JP7362497B2 - 光学式濃度測定装置および光導波路 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記の通りである。
コア層に光を入射可能な光源と、
前記コア層を伝搬した光を受光可能な検出部と、
光導波路と、
を備える、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置であって、
前記光導波路は、
基板と、
延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する光伝搬部と、前記光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、を有するコア層と、
を備え、
前記第1回折格子部は、前記光源の発光面と対向して近接配置され、
前記第1回折格子部は、複数の第1回折格子を有し、複数の当該第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が前記光源の同一発光面から発せられた光を受けることを特徴とする。
基板と、
延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する光伝搬部と、光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、を有するコア層と、
を備え、
前記第1回折格子部は、前記光源の発光面と対向して近接配置され、
前記第1回折格子部は、複数の第1回折格子を有し、複数の当該第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が前記光源の同一発光面から発せられた光を受けることを備えることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る光学式濃度測定装置は、後述の本発明の実施形態に係る光導波路と、コア層に光を入射可能な光源と、コア層を伝搬した光を受光可能な検出部と、を備える。
本発明の実施形態に係る光導波路は、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置に用いられる光導波路である。光導波路は、基板を備え、また、延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する光伝搬部と、光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、を有するコア層も備え、第1回折格子部は、光源の発光面と対向して近接配置され、第1回折格子部は、複数の第1回折格子を有し、複数の当該第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が光源の同一発光面から発せられた光を受ける。さらに、光導波路は、光伝搬部から光を導入して検出部に光を出力する第2回折格子部をさらに備えることができる。
また、第1回折格子部が光伝搬部へ光を導出する(換言すれば、光伝搬部が第1回折格子部から光を導入する)、また、後述のように光伝搬部が第2回折格子部へ光を導出する(換言すれば、第2回折格子部が光伝搬部から光を導入する)とは、第1、第2回折格子部の第1、第2回折格子と光伝搬部の伝搬路との間で光が伝搬可能であれば、それぞれの接続形態は限定されず、例えば、それぞれが同一材料(結晶状態も同一)で途切れることなく連続して接続する場合の他、それぞれが光学的に連続する場合も含む。それぞれが光学的に連続する場合とは、それぞれが、材料が異なる(同一元素でも結晶状態が異なる場合も含む)ことで不連続になっていても、相互に同一軸線上に位置することで、それぞれが光学的に連続する場合や、それぞれが相互に同一軸線上に位置せず不連続になっていても(それぞれが途切れている)、例えば方向性結合器の様にエバネッセント波によって結合している場合が挙げられる。なお、方向性結合器とは、エバネッセント波を利用して、光が一方から他方に遷移する際に、その遷移の前後で、光の進行方向が変わらないような光学的な結合状態を指す。また、以下、本明細書においては、回折格子部と光伝搬部との間で光が導出、導入可能である状態を、単に、回折格子部(の回折格子)と光伝搬部(の伝搬路)とが接続しているとも称す。
さらに、複数の第1回折格子のうちの全ての第1回折格子が、光源の同一発光面から発せられた光を受ける構成でもよい。また、少なくとも2つの第1回折格子が光源の同一発光面から発せられた光を受けるとは、平面視で、光源の発光面のうち同一発光面とみなせる範囲を、当該発光面に直交する方向に沿って第1回折格子部に対して投影した範囲内に、複数の第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が存在することを指し、少なくとも2つの第1回折格子の全てが当該範囲内に存在しなくても、第1回折格子の、後述する取込部(凹凸部)が少なくとも存在していればよい。また、同一発光面とみなせる範囲とは、必ずしも1つの発光面であるとは限らず、発光面が複数あった場合においても、複数の発光面から出力されるそれぞれの光が、共通の駆動系で同期して制御される場合においては、複数の発光面を合計した範囲を同一発光面とみなす。なお、光源の発光面とは、光が出射される面のうち、被測定気体または被測定液体に接することが可能な面である。
本実施形態に係る光導波路によれば、光伝搬部が線状伝搬路を少なくとも1本有することにより、後述のように、分岐状伝搬路を形成するよりも、分岐状伝搬路における、合波や分波時に発生する光の損失を抑制することができ、より効率的に光を利用することができる。また、同様な観点から、光伝搬部の全てが線状伝搬路とすることが好ましい。
本実施形態に係る光導波路によれば、光伝搬部が分岐状伝搬路を少なくとも1本有することにより、多数の第1回折格子を設けても光伝搬部の伝搬路が複雑化せず、省スペース化することができる。光伝搬部は1本の分岐状伝搬路のみを有していてもよい。
<<コア層>>
本実施形態において、コア層は、延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する光伝搬部と、光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、を有する。また、コア層は、光伝搬部から光を導入して検出部に光を出力する第2回折格子部をさらに有することができ、また、第2回折格子部は、少なくとも1つの第2回折格子を有する。
また、第1回折格子部および光伝搬部は異なる材料で形成されていてもよい。その場合、光伝搬部を形成する材料が単結晶シリコンであり、第1回折格子部を形成する材料が多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを含んでいることが好ましい。シリコンは最も一般的な材料であり、このような構成にすることにより、光伝搬部での伝搬ロスを小さくし、且つ容易に第1回折格子部の加工自由度を向上することができる。
さらに、コア層の延在方向に沿った任意の位置における延在方向に垂直な断面は、例えば、当該断面のコア層の中心から外表面までの距離が変動する形状、例えば矩形であってよく、また、当該断面のコア層の中心から外表面までの距離が変動しない形状、すなわち円形であってもよい。
本実施形態において、光伝搬部は、延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する。伝搬路は、伝搬路の延在方向に沿った任意の位置における延在方向に垂直な断面が、例えば、当該断面のコア層の中心から外表面までの距離が変動する形状、例えば矩形であってよく、また、当該断面のコア層の中心から外表面までの距離が変動しない形状、すなわち円形であってもよい。なお、本実施形態では、光伝搬部は、光を合波(合流)や分波(分岐)する機能を有する分岐状伝搬路を少なくとも1本有することができるが、分岐状伝搬路中の合流部分や、任意の分岐部分は、伝搬路の延在方向に沿った任意の位置における延在方向に垂直な断面が、合流部分や分岐部分以外の伝搬路とは異なる形状となっていてもよい。
なお、分岐状伝搬路が有する第1回折格子側部分の数は、第1回折格子部の第1回折格子の数と同じであっても、一部であってもよい。また、分岐状伝搬路の合流部分は、複数の第1回折格子が受けた光を合波して分岐状伝搬路の線状部分へ光を導出可能であれば、伝搬路の合流形態は特に限定されない。例えば、合流部分の合流形態としては、複数の第1回折格子側部分の伝搬路を段階的に合流してもよく(例えば、3つの第1回折格子側部分が存在する場合であれば2つの第1回折格子側部分が合流し、次いで、その合流した伝搬路と、もう1つの第1回折格子側部分が合流する)、また、一度に全ての第1回折格子側部分を合流させてもよい。
また、光伝搬部は、線状部分を伝搬した光を、第2回折格子側部分を介して第2回折格子部へ導出することが可能であれば、例えば、第2回折格子側部分を複数にするとともに、線状部分から複数の第2回折格子側部分へ伝搬路が分岐する分岐部分を、線状部分と第2回折格子側部分との間に設けてもよい。あるいは、第2回折格子側部分を1つにし、当該分岐部分を設けずに、線状部分からの光を、1つの第2回折格子側部分を介して第2回折格子部へ導出させてもよい。また、分岐部分を設ける場合には、第2回折格子側部分の数は、第1回折格子側部分の数と同じであっても、異なっていてもよい。さらに、分岐部分を設ける場合には、分岐部分は、線状部分からの光を分波して複数の第2回折格子へ光を導出可能であれば、伝搬路の分岐形態は特に限定されない。例えば、分岐部分の分岐形態としては、伝搬路を段階的に分岐させてもよく、また、一度に全ての第2回折格子側部分へ分岐させてもよい。
本実施形態において、第1回折格子部は、光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する。また、第1回折格子部は、複数の第1回折格子を有し、複数の当該第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が光源の同一発光面から発せられた光を受ける。本実施形態において、コア層は、第2回折格子部を有することができ、第2回折格子部は、前記光伝搬部から光を導入して検出部に光を出力する、少なくとも1つの第2回折格子を有する。
光取込部や光取出部は、平面視において、それぞれ平行に凹凸を形成するパターンが直線状や円弧状に延びるように設けることができるが、凹凸の延在の形状は任意にすることができる。
なお、以下、第1回折格子および第2回折格子の光伝搬部への接続側を、回折格子の接続側、第1回折格子および第2回折格子の光伝搬部への接続側とは逆側の末端側を、回折格子の末端側とも称す。
具体的には、例えば発光素子の発光面よりも大きい回折格子では、回折格子の光伝搬部への接続側とは逆側の末端側の部分で受けた光の一部が回折格子内からコア層の外側へ再放射していた。そして、本発明者らが、上記現象について鋭意研究を重ねた結果、当該再放射は、回折格子長を長くするほど、回折格子における波長の選択性が向上するという原理に基づいている、という知見を得た。つまり、回折格子長が長すぎると、より単一な波長が選択され、選択波長から僅かにずれている光でさえも、コア層の外部に再放射されてしまう。すなわち、回折格子長を長くするほど選択波長帯は狭くなり、線スペクトルに近づいていく。そして、発明者らは、当該知見に基づき、第1回折格子について、回折格子長の最大値を20λ以下とすることで、光学式濃度測定装置として有効な波長帯を選択できることを見出した。本実施形態の光導波路を用いることができる光学式濃度測定装置では、被測定物による光の吸収を利用して濃度を測定しているが、物質の有する光の吸収波長範囲は、ある程度の幅を持っており、厳密な単一波長であることはない。例えば、環境に浮遊するガスであるCO2の代表的な吸収波長は約4.20~4.35μmと比較的広範囲に分布している。つまり、厳密な単一波長にまで光を過剰選択してしまうと、濃度測定に有効な波長領域を捨てることになるので、光学式濃度測定装置としては好ましくない。すなわち、本実施形態において、複数の第1回折格子のうち少なくとも1つの第1回折格子は、回折格子長の最大値を20λ以下とすることで、回折格子に導入した光の不要な再放射(過剰な波長選択)を抑制することができ、光導波路として発光素子と光導波路の結合をより高効率化することができる。
また、少なくとも1つの第1回折格子の、回折格子長の最大値は、好ましくは10λ以下、より好ましくは5λ以下であり、当該範囲にすることにより、例えば環境に浮遊するCO2の濃度を測定する場合などにおいて、光学式濃度測定装置として有効な波長帯を選択しつつ不要な再放射(過剰な波長選択)を抑制することができ、それゆえに、光学式濃度測定装置に用いられる光導波路として、発光素子と光導波路の結合をさらに高効率化することができる。
また、複数の第1回折格子のうち、回折格子長の最大値が20λ以下となる少なくとも1つの第1回折格子は、光源の発光面の範囲を投影した範囲内に位置するものであることが好ましい。また、回折格子長の最小値が1λ以上である第1回折格子も、光源の発光面の範囲を投影した範囲内に位置するものであることが好ましい。
本実施形態において、基板は、基板上にコア層を形成可能であれば特に制限されず、基板上に後述の支持部を形成することもできる。具体的には、基板は、シリコン基板やGaAs基板等が挙げられる。
本実施形態においては任意に支持部を設けることができる。支持部は、基板の少なくとも一部とコア層の少なくとも一部とを接続する。支持部は、基板およびコア層を接合可能であれば特に制限されないが、好ましくは任意の波長の光またはコア層を伝搬する光に対してコア層よりも屈折率が小さい材料である。一例として、支持部の形成材料として、SiO2などが挙げられる。本発明において、支持部は必須の構成ではない。コア層は支持部によって基板と接合されてもよく、基板上に直接コア層が形成されていてもよい。また、支持部が部分的に存在してもよく、コア層の少なくとも一部は、支持部に接合されておらず浮遊していてもよい。すなわち、このような構成の光導波路では、支持部が設けられた領域を除き、基板およびコア層の間には空間が形成されている。コア層の一部を浮遊させることで、エバネッセント波と被測定物質を相互作用させる量を多くさせることができ、センサ感度を向上させることができる。
光源は、コア層に光を入射可能であれば特に制限されない。ガスの測定に赤外線を用いる場合には光源として、白熱電球やセラミックヒータ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ヒータや赤外線LED(Light Emitting Diode)などを用いることができる。すなわち、インコヒーレント光源であってよい。光源は光導波路と光接続可能な形態であればどのような配置でもよい。例えば、光源は、光導波路と同じ個体内に光導波路に隣接して配置してもよいし、別の個体として光導波路から一定の距離を置いて配置してもよい。また、ガスの測定に紫外線を用いる場合には光源として、水銀ランプや紫外線LEDなどを用いることができる。
なお、近接とは、光源の同一発光面の面積をSsとしたときに、1mm以下または√Ss以下の長さを指し、好ましくは500μm以下または0.5×√Ss以下、より好ましくは200μm以下または0.2×√Ss以下の長さを指す。また、当該長さとは、光源の発光面の光導波路側の下端から、光導波路の厚さ方向で、最も光源の発光面側に位置する第1回折格子部までを、厚さ方向に沿って測った長さを指す。なお、光源の発光面と第1回折格子部までの間には、レンズや光ファイバー等の他の部材を存在させず、発光面から出力された光は、僅かな空間を経て直接第1回折格子部に到達することが好ましい。こうすることにより、安価に光学式濃度測定装置を実現することができる。
また、当該割合は60%以上とすることが好ましい。これにより、発光素子と光導波路をさらに高効率で結合させることができる。
なお、発光面が覆う第1回折格子の合計の面積とは、発光面に直交する方向に沿って第1回折格子部に対して投影した範囲に存在する第1回折格子の取込部の面積を指す。
検出部は、光導波路のコア層を伝搬した光を受光可能であれば特に制限されない。ガスの測定に赤外線を用いる場合には検出部として、焦電センサ(Pyroelectric sensor)、サーモパイル(Thermopile)あるいはボロメータ(Bolometer)などの熱型赤外線センサや、ダイオードあるいはフォトトランジスタなどの量子型赤外線センサなどを用いることができる。また、ガスの測定に紫外線を用いる場合には検出部として、ダイオードやフォトトランジスタ等の量子型紫外線センサなどを用いることができる。
なお、近接とは、検出部の受光面の面積をSdとしたときに、1mm以下または√Sd以下の長さを指し、好ましくは500μm以下または0.5×√Sd以下、より好ましくは200μm以下または0.2×√Sd以下の長さを指す。また、当該長さとは、検出部の光導波路側の下端から、光導波路の厚さ方向で、最も検出部側に位置する第2回折格子部までを、厚さ方向に沿って測った長さを指す。なお、第2回折格子部と検出部までの間には、レンズや光ファイバー等の他の部材を存在させず、第2回折格子部から出力された光は、僅かな空間を経て直接検出部に到達することが好ましい。こうすることにより、安価に光学式濃度測定装置を実現することができる。
本発明の実施形態の光学式濃度測定装置について図1を用いて説明する。
本実施形態の光学式濃度測定装置14は、後述の実施形態の光導波路15と、コア層12に光を入射可能な光源17と、コア層12を伝搬した光を受光可能な光検出器(検出部の一例)18と、を備える。また、光学式濃度測定装置14は、光伝搬部10から光を導入して前記光検出器18に光を出力する第2回折格子部13をさらに備える。
また、上記の観点からは当該長さの下限値は限定されず、光源17の発光面と第1回折格子部11が接触していても構わないが、光学式濃度測定装置14を適切に製造する観点からは当該長さは3μm以上が好ましい。なお、光源17の発光面と第1回折格子部11までの間には、レンズや光ファイバーを存在させず、発光面から出力された光は、当該長さの僅かな空間を経て直接第1回折格子部11に到達させている。こうすることにより、安価に光学式濃度測定装置を実現することができる。
また、上記の観点からは当該長さの下限値は限定されず、光検出器18の受光面と第2回折格子部13が接触していても構わないが、光学式濃度測定装置14を適切に製造する観点からは当該長さは3μm以上が好ましい。なお、第2回折格子部13と光検出器18までの間には、レンズや光ファイバーを存在させず、第2回折格子部13から出力された光は、当該長さの僅かな空間を経て直接光検出器18に到達させている。こうすることにより、安価に光学式濃度測定装置を実現することができる。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る光導波路について図1から図12を用いて説明する。
しかしながら、図19(a)に示すような発光素子の発光面EFよりも大きい回折格子53を1つ形成した場合、回折格子53の光伝搬部への接続側とは逆側の末端側の部分で受けた光の一部が、図19(b)に示すように、回折格子53の接続側へ伝搬せず、回折格子53の中間で回折格子内からコア層の外側へ再放射され、取り込みを高効率にすることは困難であった。
具体的には、特に限定されないが例えば、第1回折格子111および第2回折格子131の光伝搬部10への接続側の頂部111tを頂点とする、接続側から末端側に向かって幅が広がる部分を有する形状とすることができる。より具体的には、回折格子および回折格子の頂部111tを中心とする扇形(図3(a)、(b))の他、頂部111tを頂点とする三角形(例えば二等辺三角形(図3(c)))や、頂部111tを頂点とし、接続側から末端側に向かって幅が広がる部分と、当該部分に続く任意の形状、例えば矩形状の部分とを有する形状(図3(d))、とすることができる。回折格子の形状としては、接続側から末端側に向かう方向に沿う任意の仮想線に対して線対称の形状が好ましく、また、頂部111tから取込部や取出部に向かう方向に幅が減少しない形状であることが好ましい。
なお、第1回折格子111は、例えば図3(b)や(d)に示すように、光取込部に対して光伝搬部10への接続側に隣接する部分に、凹凸部形成されていない部分を有することができる(換言すれば、図3(a)や(c)のように回折格子の頂部111t付近まで光取込部が形成されていなくてもよい)。
また、図示の例では、回折格子長の最大値GLMが20λ以下となる第1回折格子111が全て範囲R1内に位置しているが、当該範囲R1内に少なくとも1つ位置することが好ましく、当該範囲R1外に位置する、最大値GLMが20λ以下となる第1回折格子111が存在していてもよい。
なお、第1回折格子111の回折格子長GLとは、図4(a)、(b)に示すように、上述の第1回折格子111の取込部の凹部または凸部を区画する壁面のうち、最も、接続側に位置する壁面W1について、当該壁面W1の延在方向の特定の位置を起点に測定する(例えば起点P1)。そして、回折格子長GLは、当該起点P1から末端側へ、当該特定の位置P1における壁面の延在方向に直交する方向に延びる仮想線VL上に沿って、当該仮想線VL上の最も末端側に位置する壁面(取込部の凹部または凸部を区画する壁面のうち最も末端側に位置する壁面)W2までを測った長さを指す(壁面W1の起点P1から、起点P1から延びて仮想線VL上に位置する壁面W2の終点P2まで長さ)。第1回折格子111の回折格子長GLは、当該第1回折格子111の取込部の形状によって変化し得、すなわち、取込部の形状によっては、上記起点からの長さが変化し得る。また、第1回折格子111の回折格子長の最大値GLMとは、上記の回折格子長GLのうち最も長い長さを指す。
具体的には、図2の例では、一の第1回折格子111に対して、当該一の第1回折格子111の軸線(第1回折格子111の幅方向中心線であり、以下、単に回折格子の軸線とも称す)上に位置する他の第1回折格子111が逆向きに配置されている。すなわち、一の第1回折格子111についての第1回折格子111から光伝搬部10(伝搬路)への接続方向と、当該他の第1回折格子111についての当該接続方向とが反対であり、それぞれの接続方向が範囲R1の中心から外側に向くように光伝搬部10へ接続されている。図2の例では、さらに他の第1回折格子111についても同様な配置になっており、全体として、第1回折格子部11は線対称(および点対称)になっている。
また、本実施形態においては、範囲(5×5mm2)内に存在する第1回折格子111の面積の割合が30%以上であることが好ましく、より好ましくは範囲(1×1mm2)内に存在する第1回折格子111の面積の割合が30%以上であり、さらに好ましくは範囲(500×500μm2)内に存在する第1回折格子111の面積の割合が30%以上である。これにより、発光素子と光導波路15を高効率で結合することができる。
なお、図5~12では、光導波路15の製造方法の説明の容易化のため、第1回折格子部11のうち1つの回折格子に着目して簡略化し模式的な図となっている。
図5は、光導波路15の製造工程平面図を示している。図6は、図5中に示すB-B線で切断した光導波路15の製造工程断面図を示している。図7は、光導波路15の製造工程平面図を示している。図8は、図7中に示すC-C線で切断した光導波路15の製造工程断面図を示している。図9は、光導波路15の製造工程平面図を示している。図10は、図9中に示すD-D線で切断した光導波路15の製造工程断面図を示している。図11は、光導波路15の製造工程平面図を示し、図12は、図11中に示すE-E線で切断した光導波路15の製造工程断面図を示している。
具体的には、図9、図10に示すように、コア層12およびBOX層20aの一部を覆うマスク層M1を形成する。マスク層M1は支持部20としてBOX層20aを残したい領域を覆うように配置する。例えば、第1実施形態において、光伝搬部10の延在方向における支持部20を形成すべき位置を中心に、光伝搬部10の幅方向の長さより長く且つ設計上の支持部20の延在方向の長さより長い矩形の領域を覆うようにマスク層M1を配置する。また、例えば、第1実施形態において、回折格子部11、13全体よりも大きな矩形の領域を覆うようにマスク層M1を配置する。マスク層M1は、フォトレジストでもよいし、シリコン窒化膜等のハードマスクでもよい。
つづいて、本発明の第2実施形態に係る光導波路について図13を用いて説明する。なお、第1実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
なお、第2実施形態の光伝搬部10の分岐状伝搬路102を、第1実施形態の光導波路15の光伝搬部10に代えてまたは加えて、光導波路15を形成することができる。
次いで、本発明の第3実施形態に係る光導波路について図14を用いて説明する。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
そして、図示の例では、発光面を投影した第1回折格子部11中の範囲R1において、図の上下方向中央に、回折格子の末端側を突き合せる姿勢で上下に向き合った1対の第1a回折格子111aが、図14の左右方向に千鳥状に設けられている。すなわち、図14の上下方向中央において、第1a回折格子111aの向き(配置方向)が交互になるように配置されている。また、第1b回折格子111bが、範囲R1の上下方向の中間(先述の上下方向中央と、後述の上下方向端部側の中間)に、回折格子の接続側を当該範囲内の上下方向端部側に向ける姿勢で、第1a回折格子111aに接続する伝搬路103間に配置されている。さらに、第1c回折格子111cが、範囲R1の上下方向端部側に、回折格子の接続側を当該範囲内の上下方向端部側に向ける姿勢で、第1a回折格子111aに接続する伝搬路103と第1b回折格子111bに接続する伝搬路103との間に配置されている。
したがって、第3実施形態によれば、第1回折格子111を、発光面を投影した第1回折格子部11中の範囲R1において、当該範囲の中央に相対的に大きい第1回折格子111を配置し、当該範囲R1の端部側になるに従い、相対的に小さい第1回折格子111を配置することで、範囲(5×5mm2)内、または範囲(1×1mm2)内、または範囲(500×500μm2)内に存在する第1回折格子111の面積の割合をより好適に30%以上にしやすくすることができ、それにより、発光素子と光導波路15をより高効率で結合させることができる。
つづいて、本発明の第4実施形態に係る光導波路について図15および図16を用いて説明する。なお、上記の実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
したがって、第4実施形態によれば、第1回折格子111を光導波路15の表層側に、伝搬路103を光導波路15の基板19側に第1回折格子111とは別の層として形成することにより、発光面を投影した第1回折格子部11中の範囲R1において、第1回折格子111をより密に、例えば、範囲(5×5mm2)内、または範囲(1×1mm2)内、または範囲(500×500μm2)内に存在する第1回折格子111の面積の割合をより好適に60%以上にしやすくすることができ、それにより、発光素子と光導波路15をより高効率で結合させることができる。
101:線状伝搬路
102:分岐状伝搬路
102a:中央に位置する線状部分
102b:第1回折格子側部分
102c:合流部分
102d:第2回折格子側部分
102e:分岐部分
103:伝搬路
11:第1回折格子部
111:第1回折格子
111a:第1a回折格子、
111b:第1b回折格子、
111c:第1c回折格子
111t:頂部
12:コア層
12a:活性基板
13:第2回折格子部
131:第2回折格子
14:光学式濃度測定装置
15:光導波路
15a:SOI基板
15b:光導波路主要部
16:外部空間
17:光源
18:光検出器
19:基板
19a:支持基板
20:支持部
20a:BOX層
21:空隙
51:構造体
52:物質
53:回折格子
A:正方形の同一発光面の一辺の長さ
D:第1回折格子部に近接配置された光源と第1回折格子部の長さ
EW:エバネッセント波
IR:赤外線
L:光
M1、M2:マスク層
GL:回折格子長
GLM:回折格子長の最大値
W1、W2:壁面
P1:起点
P2:終点
VL:仮想線
EF:発光面
R1、R2:範囲
Claims (16)
- コア層に光を入射可能な光源と、
前記コア層を伝搬した光を受光可能な検出部と、
光導波路と、
を備える、被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置であって、
前記光導波路は、
基板と、
延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する光伝搬部と、前記光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、を有するコア層と、
を備え、
前記第1回折格子部は、前記光源の発光面と対向して近接配置され、
前記第1回折格子部は、複数の第1回折格子を有し、複数の当該第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が前記光源の同一発光面から発せられた光を受け、
前記光源の同一発光面とみなせる範囲を、当該発光面に直交する方向に沿って前記第1回折格子部に対して投影した範囲内に、前記複数の第1回折格子のうち少なくとも1つの第1回折格子が全て収まり、前記複数の第1回折格子のうちの1つの第1回折格子の面積は前記光源の発光面積より小さく、
前記複数の第1回折格子のそれぞれの回折格子長の最大値は、前記コア層を伝搬する光の真空中における波長の平均値をλとするとき、20λ以下であり、
前記第1回折格子部中の前記第1回折格子は、光導波路の平面視で、配置方向に周期性があることを特徴とする、光学式濃度測定装置。 - 複数の前記第1回折格子のそれぞれが有する選択波長スペクトルを合成したスペクトルは、単峰性を有する、請求項1に記載の光学式濃度測定装置。
- 前記コア層は、前記光伝搬部から光を導入して検出部に光を出力する、少なくとも1つの第2回折格子を有する第2回折格子部をさらに有し、
前記光伝搬部は、1つの前記第1回折格子が受けた光を導入して伝搬し、1つの前記第2回折格子へ当該光を導出する線状伝搬路を少なくとも1本有する、請求項1または2に記載の光学式濃度測定装置。 - 前記コア層は、前記光伝搬部から光を導入して検出部に光を出力する第2回折格子部をさらに有し、
前記光伝搬部は、中央に位置する線状部分と、複数の前記第1回折格子が受けた光を導入する複数の第1回折格子側部分と、複数の当該第1回折格子側部分から当該線状部分へ伝搬路が合流する合流部分と、当該線状部分を伝搬した光を前記第2回折格子部へ導出する第2回折格子側部分と、を有する分岐状伝搬路を少なくとも1本有する、請求項1または2に記載の光学式濃度測定装置。 - 前記第2回折格子部は、前記検出部と対向して近接配置される、請求項3または4に記載の光学式濃度測定装置。
- 前記第2回折格子部の構造は前記第1回折格子部の構造と同じである、または前記第2回折格子部の構造は前記第1回折格子部の構造から変換したものである、請求項3から5のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 複数の前記第1回折格子のうち少なくとも1つの第1回折格子の、回折格子長の最大値は、光の真空中における波長の平均値をλとするとき、10λ以下である、請求項1から6のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 複数の前記第1回折格子のうち少なくとも1つの第1回折格子の、回折格子長の最大値は、光の真空中における波長の平均値をλとするとき、5λ以下である、請求項1から7のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 前記第1回折格子部中の前記第1回折格子は4個以上である、請求項1から8のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 前記第1回折格子部中の複数の前記第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子は、光導波路の平面視で、第1回折格子から光伝搬部への接続方向が相互に反対である、請求項1から9のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 前記第1回折格子部中の前記第1回折格子は、光導波路の平面視で、配置が空間群p2、p2mm、p2mg、p2gg、c2mmのいずれかで表現される、請求項1から10のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 前記第1回折格子部中の前記第1回折格子は、光導波路の平面視で、配置が空間群p1、pm、pg、cmのいずれかで表現される、請求項1から11のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 前記光源の発光面の面積に対する、当該発光面が覆う前記第1回折格子の合計の面積の割合が30%以上である、請求項1から12のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 前記光源の発光面の面積に対する、当該発光面が覆う前記第1回折格子の合計の面積の割合が60%以上である、請求項1から13のいずれかに記載の光学式濃度測定装置。
- 被測定気体または被測定液体の濃度を測定する光学式濃度測定装置に用いられる光導波路であって、
基板と、
延在方向に光が伝搬可能である伝搬路を有する光伝搬部と、光源より光を受けて、当該光伝搬部へ光を導出する第1回折格子部と、を有するコア層と、
を備え、
前記第1回折格子部は、前記光源の発光面と対向して近接配置され、
前記第1回折格子部は、複数の第1回折格子を有し、複数の当該第1回折格子のうち少なくとも2つの第1回折格子が前記光源の同一発光面から発せられた光を受け、
前記光源の同一発光面とみなせる範囲を、当該発光面に直交する方向に沿って前記第1回折格子部に対して投影した範囲内に、前記複数の第1回折格子のうち少なくとも1つの第1回折格子が全て収まり、前記複数の第1回折格子のうちの1つの第1回折格子の面積は前記光源の発光面積より小さく、
前記複数の第1回折格子のそれぞれの回折格子長の最大値は、前記コア層を伝搬する光の真空中における波長の平均値をλとするとき、20λ以下であり、
前記第1回折格子部中の前記第1回折格子は、光導波路の平面視で、配置方向に周期性があることを特徴とする、光導波路。 - 複数の前記第1回折格子のそれぞれが有する選択波長スペクトルを合成したスペクトルは、単峰性を有する、請求項15に記載の光導波路。
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Yunhong DING et al.,On-chip grating coupler array on the SOI platform for fan-in/fan-out of MCFs with low insertion loss and crosstalk,Optics Express,2015年02月09日,Vol. 23,No. 3,PP.3292-3298 |
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