JP2022022600A - 導電部材及びその製造方法、並びに、半導体装置 - Google Patents

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芳則 江尻
Yoshinori Ejiri
振一郎 須方
Shinichiro Sugata
一行 満倉
Kazuyuki Mitsukura
邦彦 赤井
Kunihiko Akai
真生 成田
Masao Narita
悠平 岡田
Yuhei Okada
敏光 森谷
Toshimitsu Moriya
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Abstract

【課題】簡便に製造することが可能であるとともに、変形によっても接続抵抗値が上昇しにくい導電部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】導電部材10は、有機絶縁フィルム1と、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通する導電部と、を備える。導電部が、ポーラス構造を有する金属体5を含む。金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、導電部材及びその製造方法、並びに、半導体装置に関する。
近年、電子部品の高性能化及び高機能化に伴い、種々の形態を有する半導体パッケージが提案されている。半導体パッケージとしては、例えば、半導体チップ(半導体素子)と半導体チップ搭載用支持部材とが接合されたものが知られており、その接合には、接着剤が用いられている。
また、半導体実装分野においては、半導体チップ同士が接続される、及び/又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とが複数の導電性バンプを介して接続されるフリップチップ実装方式が注目されている。フリップチップ実装方式では、それぞれの被接続部材の熱膨張係数差に基づくストレスにより、導電性バンプを介する基板と半導体チップとの接続に異常が生じる場合がある。このようなストレスを緩和する方法として、被接続部材間に樹脂等のアンダーフィル材を充填することにより導電性バンプを封止する方式が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
さらに、半導体チップに適用されるバンプの径やピッチが微細化すると、接続する際の位置あわせが難しく、歩留まりが大きく低下することが課題となっている。このような課題を解決するために、加熱又は加圧によって接続する際に、基板と半導体チップとの位置あわせを行った後に、一旦、接続する温度よりも低温でチップを基板上に仮固定し、その後、接続温度へ温度を上げつつ熱圧着する工程が用いられることがある(例えば、下記非特許文献1参照)。また、感光性材料を用いて形成したビアにバンプをはめ込み、位置ずれを抑制することも検討されている(例えば、下記特許文献2参照)。
特許第3999840号公報 特開2015-173196号公報
Proceedings of 2009 Electronic Components and Technology Conference, 11-13(2009).
ところで、被接続部材を電気的に接続する導電部材に対しては、半導体装置等の歩留まりを更に向上させる観点から、簡便に製造可能であることが求められている。また、最近、ウエアラブデバイス等の被接続部材が多用されており、このような被接続部材を接続した接続体は曲げ等によって変形することがある。そのため、導電部材には、接続体が変形した後であっても接続抵抗値を充分に低く維持できることが求められている。
本開示は、簡便に製造することが可能であるとともに、変形によっても接続抵抗値が上昇しにくい導電部材及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本開示は、前記導電部材を用いた半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、貫通孔を有する有機絶縁フィルムの貫通孔内に、特定の金属粒子が含まれる金属粒子組成物を充填し、これを焼結させて得られる導電部材が、曲げ試験後であっても接続抵抗値を充分小さくすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本開示の一側面は、以下の発明を提供する。
[1] 有機絶縁フィルムと、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通する導電部と、を備え、導電部が、ポーラス構造を有する金属体を含み、金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体を含有する、導電部材。
[2] 上記金属体が、離散的に分布するはんだを更に含有する、[1]に記載の導電部材。
[3] 上記はんだが、スズ又はスズ合金を含む、[2]に記載の導電部材。
[4] 上記はんだが、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金である、[2]に記載の導電部材。
[5] 上記金属体の空孔率が、金属体の体積を基準として、1~15体積%である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の導電部材。
[6] 上記導電部が、上記金属体の空孔内に存在する樹脂硬化物又は樹脂半硬化物を更に備える、[1]~[5]のいずれか一項に記載の導電部材。
[7] 上記導電部における上記樹脂硬化物の含有量が、上記金属体の空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上である、[6]に記載の導電部材。
[8] 上記金属体が、上記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、上記導電部が、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられているはんだ含有部位を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の導電部材。
[9] 上記はんだ含有部位が、スズ又はスズ合金を含む、[8]に記載の導電部材。
「10」 上記はんだ含有部位が、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金である、[8]に記載の導電部材。
[11] 上記金属体が、上記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、上記導電部が、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の導電部材。
[12]上記金属体が、上記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、上記導電部が、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜と、当該無電解めっき被膜を被覆するように設けられているはんだ含有部位と、を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の導電部材。
[13] 上記はんだ含有部位が、スズ又はスズ合金を含む、[12]に記載の導電部材。
[14] 上記はんだ含有部位が、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金である、[12]に記載の導電部材。
[15] 上記有機絶縁フィルムの厚みが1~50μmである、[1]~[14]のいずれか一項に記載の導電部材。
[16] 上記有機絶縁フィルムが、感光性絶縁フィルムの硬化物を含む、[1]~[15]のいずれか一項に記載の導電部材。
また、本開示の他の側面は、以下の発明を提供する。
[17] 半導体チップ及び半導体チップ搭載用支持部材が[1]~[16]のいずれか一項に記載の導電部材を介して互いに電気的に接続された接続構造、及び/又は、複数の半導体チップが[1]~[16]のいずれか一項に記載の導電部材を介して互いに電気的に接続された接続構造を有する、半導体装置。
また、本開示の他の側面は、以下の発明を提供する。
[18] 貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを含み、両主面に前記貫通孔が通じている基体を準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程を含み、金属体形成工程が、基体の貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有する、導電部材の製造方法。
[19] 上記金属粒子組成物がはんだ粒子を更に含む、[18]に記載の導電部材の製造方法。
[20] 上記金属粒子組成物が硬化性樹脂成分を含まない又は硬化性樹脂成分を組成物全量基準で4質量%以下の割合で含む、[18]又は[19]に記載の導電部材の製造方法。
[21] 上記導電体形成工程が、上記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を更に含む、[18]~[20]のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
[22] 上記基体の主面上に形成された上記導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程を更に備える、[18]~[21]のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
また、本開示の他の側面は、以下の発明を提供する。
[23] 両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、金属体形成工程が、有機絶縁フィルムの貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有し、第2金属含有部位形成工程が、溶融したはんだを含む槽に、金属体が形成された有機絶縁フィルムを浸漬する工程、又は、金属体が形成された有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱する工程を有する、導電部材の製造方法。
[24] 両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、金属体形成工程が、有機絶縁フィルムの貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有し、第2金属含有部位形成工程が、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように無電解めっき被膜を形成する無電解めっき工程と、溶融したはんだを含む槽に、無電解めっき被膜が形成された有機絶縁フィルムを浸漬する工程、又は、無電解めっき被膜が形成された有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱する工程を有する、導電部材の製造方法。
[25] 上記導電体形成工程が、上記金属体形成工程と上記第2金属含有部位形成工程との間に、上記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を有する、[23]又は[24]に記載の導電部材の製造方法。
[26] 両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、金属体形成工程が、有機絶縁フィルムの貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有し、第2金属含有部位形成工程が、金属体が形成された有機絶縁フィルムの一主面上又は両主面上に、はんだ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有するはんだペーストを塗布する工程と、塗布されたはんだペーストを加熱する工程と、を有する、導電部材の製造方法。
[27] 上記準備工程が、感光性絶縁フィルムを露光及び現像して上記有機絶縁フィルムを作製する、[23]~[26]のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
[28] 上記金属粒子組成物が、はんだ粒子を更に含む、[23]~[27]のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
本開示によれば、簡便に製造することが可能であるとともに、曲げ試験後においても接続抵抗値が上昇しにくい導電部材及びその製造方法を提供することができる。係る導電部材は、異方導電部材、又は貫通電極を有する基体として用いることができる。また、本開示によれば、係る導電部材を用いた半導体装置を提供することができる。このような半導体装置は、導電部材の少なくとも一方の面に配置された半導体チップを加圧接合したときの導電部におけるクラックの発生がより高度に抑制されたものになり得る。
また、本開示の一側面によれば、充分な導電性を有するとともに、曲げ試験後においても接続抵抗値が上昇しにくく、温度変化を受けた場合であっても抵抗値が上昇しにくい導電部材及びその製造方法を提供することができ、係る導電部材を用いた半導体装置を提供することができる。
導電部材の一実施形態を示す模式図である。 導電部材の製造方法を示す模式図である。 導電部材の製造方法を示す模式図である。 導電部材の製造方法を示す模式図である。 導電部材の製造方法を示す模式図である。 導電部材の製造方法を示す模式図である。 導電部材の製造方法を示す模式図である。 導電部材の別の実施形態及びその製造方法を示す模式図である。 導電部材の別の実施形態を示す模式図である。 導電部材の別の実施形態及びその製造方法を示す模式図である。 導電部材の別の実施形態及びその製造方法を示す模式図である。 導電部材の別の実施形態及びその製造方法を示す模式図である。 導電部材の製造について説明するための模式図である。 半導体装置の製造方法を示す模式図である。 評価基板の作製を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<導電部材>
本実施形態に係る導電部材は、有機絶縁フィルムと、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通する導電部と、を備え、導電部が、ポーラス構造を有する金属体を含み、金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体を含有する。導電部は、有機絶縁フィルムに形成された貫通ビア内に配置(例えば充填)されていてもよく、貫通ビア内と、有機絶縁フィルムの主面上の一部とに配置されていてもよい。
「貫通」とは、有機絶縁フィルムの両面に導電部が露出している状態を意味する。「絶縁」とは、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であることを意味する。体積抵抗率は、4端針面抵抗測定器で測定した面抵抗値と、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)によって測定した膜厚とから計算した値である。
導電部材の使用方法は、特に限定はしないが、電極層、配線層、給電層、電磁波遮蔽層、放熱層形成、電極間接続材料等として使用することができる。また、導電部材は、異方導電部材であってもよく、貫通電極を有する基体に適用してもよい。
図1は、導電部材の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示す導電部材10は、有機絶縁フィルム1と、有機絶縁フィルム1を厚み方向に貫通する複数の導電部5と、を備える。複数の導電部5のそれぞれは、有機絶縁フィルム1の厚み方向に垂直な方向において互いに離間して配置されている。複数の導電部5は、有機絶縁フィルム1の厚み方向に垂直な方向において、規則的に配列されていてもよく、不規則に配列されていてもよい。導電部材10は、異方導電部材として用いることができる。
有機絶縁フィルムは、感光性樹脂組成物及び/又はその硬化物を含むことができる。有機絶縁フィルムは、感光性樹脂組成物を含む感光性絶縁フィルムである態様であってもよく、感光性絶縁フィルムの硬化物を含む態様であってもよい。ビア径を小さくし、導電部材を小さくする観点から、有機絶縁フィルムは、感光性絶縁フィルムの硬化物を含むことが好ましい。感光性絶縁フィルムは、感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。このような感光性絶縁フィルムを用いることにより、高精細であり、且つ、側壁が平滑な貫通ビアを有する有機絶縁フィルムを容易に形成することができる。また、感光性絶縁フィルムは、機械的物性及び耐熱性に優れる観点から、ネガ型感光性絶縁フィルムであることが好ましい。
感光性樹脂組成物は、耐熱性、及び、フィルム形成時の取り扱い性に優れる観点から、ネガ型感光性樹脂組成物であることが好ましい。また、感光性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物)としては、例えば、光酸発生剤や光ラジカル開始剤を含有する組成物が挙げられるが、微細なパターンが容易に得られる観点から、光酸発生剤を含有する組成物が好ましい。以上の観点から、感光性樹脂組成物としては、光酸発生剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物が好ましい。
光酸発生剤としては、光照射によって酸を発生する化合物であれば特に限定はしないが、例えば、効率的に酸が発生する観点から、オニウム塩化合物又はスルホンイミド化合物を用いることが好ましい。光酸発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
オニウム塩化合物の具体例としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられる。オニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート等のジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のトリアリールスルホニウム塩;4-t-ブチルフェニル-ジフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
スルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプトー5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)-1,8-ナフタルイミド、N-(10-カンファースルホニルオキシ)-1,8-ナフタルイミド等が挙げられる。
光酸発生剤としては、解像性に優れる観点から、トリフルオロメタンスルホネート基、ヘキサフルオロアンチモネート基、ヘキサフルオロホスフェート基又はテトラフルオロボレート基を有する化合物が好ましく用いられる。
感光性樹脂組成物は、2.38質量%のテトラメチルアンモニウム水溶液に可溶であることが好ましく、解像性、保存安定性及び絶縁信頼性に優れる観点から、フェノール性水酸基を有する化合物を含有することが好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール-ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン及びその重合体、フェノール-キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール-キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン縮合樹脂等が挙げられる。ここで、「可溶」とは、25℃の2.38質量%のテトラメチルアンモニウム水溶液に1分間浸漬して10質量%以上溶解することを意味する。フェノール性水酸基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、マレイミド樹脂、アリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、トリアリルトリメリタートを含む樹脂、シクロペンタジエンから合成された熱硬化性樹脂等が挙げられるが、解像性、絶縁信頼性、及び、金属との密着性に優れる観点から、メチロール基、アルコキシアルキル基及びグリシジル基のいずれかを有する化合物であることが好ましい。熱硬化性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物は、解像性、保存安定性、及び、絶縁信頼性に優れる観点から、(A)光酸発生剤、(B)フェノール性水酸基を有する化合物(以下、場合により「(B)成分」という)、及び、(C)熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。
感光性樹脂組成物は、密着助剤を含有することができる。密着助剤としては、シランカップリング剤、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物等を用いることができる。
シランカップリング剤としては、導電部との密着性が向上する観点から、窒素原子を有する化合物が好ましく用いられる。シランカップリング剤としては、具体的には、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、添加による効果、耐熱性及びコスト等に優れる観点から、(B)成分100質量部に対して0.1~20質量部が好ましい。
トリアゾール化合物としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4’-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール等が挙げられる。
テトラゾール化合物としては、1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、1-メチル-5-エチル-1H-テトラゾール、1-メチル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、2-メトキシ-5-(5-トリフルオロメチル-1H-テトラゾール-1-イル)-ベンズアルデヒド、4,5-ジ(5-テトラゾリル)-[1,2,3]トリアゾール、1-メチル-5-ベンゾイル-1H-テトラゾール等が挙げられる。
トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物のそれぞれの使用量は、添加による効果、耐熱性及びコスト等に優れる観点から、(B)成分100質量部に対して0.1~20質量部が好ましい。
これらシランカップリング剤、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物のそれぞれは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物は、イオン捕捉剤を含有することもできる。イオン捕捉剤によってイオン性不純物を吸着することにより吸湿時の絶縁信頼性が向上する。イオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、及び、フェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すことを防止するための銅害防止剤として知られる化合物、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系及びスズ系、並びに、これらの混合系等の無機化合物が挙げられる。
イオン捕捉剤の具体例としては、特に限定はしないが、例えば、東亜合成株式会社製の無機イオン捕捉剤である商品名:IXE-300(アンチモン系)、IXE-500(ビスマス系)、IXE-600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE-700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE-800(ジルコニウム系)、及び、IXE-1100(カルシウム系)が挙げられる。イオン捕捉剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果、耐熱性及びコスト等に優れる観点から、(B)成分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましい。
感光性樹脂組成物は、硬化剤、硬化促進剤、フィラー等を適宜含有することができる。
感光性樹脂組成物は、溶剤を含有していてもよい。使用する溶剤としては、特に制限はなく、乳酸エチル、N-メチルピロリジノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
有機絶縁フィルムの厚みは、取り扱い性に優れる観点から、1~100μmであることが好ましく、半導体装置の薄型化の観点から、50μm以下であることがより好ましく、更に微細な導電部が得られる観点から、20μm以下であることが更に好ましい。有機絶縁フィルムの厚みは、フィルムの取り扱い性に優れる観点から、2μm以上であることが好ましい。これらの観点から、有機絶縁フィルムの厚みは、2~50μmであることが好ましい。
導電部5は、ポーラス構造を有する金属体を含み、金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体を含有する。ポーラス構造を有する金属体は、後述する金属粒子組成物を用い、後述する金属体形成工程によって形成することができる。
金属体に含まれる銅焼結体は、構成する元素のうち軽元素を除いた元素中の銅元素の割合が95質量%以上であってもよく、97質量%以上であってもよく、98質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。銅焼結体における銅元素の上記割合が、上記範囲内であれば、金属間化合物の形成又は金属銅結晶粒界への異種元素の析出を抑制でき、銅焼結体を構成する金属銅の性質が強固になりやすく、より一層優れた接続信頼性が得られやすい。
金属体の空孔率は、金属体の体積を基準として、1~15体積%であることが好ましい。金属体の体積抵抗率を下げる観点から、貫通孔に充填された金属体の空孔率は、金属体の空孔率(金属体に含まれる空孔の割合)は、金属体の全体積(空孔を含む)を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、金属体の空孔率は、銅焼結体に加わる応力を緩和して、有機絶縁フィルムの反りを抑制できる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
本実施形態の導電部材においては、金属体が、離散的に分布する、換言すれば点在的に存在するはんだを更に含有することができる。はんだは、スズ又はスズ合金を含むことが好ましく、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金であることがより好ましい。このような導電部材は、曲げ等の大きな変形によっても接続抵抗値が上昇しにくいものになり得る。
金属体に含まれるはんだの含有量は、金属体に含まれる銅焼結体100質量部に対して、金属体のクラックを抑制する観点から、3質量部以上、10質量部以上、又は10質量部以上であってもよく、金属体の体積抵抗率を下げる観点から、20質量部以下、15質量部以下、又は10質量部以下であってもよい。
本実施形態の導電部材においては、導電部が、上記金属体の空孔内に存在する樹脂硬化物又は樹脂半硬化物を更に備えることができる。この場合、導電部における樹脂硬化物の含有量が、金属体の空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。このような導電部材は、曲げ等の大きな変形によっても接続抵抗値が上昇しにくいものになり得る。
樹脂硬化物及び樹脂半硬化物は、後述する硬化性樹脂組成物によって形成することができる。
本実施形態の導電部材は、上記金属体が、上記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、上記導電部が、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられているはんだ含有部位を含んでいてもよい。
はんだ含有部位は、スズ又はスズ合金を含むことが好ましく、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金であることがより好ましい。
本実施形態の導電部材は、上記金属体が、上記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、上記導電部が、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜を含んでいてもよい。
無電解めっき被膜は、無電解ニッケルめっき被膜、置換金めっき等の無電解金めっき被膜、無電解ニッケルめっき被膜の表面に無電解金めっきを施した無電解ニッケル/金めっき被膜、又は、無電解ニッケルめっき被膜の表面に無電解パラジウムめっき及び無電解金めっきを施した無電解ニッケル/パラジウム/金めっき被膜であってもよい。無電解めっき被膜の厚みは、0.1μm~5μmとすることができる。
また、本実施形態の導電部材は、上記金属体が、上記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、上記導電部が、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜と、当該無電解めっき被膜を被覆するように設けられているはんだ含有部位と、を含んでいてもよい。この場合、上述と同様の無電解めっき被膜及びはんだ含有部位が設けられていてもよい。
また、本実施形態の導電部材は、有機絶縁フィルムの一主面上又は両主面上に設けられた樹脂層を有していてもよい。
樹脂層は、硬化性樹脂組成物又はその半硬化物(樹脂半硬化物)を含むことができる。
樹脂層は、導電体を被覆するように設けられていてもよく、被覆導電体の一部が露出するように設けられていてもよい。樹脂層の厚みは、1μm~20μmとすることができる。
<導電部材の製造方法>
本実施形態に係る導電部材の製造方法は、貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを含み、両主面に前記貫通孔が通じている基体を準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程を含み、金属体形成工程が、基体の貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有する。
図2~図7は、本実施形態に係る導電部材の製造方法の一例を示す模式図であり、導電部材として貫通電極を有する基板を製造する例を示す。この製造方法においては、導電体形成工程が、金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程とを更に含んでいてもよい。
<基体の準備工程>
この工程では、図2の(a)に示されるように、貫通孔30が設けられている有機絶縁フィルム1と、貫通孔の壁面及び有機絶縁フィルム1の表面に設けられた金属被膜2とを有する金属被膜形成済有機絶縁フィルム40を準備することができる。貫通孔30は、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の両主面に通じている。
有機絶縁フィルム1は、例えば、上述した感光性樹脂組成物を含む感光性絶縁フィルムを、公知の方法で露光及び現像することにより作製することができる。
貫通孔30の孔径の上限値は、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、80μm以下、60μm以下又は40μm以下であってよく、貫通孔30の孔径の下限値は、特に制限されないが、2μm以上であってよく、5μm以上であってよい。
金属被膜形成済有機絶縁フィルム40に設けられる貫通孔30の個数は、得られる半導体装置の高密度化を図る観点から、基板の主面1cmあたり100個以上又は300個以上であってよい。
金属被膜2は、有機絶縁フィルム1の両主面上及び貫通孔30の壁面に設けられていてもよく、有機絶縁フィルム1の少なくとも一方の主面上及び貫通孔30の壁面に設けられていてもよく、貫通孔30の壁面にのみに設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。図2の(a)に示される実施形態においては、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40が、有機絶縁フィルム1の両主面上及び貫通孔30の壁面に金属被膜2を備えている。
金属被膜2としては、例えば、チタン、ニッケル、クロム、銅、アルミ、パラジウム、プラチナ及び金等が挙げられる。密着性の観点から、金属被膜2は、チタン、ニッケル及び銅をこの順に層形成した被膜であることが好ましい。有機絶縁フィルム1の表面を酸化させ酸化ケイ素にし、酸化ケイ素の上にチタン層を形成させることで、接着性が向上する。また、チタン層の上にニッケル層を設け、その上に銅層を設けることで、チタン層の上に直接銅層を設けた場合と比較して、銅が有機絶縁フィルム1内に拡散することを抑制できる。更に、表面に銅層を設けることで、後述する金属体形成工程で形成される金属体と金属被膜形成済有機絶縁フィルム40との接着性が向上する。
<金属体形成工程>
図2~図7に示す方法においては、金属体形成工程が、基体の貫通孔に、銅粒子及びはんだ粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有しており、これらの工程によって、少なくとも貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する銅焼結体及びはんだを含有し、空孔を有する金属体を形成している。金属体形成工程では、金属体を、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上の少なくとも一部を被覆するように形成してもよい。この場合、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の貫通孔を充填する導電体を形成すると共に、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上にも導電体を設けることができる。金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上に設けられた導電体は、配線及び有機絶縁フィルム貫通電極を形成することができる。
図2~図7に示す方法においては、充填工程で基体の両主面上に金属粒子組成物の層を設けているが、充填工程の後に基体の両主面上に金属粒子組成物の層を設けてもよい。
上記の金属体形成工程としては、例えば、図2の(b)に示されるように、銅粒子及びはんだ粒子を含む金属粒子組成物3を金属被膜形成済有機絶縁フィルム40に塗布し、金属粒子組成物3を貫通孔30に充填すると共に、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の両主面上にも金属粒子組成物3の層を設けることができる。金属粒子組成物3の詳細については後述する。
金属粒子組成物を基体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等を用いて塗布する方法が挙げられる。
金属粒子組成物が基体の主面上にも塗布される場合、金属粒子組成物層の厚みは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよく、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、又は50μm以下であってよい。
金属粒子組成物は、金属粒子組成物の焼結時に銅粒子、又は、銅粒子及びはんだ粒子が流動すること、及び、金属体に含まれる銅焼結体にボイドが発生することを抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。金属粒子組成物を乾燥させる場合、乾燥時の雰囲気は、窒素及び希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素及びギ酸等の還元雰囲気中であってもよい。
乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥の温度及び時間は、使用した分散媒の種類及び量に合わせて適宜調整してもよい。乾燥の温度は、例えば、50℃以上であってよく、180℃以下であってよい。乾燥の時間は、例えば、1分間以上であってよく、120分間以下であってよい。
充填工程の後、金属粒子組成物3を焼成することにより、金属粒子組成物3に含まれる銅粒子を焼結させる。こうして、図3の(c1)に示されるように、ポーラス構造を有する銅焼結体と、はんだとを含み、空孔(ポーラス)4を有する金属体5が貫通孔30を充填する金属体充填有機絶縁フィルム50が得られる。本実施形態においては、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の両主面上にも金属体5が設けられた金属体充填有機絶縁フィルム50が得られる。図3の(c2)は、金属体の構成を示す模式図である。金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体12と、銅焼結体12中に離散的に分布する、換言すれば点在的に存在する、はんだ14と、空孔4とを含む。金属体は、空孔4として、銅焼結体12のポーラス、はんだ14の内部に存在する空隙、銅焼結体12とはんだ14との間に存在する空隙を含むことができる。なお、銅粒子を含む金属粒子組成物を用いる場合は、ポーラス構造を有する銅焼結体を含む金属体を形成することができ、金属体は銅焼結体に由来するポーラス構造を有することができる。
焼成は加熱処理により行うことができる。加熱処理には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等の加熱手段を用いることができる。
焼成時の雰囲気は、銅焼結体の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってよく、金属粒子組成物3中の銅粒子の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。加圧せずに加熱して金属粒子組成物3を焼結させる場合には、純水素ガス中、又はフォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中がよく、純水素ガス中であることが好ましい。純水素ガス中で加熱することで、銅粒子の焼結温度を下げることが可能になる。純水素ガスを用いると、有機絶縁フィルムの厚みが100μmと厚く、貫通孔30の径が10μmと微小な径であっても、貫通孔30の中央部までガスが到達し、銅焼結体を含有する金属体5を得ることが容易になる。
加熱処理時の到達最高温度は、各部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上であってよく、350℃以下、300℃以下、又は260℃以下であってよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下において、焼結が充分に進行する傾向にある。到達最高温度保持時間は、分散媒を全て揮発させ、また、歩留まりを向上させるという観点から、1分間以上であってよく、60分間以下、40分間以下、又は30分間以下であってよい。
金属粒子組成物の焼成は、圧力を加えた状態で行われてもよい。この場合、純水素ガスを含む雰囲気下では、圧力が0.05MPa以上、0.1MPa以上、又は0.3MPa以上であってよく、20MPa以下、15MPa以下、又は10MPa以下であってよい。また、窒素ガスを含む雰囲気下では、圧力が1MPa以上、又は3MPa以上であってよく、20MPa以下、15MPa以下、又は10MPa以下であってよい。
圧力は、純水素ガスを用いた場合には0.05MPa以上、窒素ガスを用いた場合には1MPa以上とすることで、貫通孔30の中央部に形成された金属体5におけるボイドの発生を抑制しやすくなり、良好な導通性を有する金属体が得られやすい。また、圧力を上記の下限値以上とすることで、有機絶縁フィルム1が金属被膜2を有する場合には、金属被膜2と金属体5との接合強度を向上させやすくなる。更に、図4に示されるように、金属粒子組成物層を設けた金属被膜形成済有機絶縁フィルム40を上下から加圧治具Aにより挟み込むことによって加圧する場合、加圧治具Aにかかる圧力を上記の下限値以上とすることで、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上に形成される金属体の表面を平滑にしやすくなる。金属体の表面が平滑であると、後の工程でエッチング等により配線を形成する際に、微細配線を形成しやすくなる利点がある。加圧治具Aとしては、特に限定されないが、市販のものであってよく、平坦部を有する金属部材を用いて作製することもできる。例えば、上記の金属部材を2つ以上有する加圧治具は、平坦部が対向するように配置した金属部材の間に金属被膜形成済有機絶縁フィルムを挟み込むことで、金属被膜形成済有機絶縁フィルムを加圧することができる。加圧治具Aは、金属被膜形成済有機絶縁フィルムに加わる圧力を調整する機構を有するものであってよい。圧力調整手段としては、バネなどを用いることができる。
圧力が20MPa以下であれば、有機絶縁フィルムの反りを抑制しやすくなる。このような効果が得られる理由を本発明者らは以下のとおり推察する。まず、圧力を上げると、金属粒子組成物に含まれる銅粒子の焼結密度(特には、加圧治具Aと接触する側の緻密度)が上昇して、形成される銅焼結体の熱膨張率は、一般的な銅の25℃における熱膨張率16.5μm/(m・K)に近づくと考えられる。一方、有機絶縁フィルム、例えばポリエチレンテレフタレートの25℃における熱膨張率は65μm/(m・K)である。そのため、銅焼結体の緻密度が上がるにしたがって、銅焼結体と有機絶縁フィルムとの熱膨張率の差は大きくなり、反りが発生しやすくなると考えられる。本実施形態においては、圧力を20MPa以下とすることで、銅焼結体の緻密度の上昇が適度に抑制された結果、銅焼結体と有機絶縁フィルムとの熱膨張率の差がより小さくなり、反りが抑制されたものと考えている。
また、焼成時に受ける圧力が上記範囲内であれば、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうことなく、ボイドの低減、接合強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。金属粒子組成物を充填した有機絶縁フィルムに圧力を加える方法としては、例えば、重りを載せる方法、加圧装置を用いて加圧する方法、加圧するための固定冶具を用いて加圧する方法等が挙げられる。
金属体の体積抵抗率を下げる観点から、有機絶縁フィルムの主面上に形成される金属体の空孔率(金属体に含まれる空孔の割合)は、金属体の全体積(空孔を含む)を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、金属体の空孔率は、有機絶縁フィルムの割れ及び反りを抑制できる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
有機絶縁フィルムの主面上に形成される金属体が上記のポーラス構造を有することで、熱膨張率を下げることが可能となり、有機絶縁フィルムとの熱膨張率差を低減することができ、有機絶縁フィルムの反りを抑制することができる。
金属体の体積抵抗率を下げる観点から、貫通孔に充填された金属体の空孔率は、金属体の空孔率(金属体に含まれる空孔の割合)は、金属体の全体積(空孔を含む)を基準として、15体積%以下、14体積%以下、12体積%以下、又は9体積%以下であってよい。また、金属体の空孔率は、銅焼結体に加わる応力を緩和して、有機絶縁フィルムの反りを抑制できる観点から、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよい。
貫通孔に充填された金属体が上記のポーラス構造を有することで、金属体に加わる応力を緩和して、有機絶縁フィルムの反りを抑制できる。
なお、金属体の空孔率は、以下の手順により算出される。
(i)集束イオンビームによって金属体充填有機絶縁フィルムの金属体の断面(フィルムの厚み方向の切断面)を露出させる。
(ii)露出させた断面を走査型電子顕微鏡により断面画像(基板の厚み方向に10μm及び基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲)を撮影する。
(iii)金属部分とポーラス部分とが分かれるように、得られた断面画像を2値化処理する。
(iv)2値化処理された断面画像から、金属体断面の全面積に対するポーラス部分の面積の比率を金属体の空孔率とする。
貫通孔に充填された金属体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、貫通孔に充填された金属体の中央部の断面を露出させる。貫通孔に充填された金属体の中央部の空孔率を算出する場合には、貫通孔に充填された金属体の中央部から、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察する。金属体充填有機絶縁フィルムの主面上に形成された金属体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、主面上の金属体の断面を露出させる。金属体充填有機絶縁フィルムの主面上に形成された金属体の空孔率を算出する場合には、主面上に形成された金属体の表面から5μmまでの領域を観察する。
後述する導電体における樹脂硬化物の充填率の算出のために用いられる金属体の空孔率の算出の際には、金属体の観察箇所は、導電体の観察箇所と同様の箇所となるように適宜設定することができる。
また、焼成時に受ける圧力が上記範囲内であれば、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうことなく、ボイドの低減、接合強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。金属粒子組成物が充填された有機絶縁フィルムに圧力を加える方法としては、例えば、重りを載せる方法、加圧装置を用いて加圧する方法、加圧するための固定治具を用いて加圧する方法等が挙げられる。
金属体に含まれる銅焼結体は、構成する元素のうち軽元素を除いた元素中の銅元素の割合が95質量%以上であってもよく、97質量%以上であってもよく、98質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。銅焼結体における銅元素の上記割合が、上記範囲内であれば、金属間化合物の形成又は金属銅結晶粒界への異種元素の析出を抑制でき、銅焼結体を構成する金属銅の性質が強固になりやすく、より一層優れた接続信頼性が得られやすい。
金属体に含まれるはんだの含有量は、金属体に含まれる銅焼結体100質量部に対して、金属体のクラックを抑制する観点から、3質量部以上、10質量部以上、又は10質量部以上であってもよく、金属体の体積抵抗率を下げる観点から、20質量部以下、15質量部以下、又は10質量部以下であってもよい。
金属体形成工程において、金属粒子組成物を加圧せずに加熱して焼成してもよい。この場合、有機絶縁フィルムの主面上に形成された金属体の空孔率が大きくなる傾向にあり、金属体の熱膨張率が下がることにより、有機絶縁フィルムの反りが発生しにくくなる。
本実施形態では、金属粒子組成物が銅粒子及びはんだ粒子を含んでいるが、はんだ粒子を含まず、銅粒子を含む金属粒子組成物を用いてもよい。
<樹脂含浸工程>
この工程では、例えば、金属体形成工程を経て得られる金属体充填有機絶縁フィルム50に硬化性樹脂組成物を塗布することで、金属体5に硬化性樹脂組成物を含浸することができる。本実施形態では、貫通孔30を充填する金属体5及び金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の両主面上に形成された金属体5に硬化性樹脂組成物が含浸される。なお、含浸した硬化性樹脂組成物によって、金属体5の空孔4が充分に充填されることが好ましい。
硬化性樹脂組成物を構成する成分としては、熱硬化性化合物が挙げられる。熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、硬化性樹脂組成物の硬化性及び粘度をより一層良好にし、高温放置における特性及び絶縁信頼性を向上させる点から、エポキシ化合物であってよい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化剤を更に含んでもよい。熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、低温で速やかに硬化可能である点で、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなる観点から、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。ポリチオール硬化剤の溶解度パラメーターは、好ましくは9.5以上、より好ましくは12以下である。上記溶解度パラメーターは、Fedors法にて計算される。例えば、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは9.6、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは11.4である。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ-tert-ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の塗布方法は、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等によって塗布する方法が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、金属体充填有機絶縁フィルム50の一方の主面上に塗布してもよく、主面上の一部に塗布してもよい。樹脂組成物を金属体充填有機絶縁フィルム50の両面に塗布する場合、金属体充填有機絶縁フィルム50の一方の主面上に対して樹脂組成物を塗布し、金属体充填有機絶縁フィルム50の樹脂組成物を塗布しなかった主面側まで樹脂組成物を浸透させ、その後、樹脂組成物を塗布しなかった主面上に樹脂組成物を塗布してもよい。これにより、空孔4に樹脂組成物をいきわたらせることができる。
硬化性樹脂組成物を塗布した金属体充填有機絶縁フィルム50は、減圧環境下に放置することで、金属体5の空孔4への硬化性樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。
樹脂含浸工程では、樹脂硬化工程を経て形成される導電体における樹脂硬化物の充填率が後述する好ましい範囲となるように、金属体に硬化樹脂組成物を含浸することが好ましい。
<樹脂硬化工程>
この工程では、図5の(d1)に示されるように、金属体5に含浸させた硬化性樹脂組成物(空孔4に充填された硬化性樹脂組成物)を硬化させることで、空孔4に樹脂硬化物6が充填された金属体5を含んでなる導電体35が形成され、有機絶縁フィルムの貫通孔30に貫通電極が設けられた有機絶縁フィルム貫通電極を有する基板51を得ることができる。本実施形態の場合、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の両主面上にもポーラス4に樹脂硬化物6が充填された金属体5を含んでなる導電体35が設けられている。図5の(d2)は、導電体の構成を示す模式図である。導電体は、銅焼結体12と、はんだ14と、空孔に充填された樹脂硬化物6とを含む。はんだ14は、導電体35中に離散的に分布、換言すれば点在していてもよい。樹脂硬化物6は、銅焼結体12のポーラス、はんだ14の内部に存在する空隙、銅焼結体12とはんだ14との間に存在する空隙に存在していてもよい。
硬化性樹脂組成物の硬化は、加熱処理により行うことができる。加熱処理は、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等の加熱手段を用いることができる。
樹脂硬化工程における雰囲気は、金属体5(特には銅焼結体)の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってよく、金属体5(特には銅焼結体)の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。
樹脂硬化工程における加熱処理時の到達最高温度は、各部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上であってよく、350℃以下、300℃以下、又は260℃以下であってよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下において、樹脂組成物の硬化が充分に進行する傾向にある。
樹脂硬化工程で形成される導電体35(導電体除去工程前の導電体)は、樹脂硬化物6の含有量(充填率)が下記の条件を満たすものであってもよい。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長における中心且つそこでの孔径における中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S1から深さ10μmまでの領域において(図5の(d1)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S1から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S1から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S2から深さ5μmまでの領域において(図5の(d1)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S2から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S2から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S2からの深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
導電体35における樹脂硬化物6の充填率は、以下の手順により算出される。
(i)集束イオンビームによって導電体が設けられた基板の導電体の断面(基板の厚み方向の切断面)を露出させる。
(ii)露出させた断面を走査型電子顕微鏡により断面画像(基板の厚み方向に10μm及び基板の厚み方向と直交する方向に10μmの範囲)を撮影する。
(iii)金属部分及び樹脂硬化物部分と、樹脂硬化物により埋まっていないポーラス部分とが分かれるように、得られた断面画像を2値化処理する。
(iv)2値化処理された断面画像から、導電体断面の全面積に対する樹脂硬化物により埋まっていないポーラス部分の面積の比率を求め、これを導電体の空孔率とする。
(v)硬化性樹脂組成物を含浸する前の金属体の空孔率と、導電体の空孔率とを下記式(1)に代入することにより、導電体における樹脂硬化物の充填率を算出する。
導電体における樹脂硬化物の充填率(%)=[(B-A)/B]×100・・・式(1)
[式(1)中、Aは導電体の空孔率(%)を示し、Bは金属体の空孔率(%)を示す。]
貫通孔に充填された導電体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、貫通孔内の導電体の中央部の断面を露出させる。金属被膜形成済有機絶縁フィルムの主面上に形成された導電体の空孔率を算出する場合には、上記(i)において、主面上の導電体の断面を露出させる。
<導電体除去工程>
この工程では、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上に形成された導電体35の少なくとも一部を除去することができる。導電体を除去する手段としては、化学的研磨、機械的研磨、化学的機械的研磨、フライカット処理及びプラズマ処理等が挙げられる。フライカット処理とは、サーフェースプレーナによる切削平坦化を意味する。
本実施形態においては、一般的な手法で、簡易に適用できる観点から、除去手段が、エッチング、機械的研磨及び化学的機械的研磨からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
本実施形態の導電部材の製造方法は、導電体除去工程を備えることにより、例えば、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上に形成された導電体35の表面が平坦となり、配線の形成が容易となる。
本実施形態においては、導電体除去工程後の導電体35における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長における中心且つそこでの孔径Dにおける中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体35の表面とが交わる点S3から深さ10μmまでの領域において(図6の(e)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S3から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S3から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体35の表面S4から深さ5μmまでの領域において(図6の(e)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S4から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S4から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S4からの深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
有機絶縁フィルム貫通電極の孔径Dに対する長さLの比L/Dは、得られる半導体装置の高密度化をはかる観点から、1以上、5以上又は10以上であってよく、15以下であってよく、10以下であってよく、5以下であってよい。有機絶縁フィルム貫通電極の長さLは、有機絶縁フィルム貫通電極を有する基板の厚みとしてもよい。この場合、有機絶縁フィルム貫通電極の孔径Dに対する有機絶縁フィルム貫通電極を有する基板の厚みTの比T/Dが上記範囲であってもよい。
本実施形態の導電部材の製造方法においては、導電体に樹脂硬化物を充填しているが、上記の樹脂含浸工程及び樹脂硬化工程を省いて、金属体から貫通電極を形成してよい。
本実施形態の導電部材の製造方法は、配線形成工程を更に備えることができる。配線形成工程は、以下で説明するレジスト形成工程、エッチング工程、及びレジスト除去工程を有することができる。
<レジスト形成工程>
レジスト形成工程では、図6の(f)に示すように、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上に形成された導電体35上にエッチングレジスト8を形成する。
エッチングレジスト8を形成する方法としては、例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷する方法、又はエッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートし、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光して、露光しなかった箇所を現像液で除去する方法等が挙げられる。
<エッチング工程>
エッチング工程では、図7の(g)に示すように、エッチングレジスト8により被覆されていない部分の導電体35をエッチングにより除去する。本実施形態においては、有機絶縁フィルム1の両主面上に設けられた金属被膜2の一部がエッチングにより除去されている。
エッチングの方法としては、例えば、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液等、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いる方法等が挙げられる。
<レジスト除去工程>
レジスト除去工程では、導電体35上に形成されたエッチングレジスト8を除去する。
本実施形態に係る導電部材の製造方法は、上記工程を有する配線形成工程を更に備えることで、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の主面上に導電体35を含む配線9を形成することができる。
なお、図1に示される導電部材10は、貫通孔30が設けられている有機絶縁フィルム1を用意して、上述した金属体形成工程(充填工程及び焼成工程)と同様の工程を行って製造することができる。また、必要に応じて、上述した樹脂含浸工程及び樹脂硬化工程と同様の工程を更に行ってもよい。
(導電部材の一実施形態に係る貫通電極を有する基体)
図7の(h)は、上述の導電部材の製造方法によって製造することができる貫通電極を有する基板の一実施形態を示す断面図である。図7の(h)に示す貫通電極を有する基板52は、貫通孔30が設けられている有機絶縁フィルム1を含み、両主面に貫通孔30が通じている基体と、貫通孔30を充填する導電体とを備える。導電体35は、ポーラス構造を有する銅焼結体と、該銅焼結体に離散的に分布する、換言すれば点在的に存在するはんだとを含み、空孔4を有する金属体5を備え、金属体5は、空孔4として、はんだの内部に存在する空隙及び/又ははんだと銅焼結体との間に存在する空隙を含んでいる。この導電体35は、空孔4に充填された樹脂硬化物6を更に備えている。
図7の(h)に示される貫通電極を有する基板52は、有機絶縁フィルム1の両主面上及び貫通孔の壁面に金属被膜2が設けられているが、金属被膜2は、主面上に設けられていなくてもよく、一方の主面上にのみ設けられていてもよく、貫通孔の壁面に設けられていなくてもよい。また、貫通電極を有する基板52は、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の両主面上に金属被膜2及び導電体35を含んでなる配線9が設けられているが、配線9は、金属被膜形成済有機絶縁フィルム40の一方の主面上に設けられていてもよい。
貫通電極を有する基板52は、導電体における樹脂硬化物6の充填率が下記の条件を満たすものであってもよい。なお、充填率は上記と同様にして算出することができる。
(貫通孔の導電体)
(a)貫通孔30の中央部C(孔長における中心且つそこでの孔径における中心)、を通り、基板の厚み方向に伸びる線L1と、導電体の表面とが交わる点S5から深さ10μmまでの領域において(図7の(h)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラス(空孔)の内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(b)上記点S5から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(c)上記点S5から深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(d)貫通孔30の中央部Cから、基板の厚み方向に±5μm及び基板の厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(基板の主面上の導電体)
(e)基板の主面に形成された導電体の表面S6から深さ5μmまでの領域において(図7の(h)を参照)、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(f)基板の主面に形成された導電体35の表面S6から深さ10μmまでの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(g)上記表面S6から深さ10~20μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
(h)上記表面S6からの深さ20~30μmの領域において、樹脂硬化物の充填率が、金属体のポーラスの内部空間の体積の合計を基準として、80体積%以上、90体積%以上、又は95体積%以上であってよい。
更に、導電部材及びその製造方法について説明する。
第1の導電部材は、有機絶縁フィルムと、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通する導電部と、を備え、導電部が、有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられた、ポーラス構造を有する金属体と、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられているはんだ含有部位と、を含むものであってもよい。第1の導電部材は、異方導電部材として用いることができる。
図8は、上記の導電部材の一実施形態及びその製造方法を示す模式図である。図8の(c)に示される導電部材42は、有機絶縁フィルム1と、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられたポーラス構造を有する金属体5と、金属体5の両端の少なくとも一部を被覆するように設けられているはんだ含有部位60とを備えており、導電部が金属体5及びはんだ含有部位60によって構成されている。導電部材42は、異方導電部材として用いることができる。
有機絶縁フィルム、金属体、及びはんだ含有部位については上述したものと同様の構成を有することができる。
第1の導電部材を製造する方法は、両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、金属体形成工程が、有機絶縁フィルムの貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有し、第2金属含有部位形成工程が、溶融したはんだを含む槽に、金属体が形成された有機絶縁フィルムを浸漬する工程、又は、金属体が形成された有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱する工程を有する方法であってもよい。
準備工程では、図8の(a)に示されるように、貫通孔30が設けられている有機絶縁フィルム41を準備することができる。貫通孔30は、有機絶縁フィルム41の両主面に通じている。
有機絶縁フィルム41は、例えば、上述した感光性樹脂組成物を含む感光性絶縁フィルムを、公知の方法で露光及び現像することにより作製することができる。
金属体形成工程は、上述した充填工程と焼成工程と同様に行うことができる。例えば、有機絶縁フィルム41の貫通孔30に、銅粒子及びはんだを含む金属粒子組成物を充填し、充填した金属粒子組成物を焼成することにより、図8の(b)に示されるように、ポーラス構造を有する銅焼結体と、銅焼結体中に離散的に分布する、換言すれば点在的に存在する、はんだと、空孔(ポーラス)4とを含む金属体5が、貫通孔30内に設けられた金属体充填有機絶縁フィルム10を得ることができる。なお、金属体は、空孔4として、銅焼結体のポーラス、はんだの内部に存在する空隙、銅焼結体とはんだとの間に存在する空隙を含むことができる。
第2金属含有部位形成工程では、金属体が形成された有機絶縁フィルムを、金属体の表面にフラックスを塗布した後、溶融したはんだを含む槽に浸漬(ディップ)することが好ましい。こうして、図8の(c)に示されるように、第2金属含有部位としてはんだ含有部位60を形成することができる。
はんだ含有部位は、金属体が形成された有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱することによっても形成することができる。はんだ組成物としては、はんだボール、はんだを含むペーストが挙げられる。
第2の導電部材は、有機絶縁フィルムと、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通する導電部と、を備え、導電部が、有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられた、ポーラス構造を有する金属体と、当該金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜と、を含むものであってもよい。
また、上記導電部は、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜と、当該無電解めっき被膜を被覆するように設けられているはんだ含有部位と、を含むものであってもよい。
有機絶縁フィルム、金属体、無電解めっき被膜及びはんだ含有部位については上述したものと同様の構成を有することができる。
図9は、上記の導電部材の一実施形態を示す模式図である。図9の(a)に示される導電部材43は、有機絶縁フィルム1と、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられたポーラス構造を有する金属体5と、金属体5の両端の少なくとも一部を被覆するように設けられている無電解めっき被膜61とを備えており、導電部が金属体5及び無電解めっき被膜61によって構成されている。導電部材43は、異方導電部材として用いることができる。
図9の(b)に示される導電部材44は、有機絶縁フィルム1と、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられたポーラス構造を有する金属体5と、金属体5の両端の少なくとも一部を被覆するように設けられている無電解めっき被膜61と、無電解めっき被膜61を被覆するように設けられているはんだ含有部位60とを備えており、導電部が金属体5、無電解めっき被膜61及びはんだ含有部位60によって構成されている。導電部材44は、異方導電部材として用いることができる。
第2の導電部材を製造する方法は、両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、金属体形成工程が、有機絶縁フィルムの貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、金属粒子組成物を焼成して金属体を形成する焼成工程と、を有し、第2金属含有部位形成工程が、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように無電解めっき被膜を形成する無電解めっき工程と、必要に応じて設けることができる、溶融したはんだを含む槽に、無電解めっき被膜が形成された有機絶縁フィルムを浸漬する工程、又は、無電解めっき被膜が形成された有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱する工程と、を有する方法であってもよい。
準備工程及び金属体形成工程は、第1の導電部材の製造と同様に行うことができる。
無電解めっき工程は、例えば、貫通孔30が設けられている有機絶縁フィルム41の金属体5の表面に、無電解ニッケルめっきを行ってもよく、必要に応じて、無電解ニッケルめっき被膜の表面に、置換金めっき等の無電解金めっき、又は、無電解パラジウムめっき及び無電解金めっきを施してもよい。こうして、図9の(a)に示されるように、第2金属含有部位として無電解めっき被膜61を形成することができる。
更に、はんだ含有部位を設ける場合は、導電部材43を、無電解めっき被膜61の表面にフラックスを塗布した後、溶融したはんだを含む槽に浸漬(ディップ)することが好ましい。こうして、図9の(b)に示されるように、第2金属含有部位として、無電解めっき被膜61及びはんだ含有部位60を形成することができる。
はんだ含有部位は、無電解めっき被膜が形成された有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱することによっても形成することができる。はんだ組成物としては、はんだボール、はんだを含むペーストが挙げられる。
上述した第1及び第2の導電部材の製造方法においては、上記導電体形成工程が、上記金属体形成工程と上記第2金属含有部位形成工程との間に、上記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、金属体に含浸させた硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を有することができる。
樹脂含浸工程及び樹脂硬化工程は、上述した工程と同様に行うことができる。これにより、金属体の空孔内に存在する樹脂硬化物を形成することができる。
図10は、上記の導電部材の製造方法の一実施形態を示す模式図である。図10の(a)に示される基板45は、図8の(b)に示される金属体充填有機絶縁フィルム10に対して樹脂含浸工程及び樹脂硬化工程が行われた後の状態を示し、有機絶縁フィルム1の貫通孔30に形成された、空孔に樹脂硬化物6が充填された金属体5、すなわち有機絶縁フィルム貫通電極と、有機絶縁フィルム1の両主面上に形成された樹脂硬化物62とを有する。なお、基板45は、樹脂硬化物62が形成されていなくてもよい。
有機絶縁フィルム貫通電極を有する有機絶縁フィルム1の両面が、樹脂硬化物62によって被覆されている場合、図10の(b)に示されるように、樹脂硬化物62を除去することによって金属体5の少なくとも一部を露出させることができる。樹脂硬化物62を除去する手段としては、化学的研磨、機械的研磨、化学的機械的研磨、プラズマ処理等が挙げられる。
樹脂硬化物62が除去された後は、上述した第2金属含有部位形成工程によって、図10の(c)に示されるように、金属体5の両端の少なくとも一部を被覆するように設けられているはんだ含有部位60を備える導電部材47を得ることができる。なお、はんだ含有部位60は、金属体上に、はんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱することによっても形成することができる。また、はんだ含有部位60に代えて、無電解めっき被膜を設けてもよく、無電解めっき被膜及びはんだ含有部位を設けてもよい。
第1及び第2の導電部材は、有機絶縁フィルムの一主面上又は両主面上に設けられた樹脂層を有していてもよい。樹脂層は、導電体を被覆するように設けられていてもよく、被覆導電体の一部が露出するように設けられていてもよい。例えば、はんだ含有部位の一部が露出するように樹脂層を設けることができる。
上記の樹脂層を備える導電部材は、両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、導電体形成工程が、貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、金属体形成工程が、有機絶縁フィルムの貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、前記金属粒子組成物を焼成して前記金属体を形成する焼成工程と、を有し、第2金属含有部位形成工程が、金属体が形成された有機絶縁フィルムの一主面上又は両主面上に、はんだ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有するはんだペーストを塗布する工程と、塗布されたはんだペーストを加熱する工程と、を有する方法によって得ることができる。
準備工程及び金属体形成工程は、第1の導電部材の製造と同様に行うことができる。
第2金属含有部位形成工程においては、図11の(a)及び(b)に示されるように、まず、金属体が形成された有機絶縁フィルム1の主面の一方に、はんだ粒子63と硬化性樹脂組成物64とを含有するはんだペーストを塗布し(図11の(a)の塗布体48)、続いて、有機絶縁フィルム1の主面の他方にはんだ粒子63と硬化性樹脂組成物64とを含有するはんだペーストを塗布することができる(図11の(b)の塗布体49)。図11の(a)に示されるように、場合によって、一回目に塗布した面の反対面に、金属体の空孔に浸透した硬化性樹脂組成物66が到達していてもよい。また、はんだペーストは所定のパターンで塗布することができる。はんだペーストについては後述する。
次に、塗布体49を加熱し、はんだペーストをはんだの融点以上の温度に加熱することで、図12の(c)に示されるように、貫通孔30内の金属体の両末端を被覆するはんだ含有部位60と、樹脂半硬化物を含む樹脂層67とを形成し、金属体の空孔に浸透した硬化性樹脂組成物を樹脂半硬化物68にする。このとき、樹脂半硬化物67,68は、樹脂硬化物であってもよい。樹脂硬化物を形成した場合は、図12の(d)に示されるように、樹脂硬化物を部分的に除去して、はんだ含有部位60の少なくとも一部が露出する樹脂層69を設けてもよい。樹脂硬化物を除去する手段としては、化学的研磨、機械的研磨、化学的機械的研磨、プラズマ処理等が挙げられる。図12の(c)及び(d)に示される導電部材70,72は、異方導電部材として用いることができる。
図13は、上述した導電部材の製造について説明するための模式図であり、上記の第2金属含有部位形成工程によって、金属体5と有機絶縁フィルム1との接着性が、向上する機構を表している。図13の(a)に示すように、金属体形成工程後の金属体5には空孔4、空孔80が形成されている。有機絶縁フィルム1の主面上に、はんだ粒子63と硬化性樹脂組成物64とを含有するはんだペーストを塗布することで、図13の(b)に示すように、有機絶縁フィルム1の貫通孔の内壁と接している金属体5の空孔部に、硬化性樹脂組成物81を到達させることができる。続いて、塗布されたはんだペーストを加熱することで、図13の(c)に示すように、樹脂半硬化物67,68,82が形成される。このとき、有機絶縁フィルム1の貫通孔の内壁と接している金属体5の空孔部に形成される樹脂半硬化物82によって、金属体5と有機絶縁フィルム1との接着性が向上するものと考えられる。更に、樹脂半硬化物を樹脂硬化物にすることで、接着性がさらに向上すると考えられる。このような接着性の向上が、変形によっても接続抵抗値が上昇しにくい導電部材が得らやすくなる理由の一つであると推察される。
<半導体装置>
本実施形態の半導体装置は、半導体チップ及び半導体チップ搭載用支持部材が、上述した導電部材を介して互いに電気的に接続された接続構造、及び/又は、複数の半導体チップが、上述した導電部材を介して互いに電気的に接続された接続構造を有する。
半導体チップとしては、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、窒化ガリウムウエハ等から形成されるものが挙げられる。
半導体チップ搭載用支持部材としては、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板、ポリエチレンナフタラート基板等が挙げられる。
図14は、上述した導電部材70を異方導電部材として用いた半導体装置の製造方法を示す模式図である。まず、電極84が設けられた半導体チップ90と、電極86が設けられた半導体パッケージ91とを、互いの電極が対向するように配置し、これらの電極間に導電部材70を介在させる(図14の(a))。そして、これらを上下面から加圧することによって、電極84とはんだ含有部位60、及び電極86とはんだ含有部位60を電気的に接続することができ、更に加圧及び加熱することにより、樹脂層67が樹脂硬化物87となり、半導体チップ90と導電部材70、及び半導体パッケージ91と導電部材70が強固に接続された接続構造を形成することができる(図14の(b))。
<金属粒子組成物>
上述した導電部材の製造方法で用いられる、銅粒子、又は、銅粒子及びはんだ粒子を含む金属粒子組成物について説明する。
金属粒子組成物は、銅粒子として、例えば、粒径(最大径)が0.8μm以上である第1の銅粒子を含んでよい。
第1の銅粒子の粒径(最大径)は、1.2μm以上であってもよい。第1の銅粒子の粒径(最大径)は、10μm以下であってよく、8.0μm以下であってもよい。
金属粒子組成物に含まれる第1の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、貫通孔内での焼結密度を向上させて、貫通孔に発生するボイドを抑制する観点から、0.8μm以上又は1.2μm以上であってよく、10μm以下又は8μm以下であってよい。
第1の銅粒子の粒径(最大径)及び平均粒径(平均最大径)は、例えば、粒子のSEM像から求めることができる。第1の銅粒子の粒径(最大径)をSEM像から算出する方法を例示する。第1の銅粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により5000倍で観察する。SEM像の第1の銅粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の粒径(最大径)とする。複数のSEM像を用いて、この測定を50個以上の第1の銅粒子に対して行い、粒径の平均値(平均最大径)を算出する。
第1の銅粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。第1の銅粒子は、これらの形状を有する銅粒子の凝集体であってもよい。
第1の銅粒子は、好ましくは扁平状(フレーク状)である。この場合、第1の銅粒子が金属粒子組成物の塗布面に対して略平行に配向することで、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に発生するボイドを抑制することが容易となる。また、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制されることで、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の少なくとも一方の主面上に形成した金属体におけるクラックを抑制することができる。
第1の銅粒子のアスペクト比は4以上であってよく、6以上であってもよい。アスペクト比が上記範囲内であれば、金属粒子組成物中の第1の銅粒子が、金属粒子組成物の塗布面に対して平行に配向しやすくなり、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮を抑制できる。これにより、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上に設けられた導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。また、金属体と、基体(例えば、有機絶縁フィルム)上に形成した金属被膜との密着性を向上させることができる。金属粒子組成物中の銅粒子のアスペクト比(長径/厚さ)は、例えば、粒子のSEM像を観察し、長径及び厚さを測定することにより求めることができる。
金属粒子組成物は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子を含むことが好ましい。金属粒子組成物がこのような第1の銅粒子を含むことにより、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させた際の体積収縮を充分に低減でき、ポーラス構造を有しつつ、導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔内に形成することが容易となる。それにより、貫通孔においてはボイドが発生することを抑制でき、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上においてはクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
金属粒子組成物は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子を含んでいてもよいが、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましい。粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量を制限することにより、金属粒子組成物内の第1の銅粒子によって、貫通孔内にボイドが発生することを抑制しつつ、ポーラス構造を有しながらも導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔内に形成することができる。また、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上においては、第1の銅粒子が、金属粒子組成物の塗布面に対して略平行に配向しやすくなり、体積収縮をより有効に抑制することでクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
このような効果が更に得られやすくなる点で、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量は、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、20質量部以下であってもよく、10質量部以下であってもよく、0質量部であってもよい。
金属粒子組成物中の第1の銅粒子の含有量は、金属粒子組成物に含まれる金属粒子の全質量を基準として、15質量%以上、20質量%以上、又は50質量%以上であってよく、85質量%以下、70質量%以下、又は50質量%以下であってよい。第1の銅粒子の含有量が、上記範囲内であれば、上述した効果がより一層得られやすくなる。
第1の銅粒子は、分散安定性及び耐酸化性の観点から、表面処理剤で処理されていてよい。表面処理剤は、配線形成時(銅粒子の焼結時)に除去されるものであってよい。このような表面処理剤としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p-フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカンニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理剤などが挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
表面処理剤の処理量は、粒子表面に一分子層以上の量であってもよい。このような表面処理剤の処理量は、第1の銅粒子の比表面積、表面処理剤の分子量、及び表面処理剤の最小被覆面積により変化する。表面処理剤の処理量は、通常0.001質量%以上である。
表面処理剤の処理量は、第1の銅粒子の表面に付着した分子層数(n)と、第1の銅粒子の比表面積(A)(単位m/g)と、表面処理剤の分子量(M)(単位g/mol)と、表面処理剤の最小被覆面積(S)(単位m/個)と、アボガドロ数(N
(6.02×1023個)から算出できる。具体的には、表面処理剤の処理量は、表面処理剤の処理量(質量%)={(n・A・M)/(S・N+n・A・M)}×100%の式に従って算出される。
第1の銅粒子の比表面積は、乾燥させた銅粒子をBET比表面積測定法で測定することで算出できる。表面処理剤の最小被覆面積は、表面処理剤が直鎖飽和脂肪酸の場合、2.05×10-19/1分子である。それ以外の表面処理剤の場合には、例えば、分子モデルからの計算、又は「化学と教育」(上江田捷博、稲福純夫、森巌、40(2),1992,p114-117)に記載の方法で測定できる。表面処理剤の定量方法の一例を示す。表面処理剤は、金属粒子組成物から分散媒を除去した乾燥粉の熱脱離ガス・ガスクロマトグラフ質量分析計により同定でき、これにより表面処理剤の炭素数及び分子量を決定できる。表面処理剤の炭素分割合は、炭素分分析により分析できる。炭素分分析法としては、例えば、高周波誘導加熱炉燃焼/赤外線吸収法が挙げられる。同定された表面処理剤の炭素数、分子量及び炭素分割合から上記式により表面処理剤量を算出できる。
第1の銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されている第1の銅粒子としては、例えば、MA-C025(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径4.1μm)、3L3(福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径7.3μm)、1110F(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径5.8μm)、2L3(福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径9μm)が挙げられる。
金属粒子組成物の製造時には、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子を含み、且つ、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が2未満である銅粒子の含有量が、粒径(最大径)が0.8μm以上10μm以下であり、アスペクト比が4以上である第1の銅粒子100質量部に対して、50質量部以下、好ましくは30質量部以下である銅粒子を用いることができる。このような銅粒子を主成分とする市販品を選定して用いてよい。
貫通孔の孔径と第1の銅粒子の粒径(最大径)との比(最大径)(孔径(μm)/粒径(μm)は、体積収縮を抑制して、クラックが発生しにくい金属体を形成することができる観点から、4以上、8以上又は10以上であってよく、150以下、100以下又は50以下であってよい。
一実施形態において、金属粒子組成物は、上述した第1の銅粒子と、粒径(最大径)が0.5μm以下である第2の銅粒子とを含むことができる。この場合、銅粒子が焼結される際に、第1の銅粒子同士の間に第2の銅粒子が介在することで、得られる配線の導通性が向上する傾向がある。すなわち、第1の銅粒子と第2の銅粒子とを併用することが好ましい。銅粒子として第2の銅粒子のみを含む金属粒子組成物を調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、銅粒子を焼結させる際に、絶縁性基体(例えば、有機絶縁フィルム)上に設けた金属被膜から焼結体が剥離しやすくなり、充分な気密性及び接続信頼性が得られにくいが、第1の銅粒子と第2の銅粒子とを併用することで、金属粒子組成物を焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に形成される金属体と、貫通孔の壁面に形成された金属被膜との接着性を向上させることができる。これにより、貫通孔内の銅焼結体の熱ストレスによる破断がより起こり難くなり、気密性及び熱ストレスに対する接続信頼性がより一層向上する。
第2の銅粒子は、第1の銅粒子間を好適に接合する銅粒子として作用することができる。また、第2の銅粒子は、第1の銅粒子よりも焼結性に優れ、銅粒子の焼結を促進する機能を有することができる。例えば、銅粒子として第1の銅粒子を単独で使用した場合と比較して、より低温で、銅粒子を焼結させることが可能になる。また、銅粒子として第2の銅粒子のみを含む金属粒子組成物を調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、貫通孔内部に形成される金属体が体積収縮することによって、貫通孔内部にボイドを生じさせやすい。特に、扁平状の第1の銅粒子と、第2の銅粒子とを併用することで、扁平状の第1の銅粒子が第2の銅粒子によって好適に接合される銅粒子として作用し、これによって、貫通孔内部のボイド発生を抑制しつつ、空孔(ポーラス構造)を有する金属体を形成することが容易となる。
金属粒子組成物に含まれる第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、0.01μm以上、0.03μm以上、0.05μm以上又は0.08μm以上であってよく、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下又は0.2μm以下であってよい。
第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)が0.01μm以上であれば、第2の銅粒子の合成コストの抑制、良好な分散性、表面処理剤の使用量の抑制といった効果が得られやすくなる。第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)が0.5μm以下であれば、第2の銅粒子の焼結性に優れるという効果が得られやすくなる。より一層上記効果を奏する観点から、第2の銅粒子の平均粒径(平均最大径)は、0.05μm以上、0.1μm以上又は0.2μm以上であってよく、0.5μm以下、0.4μm以下又は0.3μm以下であってよい。
第2の銅粒子は、粒径(最大径)が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子を20質量%以上含んでいてよい。金属粒子組成物の焼結性の観点から、第2の銅粒子は、粒径が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子を30質量%以上含んでいてよく、50質量%以上含んでいてよく、85質量%以下含んでいてよい。第2の銅粒子における粒径(最大径)が0.01μm以上0.5μm以下の銅粒子の含有割合が20質量%以上であると、銅粒子の分散性がより向上し、粘度の上昇、ペースト濃度の低下をより抑制することができる。
金属粒子組成物中の第2の銅粒子の含有量は、金属粒子組成物に含まれる金属粒子の全質量を基準として、20質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってよく、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下であってよい。第2の銅粒子の含有量が上記範囲内であれば、貫通孔にボイドが発生することを抑制しつつ、基体(例えば、有機絶縁フィルム)に設けられた金属被膜との接着性に優れた金属体を形成しやすくなり、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上においてはクラックが発生しにくい銅焼結体を形成することができ、この銅焼結体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
金属粒子組成物中の第2銅粒子の含有量は、第1の銅粒子の質量及び第2の銅粒子の質量の合計を基準として、20質量%以上であってよく、85質量%以下であってよい。第2の銅粒子の上記含有量が20質量%以上であれば、第1の銅粒子の間を充分に充填することができ、クラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から形成される配線は、熱ストレスによる断線がより起こり難くなる。第2の銅粒子の上記含有量が85質量%以下であれば、銅粒子を焼結させた時の体積収縮を充分に抑制できるため、貫通孔内にボイドが発生することを抑制できると共に、クラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から形成される配線は、熱ストレスによる断線がより起こり難くなる。
上記効果がより一層得られやすくなる観点から、第2の銅粒子の含有量は、第1の銅粒子の質量及び第2の銅粒子の質量の合計を基準として、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、85質量%以下又は80質量%以下であってもよい。
第2の銅粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。第2の銅粒子は、これらの形状を有する銅粒子の凝集体であってもよい。
分散性及び充填性の観点から、第2の銅粒子の形状は、球状、略球状、扁平状(フレーク状)であってよく、燃焼性、及び第1の銅粒子との混合性等の観点から、球状又は略球状であってよい。
第2の銅粒子のアスペクト比は、分散性、充填性、及び第1の銅粒子との混合性の観点から、5以下であってよく、3以下であってもよい。
第2の銅粒子は、特定の表面処理剤で処理されていてもよい。特定の表面処理剤としては、例えば、炭素数8~16の有機酸が挙げられる。炭素数8~16の有機酸としては、例えば、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような有機酸と上記第2の銅粒子とを組み合わせることで、第2の銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性を両立できる傾向にある。
表面処理剤の処理量は、第2の銅粒子の表面に一分子層~三分子層付着する量であってもよい。表面処理剤の処理量は、0.07質量%以上、0.10質量%以上、又は0.2質量%以上であってよく、2.1質量%以下、1.6質量%以下、又は1.1質量%以下であってよい。第2の銅粒子の表面処理量は、第1の銅粒子について上述した方法により算出することができる。比表面積、表面処理剤の分子量、及び表面処理剤の最小被覆面積についても同様である。
第2の銅粒子としては、合成したもの、又は市販されているものを用いることができる。
金属粒子組成物中の第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計は、金属粒子組成物に含まれる金属粒子の全質量を基準として、70質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、93質量%以上であってよい。第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計が上記範囲内であれば、貫通孔内でボイドの発生を抑制しやすくなる。このような効果がより一層得られやすくなる観点から、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、95質量%以上であってもよい。
はんだ粒子は、スズ又はスズ合金を含むものを用いることができる。スズ合金としては、例えば、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、Sn-Cu系の合金を用いることができ、下記の例が挙げられる。
・In-Sn(In52質量%、Bi48質量%、融点:118℃)
・In-Sn-Ag(In20質量%、Sn77.2質量%、Ag2.8質量%、融点:175℃)
・Sn-Bi(Sn43質量%、Bi57質量%、融点:138℃)
・Sn-Bi-Ag(Sn42質量%、Bi57質量%、Ag1質量%、融点:139℃)
・Sn-Ag-Cu(Sn96.5質量%、Ag3質量%、Cu0.5質量%、融点:217℃)
・Sn-Cu(Sn99.3質量%、Cu0.7質量%、融点:227℃)
金属粒子組成物は、はんだ粒子として、例えば、粒径(最大径)が1.0μm以上であるはんだ粒子を含んでよい。
はんだ粒子の粒径(最大径)は、2μm以上であってもよく、15μm以下であってよく、8.0μm以下であってもよい。
金属粒子組成物に含まれるはんだ粒子の平均粒径(平均最大径)は、貫通孔内での焼結による体積収縮を抑制させて、貫通孔に発生するボイドを抑制する観点から、1.0μm以上であってもよく、2.0μm以上であってよく、15μm以下であってもよく、8μm以下であってよい。はんだ粒子がこのような粒径であることにより、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させた際の体積収縮を充分に低減でき、ポーラス構造を有しつつ、導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔内に形成することが容易となる。それにより、貫通孔においてはボイドが発生することを抑制でき、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上においてはクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。
はんだ粒子の粒径は、揃っていた方が好ましい。この場合、金属体の内部に高分散で点在しやすくなり、点在したはんだの内部又ははんだの外周部(はんだと銅焼結体との間)において空隙が発生することで、連続したボイド及び5μm以上の長さの亀裂の発生を抑制し、ビア内部での断線、及び、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上に形成された配線の断線を抑制することができる。
はんだ粒子の粒径(最大径)及び平均粒径(平均最大径)は、例えば、以下の手順でSEM像から算出することができる。はんだ粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により5000倍で観察する。SEM像はんだ粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の粒径(最大径)とする。複数のSEM像を用いて、この測定を50個以上のはんだ粒子に対して行い、平均粒径(平均最大径)を算出する。
はんだ粒子の形状は、例えば、球状、塊状、針状、扁平状(フレーク状)、略球状等であってよい。はんだ粒子は、これらの形状を有するはんだ粒子の凝集体であってもよい。
はんだ粒子は、好ましくは球状である。この場合、金属体の内部に均一に分散されて、均一に分散されたはんだの内部又ははんだの外周部(はんだと銅焼結体との間)において空隙が発生することで、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制され、貫通孔内に発生する断線を抑制することが容易となる。また、金属粒子組成物中の銅粒子を焼結させたときの体積収縮が抑制されることで、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の少なくとも一方の主面上に形成した金属体におけるクラックを抑制することができる。
金属粒子組成物中のはんだ粒子の含有量は、金属粒子組成物に含まれる銅粒子100質量部に対して、1質量部以上、2質量部以上、又は3質量部以上であってよく、25質量部以下、20質量部以下、又は15質量部以下であってよい。はんだ粒子の含有量が、上記範囲内であれば、上述した効果がより一層得られやすくなる。すなわち、貫通孔内にボイドが発生することを抑制しつつ、ポーラス構造を有しながらも導電ネットワークが充分に形成された金属体を貫通孔内に形成することが容易となる。また、金属粒子組成物が上記の第1の銅粒子を含む場合、基体(例えば、有機絶縁フィルム)の主面上において、第1の銅粒子が、金属粒子組成物の塗布面に対して略平行に配向しやすくなり、体積収縮をより有効に抑制することでクラックが発生しにくい金属体を形成することができ、この金属体を含む導電体から配線を形成したときに、配線の熱ストレスによる断線をより一層抑制することができる。はんだ粒子の含有量が、銅粒子100質量部に対して1質量部以上であれば、金属体の内部にボイドが発生することを抑制しやすくなり、例えば、5μm以上の長さの亀裂が発生し、ビア内部で断線が発生することを防止しやすくなる。一方、はんだ粒子の含有量が、銅粒子100質量部に対して25質量部以下であると、配線の抵抗率が高くなりにくくなる。
金属粒子組成物における、銅粒子の含有量(好ましくは、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量)及びはんだ粒子の含有量の合計は、金属粒子組成物に含まれる金属粒子の全質量を基準として、90質量%以上であってよい。この場合、貫通孔内でボイドの発生を抑制しやすくなる。このような効果がより一層得られやすくなる観点から、銅粒子の含有量(好ましくは、第1の銅粒子の含有量及び第2の銅粒子の含有量)及びはんだ粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
金属粒子組成物は、銅粒子及びはんだ粒子以外のその他の金属粒子を更に含んでいてもよい。その他の金属粒子としては、例えば、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金等の粒子が挙げられる。その他の金属粒子の平均粒径(最大径)は、0.01μm以上又は0.05μm以上であってよく、5μm以下、3.0μm以下、又は2.0μm以下であってよい。その他の金属粒子を含んでいる場合、その含有量は、充分な接合性を得る観点から、金属粒子組成物に含まれる金属粒子の全質量を基準として、20質量%未満であってよく、10質量%以下であってもよい。その他の金属粒子は、含まれなくてもよい。その他の金属粒子の形状は、特に限定されるものではない。
金属粒子組成物は、分散媒を含んでいてもよい。分散媒は特に限定されるものではなく、例えば、揮発性のものであってよい。揮発性の分散媒としては、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、α-テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH)等の一価及び多価アルコール類;エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の酸アミド;シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;炭素数1~18のアルキル基を有するメルカプタン類;炭素数5~7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類が挙げられる。炭素数1~18のアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、エチルメルカプタン、n-プロピルメルカプタン、i-プロピルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、i-ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン及びドデシルメルカプタンが挙げられる。
炭素数5~7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン及びシクロヘプチルメルカプタンが挙げられる。
分散媒の含有量は、金属粒子組成物に含まれる金属粒子の全質量を100質量部として、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよく、20質量部以下であってもよく、12質量部以下であってもよい。分散媒の含有量がこれらの範囲内であれば、金属粒子組成物をより適切な粘度に調整でき、貫通孔にボイドが発生することを抑制しやすくなる。
金属粒子組成物には、必要に応じて、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤;シリコーン油等の消泡剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤等を適宜添加してもよい。
上述した金属粒子組成物は、銅粒子、はんだ粒子及び任意の成分(添加剤、その他の金属粒子等)を分散媒に混合して調製することができる。各成分の混合後に、撹拌処理を行ってもよい。分級操作により分散液の最大径を調整してもよい。
金属粒子組成物が上述した第1の銅粒子及び第2の粒子を含む場合、第2の銅粒子、表面処理剤、分散媒をあらかじめ混合して、分散処理を行って第2の銅粒子の分散液を調製し、更に第1の銅粒子、はんだ粒子、必要に応じてその他の金属粒子及び任意の添加剤を混合して調製してもよい。このような手順とすることで、第2の銅粒子の分散性が向上して第1の銅粒子との混合性が良くなり、金属粒子組成物の性能がより向上する。第2の銅粒子の分散液を分級操作に供することによって凝集物を除去してもよい。
本実施形態の金属粒子組成物は、硬化性樹脂成分を含まない又は硬化性樹脂成分を組成物全量基準で4質量%以下若しくは2質量%以下の割合で含むものであってもよい。
<はんだペースト>
上述した導電部材の製造方法で用いられる、はんだ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有するはんだペーストについて説明する。
はんだ粒子としては、上述と同様のものを用いることができる。
はんだペーストにおけるはんだ粒子の含有量は、接合部におけるはんだによる接合信頼性を向上させる観点から、はんだペースト全量を基準として、50質量部以上、60質量部以上、又は70質量部以上であってもよく、金属体の空孔への浸透性を向上させて、ビア内部での断線及び配線の断線を抑制することが容易となる観点から、はんだペースト全量を基準として、70質量部以下、60質量部以下、又は50質量部以下であってもよい。
硬化性樹脂組成物としては、上述の樹脂含浸工程で用いられる硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<第2の銅粒子の合成>
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1-プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1-プロパノール22mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、30分以内で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅粒子の粉体(第2の銅粒子)を得た。
上記で合成した銅粒子を透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、製品名:JEM-2100F)で観察した。無作為に選択した200個の銅粒子の長軸の平均値は104nmであった。第2の粒子の形状は、球状であった。
<金属粒子組成物の調製>
(実施例1~10)
下記に示す原料を表1に示す割合で混合して金属粒子組成物を調製した。
[第1の銅粒子]
扁平1.4μm:1100YP(三井金属鉱業株式会社製、平均粒径1.4μm(D50)、商品名)
[第2の銅粒子]
球状104nm:上記で合成した銅粒子
[はんだ粒子]
SnBi58:SnBi58はんだ STC-3(三井金属鉱業株式会社製、商品名、平均粒径4.1μm(D50)、球形)
[その他]
ジエチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
[異方導電部材の作製]
<有機絶縁フィルムの準備工程>
(実施例1~10)
感光性樹脂組成物(AH-3000:日立化成株式会社製)を200mm角のPET(A4100:コスモシャイン、東洋紡株式会社製)の片面に塗布し、500mJ/cmで露光し、30μmφの開口部(貫通孔)を有する、厚み50μmのPET付き有機絶縁フィルムを作製した。なお、開口部(貫通孔)は、100μmピッチで形成した。
<金属体形成工程>
(実施例1~10)
-充填工程-
調製した金属粒子組成物を、PET付き有機絶縁フィルムの開口部から金属ヘラを用いて塗布し、開口部に充填した。なお、このとき、有機絶縁フィルムの表面に付着した金属粒子組成物は取り除いた。塗布後、90℃にて10分間、大気中で金属粒子組成物を乾燥させた。
-焼成工程-
金属粒子組成物層が形成されたPET付き有機絶縁フィルムをギ酸焼成炉(アユミ工業株式会社製)内に配置した。その後、ギ酸ガスを5mL/分で流しながら昇温20分間、150℃で60分間の条件で焼結処理することにより金属粒子組成物を焼結させた。その後、冷却し、50℃以下で空気中に取り出し、金属体充填PET付き有機絶縁フィルムを得た。
<第2金属含有部位形成工程>
(実施例1)
下記組成を有する、はんだ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有するはんだペーストAを、金属体充填有機絶縁フィルムの片面に、メタルスキージを用いたステンシル印刷により、厚みが12μmになるように塗布した。その後、窒素ガスを50mL/分で流しながら、150℃で10分間の条件で熱処理を行い、有機絶縁フィルムの片面に樹脂層(樹脂半硬化物)を形成した。なお、熱処理後の金属体には、はんだが形成され、金属体の空孔には樹脂半硬化物が形成された。
[はんだペーストA]
はんだ粒子:Sn42-Bi58粒子(平均粒子径20μm)、70質量部
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF-170(東都化成社製、商品名、エポキシ当量=170)、25.2質量部
イミダゾール化合物:2PZ-CN(四国化成社製、商品名)、1.3質量部
2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸(BHPA)、3.5質量部
更に、反応性イオンエッチング(RIE)法により、はんだ表面の樹脂層を以下に示した条件で除去し、はんだを露出させた。なお、表面を除去した後の樹脂層の厚みは8μmであった。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC-100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:5分間
次に、片面にはんだと樹脂層が形成された、金属体充填PET付き有機絶縁フィルムから、PETフィルムを引きはがした。金属体充填有機絶縁フィルムのPETフィルムと接していた面上に、前述と同様にして、樹脂層を形成し、金属体にはんだを形成した。次いで、前述と同様にして、樹脂層の除去を行い、はんだを露出させた。
<樹脂含浸工程、樹脂硬化工程、及び第2金属含有部位形成工程>
(実施例2)
金属体充填PET付き有機絶縁フィルムからPETフィルムを引きはがし、下記に示す硬化性樹脂組成物をロールコーターにより、金属体充填有機絶縁フィルムの片面に塗布した。次いで、金属体充填有機絶縁フィルムを容器内に配置し、該容器内をゲージ圧が100KPaとなるように吸引し、真空状態とした。真空状態で金属体充填有機絶縁フィルムを10分間保持し、その後、金属体充填有機絶縁フィルムを容器から取り出した。貫通孔の金属体に硬化性樹脂組成物が含浸し、硬化性樹脂組成物が、貫通孔の金属体の硬化性樹脂組成物を塗布した面とは反対の面にまで到達していることを確認した。次に、金属体充填有機絶縁フィルムの硬化性樹脂組成物の塗布面に残った硬化性樹脂組成物をゴムヘラで除去した。
[硬化性樹脂組成物]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF-170(東都化成社製、商品名、エポキシ当量=170)、95質量部
イミダゾール化合物:2PZ-CN(四国化成社製、商品名)、5質量部
金属体に硬化性樹脂組成物を含浸させた有機絶縁フィルムを、窒素雰囲気中、150℃で1時間保持することにより、金属体の空孔部に樹脂が充填されてさらに樹脂が硬化された、金属体充填有機絶縁フィルムを得た。
更に、反応性イオンエッチング(RIE)法により、金属体表面の樹脂硬化物を以下に示した条件で除去し、金属体を露出させた。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC-100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:1分間
次に、金属体充填有機絶縁フィルムの片面に、メタルスキージを用いたステンシル印刷により、厚みが12μmになるように、はんだペーストAを塗布した。その後、窒素ガスを50mL/分で流しながら、150℃で10分間の条件で熱処理を行い、有機絶縁フィルムの片面に樹脂層(樹脂半硬化物)を形成した。なお、熱処理後の金属体には、はんだが形成され、金属体の空孔には樹脂半硬化物が形成された。
更に、反応性イオンエッチング(RIE)法により、はんだ表面の樹脂層を以下に示した条件で除去し、はんだを露出させた。なお、表面を除去した後の樹脂層の厚みは8μmであった。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC-100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:5分間
次に、前述と同様にして、金属体充填有機絶縁フィルムのもう片面に樹脂層を形成し、金属体にはんだを形成した。次いで、前述と同様にして、樹脂層の除去を行い、はんだを露出させた。
<第2金属含有部位形成工程>
(実施例3)
金属体充填PET付き有機絶縁フィルムからPETフィルムを引きはがし、水溶性プレフラックス処理液「タフエース F2(LX)」(四国化成工業株式会社製、商品名)に、40℃で60秒間浸漬し、銅表面の処理を行った。その後、Sn42-Bi58はんだを溶融したはんだ槽に、10秒間浸漬することで、金属体充填有機絶縁フィルムの金属体の表面(両端面)に、はんだを形成した。
<第2金属含有部位形成工程>
(実施例4)
金属体充填PET付き有機絶縁フィルムからPETフィルムを引きはがした。続いて、50℃の脱脂液「Z-200」(株式会社ワールドメタル製、商品名)に3分間浸漬させ、2分間水洗した。その後、100g/lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬させ、2分間水洗した。そして、10%の硫酸に1分間浸漬させ、2分間水洗した。
次に、液温25℃のめっき活性処理液である「SA-100」(日立化成株式会社製、商品名)に5分間浸漬させた後、2分間水洗した。続いて、液温90℃の無電解ニッケルめっき液である「ICPニコロンU」(奥野製薬工業株式会社製、商品名)に5分間浸漬させた後、2分間水洗した。
次に、置換金めっき液である「HGS-100」(日立化成株式会社、商品名)に、液温85℃で10分間浸漬させ、1分間水洗した。これにより、金属体の表面(両端面)に、無電解ニッケルめっき被膜上に置換金めっき被膜が形成された金属体充填有機絶縁フィルムが得られた。その後、Sn42-Bi58はんだが溶融したはんだ槽に、10秒間浸漬することで、金属体充填有機絶縁フィルムの置換金めっき被膜の表面に、はんだを形成した。
<第2金属含有部位形成工程>
(実施例5~7)
下記組成を有する、はんだ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有するはんだペーストAを、金属体充填有機絶縁フィルムの片面に、メタルスキージを用いたステンシル印刷により、厚みが12μmになるように塗布した。その後、窒素ガスを50mL/分で流しながら、150℃で10分間の条件で熱処理を行い、有機絶縁フィルムの片面に樹脂層(樹脂半硬化物)を形成した。なお、熱処理後の金属体には、はんだが形成され、金属体の空孔には樹脂半硬化物が形成された。
[はんだペーストA]
はんだ粒子:Sn42-Bi58粒子(平均粒子径20μm)、70質量部
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF-170(東都化成社製、商品名、エポキシ当量=170)、25.2質量部
イミダゾール化合物:2PZ-CN(四国化成工業社製、商品名)、1.3質量部
2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸(BHPA)、3.5質量部
更に、反応性イオンエッチング(RIE)法により、はんだ表面の樹脂層を以下に示した条件で除去し、はんだを露出させた。なお、表面を除去した後の樹脂層の厚みは8μmであった。
装置名:プラズマ洗浄装置(三洋ハイテクノロジー製、SPC-100B)
パワー:600W
ガスおよび流量:Ar、5SCCM
処理時間:5分間
次に、片面にはんだと樹脂層が形成された、金属体充填PET付き有機絶縁フィルムから、PETフィルムを引きはがした。金属体充填有機絶縁フィルムのPETフィルムと接していた面上に、前述と同様にして、樹脂層を形成し、金属体にはんだを形成した。次いで、前述と同様にして、樹脂層の除去を行い、はんだを露出させた。
<第2金属含有部位形成工程>
(実施例8~10)
金属体充填PET付き有機絶縁フィルムからPETフィルムを引きはがし、水溶性プレフラックス処理液「タフエース F2(LX)」(四国化成工業株式会社製、商品名)に、40℃で60秒間浸漬し、銅表面の処理を行った。その後、Sn42-Bi58はんだを溶融したはんだ槽に、10秒間浸漬することで、金属体充填有機絶縁フィルムの金属体の表面(両端面)に、はんだを形成した。
[評価基板の作製]
図15の(a)に示されるように、ポリイミドフィルム93の主面に銅回路電極94が形成された銅回路付きポリイミドフィルム95と、ポリイミドフィルム96上に銅回路電極97が形成された銅回路付きポリイミドフィルム98とを、互いの回路電極が対向するように配置し、これらの電極間に上記で得られた異方導電部材70を介在させた。そして、これらを、窒素中、160℃、圧力3MPa、5分間の条件で上下面から加圧することによって、接合した。こうして、図15の(b)に示されるように、回路の電極部を接合する貫通電極30個(図中には、両端にある10個の貫通電極が示されており、間にある貫通電極は図示を省略している。銅回路付きポリイミドフィルムについても同様に示す。)が連結した評価基板99を得た。
[初期抵抗値]
異方導電部材により接続した評価基板の初期抵抗値として連結接続抵抗値を測定した。貫通電極30個が連結した抵抗値を測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1に示す。
A:抵抗値が10mΩ未満
B:抵抗値が10mΩ以上、30mΩ未満
C:抵抗値が30mΩ以上、100mΩ未満
D:抵抗値が100mΩ以上、500mΩ未満
E:抵抗値が500mΩ以上
[曲げ試験後の抵抗値-1]
異方導電部材により接続した評価基板を、0.8cmφのロッドに巻き付けて、大気中、1分間保持した後、連結接続抵抗値を測定した。貫通電極30個が連結した抵抗値を測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1に示す。
A:抵抗値が10mΩ未満
B:抵抗値が10mΩ以上、30mΩ未満
C:抵抗値が30mΩ以上、100mΩ未満
D:抵抗値が100mΩ以上、500mΩ未満
E:抵抗値が500mΩ以上
[曲げ試験後の抵抗値-2]
異方導電部材により接続した評価基板を、1cmφのロッドに巻き付けて、大気中、1分間保持した後、連結接続抵抗値を測定した。貫通電極30個が連結した抵抗値を測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1に示す。
A:抵抗値が10mΩ未満
B:抵抗値が10mΩ以上、30mΩ未満
C:抵抗値が30mΩ以上、100mΩ未満
D:抵抗値が100mΩ以上、500mΩ未満
E:抵抗値が500mΩ以上
[温度サイクル接続信頼性試験]
異方導電部材により接続した評価基板を温度サイクル試験機(TSA-72SE-W、エスペック株式会社製)にセットし、低温側:-40℃、15分、室温:2分、高温側:125℃、15分、除霜サイクル:自動、サイクル数:50、100、300、500サイクルの条件で温度サイクル接続信頼性試験を実施した。貫通孔30個が連結した抵抗値を測定した。測定した連結接続抵抗値は、下記の基準により評価した。温度サイクル試験500回後の評価がB以上のものを良好と判断した。結果を表1に示す。
A:抵抗変化率が初期抵抗値に対して1%未満
B:抵抗変化率が初期抵抗値に対して1%以上3%未満
C:抵抗変化率が初期抵抗値に対して3%以上5%未満
D:抵抗変化率が初期抵抗値に対して5%以上10%未満
E:抵抗変化率が初期抵抗値に対して10%以上20%未満
F:抵抗変化率が初期抵抗値に対して20%以上
[金属体の空孔率の測定]
(実施例1~10)
金属体形成工程で得られた金属体充填PET付き有機絶縁フィルムについて、集束イオンビーム加工観察装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:MI4050)を用い、集束イオンビームによって金属体充填有機絶縁フィルムの貫通孔の中央部の断面及び有機絶縁フィルムの主面上に設けられた金属体の断面を露出させ、該断面を観察した。貫通孔の中央部の断面を観察する際には、貫通孔に充填された金属体の中央部から、有機絶縁フィルムの厚み方向に±5μm及び有機絶縁フィルムの厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察した。有機絶縁フィルムの主面上に設けられた金属体の断面を観察する際には、有機絶縁フィルムの主面上に形成された金属体の表面から5μmまでの領域において、有機絶縁フィルムの厚み方向に10μm及び有機絶縁フィルムの厚み方向と直交する方向に10μmの範囲を観察した。
観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S-3700N)を用い、倍率は1万倍とし、金属体の断面画像(約10μm角)を撮影した。観察箇所は5箇所とした。得られた断面画像を、画像解析ソフト(Adobe Photoshop(登録商標) Elements)を用いて、金属部分とポーラス部分とが分かれるように2値化処理した。5箇所の観察箇所それぞれについて、金属体断面の全面積に対するポーラス部分の面積の比率を空孔率とした。5箇所の観察の空孔率の平均値を金属体の空孔率とした。結果を表1に示す。
[導電体における樹脂硬化物の充填率]
(実施例1、2、5~6)
上記で得られた異方導電部材について、機械的研磨処理を行った異方導電部材を、有機絶縁フィルムの厚さ方向に切断し、有機絶縁フィルムの貫通孔の中央部の断面を集束イオンビームによって露出させ、これらの断面を観察した。有機絶縁フィルムの貫通孔の中央部の断面を観察する際には、貫通孔の中央部から、有機絶縁フィルムの厚み方向に±5μm及び有機絶縁フィルムの厚み方向と直交する方向に±5μmの範囲を観察した。集束イオンビーム加工観察装置は、(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:MI4050)を用いた。観察には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:S-3700N)を用い、倍率は1万倍とし、導電体の断面画像(約10μm角)を撮影した。観察箇所は5箇所とした。得られた断面画像を、画像解析ソフト(Adobe Photoshop(登録商標) Elements)を用いて、金属部分及び樹脂硬化物部分と、ポーラス部分における樹脂硬化物により埋まっていない空間とが分かれるように2値化処理した。5箇所の観察箇所それぞれについて、導電体断面の全面積に対するポーラス部分における樹脂硬化物により埋まっていない空間の面積の比率を求め、これを空孔率とした。5箇所の観察の空孔率の平均値を導電体の空孔率とした。金属体の空孔率と、導電体の空孔率とを下記式(1)に代入することにより、導電体における樹脂硬化物の充填率を算出した。
導電体における樹脂硬化物の充填率(%)=[(B-A)/B]×100・・・式(1)
[式(1)中、Aは導電体の空孔率(%)を示し、Bは金属体の空孔率(%)を示す。]
Figure 2022022600000002
1…有機絶縁フィルム、2…金属被膜、3…金属粒子組成物、4…空孔(ポーラス,空隙)、5…金属体、6…樹脂硬化物、8…エッチングレジスト、9…配線、10…導電部材(金属体充填有機絶縁フィルム)、12…銅焼結体、14…はんだ、30…貫通孔、35…導電体、40…金属被膜形成済有機絶縁フィルム、41…有機絶縁フィルム、42,43,44,46,47,70,72…導電部材、45…基板、48,49…塗布体、50…金属体充填有機絶縁フィルム、51,52…貫通電極を有する基板、60…はんだ含有部位、61…無電解めっき被膜、62…樹脂硬化物、63…はんだ粒子、64…硬化性樹脂組成物、67,69…樹脂層、90…半導体チップ、91…半導体パッケージ、92…半導体装置、93,96…ポリイミドフィルム、94,97…銅回路電極、95,98…銅回路付きポリイミドフィルム、99…評価基板、A…加圧治具

Claims (28)

  1. 有機絶縁フィルムと、当該有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通する導電部と、を備え、
    前記導電部が、ポーラス構造を有する金属体を含み、
    前記金属体は、ポーラス構造を有する銅焼結体を含有する、導電部材。
  2. 前記金属体が、離散的に分布するはんだを更に含有する、請求項1に記載の導電部材。
  3. 前記はんだが、スズ又はスズ合金を含む、請求項2に記載の導電部材。
  4. 前記はんだが、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金である、請求項2に記載の導電部材。
  5. 前記金属体の空孔率が、金属体の体積を基準として、1~15体積%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電部材。
  6. 前記導電部が、前記金属体の空孔内に存在する樹脂硬化物又は樹脂半硬化物を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の導電部材。
  7. 前記導電部における前記樹脂硬化物の含有量が、前記金属体の空孔の内部空間の全体積を基準として、80体積%以上である、請求項6に記載の導電部材。
  8. 前記金属体が、前記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、
    前記導電部が、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられているはんだ含有部位を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電部材。
  9. 前記はんだ含有部位が、スズ又はスズ合金を含む、請求項8に記載の導電部材。
  10. 前記はんだ含有部位が、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金である、請求項8に記載の導電部材。
  11. 前記金属体が、前記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、
    前記導電部が、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電部材。
  12. 前記金属体が、前記有機絶縁フィルムを厚み方向に貫通するように設けられており、
    前記導電部が、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように設けられた無電解めっき被膜と、前記無電解めっき被膜を被覆するように設けられているはんだ含有部位と、を含む、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の導電部材。
  13. 前記はんだ含有部位が、スズ又はスズ合金を含む、請求項12に記載の導電部材。
  14. 前記はんだ含有部位が、In-Sn、In-Sn-Ag、Sn-Bi、Sn-Bi-Ag、Sn-Ag-Cu、又はSn-Cu系の合金である、請求項12に記載の導電部材。
  15. 前記有機絶縁フィルムの厚みが1~50μmである、請求項1~14のいずれか一項に記載の導電部材。
  16. 前記有機絶縁フィルムが、感光性絶縁フィルムの硬化物を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の導電部材。
  17. 半導体チップ及び半導体チップ搭載用支持部材が請求項1~16のいずれか一項に記載の導電部材を介して互いに電気的に接続された接続構造、及び/又は、複数の半導体チップが請求項1~16のいずれか一項に記載の導電部材を介して互いに電気的に接続された接続構造を有する、半導体装置。
  18. 貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを含み、両主面に前記貫通孔が通じている基体を準備する準備工程と、
    前記貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、
    前記導電体形成工程が、少なくとも前記貫通孔を充填するように、ポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程を含み、
    前記金属体形成工程が、前記基体の前記貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、
    前記金属粒子組成物を焼成して前記金属体を形成する焼成工程と、を有する、導電部材の製造方法。
  19. 前記金属粒子組成物がはんだ粒子を更に含む、請求項18に記載の導電部材の製造方法。
  20. 前記金属粒子組成物が硬化性樹脂成分を含まない又は硬化性樹脂成分を組成物全量基準で4質量%以下の割合で含む、請求項18又は19に記載の導電部材の製造方法。
  21. 前記導電体形成工程が、
    前記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、
    前記金属体に含浸させた前記硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、
    を更に含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
  22. 前記基体の主面上に形成された前記導電体の少なくとも一部を除去する導電体除去工程を更に備える、請求項18~21のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
  23. 両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、
    前記貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、
    前記導電体形成工程が、前記貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、
    前記金属体形成工程が、前記有機絶縁フィルムの前記貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、前記金属粒子組成物を焼成して前記金属体を形成する焼成工程と、を有し、
    前記第2金属含有部位形成工程が、溶融したはんだを含む槽に、前記金属体が形成された前記有機絶縁フィルムを浸漬する工程、又は、前記金属体が形成された前記有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱する工程を有する、導電部材の製造方法。
  24. 両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、
    前記貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、
    前記導電体形成工程が、前記貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、
    前記金属体形成工程が、前記有機絶縁フィルムの前記貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、前記金属粒子組成物を焼成して前記金属体を形成する焼成工程と、を有し、
    前記第2金属含有部位形成工程が、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆するように無電解めっき被膜を形成する無電解めっき工程と、溶融したはんだを含む槽に、前記無電解めっき被膜が形成された前記有機絶縁フィルムを浸漬する工程、又は、前記無電解めっき被膜が形成された前記有機絶縁フィルム上にはんだ組成物を配置し、当該はんだ組成物を加熱する工程を有する、導電部材の製造方法。
  25. 前記導電体形成工程が、前記金属体形成工程と前記第2金属含有部位形成工程との間に、前記金属体に硬化性樹脂組成物を含浸する樹脂含浸工程と、前記金属体に含浸させた前記硬化性樹脂組成物を硬化する樹脂硬化工程と、を有する、請求項23又は24に記載の導電部材の製造方法。
  26. 両主面に通じる貫通孔が設けられている有機絶縁フィルムを準備する準備工程と、
    前記貫通孔に導電体を形成する導電体形成工程と、を備え、
    前記導電体形成工程が、前記貫通孔内にポーラス構造を有する金属体を形成する金属体形成工程と、前記金属体の一端又は両端の少なくとも一部を被覆する第2の金属部位を形成する第2金属含有部位形成工程と、を含み、
    前記金属体形成工程が、前記有機絶縁フィルムの前記貫通孔に、銅粒子を含む金属粒子組成物を充填する充填工程と、前記金属粒子組成物を焼成して前記金属体を形成する焼成工程と、を有し、
    前記第2金属含有部位形成工程が、前記金属体が形成された前記有機絶縁フィルムの一主面上又は両主面上に、はんだ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有するはんだペーストを塗布する工程と、塗布された前記はんだペーストを加熱する工程と、を有する、導電部材の製造方法。
  27. 前記準備工程が、感光性絶縁フィルムを露光及び現像して前記有機絶縁フィルムを作製する、請求項23~26のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
  28. 前記金属粒子組成物が、はんだ粒子を更に含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の導電部材の製造方法。
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