JP2021096226A - 光学式濃度測定装置および光導波路 - Google Patents

光学式濃度測定装置および光導波路 Download PDF

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立志 八木
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Abstract

【課題】コア層としての回折格子部および光伝搬部を、共に高性能に形成することが可能な光学式濃度測定装置および光導波路を提供する。【解決手段】本発明の光学式濃度測定装置は、コア層に光を入射可能な光源と、コア層を伝搬した光を受光可能な検出器と、光導波路と、を備える、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置であって、光導波路は、基板と、延在方向に光が伝搬可能である光伝搬部と、回折格子部と、を有するコア層と、を備え、回折格子部が、回折格子領域と当該回折格子領域に接続される延長領域とを有し、回折格子部の少なくとも一部が、光伝搬部と異なる材料であり、コア層を伝搬する光に対して、延長領域が有する第1光結合領域と、光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合していることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、光学式濃度測定装置および光導波路に関する。
結晶などで形成された薄膜などの構造体の中を伝搬する光は、構造体を形成する材料の屈折率が、構造体の外部の材料の屈折率よりも大きい場合、構造体の外部との界面で全反射を繰り返しながら進行していく。構造体を伝搬する光は、この界面で全反射するとき、屈折率の小さい外部側に染み出している。この染み出しは、エバネッセント波(図15参照)と呼ばれている。エバネッセント波EWは、光Lが伝搬していく過程で構造体51に隣接している物質52により吸収されうる。このため、構造体51を伝搬している光Lの強度変化から、構造体51に接している物質52の検出や同定などが可能になる。上述したエバネッセント波EWの原理を利用した分析法は、全反射吸収分光法(ATR:Attenuated Total Reflection法)と呼ばれ、物質52の化学組成分析などに利用されている。伝搬させる光としては赤外線を用いることが一般的である。物質には特定の波長の赤外線を選択的に吸収する特性があるため、被測定物質の吸収スペクトルに合わせた赤外線を伝搬させることで、物質の分析やセンシングを行うことができる。
特許文献1には、ATR法をセンサに応用した光導波路型センサが提案されている。この光導波路型センサは、基板の上にコア層を形成して光を通し、エバネッセント波を利用してコア層に接する物質を検出するようになっている。
特開2005−300212号公報
ところで、ATR法を利用したセンサでは、光源からの光を光導波路のコア層に導入する箇所と、光導波路のコア層から光検出器に向けて取り出す箇所を有する。そのため、光源からの光を光導波路のコア層に導入する箇所と、光導波路のコア層から光検出器に向けて取り出す箇所のそれぞれには、コア層の一部として、光の光軸を曲げるために回折格子部(グレーティング)が設けられている。そして、かかる回折格子部は、光導波路への光の入力、または光導波路からの光の出力を効率的に行う観点から、光源や光検出器のサイズや形状に合わせた構造が必要となる。
一方当該センサでは、上述のように、コア層に導入した光を、エバネッセント波として、光伝搬部から染み出させて外部の被測定物質に吸収させる必要があるため、光伝搬部(伝搬路)における光の伝搬距離を長くすることが求められる。
したがって、このようなセンサにおいては、コア層として回折格子部と光伝搬部とが設けられるが、回折格子部と光伝搬部とでは、それぞれ求められる機能、それによる形状やサイズ、材料が異なっている。よって、このようなセンサにおいて、単一のコア層内に回折格子部と光伝搬部とを製造する場合には、回折格子部と光伝搬部の両方を高性能に形成することが困難であった。
そこで、本発明は、コア層としての回折格子部および光伝搬部を、共に高性能に形成することが可能な光学式濃度測定装置および光導波路を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様による光学式濃度測定装置は、
コア層に光を入射可能な光源と、
前記コア層を伝搬した光を受光可能な検出器と、
光導波路と、を備える、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置であって、
前記光導波路は、
基板と、
延在方向に光が伝搬可能である光伝搬部と、回折格子部と、を有する前記コア層と、
を備え、
前記回折格子部が、回折格子領域と当該回折格子領域に接続される延長領域とを有し、
前記回折格子部の少なくとも一部が、前記光伝搬部と異なる材料であり、
前記コア層を伝搬する光に対して、前記延長領域が有する第1光結合領域と、前記光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合していることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の他の一態様による光導波路は、
被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置に用いられる光導波路であって、
基板と、
延在方向に光が伝搬可能である光伝搬部と、回折格子部と、を有するコア層と、
を備え、
前記回折格子部が、回折格子領域と当該回折格子領域に接続される延長領域とを有し、
前記回折格子部の少なくとも一部が、前記光伝搬部と異なる材料であり、
前記コア層を伝搬する光に対して、前記延長領域が有する第1光結合領域と、前記光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合することを特徴とする。
本発明によれば、コア層としての回折格子部および光伝搬部を、共に高性能に形成することが可能な光学式濃度測定装置および光導波路を提供することができる。
本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置および光導波路の概略構成を示す図である。 図1の光導波路を光源または光検出器側から見た模式的な平面図である。 図1の光導波路の第1回折格子部および伝搬路の一部を示す模式的な図であり、(a)は平面図であり、(b)はA−A線で切断した断面を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の変形例を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路の製造方法を説明するための、光導波路主要部の一部を示す断面図である。 本発明の第2実施形態による光学式濃度測定装置に用いる光導波路を光源または光検出器側から見た模式的な平面図である。 図13の光導波路の第1回折格子部および伝搬路の一部を示す模式的な図であり、(a)は平面図であり、(b)はB−B線で切断した断面を示す断面図である。 光導波路を伝搬する光のエバネッセント波を説明するための図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
<光学式濃度測定装置>
本発明の実施形態に係る光学式濃度測定装置は、後述の本発明の実施形態に係る光導波路と、コア層に光を入射可能な光源と、コア層を伝搬した光を受光可能な検出器と、を備える。
以下、光学式濃度測定装置を構成する各構成要件について、具体例を挙げて説明する。
<光導波路>
本発明の実施形態に係る光導波路は、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置に用いる光導波路である。また、光導波路は、基板と、延在方向に光が伝搬する光伝搬部と、回折格子部と、を有するコア層と、を備えている。また、光導波路では、回折格子部が、回折格子領域と当該回折格子領域に接続される延長領域とを有し、回折格子部の少なくとも一部が、光伝搬部と異なる材料であり、コア層を伝搬する光に対して、延長領域が有する第1光結合領域と、光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合する。
本実施形態に係る光学式濃度測定装置および光導波路によれば、回折格子部の少なくとも一部が光伝搬部と異なる材料であるので、コア層としての回折格子部および光伝搬部を、それぞれ別々に、それぞれの機能に合わせたサイズや形状、材料で容易に形成することをことができる。また、この際、延長領域が有する第1光結合領域と、光伝搬部が有する第2光結合領域が、コア層を伝搬する光に対して光学的に結合するので、回折格子部で取り込んだ光源からの光を回折格子部から光伝搬部へ導出し、または、光伝搬部を伝搬した光を光伝搬部から回折格子部へ導入することができる。第1光結合領域および第2光結合領域では、コア層を伝搬する光が、第1光結合領域から第2光結合領域へ、または、第2光結合領域から第1光結合領域へ光学的に結合する。
ここで、本実施形態において、延在方向とは、少なくとも1方向に沿って延びるように存在している方向である。例えば、三次元構造物において、一つの端部から他の端部(あるいは一つの任意の点から他の任意の点)に向けて当該三次元構造物に触れながら最短距離で進む経路は延在方向となる。あるいは、一つの端部から他の端部(あるいは一つの任意の点から他の任意の点)に向けて断面積の変化量が最も小さくなるように進行する方向も延在方向となる。延在方向は、直線状の方向だけでなく、曲線状の方向を含む。
また、本実施形態において、延長領域は、光を伝搬可能であり、具体的には、一端が、回折格子領域に接続し、他端が、他のコア層に接続されることなく終端し、光伝搬部が有する第2光結合領域の延在方向に延在する部分を有している。延長領域と回折格子領域との接続とは、延長領域と回折格子領域とが、回折格子領域を形成する層のうちの少なくとも一つと同一材料で途切れることなく連続している状態を指し、延長領域はその内部において、当該接続箇所と同一材料で形成されている。
なお、本発明において、材料が異なるとは、元素が異なる場合だけでなく、元素が同一元素であってもその結晶状態が異なる場合も、材料が異なるものとする。光学的には、材料の構成元素が同じであっても、結晶状態が異なれば、光の伝搬現象は異なるからである。
また、本実施形態において、コア層を伝搬する光に対して、延長領域が有する第1光結合領域と、光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合するとは、延長領域または光伝搬部に伝搬した光を第1光結合領域から第2光結合領域へ、または第2光結合器から第1光結合領域へ、それぞれの光が流れる際、エバネッセント波を利用して、光が一方から他方に遷移すること、または、第1光結合領域と、第2光結合領域を直接接触させることにより、光が一方から他方に遷移することを指す。或いは、第1光結合領域が延長領域の他端に、且つ、第2光結合領域が光伝搬部の端に位置し、さらに、第2光結合領域が、第1光結合領域の延在線上で第1光結合領域の端(延長領域の他端)に隣接配置されることにより、光が一方から他方に流れる場合を指す。
本実施形態において、延長領域が有する第1光結合領域と、光伝搬部が有する第2光結合領域は、光学的に結合すれば具体的な結合形態は限定されないが、コア層を伝搬する光が、第1光結合領域から第2光結合領域への遷移の前後、および/または、第2光結合領域から第1光結合領域への遷移の前後で、進行方向が実質的に変わらないことが好ましい。すなわち、第1光結合領域と第2光結合領域とが、コア層を伝搬する光に対して方向性結合器として機能する状態であることが好ましい。方向性結合器として機能することにより、理想的には100%の効率で両者を光学的に結合することができる。なお、第1光結合領域と第2光結合領域とが方向性結合器として機能するとは、エバネッセント波を利用して、光が一方から他方に遷移する際に、その遷移の前後で、光の進行方向が実質的に変わらないような光学的な結合状態を指す。
ところで、本実施形態において、回折格子部の延長領域と光伝搬部との位置関係は、延長領域の第1光結合領域と光伝搬部の第2光結合領域とが光学的に結合することができれば任意にすることができ、例えば、延長領域と光伝搬部を、光導波路中において、相互に光伝搬部(第2光結合領域)の延在方向と直交する方向に隣り合うように位置させることができる。或いは、延長領域の少なくとも一部と、光伝搬部の少なくとも一部の両方が、当該光伝搬部の少なくとも一部の延在方向と直交する一つの面に含まれるように位置させることができる。或いは、延長領域と光伝搬部との端が隣接し(第1光結合領域と第2光結合領域とが隣接し)、且つ、延長領域の端(第1光結合領域)が光伝搬部の延在線上に位置するように、延長領域と光伝搬部を配置させることができる。また、延長領域と光伝搬部を、相互に光伝搬部の延在方向と直交する方向に隣り合うように位置させる場合には、光導波路中において、厚さ方向で同じ位置に位置させること、または、厚さ方向で異なる位置に位置させることができる。
その中でも、本実施形態においては、延長領域と光伝搬部が、相互に光伝搬部の延在方向と直交する方向に隣り合い、且つ、厚さ方向で異なる位置に位置することが好ましい。
本実施形態において、延長領域と光伝搬部が、相互に光伝搬部の延在方向と直交する方向に隣り合い、且つ、厚さ方向で異なる位置に位置することにより、異なる機能を有する回折格子部と光伝搬部とを異なる材料で異なる層に容易に位置させることができるので、回折格子部と光伝搬部のそれぞれの機能に合わせた加工をより効率的に施すことができ、且つ、回折格子部と光伝搬部を立体交差させて面積を効率的に使用することができる。
また、本実施形態において、延長領域と光伝搬部が、相互に延長領域の延在方向と直交する方向に隣り合い、且つ、厚さ方向で同じ位置にした場合や、延長領域と光伝搬部との端が隣接し、且つ、光伝搬部の端が延長領域の延在線上に位置するようにした場合でも、異なる機能を有する回折格子部と光伝搬部とを異なる材料で異なる層に位置させることができるので、回折格子部と光伝搬部のそれぞれの機能に合わせた加工を施すことができる。
ここで、本実施形態において、延長領域と光伝搬部が、相互に光伝搬部の延在方向と直交する方向に隣り合うように位置する場合(第1光結合領域と第2光結合領域とが方向性結合器として機能する場合を含む)には、第1光結合領域と第2光結合領域の距離は、下記の式(1)以下であることが好ましい。
Figure 2021096226
ここで、λ0はコア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、ncoupは第1光結合領域または第2光結合領域を形成する材料の屈折率であり、nmidは、第1光結合領域と第2光結合領域に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。第1光結合領域と第2光結合領域に挟まれた部分に存在する材料が複数存在する場合は、nmidは、複数の材料の屈折率のうちの最も大きい屈折率とする。この距離は、一般的に定義されるエバネッセント光の染み出し距離の3倍の値を規定している。エバネッセント光の染み出し距離とは、光のエネルギーが、当該コア層の一部の表面におけるエネルギー値から1/eに減衰する位置を示した、当該コア層の一部の表面からの厚さ方向の距離である。すなわち、ここで規定した距離は、光のエネルギーが、当該コア層の一部の表面におけるエネルギー値から(1/e)3以下に減衰する位置を、当該コア層の一部の表面からの距離として示している。第1光結合領域と第2光結合領域との距離が上記の式(1)以下であれば、少なからず第1光結合領域と第2光結合領域を光学的に結合することができ、第1光結合領域と第2光結合領域との距離が短くなるほど、小さい面積で両者を効率的に結合させることができる。
なお、第1光結合領域と第2光結合領域との距離とは、第1光結合領域の第2光結合領域に面した外表面の各位置から、第2光結合領域の外表面までの最短距離を指す。また、第1光結合領域と第2光結合領域との距離の下限値は特に限定されず、第1光結合領域と第2光結合領域とが接触していてもよい。第1光結合領域と第2光結合領域とが直接接触している場合は、nmidは定義されないが、第1光結合領域と第2光結合領域との距離が0μmであるので、上記の式(1)以下の距離に含まれるものとする。
また、第1光結合領域と第2光結合領域の距離は、0.7μm以下の距離であることが好ましい。例えば環境中に浮遊する代表的なガスであるCO2を検出するための光学的濃度測定装置では、コア層を伝搬する光として、真空波長約4.3μmの赤外線を用いることが一般的であり、このとき、光導波路を構成する最も一般的な材料の組み合わせとしては、コア層がシリコンで、第1光結合領域と第2光結合領域に挟まれた部分がシリコン酸化膜で構成した場合である。この例の場合、ncoupは約3.4、nmidは約1.4となり、上記の式(1)の値は約0.66μmとなる。すなわち、0.7μm以下となる。ただし、第1光結合領域と第2光結合領域とをより効率的に光学的に結合する場合は、第1光結合領域と第2光結合領域との距離は、0.4μm以下、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下としてもよい。また、第1光結合領域と第2光結合領域に挟まれた部分を構成する材料として、シリコン窒化膜等を用いることも可能であり、例えばシリコン窒化膜を用いた場合、nmidは約2.0となる。
本実施形態において、第1光結合領域と第2光結合領域とは、それぞれ屈折率は任意にすることができるが、コア層を伝搬する光に対して、第1光結合領域の等価屈折率は、第2光結合領域の等価屈折率の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。コア層を伝搬する光に対して、第1光結合領域の等価屈折率が、第2光結合領域の等価屈折率の0.7〜1.3倍であり、両者の等価屈折率がより等しいほど、光学的な結合効率が向上する。
また、本実施形態において、第1光結合領域を形成する材料の屈折率は、第2光結合領域を形成する材料の屈折率の0.9〜1.1倍であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.05倍である。第1光結合領域を形成する材料の屈折率が、第2光結合領域を形成する材料の屈折率の0.9〜1.1倍であり、第1光結合領域を形成する材料と、第2光結合領域を形成する材料の屈折率がより等しいほど、コア層を伝搬する光に対して、第1光結合領域と第2光結合領域の等価屈折率を合わせやすくなり、光学的な結合効率が向上する。
本実施形態において、第1光結合領域の膜厚は、第2光結合領域の膜厚の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。第1光結合領域の膜厚が、第2光結合領域の膜厚の0.7〜1.3倍であり、第1光結合領域と第2光結合領域の膜厚がより等しいほど、コア層を伝搬する光に対して、第1光結合領域と第2光結合領域の等価屈折率を合わせやすくなり、光学的な結合効率が向上する。
なお、本実施形態において、第1光結合領域の膜厚および第2光結合領域の膜厚は、第1光結合領域の膜厚または第2光結合領域の膜厚が、第1光結合領域内または第2光結合領域内で変化している場合は、第1光結合領域と第2光結合領域の間の距離が最短となる部分における、それぞれの膜厚を指す。
本実施形態において、第1光結合領域の幅は、第2光結合領域の幅の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。第1光結合領域の幅が、第2光結合領域の幅の0.7〜1.3倍であり、第1光結合領域と第2光結合領域の幅がより等しいほど、コア層を伝搬する光に対して、第1光結合領域と第2光結合領域の等価屈折率を合わせやすくなり、光学的な結合効率が向上する。
なお、本実施形態において、第1光結合領域の幅および第2光結合領域部の幅は、第1光結合領域の幅または第2光結合領域の幅が、第1光結合領域内または第2光結合領域内で変化している場合は、第1光結合領域と第2光結合領域の間の距離が最短となる部分における、それぞれの幅を指す。
ところで、本実施形態において、延長領域は、回折格子領域を構成する材料の少なくとも一つと同一材料で、回折格子領域と連続して繋がっていることが好ましい。このような構造にすることにより、回折格子部内部での意図しない光のロスを回避することができる。
また、本実施形態において、光伝搬部の少なくとも一部は、延長領域と、第1光結合領域と第2光結合領域の間の距離よりも大きい距離離れていることが好ましく、より好ましくは、下記の式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離離れていることである。
Figure 2021096226
ここで、λ0はコア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、nproは光伝搬部または延長領域を形成する材料の屈折率であり、ngapは、光伝搬部の少なくとも一部と、延長領域に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
光伝搬部が、第2光結合領域以外の部分で延長領域と接近して存在すると、延長領域と光伝搬部の間で意図しない光学的な結合が発生する。この意図しない光学的な結合により、光は延長領域から光伝搬部へ、または光伝搬部から延長領域への遷移が発生し、その遷移によって光のロスが発生する。したがって、光伝搬部の少なくとも一部が、延長領域から、第1光結合領域と第2光結合領域の間の距離よりも大きい距離離れていることで、光伝搬部と延長領域の間での意図しない光学的な結合が発生しにくくなり、さらに、光伝搬部の少なくとも一部が、延長領域から、式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離離れていることで、光伝搬部と延長領域の間での意図しない光学的な結合がより発生しにくくなる。光学的に結合しにくい距離が式(2)で定義される理由は、第1光結合領域と第2光結合領域との距離を規定した式(1)と同様の理屈であるため、詳細な説明は省略する。なお、光伝搬部の少なくとも一部と延長領域との距離は、光伝搬部の少なくとも一部の外表面と、延長領域の外表面との間の距離のうちの最短距離とする。
また、本実施形態において、光伝搬部と延長領域の少なくとも一方は終端部分を有していてもよく、光伝搬部の終端部分と回折格子部との距離、および/または延長領域の終端部分と光伝搬部との距離は、式(2)よりも大きい、または0.7μmよりも大きいことが好ましい。ただし、ngapは、光伝搬部の終端部分と回折格子部に挟まれた部分に存在する材料、または延長領域の終端部分と光伝搬部に挟まれた部分に存在する材料の屈折率と読み替える。なお、光伝搬部の終端部分と回折格子部に挟まれた部分に存在する材料、または延長領域の終端部分と光伝搬部に挟まれた部分に存在する材料が複数存在する場合は、複数の材料の屈折率のうちの最も大きい屈折率とする。
回折格子部の付近に光伝搬部の終端部分が存在している場合は、回折格子部を伝搬する光が、光伝搬部の終端部分付近を通過する際に、回折格子部の等価屈折率が急激に変化することで、回折格子部を伝搬している光に反射や散乱などの乱れをもたらす。また、同様に、光伝搬部の付近に延長領域の終端部分が存在している場合は、光伝搬部を伝搬する光が、延長領域の終端部分付近を通過する際に、光伝搬部の等価屈折率が急激に変化することで、伝搬している光に反射や散乱などの乱れをもたらす。これらの乱れは、伝搬光の意図しないロスとなるため、光伝搬部の終端部分と回折格子部との距離、および/または延長領域の終端部分と光伝搬部との距離は一定距離離して位置させておくことが好ましい。式(2)で定義される距離または0.7μmという距離は、光伝搬部と回折格子部のうち、一方のコア層を伝搬している光のエバネッセント波が、他方のコア層に光学的に結合しにくい距離となっている。なお、光伝搬部の終端部分と回折格子部との距離は、光伝搬部の終端部分の外表面と、回折格子部の外表面との間の距離のうちの最短距離とする。また延長領域の終端部分と光伝搬部との距離は、延長領域の終端部分の外表面と、光伝搬部の外表面との間の距離のうちの最短距離とする。
また、本実施形態において、平面視において回折格子部と光伝搬部が重複する領域において、回折格子領域から第1光結合領域に近づく方向に回折格子部と光伝搬部の距離が短くなる第1距離変化領域を備えていてもよい。さらに、第1距離変化領域は、光伝搬部との距離が、式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離から、式(1)以下の距離、または0.7μm以下の距離に漸次変化する部分を有していても良い。ただし、ngapは、光伝搬部と回折格子部の少なくとも一部に挟まれた部分に存在する材料の屈折率と読み替える。なお、光伝搬部と回折格子部の少なくとも一部に挟まれた部分に存在する材料が複数存在する場合は、複数の材料の屈折率のうちの最も大きい屈折率とする。また、第1距離変化領域の光伝搬部に対する最大確度は45°以下であることが好ましい。
平面視において回折格子部と光伝搬部が重複する領域において、回折格子領域から第1光結合領域に近づく方向に回折格子部と光伝搬部の距離が短くなる第1距離変化領域を備えていることで、回折格子部の少なくとも一部と光伝搬部とが段階的に接近する構造となる。そのため、伝搬光に対して、回折格子部の少なくとも一部と光伝搬部の等価屈折率が急激に変化することなく、回折格子部と光伝搬部とが、第1光結合領域および第2光結合領域にて効率よく光学的に結合することができる。また、第1距離変化領域において、回折格子部の少なくとも一部と光伝搬部との距離が、両者が光学的に結合しない距離である式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離から、両者が光学的に結合する距離である式(1)以下の距離、または0.7μm以下の距離に漸次変化することで、第1光結合領域および第2光結合領域以外の部分での意図しない光学的結合を回避しながら、第1光結合領域および第2光結合領域での効率の良い光学的結合を実現することが出来る。なお、第1距離変化領域における回折格子部の少なくとも一部と光伝搬部との距離とは、第1距離変化領域において、回折格子部の外表面の各位置から、光伝搬部の外表面までの最短距離を指す。
また、第1距離変化領域の光伝搬部に対する最大確度が45°以下であることで、第1距離変化領域での光のロスを小さくすることができ、より好ましくは30°以下である。また、あまりに緩い角度であると、回折格子部の少なくとも一部と光伝搬部の間に適正な距離を取るのに、第1距離変化領域が大きく(または長く)なってしまうため、第1距離変化領域の光伝搬部に対する最大確度は10°以上であることが好ましく、より好ましくは15°以上である。
続いて、光導波路を構成する各構成要件について、具体例を挙げて説明する。
<<コア層>>
本実施形態において、コア層は、延在方向に光が伝搬する光伝搬部と、回折格子部と、を有する。
コア層は、延在方向に光を伝搬可能である。
コア層の材料は、特に限定されない。例えば、単結晶シリコンや多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムひ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、インジウムガリウムひ素、インジウムガリウムリン、フッ化インジウム、ダイヤモンド、サファイア、ニオブ酸リチウム、カルコゲナイドガラス等を含んだコア層が挙げられる。また、コア層は単層の膜でなく、多層膜で構成されていても良い。
また、本実施形態では、上述のように、回折格子部の少なくとも一部が光伝搬部と異なる材料である。特に、光伝搬部を形成する材料が単結晶の材料であり、回折格子部を形成する材料が多結晶またはアモルファスの材料を含んでいることが好ましい。そして最も好ましくは、光伝搬部を形成する材料が単結晶シリコンであり、回折格子部を形成する材料が多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを含んでいることである。
回折格子部と光伝搬部とで、コア層を形成する材料が異なることで、形状、サイズ、屈折率、表面ラフネス等について、各々のコア層に求められる機能に合わせて、最適にコア層を形成できるようになる。また、回折格子部と光伝搬部とで、コア層を形成する材料が異なることで、各々のコア層に対して独立した加工を行う事もでき、一方の状況に制限されずに、他方の加工を施すことができ、加工の自由度を向上させることもできる。
より具体的には、例えば、被測定物質を検知する部分である光伝搬部おいては、エバネッセント波をコア層から多く染み出させるために、コア層の膜厚を、コア層を伝搬する光の波長(コア層内での波長)よりも十分小さく形成することが好ましい。また、被測定物質の検出感度を向上させるために、光伝搬部における光の伝搬距離を長くすることが求められる。光を長距離伝搬させることを目的とした光伝搬部では、伝搬ロスを極力小さくするために、コア層の表面ラフネスが小さい単結晶材料が好まれる。単結晶材料として最も一般的で加工しやすいコア層の材料は単結晶シリコンであり、単結晶シリコンを含んで光伝搬部を形成することで、最も安価に好適に光伝搬部を形成することが出来る。
一方、光源からの光をコア層に導入する部分である回折格子部においては、光の導入効率を上げるために、コア層は、コア層を伝搬する光の波長(コア層内での波長)と同程度の膜厚を有していることが好ましい。回折格子部の膜厚が薄すぎると、コア層への光の導入が極めて困難になる。また、回折格子部の回折格子領域の表面には、ランダム性のある細かい凹凸(ラフネス)が形成されていることが好ましい。その理由は、本実施形態における光学式濃度測定装置では、被測定物質の吸収スペクトルに合わせた光を伝搬させることで被測定物質を検知しており、伝搬させる光の波長帯は、被測定物質の吸収スペクトルと同程度の波長帯であることが好ましいからである。例えば、回折格子領域が厳密にきれいな周期パターンとして形成されると、回折格子領域によって、より単一な波長が選択され、線スペクトルに近づいていく。すなわち、厳密にきれいな回折格子領域を形成するほど選択波長帯は狭くなる。一方、物質の有する光の吸収波長範囲は、ある程度の幅を持っており、厳密な単一波長であることはない。例えば、環境に浮遊するガスであるCO2の代表的な吸収波長は約4.20〜4.35μmと比較的広範囲に分布している。つまり、厳密な単一波長にまで光を過剰選択してしまうと、濃度測定に有効な波長領域を捨てることになるので、光学式濃度測定装置としては好ましくない。特に、本実施形態における光学式濃度測定装置では、後述するように、光源として、LED等のインコヒーレント光源を用いることを可能にしており、インコヒーレント光源からの一定の波長範囲(波長帯)を持った光を有効に利用する観点から、回折格子領域で選択される波長帯も一定の幅を有していることが好ましい。すなわち、本実施形態において、回折格子部の回折格子領域の表面には、ランダム性のある細かい凹凸(ラフネス)が形成されていることで、光導波路として発光素子と光導波路の結合をより高効率化することができる。回折格子部を形成するコア層の材料として、多結晶やアモルファスを用いることで、コア層の表面に適正なラフネスを生じさせることが出来る。多結晶材料またはアモルファス材料として最も一般的で加工しやすいコア層の材料は多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンであり、単結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを含んで回折格子部を形成することで、最も安価に好適に回折格子部を形成することが出来る。なお、回折格子領域の表面に形成するランダム性のある細かい凹凸(ラフネス)は、後述の回折格子領域を形成する周期的な凹凸とは異なるものである。
また、本実施形態において、コア層の延在方向に沿った任意の位置における延在方向に垂直な断面は、例えば、当該断面のコア層の中心から外表面までの距離が変動する形状、例えば矩形であってよく、また、当該断面のコア層の中心から該表面までの距離が変動しない形状、すなわち円形であってもよい。
また、本実施形態において、コア層の少なくとも一部は、露出し、または、薄膜により被覆されていてもよい。これにより、露出しまたは被覆されたコア層の一部は、被測定気体または被測定液体と直接接触可能、または、当該薄膜を介して被測定気体または被測定液体と接触可能となり、エバネッセント波と被測定気体または被測定液体を相互作用させ、被測定気体または被測定液体の濃度を測定することが可能となる。本実施形態においては、当該薄膜は、コア層を伝搬する光の真空波長の1/4よりも薄いことが好ましい。
また、本実施形態において、コア層を伝搬する光はアナログ信号としての赤外線であってもよい。ここでアナログ信号としての赤外線とは、光のエネルギーの変化を0(低レベル)および1(高レベル)の2値で判定するのではなく、光のエネルギーの変化量を扱う信号であることを意味する。これにより、本実施形態に係る光導波路をセンサや分析装置に適用することができる。またこの場合、赤外線の真空波長は2μm以上12μm未満であってもよい。この波長帯は環境に代表的に浮遊するガス(CO2、CO、NO、N2O、SO2、CH4、H2O、C26O等)が吸収する波長帯である。これにより各実施形態に係る光導波路をガスセンサとして利用することができる。
また、コア層は曲線状に延びる部分を含んでよい。これにより、コア層全体を平面視した際の、コア層の輪郭のアスペクト比を1に近づけ得るので、光導波路および光学式濃度測定装置が小型化され得る。
また、上述のように、光導波路の回折格子部は、光源より光を受けて、光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、光伝搬部から光を導入して検出器に光を出力する第2回折格子部を備えることができる。
本実施形態においては、上述のように、回折格子部が回折格子領域と延長領域とを有し、回折格子部の少なくとも一部が、光伝搬部と異なる材料であり、コア層を伝搬する光に対して、延長領域が有する第1光結合領域と光伝搬部が有する第2光結合領域が、光学的に結合している。しかし、本実施形態においては、第1回折格子部および第2回折格子部のうち一方が、上記のように、第1光結合領域を有する延長領域と接続する回折格子領域を有し、延長領域が光伝搬部と光学的に結合するものとなっていれば、他方は、第1光結合領域を有する延長領域と接続する回折格子領域を有しないものとするなど、任意にすることができる。また、第1回折格子部中に複数の回折格子領域、または第2回折格子部中に複数の回折格子領域が存在する場合には、そのなかの少なくとも1つの回折格子領域が第1光結合領域を有する延長領域と接続し、残りの回折格子領域は第1光結合領域を有する延長領域と接続しないようにするなど、任意にすることもできる。
<<<光伝搬部>>>
本実施形態において、光伝搬部は、延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する。伝搬路は、伝搬路の延在方向に沿った任意の位置における延在方向に垂直な断面が、例えば、当該断面のコア層の中心から外表面までの距離が変動する形状、例えば矩形であってよく、また、当該断面のコア層の中心から該表面までの距離が変動しない形状、すなわち円形であってもよい。
本実施形態において、伝搬路は、延在方向に膜厚を略均一とすることができ、略均一な膜厚とは、例えば膜厚の高低差が200nm以下である。また、伝搬路は、延在方向に幅が異なる部分が存在していてもよい。なお、光伝搬部が複数の伝搬路を有する場合には、複数の伝搬路は相互に膜厚や幅が異なっていてもよい。また、光伝搬部の全領域において、コア層の膜厚は均一であってもよく、均一でなくてもよい。
また、光伝搬部は複数の層で形成されていても良いが、単一の層で形成されている方が好ましい。光伝搬部が複数の層で形成された場合、光の伝搬過程において、一の層から他の層に光の遷移が生じたり、伝搬モードの変換が行われたりして、伝搬ロスが大きくなることがあるためである。
<<<回折格子部>>>
本実施形態において、回折格子部は、光源より光を受けて、光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、光伝搬部から光を導入して検出器に光を出力する第2回折格子部とを有することができる。
ここで、本実施形態において、第1回折格子部は外部からの光をコア層に取り込ませる回折格子領域を、また、第2回折格子部はコア層の外部へ光を取り出させる回折格子領域を、有することができる。本実施形態では、当該回折格子領域は、表面に特定の周期(周期は複数であっても可)で凹凸が形成されている部分であってもよく、または、凹部と凸部を含む平面で光導波路を断面視した場合に、凹凸の凹部の溝が深くなり、コア層を切り離す構成であってもよい。そのような構成において、凸部は不連続で島状に形成されていることになる。
回折格子領域は、平面視において、それぞれ平行に凹凸を形成するパターンが直線状や円弧状に延びるように設けることができるが、凹凸の延在の形状は任意にすることができる。なお、回折格子部の有する回折格子領域は、その内部に凹凸が形成されている領域として区画される。詳細には、回折格子部の有する回折格子領域は、凸部を画定する外壁および凹部を画定する内壁の少なくとも一方の最も外側にある壁面で挟まれる内側の領域である。
また、本実施形態において、回折格子領域の平面視での形状は任意にすることができるが、例えば、回折格子領域の延長領域側から延長領域とは反対の末端側に向かって幅が広がる部分を有する形状とすることができる。具体的には、回折格子部の延長領域内に中心を持ち延長領域とは反対の末端側に向かって広がる扇形等がある。回折格子領域の形状としては、接続側から末端側に向かう方向に沿う任意の仮想線に対して線対称の形状が好ましい。
また、本実施形態において、第2回折格子部の構造は第1回折格子部の構造と同じ、または第2回折格子部の構造は第1回折格子部の構造から変換したものとすることができる。第1回折格子部の構造から変換したものとは、第2回折格子部が有する回折格子領域の形状および構成、回折格子領域の配置等が、第1回折格子部が有する回折格子領域の形状および構成、回折格子領域の配置等に対して、回転した形態、拡大した形態、縮小した形態、平行移動した形態、線対称である形態、点対称である形態になっていることを意味する。なお、それぞれの構造が、コア層を伝搬する光の真空中における波長以内、好ましくは1μm以内の寸法で異なることは許容される。第2回折格子部の構造を第1回折格子部の構造と同じ、または第2回折格子部の構造を第1回折格子部の構造から変換したものとすることで、第1回折格子部における波長選択性と第2回折格子部における波長選択性を略等しくすることができるため、第1回折格子部と第2回折格子部で波長選択性が異なる場合に発生する光損失を避けることができる。
<<基板>>
本実施形態において、基板は、基板上にコア層を形成可能であれば特に制限されず、基板上に後述の支持層を形成することもできる。具体的には、基板は、シリコン基板やGas基板等が挙げられる。
<<支持層>>
本実施形態においては任意に支持層を設けることができる。支持層は、基板の少なくとも一部とコア層の少なくとも一部とを接続する。支持層は、基板およびコア層を接合可能であれば特に制限されないが、好ましくは任意の波長の光またはコア層を伝搬する光に対してコア層よりも屈折率が小さい材料である。一例として、支持層の形成材料として、SiO2などが挙げられる。本発明において、支持層は必須の構成ではない。コア層は支持層によって基板と接合されてもよく、基板上に直接コア層が形成されていてもよい。また、支持層が部分的に存在してもよく、コア層の少なくとも一部は、支持層に接合されておらず浮遊していてもよい。すなわち、このような構成の光導波路では、支持層が設けられた領域を除き、基板およびコア層の間には空間が形成されている。コア層の一部を浮遊させることで、エバネッセント波と被測定物質を相互作用させる量を多くさせることができ、センサ感度を向上させることができる。
本実施形態において、支持層の形成方法の一例としては、SOI(Silicon On Insulator)基板の埋め込み酸化膜(BOX:Buried Oxide)層(SiO2層)をエッチングすることで、コア層(Si層)と基板(Si層)をBOX層で支持する構造を形成することができる。
<光源>
光源は、コア層に光を入射可能であれば特に制限されない。ガスの測定に赤外線を用いる場合には光源として、白熱電球やセラミックヒータ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ヒータや赤外線LED(Light Emitting Diode)などを用いることができる。すなわち、インコヒーレント光源であってよい。光源は光導波路と光接続可能な形態であればどのような配置でもよい。例えば、光源は、光導波路と同じ個体内に光導波路に隣接して配置してもよいし、別の個体として光導波路から一定の距離を置いて配置してもよい。また、ガスの測定に紫外線を用いる場合には光源として、水銀ランプや紫外線LEDなどを用いることができる。
光学式濃度測定装置に備えられる光導波路のコア層を伝搬する光は、アナログ信号としての赤外線であってもよい。ここで、アナログ信号としての赤外線とは、光のエネルギーの変化を0(低レベル)および1(高レベル)の2値で判定するのではなく、光のエネルギーの変化量を扱う信号であることを意味する。これにより、光学式濃度測定装置をセンサや分析装置に適用することができる。またこの場合、赤外線の真空波長は2μm以上12μm未満であってもよい。この波長帯は環境に代表的に浮遊するガス(CO2、CO、NO、N2O、SO2、CH4、H2O、C26Oなど)が吸収する波長帯である。これにより本実施形態に係る光学式濃度測定装置をガスセンサとして利用することができる。
<検出器>
検出器は、光導波路のコア層を伝搬した光を受光可能であれば特に制限されない。ガスの測定に赤外線を用いる場合には検出器として、焦電センサ(Pyroelectric sensor)、サーモパイル(Thermopile)あるいはボロメータ(Bolometer)などの熱型赤外線センサや、ダイオードあるいはフォトトランジスタなどの量子型赤外線センサなどを用いることができる。また、ガスの測定に紫外線を用いる場合には検出器として、ダイオードやフォトトランジスタ等の量子型紫外線センサなどを用いることができる。
〔本発明の実施形態に係る光学式濃度測定装置〕
本発明の実施形態の光学式濃度測定装置について図1を用いて説明する。
本実施形態の光学式濃度測定装置14は、濃度などを検出するガスが存在する外部空間16に設置されて使用される。光学式濃度測定装置14は、後述の実施形態の光導波路15と、コア層12に光を入射可能な光源17と、コア層12を伝搬した光を受光可能な光検出器18と、を備える。また、光学式濃度測定装置14は、光源17から光を導入して光伝搬部10に光を出力する第1回折格子部11を備え、また、光伝搬部10から光を導入して光検出器18に光を出力する第2回折格子部13をさらに備える。
本実施形態の光学式濃度測定装置14では、光源17は波長が2μm以上12μm未満の赤外線をコア層12に対して出射している。上記の赤外線を用いることにより、コア層12から染出すエバネッセント波EWが外部空間16に存在する被測定物質、例えばCO2、CO、NO、N2O、SO2、CH4、H2O、C26Oなどのガスに吸収され、被測定物質の濃度を検知することができる。
なお、本実施形態の光学式濃度測定装置14は、後述の本発明の実施形態に係る光導波路15を製造し、さらに、図1に示すように、光導波路15の一方の回折格子部11(グレーティングカプラ)に赤外線IRを入射できるように光源17を設置し、光導波路15の他方の回折格子部13(グレーティングカプラ)から出射する赤外線IRを受光できるように光検出器18を配置することにより、得られる。
〔本発明の実施形態に係る光導波路〕
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る光導波路について図1から図4を用いて説明する。
図1は、上述の通り本実施形態による光学式濃度測定装置14の概略構成を示す模式的な図であるとともに、第1実施形態による光導波路15を利用したATR法の概念図でもある。
光導波路15は、基板19と、赤外線IR(光の一例)が伝搬可能なコア層12と、基板19の少なくとも一部とコア層12の少なくとも一部を接続し基板19に対してコア層12を支持する支持層20と、を備えている。コア層12および基板19は例えばシリコン(Si)で形成され、支持層20は例えば二酸化ケイ素(SiO2)で形成されている。基板19および支持層20は例えば板状を有している。なお、支持層20は、図1に示すように、支持層20がコア層12の全部を支持していてもよく、コア層12の少なくとも一部を支持するようにしてもよく、例えば、支持層20が、回折格子部11、13の全部と、光伝搬部10の一部を延在方向において断続的に支持するようにすることができる(その結果、光導波路15は、光伝搬部10が、延在方向で断続的に支持層20に接続され、支持層20が設けられた領域を除いて、光伝搬部10および基板19の間にクラッド層などの所定の層を有さずに空隙を有する)。
コア層12は、図2の本実施形態による光導波路15の概略構成を示す模式的な図に示すように、延在方向の一端に形成された第1回折格子部(一例としてグレーティングカプラ)11、および他端に形成された第2回折格子部(一例としてグレーティングカプラ)13を有している。また、コア層12は、延在方向の両端の第1回折格子部11および第2回折格子部13の間に光伝搬部10を有している。本実施形態に係る光導波路15において、光伝搬部10の膜厚は均一である。また、本実施形態に係る光導波路15において、光伝搬部10の幅は均一である。なお、幅方向とは、延在方向および厚さ方向に垂直な方向である。また、厚さ方向とは、基板19、支持層20、および、コア層12を積層させた積層方向に平行な方向である。
第1回折格子部11は、光源17の出射方向に配置されている。なお、本実施形態では、光導波路15は、積層方向が鉛直方向に平行であり、基板19の主面が鉛直下方と直交するように設置されている。基板19の主面とは、基板19の板厚方向に垂直な表面であって、さらに言換えると、本実施形態において、基板19を形成する6面の中で、面積が最大である面である。すなわち、光源17の出射方向とは、このように光導波路15が設置された状態における、光源17の鉛直下方である。この第1回折格子部11は、光源17から入射する赤外線IRをコア層12に導入するようになっている。したがって、第1回折格子部11の厚さ方向から、コア層12を伝搬する光が入力される。第2回折格子部13は、光検出器18に対向する方向に配置されている。なお、光検出器18に対向する方向とは、上述のように光導波路15が設置された状態における、光検出器18の鉛直下方である。この第2回折格子部13は、コア層12を伝搬する赤外線IRを取出して光検出器18に向けて出射するようになっている。したがって、第2回折格子部13の厚さ方向に、コア層12を伝搬する光が出力される。
このように、光源17側(光入射側)に配置されるコア層12は一端に、第1回折格子部11を有し、光検出器18側(光出射側)に配置されるコア層12は他端に、第2回折格子部13を有している。また、コア層12は延在方向の中央から両端までの間に、第1回折格子部11から入射して第2回折格子部13から出射される赤外線IRが伝搬する光伝搬部10を有している。コア層12から染出すエバネッセント波EWは主に、光伝搬部10において外部空間16に存在する被測定物質に吸収される。
ここで、第1実施形態による光導波路15についてより詳細に説明する。
ATR法を用いたセンサでは、図1に示すように、コア層12から染み出るエバネッセント波EWと被測定物質との相互作用領域を拡大させる(つまりコア層12の露出部分を拡大させる)ことで、センサとしての感度を向上させることができる。また、ATR法を利用したセンサでは、上述のように、コア層に導入した光を、エバネッセント波として、光伝搬部10から染み出させて外部の被測定物質に吸収させる必要があるため、光伝搬部10(伝搬路101)における光の伝搬距離を長くすることが求められる。また、光の入出力を行う回折格子部についても、光導波路への光の入力、または光導波路からの光の出力を効率的に行う観点から、光源や光検出器のサイズや形状に合わせた構造が必要となる。したがって、このようなセンサにおいては、共にコア層である回折格子部と光伝搬部10とは、それぞれ求められる機能が異なっており、それぞれの機能に合わせたサイズや形状、材料で形成することが望まれている。
これに対して、第1実施形態の光導波路15では、図3に例示するように、第1回折格子部11が、回折格子領域111と当該回折格子領域111に接続される延長領域111aとを有し、回折格子領域111と、延長領域111aの全てが、光伝搬部10と異なる材料であり、コア層12を伝搬する光に対して、延長領域111aが有する第1光結合領域111bと、光伝搬部10が有する第2光結合領域101aが光学的に結合している。第1光結合領域111bと第2光結合領域101aの光学的結合面は、基板19の主面に対して垂直ではない形態が例示される。例えば、光学的結合面は、基板19の主面に対して平行であり得る。また、図示は省略するが、第2回折格子部13も、回折格子領域131と当該回折格子領域131に接続される延長領域131aとを有し、回折格子領域131と、延長領域131aの全てが、光伝搬部10と異なる材料であり、コア層12を伝搬する光に対して、延長領域が有する第1光結合領域131bと、光伝搬部10が有する第2光結合領域101aが光学的に結合している。
したがって、第1実施形態の光導波路15では、回折格子領域111、131、および回折格子領域111、131に接続する延長領域111a、131aの全てが、光伝搬部10と異なる材料であるので、コア層12としての第1回折格子部11、第2回折格子部13および光伝搬部10を、それぞれの機能に合わせたサイズや形状、材料で形成することができる。また、この際、コア層12を伝搬する光に対して、延長領域111a、131aが有する第1光結合領域111b、131bと、光伝搬部10が有する第2光結合領域101aが光学的に結合するので、第1回折格子部11で取り込んだ光源からの光を第1回折格子部11から光伝搬部10へ導出し、光伝搬部10を伝搬した光を光伝搬部10から第2回折格子部13へ導入することができる。
ここで、第1実施形態の光導波路15は、具体的には、図2に示すように、第1回折格子部11および第2回折格子部13はそれぞれ1個ずつ回折格子領域111、131を有しており、第1回折格子部11および第2回折格子部13の間に、1本の伝搬路101を有する光伝搬部10が存在している。また、第1回折格子部11および第2回折格子部13は、図3に示すように(第2回折格子部13については省略)、それぞれ延長領域111a、131aを有し、各延長領域111a、131aが、回折格子領域111、131を形成する材料の一つと同一材料であり、且つ回折格子領域111、131、および延長領域111a、131aの全ては、光伝搬部10の伝搬路101と異なる材料になっている。さらに、各延長領域111a、131aが第1光結合領域111b、131bを有し、伝搬路101がその両末端部付近に第2光結合領域101aを有し、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aが光学的に結合している。
また、第1実施形態の光導波路15では、具体的には、図3に示すように、延長領域111a、131aと光伝搬部10が、光導波路15中において、相互に光伝搬部10の延在方向と直交する方向であって、相互に厚さ方向に異なる位置(図示の例では光伝搬部10は延長領域111aに対して厚さ方向基板側に位置)に位置している。換言すれば、延長領域111a、131aと光伝搬部10が、光伝搬部10の延在方向で相互に重複するとともに、異なる層にそれぞれ位置する。さらに、図示の例で、延長領域111a、131aと光伝搬部10が、光導波路15中において、相互に厚さ方向に離隔している。
第1実施形態の光導波路15では、延長領域111a、131aが有する第1光結合領域111b、131bと、光伝搬部10が有する第2光結合領域101aは、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、光学的に結合すれば具体的な結合形態は限定されないが、上記のように、延長領域111a、131aと光伝搬部10が、光導波路15中において、相互に光伝搬部10の延在方向と直交する方向に位置することで、図3に示すように、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとが方向性結合器として機能することができる。方向性結合器として機能することにより、高効率で光学的に両者を結合することができる。
また、第1実施形態では、延長領域111a、131aと光伝搬部10を、相互に光伝搬部10の延在方向と直交する方向で、且つ相互に厚さ方向に異なる位置に位置させることにより、コア層12を形成する異なる機能を有する部分同士が異なる層に位置することができ、第1回折格子部11、第2回折格子部13、光伝搬部10に対し、それぞれの機能に合わせた加工を効率的に施すことができる。
なお、第1実施形態の光導波路15では、第1回折格子部11の延長領域111aや第2回折格子部13の延長領域131aと、光伝搬部10との位置関係は、延長領域111a、131aの第1光結合領域111b、131bと、光伝搬部10の第2光結合領域101aとが、光学的に結合することができれば任意にすることができ、例えば、図3とは異なり、延長領域111a、131aと光伝搬部10を、光導波路15中において、厚さ方向で同じ位置に位置させることもできる。或いは、図4に示すように、延長領域111a、131aと光伝搬部10との端が隣接し(第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとが隣接し)、且つ、延長領域111a、131aの端(第1光結合領域111b、131b)が光伝搬部10の延在線上に位置するように、延長領域111a、131aと光伝搬部10を配置させることができる。
また、図3に示す例では、延長領域111a、131aと光伝搬部10が相互に離隔して延在しているが、延長領域111a、131aと光伝搬部10、より具体的には、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aは、接触していてもよい。
ところで、第1実施形態の光導波路15において、延長領域111a、131aの形態は、特に限定されるものではないが、図3(a)に示すように、第1回折格子部11の延長領域111aは、その一端が、回折格子領域111と途切れることなく連続的に接続し、他端が、他のコア層12に接続されることなく終端している(第2回折格子部13の図示については省略)。さらに、延長領域111a、131aの形態は、延長領域111a、131aの第1光結合領域111b、131bと、伝搬路101の第2光結合領域101aとを含む面での断面図(図示の例では図3(b)に示すような厚さ方向での断面図)に示すように、光学的に結合する部分である、延長領域111a、131aの第1光結合領域111b、131bと、伝搬路101の第2光結合領域101aとが接近するように、延長領域111a、131aの第1距離変化領域111c、131cが、伝搬路101に向かって湾曲している。この第1距離変化領域111c、131c(すなわち湾曲している部分)は、伝搬路101との距離が、延長領域111aと伝搬路101とが光学的に結合しにくい距離(式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離)から、光学的に結合する距離(式(1)以下の距離、または0.7μm以下の距離)に漸次変化している。ここで、ngapは、伝搬路101と第1距離変化領域111c、131cに挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。そして、第1距離変化領域111c、131cは第1光結合領域111b、131bと連続している。この湾曲している部分の最大角度は、光の損失を避けるために、基板19の主面に対して45°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましい。また、あまりに緩い角度であると、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとを接近させるまでに多くの距離を有してしまうため、湾曲している部分の最大角度は、基板19の主面に対して10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。
さらに、伝搬路101と延長領域111a、131aとは平面視で相互に平行に延在している部分を有している。すなわち、延長領域111a、131aは、延長領域111a、131aの一端(回折格子領域111、131との接続部分)から他端(終端部分)に向かって、延長領域111a、131aと伝搬路101との距離が、延長領域111a、131aと伝搬路101との間で光学的に結合可能な距離まで漸減するように湾曲している第1距離変化領域111c、131cがあり、次いで、第1光結合領域111b、131bにおいて、延長領域111a、131a(第1光結合領域111b、131b)と伝搬路101(第2光結合領域101a)が一定の距離を保ちながら延在している部分があり、さらに、延長領域111a、131aと伝搬路101との距離が漸増するように湾曲している第2距離変化領域111d、131dがあり、最終的に他端部にて終端している。
なお、上記の例では、伝搬路101には終端部分があり、第2光結合領域101aは伝搬路101(光伝搬部10)の終端部分から離隔して位置しているが、第2光結合領域101aが伝搬路101(光伝搬部10)の終端部分に位置していてもよい。しかしながら、第2光結合領域101aが伝搬路101の終端部分に位置している場合より、伝搬路101の終端部分から離隔して位置している方が好ましい。第2光結合領域101aが伝搬路101の終端部分から離隔して位置していることで、図3(b)に示すように、伝搬路101の終端部分と第1回折格子部11、第2回折格子部13との距離を、両者が光学的に結合しにくい距離(式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離)とすることができる。ここで、ngapは、伝搬路101の終端部分と第1回折格子部、第2回折格子部に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
すなわち、上記の例では、伝搬路101は、第2光結合領域以外の部分において、第1回折格子部11、第2回折格子部13から、光学的に結合しにくい距離(式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離)で厚さ方向に離隔している。ここで、ngapは伝搬路101の第2光結合領域以外の部分と、第1回折格子部11、第2回折格子部13とに挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
また、第1実施形態では、延長領域111a、131a中の第1光結合領域111b、131bの位置は任意にすることができ、延長領域111a、131aの他端に第1光結合領域111b、131bを位置させることもできるが、図3(b)に示し上記するように、延長領域111a、131aの中間(図示では延長領域111aと伝搬路101の距離が漸減する第1距離変化領域111c、131cと、距離が漸増する第2距離変化領域111d、131dとの間)に第1光結合領域111b、131bがあることが好ましい。換言すれば、延長領域111a、131aの、回折格子領域111、131に対して接続する一端と、終端する他端との間にそれぞれの端から離れて第1光結合領域111b、131bが存在することが好ましい。延長領域111a、131aの中間に第1光結合領域111b、131bがあることにより、図3(b)に示すように、延長領域111aの終端部分と伝搬路との距離は、両者が光学的に結合しにくい距離(式(2)よりも大きい距離、または0.7μmよりも大きい距離)とすることができる。ここで、ngapは、延長領域111aの終端部分と伝搬路101に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。さらに、延長領域111a、131aの中間に第1光結合領域111b、131bがあることにより、伝搬路101にダメージを与えずに延長領域111a、131aの終端部分をエッチング加工することができるため、伝搬路101での光の伝搬効率を向上させることができる。
第1実施形態において、延長領域111a、131aは、少なくとも第1光結合領域111b、131bを有するものであれば、その形態は限定されない。
また、本実施形態では、延長領域111a、131aと光伝搬部10が相互に厚さ方向に離隔し、延長領域111a、131aと光伝搬部10との間に、延長領域111a、131aと光伝搬部10とは異なる層が存在しているが、延長領域111a、131aと光伝搬部10との間には、コア層12(延長領域111a、131aと光伝搬部10を含む)よりも相対的に屈折率の低い物質(空気も含む)を介在させることができ、図示の例では、第1回折格子部11と、光伝搬部10との間はシリコン酸化膜(SiO2)が存在している。
第1実施形態において、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとの距離は、上記の式(1)以下、または0.7μm以下であることが好ましい。ここで、λ0はコア層12を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、ncoupは第1光結合領域111b、131bまたは第2光結合領域101aを形成する材料の屈折率であり、nmidは、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aに挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとの距離が上記距離であることにより、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの光学的な結合が短い距離で効率的に行われるようにすることができる。
また、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの光学的に結合する延在方向の長さは、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下である。当該長さが上記であることにより、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aを省スペースで光学的に結合することができる。なお、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの光学的に結合する延在方向の長さは、延長領域111a、131aと伝搬路101との距離が上記の式(1)以下または、0.7μm以下となる部分、すなわち第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aと定義される部分の長さを指す。
また、第1実施形態において、延長領域111a、131aを有する回折格子部11、13と、光伝搬部10とはそれぞれ形成する材料が異なっている。具体的な材料は、任意にすることができるが、図示の例では、回折格子部11、13の材料は多結晶シリコンであり、光伝搬部10の材料は単結晶シリコンとなっている。なお、回折格子部11、13を形成する材料や光伝搬部10を形成する材料はアモルファスシリコンにすることもできる。
さらに、第1実施形態において、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、第1光結合領域111b、131bの等価屈折率は、第2光結合領域101aの等価屈折率の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとが、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、等価屈折率が等しいほど、両者を高効率で光学的に結合することができる。
また、本実施形態において、第1光結合領域111b、131bを形成する材料の屈折率は、第2光結合領域101aを形成する材料の屈折率の0.9〜1.1倍であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.05倍である。第1光結合領域111b、131bを形成する材料と、第2光結合領域101aを形成する材料の屈折率が等しいほど、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの等価屈折率を合わせやすくなり、光学的な結合効率を向上することができる。
さらに第1実施形態では、延長領域111a、131aや伝搬路101の膜厚は任意にすることができるが、図3(b)に示すように、第1光結合領域111b、131bの膜厚は、第2光結合領域101aの膜厚の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。より具体的には、第1光結合領域111b、131bを含む延長領域111a、131aの膜厚は、第2光結合領域101aを含む伝搬路101の膜厚の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの膜厚が等しいほど、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの等価屈折率を合わせやすくなり、光学的な結合効率を向上することができる。
なお、第1実施形態において、第1光結合領域111b、131bの膜厚および、第2光結合領域101aの膜厚は、第1光結合領域111b、131bの膜厚または第2光結合領域101aの膜厚が、第1光結合領域111b、131b内または第2光結合領域101a内で変化している場合は、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの間の距離が最短となる部分における、それぞれの膜厚を指す。
第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aとの膜厚は、製造や光学特性の観点から、0.2〜1.0μmであることが好ましい。
さらに第1実施形態では、延長領域111a、131aや伝搬路101の幅は任意にすることができるが、図3(a)に示すように、第1光結合領域111b、131bの幅は、第2光結合領域101aの幅の0.7〜1.3倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.9〜1.1倍である。第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの幅が等しいほど、第1光結合領域111b、131bおよび第2光結合領域101aを伝搬する光に対して、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの等価屈折率を合わせやすくなり、光学的な結合効率を向上することができる。
なお、第1実施形態において、第1光結合領域111b、131bの幅および、第2光結合領域101aの幅は、第1光結合領域111b、131bの幅または第2光結合領域101aの幅が、第1光結合領域111b、131b内または第2光結合領域101a内で変化している場合は、第1光結合領域111b、131bと第2光結合領域101aの間の距離が最短となる部分における、それぞれの幅を指す。
ところで、第1実施形態では、図2、3に示す例では、第1回折格子部11の回折格子領域111および第2回折格子部13の回折格子領域131の形状はともに扇形になっているが、本実施形態においては、回折格子領域111、131の平面視での形状は任意にすることができる。
<光導波路の製造方法>
次に、第1実施形態による光導波路15の製造方法の一例について、図5から図12を用いて説明する。図5から図12は図3(b)に示す箇所の製造方法の一例を示した断面図である。
なお、図5から図12では、光導波路15の製造方法の説明の容易化のため、第1回折格子部11のうち1つの回折格子領域111に着目して簡略化し模式的な図となっている。図5から図12は、図3(a)のA−A線に対応する位置で切断した光導波路15の製造工程断面図を示している。
まず、図5に示すように、シリコンで形成され最終的に基板19となる支持基板19aと、シリコンで形成されコア層12が形成される活性基板12aのいずれか一方、または両方にSiO2膜を形成し、このSiO2膜を挟むようにして支持基板19aおよび活性基板12aを貼り合わせて熱処理して結合する。その後、活性基板12aを所定の厚さまで研削・研磨するなどして活性基板12aの膜厚を調整する。これにより、支持基板19aと、支持基板19a上に形成されたBOX層20aと、BOX層20a上に形成された活性基板12aとを有し、「シリコン−絶縁層−シリコン」構造を有するSOI基板15aが形成される。
次に、SOI基板15aをリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて活性基板12aをエッチングし、光伝搬部10を形成する。これにより、図6に示すように、支持基板19aと、支持基板19a上に形成されたBOX層20aと、BOX層20aの上に形成された光伝搬部10とを有する光導波路主要部を形成する。
次に、図7に示すように、後に形成する第1回折格子部11の延長領域111aと光伝搬部10とを離隔するための離隔膜15cを、例えばTEOS(Tetraethyl orthosilicate)を原料とするSiO2膜などを堆積することにより形成する。この離隔膜15cはBOX層20aの上および光伝搬部10の上に形成された後、CMP(Chemical mechanical polishing)を用いるなどして表面を平坦化することで、図7に示すような構造を実現できる。なお、離隔膜15cにより、光伝搬部10を、第1回折格子部11と厚さ方向に離隔させることができる。
次に、図8に示すように、離隔膜15cの上にフォトレジストをパターニングし、そのフォトレジストをマスク層M1として、離隔膜15cを部分的にエッチングする。その際、出来るだけ緩やかな傾斜を形成するために、BHF(Buffered hydrofluoric acid)などを用いてウェットエッチングを行う。ウェットエッチングでは、離隔膜15cとマスク層M1との界面の密着性を調整することで、より緩やかな傾斜を形成することができる。このようにすることで、図8に示すように、後に形成する第1回折格子部11の延長領域111aと光伝搬部10(伝搬路101)の端付近を光学的に結合するための穴が離隔膜15cに形成される。
次に、マスク層M1をエッチングし取り除いた後、図9に示すように、離隔膜15cの穴の形成により露出した光伝搬部10の一部の表面上にSiO2膜を例えば膜厚30nm程度形成する。この膜の形成方法はCVD(Chemical vapor deposition)や酸化等の任意の方法が用いられる。また、この膜は、必ずしもSiO2膜である必要はなく、例えばSiN膜等でもよい。
次に、図10に示すように、全面にポリシリコン膜(上層)21a/SiO2膜21b/ポリシリコン膜(下層)21cの3層構造を形成する。2つのポリシリコン膜21a、21cは例えばCVDにて形成する。また、中間層のSiO2膜21bは酸化やCVDなどで形成する。下層のポリシリコン膜21cの膜厚は、光伝搬部10(伝搬路101)の膜厚と略等しくすることが好ましく、膜厚が伝搬路101と略等しいことで、ポリシリコン膜21cより形成される第1回折格子部11と光伝搬部10との光学的な結合を高効率で行うことができる。例えば、下層のポリシリコン膜21cと伝搬路101の膜厚は共に0.6μmである。
次に、図11に示すように、リソグラフィ技術、エッチング技術を用いて、上層のポリシリコン膜21aをエッチングし、第1回折格子部11を形成するための凹凸パターンを形成する。その際、2つのポリシリコン膜21a、21cの間に形成したSiO2膜21bは、エッチング時のストッパー膜として働くため、精度良く凹凸パターンを形成できる他、下層のポリシリコン膜21cを過剰エッチングから保護することができる。凹凸パターンを形成した後、ストッパーとして用いたSiO2膜21bはドライエッチングまたはウェットエッチングにより、SiO2膜21bのうち露出している箇所のみを除去する。
次に、図12に示すように、リソグラフィ技術、エッチング技術を用いて、下層のポリシリコン膜21cをエッチングし、第1回折格子部11の輪郭を形成する。続いて、図示は省略するが、リソグラフィ技術、エッチング技術を用いて、ガスセンシングを行う光伝搬部10の一部の表面を露出させるように、離隔膜15cの一部を除去することで、第1実施形態の光導波路15に相当する構造の光導波路主要部15bが得られる。
次に、支持基板19aを所定領域で切断して光導波路主要部15bを個片化する。これにより、第1実施形態による光導波路15が完成する。
なお、上記説明では、回折格子部として第1回折格子部11に着目して説明したが、第2回折格子部13も同様に形成することができる。
<第2実施形態>
つづいて、本発明の第2実施形態に係る光導波路について図13、図14を用いて説明する。なお、第1実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2実施形態では、図13に示すように、第1回折格子部11は、複数の回折格子領域111を有している。また、第1回折格子部11は、複数の当該回折格子領域111のうち少なくとも2つの回折格子領域111が光源17の同一発光面から発せられた光を受ける。具体的には、図13の範囲R1は、平面視で、配置される光源17の発光面のうち、同一発光面とみなせる範囲を、当該発光面に直交する方向に沿って回折格子部11に対して投影した範囲であり、その範囲R1内に少なくとも2つの回折格子領域111が存在する。
従来、大きい回折格子領域1つで発光素子から光を受けた場合、発光素子から光導波路(コア層12)に高効率で光を導入することができないという課題があった。しかし、図13に示すように、複数の当該回折格子領域111のうち少なくとも2つの回折格子領域111が光源17の同一発光面から発せられた光を受けることで、回折格子領域111を比較的小さいサイズにすることができ、大きな回折格子領域で生じていた効率低下が抑制され、発光素子からの光を高効率で光導波路に導入することができる。
なお、同一発光面とみなせる範囲とは、必ずしも1つの発光面であるとは限らず、発光面が複数あった場合においても、複数の発光面から出力されるそれぞれの光が、共通の駆動系で同期して制御される場合においては、複数の発光面を合計した範囲を同一発光面とみなす。
なお、図13の例では、範囲R1の中に第1回折格子部11の回折格子領域111の全てが存在するが、当該範囲R1の外側に形成される回折格子領域111が存在していてもよい。範囲R1の外側に当該回折格子領域111が位置していても、または、範囲R1の外側に回折格子領域111の一部があっても、光は光源17の発光面から広がりがあるため、外側に位置する回折格子領域111や外側に位置する部分でも光をコア層12に取り込むことができる。
また、第2実施形態では、図14に示すように、第1回折格子部11の回折格子領域111が延長領域111aを有し、回折格子領域111、および回折格子領域111と接続する延長領域111aの全てと、各伝搬路101とが異なる材料である。また、延長領域111aと伝搬路101とが厚さ方向に離隔している。これにより、図示のように、一の回折格子領域111の延長領域111aと光学的に結合する一の伝搬路101に対して厚さ方向表面側に、一の伝搬路101と離隔して、別の回折格子領域111を形成させることができる。このように一の伝搬路101に対して厚さ方向表面側に、別の回折格子領域111が形成されることで、第1回折格子部11中の各回折格子領域111をより密に配置させることができ、発光素子からの光を高効率で光導波路に導入することができる。
なお、図13の例では、光伝搬部10の全ての伝搬路101が、第1回折格子部11の回折格子領域111よりも厚さ方向基板側に存在し、全ての伝搬路101の第2光結合領域101aが、回折格子領域111に接続する延長領域111aの第1光結合領域111bと光学的に結合している。また、第2回折格子部13の回折格子領域131も、第1回折格子部11と同様に、全ての伝搬路101と全ての回折格子領域131とが第1光結合領域131bおよび第2光結合領域101aを介して光学的に結合している。
しかし、第2実施形態では、回折格子部が複数の回折格子領域を有する場合であっても、一部の回折格子領域において、回折格子領域が延長領域に接続され、延長領域の第1光結合領域と伝搬路101の第2光結合領域101aとが光学的に結合するようにし、残りの回折格子領域は第1光結合領域および伝搬路101の第2光結合領域101aを介さずに直接伝搬路101と接続させてもよい。
ここで、第2実施形態の光導波路15では、図13に示すように、光導波路15の光伝搬部10は、1つの回折格子領域111が受けた光を導入して伝搬し、1つの回折格子領域131へ当該光を導出する伝搬路101を複数有している。これにより第1回折格子部11中の各回折格子領域111、および第2回折格子部13中の各回折格子領域131をより密に配置させることができ、発光素子からの光を効率的に利用することができる。
なお、図示の例では、複数の伝搬路101の全てが、回折格子領域111から回折格子領域131までの間で、それぞれが並列して存在しているが、本実施形態では、複数の伝搬路101は並列である必要はなく、回折格子領域111から回折格子領域131までの間で、複数の伝搬路101が合流したり、分岐したりすることもでき、伝搬路101の形態は任意にすることができる。
第2実施形態では、第1回折格子部11中の回折格子領域111は、全て同じ大きさ、同じ形状の回折格子領域111を設けていたが、回折格子領域111として、大きさや形状の異なる回折格子領域111を設けてもよい。大きさや形状の異なる回折格子領域111を設けることで、光導波路15に多機能を持たせたりすることができる。多機能の具体例としては、例えば、それぞれの回折格子領域111毎に、回折格子領域111を形成する凹凸の周期を異ならせ、多波長を選択できるようにする等である。
また、本実施形態において、複数の当該回折格子領域111のうち少なくとも2つの回折格子領域111は、5×5mm2の範囲内に存在することが好ましく、より好ましくは1×1mm2の範囲内に存在することであり、さらに好ましくは500×500μm2の範囲内に存在することである。これにより、発光素子と光導波路15を高効率で結合することができる。 さらに、本実施形態においては、範囲(5×5mm2)内、または範囲(1×1mm2)内、または範囲(500×500μm2)内に存在する回折格子領域111の面積の割合が30%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であることである。これにより、発光素子と光導波路15を高効率で結合することができる。
本実施形態において、第2回折格子部13の構造は、任意にすることができる。具体的には、図示の例では第2回折格子部13の構造は第1回折格子部11の構造と同じになっているが異なるようにすることもできる。また、図13の範囲R2は、光導波路15の基板19の平面視で(基板19に向かって視た場合)、配置される検出器の範囲を、当該検出器の検出面に直交する方向に沿って第2回折格子部13に対して投影した範囲であるが、第2回折格子部13は例えば検出器によって回折格子領域131の大きさを変化させたり、配置を変化させたり、任意にすることができる。
<光導波路の製造方法>
第2実施形態による光導波路15の製造方法については、第1実施形態で示した製造方法に対して、リソグラフィで用いるマスクパターンを変更するだけであるので、詳細な説明は省略する。
本発明によれば、コア層としての回折格子部および光伝搬部をより容易に、且つ高性能に形成することを可能な光学式濃度測定装置および光導波路を提供することができる。
10:光伝搬部
101:伝搬路
101a:第2光結合領域
11:第1回折格子部
111:回折格子領域
111a:延長領域
111b:第1光結合領域
111c:第1距離変化領域
111d:第2距離変化領域
12:コア層
13:第2回折格子部
131:回折格子領域
131a:延長領域
131b:第1光結合領域
131c:第1距離変化領域
131d:第2距離変化領域
14:光学式濃度測定装置
15:光導波路
15a:SOI基板
15b:光導波路主要部
15c:離隔膜
16:外部空間
17:光源
18:光検出器
19:基板
19a:支持基板
20:支持層
20a:BOX層
21a:ポリシリコン膜(上層)
21b:SiO2
21c:ポリシリコン膜(下層)
51:構造体
52:物質
EW:エバネッセント波
IR:赤外線
L:光
M1:マスク層
R1、R2:範囲

Claims (20)

  1. コア層に光を入射可能な光源と、
    前記コア層を伝搬した光を受光可能な検出器と、
    光導波路と、を備える、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置であって、
    前記光導波路は、
    基板と、
    延在方向に光が伝搬可能である光伝搬部と、回折格子部と、を有する前記コア層と、
    を備え、
    前記回折格子部が、回折格子領域と当該回折格子領域に接続される延長領域とを有し、
    前記回折格子部の少なくとも一部が、前記光伝搬部と異なる材料であり、
    前記コア層を伝搬する光に対して、前記延長領域が有する第1光結合領域と、前記光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合していることを特徴とする、光学式濃度測定装置。
  2. 前記光伝搬部を形成する材料が、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムひ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、インジウムガリウムひ素、インジウムガリウムリン、フッ化インジウム、ダイヤモンド、サファイア、ニオブ酸リチウム、カルコゲナイドガラスのうちの一つを含み、前記回折格子部を形成する材料が、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムひ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、インジウムガリウムひ素、インジウムガリウムリン、フッ化インジウム、ダイヤモンド、サファイア、ニオブ酸リチウム、カルコゲナイドガラスのうちの他の一つを含む、請求項1に記載の光学式濃度測定装置。
  3. 前記光伝搬部を形成する材料が単結晶シリコンであり、前記回折格子部を形成する材料が多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを含む、請求項1または2に記載の光学式濃度測定装置。
  4. 前記第1光結合領域と前記第2光結合領域の光学的結合面の少なくとも一部は、前記基板の主面に対して平行である請求項1から3のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  5. 前記コア層を伝搬する光が、前記第1光結合領域から前記第2光結合領域への遷移の前後、および/または、前記第2光結合領域から前記第1光結合領域への遷移の前後で、進行方向が実質的に変わらない、請求項1から4のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  6. 前記第1光結合領域と前記第2光結合領域の距離は、下記の式(1)以下である、請求項1から5のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
    Figure 2021096226
    ここで、λ0は前記コア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、ncoupは前記第1光結合領域または前記第2光結合領域を形成する材料の屈折率であり、nmidは、前記第1光結合領域と前記第2光結合領域に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
  7. 前記第1光結合領域と前記第2光結合領域の距離は、0.7μm以下の距離である、請求項1から6のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  8. 前記コア層を伝搬する光に対して、前記第1光結合領域の等価屈折率は、前記第2光結合領域の等価屈折率の0.7〜1.3倍である、請求項1から7のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  9. 前記光伝搬部の少なくとも一部は、前記延長領域と、前記第1光結合領域と前記第2光結合領域の間の距離よりも大きい距離離れている、請求項1から8のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  10. 前記光伝搬部の少なくとも一部は、前記延長領域と、下記の式(2)よりも大きい距離離れている、請求項1から9のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
    Figure 2021096226
    ここで、λ0は前記コア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、nproは前記光伝搬部または前記延長領域を形成する材料の屈折率であり、ngapは、前記光伝搬部の少なくとも一部と、前記延長領域に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
  11. 前記光伝搬部と前記延長領域の少なくとも一方は終端部分を有しており、
    前記光伝搬部の前記終端部分と前記回折格子部との距離、および/または前記延長領域の前記終端部分と前記光伝搬部との距離は、下記の式(3)よりも大きい距離で離隔している、請求項1から10のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
    Figure 2021096226
    ここで、λ0は前記コア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、nproは前記光伝搬部または前記延長領域を形成する材料の屈折率であり、ngapは、前記光伝搬部の前記終端部分と前記回折格子部に挟まれた部分に存在する材料、または前記延長領域の前記終端部分と前記光伝搬部に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
  12. 前記回折格子部の少なくとも一部は、前記光伝搬部と空間的に離隔しており、
    平面視において前記回折格子部と前記光伝搬部が重複する領域において、前記回折格子領域から前記第1光結合領域に近づく方向に前記回折格子部と前記光伝搬部の距離が短くなる第1距離変化領域を備える、請求項1から11のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  13. 前記第1距離変化領域は、前記光伝搬部との距離が、下記の式(4)よりも大きい距離から下記の式(5)以下の距離に漸次変化する、請求項12に記載の光学式濃度測定装置。
    Figure 2021096226
    ここで、λ0は前記コア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、nproは前記光伝搬部または前記延長領域を形成する材料の屈折率であり、ngapは、前記光伝搬部と前記回折格子部の少なくとも一部に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
    Figure 2021096226
    ここで、λ0は前記コア層を伝搬する光の真空における波長の平均値であり、ncoupは前記第1光結合領域または前記第2光結合領域を形成する材料の屈折率であり、nmidは、前記第1光結合領域と前記第2光結合領域に挟まれた部分に存在する材料の屈折率である。
  14. 前記第1距離変化領域の前記光伝搬部に対する最大確度は45°以下である、請求項12または13に記載の光学式濃度測定装置。
  15. 平面視において前記回折格子部と前記光伝搬部が重複する領域において、前記第1光結合領域から前記回折格子領域に遠ざかる方向に前記回折格子部と前記光伝搬部の距離が長くなる第2距離変化領域を備える、請求項12から14のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
  16. 被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置に用いられる光導波路であって、
    基板と、
    延在方向に光が伝搬可能である光伝搬部と、回折格子部と、を有するコア層と、
    を備え、
    前記回折格子部が、回折格子領域と当該回折格子領域に接続される延長領域とを有し、
    前記回折格子部の少なくとも一部が、前記光伝搬部と異なる材料であり、
    前記コア層を伝搬する光に対して、前記延長領域が有する第1光結合領域と、前記光伝搬部が有する第2光結合領域が光学的に結合することを特徴とする、光導波路。
  17. 前記光伝搬部を形成する材料が、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムひ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、インジウムガリウムひ素、インジウムガリウムリン、フッ化インジウム、ダイヤモンド、サファイア、ニオブ酸リチウム、カルコゲナイドガラスのうちの一つを含み、前記回折格子部を形成する材料が、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムひ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、インジウムガリウムひ素、インジウムガリウムリン、フッ化インジウム、ダイヤモンド、サファイア、ニオブ酸リチウム、カルコゲナイドガラスのうちの他の一つを含む、請求項16に記載の光導波路。
  18. 前記光伝搬部を形成する材料が単結晶シリコンであり、前記回折格子部を形成する材料が多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを含む、請求項16または17に記載の光導波路。
  19. 前記第1光結合領域と前記第2光結合領域の光学的結合面の少なくとも一部は、前記基板の主面に対して平行である請求項16から18のいずれかに記載の光導波路。
  20. 前記回折格子部の少なくとも一部は、前記光伝搬部と空間的に離隔しており、
    平面視において前記回折格子部と前記光伝搬部が重複する領域において、前記回折格子領域から前記第1光結合領域に近づく方向に前記回折格子部と前記光伝搬部の距離が短くなる第1距離変化領域を備える、請求項16から19のいずれかに記載の光導波路。
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