性樹脂組成物)を硬化させることで、ポーラス4に樹脂硬化物6が充填された銅焼結体5を含んでなる導電体35が形成され、少なくとも貫通孔30に導電体35が充填された導電体充填スルーホール基板51を得ることができる。本実施形態の場合、スルーホール基板40の両主面上にもポーラス4に樹脂硬化物6が充填された銅焼結体5を含んでなる導電体35が設けられている。
硬化性樹脂組成物の硬化は、加熱処理により行うことができる。加熱処理は、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等の加熱手段を用いることができる。
樹脂硬化工程における雰囲気は、銅焼結体5の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってよく、銅焼結体5の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。
樹脂硬化工程における加熱処理時の到達最高温度は、各部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上であってよく、350℃以下、300℃以下、又は260℃以下であってよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下において、樹脂組成物の硬化が充分に進行する傾向にある。
樹脂硬化工程で形成される導電体35(導電体除去工程前の導電体)は、樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長Lにおける中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S1から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S1から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S1から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S2から深さ5μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体5のポーラス4の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S2から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体5のポーラス4の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S2から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S2からの深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
導電体35における樹脂硬化物6の充填率は、以下の手順により算出される。
(i)集束イオンビームによって導電体充填スルーホール基板の導電体の断面(基板の厚み方向の切断面)を露出させる。
(ii)露出させた断面を走査型電子顕微鏡により断面画像(基板の厚み方向に10μm及び基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲)を撮影する。
(iii)焼結銅部分及び樹脂硬化物部分と、樹脂硬化物により埋まっていないポーラス部分とが分かれるように、得られた断面画像を2値化処理する。
(iv)2値化処理された断面画像から、導電体断面の全面積に対する樹脂硬化物により埋まっていないポーラス部分の面積の比率を求め、これを導電体の空孔率とする。
(v)硬化性樹脂組成物を含浸する前の銅焼結体の空孔率と、導電体の空孔率とを下記式(1)に代入することにより、導電体における樹脂硬化物の充填率を算出する。
導電体における樹脂硬化物の充填率(%)=[(B-A)/B]×100・・・式(1)
[式(1)中、Aは導電体の空孔率(%)を示し、Bは銅焼結体の空孔率(%)を示す。]
貫通孔に充填された導電体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、貫通孔内の導電体の中央部の断面を露出させる。導電体充填スルーホール基板の主面上に形成された導電体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、主面上の導電体の断面を露出させる。
<導電体除去工程>
この工程では、スルーホール基板40の主面上に形成された導電体35の少なくとも一部を除去することができる。導電体を除去する手段としては、化学的研磨、機械的研磨、化学的機械的研磨、フライカット処理及びプラズマ処理等が挙げられる。フライカット処理とは、サーフェースプレーナによる切削平坦化を意味する。
本実施形態においては、一般的な手法で、簡易に適用できる観点から、除去手段が、エッチング、機械的研磨及び化学的機械的研磨からなる群より選択される一種以上であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法は、導電体除去工程を備えることにより、例えば、スルーホール基板40の主面上に形成された導電体35の表面が平坦となり、配線の形成が容易となる。
本実施形態においては、導電体除去工程後の導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長Lにおける中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S3から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S3から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S3から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S4から深さ5μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体5のポーラス4の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S4から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体5のポーラス4の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S4から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S4からの深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
本実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法は、配線形成工程を更に備えることができる。配線形成工程は、以下で説明するレジスト形成工程、エッチング工程、及びレジスト除去工程を有することができる。
<レジスト形成工程>
レジスト形成工程では、図3(f)に示すように、スルーホール基板40の主面上に形成された導電体35上にエッチングレジスト8を形成する。
エッチングレジスト8を形成する方法としては、例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷する方法、又はエッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートし、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光して、露光しなかった箇所を現像液で除去する方法等が挙げられる。
<エッチング工程>
エッチング工程では、図4(g)に示すように、エッチングレジスト8により被覆されていない部分の導電体35をエッチングにより除去する。本実施形態においては、絶縁性基体1の両主面上に設けられた金属被膜2の一部がエッチングにより除去されている。
エッチングの方法としては、例えば、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液等、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いる方法等が挙げられる。
<レジスト除去工程>
レジスト除去工程では、導電体35上に形成されたエッチングレジスト8を除去する。
本実施形態に係るスルーホール基板の製造方法は、上記工程を有する配線形成工程を更に備えることで、スルーホール基板40の主面上に導電体35を含む配線9を形成することができる。
(導電体充填スルーホール基板)
図4(h)は、上述の実施形態に係る方法によって製造することができる導電体充填スルーホール基板の一実施形態を示す断面図である。図4(h)に示す導電体充填スルーホール基板52は、貫通孔30が設けられている絶縁性基体1を含み、両主面に貫通孔30が通じているスルーホール基板40と、貫通孔30を充填する導電体35とを備え、上記導電体35が、ポーラス構造を有する銅焼結体5と、銅焼結体5のポーラス4に充填された樹脂硬化物6とを含む。
図4(h)に示される導電体充填スルーホール基板52は、絶縁性基体1の両主面上及び貫通孔の壁面に金属被膜2が設けられているが、金属被膜2は、主面上に設けられていなくてもよく、一方の主面上にのみ設けられていてもよく、貫通孔の壁面に設けられていなくてもよい。また、導電体充填スルーホール基板52は、スルーホール基板40の両主面上に金属被膜2及び導電体35を含んでなる配線9が設けられているが、配線9は、スルーホール基板40の一方の主面上に設けられていてもよい。
導電体充填スルーホール基板52は、導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長Lにおける中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S5から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S5から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S5から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S6から深さ5μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体5のポーラス4の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S6から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体5のポーラス4の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S6から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S6からの深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(半導体装置)
本実施形態の導電体充填スルーホール基板を用いて製造される半導体装置について図5を用いて具体的に説明する。図5は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図であり、TSV(Through-Silicon-Via)技術を用いた半導体装置である。図5(a)に示す半導体装置100は、インタポーザー基板25上の配線27と、導電体充填スルーホール基板51の導電体35とが直接接続されることにより、インタポーザー基板25と導電体充填スルーホール基板51とがフリップチップ接続されている。インタポーザー基板25と導電体充填スルーホール基板51との空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。上記導電体充填スルーホール基板51におけるインタポーザー基板25と反対側の主面上には、導電体充填スルーホール基板51が繰り返し積層されている。導電体充填スルーホール基板51同士は、導電体35により接続されている。導電体充填スルーホール基板51同士の間の空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。
半導体装置100は、例えば、下記の方法によって得られるものであってよい。すなわち、導電体充填スルーホール基板51を接着剤を介して積層し、積層体を得る。接着剤は、積層時に硬化されていてもよい。得られた積層体とインタポーザー基板25とを圧着することで、電気的に接続し、積層体とインタポーザー基板25とが電気的に接続された接続体を形成する。形成した接続体の該インタポーザー基板25が設けられている面とは反対側の面にダイシングテープを貼り付け、ダイシングラインに沿ってダイシングを行うことで、半導体装置100が得られる。
図5(b)に示す半導体装置200は、インタポーザー基板25上の配線27と、導電体充填スルーホール基板51の導電体35とが、微細バンプ15を介して接続されることにより、インタポーザー基板25と導電体充填スルーホール基板51とがフリップチップ接続されている。インタポーザー基板25と導電体充填スルーホール基板51との空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。上記導電体充填スルーホール基板51におけるインタポーザー基板25と反対側の主面上には、微細バンプ15を介して導電体充填スルーホール基板51が繰り返し積層されている。導電体充填スルーホール基板51同士の間の空隙には接着剤の硬化物20が隙間なく充填されており、封止されている。
半導体装置200は、例えば、下記の方法によって得られるものであってよい。すなわち、一方の主面上に微細バンプ15が設けられた導電体充填スルーホール基板51を接着剤を介して積層し、積層体を得る。接着剤は、積層時に硬化されていてよい。得られた積層体とインタポーザー基板25とを圧着することで、電気的に接続し、積層体とインタポーザー基板25とが電気的に接続された接続体を形成する。形成した接続体の該インタポーザー基板25が設けられている面とは反対側の面にダイシングテープを貼り付け、ダイシングラインに沿ってダイシングを行うことで、半導体装置200が得られる。
半導体装置100又は200は、導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(A)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(B)貫通孔30の中央部C(孔長Lにおける中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、絶縁性基板の主面を含む面S10とが交わる点S7から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(C)上記点S7から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(D)上記点S7から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、銅焼結体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(銅ペースト)
本実施形態の導電体充填スルーホール基板の製造方法で用いられる、銅粒子を含む銅ペーストについて説明する。
銅ペーストは、銅粒子として、例えば、粒径(最大径)が0.8μm以上である第1の銅粒子を含んでよい。
第1の銅粒子の粒径(最大径)は、1.2μm以上であってもよい。第1の銅粒子の粒径(最大径)は、10μm以下であってよく、8.0μm以下であってもよい。
銅ペーストに含まれる第1の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、貫通孔内での焼結密度を向上させて、貫通孔に発生するボイドを抑制する観点から、0.5μm以上、0.8μm以上、又は1.2μm以上であってよく、20μm以下、10μm以下、又は8μm以下であってよい。
第1の銅粒子の粒径(最大径)及び平均粒径(平均最大径)は、例えば、粒子のSEM像から求めることができる。第1の銅粒子の粒径(最大径)をSEM像から算出する方法を例示する。第1の銅粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により5000倍で観察する。SEM像の第1の銅粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の粒径(最大径)とする。複数のSEM像を用いて、この測定を50個以上の第1の銅粒子に対して行い、粒径の平均値(平均最大径)を算出する。
第1の銅粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。第1の銅粒子は、これらの形状を有する銅粒子の凝集体であってもよい。
第1の銅粒子は、好ましくはアスペクト比(長径/厚さ)が4以上の扁平状(フレーク状)である。この場合、第1の銅粒子が銅ペーストの塗布面に対して略平行に配向することで、銅ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に発生するボイドを抑制することが容易となる。また、銅ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制されることで、スルーホール基板の少なくとも一方の主面上に形成した銅焼結体におけるクラックを抑制することができる。
第1の銅粒子のアスペクト比は4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましい。アスペクト比が上記範囲内であれば、銅ペースト中の第1の銅粒子が、銅ペーストの塗布面に対して平行に配向しやすくなり、銅ペースト中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮を抑制できる。これにより、スルーホール基板の主面上に設けられた導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。また、銅焼結体と、絶縁性基体上に形成した金属被膜との密着性を向上させることができる。銅ペースト中の銅粒子のアスペクト比(長径/厚さ)は、例えば、粒子のSEM像を観察し、長径及び厚さを測定することにより求めることができる。
銅ペーストは、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子を含むことが好ましい。銅ペーストがこのような第1の銅粒子を含むことにより、銅ペースト中の銅粒子を焼結させた際の体積収縮を充分に低減でき、ポーラス構造を有しつつ、導電ネットワークが充分に形成された銅焼結体を貫通孔内に形成することが容易となる。それにより、貫通孔においてはボイドが発生することを抑制でき、スルーホール基板の主面上においてはクラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
銅ペーストは、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子を含んでいてもよいが、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、50質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、又は0質量部であってよい。粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量を制限することにより、銅ペースト内の第1の銅粒子によって、貫通孔内にボイドが発生することを抑制しつつ、ポーラス構造を有しながらも導電ネットワークが充分に形成された銅焼結体を貫通孔内に形成することができる。また、スルーホール基板の主面上においては、第1の銅粒子が、銅ペーストの塗布面に対して略平行に配向しやすくなり、体積収縮をより有効に抑制することでクラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
銅ペースト中の第1の銅粒子の含有量は、銅ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、15質量%以上、20質量%以上、又は50質量%以上であってよく、85質量%以下、70質量%以下、又は50質量%以下であってよい。第1の銅粒子の含有量が、上記範囲内であれば、上述した効果がより一層得られやすくなる。
第1の銅粒子は、分散安定性及び耐酸化性の観点から、表面処理剤で処理されていてよい。表面処理剤は、配線形成時(銅粒子の焼結時)に除去されるものであってよい。このような表面処理剤としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p-フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカンニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理剤などが挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
表面処理剤の処理量は、粒子表面に一分子層以上の量であってもよい。このような表面処理剤の処理量は、第1の銅粒子の比表面積、表面処理剤の分子量、及び表面処理剤の最小被覆面積により変化する。表面処理剤の処理量は、通常0.001質量%以上である。
表面処理剤の処理量は、第1の銅粒子の表面に付着した分子層数(n)と、第1の銅粒子の比表面積(A)(単位m/g)と、表面処理剤の分子量(M)(単位g/mol)と、表面処理剤の最小被覆面積(S)(単位m/個)と、アボガドロ数(N)(6.02×1023個)から算出できる。具体的には、表面処理剤の処理量は、表面処理剤の処理量(質量%)={(n・A・M)/(S・N+n・A・M)}×100%の式に従って算出される。
第1の銅粒子の比表面積は、乾燥させた銅粒子をBET比表面積測定法で測定することで算出できる。表面処理剤の最小被覆面積は、表面処理剤が直鎖飽和脂肪酸の場合、2.05×10-19/1分子である。それ以外の表面処理剤の場合には、例えば、分子モデルからの計算、又は「化学と教育」(上江田捷博、稲福純夫、森巌、40(2),1992,p114-117)に記載の方法で測定できる。表面処理剤の定量方法の一例を示す。表面処理剤は、銅ペーストから分散媒を除去した乾燥粉の熱脱離ガス・ガスクロマトグラフ質量分析計により同定でき、これにより表面処理剤の炭素数及び分子量を決定できる。表面処理剤の炭素分割合は、炭素分分析により分析できる。炭素分分析法としては、例えば、高周波誘導加熱炉燃焼/赤外線吸収法が挙げられる。同定された表面処理剤の炭素数、分子量及び炭素分割合から上記式により表面処理剤量を算出できる。
第1の銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されている第1の銅粒子としては、例えば、MA-C025(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径4.1μm)、3L3(福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径7.3μm)、1110F(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径5.8μm)、2L3(福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径9μm)が挙げられる。
銅ペーストの製造時には、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子を含み、且つ、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量が、上述した範囲である銅粒子を用いることができる。このような銅粒子からなる市販品を選定して用いてよい。
貫通孔の孔径と第1の銅粒子の粒径(最大径)との比[孔径(μm)/粒径(μm)]は、体積収縮を抑制して、クラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができる観点から、4以上、8以上又は10以上であってよく、150以下、100以下又は50以下であってよい。
一実施形態において、銅ペーストは、上述した第1の銅粒子と、粒径(最大径)が0.5μm以下である第2の銅粒子とを含むことができる。この場合、銅粒子が焼結される際に、第1の銅粒子同士の間に第2の銅粒子が介在することで、得られる配線の導通性が向上する傾向がある。すなわち、第1の銅粒子と第2の銅粒子とを併用することが好ましい。第2の銅粒子のみから銅ペーストを調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、銅粒子を焼結させる際に、絶縁性基体上に設けた金属被膜から焼結体が剥離しやすくなり、充分な気密性や接続信頼性が得られにくいが、第1の銅粒子と第2の銅粒子とを併用することで、銅ペーストを焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に形成される銅焼結体と、貫通孔の壁面に形成された金属被膜との接着性を向上させることができる。これにより、貫通孔内の銅焼結体の熱ストレスによる破断がより起こり難くなり、気密性及び熱ストレスに対する接続信頼性がより一層向上する。
第2の銅粒子は、第1の銅粒子間を好適に接合する銅粒子として作用することができる。また、第2の銅粒子は、第1の銅粒子よりも焼結性に優れ、銅粒子の焼結を促進する機能を有することができる。例えば、第1の銅粒子を単独で使用した場合と比較して、より低温で、銅粒子を焼結させることが可能になる。また、第2の銅粒子のみから銅ペーストを調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、貫通孔内部に形成される銅焼結体が体積収縮することによって、貫通孔内部にボイドを生じさせやすい。特に、扁平状の第1の銅粒子と、第2の銅粒子とを併用することで、扁平状の第1の銅粒子が第2の銅粒子によって好適に接合される銅粒子として作用し、これによって、貫通孔内部のボイド発生を抑制しつつ、ポーラス構造を有する銅焼結体を形成することが容易となる。
銅ペーストに含まれる第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、0.01μm以上、0.03μm以上、0.05μm以上、0.08μm以上、0.1μm以上、又は0.2μm以上であってよく、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下又は0.2μm以下であってよい。
第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)が0.01μm以上であれば、第2の銅粒子の合成コストの抑制、良好な分散性、表面処理剤の使用量の抑制といった効果が得られやすくなる。第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)が0.5μm以下であれば、第2の銅粒子の焼結性に優れるという効果が得られやすくなる。
第2の銅粒子は、粒径(最大径)が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子を20質量%以上含んでいてよい。銅ペーストの焼結性の観点から、第2の銅粒子は、粒径が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子を30質量%以上含んでいてよく、50質量%以上含んでいてよく、85質量%以下含んでいてよい。第2の銅粒子における粒径(最大径)が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子の含有割合が20質量%以上であると、銅粒子の分散性がより向上し、粘度の上昇、ペースト濃度の低下をより抑制することができる。
銅ペースト中の第2の銅粒子の含有量は、銅ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、20質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってよく、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下であってよい。第2の銅粒子の含有量が上記範囲内であれば、貫通孔にボイドが発生することを抑制しつつ、スルーホール基板に設けられた金属被膜との接着性に優れた銅焼結体を形成しやすくなり、スルーホール基板の主面上においてはクラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
銅ペースト中の第2銅粒子の含有量は、第1の銅粒子の質量及び第2の銅粒子の質量の合計を基準として、20質量%以上であってよく、85質量%以下であってよい。第2の銅粒子の上記含有量が20質量%以上であれば、第1の銅粒子の間を充分に充填することができ、クラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から形成される配線は、熱ストレスによる断線がより起こり難くなる。第2の銅粒子の上記含有量が85質量%以下であれば、銅粒子を焼結させたときの体積収縮を充分に抑制できるため、貫通孔内にボイドが発生することを抑制できるとともに、クラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から形成される配線は、熱ストレスによる断線がより起こり難くなる。
上記効果がより一層得られやすくなる観点から、第2の銅粒子の含有量は、第1の銅粒子の質量及び第2の銅粒子の質量の合計を基準として、20質量部以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、85質量%以下又は80質量%以下であってもよい。
第2の銅粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。第2の銅粒子は、これらの形状を有する銅粒子の凝集体であってもよい。分散性及び充填性の観点から、第2の銅粒子の形状は、球状、略球状、扁平状(フレーク状)であってよく、燃焼性、及び第1の銅粒子との混合性等の観点から、球状又は略球状であってよい。
第2の銅粒子のアスペクト比は、分散性、充填性、及び第1の銅粒子との混合性の観点から、5以下、4以下、又は3以下であってもよい。
第2の銅粒子は、特定の表面処理剤で処理されていてもよい。特定の表面処理剤としては、例えば、炭素数8~16の有機酸が挙げられる。炭素数8~16の有機酸としては、例えば、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サビエン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような有機酸と上記第2の銅粒子とを組み合わせることで、第2の銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性を両立できる傾向にある。
表面処理剤の処理量は、第2の銅粒子の表面に一分子層~三分子層付着する量であってもよい。表面処理剤の処理量は、0.07質量%以上、0.10質量%以上、又は0.2質量%以上であってよく、2.1質量%以下、1.6質量%以下、又は1.1質量%以下であってよい。第2の銅粒子の表面処理量は、第1の銅粒子について上述した方法により算出することができる。比表面積、表面処理剤の分子量、及び表面処理剤の最小被覆面積についても同様である。
第2の銅粒子としては、合成したものや、市販されているものを用いることができる。
銅ペースト中の第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計は、銅ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、90質量%以上であってよい。第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計が上記範囲内であれば、貫通孔内でボイドの発生を抑制しやすくなる。このような効果がより一層得られやすくなる観点から、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
銅ペーストは、銅粒子以外のその他の金属粒子を更に含んでいてもよい。その他の金属粒子としては、例えば、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金等の粒子が挙げられる。その他の金属粒子の平均粒径(最大径)は、0.01μm以上又は0.05μm以上であってよく、5μm以下、3.0μm以下、又は2.0μm以下であってよい。その他の金属粒子を含んでいる場合、その含有量は、充分な接合性を得る観点から、銅ペーストに含まれる金属粒子の全質量を基準として、20質量%未満であってよく、10質量%以下であってもよい。その他の金属粒子は、含まれなくてもよい。その他の金属粒子の形状は、特に限定されるものではない。
銅ペーストに含まれる分散媒は特に限定されるものではなく、例えば、揮発性のものであってよい。揮発性の分散媒としては、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、α-テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH)等の一価及び多価アルコール類;エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の酸アミド;シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;炭素数1~18のアルキル基を有するメルカプタン類;炭素数5~7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類が挙げられる。炭素数1~18のアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、エチルメルカプタン、n-プロピルメルカプタン、i-プロピルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、i-ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン及びドデシルメルカプタンが挙げられる。炭素数5~7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン及びシクロヘプチルメルカプタンが挙げられる。
分散媒の含有量は、銅ペーストに含まれる金属粒子の全質量を100質量部として、3質量部以上、4質量部以上、又は5質量部以上であってよく、20質量部以下、16質量部以下、又は12質量部以下であってよい。分散媒の含有量が上記範囲内であれば、銅ペーストをより適切な粘度に調整でき、また、貫通孔にボイドが発生することを抑制しやすくなる。
銅ペーストには、必要に応じて、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤;シリコーン油等の消泡剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤等を適宜添加してもよい。
上述した銅ペーストは、銅粒子及び任意の成分(添加剤、その他の金属粒子等)を分散媒に混合して調製することができる。各成分の混合後に、撹拌処理を行ってもよい。分級操作により分散液の最大径を調整してもよい。
銅ペーストは、第2の銅粒子、表面処理剤、分散媒をあらかじめ混合して、分散処理を行って第2の銅粒子の分散液を調製し、更に第1の銅粒子、その他の金属粒子及び任意の添加剤を混合して調製してもよい。このような手順とすることで、第2の銅粒子の分散性が向上して第1の銅粒子との混合性が良くなり、銅ペーストの性能がより向上する。第2の銅粒子の分散液を分級操作に供することによって凝集物を除去してもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(第2の銅粒子の合成)
[ノナン酸銅の合成]
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1-プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[第2の銅粒子の合成]
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1-プロパノール22mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、30分以内で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅粒子の粉体(第2の銅粒子)を得た。
上記で合成した銅粒子を透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、製品名:JEM-2100F)で観察した。無作為に選択した200個の銅粒子の長軸の平均値は104nmであった。第2の粒子の形状は、球状であった。
(銅ペーストの調製)
<実施例1~73>
下記に示す原料を表1~8に示す割合で混合して銅ペーストを調整した。
[第1の銅粒子]
扁平 1.4μm:1100YP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径1.4μm(D50)、商品名)
扁平 3.1μm:1200YP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径3.1μm(D50)、商品名)
扁平 5.8μm:MA-C05KP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径5.8μm(D50)、商品名)
扁平 7.3μm:MA-C05KFD(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径7.3μm(D50)、商品名)
[第2の銅粒子]
球状 100nm:上記で合成した銅粒子
球状 250nm:CH0200(三井金属鉱業株式会社製、D50 250nm、商品名)
[その他]
ジエチレングリコール(富士フィルム和光純薬株式会社製)
<比較例1>
第1の銅粒子として1100YP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径1.4μm(D50)、商品名)を70質量部、第2の銅粒子として上記で合成した銅粒子を30質量部、ジエチレングリコール(富士フィルム和光純薬株式会社製)を5質量部、樹脂成分を5質量部混合し、銅ペーストを調整した。樹脂成分としては、有機バインダーのアクリル樹脂と、有機溶剤のカルビトール及びテレピネオールの混合物(混合物におけるカルビトールとテレピネオールとの質量比が、カルビトール:テレピネオール=1:1)とを、1:2の質量比で混合したものを用いた。
(スルーホール基板の準備工程)
<実施例1~73及び比較例1>
貫通孔を備え、両主面上及び貫通孔の壁面にチタン層、ニッケル層、銅層がこの順に形成されたシリコン基板をスルーホール基板として準備した。なお、シリコン基板の直径は6インチ、厚みは500μmである。シリコン基板の貫通孔の孔径を表1~8に示した。チタン層、ニッケル層、銅層は順次スパッタにより形成されている。
(銅焼結体形成工程)
<実施例1~8、12~21、24~43、48~73及び比較例1>
調製した銅ペーストをシリコン基板の両主面上に金属ヘラにより塗布し、銅ペーストを貫通孔に充填した。塗布後、90℃にて10分間、大気中で銅ペーストを乾燥させた。乾燥後、シリコン基板には厚み30μmの銅ペースト層が形成されていた。
銅ペースト層が形成されたシリコン基板を両面から加圧治具により加圧した。加圧時の圧力は、シリコン基板に加わる圧力が表1~8に記載の圧力となるようにした。加圧治具は、平坦なアルミ板及びスプリングを備え、加圧時の圧力を調整できる。加圧治具により加圧されたシリコン基板をチューブ炉(株式会社エイブイシー製)内に配置し、アルゴンガスを1L/分で流してチューブ炉内の空気をアルゴンガスにより置換した。その後、水素ガスを300mL/分で流しながら昇温10分間、300℃で60分間の条件で焼結処理することにより銅ペーストを焼結させた。その後、アルゴンガスを0.3L/分に換えて冷却し、50℃以下で空気中に取り出し、銅焼結体充填スルーホール基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された銅焼結体の厚みは、25μmであった。
<実施例9~11>
シリコン基板を加圧治具により加圧しなかったこと以外は、実施例1と同様にして銅焼結体充填スルーホール基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された銅焼結体の厚みは、35μmであった。
<実施例22及び23>
焼結処理時に水素ガスに代えて窒素ガスを流したこと以外は、実施例1と同様にして銅焼結体充填スルーホール基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された銅焼結体の厚みは、30μmであった。
<実施例44~47>
昇温時間を10分間、225℃で60分間の条件で焼結処理したこと以外は、実施例1と同様にして銅焼結体充填スルーホール基板を得た。焼結後のシリコン基板の両主面上に形成された銅焼結体の厚みは、30μmであった。
(銅焼結体の空孔率の測定)
<実施例1~73及び比較例1>
集束イオンビーム加工観察装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:MI4050)を用い、集束イオンビームによって銅焼結体充填スルーホール基板におけるシリコン基板の貫通孔の中央部の断面及びシリコン基板の主面上に設けられた銅焼結体の断面を露出させ、該断面を観察した。貫通孔の中央部の断面を観察する際には、貫通孔に充填された銅焼結体の中央部から、シリコン基板の厚み方向に±5μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察した。シリコン基板の主面上に設けられた銅焼結体の断面を観察する際には、シリコン基板の主面上に形成された銅焼結体の表面から5μmまでの領域において、シリコン基板の厚み方向に10μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲を観察した。
観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S-3700N)を用い、倍率は1万倍とし、銅焼結体の断面画像(約10μm角)を撮影した。観察箇所は5箇所とした。得られた断面画像を、画像解析ソフト(Adobe Photoshop(登録商標) Elements)を用いて、焼結銅部分とポーラス部分とが分かれるように2値化処理した。2値化処理した断面画像を図6に示した。5箇所の観察箇所それぞれについて、銅焼結体断面の全面積に対するポーラス部分の面積の比率を空孔率とした。5箇所の観察の空孔率の平均値を銅焼結体の空孔率とした。結果を表1~8に示す。
(樹脂含浸工程)
<実施例1~73>
下記に示す硬化性樹脂組成物をロールコーターにより銅焼結体充填スルーホール基板の片面に塗布した。次いで、銅焼結体充填スルーホール基板を容器内に配置し、該容器内をゲージ圧が100KPaとなるように吸引し、真空状態とした。真空状態で銅焼結体充填スルーホール基板を10分間保持し、その後、銅焼結体充填スルーホール基板を容器から取り出した。貫通孔の銅焼結体に硬化性樹脂組成物が含浸し、硬化性樹脂組成物が、貫通孔の銅焼結体の硬化性樹脂組成物を塗布した面とは反対の面にまで到達していることを確認した。銅焼結体充填スルーホール基板の硬化性樹脂組成物の塗布面に残った硬化性樹脂組成物をゴムヘラで除去した。次いで、硬化性樹脂組成物を塗布した面とは反対の面に、硬化性樹脂組成物をロールコーターにより塗布し、銅焼結体充填スルーホール基板の表面に残った硬化性樹脂組成物をゴムヘラにより極力除去した。
[硬化性樹脂組成物]
YDF-170(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量=170):95質量部
2PZ-CN(四国化成社製、イミダゾール化合物の商品名):5質量部
<比較例1>
樹脂含浸工程は行わなかった。
(樹脂硬化工程)
<実施例1~73>
銅焼結体に硬化性樹脂組成物を含浸させたスルーホール基板を、窒素雰囲気中、180℃で1時間保持することにより、導電体充填スルーホール基板を得た。
<比較例1>
樹脂硬化工程は行わなかった。
(導電体除去工程)
<実施例1~73及び比較例1>
導電体充填スルーホール基板の両面に対して、導電体充填スルーホール基板の両面の銅焼結体の厚みが20μmとなるまで機械的研磨処理を行った。導電体充填スルーホール基板を貼り付ける試料台としては、セラミック製冶具(ケメット・ジャパン株式会社製)を用い、導電体充填スルーホール基板を試料台に貼り付けるための材料としては、アルコワックス(日化精工株式会社製)を用いた。また、研磨剤としては、DP-懸濁液P-3μm・1μm・1/4μm(ストルアス製)を順に用いた。
[導電体における樹脂硬化物の充填率]
<実施例1~73及び比較例1>
機械的研磨処理を行った導電体充填スルーホール基板を厚さ方向に切断し、シリコン基板の貫通孔の中央部の断面及びシリコン基板の主面上に設けられた導電体の断面を集束イオンビームによって露出させ、これらの断面を観察した。シリコン基板の貫通孔の中央部の断面を観察する際には、貫通孔の中央部から、シリコン基板の厚み方向に±5μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察した。シリコン基板の主面上に設けられた導電体の断面を観察する際には、シリコン基板の主面上に設けられた導電体の表面から5μmまでの領域において、シリコン基板の厚み方向に10μm及びシリコン基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲を観察した。
集束イオンビーム加工観察装置は、(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:MI4050)を用いた。観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S-3700N)を用い、倍率は1万倍とし、導電体の断面画像(約10μm角)を撮影した。観察箇所は5箇所とした。得られた断面画像を、画像解析ソフト(Adobe Photoshop(登録商標) Elements)を用いて、焼結銅部分及び樹脂硬化物部分と、ポーラス部分における樹脂硬化物により埋まっていない空間とが分かれるように2値化処理した。5箇所の観察箇所それぞれについて、導電体断面の全面積に対するポーラス部分における樹脂硬化物により埋まっていない空間の面積の比率を求め、これを空孔率とした。5箇所の観察の空孔率の平均値を導電体の空孔率とした。銅焼結体の空孔率と、導電体の空孔率とを下記式(1)に代入することにより、導電体における樹脂硬化物の充填率を算出した。
導電体における樹脂硬化物の充填率(%)=[(B-A)/B]×100・・・式(1)
[式(1)中、Aは導電体の空孔率(%)を示し、Bは銅焼結体の空孔率(%)を示す。]
(配線形成工程(レジスト形成、エッチング及びレジスト除去))
<実施例1~73及び比較例1>
機械的研磨処理を行った導電体充填スルーホール基板の両面の銅焼結体の表面に紫外線硬化型エッチングレジスト用ドライフィルムH-W425(日立化成工業株式会社製、商品名)をラミネータにて圧着した。その後、フォトマスクを合わせて配線パターンを露光し、レジスト現像-銅焼結体のエッチング-レジスト除去を経て、配線を形成し、図7に示す導電体充填スルーホール基板(試験片55)を得た。得られた導電体充填スルーホール基板(試験片55)は、貫通孔に充填された導電体が、基板表面に設けられた導電体(配線)により電気的に接続されている。
(初期抵抗値)
<実施例1~73及び比較例1>
導電体充填スルーホール基板(試験片55)の初期抵抗値として連結接続抵抗値を測定した。シリコン基板の貫通孔の孔径が20μmである場合には、貫通孔20個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が30μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が50μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が100μmである場合には、貫通孔100個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が200μmである場合には、貫通孔200個が連結した抵抗値をそれぞれ測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1~8に示す。
A:抵抗値が10mΩ未満
B:抵抗値が10mΩ以上、30mΩ未満
C:抵抗値が30mΩ以上、100mΩ未満
D:抵抗値が100mΩ以上、500mΩ未満
E:抵抗値が500mΩ以上
(温度サイクル接続性試験)
<実施例1~73及び比較例1>
導電体充填スルーホール基板(試験片55)を温度サイクル試験機(TSA-72SE-W、エスペック株式会社製)にセットし、低温側:-40℃、15分、室温:2分、高温側:125℃、15分、除霜サイクル:自動、サイクル数:50、100、300、500サイクルの条件で温度サイクル接続信頼性試験を実施した。シリコン基板の貫通孔の孔径が20μmである場合には、貫通孔20個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が30μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が50μmである場合には、貫通孔30個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が100μmである場合には、貫通孔100個が連結した抵抗値を、シリコン基板の貫通孔の孔径が200μmである場合には、貫通孔200個が連結した抵抗値をそれぞれ測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。温度サイクル試験500回後の評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1~8に示す。
A:抵抗変化率が初期抵抗値に対して1%未満
B:抵抗変化率が初期抵抗値に対して1%以上3%未満
C:抵抗変化率が初期抵抗値に対して3%以上5%未満
D:抵抗変化率が初期抵抗値に対して5%以上10%未満
E:抵抗変化率が初期抵抗値に対して10%以上20%未満
F:抵抗変化率が初期抵抗値に対して20%以上
(基板の割れ)
<実施例1~73及び比較例1>
導電体充填スルーホール基板(試験片55)を目視で確認し、シリコン基板の割れの有無を確認した。割れがない場合を○、部分的にでも割れがあった場合を×として評価した。結果を表1~8に示す。
(気密性)
<実施例1~73及び比較例1>
導電体充填スルーホール基板(試験片55)の気密性を評価した。評価は、ヘリウムリークディテクター(LEYBOLD社製「UL200」)を用いて行った。具体的には、導電体充填スルーホール基板を治具にセットし、測定機のインレット圧が5Paになるまで真空引きを行い、インレット圧が5Paに到達した時点でHe加圧(0.1MPa)を30秒間行った後、リーク量を測定して、以下の基準で評価した。結果を表1~8に示す。
A:リーク量が1×10-11Pa・m/sec未満
B:リーク量が1×10-11以上1×10-10Pa・m/sec未満
C:リーク量が1×10-10以上1×10-9Pa・m/sec未満
D:リーク量が1×10-9以上1×10-8Pa・m/sec未満
E:リーク量が1×10-8以上1×10-6Pa・m/sec未満
F:リーク量が1×10-6Pa・m/sec以上。
(配線の密着性-プル強度-)
<実施例1~73及び比較例1>
配線形成工程において2mm×2mmの配線パターンを形成したこと以外は同様にして得た導電体充填スルーホール基板に対して、先端部面積1mmのスタッドピンをハンダにより垂直に接合し、試験片とした。その試験片を固定し、引張試験機のチャック部でスタッドピンを掴み、上昇速度50mm/分で垂直上方へ引っ張り、シリコン基板の主面上の銅焼結体がシリコン基板から剥離する時の破壊荷重を測定した。そして、得られた破壊荷重の測定値と、銅焼結層の破壊面積から、下記式を用いて密着強度を算出した。なお、測定値は10点の平均とし、以下の基準で評価した。結果を表1~8に示す。
密着強度(MPa)=破壊荷重(kgf)/破壊面積(mm)×9.8(N/kgf)。
A:密着強度(MPa)が50MPa以上
B:密着強度(MPa)が40MPa以上50MPa未満
C:密着強度(MPa)が30MPa以上40MPa未満
D:密着強度(MPa)が20MPa以上30MPa未満
E:密着強度(MPa)が5MPa以上20MPa未満
F:密着強度(MPa)が5MPa未満
(配線形成性-ひび割れの有無-)
<実施例1~73及び比較例1>
配線形成工程において2mm×2mmの配線パターンを5本形成したこと以外は同様にして得た導電体充填スルーホール基板を、光学顕微鏡により監察し、配線パターンにおいてクラック(長さ0.5mm以上)の有無を監察した。倍率は500倍とし、以下の基準で評価した。結果を表1~8に示す。
A:クラックの発生無し
B:クラックが1本以上、2本未満
C:クラックが2本以上、5本未満
D:クラックが5本以上、10本未満
E:クラックが10本以上、20本未満
F:クラックが20本以上
(体積抵抗率)
<実施例1~73及び比較例1>
シリコン基板上に形成した導電体の体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、4端針面抵抗測定器(三菱アナリテック社製、商品名:ロレスタGP)で測定した面抵抗値と、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)で求めた膜厚とから計算した。結果を表1~8に示す。
Figure 2023156407000002
Figure 2023156407000003
Figure 2023156407000004
Figure 2023156407000005
Figure 2023156407000006
Figure 2023156407000007
Figure 2023156407000008
Figure 2023156407000009
1…絶縁性基体,2…金属被膜,3…銅ペースト,4…ポーラス,5…銅焼結体,6…樹脂硬化物,8…エッチングレジスト,9…配線,15…微細バンプ,20…接着剤の硬化物,25…インタポーザー基板,27…配線,30…貫通孔,35…導電体,40…スルーホール基板,50…銅焼結体充填スルーホール基板,51,52…導電体充填スルーホール基板,55…試験片,100,200…半導体装置,A…加圧治具

Claims (18)

  1. 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に前記貫通孔が通じているスルーホール基板を準備する準備工程と、
    少なくとも前記貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体を形成する銅焼結体形成工程と、
    前記銅焼結体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
    前記銅焼結体に含浸させた前記硬化性樹脂組成物を硬化することにより、ポーラスに樹脂硬化物が充填された前記銅焼結体を含んでなる導電体を形成する樹脂硬化工程と、
    を備える、導電体充填スルーホール基板の製造方法。
  2. 前記導電体における樹脂硬化物の充填率が、前記ポーラスの内部空間の体積を基準として、80体積%以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記銅焼結体の空孔率が、前記銅焼結体の体積を基準として、1~15体積%である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記銅焼結体形成工程において、前記銅焼結体を、前記スルーホール基板の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記スルーホール基板の主面上に形成された前記導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程を更に備える、請求項4に記載の方法。
  6. 前記導電体除去工程における除去手段が、エッチング、機械的研磨及び化学的機械的研磨からなる群より選択される一種以上である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記スルーホール基板が、少なくとも前記貫通孔の壁面に設けられた金属被膜を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記貫通孔の孔径Dに対する孔長Lの比L/Dが10以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記銅焼結体形成工程が、
    前記スルーホール基板の前記貫通孔に銅粒子とを含む銅ペーストを充填する銅ペースト充填工程と、
    前記銅ペーストを焼成して前記銅焼結体を形成する銅ペースト焼成工程と、
    を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記銅ペーストが、前記銅粒子として、粒径が0.8μm以上である第1の銅粒子と、粒径が0.5μm以下である第2の銅粒子と、を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第1の銅粒子が扁平状である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記銅ペーストを0.1MPa以上の加圧下で焼成する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記銅ペーストを窒素又は水素を含む雰囲気下で焼成する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 貫通孔が設けられている絶縁性基体を含み、両主面に前記貫通孔が通じているスルーホール基板と、前記貫通孔を充填する導電体と、を備え、
    前記導電体が、ポーラス構造を有する銅焼結体と、前記銅焼結体のポーラスに充填された樹脂硬化物と、を含む、導電体充填スルーホール基板。
  15. 前記導電体における樹脂硬化物の充填率が、前記ポーラスの内部空間の体積を基準として、80体積%以上である、請求項14に記載の導電体充填スルーホール基板。
  16. 前記スルーホール基板が、少なくとも前記貫通孔の壁面に設けられた金属被膜を備える、請求項14又は15に記載の導電体充填スルーホール基板。
  17. 前記貫通孔の孔径Dに対する孔長Lの比L/Dが10以上である、請求項14~16のいずれか一項に記載の導電体充填スルーホール基板。
  18. 前記導電体が、前記スルーホール基板の主面上の少なくとも一部を被覆する、請求項14~17のいずれか一項に記載の導電体充填スルーホール基板。
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